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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LQQ4 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 東洋建設株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループはコーポレート・メッセージとして『人と地球にあたたかな技術』を掲げています。これは「技術が人のため、地球に生きる皆のために使われるべきものであり、技術を使う我々は、それを理解して事業活動を持続していく」という精神と決意を謳ったものであり、総合技術研究所と本社技術部門はこの決意に則り、培ってきた技術力が地球環境に優しいこと、より安全であること、また生産性を向上させることを希求して、日々研究開発を重ねております。
当連結会計年度においては「脱炭素、カーボンニュートラルへの取組み」「ICT施工や自動化技術による生産性の向上」「建設DXの推進準備」等の社会課題に対して研究開発を推進してまいりました。主な成果は以下のとおりです。なお国内土木事業、国内建築事業及び海外建設事業を対象に行った研究開発活動の総額は692百万円となりました。

(1) 浮体式洋上風力発電低コスト化技術開発調査研究
当社は、三井海洋開発株式会社、古河電気工業株式会社と共同で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」)による公募「浮体式洋上風力発電低コスト化技術開発調査研究」に採択され、洋上風力発電の係留方式として低コスト化を図るべく、緊張係留方式(Tension Leg Platform式(以下、「TLP方式」))の浮体・係留システムについて調査研究に取り組んでおります。
TLP方式は、石油掘削リグ等で実績がある動揺を抑えた浮体係留方法で、発電設備の耐久性向上の他、緩係留方式に比べて係留索による海域占有面積を大幅に削減できるため、漁業や船舶運航への影響を抑える優れた社会受容性を発揮することができます。
当社はNEDOから助成を受け、着床式洋上風力発電施設の基礎(サクションバケット基礎)技術の実証実験についても取り組んでおります。着床式、浮体式双方の洋上風力発電施設基礎の施工方法を確立し、今後の洋上風力発電の普及に貢献してまいります。

(2) 石炭灰およびバイオマス灰等によるCO2固定・有効活用に関する要素技術開発
当社は、一般財団法人電力中央研究所、三菱パワー株式会社、一般財団法人石炭エネルギーセンターとともに、石炭灰・バイオマス灰等を対象としたCO2固定・有効活用に関する技術開発に取り組んでおります。本件はNEDOの「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電技術推進事業/カーボンリサイクル技術の共通基盤技術開発」の委託事業に採択されたもので、「CO2を炭酸塩化する技術」を将来有望なカーボンリサイクル技術の一つと捉え、「燃焼灰を用いたCO2固定システムの構築」「炭酸塩化した燃焼灰の活用」に向けて技術開発に着手いたしました。
当社はこのうち、処分場を活用したCO2固定システムの構築を目的に「処分場をCO2固定リアクターとみなしたCO2吹込み方法の検討、およびCO2固定に伴う処分場の早期安定化に向けた処分場浸出水の水質予測・処理に関わる研究開発」に取り組んでおります。
今後も上記各社とともに、発電等に伴って発生するCO2を資源として捉え、産業副産物を用いた技術の開発に取り組み、低炭素・循環型社会の実現ならびにSDGsの達成に向けて貢献してまいります。

(3) 浮体動揺解析を用いた安全施工の実用化
当社は、海上工事における安全施工確保のため、浮体動揺の数値シミュレーション技術を用いた施工システムを開発し実用化しております。このシステムは、曳航中のケーソンや起重機船などを浮体物としてモデル化し、波浪による動揺を数値シミュレーションするもので、波浪が来襲した時にケーソンや起重機船がどの程度動揺するかを定量的に把握し、動揺量を低減する対策や来襲波浪に対する作業中止判断基準を設定することができます。さらには、緊張係留した浮体の動揺もシミュレーションすることができるため、TLP方式の洋上風力発電施設への適用も視野に入れた技術開発を進めております。
当社ではこれまで、国土交通省東北地方整備局発注の岩手県久慈港湾地区防波堤(北堤)築造工事をはじめとする防波堤築造工事などで運用し、安全な施工を実現してまいりました。
今後は、多くの施工実績から得られる経験値を数値シミュレーションにより構築されるデータベースに統合してシステムの精度を向上させ、安心安全で効率的な施工技術の向上に貢献してまいります。

