有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LOFX (EDINETへの外部リンク)
東洋紡株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)
当社グループは、「順理則裕」の企業理念のもと、「私たちは、素材+サイエンスで人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループになります」というビジョンを掲げています。「素材+サイエンス」として、自社保有のコア技術のさらなる進化に加え、積極的なオープンイノベーションの考え方の下、新製品の拡大、新事業の創出に注力しました。
当社グループの研究開発は、セグメントごとに担当事業部が直接運営する事業部研究部門と、中長期的視点から次代を担う新製品・新技術を開発する全社共通のコーポレート研究部門とに大別されます。これらの研究開発のマネジメントはイノベーション戦略部が担当し、各部門相互の連携を図りながら、当社グループの総合力を発揮した研究開発活動を推進しました。
(フィルム・機能マテリアル)
包装用フィルム分野では、環境対応商品(薄肉化)として高強度で縦・横・両方向に収縮可能な熱収縮性ポリエステルフィルム“スペースクリーン”及び高耐熱高剛性ポリプロピレンフィルムの用途が拡大し、環境を意識し、バイオマス原料を使用したポリエステルフィルム“バイオプラーナ”やリサイクル原料を使用したポリエステルフィルム“サイクルクリーン”も採用が拡大しました。さらに、ナイロンフィルムやシーラントでもバイオ原料を使用した製品を上市し、環境意識が高い大手ユーザーでの採用が進みました。食品用途以外の業界についても“オリエステル”等でショッピングバックや折り紙、ブックカバー、ひねるだけで臭いが気にならないおむつ処理袋“ひねってポイ”に加え、モノマテリアルを意識したポリエステルシーラントとしての採用が進みました。
工業フィルム分野では、電子情報通信分野、自動車分野での要求が一層増しているセラミックコンデンサの生産に寄与する離型フィルム“コスモピール”の開発を精力的に進めています。液晶ディスプレイに最適な超複屈折フィルム“コスモシャインSRF”は、新製品の開発に努めるとともに、新生産機での生産を開始し販売を伸ばしています。また電子部品の高機能化要望にお応えする力学的・熱的特性に優れたポリエチレンフタレートフィルム“テオネックス”の開発、さらに環境に配慮したフィルム製品“クリスパー”、“カミシャイン”、“リシャイン”の開発、販売促進に加え、環境負荷の少ないリサイクルシステムの開発も積極的に進めています。
重金属を含まず環境に優しいポリエステル重合触媒“TOYOBO GS Catalyst”については、その優れたリサイクル性を活かし、用途展開が進み循環型経済に貢献しています。GS触媒ライセンス事業についても海外大手PETメーカーにおける商業生産が拡大しています。また、環境に配慮したバイオ由来の優れたバリア性の樹脂開発にも取り組み、プラスチックとの共生社会を目指し、再生可能な素材へのシフトを加速しています。
高機能共重合ポリエステル樹脂“バイロン”、高耐熱共重合ポリアミドイミド樹脂“バイロマックス”、変性ポリオレフィン樹脂“ハードレン”は、電気電子、自動車内外装の塗料、接着用途でさらに検討を進めています。“バイロン”では5Gに対応する高周波でも伝送損失が少ない低誘電性接着剤を新たにラインナップし、通信、電子製品分野の接着用途でさらに拡大を続けています。“バイロマックス”は、高耐熱と高耐久性が評価され、スマートフォン周辺デバイスでの引き合いが増加しています。“ハードレン”は接着が難しいポリオレフィン用の接着付与剤として、例えば国内外の自動車外装プラスチック塗料用途に展開し、市場拡大を続けています。“バイロン”、“ハードレン”共に、北米、欧州、中国での環境問題から、水性化、ホットメルト化をキーワードに開発を進めています。
以上、当事業に係る研究開発費は52億円です。
(モビリティ)
エンジニアリングプラスチック分野では、自動車用途での軽量化の要求に応えるための開発を進めました。特に超高剛性材料の開発、発泡成形用材料の新規素材を開発し、日系の自動車において採用されました。これらの材料開発技術は保有する他材料(硬質ポリエステル、硬質ポリアミド、軟質ポリエステル)のすべてに適応でき、さらなる拡大が期待出来ます。また、軟質ポリエステル樹脂における発泡成形では、独立発泡、連続発泡など発泡状態をコントロールする技術にも取組んでおり、新たな用途が期待出来ます。自動車市場では電動化が拡大していますが、必要な素材技術として熱伝導性、シールド性などの開発も進めています。これらの材料開発に合わせて、コンピューターによる解析技術(CAE解析(Computer Aided Engineering)、DX、MI(Materials Informatics))も進めて、お客様への形状提案に繋げる予定です。
