有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LP24 (EDINETへの外部リンク)
株式会社錢高組 研究開発活動 (2021年3月期)
(建設事業)
当社は、多様化する顧客のニーズ、生産性の向上、品質の向上、安全で環境にやさしい工事施工に対応すべく建築・土木・環境の分野において技術研究所を中心にソフト・ハードの研究開発を幅広く実施しております。
当連結会計年度における研究開発費は153百万円でありました。また、当社の研究開発体制及び主な研究開発成果は以下のとおりであります。
[建築・土木共通技術]
(1) コンクリート構造物の調査・品質向上技術
コンクリート構造物にやさしい調査技術として、構造体を傷めず、小径コア(直径20mm~25mm程度)による簡便で精度の良いコンクリート強度の調査法「ソフトコアリングⓇ」(建築用)、「ソフトコアリングC+」(土木用)を開発し、一般財団法人日本建築センターと一般財団法人土木研究センターの技術審査証明を取得しております。2020年度に、「ソフトコアリングⓇ」の審査証明を更新するとともに、建築用・土木用あわせて5.8万本の施工実績があり、広く活用されております。
その他にも2020年度に、物流倉庫スラブのひび割れ防止対策の研究、生コン車搭載センサーによる品質管理技術の現場適用など、コンクリート構造物の施工品質を向上させる研究開発を進め、技術提案、施工管理に活用しました。
(2) ICTを活用した工事の生産性向上・安全管理の効率化への取組み
工事の生産性向上、安全管理の効率化に対応すべく、2020年度はICTを活用する作業所での試行や研究開発に取り組んでおります。生産性向上としては、現場巡回ドローンによる施工管理の省力化、CFT(コンクリート充填鋼管構造)圧入施工管理の遠隔支援の実施や配筋の遠隔検査の試行、ドローンによるPC橋梁の出来形計測の省力化、施工支援ロボットとの協業による生産性向上に関する研究等に取り組みました。安全管理の効率化としては、安全帯使用状況を検知する研究等に取り組みました。
[建築関連技術]
(1) 柱RC梁S造混合構造
物流倉庫、商業施設を対象に、鉄筋コンクリートの高剛性と鉄骨造の軽量大スパン化の特長を活かしコストダウンにつながる柱RC梁S造混合構法を開発して、これまでに12件の物流倉庫に適用しました。2020年には、本構造を採用した大型物流倉庫2件が竣工しています。
(2) YZ補剛工法Ⓡ
鋼構造、柱RC梁S造混合構造など、梁が鉄骨造である物流倉庫や商業施設等で、床スラブと梁の合成効果を考慮して補剛材を削減する「YZ補剛工法Ⓡ」を開発し、2019年度に一般財団法人日本建築総合試験所から建築技術性能証明を取得しました。2020年度には物流倉庫や商業施設に3件採用しコストダウンを図りました。今後も、鉄骨梁を使用した建物のコストダウン技術として活用します。
(3) 基礎梁の開孔補強工法
設備配管用開孔と人通孔の間隔を従来の開孔直径平均の3倍以上から2倍以上に緩和して設備設計を簡素化する「近接開孔基礎梁工法」を2015年度に開発、また、基礎梁の開孔を梁せいの現行基準1/3以下を1/2.5以下に緩和して基礎梁掘削土量削減や既成の補強金物の使用でコストダウンする「大開孔基礎梁工法」を2017年度に開発して、いずれも一般財団法人日本建築総合試験所より建築技術性能証明を取得しました。2020年度は、「大開孔基礎梁工法」について大型物流倉庫などの施工性や設計自由度を向上させるブラッシュアップを実施しております。今後も設備設計の自由度拡大や大型物流倉庫での基礎のコストダウンに有効な技術として活用します。
[土木関連技術]
(1) SEWを用いたシールド直接発進到達工法
SEWは、シールド発進到達用立坑のシールド機通過部分に硬質ウレタン樹脂をガラス長繊維で補強した新素材(FFU部材)を組込み、シールド機を直接発進到達させることで工期短縮、コストダウンを可能にする技術であります。RC地中連続壁、柱列式連続壁、ライナープレート、ケーソンなど多様な立坑形式への対応、大断面や大深度を可能とするなど改良を加えて建設技術審査証明を更新取得してきました。2020年度は、道路や上下水道トンネルなど7件に採用されました。今後も技術提案や施工のコストダウンに活用します。
(2) FFUセグメント
新素材FFUで製作されたシールド用セグメント「FFUセグメント」はシールド機のカッターで容易に切削できることから上下水道等の分岐・合流を非開削で行う場合に有効なセグメントで、多くの施工実績があります。2020年度は、10件のシールド工事で活用されました。
(3) シールド泥水管理システム
泥水シールド工法における切羽前方地盤の土質の変化をリアルタイムで捉え、掘削泥水の品質(比重、粘性等)を適正管理するアシストシステムを開発し、2020年度に岡山県のシールド工事で試行し、その有効性を確認しました。このシステムにより、泥水シールド工法において重要な施工管理項目である泥水品質の土質の変化への迅速な対応が可能となり、掘進停止や地盤隆起・陥没等のトラブル防止、更には施工効率の向上に繋がります。今後は、AIによるアシスト能力の向上などシステムの改善を図ると共に、安全なシールド工事の施工に積極的に活用します。
