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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LR8N (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 三井化学株式会社 事業等のリスク (2021年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動

当社グループでは、経営活動の脅威となる全ての事象(前兆、予兆)をリスクと認識し、そのリスク顕在化の未然防止及びリスク顕在化の最小化のための対策を講じるよう努めております。
当社グループの将来の経営成績、財政状態に影響を与えうるリスクには、以下のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
なお、これらの事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 外部事業環境について
当社グループの事業は、顧客、市場、提携先の動向、競合他社の事業展開や法制度の変更といった外部環境の影響を受けるおそれがあります。これらの外部環境の影響により、当社グループの事業戦略の前提となった事実が変化した場合には、事業戦略が予定通り進まず、期待したとおりの効果を奏せず、又はそれらの変更を余儀なくされるリスクが考えられます。製品に関しては、市場における需要減退及び顧客の流出、競合他社の生産能力増強や安価な製品の流入により供給過剰となることでの予想を大幅に上回る販売数量の減少や市況下落、また、代替製品の出現といった要因により、収益が減少するリスクが考えられます。一方、当社グループの製品の生産に必要な原材料に関しては、急激な価格変動による収益の減少や、原材料メーカーの事故、倒産による供給停止の影響で生産活動に支障が生じるリスクが考えられます。以上のような外部事業環境変化については、各事業部において常にウォッチしつつ、重要なものについては全社戦略会議で討議のうえ、毎年実施している各事業戦略の見直しに反映させております。これらの事象は、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがありますが、顕在化の可能性や具体的な影響等に関しては、合理的に見積もることが困難であります。
新型コロナウイルス感染症の流行については依然として予断を許さず、今後も活動制限の実施によって販売需要の減少や減産が生じるおそれや、当社グループの生産設備が停止するなどの影響が出てくる可能性もあります。これに対して、当社は、需要動向の見極めや、サプライチェーンの確保を行いつつ、在庫等の管理の徹底、不要不急な支出の抑制、借入枠の増大や手元資金の確保等、キャッシュ・フローに注視した対応に注力しております。また、当社は、2020年3月4日付で、リスク・コンプライアンス委員会担当役員を本部長とする、新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、国内外の当社各拠点における影響等の情報収集を行うとともに、関係者の感染リスク低減のための必要な措置(テレワークや時差出勤等)を講じております。本対策本部において収集した当社各拠点情報や、講じた対策等については、適宜、取締役会でも報告を行っております。併せて、「感染予防」「業務効率化」「円滑なコミュニケーション」をキーワードとする、持続可能な「新しい働き方」に関する検討を進めております。

(2) 海外活動について(カントリーリスク)
当社グループでは、製品の輸出及び海外における現地生産等、幅広く海外活動を展開しております。この海外展開に関するリスクとして、海外における人材確保の困難さ、政治・経済情勢の悪化、輸入・外資の規制、治安の悪化、労働争議、テロ・戦争の発生等が考えられます。当社は、日ごろから海外の主要地域(アジアパシフィック、中国、米州、欧州)に設置した「地域統括会社」を中心に、関係会社より所在地域・国の情報収集を行い、かつ、関係会社の主たる所在国に地域安全統括者を配し、治安・衛生面の変化に対応した事業継続性の安定化を図っており、仮にリスクが顕在化した場合には、東京本社と連携し、対応にあたることとしております。これらの事象の発生可能性や影響等を合理的に予測することは、困難でありますが、海外における当社グループの事業活動に支障をきたし、経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(3)各事業の経営成績における変動要因について
当社グループは、主にモビリティ製品、ヘルスケア製品、フード&パッケージング製品、基盤素材製品等様々な製品を製造・販売しています。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響を、特にモビリティ製品において顕著に受けましたが、第1四半期を底に回復傾向にあります。一方で、ヘルスケア製品及びフード&パッケージング製品では、マスク向けの不織布や産業用フィルム分野における販売が堅調に推移しました。新型コロナウイルスの流行については未だ収束の兆候が見えないものの、翌連結会計年度においては製造業を中心とした景気持ち直しの動きに伴う需要拡大が見込まれると共に、海外市況も堅調に推移すると見込んでおります。その他、各主要事業において想定されるリスクとしては以下のようなものがあります。
なお、当社では、毎年、内外環境変化、事業リスクの変化等を踏まえ、全社戦略会議で討議のうえ、各事業戦略を見直しております。これにより、極力リスクが顕在化しないよう、仮に顕在化した場合でも影響を最小化できるよう取り組んでおります。

