有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LKI5 (EDINETへの外部リンク)
株式会社ADEKA 研究開発活動 (2021年3月期)
当社の研究開発体制は、既存事業に密着した6つの開発研究所(樹脂添加剤開発研究所、情報化学品開発研究所、電子材料開発研究所、機能化学品開発研究所、機能高分子開発研究所、食品開発研究所)、将来の柱となる新規事業の創出を担う2つのコーポレート研究所(ライフサイエンス材料研究所、環境・エネルギー材料研究所)、及びこれらを支援する研究企画部により構成されています。
国内の連結子会社である日本農薬㈱、㈱ADEKAクリーンエイド、ADEKAケミカルサプライ㈱、及びADEKA総合設備㈱でも、独自の研究開発を行っています。また、海外拠点においては、国内の研究所と連携しつつ研究開発のローカライゼーションを推進しています。
昨今の新型コロナウイルス感染症による研究開発活動への影響は、本報告書提出日現在においてはほとんど顕著化していません。感染のさらなる拡大など今後の情勢変化が大きくなった場合は、適切に対策をしてまいります。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、13,945百万円です。
(1) 化学品事業
当社の基盤技術を活用し、市場環境の変化に対応した研究開発を行っています。単に素材を提供するだけでなく、ユーザーにおける課題を解決できるソリューションとして提案すべく、評価技術の向上を図るとともに、グループ内の技術連携にも努めています。また、成長が期待される新規分野や先端素材の研究開発では、外部機関との連携も積極的に推進しています。主な成果は以下の通りです。
① 樹脂添加剤
新興国の経済成長や自動車のマルチマテリアル化などに伴い、プラスチックの需要は拡大の一途をたどっています。その一方で、プラスチックごみによる環境汚染や石化資源の利用による地球温暖化など、製造側には新たな対策が求められています。当社は、省エネや環境負荷低減を可能とする高機能樹脂添加剤である核剤/透明化剤、光安定剤、難燃剤などの開発を通じ、持続可能な社会に貢献します。環境対応型樹脂添加剤の新ブランド「アデカシクロエイド」を立ち上げ、リサイクル樹脂向けワンパック添加剤とバイオ由来原料塩ビ用可塑剤等を開発し、サンプル提供を開始しました。環境対応型プラスチック市場に製品を積極投入することで、プラスチック資源の循環型社会へ貢献してまいります。ビスフェノールAフリーで現行品に比べ低添加量で高い難燃性を示すエンジニアリングプラスチック向け難燃剤「アデカスタブFP-900L」や、燃焼時の一酸化炭素や黒煙の発生を大幅に抑制し、添加した成型品の引張伸度が優れる熱可塑性ポリウレタン樹脂向けイントメッセント系難燃剤「同FP-2600U」を開発するなど、ハロゲンフリー難燃剤のラインナップ拡充を進めています。
② 情報・電子化学品
5G通信の商用化エリア拡大に伴うスマートフォンの高機能化や基地局の拡大、企業のビッグデータ利用推進によるデータセンターの需要拡大、ディスプレイでは液晶から有機ELへの置き換えが本格化しています。当社は、このような市場環境変化に加え、主要顧客からの要求に対するスピーディーな対応と、対韓国輸出規制も鑑み、研究開発を推進しています。EUV(極端紫外線)プロセスの実用化で加速する回路線幅の微細化に対応するDRAM向け高誘電材料を開発し、大手DRAMメーカーに採用が進んでいます。半導体フォトレジスト向け光酸発生剤や周辺材料の開発では、評価技術を強化することでお客様への提案内容を充実させ、市場開発を加速しています。
③ 機能化学品
持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の採択により、以前にも増して環境意識が高まり、環境に関する課題への取組みがますます大きな機会をもたらすと考えられます。当社は、自動車のエンジンオイルへ添加すると燃費向上効果を発揮するモリブデン系潤滑油添加剤「アデカサクラルーブ」や、国内外で排出規制強化が進む揮発性有機化合物(VOC)低減に貢献する水系コーティング材料をはじめとする環境配慮型製品の開発を推進しています。反応性乳化剤として世界で初めて米国食品医薬品局(FDA)の認証を取得していた「アデカリアソープ」シリーズについて、使用量上限を3%に引き上げて、改めて認証を取得しました。粘着剤用ポリマーの製造における配合の自由度が高まることで、これまで以上に食品包装やラベル用途での採用拡大が期待でき、米国・欧州市場を中心に提案を強化してまいります。また、自然由来原料を使用した化粧品用グリコール「アデカノール NHG eco」および「同CGE eco」を開発し、サンプルワークを開始しました。ナチュラル、サステナブルのニーズが特に欧米で高まっており、化粧品の防腐剤フリー処方の実現と持続可能な原料の活用を両立しました。
子会社であるADEKAクリーンエイド㈱では、業務用洗浄剤分野において、医療向けに販売開始した“中性でありながら、薬剤耐性の強いノロウイルスに有効なウエットクロス用薬剤”について、他社製品との比較・差別化データの取得、顧客への勉強会実施などを行い、コロナ禍で拡販サポートに注力しました。
一方で食品工業用洗浄剤分野では、持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みとして、生分解性に優れるアルカリ用洗浄添加剤を開発しています。本品は、好気的微生物で排水処理を行っている工場において、排水放流基準値の1つであるCOD値を低減可能です。また、超高温殺菌ラインにおいて、材質を腐食することなく殺菌条件下でアルカリ洗浄を行えるため、洗浄時間の短縮にも繋がります。