(4) PC橋梁の施工管理システム(橋面自動測量システム、PC緊張管理システム)
PC橋梁の張出し施工における現場測量や上げ越し管理の省人・省力化を図る「橋面自動測量システム」及びPC鋼材の緊張力をセンサーで自動計測して安全・適切に施工管理する「PC緊張管理システム」を2020年度に開発し、長野県のPC橋梁工事に本格導入を進めています。今後は、PC橋梁における施工管理の省力化、品質向上に繋げる管理システムとして活用・改善していきます。
(5) リアルタイム路面計測システム
リアルタイム路面計測システムは、シールド工事や高速道路の下を非開削で通過させる函体推進工事などの施工に伴う路面沈下を、道路の交通を妨げることなく常時計測・監視して安全に施工を行うための計測システムです。シールド工事など地下工事に伴う地表面沈下が問題となっており、2020年度は、福岡県のシールド工事で施工の安全性確保に活用する等、4件の工事で活用されました。
[環境関連技術]
(1) 環境配慮型コンクリート製造技術
環境配慮型コンクリート製造技術は、レディミクストコンクリートの混和材料として製造時に排出される二酸化炭素がポルトランドセメントの1/20以下である高炉スラグ微粉末を使用することにより、建築のコンクリート構造物に求められる所要の品質を確保しつつ、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量を削減する技術として2020年度に開発し、一般財団法人日本建築総合試験所より建設材料技術性能証明を取得しました。
(2) 室内環境(温熱・換気)解析システム
室内環境解析システムは、事務所や体育館など大空間や、自然エネルギー利用など快適な室内環境の提案に活用しています。2020年度は、BIMと連携した建物の環境性能の見える化に取り組み、温熱・湿度、換気など建物の環境性能を動画で確認できる機能を活用し、物流倉庫、工場、事務所ビルなどの設備設計や室内環境を向上させました。今後も、快適な室内環境の解り易い提案にこれら室内環境解析システムを活用します。
(3) 環境騒音・振動の評価技術
2020年度も、工事に伴うコンクリートポンプ車や室外機などの騒音を低減する騒音解析・対策技術を技術提案に活用しました。今後も環境に配慮した工事対策、環境にやさしい技術の向上を進めます。
なお、連結子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。
(不動産事業)
研究開発活動は特段行われておりません。
当社は、多様化する顧客のニーズ、生産性の向上、品質の向上、安全で環境にやさしい工事施工に対応すべく建築・土木・環境の分野において技術研究所を中心にソフト・ハードの研究開発を幅広く実施しております。
当連結会計年度における研究開発費は153百万円でありました。また、当社の研究開発体制及び主な研究開発成果は以下のとおりであります。
[建築・土木共通技術]
(1) コンクリート構造物の調査・品質向上技術
コンクリート構造物にやさしい調査技術として、構造体を傷めず、小径コア(直径20mm~25mm程度)による簡便で精度の良いコンクリート強度の調査法「ソフトコアリングⓇ」(建築用)、「ソフトコアリングC+」(土木用)を開発し、一般財団法人日本建築センターと一般財団法人土木研究センターの技術審査証明を取得しております。2020年度に、「ソフトコアリングⓇ」の審査証明を更新するとともに、建築用・土木用あわせて5.8万本の施工実績があり、広く活用されております。
その他にも2020年度に、物流倉庫スラブのひび割れ防止対策の研究、生コン車搭載センサーによる品質管理技術の現場適用など、コンクリート構造物の施工品質を向上させる研究開発を進め、技術提案、施工管理に活用しました。
(2) ICTを活用した工事の生産性向上・安全管理の効率化への取組み
工事の生産性向上、安全管理の効率化に対応すべく、2020年度はICTを活用する作業所での試行や研究開発に取り組んでおります。生産性向上としては、現場巡回ドローンによる施工管理の省力化、CFT(コンクリート充填鋼管構造)圧入施工管理の遠隔支援の実施や配筋の遠隔検査の試行、ドローンによるPC橋梁の出来形計測の省力化、施工支援ロボットとの協業による生産性向上に関する研究等に取り組みました。安全管理の効率化としては、安全帯使用状況を検知する研究等に取り組みました。
[建築関連技術]
(1) 柱RC梁S造混合構造
物流倉庫、商業施設を対象に、鉄筋コンクリートの高剛性と鉄骨造の軽量大スパン化の特長を活かしコストダウンにつながる柱RC梁S造混合構法を開発して、これまでに12件の物流倉庫に適用しました。2020年には、本構造を採用した大型物流倉庫2件が竣工しています。
(2) YZ補剛工法Ⓡ
鋼構造、柱RC梁S造混合構造など、梁が鉄骨造である物流倉庫や商業施設等で、床スラブと梁の合成効果を考慮して補剛材を削減する「YZ補剛工法Ⓡ」を開発し、2019年度に一般財団法人日本建築総合試験所から建築技術性能証明を取得しました。2020年度には物流倉庫や商業施設に3件採用しコストダウンを図りました。今後も、鉄骨梁を使用した建物のコストダウン技術として活用します。