エアバッグ事業分野ではグローバルでの生産販売体制の拡大を継続的に進めています。特にタイでの原糸新工場の建設をインドラマ・ベンチャーズと開始しました。原糸から基布に至る体制強化と、新商品を含めた品揃えをグローバルで図っています。
以上、当事業に係る研究開発費は12億円です。
(生活・環境)
スーパー繊維“イザナス”は、紡糸技術の深化により高強度グレードを開発しました。高強度グレードの開発で確立した微細結晶構造制御技術は、繊維学会の技術賞を受賞しました。また、クリープに対する耐久性を飛躍的に高める基本技術を確立し洋上風力発電の係留索などへの応用を目指して研究開発を進めています。
エステル短繊維や三次元スプリング構造体“ブレスエアー”およびスパンボンドは、持続的に発展できる社会の実現に向けて環境配慮型の製品開発を進めています。
フィルター材料においては、静電フィルター“エリトロン”を軸に高性能・高機能化を進め、空気清浄機、自動車内用フィルター等を拡販しました。
水処理膜では、各種中空糸膜の開発とモジュールの高性能化、ならびに省エネ海水淡水化や発電、排水処理など応用研究を進めました。
VOC排気ガス処理分野では、活性炭素繊維“Kフィルター”を用いた濃縮用吸着材、ならびに溶剤回収システムの高性能化の開発を進めました。
繊維の微細構造をコントロールする技術を活用した商品開発を進め、緻密な組織を有し仕立て映えのするスポーツ用“アクセンシャルゼブラ”を学生服に拡販しました。抗ウイルス性を持った“ヴァイアブロック”不織布マスクの販売、ポリエステル生地に“ナノバリアー”加工をした洗えるマスク素材など清潔関連商品を上市し拡販しました。
フィルム状導電素材“COCOMI”では、心拍計測用サイクリングシャツを発表し、2021年度から一般消費者向け販売を開始します。また、畜産用心拍計測ベルト、心拍計測用ドッグウェアなどによるアニマル、関連分野への検討、伸張センサを応用した心拍数・呼吸状態同時計測によるヘルスケア関連分野への検討など、他分野への応用検討を進めていきます。
工業材料・機能資材分野では、海外拠点と連携したアルコール消毒綿・特殊防護服など、環境衛生や生活分野の製品を上市し拡販しました。
以上、当事業に係る研究開発費は19億円です。
(ライフサイエンス)
バイオケミカル分野では、富山大学との共同研究でSARS-CoV-2に対する抗体の開発に取組みました。診断システムでは、全自動遺伝子解析装置をバージョンアップ(モデルC)すると共に、同装置の専用試薬としてSARS-CoV-2診断薬の開発に成功し、販売を開始しました。バイオ研究試薬では、核酸精製不要PCRの自社技術を生かし、唾液からSARS-CoV-2を直接測定可能な試薬の開発に成功し、販売を開始しました。
医療機器分野では、神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”が指尖部で神経再建の標準治療となり、患者様の治癒に貢献しました。さらに、新たな再生誘導材ある骨再生誘導材“ボナーク”の2021年度上市に向け、保険適用申請や量産準備等を進めています。
人工腎臓用中空糸膜では、透析患者に優しい製品のラインアップの充実に向けて開発を進めました。また、生産効率を引き上げるプロセスの開発に取り組みました。
以上、当事業に係る研究開発費は12億円です。
(全社共通)
全社共通の研究開発組織であるコーポレート研究所は、当社グループの将来を担う新製品・新技術の開発を行うだけでなく、各種分析・評価業務、コンピューターシミュレーションやAI(Artificial Intelligence)を用いた解析業務を通じて、研究開発全般を支援する全社研究インフラとしての機能も有しています。加えて、総合研究所長直下の組織として、DX推進室を設置し、MI技術を導入、展開しました。
当社の高分子重合技術や成形加工技術を駆使した耐熱性・寸法安定性に優れる新規ポリイミドフィルム“ゼノマックス”については、生産・販売会社「ゼノマックスジャパン株式会社」を事業部門に移管する一方、引き続き、コーポレート研究所において次世代品の開発を継続しています。
オープンイノベーション活動に関しては、新技術の調査および研究開発のスピードアップを図るため、ナショナルプロジェクトへの参画や国内外の企業、大学、研究機関との連携を積極的に進めています。さらに、世界トップレベルのベンチャーアクセラレーター「Plug and Play」とのパートナーシップ契約を、スマートシティープログラムに拡大し、よりソリューション志向を強めることとしました。また、当社として第3のベンチャーファンド投資として、「リアルテックファンド3号投資事業有限責任組合」へ参加し、当社のコア技術が応用できるスタートアップ企業とのオープンイノベーションをさらに推進し、これからの社会に役立つ製品開発を進めています。
