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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100O9KU (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 第一生命ホールディングス株式会社 事業等のリスク (2022年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動



文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本書提出日現在において、当社及び当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
当社は、当社グループの経営に重要な影響を及ぼす可能性のある予見可能なリスクを「重要なリスク※1」として特定しております。当社グループの重要なリスクについては以下のとおりであります。





重要なリスクの特定に当たっては、環境変化等により発現する「エマージングリスク※2」を含めて、様々なリスクをグループ各社において網羅的に洗い出しております。各社で洗い出されたリスクについて、各社の企業規模やグループ内での波及等を考慮し、リスク管理所管においてグループベースでの影響度・発生見込み等を勘案の上、グループベースの重要なリスクを特定しております。また、これらのリスクを踏まえた事業計画を策定することで、リスク認識を踏まえたPDCAサイクルを推進し、予兆段階から適切にリスクの管理を実施しております。
※1 経営に重要な影響を及ぼす可能性のある予見可能なリスク
※2 環境変化等により、新たに現れてくることが想定されるリスク

当社は、これら「重要なリスク」の管理状況を定期的に経営会議、取締役会に報告しており、その状況を認識した上でリスクの発生の回避に向けた対応を推進するとともに、リスクが顕在化した場合には迅速かつ適切な対応に努めております。
なお、当社グループのリスク管理体制については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ④ リスク管理体制の整備状況」に記載のとおりであります。

以下に「重要なリスク」並びに投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられるその他のリスクを列挙しております。


当社グループにおいて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、グローバルに、かつ、幅広い分野にまで及びましたが、保険リスクについては、2021年3月期に米国を中心に保険関連収支の悪化がみられたものの、グループ全体での悪化は限定的な水準に止まっており、また、市場リスクについては、感染が拡大し始めた当初、一時的に株価下落やクレジットスプレッド拡大の影響を受けたものの、その後、市況は急回復しており、これまで当社グループの健全性や事業継続に係るリスクは顕在化しておりません。
また、更なる感染の拡大や影響の長期化に備え、保険収支や金融市場環境の悪化等、大きなストレスをかけたシナリオでストレス・テストを実施しており、具体的には、各国の新型コロナウイルスの感染状況等を参考に、国内では全人口の10%が感染し、致死率(死亡者数/感染者数)が10%以上となる等の想定を置き、今後、大きなストレスがかかった状況下でもグループ全体の健全性に大きな問題が生じないことを確認しております。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、営業面や事務面にも及びましたが、情報セキュリティ対策を講じながら、対面営業等のニーズ増大への対応やテレワーク環境の整備を進める等、事業環境の変化にも対応しております。




(1) 市場・信用・流動性に関するリスク
1) 国内外の金融市場・経済情勢の悪化に関するリスク
当社グループの業績は、国内外の経済状況や金融市場に大きく影響されるものであります。日本経済を取り巻く環境として、ロシアのウクライナ侵攻による地政学リスクの高まりや、米国等の金融引き締め加速への警戒感等から、世界経済の先行きには不透明感があります。世界的に経済や金融市場における先行き不透明感が強まった場合、金融資本市場は不安定さを増し、金融市場のパフォーマンスの悪化につながる可能性があります。深刻な金融不安が生じた場合には、主要な経済圏に多大な影響を及ぼす可能性もあります。
当社グループは、ストレス・テスト等によるリスク耐性の確認を定期的に実施しており、健全性が懸念される場合には速やかにリスク削減のアクションプランを講ずる等の態勢を構築しておりますが、こうしたリスクが現実となった場合、当社グループの保険商品への需要が低下する可能性や、個人保険の解約・失効率が上昇するおそれがある他、低金利や株価下落により資産運用収支の悪化等、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2021-23年度中期経営計画「Re-connect 2023」において、財務健全性の確保に向けて、経済価値ベースの資本充足率(以下、ESRという。)のターゲット水準を170~200%としておりますが、2022年3月末のESRは227%と200%を上回る水準を確保しております。
第一生命では、金利・株式等の市場関連リスクの削減に継続的に取り組んでおり、2022年3月期においても、国内における低金利環境の長期化を見越し、超長期債券の購入によるデュレーションの長期化等により金利リスクの削減を進めました。また、保有株式の計画的な売却を継続した他、高予定利率の保険契約を再保険会社へ戦略的に出再する等、金融市場変動の影響を受けにくい財務体質に向けた取組みを強化しており、2021年3月末に掲げた追加的な金利・株式リスクの削減目標(2024年3月期末までに2021年3月期末対比で20%相当削減)に対し、順調に進捗しております。




2) 株式投資に関するリスク
国内株式市場を含むグローバル金融市場は、世界的な経済・金融情勢により大きく変動いたします。経済危機及び主要経済大国における景気回復見通しの不透明感等に起因して株価が急落する場合、有価証券評価損・売却損の増加及び有価証券含み益・売却益の減少を通じて当社グループの資産運用収支、純資産及びソルベンシー・マージン比率やESR等の健全性指標等を著しく悪化させ、当社グループの財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、その他有価証券評価差額金は、当社グループの純資産と支払余力及びソルベンシー・マージン比率に影響を及ぼします。
株式市場の著しい低迷及び経済状況の悪化による保有株式の価値減少に係るリスクに備えるため、第一生命においては将来的な株価下落によるリスク顕在化に備え、株式の売却やデリバティブの活用を通じたリスク・コントロールを実施しておりますが、今後、国内外の経済状況及び株式市場が大きく悪化した場合には、当社グループに重大な損失をもたらし、当社グループの財務内容に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