子会社であるADEKAケミカルサプライ㈱の湿式伸線剤では、STC業界最大手との環境対応型湿式伸線剤の共同開発を2つの方向性で進めています。その一つである、特定成分代替系は試作品3品をサンプル提出しました。評価アップは5月中を見込んでおり、評価終了次第、結果をフォローします。
粉末冶金用潤滑剤では、ADEKA DRAW MEL-03に対して大幅な性能向上を目指し、基材からの見直しを進めて来ました。特定成分を用いる事で20%以上の性能向上が認められました。併用成分の選択、調整及び海外法規の再確認後に新たな高性能製品として市場投入します。
(2) 食品事業
食品ロスの削減や人手不足、環境への配慮といった社会的な課題への対応に加え、食品産業の構造変化、また新型コロナウイルス感染症禍による働き方の多様化や消費行動の変化などに伴う課題をとらえ、ニーズに即した新製品開発を行っています。2020年4月には、「おいしさとやさしさで貢献します」をテーマに以下の新製品を発表しました。
① 加工油脂
焼き立てのパンのような食感を時間が経っても維持できる機能性練込油脂「マーベラス」(※)、さっくりとした食感に仕上がり、作業性に優れ長持ちする固形フライオイル「EZフライオイル」など。(※)2021年1月、「マーベラス」は社会問題である食品ロス削減に貢献するという新しいアプローチの製品であることが評価され、「2020年日経優秀製品・サービス賞 日経MJ賞」(主催:日本経済新聞社)を受賞いたしました。
② 加工食品
合わせる素材の風味を引き立て、冷凍・解凍後もおいしさを維持できる混合用のホイップクリーム「アレンジホイップ」、洋菓子生地の食感改良や形状安定化による歩留まり向上に効果のある練込素材「スタビリティリキッド」など。パーム油を配合する製品にあっては、全て持続可能なパーム油(RSPO認証油)を使用しています。また、全ての新製品が低トランス脂肪酸対応品です。
“おいしさ”はもちろん、食品ロス削減や労働力不足解消、持続可能な原料の使用など、お客様や環境、社会、健康に貢献する“やさしさ”を兼ね備えた商品がご好評をいただいています。
(3) ライフサイエンス事業
連結子会社である日本農薬㈱では、持続的な新規剤創出を目指してパイプラインの早期拡充に取り組むとともに、既存剤の維持・拡大を目指し全社的な連携による戦略的な研究開発を推進しています。当期における主な成果は以下の通りです。
日本・インド同時開発を進めている新規水稲用殺虫剤ベンズピリモキサン(商品名「オーケストラ」)は、2020年9月に日本で農薬登録を取得し、2021年5月に販売を開始いたしました。インドでも2019年2月に登録申請を完了し、順調に評価が進んでおり、2022年の登録取得を見込んでいます。
汎用性殺菌剤ピラジフルミド(国内商品名「パレード」)は、国内において野菜用で新規処理分野(セル苗灌注処理)での開発を推進し、レタス、はくさい、キャベツに加え、新たにねぎでの登録を取得しました。同剤については、グローバルな開発も展開中であり、2019年3月に韓国において製剤登録を取得し、現地販社と協力して2020年に販売を開始しました。2019年には米国(カリフォルニア州含む)、カナダ、メキシコへ登録申請し、2022年の登録、販売開始を見込んでいます。さらに欧州、ブラジルおよびその他の国および地域においても開発の可能性を検討しています。
(4) 新規事業の推進
注力分野として「ライフサイエンス」、「環境」、「エネルギー」を掲げ、研究開発体制を強化して新規事業の創出に取り組んでいます。
① ライフサイエンス
世界に前例のない超高齢化が進む日本では、健康長寿社会の形成が急務です。健康と長寿を共に享受するため、疾病の予防や早期発見による重症化防止、高齢者の生活機能低下の抑制、疾病や創傷の治療のあとのQOL改善のための対策を講じなくてはなりません。当社はこれまでに蓄積した化学品分野と食品分野の技術やネットワークはもちろんのこと、社外リソースの活用も図り、健康長寿社会の形成に貢献する新規事業の創出を加速しています。脱細胞化再生医療用材料は、主要市場である欧米の医師に感触や使いやすさを確認し、良好な評価を得ました。
② 環境・エネルギー
再生可能エネルギーの導入拡大の中で太陽光や風力などの電源のコスト低減が進み、コスト競争力のある電源となったことで、更なる導入拡大を生むというサイクルが世界的に生じています。しかしながら、太陽光や風力のような変動電源をさらに増加させるには出力変動に対応する必要があり、その対策の一つに二次電池を用いた電力貯蔵技術が挙げられます。当社では、次世代二次電池向けの電極材料や電解液添加剤などの各種材料の開発を推進しています。東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 大塚 英幸教授と共同で、プラスチックに自己修復性を付与できる架橋剤を開発しました。高分子学会広報委員会パブリシティ賞を受賞し、「第29回ポリマー材料フォーラム」において発表しました。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00878] S100LKI5)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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