有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LRU2 (EDINETへの外部リンク)
コニカミノルタ株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)
当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び経営ビジョンである「Imaging to the People」を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術に関わる研究開発はもとより、コア技術を高度化・融合化するとともにICT、AI技術と組み合わせることで見えないものを見える化する技術をさらに発展させ、各事業セグメントにおいては、顧客の課題解決に向け、新製品・サービスの開発を進めております。
例えば、プロダクションプリント機では、熟練作業者でも時間がかかる印刷の色調整と位置ずれ調整を徹底的に効率化、省人・省力化する「IQ-501」ユニットを画像と光学技術を結集して製品化し、作業時間を1/4以下に短縮しました。また新樹脂フィルム「SANUQI」では写真技術で培われた材料と微細加工技術を巧みに融合することでディスプレイのフレキシブル化、高コントラスト化といった顧客ニーズに応えてまいりました。
当連結会計年度においては、中期経営戦略「DX2022」に基づいた基本方針に対応して、「画像IoT技術の強化」、「技術人財のトランスフォーメーション」を技術戦略の基本方針と定め推進してまいりました。
「画像IoT技術の強化」として、当社の画像IoT技術を、当社センサーデバイスや他社センサーデバイスに、最新のImaging AI技術を組み合わせ、IoT Platformを介して顧客価値を提供する三位一体の技術を、当社独自の画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」として強化してまいります。「FORXAI」を活用することで加速するパートナー連携戦略により、様々な業種業態の顧客の課題に対し、高度な画像AI技術で解決するサービスを素早く提供することが出来るようになり、既に多くのパートナー様との協業検討も進んでいます。
センサーデバイスの強化としては、センシング領域を可視光領域から波長領域を拡大することにより、事業領域を拡大していきます。インダストリー領域においては、物体表面だけでなく、内部構造、成分まで検査可能となり、当社のコア技術である材料解析技術を活用することで、顧客の開発工程までアプローチしていきます。イメージング AIの強化としては、写真フィルムやカメラといった祖業をルーツとした画像、すなわちイメージングにこだわったAIに特化しており、中でも人行動、検査、先端医療の重点3領域のイメージングAIでは世界トップクラスにこだわり研究開発を続けていきます。検査におけるAIでは、クルマのボディや精密部品の欠陥検出、欠陥分類、画像連結などの研究を続けています。これまでの物体表面だけでなく、今後、内部構造、成分までAI認識・分析ができるよう技術レベルを高め、インダストリー事業の拡大に貢献していこうと考えています。
人行動におけるAI技術開発では、ディープラーニングを活用した人検知・姿勢推定・行動認識などのアルゴリズム開発を進めており、介護現場では入居者様の行動を認識する「HitomeQ(ヒトメク)ケアサポート」を展開しております。また昨今、老朽化した化学プラントの漏れた可燃性ガスが原因で起きる火災事故の増加に対し、赤外線カメラとイメージング AIにより、化学プラントのガス漏洩位置、漏洩量を可視化することでガス漏洩による火災事故を未然に防ぐサービスの展開を開始いたしました。
「技術人財のトランスフォーメーション」としては、コロナ影響によるオフィスのプリントボリューム減少を鑑み、現在複合機開発に携わっている開発人財を成長事業強化のためにシフトしていきます。AI/IoT技術力の強化については、前中期経営計画「SHINKA 2019」において500人に達した画像IoT人財を、2023年度末には事業拡大に必要となる1,000人を目指して増強していきます。AIやデータサイエンスの高度技術者に加えて、高度な画像IoT技術を活用したソリューションサービスの提供で力を発揮する、ソリューションアーキテクト/ディベロッパーの増強にも注力していきます。
これらの研究開発により創出される技術(発明、アイデア、ノウハウ等)については、特許権の取得に加え、著作権法・不正競争防止法等の各種法制度や契約を利用することにより、知的財産として適切な保護・活用を行い、当社グループの競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。