3) 金利変動に関するリスク
当社グループでは、保険契約の引受けによって生じる負債に見合った運用資産を適切に管理するため、長期的な資産・負債間のバランスを考慮しながら安定的な収益の確保を図ることを目的として、資産・負債総合管理(Asset Liability Management。以下、「ALM」という。)を行っておりますが、金利の乱高下といった大幅な市場環境の変動等が起きた場合には、当社グループの財務内容及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、中長期金利が長期にわたり著しく低水準で推移した場合には、収益性の確保が困難になり、販売中止を余儀なくされる貯蓄性商品が今後も発生する可能性があります。
特に、第一生命ではALMの考え方に基づき保有債券のデュレーション(残存期間)を長期化させる努力をしておりますが、契約者に対して負う債務のデュレーションは未だ運用資産よりも長期であることから、このような負債と資産のデュレーションのアンマッチ(不一致)による金利変動リスクを有しております。金利の低下局面では、より低い金利水準を求めて期限前償還又は繰上返済される債券や貸付及び満期を迎えて償還される資産を再投資した際の運用利回りは従来より低くなるため、平均運用利回りは低下いたします。既契約の保険料が原則として変わらない一方、このような低い金利水準により資産運用ポートフォリオの利回りが低下することで、当初想定していた運用収益が確保できない、あるいは逆ざや(資産運用ポートフォリオの平均利回りが既契約の保険料率の設定に用いた予定利率を下回る状態)となる可能性があり、当社グループの収益性及び長期的な事業運営能力に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
逆に、金利が上昇する局面では、資産運用利回りが上昇することにより資産運用ポートフォリオの収益力を向上させることができる一方で、保険契約者がより高収益の資産運用手段を求めることにより保険契約の解約が増える可能性があります。更に、金利上昇時は債券等の価格が下落し、含み損益の悪化により純資産にマイナスの影響を及ぼします。当社グループは金利上昇リスクに対応し、会計上、一定のデュレーションマッチングを条件に簿価評価が可能な責任準備金対応債券を積極的に活用することにより、かかる影響を緩和しておりますが、金利が短期間で大幅に上昇した場合は当社グループの財務内容及び収益性に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、第一フロンティア生命においても、保険契約の引受けによって生じる負債に見合った運用資産を適切に管理するためALMを行っておりますが、2019年3月期以降販売を伸ばしている米ドル建並びに豪ドル建商品には市場価格調整(MVA)が付加されており、米金利及び豪金利の大幅かつ急速な低下に伴い、当社グループの財務内容及び収益性に重大な影響を及ぼす可能性があります。これについて、当社グループではグループ内に再保険会社を設立し、第一フロンティア生命における一部の保険契約について同再保険会社への出再を行うことで会計上の影響を緩和する等の対策を行っております。

4) 資産運用ポートフォリオに係るその他のリスク
安定的な資産運用収益の獲得は当社グループの事業運営にとって重要であるため、当社グループの資産運用ポートフォリオは、国内外の公社債及び株式以外にも、貸付金、不動産並びにオルタナティブ投資等幅広い資産区分に分散投資することでリスク抑制的な運営を行っておりますが、以下に掲げる様々なリスクを回避できない可能性があります。

a 為替リスク
当社グループの保有する有価証券には外貨建てのものも含まれております。外貨建ての有価証券とは、主に外国債券(外国の国債・政府機関債・社債等)、外国株式及び証券化商品でありますが、特別勘定において保有するもの及び外貨建商品に係る責任準備金に実質的に対応させて保有するものを除いて、外国為替相場の変動による時価の変動が当社グループの業績に実質的に影響を及ぼします。当社グループは、保有する外国債券の一定割合について外国為替相場の変動をヘッジしておりますが、著しい為替差損等が生じた場合、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

b 信用リスク
当社グループが保有する債券の発行体の信用力が信用格付けの引下げ等により低下し、債券の市場価格が下落する可能性及び保有する債券の発行体が元利金不払い等債務不履行に陥る可能性があります。その結果、有価証券評価損が発生したり、有価証券売却損益・含み損益が悪化することで、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが市場リスクをヘッジするために用いている金利スワップ、為替予約、株価指数先物等のデリバティブ取引についても、カウンターパーティー・リスク(デリバティブ取引等の相手方の信用リスク)を有しており、カウンターパーティーに債務不履行が生じた場合には、有価証券評価損及びその他損失の発生や、有価証券売却益及びその他利益の減少につながる可能性があり、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは貸付先の財務内容や信用力が悪化するリスクにさらされており、当該リスクは当社グループの貸付金ポートフォリオの信用コストを上昇させる可能性があります。即ち、当社グループは貸付先に関する評価・見積りに基づき貸倒引当金を計上しておりますが、国内外の経済状況の悪化や業種固有の問題等により債務不履行や信用力の低下が発生した場合には、実際に発生する損失が引当金を超過し又は引当金の増額が必要となり、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは国内のメガバンクに対して相当量のエクスポージャー(与信等の残高)を有しておりますが、それは主に劣後債であります。一般的に、これら劣後性証券の価値はシニア債券の価値に比べて、発行体である銀行の信用情報の変化に、より大きく影響を受ける傾向があります。そのため、国内の銀行の信用状況や財務内容が悪化した場合には、有価証券評価損、引当金の増額及びその他損失の発生又は有価証券売却益及びその他利益の減少につながる可能性があり、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

c 不動産投資に関するリスク
当社グループは、営業・投資を目的とする不動産を保有しております。景気低迷により、不動産価格や賃貸料の下落及び空室率の上昇等が生じた場合には、当社グループの不動産関連収益は減少し、結果として、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