①モビリティ部門
モビリティ部門の製品は、エチレン、プロピレン等のナフサ誘導品を主原料としています。ナフサが中東地域の情勢やその他世界の経済情勢の影響により、供給価格が急激に上昇した場合、原料価格上昇分の製品価格への転嫁が一時的に遅れること等により業績が影響を受ける可能性があります。
当事業部門において認識している具体的なリスク及び機会は次のとおりです。
・新型コロナウイルス感染症の流行再拡大や半導体の供給不足に伴う自動車需要・生産の回復遅れ
・自動車関連製品の開発サイクルや重要なプレイヤーの変化
・自動車における軽量化・快適性向上・電装化などに伴う素材開発へのニーズ拡大
・環境負荷低減の取組み加速を背景としたリサイクル材料・バイオ材料の活用拡大

②ヘルスケア部門
ヘルスケア部門の製品は、競合他社の事業展開による価格競争で業績が影響を受ける可能性があります。
当事業部門において認識している具体的なリスク及び機会は次のとおりです。
ビジョンケア材料
・市場のグローバルな拡大
不織布
・子供用紙おむつ輸出鈍化、一方で、国内大人用紙おむつ安定成長
・東・東南アジアでの競争激化
歯科材料
・デジタル技工市場の急速なトレンド変化と拡大

③フード&パッケージング部門
コーティング・機能材及び機能性フィルム・シートについては、基盤素材部門が扱うポリエチレンやポリプロピレン等ナフサ誘導品を主原料としていますが、ナフサは中東地域の情勢やその他世界の経済情勢の影響により、供給価格が急激に変動する可能性があるため、原料価格上昇分の製品価格への転嫁が遅れること等により業績が影響を受ける可能性があります。
農薬については、世界各地域の天候、害虫の発生状況に加え、新製品開発にかかる開発・登録に必要な試験費用の変動等により業績が影響を受ける可能性があります。
当事業部門において認識している具体的なリスク及び機会は次のとおりです。
・環境関連の法規制等による既存事業への影響
・フードロスや廃棄プラスチック削減のニーズ昂進
・農薬のアジア・南米市場拡大、農薬周辺市場(防疫分野)の拡大
・包装材料のアジア市場拡大と国内市場の停滞
・5G、高機能ディスプレイ、CASE需要などのICT市場の拡大
・中国、新興国経済の不透明感
・新型コロナウイルス感染症流行継続による開発・調達への影響

④基盤素材部門
石化については、主原料であるナフサは、中東地域の情勢やその他世界の経済情勢の影響により、供給量や供給価格が急激に変動する可能性があります。ナフサ価格の急激な上昇・下落があった場合、製品価格への転嫁遅れや、在庫評価損が発生すること等により業績が影響を受ける可能性があります。
基礎化学品については、競合他社が多く市況変動の影響を受け易いため、供給過剰等により市況の急落が発生した場合、業績が影響を受ける可能性があります。
当事業部門において認識しているより具体的なリスク及び機会は次のとおりです。
・高機能包装へのシフト
・デジタル技術・バイオ技術の進化
・米シェール由来のポリオレフィン流入
・米中貿易摩擦・感染症などによる経済減速、変動
・原油・大型市況製品のアジア市況の変動
・円高による輸入品の攻勢、輸出交易条件悪化
・国内需要縮小、中国経済の伸長鈍化
・環境対応ニーズの拡大

(4) 財務について
当社グループの財務に関するリスクとして、経済情勢悪化に伴う取引先信用不安の増大、為替の急激な変動による為替差損の発生、資金調達に際しての金利上昇や金融機関の貸し渋り等が考えられます。これらの事象は、当社グループの財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(5) 事故・災害について
当社グループでは、「安全は全てに優先する」との経営方針の下、工場における生産活動に関し、労働安全衛生マネジメントシステム(OHSAS18001)の認証取得を積極的に進める他、現場での地道な活動を通じて、安全確保に努めております。また、首都圏における大規模地震が発生し、本社機能が麻痺した場合には、大阪工場に全社対策本部を設置する等の、指揮命令系統を早期に確立するための事業継続計画を策定しております。しかしながら、不測の大規模地震や台風等の自然災害による生産設備への被害、工場における事故、製品輸送・外部倉庫保管中の事故等、不測の事態が発生するリスクが考えられます。これらの事象に関し顕在化の可能性や影響等を合理的に見積もることは困難ですが、工場の操業や顧客への供給に支障が生じることで当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあり、さらには社会的評価の低下を招く可能性があります。

(6) 品質について
当社グループでは、各工場で品質マネジメントシステム(ISO9001)の認証取得を積極的に進め、品質保証体制の確立に努めております。しかしながら、製品の予期せぬ品質欠陥発生や製造物責任訴訟の提起といったリスクが考えられます。当社グループの製品は最終消費財の原料として使用されるものが多く、品質欠陥により顧客における大規模なリコールに発展した場合は甚大な損害につながることが想定されます。顕在化の可能性や影響等を合理的に見積もることは困難ですが、これらの事象は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあり、さらには社会的評価の低下を招く可能性があります。

