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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100L27K (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 日本ペイントホールディングス株式会社 研究開発活動 (2020年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

第2「事業の状況」 1(1)①に記載されている会社の経営の基本方針のもと、当社は、塗料が持つ魅力を技術の力で最大化するために、グループ技術の総合力と社外ネットワークとのコラボレーションを強化する取り組みを進め、「顧客の付加価値を高める技術の創造」、「環境にやさしい商品への置換」、「新たな需要の創出」、「次世代型生産システムの構築」などさまざまな社会課題を解決できる製品・サービスを提供するための技術開発を推進しております。R&D領域においては、2020年5月に東京大学と両組織の包括的な共同研究及び人材交流を、高度なレベルで推進する産学協創協定を締結し、東京大学内に『革新的コーティング技術の創生』社会連携講座を設置しました。協創資金は2020年10月から5年間で10億円規模を投入し、塗料とコーティングを軸に、抗ウイルス技術を含む新型コロナウイルス感染症の拡大防止に資する技術や、将来訪れるスマート・リモート社会の基盤づくり、並びに美しく魅力あふれる持続可能型社会を紡ぐための新たな技術を提供すべく研究を開始しております。
特に、抗ウイルス製品の開発においては、最優先課題として、グループ横断の専門チームを組織しました。この組織を中心に、抗ウイルス・抗菌製品ブランド「PROTECTON」として、「PROTECTON インテリアウォール VK-200」を上市するとともに、DIY向け商品として「PROTECTON インテリアペイントプレミアム」「PROTECTON インテリアウォール VK-200 DIY用」を発売しました。加えて、自動車用コーティング技術を応用した防曇性・反射防止性に優れた「ニッペフェイスガード」も発売しました。今後も、新型コロナウイルス感染症拡大の抑制を含む新たな社会課題の解決に資する製品を生み出し、社会貢献を果たしてまいります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は18,411百万円であり、連結売上収益に占める割合は2.4%です。主な研究開発活動の概要及び成果は次のとおりであります。