5) 資産流動性に関するリスク
当社グループが提供する多くの商品は、契約者が積立金の一部を引き出すこと及び契約を解約し解約返戻金を受け取ることを認めております。
当社グループは、今後予想される積立金の引出しや解約の請求、保険金・給付金等の支払い及び金融機関等とのデリバティブ契約に関する担保の差入れ要請に対応するために十分な流動性を提供し維持できるよう、負債の管理と資産運用ポートフォリオの構築をしており、また、流動性を高めるために当座借越契約を締結しております。一方で、不動産、貸付金及び私募債等の一部の資産は一般的に流動性に乏しいものであります。当社グループが、例えば、不測の引出しや解約、感染症の大流行等の大規模災害により、急遽、多額の現金の支払いを求められる場合、当社グループの流動資産及び当座借越が無くなり、その他の資産も不利な条件で処分することを強いられる可能性があります。更に、金融市場における混乱は、当社グループが有利な条件で資産を処分できない又は全く処分できないといった、流動性における危機をもたらす可能性があります。当社グループが不利な条件での資産の処分を強いられる又は資産を処分できない場合には、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 保険引受に関するリスク
1) 保険商品の料率設定及び責任準備金の積立ての前提が変動するリスク
当社グループの収益は、当社商品の料率設定及び責任準備金額の決定に用いる計算基礎率が保険金・給付金等の支払い実績とどの程度一致するか等に大きく影響されます。計算基礎率には、将来の死亡率(予定死亡率)、資産運用収益率(予定利率)、事業費率(予定事業費率)を含みます。計算基礎率よりも実際の死亡率が高かった場合、資産運用収益が低かった場合、事業費がかかり過ぎた場合には、当社グループの財務内容及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、標準生命表や標準利率の改定は計算基礎率の設定に影響し、結果として会社の財務内容及び業績にも影響を及ぼし得ます。近年、当社グループが販売に力を入れている「第三分野」の保険商品(医療保険、がん保険、介護保険等)の料率設定の計算基礎率は、伝統的な死亡リスクを保障する生命保険商品の計算基礎率に比べて限定的な経験に基づくことが多く、相対的に高い不確実性を内包しております。
当社グループは、保有契約の責任準備金について定期的に計算を行い、責任準備金の変動分を費用又は収益として計上しております。保険金・給付金等の支払い実績が当初の計算基礎率より多額となる等により責任準備金の積立不足が顕在化した場合、又は環境の変化によって当社グループの責任準備金の計算基礎率を変更せざるを得ない場合においては、当社グループは責任準備金の積増しを行うことが必要となる可能性があります。このような積増しが多額である場合には、当社グループの財務内容及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが販売している円貨建及び外貨建定額商品等の中には、市場価格調整(MVA)を設定するものがあり、国内外の市場金利の低下局面においては責任準備金の積増し、上昇局面においては責任準備金の取崩しが必要となることから、会計上の一時的な変動要因となる可能性があります。更に、当社グループで販売している変額年金保険の中には、最低給付の保証を特徴とするものがあります。この保証型商品については、責任準備金に不足があれば積増しを行う必要があり、結果として費用が増加する可能性があります。当社グループは、ダイナミックヘッジ(価格変動リスクをヘッジする手法の一つ)の活用や再保険契約の締結等によって最低給付保証に係るリスクのヘッジに努めておりますが、こうした取組みが成功するとは限らず、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

2)医療技術の進展に関するリスク
近年、人口構成や疾病構造の変化により、医療はその対象を疾患治療そのものだけでなく疾患罹患予測や予防へと大きくシフトさせています。また、医療者だけでなくバイオテクノロジー、製薬、ヘルスケアなどさまざまな健康関連事業者が医療分野に参入し、疾病と健康の境界があいまいになってきております。これらの変化は疾患の早期診断や早期治療を可能にしましたが、更なる技術開発が進んだ場合、将来の疾患リスクが把握できることにより、リスクの高いお客さまが積極的に高額の保険に加入する逆選択加入のリスクが増加し、また従来であれば発見されなかった疾病が発見されることや、疾患基準の拡大等により、保険金等の支払いが大幅に増加する可能性があります。
当社グループでは、新たに開発する保険商品、保有契約の保障内容を踏まえ、これらのリスクに備えて、医療技術全般に関し、その動向を調査し、数年後を見据えた技術の精度や普及度を評価することで、生命保険の引受け、支払いに与える影響等を分析しております。
また、医療技術の進展に伴い、保険会社にとってはリスクを細分化した保険引受が可能になりますが、個人のヘルスデータの利活用の権限やその範囲は一般に定められたものはなく、お客さまの期待を超えて保険引受に活用した場合には、当社グループの信用が著しく失墜し、損失を被る可能性があります。

3)再保険取引に関するリスク
当社グループは、責任準備金の積立てにかかるリスクの軽減や金利リスク削減等のため、再保険契約を活用しております。しかし、再保険取引は、将来適切な条件で締結できない又は再保険の締結自体ができないリスクがあるとともに、カウンターパーティー・リスクにさらされており、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) オペレーショナル・テクノロジー・サイバーに関するリスク
1) サイバー攻撃・システム障害に関するリスク
当社グループでは、グローバルに展開するグループ経営を安定的に支え、世界各国のお客さまへの持続的な価値提供を実現するために、「グループITガバナンス基本方針」を制定し、COBIT5(※3)を採用したグループITガバナンスの態勢整備を推進しております。
また、ITガバナンスの推進をベースに、国内外のグループ保険事業会社のIT責任者を交えた定期的なカンファレンス開催による継続的な情報共有、及び各社の課題意識に沿ったグループ会社間の協働取組を推進することで、グループシナジーを創出して、グローバル経営に貢献するIT活用を目指しています。
しかしながら、当社グループの事業運営は、外部の業務委託先によるものを含め、情報システムに大きく依存しております。当社グループは、これらのシステムに依拠して、保険契約の管理、資産運用、統計データ及び当社グループのお客さまの個人情報の記録・保存並びにその他の事業を運営しております。当社グループが事業運営や商品ラインアップを拡大するにつれて、情報システムへの多額の追加投資が必要となる可能性があります。その結果として、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、事故、火事、自然災害、停電、アクセス集中、人為的ミス、妨害行為、ハッキング、従業員の不正、ソフトウェアやハードウェアのバグや異常、ウィルス感染やネットワークへの侵入を原因とするインターネット全般への悪影響又は設備、ソフトウェア、ネットワークの障害等の要因により、当社グループの情報システムが機能しなくなる可能性があります。このような障害は、当社グループがお客さまに提供するサービス、保険金・給付金等の支払いや保険料の集金、資産運用業務等を中断させる可能性があります。また、当社グループのレピュテーションの低下、お客さまの不満やお客さまからの信頼の低下等のその他の深刻な事態をもたらす可能性があり、また、既契約の解約の増加、新契約販売の減少、行政処分につながるおそれもあります。その結果として、当社グループの事業展開及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
※3 COBIT5:米国の情報システムコントロール協会・ITガバナンス協会の提唱するITガバナンスの成熟度を測るフレームワーク