(4) 準天頂衛星「みちびき」を利用した漁場築造システムの開発
当社は、従来の漁場築造システムを拡張し、準天頂衛星「みちびき」を利用した「漁場築造システム-QZSS」を開発いたしました。当システムは湧昇流漁場(マウンド礁)築造や保護育成礁築造など沖合での施工状況を可視化するシステムで、これまでのGPSを中心としたGNSS測位システムに加え、準天頂衛星「みちびき」を使用し、沖合施工の高精度化を実現いたしました。
漁場築造海域は水深が深く潮流も早いことから、正確な施工位置の把握が重要となります。沖合施工ではRTK測位(精度2㎝~10㎝程度)の補正データが届かず、ディファレンシャル測位(精度50cm~100㎝程度)を用いて施工を行っておりますが、より正確な位置を算出するため準天頂衛星「みちびき」を使用いたしました。「みちびき」は2018年11月から運用が開始された日本の衛星測位システムであり、センチメータ級測位補強サービス(CLAS)が配信されております。
当社はこの技術を用い、±50㎝から±10㎝へ精度向上した施工管理システムを開発、沖合の海洋構造物の築造にはじめて採用して良好な成績を収めました。

(5) 低炭素化社会へ貢献できる環境配慮型コンクリート(CELBIC)の実用化
当社を含むゼネコン13社で構成するCELBIC研究会は、循環型社会の形成と地球環境問題に寄与することを目的とし、建築コンクリート構造物に求められる所要の品質を確保しつつ、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量の約9~63%を削減できる環境配慮型コンクリート:CELBIC(セルビック:Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete)を実用化いたしました。
建築構造物の躯体には、「普通ポルトランドセメント」を用いたコンクリートの使用が一般的ですが、高炉スラグ微粉末を10~70%の範囲で混和材として使うことにより、二酸化炭素量の削減が可能となります。
なお、一般財団法人日本建築総合試験所より2021年2月22日付けで、建設材料技術性能証明(GRBC 材料証明 第20-04号)を再取得し、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に適合するコンクリートとして製造・出荷が可能となりました。
今後は、鉄筋コンクリート造建築物へ環境配慮性を有したCELBICを適材適所へ有効活用し、普及展開を目指してまいります。
※高炉スラグ微粉末は、製鉄の過程で廃棄物として排出される高炉スラグを微粉砕したものであり、廃棄物処理
量を低減し、低炭素化社会へも貢献します。

(6) ICT技術を活用した生コンクリート品質管理システムによる生産性と品質向上
当社は、GNN Machinery Japan株式会社とともに、国土交通省の2020年度「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト(追加公募)」における「技術Ⅱ:データを活用して土木工事における品質管理の高度化等を図る技術」に「フレッシュコンクリート品質のリアルタイム連続管理技術」の試行について応募し、採択されました。
コンクリート構造物の生産性と品質向上を図るには、コンクリートの品質の安定性と、品質管理の省力化が求められますが、このシステムは、出荷するコンクリートのアジテータ車の位置や、ドラム内に設置したプローブセンサによりスランプ、温度及び積載量を逐次測定・記録することができます。
国土交通省四国地方整備局の施工現場において、本装置をアジテータ車5台へ搭載して試行したところ、累計58台が運搬するコンクリートの運行情報のほか、運搬時や荷卸し時のコンクリート品質データをクラウドコンピュータへアップロードし、タブレット端末等を用いて生コン工場や施工現場等でリアルタイムにモニタリングすることで品質管理の省力化や品質の安定化が図れることを実証いたしました。

(7) オフィスビルにおける省エネルギー性と知的生産性の両立
当社は、効率よく一次エネルギー消費量を削減する取り組みの一環として設計施工のオフィスビル案件においてZEB Ready認証を取得いたしました。
近年、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の考え方が急速に広まりつつあります。オフィスビルにおいては、省エネルギー性に加えて執務者の知的生産性向上に対する配慮も求められておりますので、今後はビルの運用段階でのエネルギー削減量のデータを集積し、省エネルギー性と知的生産性の両立を実現したオフィスビルの提案ができる技術の取得を目指してまいります。

(8) BIMによるデジタルプロセストランスフォーメーション(BIM-DPX®※)
当社は、BIM-DPX®を推進するため、建築事業本部にワーキンググループを設置し、クラウドコンピューティングをプラットフォームとした設計施工一貫BIMプロセスの研究・開発・普及促進を図るための体制を構築し活動しております。2020年度は、既に整備した基本プラットフォームを機動的に改善しながら、普及促進を加速させており、基本設計-実施設計モデルを施工モデルに引き継ぐ基本的なワークフロー開発が完了し、クラウドコンピューティングを活用することにより、国内外の設計施工フィールドにおいて広く活用することができました。これらの取り組みについて、発注者や設計事務所、協力会社などステークホルダーより、効果と価値を評価いただいております。
BIM-DPX®: BIM–Digital Process Transformation の略。BIMによるデジタルプロセスの浸透により、建設業の取り組みをあらゆる面でより良い方向に変化させようと当社が新たに定義したもの。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00082] S100LQQ4)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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