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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LV2D (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 富士フイルムホールディングス株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、写真感光材料やドキュメント等の事業で培った材料化学、光学、解析、画像等の幅広い基盤技術のもと、機能性材料、ファインケミカル、エレクトロニクス、メカトロニクス、生産プロセス等の技術領域で多様なコア技術を有しています。現在、様々な分野でビジネスを展開している当社グループでは、これらの基盤技術とコア技術を融合した商品設計によって、重点事業分野への研究開発を進める一方、将来を担う新規事業の創出も進めています。2021年3月31日には㈱日立製作所の画像診断関連事業の買収が完了し、当該事業を継承した富士フイルムヘルスケア㈱が新しいグループ会社としてスタートしました。今後、当社は、ヘルスケア領域の成長を牽引するメディカルシステム事業のさらなる拡大に取り組むとともに、当社グループの持つ技術、製品、サービスを結集して、これまで以上に質の高い豊富なソリューションを提供し、医療の質の向上と人々の健康の維持増進に貢献していきます。
2021年4月には当社の成長ドライバーであるヘルスケアの事業拡大を一段と加速させるため、ヘルスケアを医療機器等のメディカルシステムとバイオCDMO・創薬支援等からなるライフサイエンス※1に大別し、ライフサイエンス領域をリードする「ライフサイエンス戦略本部」を新設しました。「ライフサイエンス戦略本部」は、同領域におけるさらなるシナジーや新規ビジネスを創出するため、事業横断的な全体戦略(事業ポートフォリオ、M&A・提携、技術・R&D等)を立案・推進します。
また、富士フイルム㈱では、バイオ医薬品CDMOの中核会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下、「FDB」と記載します。)のバイオ医薬品の開発・製造受託の事業成長を加速させるため、FDBのデンマーク拠点へ約1,000億円の大型設備投資を行います。さらに、2,000億円を超える大規模投資を米国で行い、バイオ医薬品の大型製造拠点を米国ノースカロライナに新設します。これにより、FDBはバイオ医薬品市場で大きなシェアを占める米国・欧州で、「ワンサイト・ワンストップ」の受託体制を備えた大型製造拠点を構築し、さらなる事業成長を図っていきます。また、FDBでは米国バイオテクノロジー企業Novavax, Inc.より、同社が開発しているCOVID-19のワクチン候補「NVX-CoV2373」の原薬製造を受託しました。FDBは、COVID-19のワクチンや治療薬の開発が進展する中、顧客ニーズに合った高品質なバイオ医薬品を迅速かつグローバルに供給し、COVID-19の感染拡大の抑止や流行の終息に貢献していきます。
このように当社グループでは、富士フイルム㈱、富士ゼロックス㈱及びその他の子会社とのグループシナジーを強化するとともに、他社とのアライアンス、M&A及び産官学との連携を強力に推進し、新たな成長軌道を確立していきます。
当連結会計年度における研究開発費の総額は152,150百万円(前年度比3.6%減)、売上高比6.9%となりました。各セグメントに配賦していない汎用性の高い上記基盤技術の強化、新規事業創出のための基礎研究費は23,890百万円です。

※1 ライフサイエンス領域は、バイオCDMO事業、ライフサイエンス事業(再生医療、培地・試薬等の創薬支援を含む)、 医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業(化粧品・サプリメント)で構成される。

