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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LMEE (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 雪印メグミルク株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループ(当社および連結子会社)は、当社、雪印種苗㈱および雪印ビーンスターク㈱を中心に、コーポレートスローガン「未来は、ミルクの中にある。」に基づき、事業戦略上急務となっている研究開発課題や、中長期的成長の基盤となる基礎研究を幅広く実施しております。
原材料価格の高騰による調達コストの上昇、また国内外の乳・乳製品需給が変動する中、環境変化を先取りして消費者に受け入れられる商品を継続的に提案するために、乳(ミルク)の価値を中軸に「市場対応型商品」と「付加価値型商品」を両輪とした商品開発を行っております。また、商品開発を支える研究開発として、乳(ミルク)の機能を中心とした「おいしさ」と「健康機能」の追及と、「環境配慮」を主軸とした基礎研究と技術開発に取り組んでおります。

当連結会計年度の研究開発費の総額は4,255百万円です。
各セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりです。
〈乳製品〉
当連結会計年度の研究開発費の総額は1,834百万円です。
●当社
減塩チーズの市場規模は約3倍の潜在規模があると予測されています。そこで、チーズカテゴリーでは、減塩による保存性低下を補うためにイージースマートパックを採用した、塩分35%カット(プロセスチーズ比「日本食品標準成分表2015」)の「あじわい減塩チーズ」の発売を行いました。減塩商品でありながら、ゴーダチーズをベース配合にすることで、しっかりしたチーズのあじわいを感じさせる風味に仕立てました。また、風味に特長のある4種類のチーズ(ゴーダ、モッツァレラ、カマン、チェダー)を配合した「4種のスライスチーズ」の発売を行いました。そのまま食べると、チーズの風味がしっかりと感じられ、加熱すると、「とろ~り」とろけた食感を堪能できる設計と致しました。さらに、骨に特化したコンセプトが高い満足度を生んでいる「毎日骨太」シリーズとして、「毎日骨太2個で1日分のカルシウムチーズケーキヨーグルト味」を発売しました。加えて、「プルーンFe」シリーズとして、「プルーンFe2個で1日分の鉄分」を発売致しました。チーズケーキデザートチーズ市場に「栄養」訴求の新たな価値を提供致します。
油脂カテゴリーでは、「ネオソフト」の改良を行いました。「ネオソフト」ならではの価値を訴求するために、「クリーミー」な味わいを強化致しました。改良にあたり、食パンの研究成果を活用し、パンに合う風味へと仕立てました。また、ミルキーシリーズの第4弾として、「ミルキーホワイトチョコ味」を発売致しました。「ミルキー」の原料である練乳とホワイトチョコは相性が良く、良好な風味を実現しました。
今後も様々な食シーンの提案と、たゆまざる商品力向上へ取り組んで参ります。

乳製品事業における「おいしさ」と「健康機能」に関する研究を行い、おいしさを構成する技術と、当社独自の乳製品の健康機能の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を乳製品の商品開発と商品力強化、および当社独自の機能性素材の価値向上に活用致しました。
主な研究成果は以下の通りです。
・クリームチーズを原料としてプロセスチーズに加工する際の製造工程が風味に対してどのような影響を与えるのかを調べた。その結果、製造時の加熱温度が高いと、チーズの構造が強固になり、食べた時にチーズの香りが広がりにくくなることが示唆された。また加熱臭が多く生成されて感じやすくなるため、「ヨーグルトのような香り」「酸っぱい香り」の風味は弱く感じられることが推察された。
・バターなどの油脂食品中の香気成分の分析では、蒸留法やSPMEを用いたヘッドスペース香気分析がよく使用されるが、減圧操作により香気成分が失われやすい。そこで、分析法を検討した結果、溶媒抽出とカラムによる分画を併用することで、効果的にバター香気の抽出が可能であることを確認した。また、香気抽出物から64種類の化合物を同定し、23種類の化合物がバター香気の強度に寄与することが示された。
・ホエイ粉の製造時の噴霧乾燥工程における回収率と品質の向上に向けて、噴霧乾燥機内部へのホエイ粉の付着現象を解明するために検討した。その結果、噴霧乾燥におけるCFDシミュレーション技術を確立して噴霧乾燥機内における乳製品粒子の動きの予測精度が向上した。また、ホエイ粉の内壁への付着は、ガラス転移温度の低い粒子の影響であることが明らかとなった。
これらの研究成果は論文としてInternational Dairy Journal、日本食品化学工学会誌に掲載いたしました。