2) 情報漏洩に関するリスク
当社グループは、外部の業務委託先によって提供されるものを含め、オンラインサービスや集中データ処理を広く利用しており、機密情報・個人情報を厳格に管理することは当社グループの事業において重要であります。個人情報を紛失したり、ご本人の同意なく情報が開示されてしまうことが、全くないとは限らず、当社グループ、外部の業務委託先及び当社の戦略的提携先の情報システム等から情報が漏洩しないとも限りません。当社グループ及びその従業員が個人情報を紛失した場合若しくはご本人の同意なく開示した場合又は第三者が当社グループ、提携先又は外部の業務委託先のネットワークに侵入して当社グループの個人情報を不正利用した場合には、当社グループが損害賠償を請求され、その結果として、当社グループのレピュテーションを大きく低下させ、当社グループの財務内容及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 法令違反・コンダクト・企業文化に関するリスク
1) ステークホルダーの不正により損害を被るリスク
当社グループは、従業員や販売代理店、外部の業務委託先及びお客さまといったステークホルダーによる詐欺その他の不正による潜在的な損失にさらされております。当社グループが擁する営業職及び販売代理店は、お客さまとの対話を通じて、お客さまの個人情報(家計情報を含みます。)を熟知しており、一部の業務委託先もお客さまの個人情報を了知しているため、当該個人情報を用いて不正が行われる可能性があります。不正としては、違法な販売手法、詐欺、なりすましその他個人情報の不適切な利用等があり得ます。
保険契約の詐欺的な使用や、保険契約時のなりすまし等、お客さまも詐欺的な行為をすることがあります。また、反社会的勢力であることを秘して当社グループと取引を行う者もいます。当社グループは、このような詐欺的行為を防ぎ、見破るための対策をとっておりますが、当社グループの取組みがこれらの詐欺、違法行為又は反社会的勢力との取引を排除できない可能性があります。
従業員、代理店、取引先及びお客さまがこれらの不正を行った場合、当社グループのレピュテーションが大幅に低下し、当社グループは重大な法的な責任を問われるとともに、行政処分につながるおそれがあります。それらの結果として、当社グループの事業展開及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
第一生命では、2021年3月期及び2022年3月期において、元従業員による金銭の不正取得事案が複数明らかとなりました。
これを受け、第一生命では、個人保険・個人年金保険のお客さまを網羅的に対象として、金銭の不正取得等の被害を受けていないかどうかの確認を実施するとともに、第一生命の商品の取扱いにおいて、同社の従業員がお客さまから直接金銭を授受することを禁止する事務手続の構築等を含めて、金銭に係る不正行為の撲滅に向けた体制の整備・充実を早期に実施する等の対応を進めております。
第一生命では、こうした事案の発生を受け、徹底した意識改革に集中的に取り組み、これに応じた営業方針の見直しを進めておりますが、今後、伏在調査等を通じ他の不正事案が判明する等の場合には、第一生命並びに当社グループの社会的信用が更に毀損されることになり、業務運営に影響を及ぼす可能性があるほか、追加的な営業方針の見直し等が必要となる場合が考えられ、その場合、当社グループの事業運営、業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(5) パンデミック・大規模災害等に関するリスク
1) 大規模災害等に関するリスク
当社グループは、東京等の人口密集地域又は広範囲な地域を襲う地震・津波・テロ・紛争・戦乱等の大規模災害を原因として大量の死者が出た場合に、保険給付に関する予測不可能な債務を負うリスクにさらされております。当社グループは、業界慣行や会計基準に従って危険準備金を維持しておりますが、こうした準備金が実際の保険給付債務をカバーするのに適切な水準にあるとは限らず、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、物理的な被害その他のこうした大規模災害の影響により、当社グループの業務運営に重大な支障を来す可能性があります。
更に、当社グループが主に事業を展開する日本国内の業務及び情報システム等は、外部の業務委託先及び取引先と同様に首都圏に集中しているため、首都圏に被害を及ぼす地震等の災害によって当社グループの事業運営が著しい混乱に陥る可能性があります。地震等の災害が発生した場合には、当社グループ、外部の業務委託先及び取引先が直ちに業務を再開できるとは限らず、その結果として当社グループの事業展開及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは首都圏における大規模災害の発生に備えて、データセンターについて首都圏外に移管するなど、当該リスクにおける影響を緩和する対策を進めております。

2) パンデミックに関するリスク
新型コロナウイルスや、鳥インフルエンザ・新型インフルエンザのような感染症の大流行を原因として大量の死者が出た場合に、保険給付に関する予測不可能な債務を負うリスクにさらされております。当社グループは、業界慣行や会計基準に従って危険準備金を維持・積み増ししている他、ストレス・テスト等によるリスク耐性確認を定期的に実施しておりますが、感染の世界的な拡大や金融市場の混乱といったストレス・シナリオの想定を大幅に超える事態が発生した場合等においては、こうした準備金が実際の保険給付債務をカバーするのに適切な水準にあるとは限らず、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

3) 気候変動に関するリスク
2016年のパリ協定発効により、環境問題とりわけ気候変動への対応は国際社会全体で取り組む課題であるとの認識が高まっております。グローバルに生命保険事業及びアセットマネジメント事業を展開する当社グループにとっても、気候変動はお客さまの生命や健康、企業活動、社会の持続可能性等に大きな影響を与えうる重要な経営課題と認識しております。
こうした認識の下、当社グループは、気候変動が及ぼすリスクと機会の評価によって経営のレジリエンス(強靭性)を強化するとともに、その状況の開示によるステークホルダーとの健全な対話を通じた企業価値の向上を図るために、2018年9月にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言への賛同を表明いたしました。また、2021年3月期は、第一生命で、本邦初となる「ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス (※4)」への加盟を通じて、2050年までの運用ポートフォリオの温室効果ガス排出量実質ゼロを表明し、「RE100(Renewable Energy 100%)(※5)」については2024年3月期までの達成に加え、特に投資用不動産については2022年3月期中の100%再生可能エネルギー化を目指す方針を決定いたしました。このうち投資用不動産については、2022年3月期に達成しております。
その一方で、気候変動の物理的リスクと移行リスク(政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク)は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。物理的リスクとしては、温暖化に伴う熱中症や感染症の増加による保険金・給付金支払額の増加、台風等による水害発生の増加に伴う保険金・給付金支払額の増加等が想定されます。また、移行リスクとしては、炭素税導入、市場・社会環境変化による資産の毀損、新技術開発、消費者行動の変化への対応等の環境変化への対応が不十分な企業への投融資価値の低下等が想定されます。
※4 パリ協定での目標(気温上昇を1.5℃未満に抑える)達成を目的に、2050年までの運用ポートフォリオのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)にコミットするアセットオーナーのイニシアティブ
※5 事業で使用する電力の再生可能エネルギー100%化にコミットする協働イニシアティブ