以上、全社共通のコーポレート研究に係る研究開発費は31億円です。
当社グループの研究開発は、セグメントごとに担当事業部が直接運営する事業部研究部門と、中長期的視点から次代を担う新製品・新技術を開発する全社共通のコーポレート研究部門とに大別されます。これらの研究開発のマネジメントはイノベーション戦略部が担当し、各部門相互の連携を図りながら、当社グループの総合力を発揮した研究開発活動を推進しました。
(フィルム・機能マテリアル)
包装用フィルム分野では、環境対応商品(薄肉化)として高強度で縦・横・両方向に収縮可能な熱収縮性ポリエステルフィルム“スペースクリーン”及び高耐熱高剛性ポリプロピレンフィルムの用途が拡大し、環境を意識し、バイオマス原料を使用したポリエステルフィルム“バイオプラーナ”やリサイクル原料を使用したポリエステルフィルム“サイクルクリーン”も採用が拡大しました。さらに、ナイロンフィルムやシーラントでもバイオ原料を使用した製品を上市し、環境意識が高い大手ユーザーでの採用が進みました。食品用途以外の業界についても“オリエステル”等でショッピングバックや折り紙、ブックカバー、ひねるだけで臭いが気にならないおむつ処理袋“ひねってポイ”に加え、モノマテリアルを意識したポリエステルシーラントとしての採用が進みました。
工業フィルム分野では、電子情報通信分野、自動車分野での要求が一層増しているセラミックコンデンサの生産に寄与する離型フィルム“コスモピール”の開発を精力的に進めています。液晶ディスプレイに最適な超複屈折フィルム“コスモシャインSRF”は、新製品の開発に努めるとともに、新生産機での生産を開始し販売を伸ばしています。また電子部品の高機能化要望にお応えする力学的・熱的特性に優れたポリエチレンフタレートフィルム“テオネックス”の開発、さらに環境に配慮したフィルム製品“クリスパー”、“カミシャイン”、“リシャイン”の開発、販売促進に加え、環境負荷の少ないリサイクルシステムの開発も積極的に進めています。
重金属を含まず環境に優しいポリエステル重合触媒“TOYOBO GS Catalyst”については、その優れたリサイクル性を活かし、用途展開が進み循環型経済に貢献しています。GS触媒ライセンス事業についても海外大手PETメーカーにおける商業生産が拡大しています。また、環境に配慮したバイオ由来の優れたバリア性の樹脂開発にも取り組み、プラスチックとの共生社会を目指し、再生可能な素材へのシフトを加速しています。
高機能共重合ポリエステル樹脂“バイロン”、高耐熱共重合ポリアミドイミド樹脂“バイロマックス”、変性ポリオレフィン樹脂“ハードレン”は、電気電子、自動車内外装の塗料、接着用途でさらに検討を進めています。“バイロン”では5Gに対応する高周波でも伝送損失が少ない低誘電性接着剤を新たにラインナップし、通信、電子製品分野の接着用途でさらに拡大を続けています。“バイロマックス”は、高耐熱と高耐久性が評価され、スマートフォン周辺デバイスでの引き合いが増加しています。“ハードレン”は接着が難しいポリオレフィン用の接着付与剤として、例えば国内外の自動車外装プラスチック塗料用途に展開し、市場拡大を続けています。“バイロン”、“ハードレン”共に、北米、欧州、中国での環境問題から、水性化、ホットメルト化をキーワードに開発を進めています。
以上、当事業に係る研究開発費は52億円です。
(モビリティ)
エンジニアリングプラスチック分野では、自動車用途での軽量化の要求に応えるための開発を進めました。特に超高剛性材料の開発、発泡成形用材料の新規素材を開発し、日系の自動車において採用されました。これらの材料開発技術は保有する他材料(硬質ポリエステル、硬質ポリアミド、軟質ポリエステル)のすべてに適応でき、さらなる拡大が期待出来ます。また、軟質ポリエステル樹脂における発泡成形では、独立発泡、連続発泡など発泡状態をコントロールする技術にも取組んでおり、新たな用途が期待出来ます。自動車市場では電動化が拡大していますが、必要な素材技術として熱伝導性、シールド性などの開発も進めています。これらの材料開発に合わせて、コンピューターによる解析技術(CAE解析(Computer Aided Engineering)、DX、MI(Materials Informatics))も進めて、お客様への形状提案に繋げる予定です。
エアバッグ事業分野ではグローバルでの生産販売体制の拡大を継続的に進めています。特にタイでの原糸新工場の建設をインドラマ・ベンチャーズと開始しました。原糸から基布に至る体制強化と、新商品を含めた品揃えをグローバルで図っています。