(1)日本
当地域では、自動車用塗料・工業用塗料・汎用塗料・自動車補修用塗料・船舶用塗料・ファインケミカルなどの事業分野を中心に研究開発活動を行っております。
自動車用塗料分野においては、従来の活動である外板への機能性や意匠価値を付与した高付加価値商品の市場導入に加え、自動運転、カーシェアリング等の世の中の変化を見据えた新たなコーティング技術の開発と、FPD(フラットパネルディスプレイ)分野への市場参入を進めております。また、環境対応面では、溶剤低減塗料・水性塗料・スズフリー電着塗料などの環境に優しい塗料開発・市場導入や、塗装工程の短縮や硬化温度を下げる事などにより、塗装時の消費エネルギー低減に貢献できる塗料開発を強化中です。
工業用塗料分野においては、VOC(揮発性有機化合物)排出量削減など国内外で環境規制の強化が進む社会情勢のもと、国内外の法規制(特化則、RoHS指令、SVHCなど)への対応や省エネに寄与する商品の上市により、粉体塗料・水性塗料・ハイソリッド塗料、遮熱塗料などの環境配慮型商品への移行が順調に進んでおります。粉体塗料では、千葉工場内の新工場が稼働し、高機動・高効率生産体制が整うとともに、市場が求める「納期が早い」「塗り易い」「リーズナブル」といった3大ニーズに適応したセミカスタム粉体塗料「レヴォックス」を発売し市場拡大が進んでおります。水性塗料では顔料の沈降を抑え、沈降防止に必要な攪拌の為の電力エネルギー量を大幅に削減できる省エネ電着塗料「パワーフロート」が安定的に市場で定着しております。また、広範囲の素材適性を有する1液速乾万能形下塗り塗料「パワーバインド」シリーズでは、ローラー作業適性、調色対応等の機能拡充を行い、新たに発売した1液常温乾燥形上塗り塗料「ニッペ1液パワーウレトップ」と共に、ライン塗装及び現場塗装でのニーズにマッチしたより使いやすい商品として高い評価を受けております。プレコート用塗料については市場ニーズにいち早く対応すべく、環境配慮型クロメートフリー塗料の研究開発を推進し、国内外での実証ステージに移行しております。また、都市部のヒートアイランド現象の対策としてアスファルト道路の路面温度を10~15℃下げることが可能な遮熱塗料「ATTSU-9 ROAD(U)」は、東京都、国交省を中心にした都道、国道等での採用にとどまらず、国際的運動イベントの各体育施設周辺の舗装にも幅広く採用されております。
汎用塗料分野においては、高付加価値商品の開発に注力してまいりました。
建築用塗料においては、意匠の多様化に合わせて昨年上市した外壁に煌めき感のある意匠を演出する水性高意匠光輝性フレーク塗材「クリスタルアートUV」に続き、最高位の耐候性を有する無機系樹脂を採用した「クリスタルアートセラミック」を発売し、商品力強化を図っております。鉄構・コンクリート塗料では、日本下水道事業団適合工法である「タフガードGシステム」を発売し、インフラの維持・改修への一層の貢献を図っております。
自動車補修用塗料分野においては、e3(EASY×EXCITING×ECOLOGY = e3(イーキューブ))コンセプトを開発方針とし、粘性制御技術を駆使した次世代型水性ベース「nax e3 WB」を市場導入し高い評価を得ております。また、溶剤型塗料に匹敵する作業性を有する水性プラサフ「ヴィータ」及び水性クリヤー「NNクリヤー」を上市しました。大型車両や架装車両などの大面積塗装向けの2液ウレタン樹脂塗料「nax ネオウレタンエコ」のラインナップに高隠蔽原色として「パワーシリーズ」を追加しました。環境配慮型の2液ウレタン樹脂塗料として実績を着実に伸ばしており、今後とも高付加価値、環境配慮型商品の開発を進めてまいります。
船舶用塗料分野においては、SDGs・ESG視点を経営の中核とし、環境負荷を低減する技術、商品の開発を行っております。新たに開発した船底防汚塗料「FASTAR」は、塗膜表層制御技術により業界初の「親水疎水ナノドメイン構造」を持っており、塗料中に含まれる防汚剤の溶出量を低減しながらも高い防汚性能を発揮できる製品となっております。また、当社が開発する長期防食塗料は、船舶・海洋構造物に要求される国際規格を満たし、資産価値の維持、向上に貢献しております。また、施設面においては、自然海水を使用した評価・分析を行っている臨海評価技術センター(岡山県玉野市)が更なる機能・役割の強化を図り、商品開発の中核を担っております。今後も環境を保全し、社会課題の解決に貢献できる商品を生み出してまいります。
ファインケミカル分野においては、1マイクロメートル程度の非常に薄膜でありながら、素材の付加価値を飛躍的に高めるユニークな表面処理剤を開発・提供しております。当社の表面処理剤には、主に塗料と一緒に使用されて高い耐食性や塗膜密着性を付与する塗装前処理剤と、素材に親水性や耐汚染性など様々な機能を付与する機能性コーティング剤があります。自動車用・工業用塗料市場における塗装前処理剤として、皮膜形成工程におけるエネルギーや廃棄物を大幅に削減した環境配慮型化成システムを中心に、開発と導入拡大を進めました。飲料缶市場においては、国内随一の技術をもって、成型加工から塗装前処理工程まで、市場の要求にあった新システムを開発しております。アルミニウム箔市場においては、熱交換機向けの高機能親水化処理剤や、電池包材向け高接着性処理など、様々な機能性コーティングの開発と導入に成功してまいりました。社会課題解決に向けて、コア技術を生かした商品開発により、防汚コーティング市場への導入を果たしました。今後も社会の要求に適合した、高度な機能を有する薄膜コーティングの開発に注力してまいります。
当地域における研究開発費用は5,563百万円であります。

(2)アジア
当地域では、アジアのパートナー企業グループであるNIPSEA各社と共同で、自動車用塗料・工業用塗料・汎用塗料・自動車補修用塗料・船舶用塗料・ファインケミカルなどの事業分野を中心に、研究開発活動を行っております。
自動車用塗料分野においては、新たな取組みであるグループ会社間でのグローバルな研究開発活動の一環として、中国、東南アジア各国で現地法人との協業により、環境配慮型水性塗料や塗装工程での消費エネルギー低減を可能とする塗料の開発を進めております。また、東南アジアで需要が高い二輪向け塗料については、現地ニーズに対応した商品開発が現地主体で完了し、既に供給が進んでおります。
工業用塗料分野においては、NIPSEA各社との連携により、環境配慮型商品を軸に技術融合を積極化しております。VOC(揮発性有機化合物)の含有量を従来型塗料に比べ低減させる水性塗料やハイソリッド塗料など、各国の市場ニーズに適合した商品開発による事業領域の拡大を進めております。
汎用塗料分野においては、分野別に共有技術を明確にして、各国現地法人との共同研究を進めているとともに、SDGsを視野に入れた水性塗料の開発、普及に注力しております。
自動車補修用塗料分野においては、国内で高い評価を得ている次世代型水性塗料「nax e3 WB」を、積極的に市場展開しております。
船舶用塗料分野においては、中国(張家港)、韓国(釜山)、シンガポールを生産拠点としております。近年厳しくなる各国の環境規制に対応し、グローバルに調達可能な原料や、適切なローカル原料の選択などを行っております。主要商品を現地生産することにより、船舶用塗料の主要消費地となったアジアへの供給体制を構築してまいりました。今後も、既存製品だけでなく、新製品の導入をいち早く行うことのできる研究開発活動を行ってまいります。ファインケミカル分野においては、日本で高めた塗装前処理剤や機能性コーティング剤などの表面処理剤を、アジア顧客の様々な要求に適合させた製品開発活動を進めております。日本の高度な製品技術を礎として、アジア各国の拠点において再設計から製造まで一貫して実施することにより、顧客の技術的な要求を満足するとともに、安価かつ短納期で提供する体制の確立を進めております。
当地域における研究開発費用は8,793百万円であります。