(7) 知的財産権について
当社グループは、独自の技術・ノウハウを多く有しており、厳正なルール運営の下、情報管理を行っておりますが、予期せぬ事態により外部に流出する可能性があります。また、将来、知的財産に関する紛争が生じた際に当社グループに不利な判断がなされる可能性もあります。当社においては、これまで、重要な知的財産の外部への流出や重大な知的財産に関する紛争が発生したことはなく、また、発生可能性や影響等を合理的に予測することは困難ですが、これらの事象が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(8) 気候変動について
気候変動については、これに起因するとされる世界各地での負の影響の増加に伴い、SDGsに代表される世界共通の解決すべき社会課題と認識され、早急な対応が求められています。化学品の製造では、気候変動の原因とされるGHG(温室効果ガス)を大量に排出します。その為、気候変動に伴う物理的リスク及び低炭素社会への移行によるリスクが、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があり、当社グループとして気候変動にどう対応していくかを重要な課題と捉えています。
物理的リスクとして、台風、洪水等の極端な気象現象が深刻化した場合、当社グループの生産拠点の生産能力低下、被害コスト増加を招く可能性があります。また、降雨量の変化により水リスクが高まる地域では渇水による水使用制限から生産拠点での生産活動低下を招く可能性があります。
低炭素社会への移行リスクとして、炭素税、排出権取引制度のようなGHG排出規制が導入された場合、原燃料の価格が上昇し、電力価格が上昇する可能性があります。これにより当社グループの製造コストが増加し、収益低下をもたらす可能性があります。また、低炭素社会への移行状況により、ステークホルダーからGHG削減に貢献する製品の要請が高まる場合、研究開発費や新規技術導入に伴う設備費が増加し、当社グループの収益低下をもたらす可能性があります。
当社グループは、気候変動への対応をリスクとしてだけでなく機会としても捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題の解決を目指します。また、気候変動に関連するリスク、機会及びその影響の評価に取り組む姿勢を明確にするため、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)に賛同し、気候変動の影響評価及びその情報開示に継続して取り組んでいます。当社グループは2050年カーボンニュートラルを宣言しました。化学企業として社会変革に大きく貢献すべく、自社のGHG排出量削減推進と、GHG削減に貢献する製品を顧客と共に社会実装することで削減貢献の最大化を目指し、気候変動への取り組みを強化加速してまいります。
(9) プラスチック問題について
プラスチックは利便性と恩恵をもたらす素材であり、機能の高度化を通じて食品ロスの削減やエネルギー効率の改善等、社会課題の解決に貢献しています。その一方で、近年の政策やESG諸課題への注目を背景に、年間数百万トンを超えるプラスチック廃棄物がその不適正な処理により陸上から海洋へ流出している問題が関心を集め、解決に向けた動きが世界中で活発化しています。
こうした状況を背景に世界では各種規制が検討され、国や企業によってはリサイクルプラスチックの利用促進や使い捨てプラスチック使用の自主規制、他素材への代替を推奨しています。特に欧州ではサーキュラーエコノミーの実現に向けた動きが加速しており、資源を最大限活用するという観点から、プラスチックの回収とリサイクルに関する取り組みがサプライチェーン全体で検討されています。これらの動きは、化石資源由来のプラスチックを製造販売する当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、プラスチックを巡る環境問題を化学産業が率先して取り組むべき重要な課題のひとつであると認識しています。当該リスクに対しては、プラスチックに携わる企業、業界団体等とともに「Alliance to End Plastic Waste(AEPW)」(グローバルなプラスチックバリューチェーン企業が資金を拠出し参加する活動)、「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」、「海洋プラスチック問題対応協議会(JaIME)」等に参画し、それらを通じた廃棄物管理のインフラ整備、イノベーションの促進、教育・啓発、清掃活動等に積極的に関与することにより、問題解決に取り組んでいます。
また当社グループは、こうしたプラスチック問題への対応を新たな事業機会とも捉えています。リサイクル原料の使用や、廃プラスチックから有用プラスチックへのケミカルリサイクル等のリサイクル高度化技術の開発、包装材料の単一素材化等のリサイクルを考慮した製品設計の提案、さらにはブロックチェーン技術によるプラスチック素材のトレーサビリティシステムの構築といった幅広い可能性を検討し、プラスチック問題解決への貢献を目指しています。
当社グループは、様々な社会課題を解決するプラスチック素材を提供してきたメーカーとして、今後も積極的にプラスチック問題に対応してまいります。

従業員の状況研究開発活動


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