当連結会計年度の研究開発の主な成果は次のとおりであります。
(1)イメージング ソリューション部門
フォトイメージング事業では、インスタントカメラinstaxシリーズの新たなラインアップとして、世界中で特に人気の高いエントリーモデルの新製品「instax mini 11」やスクエアフォーマットのフィルムに対応した「instax SQUARE SQ1」、カードサイズのミニフォーマットフィルムに対応した「instax mini 40」を発売しました。
光学・電子映像事業の電子映像分野では、35mm判の約1.7倍となるラージフォーマットセンサーを搭載したミラーレスデジタルカメラ「GFXシリーズ」の最新モデルとして、「FUJIFILM GFX100S」や465gの小型軽量ボディに、5軸・最大6.0段の手ブレ補正機能を備えるミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-S10」を発売しました。また、独自の色再現技術による卓越した画質と小型軽量を実現する「Xシリーズ」の最新モデルとして、ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-E4」を発売しました。光学デバイス分野では、世界初の2軸方向で回転するレンズを搭載した超短焦点プロジェクター「Zシリーズ」の新たなラインナップとして、明るさを従来機1.6倍の8000ルーメンに高めた「FP-Z8000」を発売しました。本体を動かさずに様々な方向へ映像を投写できるため、商業施設や美術館・博物館等での空間演出の可能性を広げます。また、最先端の光学技術により超高精細8K映像の撮影が可能な放送用レンズ2機種、世界最高※266倍ズームのボックスタイプ「FUJINON HP66×15.2-ESM」と世界最広角※27.6mmのポータブルタイプ「FUJINON HP12×7.6ERD-S9」を発売しました。
本部門の研究開発費は、8,669百万円となりました。