(6) その他のリスク
1) 法規制に関するリスク
a 当局の監督権限に関するリスク
当社及び当社グループの国内生命保険会社は、保険業法及び関連業規制の下、金融庁による包括的な規制等の広範な監督下にあります。また、当社グループの海外生命保険会社は、それぞれが事業を行う国や州等の法令や規制等の影響を受けます。
例えば、日本の保険業法は、保険会社が行える事業の種類ごとに規制を設けるとともに、保険会社に一定の準備金や最低限のソルベンシー・マージン比率を維持させることとしております。保険業法は、内閣総理大臣に対して、免許取消しや業務停止、報告徴求、会計記録等に関する厳格な立入り検査の実施等、保険業に係る広範な監督権限を与えております。また、保険業法その他の法令等のうち特に重要なものに違反した場合等には、内閣総理大臣は保険会社の免許を取り消すことができます。また、保険会社の財産の状況が著しく悪化し、保険業を継続することが保険契約者等の保護の見地から適当でないと認められる場合にも、内閣総理大臣は保険会社の免許を取り消すことができます。
このように、仮に、監督当局によって当社グループの生命保険会社の免許が取り消されることになれば、その会社は事業活動を継続できなくなり、当社グループの業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

b ソルベンシー・マージン比率等の規制に関するリスク
現在、当社及び当社グループの国内生命保険会社は、保険業法及び関連業規制に基づき、自己資本の充実度合いを計る基準であるソルベンシー・マージン比率を200%超に維持するよう要求されております。また、当社グループの海外生命保険会社についても、各国の規制等により財務健全性を一定水準に保つことが求められております。
例えば、国内生命保険会社がソルベンシー・マージン比率やその他の財務健全性指標を適切なレベルに維持できない場合には、内閣総理大臣はその生命保険会社に対して早期是正措置を命じることができます。具体的には、生命保険会社のソルベンシー・マージン比率が200%を下回った場合に、その状況に応じて内閣総理大臣の是正措置命令が発動されることで、保険会社に対して早期に経営改善への取組みを促す制度であり、ソルベンシー・マージン比率の水準等に応じて、措置内容が定められております。また、実質純資産額(※6)がマイナス又はマイナスと見込まれる場合にも、内閣総理大臣から業務の全部又は一部の停止を命じられる可能性があります。このような早期是正措置により、当社グループの事業展開及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

c 国際的な規制に関するリスク
保険監督者国際機構(以下、「IAIS」という。)は、国際的に活動する保険会社グループ(以下、「IAIG」という。) を対象とした共通の監督の枠組みであるコムフレームを開発しており、2019年11月に採択されております。当社は、IAISが定めるIAIGの定量基準を満たしており、金融庁よりIAIGに選定されております。特に、コムフレームの一部である、経済価値に基づく新たな国際資本基準であるICSについては、現在の規制とは大きく異なることが予想され、金融庁によってICSに準拠した規制が導入された場合又はICSに関連し、その他の基準改正がなされた場合には、これらの改正によって生じる制約が、当社グループの事業展開及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、金融安定理事会は、毎年グローバルなシステム上重要な保険会社(以下、「G-SIIs」という。)を選定し、G-SIIsに対する監督の強化を含む、一連の政策措置を導入しておりましたが、2019年11月にIAISにより採択された「保険セクターのシステミックリスクに対する包括的な枠組み」(以下、「包括的な枠組み」という。)を踏まえて2017年以降選定を凍結しております。今後は、包括的枠組みの各国における実施状況に基づき、2022年11月にG-SIIs選定の存続要否を再検討することとしております。仮に当社がG-SIIsに選定された場合には、当社グループの事業展開及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
包括的な枠組みは、G-SIIs選定のように個社のリスクを捉えるだけではなく、複数の保険会社が一斉に同じような行動を起こす場合に発生しうるリスクを捉えようとする活動ベースの手法を中心的な要素とするものであり、予防的な監督上の政策措置や監督当局による介入権限を含めるものです。金融庁によって本規制が導入された場合又は本規制導入に関連し、その他の基準改正がなされた場合には、これらの改正によって生じる制約が、当社グループの事業展開及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
※6 実質純資産額とは、貸借対照表の資産を基礎として計算した額(有価証券・不動産等について一定の時価評価を行ったもの)から負債の部に計上されるべき金額を基礎として計算した額(負債の額から価格変動準備金・危険準備金等の額を差し引いた額)を控除した金額をいい、内閣総理大臣による早期是正措置において、実質的な債務超過の判定基準として用いられる額であります。

2) 法改正に伴うリスク
日本及び当社グループが事業を営む海外各国において、法規制の改正及びその執行に関する政府方針の変更、当社グループ及び生命保険各社に対する規制措置並びに当社グループが取扱う商品ラインナップの拡大等に関連する規制動向は、当社グループの保険商品の販売に影響を及ぼし、コンプライアンス・リスクを高めるとともに、コンプライアンスの強化・改善のための追加支出や競争の激化をもたらし、当社グループの事業、財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業には、多数の営業職及び販売代理店が関与しており、将来において規制の改正がなされた場合、適時にこれに適合した態勢をとることができるとは限りません。
また、日本の現行の所得税法は、当社グループが提供する大部分の保険商品の払込保険料の全部又は一部について所得控除を認めております。同様に、法人又は中小企業の契約者は、一定の条件の下で、定期保険や年金商品のような特定の保険商品につき、保険料の全部又は一部を経費として損金算入することが認められております。こうした当社グループの保険商品の保険料に対する税務上の取扱いに影響を及ぼす税制改正は、当社グループの新契約販売数、ひいては業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

3) 保険販売が個人向け生命保険商品に集中しているリスク
当社グループの国内生命保険会社の保険料収入においては、個人向け生命保険契約によるものの占有率が高く、個人向け生命保険商品の販売においては、以下に掲げるものを含む様々な要因が影響を及ぼしております。
・国内の雇用水準及び家計所得水準
・貯蓄の代替商品及び投資商品の相対的な魅力
・保険会社の財務健全性、信頼性及びレピュテーションに対する一般的な認識
・出生率の動向及び高齢化といった日本の人口構成に影響を及ぼす長期的な人口動態
・販売チャネルや商品に対するお客さまのニーズ
このような要因の変化等は、当社グループの個人向け生命保険商品における新契約販売の減少又は既契約の解約・失効の増加をもたらし、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの国内生命保険事業では個人向け生命保険商品の販売チャネルの多様化・複線化を進めているものの、現時点では、大部分を営業職チャネルや銀行等の金融機関に依存しております。今後、新たなチャネルが規制や環境の変化等により、既存のチャネルに取って代わる程の規模に成長した場合や、営業職の採用環境が熾烈化し、想定の採用数を確保できずに営業職在籍数が大幅に減少する場合等には、当社グループは現在の競争力・収益性と市場シェアの維持という点において課題に直面し、結果として、当社グループの事業展開及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