(3) 基礎梁の開孔補強工法
設備配管用開孔と人通孔の間隔を従来の開孔直径平均の3倍以上から2倍以上に緩和して設備設計を簡素化する「近接開孔基礎梁工法」を2015年度に開発、また、基礎梁の開孔を梁せいの現行基準1/3以下を1/2.5以下に緩和して基礎梁掘削土量削減や既成の補強金物の使用でコストダウンする「大開孔基礎梁工法」を2017年度に開発して、いずれも一般財団法人日本建築総合試験所より建築技術性能証明を取得しました。2020年度は、「大開孔基礎梁工法」について大型物流倉庫などの施工性や設計自由度を向上させるブラッシュアップを実施しております。今後も設備設計の自由度拡大や大型物流倉庫での基礎のコストダウンに有効な技術として活用します。
[土木関連技術]
(1) SEWを用いたシールド直接発進到達工法
SEWは、シールド発進到達用立坑のシールド機通過部分に硬質ウレタン樹脂をガラス長繊維で補強した新素材(FFU部材)を組込み、シールド機を直接発進到達させることで工期短縮、コストダウンを可能にする技術であります。RC地中連続壁、柱列式連続壁、ライナープレート、ケーソンなど多様な立坑形式への対応、大断面や大深度を可能とするなど改良を加えて建設技術審査証明を更新取得してきました。2020年度は、道路や上下水道トンネルなど7件に採用されました。今後も技術提案や施工のコストダウンに活用します。
(2) FFUセグメント
新素材FFUで製作されたシールド用セグメント「FFUセグメント」はシールド機のカッターで容易に切削できることから上下水道等の分岐・合流を非開削で行う場合に有効なセグメントで、多くの施工実績があります。2020年度は、10件のシールド工事で活用されました。
(3) シールド泥水管理システム
泥水シールド工法における切羽前方地盤の土質の変化をリアルタイムで捉え、掘削泥水の品質(比重、粘性等)を適正管理するアシストシステムを開発し、2020年度に岡山県のシールド工事で試行し、その有効性を確認しました。このシステムにより、泥水シールド工法において重要な施工管理項目である泥水品質の土質の変化への迅速な対応が可能となり、掘進停止や地盤隆起・陥没等のトラブル防止、更には施工効率の向上に繋がります。今後は、AIによるアシスト能力の向上などシステムの改善を図ると共に、安全なシールド工事の施工に積極的に活用します。
(4) PC橋梁の施工管理システム(橋面自動測量システム、PC緊張管理システム)
PC橋梁の張出し施工における現場測量や上げ越し管理の省人・省力化を図る「橋面自動測量システム」及びPC鋼材の緊張力をセンサーで自動計測して安全・適切に施工管理する「PC緊張管理システム」を2020年度に開発し、長野県のPC橋梁工事に本格導入を進めています。今後は、PC橋梁における施工管理の省力化、品質向上に繋げる管理システムとして活用・改善していきます。
(5) リアルタイム路面計測システム
リアルタイム路面計測システムは、シールド工事や高速道路の下を非開削で通過させる函体推進工事などの施工に伴う路面沈下を、道路の交通を妨げることなく常時計測・監視して安全に施工を行うための計測システムです。シールド工事など地下工事に伴う地表面沈下が問題となっており、2020年度は、福岡県のシールド工事で施工の安全性確保に活用する等、4件の工事で活用されました。
[環境関連技術]
(1) 環境配慮型コンクリート製造技術
環境配慮型コンクリート製造技術は、レディミクストコンクリートの混和材料として製造時に排出される二酸化炭素がポルトランドセメントの1/20以下である高炉スラグ微粉末を使用することにより、建築のコンクリート構造物に求められる所要の品質を確保しつつ、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量を削減する技術として2020年度に開発し、一般財団法人日本建築総合試験所より建設材料技術性能証明を取得しました。
(2) 室内環境(温熱・換気)解析システム
室内環境解析システムは、事務所や体育館など大空間や、自然エネルギー利用など快適な室内環境の提案に活用しています。2020年度は、BIMと連携した建物の環境性能の見える化に取り組み、温熱・湿度、換気など建物の環境性能を動画で確認できる機能を活用し、物流倉庫、工場、事務所ビルなどの設備設計や室内環境を向上させました。今後も、快適な室内環境の解り易い提案にこれら室内環境解析システムを活用します。
(3) 環境騒音・振動の評価技術
2020年度も、工事に伴うコンクリートポンプ車や室外機などの騒音を低減する騒音解析・対策技術を技術提案に活用しました。今後も環境に配慮した工事対策、環境にやさしい技術の向上を進めます。
なお、連結子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。
(不動産事業)
研究開発活動は特段行われておりません。
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