※2 8K対応の放送用レンズとして。2021年1月21日時点。当社調べ。

(2)ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門
メディカルシステム事業ではがん検診を中心とした健診センター「NURA」を、インドのベンガルールでオープンしました。「NURA」では、高精細な診断画像を提供する当社の医療機器やAI技術を活用したITシステム等で医師の診断をサポートし、がん検診をはじめ生活習慣病検査サービスを提供します。また、富士フイルム㈱と国立がん研究センターは共同で、医師がAI技術を開発できる研究基盤システム「AI開発支援プラットフォーム」(以下、「本プラットフォーム」と記載します。)を開発しました。今後、国立がん研究センター内の複数の研究テーマで、本プラットフォームの研究活用と有用性の検証を進め、当社が製品化を目指します。加えて、当社の感染症検査装置「富士ドライケム IMMUNO AG」シリーズ用の体外診断用医薬品として、写真の現像プロセスで用いる銀塩増幅反応による高感度検出技術を応用した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原検査キット「富士ドライケム IMMUNO AGカートリッジ COVID-19 Ag」を発売しました。内視鏡診断の分野では、AI技術を用いて大腸内視鏡検査時におけるポリープ等の病変の検出腫瘍性もしくは非腫瘍性の鑑別を支援する内視鏡診断支援機能「CAD EYE™」を搭載したソフトウェア「EW10-EC02」を発売しました。
医薬品事業では、バイオテクノロジー企業のVLP Therapeutics Japan合同会社(以下、「VLP Therapeutics社」と記載します。)と、同社が開発するCOVID-19ワクチンの製剤の製造受託契約を締結しました。今後、当社は、保有する脂質ナノ粒子製剤の製造設備・インフラを活用して、VLP Therapeutics社が開発するCOVID-19ワクチンの製剤のプロセス開発から治験薬製造まで受託していきます。また、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」(一般名:ファビピラビル)について、COVID-19の患者を対象とした新たな臨床第Ⅲ相試験を国内で開始しました。加えて、放射性医薬品「ルタテラ®静注」(一般名:ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu))は、ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍の新たな治療選択肢となる「ペプチド受容体放射性核種療法剤」として、国内で初めて製造販売承認を取得しました。
バイオCDMO事業では、FDBに約40億円の設備投資を行い、遺伝子治療薬のプロセス開発・原薬製造拠点を米国ボストンエリアに新設します。今後、当社は、テキサスとボストンの米国2拠点、英国拠点を活用して、遺伝子治療薬のプロセス開発・製造受託ビジネスをさらに拡大していきます。また、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学等とともに、最先端治療分野の産学共同研究開発コンソーシアム「The Massachusetts Center for Advanced Biological Innovation and Manufacturing, PBLLC」(以下、「CABIM」と記載します。)に参画します。今後、CABIMが研究開発を進める遺伝子改変細胞治療薬※3等の最先端治療薬のプロセス開発及び製造の受託を行います。
再生医療事業では、米国子会社であるFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.(以下、「FCDI」と記載します。)、Opsis Therapeutics, LLCと、大手製薬企業Bayer AGの子会社であるBlueRock Therapeutics LPは、iPS細胞を用いた眼疾患治療法の研究開発における戦略的提携に合意しました。3社は、今回の戦略的提携により、互いの技術や知見を結集させて、iPS細胞を用いた眼疾患治療法の研究開発を推進していきます。また、FCDI並びにGMPグレードのiPS細胞製造において世界的なリーディングカンパニーであるLonza Walkersville, Inc. は、全世界を対象としたiPS細胞関連技術の利用拡大に関する契約を締結しました。本契約により、医薬品開発企業は、両社が有する専門知識と技術をiPS細胞の製造に活用することが可能となります。
ライフサイエンス事業では、肌の弾力性を改善する新成分として、黒胡椒に由来し、血行促進効果で知られる成分「テトラヒドロピペリン」をナノ乳化した「ナノテトラヒドロピペリン」を開発しました。本研究では、毛穴の収縮を担う立毛筋をケアすることで、毛穴が目立たないハリのある肌へ導く新しいスキンケアの可能性を示すことができました。当社は、本研究成果を、機能性化粧品に応用する予定です。また、皮膚の最上層である角層にメラニンが滞留するメカニズムを解明しました。さらに、血行促進効果で知られるマロニエエキスに、肌が生まれ変わるターンオーバーの一環である角層剥離※4を促進し、角層に滞留したメラニンの排出を促す効果があることを発見しました。本研究では、角層に滞留したメラニンを排出するという、これまでの美白ケアとは異なる全く新しいアプローチで、透明感のある肌へ導くことができる可能性を見出しました。今後当社は、今回の研究成果を美白化粧品に応用する予定です。また、エイジングケアを目的とした「ASTALIFT(アスタリフト)」ブランドから、最高峰のジェリー状美白先行美容液「アスタリフト ホワイト ジェリー アクアリスタ」(医薬部外品)を新発売しました。本製品には、肌の角層のうるおいを保ち健やかに整える「Wヒト型ナノセラミド」や、肌にハリとうるおいを与える「ナノアスタキサンチン」に加えて、美白有効成分「アルブチン」や独自成分の「ナノAMA+」、「マロニエエキス」、「ビルベリー葉エキス」等の美容成分も配合されています。
産業機材事業では、AIを活用した画像解析により橋梁やトンネル等の損傷を自動で検出し、点検業務を大幅に効率化する社会インフラ画像診断サービス「ひびみっけ」の機能をさらに拡張し、従来の「ひびわれ」に加え、新たに「剥離・鉄筋露出」「漏水・遊離石灰※5」を自動で検出できる機能を搭載しました。
ファインケミカル事業では、インド型・カリフォルニア型ウイルスに共通する「L452R」変異を高感度に検出する「L452R 変異検出キット」や、南アフリカ型やブラジル型の変異型ウイルスに共通する遺伝子を検出する「E484K変異検出キット」等、新型コロナウイルス変異株に対応する検出キットを発売しました。当社は、新型コロナウイルス変異株の検出試薬のラインアップを強化し、新型コロナウイルス感染症の実態調査や感染拡大の抑制に貢献していきます。
記録メディア事業では、新たな磁性体として「ストロンチウムフェライト磁性体」を採用した磁気テープの実走行試験をIBM Researchと共同で行い、塗布型磁気テープにおいて世界最高※6の面記録密度317Gbpsi(ギガビット毎平方インチ)でのデータ記録・再生を実証しました。これは、1巻あたりの記録容量が世界最大※7容量580TB(テラバイト)データカートリッジの実現を可能とする画期的な技術です。
グラフィックシステム事業では、「新聞用完全無処理型印刷版の開発」で、公益社団法人新化学技術推進協会が主催する第19回「グリーン・サスティナブル ケミストリー(GSC)賞 経済産業大臣賞」を受賞しました。今回の受賞は、新聞用完全無処理型印刷版の開発により、従来現像工程で使用していた化学薬品、水、電気、廃液をゼロ化したことに加え、包装材料の大幅な削減を実現し、新聞印刷業界の課題である環境負荷低減に貢献したことが高く評価されたものです。当社は、これまで培ってきた独自技術を活かして、社会課題解決に繋がる製品・サービスの提供により一層取り組むことで、社会の持続可能な発展に貢献していきます。
インクジェット事業では、水性インクジェットインク製品を製造、開発する米国子会社であるFUJIFILM Imaging Colorants Inc.に、約20億円の投資を行い、水性顔料インクジェットインク用色材である顔料分散液の製造設備を新設することを発表しました。当社は、インクジェットの市場ニーズに合わせたグローバル生産体制を構築し、事業成長を一段と加速させていきます。
本部門の研究開発費は、72,066百万円となりました。
※3 低分子医薬品では実現できない作用を持つ、たんぱく質等の生体分子を活用した医薬品。インスリンや成長ホルモンの他に、ワクチン、抗体医薬品、遺伝子治療薬等を含む。
※4 古い角層が剥がれること。
※5 コンクリート内部の水分等とうまく結合できず、単体で残った酸化カルシウム等の成分。ひびわれにより、コンクリート表面に滲み出す。
※6 2020年12月16日発表時点。塗布型磁気テープとして。当社調べ。