4) 銀行等のチャネルでの販売に関するリスク
当社グループは、銀行や証券会社といった販売チャネル向けの年金商品等の開発・販売を専門とする第一フロンティア生命を子会社として設立し、2007年10月より販売を開始しております。変額年金保険等において、国内景気の停滞、資産運用パフォーマンスの不振による需要の減少及び金融機関間の競争激化等の厳しい事業環境により、同社の販売が低迷する可能性があります。また、第一フロンティア生命は、最低給付保証(変額年金商品の中にはかかる保証が付されているものがあります。)に係るリスクへのエクスポージャー(リスク量)を管理するため、特定の金融機関代理店を通じて販売する変額年金商品の販売抑制を実施する場合があります。
当社グループは、販売代理店数を増やし、また、円建定額保険、外貨建定額保険等、商品ラインアップの多様化を図っておりますが、このような事業環境において当社グループが競争力を確保し、又は販売を拡大して目標となる収益性を達成できるとは限りません。更に、販売代理店である銀行・証券会社等の金融機関と当社の営業職との間の競争が将来激化する可能性があります。これらの結果、当社グループの事業展開、財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

5) 新市場等における取組みが成功しないリスク
近年、お客さまニーズが多様化する中、銀行窓口において、貯蓄性保険に加えて保障性保険の販売が拡大し、また銀行・来店型保険ショップ等において、商品を自ら比較検討したいというご意向を持つお客さまが増加しております。
そこで、当社グループはネオファースト生命を通じて、こうしたお客さまに対し、銀行窓口、来店型保険ショップ等のチャネルを通じて、医療保険等の第三分野を中心に、商品性がわかりやすく、手続きが簡便な、新しい商品とサービスを提供しております。
当社グループは、競争環境に合わせた戦略立案・商品提供を行っておりますが、競争戦略が想定どおりに実現できなかったり、競合他社から類似商品が販売されたりすることで、販売件数が想定に満たない場合が考えられます。また、代理店に対する保険会社間の手数料競争が激化することで、手数料率が高水準となり事業費が増加する場合が考えられます。それらの結果、新市場における取組みが収益性を確保するまでに、想定以上の期間が必要となる可能性があります。

6) 日本の人口動態に関するリスク
日本の合計特殊出生率は、1975年頃から長期に低下傾向にありました。2005年以降反転上昇したものの、近年は減少傾向が続いており、足元の水準は日本の人口置換水準からは遠い状況にあります。当社はこうした人口動態を踏まえた商品の開発や営業戦略の策定を行っておりますが、今後、更に人口が減少し、生命保険に対する需要が減少することになれば、当社グループの生命保険事業の規模が縮小し、財務内容及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

7)競争状況に関するリスク
当社グループの国内生命保険会社は、日本の生命保険市場において、国内生命保険会社、外資系生命保険会社、保険子会社を保有している又は大手保険会社と業務提携している国内の大手金融機関との激しい競争に直面しております。特に、規制緩和、死亡保障性の保険商品に対する需要の低下及び外資系生命保険会社との競争の激化等により、日本の生命保険市場における競争環境は熾烈化しております。競合他社の中には、卓越した金融資産や財務力格付け、高いブランド認知度、大規模な営業・販売ネットワーク、競争力のある料率設定、巨大な顧客基盤、高額な契約者配当、広範囲に亘る商品・サービス等において、当社グループより優位に立っている企業もあります。加えて、近年は、商品開発やお客さまサービスへのビッグデータ等の活用が積極化されており、当社グループのICT活用が他社に劣後した場合には、新契約の獲得・既契約サポートが思うように進まず、将来利益を逸失するリスクがあります。
また、株式会社かんぽ生命保険は、巨大な顧客基盤や全国的な郵便局のネットワークの活用、日本郵政株式会社を通じた間接的な一部政府出資の存在等から、日本の保険市場における競争優位性を保持しております。当該競争優位性を保持したまま、株式会社かんぽ生命保険の業務範囲の拡大(保険金額の上限見直しや販売できる保険契約の種類拡大等)が進められた場合、当社グループの国内生命保険会社の競争力が相対的に低下する可能性があります。なお、2016年3月29日、当社は株式会社かんぽ生命保険との間で業務提携に係る基本合意に至りました。この基本合意は、両社の強みを相互補完・融合することで事業基盤を強化し、持続的な企業価値の向上を実現すること等を目的としております。加えて、当社グループは、全国共済農業協同組合連合会、全国労働者共済生活協同組合連合会、日本生活協同組合連合会のような、競合する保険商品を提供している各種協同組合との競争にも直面しております。
また、各種の規制撤廃策は日本の生命保険業界における競争の激化をもたらしました。例えば、1998年から2007年の間に制定された数多くの規制緩和のための法改正によって、証券会社や銀行で保険商品が販売できるようになりました。当社グループは規制緩和により激化した競争環境について、更に激しさを増していくと考えております。更に、来店型保険ショップやインターネット等を主要な販売チャネルとして活用する保険会社の新規参入によって、価格競争が激化する可能性もあります。その他、日本の金融業界における新たな再編が生命保険商品の販売における競争環境に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループはそれぞれの海外市場において現地保険会社との競争に直面しております。
当社グループが競争力を維持できない場合には、このような競争圧力等により当社グループの新契約販売が減少するとともに既契約の解約が増加し、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

8)訴訟リスク
当社グループのうち保険事業を営む会社は、恒常的に、保険事業に関連した訴訟を抱えております。現在及び将来の訴訟の結果について予想することはできませんが、その結果によっては、当社グループに多額の損害賠償責任が発生する可能性があります。当社グループでは、「グループコンプライアンス規程」の制定、グループコンプライアンス委員会の設置及び同委員会におけるグループ会社のコンプライアンス推進状況のモニタリング等を通じて可能な限り訴訟を受ける可能性を排除するための体制を整備しております。多大な法的責任が課された場合や訴訟への対応に多大なコストがかかった場合、当社グループのレピュテーションが低下し、また当社グループの事業、財務内容、業績及びキャッシュ・フローに重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