以上、当事業に係る研究開発費は12億円です。
(生活・環境)
スーパー繊維“イザナス”は、紡糸技術の深化により高強度グレードを開発しました。高強度グレードの開発で確立した微細結晶構造制御技術は、繊維学会の技術賞を受賞しました。また、クリープに対する耐久性を飛躍的に高める基本技術を確立し洋上風力発電の係留索などへの応用を目指して研究開発を進めています。
エステル短繊維や三次元スプリング構造体“ブレスエアー”およびスパンボンドは、持続的に発展できる社会の実現に向けて環境配慮型の製品開発を進めています。
フィルター材料においては、静電フィルター“エリトロン”を軸に高性能・高機能化を進め、空気清浄機、自動車内用フィルター等を拡販しました。
水処理膜では、各種中空糸膜の開発とモジュールの高性能化、ならびに省エネ海水淡水化や発電、排水処理など応用研究を進めました。
VOC排気ガス処理分野では、活性炭素繊維“Kフィルター”を用いた濃縮用吸着材、ならびに溶剤回収システムの高性能化の開発を進めました。
繊維の微細構造をコントロールする技術を活用した商品開発を進め、緻密な組織を有し仕立て映えのするスポーツ用“アクセンシャルゼブラ”を学生服に拡販しました。抗ウイルス性を持った“ヴァイアブロック”不織布マスクの販売、ポリエステル生地に“ナノバリアー”加工をした洗えるマスク素材など清潔関連商品を上市し拡販しました。
フィルム状導電素材“COCOMI”では、心拍計測用サイクリングシャツを発表し、2021年度から一般消費者向け販売を開始します。また、畜産用心拍計測ベルト、心拍計測用ドッグウェアなどによるアニマル、関連分野への検討、伸張センサを応用した心拍数・呼吸状態同時計測によるヘルスケア関連分野への検討など、他分野への応用検討を進めていきます。
工業材料・機能資材分野では、海外拠点と連携したアルコール消毒綿・特殊防護服など、環境衛生や生活分野の製品を上市し拡販しました。
以上、当事業に係る研究開発費は19億円です。
(ライフサイエンス)
バイオケミカル分野では、富山大学との共同研究でSARS-CoV-2に対する抗体の開発に取組みました。診断システムでは、全自動遺伝子解析装置をバージョンアップ(モデルC)すると共に、同装置の専用試薬としてSARS-CoV-2診断薬の開発に成功し、販売を開始しました。バイオ研究試薬では、核酸精製不要PCRの自社技術を生かし、唾液からSARS-CoV-2を直接測定可能な試薬の開発に成功し、販売を開始しました。
医療機器分野では、神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”が指尖部で神経再建の標準治療となり、患者様の治癒に貢献しました。さらに、新たな再生誘導材ある骨再生誘導材“ボナーク”の2021年度上市に向け、保険適用申請や量産準備等を進めています。
人工腎臓用中空糸膜では、透析患者に優しい製品のラインアップの充実に向けて開発を進めました。また、生産効率を引き上げるプロセスの開発に取り組みました。
以上、当事業に係る研究開発費は12億円です。
(全社共通)
全社共通の研究開発組織であるコーポレート研究所は、当社グループの将来を担う新製品・新技術の開発を行うだけでなく、各種分析・評価業務、コンピューターシミュレーションやAI(Artificial Intelligence)を用いた解析業務を通じて、研究開発全般を支援する全社研究インフラとしての機能も有しています。加えて、総合研究所長直下の組織として、DX推進室を設置し、MI技術を導入、展開しました。
当社の高分子重合技術や成形加工技術を駆使した耐熱性・寸法安定性に優れる新規ポリイミドフィルム“ゼノマックス”については、生産・販売会社「ゼノマックスジャパン株式会社」を事業部門に移管する一方、引き続き、コーポレート研究所において次世代品の開発を継続しています。
オープンイノベーション活動に関しては、新技術の調査および研究開発のスピードアップを図るため、ナショナルプロジェクトへの参画や国内外の企業、大学、研究機関との連携を積極的に進めています。さらに、世界トップレベルのベンチャーアクセラレーター「Plug and Play」とのパートナーシップ契約を、スマートシティープログラムに拡大し、よりソリューション志向を強めることとしました。また、当社として第3のベンチャーファンド投資として、「リアルテックファンド3号投資事業有限責任組合」へ参加し、当社のコア技術が応用できるスタートアップ企業とのオープンイノベーションをさらに推進し、これからの社会に役立つ製品開発を進めています。
以上、全社共通のコーポレート研究に係る研究開発費は31億円です。
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