●雪印ビーンスターク㈱
「赤ちゃんとお母さんをはじめ、家族の健康といきいきしたくらしをサポート」する商品をお客様にご提供するために、「母乳調査研究」、「乳幼児の食生活実態調査」をはじめとする赤ちゃんに関する調査研究、「妊産婦・授乳婦の食事調査」などの調査研究を実施しています。これらの調査研究をもとに、粉ミルク・ベビーフードなどの赤ちゃん向け商品、お母さんのための母親向け商品、シニア世代の健康をサポートする機能性食品などの幅広い商品の開発を行っています。
今年度は、乳児用調製液状乳「ビーンスターク・液体ミルク すこやかM1」を乳児用調製粉乳「ビーンスターク・すこやかM1」と同じ開発思想を基に、「オステオポンチン」「DHA」等の成分を配合し、2020年4月下旬に発売しました。
授乳中の女性向け商品「ビーンスタークマム カルシウム+鉄」を2020年9月よりリニューアル発売しました。日焼けを避ける女性が増え、コロナ禍において外出機会が減少する中、授乳期のビタミンD不足に対応するため、通常の食事に加えて本品の1日の摂取目安量(6㎍)を摂取することで、日本人の食事摂取基準(2020年版)の目安量を満たせるようにビタミンDの増量をいたしました。
1才半頃からの口中清涼菓子「ビーンスターク ハキラ」につきましては「オレンジ」の風味改良を行い、2020年9月よりリニューアル発売しました。新フレーバーとして「ラムネ」「ブドウ」「イチゴ」の3品を2021年3月に発売しました。また、「アソート」タイプについては、「ラムネ」「イチゴ」「ブルーベリー」の3つの味に変更し、リニューアル発売しました。
中高年向けに「Wのひらめき」「DHA&EPA」の2品を2021年1月より「雪印メグミルクダイレクト」(通信販売限定)にて発売しました。「Wのひらめき」は60年以上にわたる母乳研究を大人の健康にも活かしたいと考え、母乳中のリン脂質のひとつであるホスファチジルセリンに着目し開発しました。本商品はPS(大豆由来ホスファチジルセリン)とイチョウ葉由来フラボノイド配糖体、イチョウ葉由来テルペンラクトンが含まれ、判断の正確さを向上、記憶の維持をサポートする機能性表示食品です。
研究開発では、雪印メグミルク㈱と当社による第3回全国母乳調査を継続して実施しています。今年度は、免疫機能に関連するオステオポンチン(OPN)について2018年に引き続き報告を行っています。すなわち、1989年調査の日本人初乳では、2013年調査した日本人初乳に比較してOPN濃度が高いことを見出しました。小児アレルギーとの関連についてはさらに検討が必要ですが、近年の日本人初乳ではOPNが減少していることを示したものになります。本内容は、EAACI(欧州アレルギー臨床免疫学会)にて報告を行いました。また、感染防御に関連する成分として重要なシアル酸やオリゴ糖について日本人母乳中の含量について分析し、総シアル酸含量は泌乳期の経過に伴い減少することを示しました。本内容は、日本農芸化学会大会にて報告を行いました。引き続き、母乳の免疫機能や感染防御に関しては研究を進めることとしています。一方、日本人母乳の脂肪酸組成について、特にドコサヘキサエン酸(DHA)の母乳中濃度について米国栄養学会の雑誌Current Developments in Nutritionに掲載されました。母乳中のDHA濃度とお母さんの食事調査結果とあわせて解析したところ、母乳中のDHA濃度は、DHAサプリメントの摂取や焼き魚摂取量に相関があることがわかりました。今後も、日本人の母乳成分と対応する母子の背景情報との関連性を調べてまいります。