9) 風評リスク
当社グループは、不適切な事象の発覚等に端を発して、社名が報道・公表された場合に、当社グループの信用が著しく失墜し、損失を被る可能性があります。
当社グループは、プレスリリース及び適時情報開示等により信頼の維持・向上を図り、リスク顕在化の未然防止に努めておりますが、メディアにより事実とは異なる情報が流布された場合にも、保険契約者や市場関係者等が当社グループについて報道された情報に基づき理解・認識する可能性があり、それにより当社グループのレピュテーションが低下し、当社グループの事業展開及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

10) M&Aが想定どおりのメリットをもたらさないリスク
当社グループは、株式会社化以来、M&Aを成長戦略の一環と位置づけており、今後もその機会を追求してまいります。しかし、将来のM&Aについては、そもそも適切な買収対象があるとは限らず、また、適切な買収対象があった場合にも、当社にとって受入れ可能な条件で合意に達することができない可能性があり、この他、買収資金を調達できない可能性、必要な許認可が取得できない可能性、法令その他の理由による制約が存在する可能性があり、買収を実行できる保証はありません。また、買収実行後に買収対象企業の価値が低迷した場合には、減損処理が必要となる可能性もあります。当社グループは、近年、適切な買収対象の選定、M&Aの実行及び被買収事業の当社グループへの統合等につき経験を積み重ねておりますが、将来的なM&Aの成功は、以下のような様々な要因に左右されます。
・買収した事業の運営・商品・サービス・人財を当社の既存の事業運営・企業文化と統合させる能力
・当社グループの既存のリスク管理、内部統制及び報告に係る体制・手続きを被買収企業・事業に展開する能力
・被買収事業の商品・サービスが、当社の既存事業分野を補完する度合い
・被買収事業の商品・サービスに対する継続的な需要
・目標とする費用対効果を実現する能力
また、当社連結子会社であるProtective Life Corporationが行う保険ブロック買収事業(他の保険会社から保険契約を買取り、必要に応じて契約内容を変更し、義務を履行する業務)が、想定どおりの収益性を確保できない可能性があります。
これらの結果、M&Aが想定どおりのメリットをもたらさなかった場合、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

11) 海外事業の拡大に関連するリスク
近年、当社グループは、日本以外の収益基盤を確保するために、海外において保険事業を積極的に展開しております。特に、海外保険事業では、ベトナム、オーストラリア及び米国における保険会社の買収、インド、タイ及びインドネシアにおける保険会社への出資、カンボジア、ミャンマーにおける保険会社の設立等を行っております。また、展開地域の拡大に伴い、北米及びアジアパシフィック地域に、地域統括会社を設立し、経営管理・支援体制の強化を図っております。当社グループは、進出各国における保険事業のバリューアップに努めておりますが、生命保険商品の普及率が当社の予想水準、あるいは成熟市場の水準まで向上するとは限らず、その結果、当社グループの事業展開、財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、海外への展開においては、以下を含む様々なリスクにさらされております。
・政情や治安の不安
・外国為替相場の変動
・不利益な税制の導入・改正
・法令や規制の予期せぬ変更
・お客さまニーズ、市場環境及び現地の規制に関する理解不足
・人財の採用・雇用及び国際的事業管理の難しさ
・新たな多国籍企業との競争
海外事業の拡大に取り組む中で、上記のような事業展開に関連する様々なリスクが顕在化し、想定した事業展開を行うことができない可能性があり、ミャンマーにおいては、2021年2月からの同国国内情勢に鑑み、営業活動を停止・限定的とする等の対応を行いました。また、海外企業への投資に関連して減損が生じる可能性や、当社グループの目標を達成できない市場から撤退する可能性があります。これらの結果、当社グループの事業展開、財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

12) 従業員の雇用等に関するリスク
当社グループの主たる保険会社である第一生命の事業は優秀な営業職を雇用・教育・維持できるかということに大いに左右されますが、優秀な営業職を確保するための競争が激化しております。営業職による保険販売は同社保険料収入の大部分を占めており、その中でも生産性の高い営業職による保険販売は、個人向けの保険商品の販売において非常に高い割合を占めております。営業職の平均的な離職率は同社の営業職以外の従業員に比べて著しく高く、生産性の高い営業職を維持し又は採用し続けるための努力が実を結ぶとは限りません。また、当社グループの資産運用部門や保険数理部門の従業員も高度な専門性を求められるため、優秀な人財を確保、教育・維持するためには特別な努力が必要となります。当社グループが優秀な従業員を確保、教育・維持できない場合や、これらの事由により想定している販売計画を大幅に下回る場合には、当社グループの事業展開及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

(7)「重要なリスク」以外の主なリスク
1)当社グループの格付けの引下げ等に伴うリスク
当社グループの財務健全性が実際に悪化した又は悪化したと判断された場合、保険契約の解約・払戻しの増加、新契約販売の減少、費用の増加、当社グループの資産運用・資金調達・資本増強策に関連するその他の問題という形で、当社グループの事業展開、財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの悪影響は、保険業界全体における格付けの引下げの可能性、否定的なメディア報道や風評、業績悪化のみならず、実際の当社グループ会社の格付けの引下げやソルベンシー・マージン比率等の健全性指標の大幅な悪化によって生じる可能性があります。また、特に他の生命保険会社と比較して、当社グループの健全性指標が大幅に悪化した場合には、当社グループの事業展開、財務内容及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの財務健全性が実際に悪化した又は悪化したと判断された場合に加え、当社グループが資金調達を行おうとする資本市場・信用市場が悪化した場合等にも、当社グループにとって有利な条件で資本増強ができない又は資本増強そのものができないおそれがあり、結果として、当社グループの事業展開、財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

2)提携先との関係及び提携先の業績に係るリスク
当社グループは、販売チャネル及び商品ラインアップの拡大のために、損害保険ジャパン株式会社、アフラック生命保険株式会社、株式会社みずほフィナンシャルグループ、株式会社りそなホールディングス及び株式会社かんぽ生命保険といった生命保険業界内外の企業と業務提携を行っております。これらの提携関係は、第三分野商品や年金商品等の販売の拡大や、事業基盤の強化を通して、持続的な企業価値の向上を実現すること等を目的としております。また、当社の関連会社で、国内最大級の年金資産運用会社であるアセットマネジメントOne株式会社は、株式会社みずほフィナンシャルグループと当社が出資している合弁会社であります。これらの戦略的提携先が、財務面等事業上の問題に直面した場合、業界再編等によって戦略的志向を変更した場合又は当社が魅力的な提携相手でなくなったと判断した場合には、当社グループとの業務提携を望まなくなる又は当該提携が解消される可能性があります。当社グループが業務提携を継続できない場合には、当社グループの事業展開及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。