※7 2020年12月16日発表時点。非圧縮容量。当社調べ。

当社グループにおける新薬開発状況は次のとおりです。(2021年6月現在)
開発番号薬効・適応症剤形地域開発段階
T-705抗新型コロナウイルス(COVID-19)薬経口日本
米国
PhⅢ
PhⅡ
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)治療薬経口日本PhⅢ
T-817MAアルツハイマー型認知症治療薬経口米国
日本
欧州
PhⅡ
PhⅡ
PhⅡ
脳卒中後のリハビリテーション効果促進薬経口日本PhⅡ
T-4288新規フルオロケトライド系抗菌薬経口日本承認申請中
FF-10501骨髄異形成症候群治療薬経口日本
米国
PhⅠ
PhⅡ
FF-10502進行・再発固形がん治療薬注射米国PhⅡ
FF-21101進行・再発固形がん治療薬(Armed抗体)注射米国
日本
PhⅠ/Ⅱa
PhⅠ
F-1311前立腺がん診断薬(放射性医薬品)注射日本PhⅡ
FF-10101急性骨髄性白血病治療薬経口米国PhⅠ
FF-10832進行性固形がん治療薬(ゲムシタビンリポソーム)注射米国PhⅠ
FF-10850進行性固形がん治療薬(トポテカンリポソーム)注射米国PhⅠ
F-1614難治性褐色細胞腫治療薬(放射性医薬品)注射日本承認申請中

(3)ドキュメント ソリューション部門
ドキュメント事業領域では、大容量トナー採用による低ランニングコストでセキュアなプリント環境構築可能なA3カラーレーザープリンター「DocuPrint C2550 d」及び「DocuPrint C3550 d」の2機種を販売開始しました。また、日本初、米国セキュリティ基準「NIST SP800-171」準拠の格付けにて最高評価「AAAis」を取得したデジタルカラー複合機及びプリンター「ApeosPort /ApeosPort-VII /ApeosPort Print」シリーズの9商品・22機種を販売開始しました。
印刷業務向けには、様々な用紙に対応し、多種多様な印刷物の制作を可能とする「エアーサクション給紙トレイ」を採用した「Versant 3100i Press」と「Versant 180i Press」を販売開始しました。
ソリューション・サービスについては、米リップコード社と「富士フイルムRIPCORD合同会社」を設立しました。「富士フイルムRIPCORD合同会社」は、当社が国内外で紙文書を電子化し、業務プロセス全般を効率化するビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)サービスにより培ったノウハウと、米リップコード社が持つロボティクス技術とAI(人工知能)を使い、書類を高速で電子化する技術を融合します。これにより、企業の業務プロセスを変革し、デジタルトランスフォーメーションを加速していきます。
加えて、働き方改革推進に向け、ドキュメント・ハンドリングソフトウェア「DocuWorks®」と電子サインサービス「Adobe Sign」を連携し契約業務プロセスの効率化を実現する「オフィスあんしん クラウドコネクター for Adobe Sign」を販売開始しました。
富士ゼロックス㈱は、2021年4月1日より社名を「富士フイルムビジネスイノベーション㈱」に変更し、富士フイルムグループのシナジーを加速し、革新的な商品やサービスをさらに多くのお客様にお届けします。
本部門の研究開発費は、47,525百万円となりました。

事業等のリスク株式の総数等


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