〈飲料・デザート類〉
当連結会計年度の研究開発費の総額は1,487百万円です。
●当社
牛乳・乳飲料カテゴリーにおいては、2020年春には「毎日骨太MBP®」(900ml、500ml)、「毎日骨太MBP®1日分のカルシウム」(LL200ml)および「アカディおなかにやさしく」(900ml、500ml、180ml)を、「おいしさと栄養を両立させた新しいカテゴリー」へのリポジショニングを目指す商品として発売。特に大容量タイプ(900ml)においては、いずれも「ピュアパックセンスウェーブ」という口栓付新容器を日本初採用いたしました。
同じく白物乳飲料において、「特濃」(900ml、500ml)、「すっきりCa鉄」(1000ml、500ml)については、秋にリニューアル発売を実施。「特濃」は大容量タイプ(900ml)を口栓付容器に変更し、「すっきりCa鉄」については、安定供給と収益性の確保を両立するために価格改定を実施いたしました。
更に2021年3月23日、満を持して「MBPドリンク100ml」を発売しました。長年の研究の成果である当社独自の乳素材「MBP」を使用した、飲料タイプとして初の「骨密度を高める」機能性表示食品となります。

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色物乳飲料においては、春に「BOTTLATTE」シリーズ(400ml)を大きく刷新し、新たに「Bottlatte&Go」(300ml)として発売いたしました。容器を手で持ちやすいスリム容器「TTミディ」に変更し、更に簡単開封できる内フタの無いキャップを採用。利便性・携帯性を大きく向上させました。秋には「タンパク質市場の広がり」へ対応する商品として、「PROTEIN10シリーズ」(LL200g)を発売。他社にはない「カップ」タイプで、「おいしく、さらにスタイリッシュにタンパク質を摂りたい」というニーズに応える商品として発売いたしました。
ヨーグルトカテゴリーでは、2020年1月に「目や鼻の不快感を緩和する」機能性表示食品として「乳酸菌ヘルベ ドリンクタイプ」(100ml)を発売し、年間商材としての定着を目指しました。「恵 megumi」ブランドについては、シリーズ全体のパッケージ変更を実施。視認性を高めたデザインを採用いたしました。機能性表示食品の「恵 ガセリ菌SP株ヨーグルト」シリーズについては、商品のキャッチコピーを短くし、保健機能である「内臓脂肪を減らす」を、見えやすく表示しました。
デザートカテゴリーでは、チルドΦ71デザートの強化を図るべく、トールカップは全品一新を図りました。「CHEESE MEETS SWEETS」シリーズについては、当社が得意とする「チーズ」を、独自の積層技術を活用し、多層で楽しめるデザートとして2品(濃厚チーズプリン、すっきりレアチーズ)発売しました。「アジア茶房トール」については、アジアンスイーツを2層で楽しむというコンセプトのもと、2品(杏仁マンゴー、黒ごま白ごまプリン)発売しました。
また2021年3月には、この積層技術でパフェの味わいを再現した新たなデザート「Parfait Style」シリーズ(ラム酒香るチョコバナナ、いちご&バニラ)を発売しました。