3) リスク管理に係るリスク
当社グループのリスク管理の方針・手続きは、保険引受リスク、資産運用リスク、流動性リスク、事務リスク、システムリスクを含む幅広いリスクへの対応を想定したものとなっております。当社グループのリスク・エクスポージャーの管理手法の多くは、過去の市場動向や歴史的データによる統計値に基づいております。これらの手法は将来の損失を予測できるとは限らず、将来の損失は過去実績によって示される予想損失を大幅に上回る可能性もあります。その他のリスク管理手法は、ある程度、市場やお客さま等に関する一般的に入手可能な情報に対する当社の評価に依拠しておりますが、それらの情報は常に正確、完全、最新であるとは限らず、また適切に評価されているとは限りません。更に、当社グループのリスク管理手続きにおいては、多数のグループ会社等の情報源から収集した情報を統合する過程で誤りが生じる可能性もあります。一般的に、これらのリスク管理方針・手続きにおける誤りや有効性の欠如は、当社グループの財務内容及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、事務リスクの管理においては、膨大な取引や事象を適切に記録し検証するための方針・手続きが必要となりますが、当社の方針・手続き自体が必ずしも有効であるとは限りません。従業員、提携先又は外部委託先による事務手続き上の過失は、当社グループのレピュテーション上又は財務上の損害をもたらす可能性があるとともに、行政処分につながるおそれもあり、これらの結果として、当社グループの財務内容及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

4) 退職給付費用の増加に関するリスク
当社グループは、年金資産の時価の増減、年金資産における収益率の低下又は退職給付債務見込額の計算基礎率及び資産運用利回りの変化により、当社グループの退職給付制度に関する追加費用を計上する可能性があります。また、当社グループには、将来、当社グループの退職給付制度の変更に伴う未認識の過去勤務費用の負担が生じる可能性があります。その結果として、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

5) 契約者配当の配当準備金に係るリスク
当社の連結損益計算書上の契約者配当準備金は費用として扱われ、これにより会計年度における純利益が減少いたします。契約者配当準備金は、第一生命に係るものでありますが、同社は契約者配当準備金の決定について裁量を有しており、契約者配当準備金の積立額の水準については、同社商品の競争力、業績、ソルベンシー・マージン比率等の様々な要素を考慮して判断する必要があります。その結果として、同社が現行水準を超える契約者配当準備金の積立てを行い、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

6) のれんの減損に係るリスク
当社グループは、他の企業又は事業を取得した場合、その取得に要した費用(取得原価)が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を上回る場合には、その超過額をのれんとして認識しており、連結貸借対照表上、のれん又は有価証券に計上しております。
当社グループは、毎期のれんの減損テストを実施しており、のれんを含む資産グループから得られるキャッシュ・フロー等が継続してマイナスの場合、のれんを含む資産グループの回収可能額が著しく低下した場合、のれんを含む資産グループの経営環境が著しく悪化した場合等には、のれんの減損損失を認識する可能性があります。

7) 責任準備金の計算に係る会計基準の変更に関するリスク
責任準備金の積み増しを求める基準変更が行われた場合には、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、国際会計基準審議会は、保険負債の現在価値評価を含む、保険契約に係る新会計基準を公表しております。保険負債の現在価値評価が導入された場合、当社グループは、その時々の金利水準等の計算要素を考慮した保険負債の現在価値に基づいて責任準備金を計算していく必要があります。保険負債の現在価値評価の導入を見越して、当社グループは、現行基準において必要とされる金額を超える責任準備金の積立てを行っておりますが、想定している以上の積立てが必要になった場合には、その結果、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

8) 繰延税金資産の減額に係るリスク
当社グループは、日本の会計基準に従い、将来の税負担額の軽減効果を有すると見込まれる額を繰延税金資産として、一部の繰延税金負債と相殺した上で連結貸借対照表に計上しております。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する前提を含む様々な前提に基づいているため、実際の結果がこれらの前提と大きく異なる可能性もあります。また、将来的な会計基準の変更により、当社グループが計上できる繰延税金資産の金額に制限が設けられる場合や、将来の課税所得の見通しに基づき当社グループが繰延税金資産の一部を回収できないとの結論に至った場合には、繰延税金資産が減額される可能性があります。それらの結果、当社グループの財務内容及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
また、今後法人税率が変更され、法定実効税率が引き下げられる場合には、中長期的には当社グループの業績の向上及びエンベディッド・バリューの増加が見込まれる一方で、法定実効税率の引き下げ前の税率を前提として計上を行った繰延税金資産の取崩しが行われることにより、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

9)持株会社体制に係るリスク
当社は持株会社であり、利益の大部分は、当社が直接保有する国内外の子会社や関連会社が当社に支払う配当によるものとなっております。一定の状況下では、保険業法及び会社法上の規制や、諸外国の規制により、子会社等が当社に支払うことができる配当の金額が制限される場合があります。また、子会社や関連会社が充分な利益を計上することができず、当社に対して配当を支払えない状況が生じた場合等には、当社は配当を支払えなくなるおそれがあります。

10) 生命保険契約者保護機構の負担金及び国内の他の生命保険会社の破綻に係るリスク
当社グループの国内生命保険会社は、国内の他の生命保険会社とともに、破綻した生命保険会社の契約者を保護する生命保険契約者保護機構(以下、「保護機構」という。)への負担金支払い義務を負っております。保護機構は、破綻した生命保険会社の保険契約を引き継ぐ生命保険会社に対する資金の提供等、特殊な役割を担っております。国内の他の生命保険会社と比較して、当社グループの国内生命保険会社の保険料収入及び責任準備金が増加する場合、当社グループの国内生命保険会社へ割り当てられる負担金が増加する可能性があります。また、将来的に、国内の他の生命保険会社が破綻した場合や、保護機構への負担金の支払いに関する法的要件が変更される場合には、当社グループの国内生命保険会社は保護機構に対して追加的な負担を求められる可能性があります。それらの結果、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、日本の他の生命保険会社の破綻は、日本の生命保険業界の評価にも悪影響を及ぼし、お客さまの生命保険会社に対する信頼を全般的に損ない、これにより、当社グループの国内生命保険会社の新契約販売が減少又は既契約の失効・解約が増加し、当社グループの財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

従業員の状況研究開発活動


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