(3)オセアニア
当地域では、オーストラリアとニュージーランドを拠点とするDULUXグループが、塗料及び塗料関連事業で研究開発活動を行っております。同社は経営資源を汎用塗料、木材保護塗料、粉末塗料、保護用・防食塗料、自動車補修用塗料及び一般工業用塗料セグメント等に配分しており、また、Selleysブランドの接着剤及び充填剤事業においても研究開発活動を行っております。
汎用塗料事業では、低VOC塗料のEnvirO2シリーズを発売し、新製品開発において持続可能性を主な取り組み課題としております。また、DIY及び業務用ユーザー向けに水性塗料及び低VOC塗料製品の開発を継続しております。同社は、塗料周辺事業の拡大を事業戦略の重要な要素とし、ティルトアップ工法のコンクリート建築用洗浄剤及び塗装設備の発売に向けた研究活動も実施しております。保護用・防食塗料事業においては、引き続き耐火塗料製品の開発や、重工業セクターのエンドユーザー向けに耐食性塗料製品の開発を行っております。自動車補修用塗料事業においては、来年度は日本ペイントとDULUXグループの塗料製品及びカラーシステムの統合が活動の中心となります。
Selleysブランドではシーリング材、接着剤、充填剤及び洗浄剤製品を展開しており、Sil-X Tape/Tubeフォーマットの開発により高度なポリマー技術であるSil-X技術の普及拡大を進めております。DULUXグループは、結合強度や屋外耐久性などSelleysブランド製品の主な特長を保ちつつ、持続可能なソリューション開発に向けた技術開発を行っております。その他、美しい仕上げ面を実現した軟性隙間充填剤や、市場をリードする新たな製品特長やメリットなどに関する開発プロジェクトが進行中です。また、Selleysブランドでは、2025年までにより持続可能かつリサイクル可能な梱包材料を選択可能とすべく検討を進めております。
当地域における研究開発費用は1,631百万円であります。

(4)米州
当地域では、自動車用塗料・汎用塗料・ファインケミカルなどの事業分野を中心に研究開発活動を行っております。
自動車用塗料分野においては、環境配慮型水性塗料や塗装工程での消費エネルギー低減を可能とする塗料あるいは、自動車の車体軽量化に貢献するプラスチック素材向け塗料の開発、導入が進んでおります。
汎用塗料分野においては、当社グループであるDUNN-EDWARDS CORPORATIONの研究開発部門と協力して、安全・快適を志向した塗装技術及び商品開発活動を進めております。
ファインケミカル分野においては、自動車市場向け塗装前処理剤とアルミニウム箔向け親水化処理剤の導入を進めております。いずれも日本で開発した商品技術を基盤に、現地で製品の最適化と製造を実施し、北米各国とブラジル・アルゼンチンなど南米諸国への拡大が進んでおります。
当地域における研究開発費用は1,093百万円であります。

(5)その他
欧州地域では、自動車用塗料・船舶塗料などの事業分野を中心に研究開発活動を行っております。
自動車用塗料分野においては、欧州の自動車用塗料事業を担うパートナー企業であるBOLLIG & KEMPER GMBH & CO.KGが、日本、アジア、米国におけるグループ会社の研究開発拠点と連携しながら、環境配慮型商品導入に繋げる研究開発活動を進めております。
船舶用塗料分野においては、環境への意識が日々高まっており、国際海事機構IMOは2050年までにCO2排出量を半減させるという目標を掲げております。この目標を更に推し進め、事業活動からのCO2排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言している船会社もあります。現在、同社には低摩擦塗料「A-LF-Sea」が採用されており、その性能が高く評価されております。さらなるニーズに応えるべく、新製品「FASTAR」の推進や、より環境に配慮した製品の開発を進めてまいります。
当地域における研究開発費用は1,328百万円であります。

今後も引き続き、日本及び各国におけるグループ各社の技術開発部門が、最新の技術情報とノウハウを共有して、グローバル市場に向けての商品開発に取り組むとともに、さらなる製造コストの低減、安定した品質の確保に取り組んでまいります。

事業等のリスク株式の総数等


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