飲料・デザート類事業における「おいしさ」、「健康機能」に関する研究では、主に当社独自のプロバイオティクス乳酸菌や乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を「ヨーグルト」、「牛乳、乳飲料」などの商品開発に応用し、商品力強化に活用致しました。また、環境に配慮した容器包装についても研究を続けております。
主な研究は以下の通りです。
・液体の注ぎやすさを評価するため、高速カメラとフォースプレートで記録し、さまざまな粘度の液体を注ぐ感覚を評価した。粘度の増加とともに注ぎやすさのスコアが減少した。注ぎ込みの3段階、すなわち液体が勢いよく流れ出る流動状態(I)、液体が流れ出て伸びる糸掛け状態(II)、液体が液滴として流れ落ちる垂れ状態(III)が観察された。粘度が増加するにつれ、状態IIの期間は延長した。これらの発見は、特徴的な容器や飲料の開発に役立つことが期待される。
・睡眠の特性や睡眠に関わる遺伝子はヒトとショウジョウバエの間でよく保存されている。そこで、モデル動物であるキイロショウジョウバエを用い、Lactobacillus属乳酸菌SBT2227株(SBT2227)による、ハエの睡眠への影響を調べた。その結果、SBT2227の経口投与により、夜間開始時の睡眠量の有意な増加と、睡眠潜時の有意な短縮が認められた。さらに、睡眠促進効果は加熱殺菌処理をしたSBT2227でも消失せず、SBT2227の有効成分は熱安定性を有する物質であることが示唆された。
・プラスチック製の大容量ヨーグルト用輸送容器(クレート)について、環境負荷低減を目的に形状の適正化を試みた。その結果、運用上支障のない強度を維持した上で、約14%軽量化し、プラスチック使用量として約95tを削減した。また、積載効率が10%以上向上した。さらに、通気性の向上により、ヨーグルト製造時の冷却時間を最大約60分短縮し、製造時の使用電力を削減した。

これらの研究成果は、論文としてTechnologiesに掲載され、日本分子生物学会、日本包装学会の各学会で発表しました。

〈飼料・種苗〉
当連結会計年度の研究開発費の総額は933百万円です。
●雪印種苗㈱
飼料分野では、機能成分シリマリンを含有する周産期用サプリメントの商品特徴について営業部門との社内情報共有を行い、商品採択・発売に向けて市場導入方法の協議を進めています。
代用乳に関しては近年、酪農現場で普及が進んできている個別管理哺乳ロボット(カーフレール)に対応する代用乳を設計・試作し、当社北海道研究農場および外部牧場で給餌試験を実施しています。
サイレージ給与試験としてはアントシアン高含有飼料用トウモロコシサイレージ試験を実施しました。比較対象区に比較して発酵品質の向上が認められましたが、産乳性には差が認められませんでした。
牧草・飼料作物種子分野では、北海道優良品種審議会において、当社で商品化検討を進めている飼料用トウモロコシの熟期80タイプ「LG31207」、90日タイプ「SH1481」、95日タイプ「SHY4041」、105日タイプ「SH15445」、およびペレニアルライグラス「KSP1403」(道総研と共同開発)が正式に認定を受けました。
畑作・園芸種苗分野では、インゲン「BN137」(導入品種)が鹿児島県の現地試験においてジベレリン処理の有無にかかわらず高い評価を得ました。
ダイコン開発については「RA425」が外部特性試験において比較対象品種と遜色なく、新製品として有望と判断し、実用化へ向けた開発を進めています。
緑肥開発では、パールミレット「ネマレット」(ADR300)がソルガム類連作障害発生圃場においても栽培可能、かつキタネグサレセンチュウ抑制能も持つことを明らかにし、商品採択を行いました。他社に先んじた発売と普及を目指します。ペルシアンクローバ「まめ小町」(CP1402)が水田跡地などでの湿害に強く、ダイズシストセンチュウ抑制能が高いことを明らかにし、商品採択を行いました。
多芽性ユリに関しては、増殖用鱗片のウイルス感染が陰性であることを確認し、昨年に引き続いて新潟県花卉球根農業組合での委託増殖と併行して、帯広市でも増殖試験を実施することとしました。
生理活性物質関係では、発根促進用液肥「闘根242」の低コスト商品について、当面は現行商品と同一規格として継続販売し、その後、価格低減効果を活用したマーケティング戦略を策定・実行する販売方針を決定しました。また、発売から30年以上経過している「スノーグローエース」の低コスト試作品を調製し、肥料製造委託先であるダン化学㈱による肥料登録申請を進めました。
環境緑化分野では、千葉県と共同開発したベントグラス「CY-4」(CY-2後継品種)のOECD登録が完了し、2021年度版にリストアップされました。

当社グループは、今後もコーポレートスローガンである「未来は、ミルクの中にある。」を基本に、乳(ミルク)の可能性の追求および酪農生産への貢献を目指した、高付加価値で独自性のある商品の開発を進めてまいります。

事業等のリスク株式の総数等


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