例えば、上述の「IQ-501」は、熟練作業者でも時間のかかっていた濃度、色調補正、表裏印字の位置などの機器の調整を効率化、省人・省力化することにより、品質の確保や作業時間の短縮を実現しています。これらの「IQ-501」が提供する付加価値を実現するための当社独自技術については、集中的に特許出願を行い、質・量ともに圧倒的な知財資産を形成しており、同製品の競争優位性を知的財産面から強力にサポートしています。
「リアルタイムな自動品質最適化装置」に関する2021年3月時点の日本特許(公開+特許)のスコアマップ
(注)株式会社パテント・リザルトの特許分析ツール「Biz Cruncher]を用いて当社にて作成いたしました。円の大きさが各社の特許件数を、横軸が最も評価の高い特許の評価値を、縦軸が特許群全体の評価値を示しております。
また、中期経営戦略「DX2022」を支える新たな知財戦略として、当社画像IoT技術による新たな競争優位領域への知財リソースの集中、契約戦略の深化とオープン&クローズ戦略を推進し、DXによる高付加価値サービス(DX as a Service)や顧客・パートナーとの協業の拡大を知的財産面から支援します。
持続可能な社会の実現をめざして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発、使用済み製品の廃材を高機能材料として再活用する技術、バイオマス由来材料を活用する技術の研究開発を進めています。複合機の本体や消耗品(トナーなど)に使う石油由来材料を再生材料へ転換し、プラスチック由来CO2排出量の削減を進めていきます。バイオマス由来材料や廃材を複合機などの高機能材料として活用するためには、一般的に石油からのバージン材に比べて性能が低下するとともに製品品質が安定しにくいという課題があります。当社グループが長年使ってきたコア技術の1つである材料技術、成形加工技術を発展させ、材料開発、材料選択、加工技術の組み合わせにより、新しい樹脂開発を進めます。複合機への展開だけでなく、様々な企業と本技術を共有し実用化することで、連携の輪をグローバルに広げ、環境価値の効果を飛躍的に大きくしていきます。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は650億円となりました。そのうち、デジタルワークプレイス事業及びプロフェッショナルプリント事業に係る研究開発費が333億円、ヘルスケア事業に係る研究開発費が84億円、インダストリー事業に係る研究開発費が136億円、その他事業及び基礎研究費用が95億円であります。各事業部門別の研究の目的及び研究成果は以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記5 事業セグメント」に記載のとおりであります。
(1)デジタルワークプレイス事業
デジタルワークプレイス事業においては、複合機、ITサービス・ソリューション、Workplace Hubを組み合わせ、各種ハードウェア、ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施しております。
当連結会計年度においては、オフィスユニットでは、A3/A4複合機のラインアップを刷新し「bizhub(ビズハブ) iシリーズ」の9機種拡充でフルラインアップを完成し発売いたしました。当製品では、強固なセキュリティー機能により、ウイルスやマルウェアを複合機で検知しオフィス内部の感染拡大を防ぐなど、オフィスのセキュリティー強化を支援します。さらに、リモートメンテナンスによる常時監視・保守や自動アップデートにより複合機が最適な状態に維持されるほか、災害時の早期復旧が可能になるなど、将来にわたって顧客の事業継続をサポートするサステナブルな高品質サービスを提供いたします。
「bizhub iシリーズ」は、企業のDXを促進しオフィスのITサービスとのタッチポイントとなり、効率的なIT活用を支援しております。新型コロナウイルスの感染拡大防止対策でも、顧客の事業継続のための「テレワーク」の導入支援を行っており、例えば、複合機のあるオフィスに行かなくても、「bizhub iシリーズ」の受信FAXデータのメール転送機能を利用いただくことでテレワークや外出時でも滞りなく業務を行うことができます。
また、働き方改革関連法を受けて顧客の抜本的な働き方改革が求められている中で、当社は、Intelligent Connected Workplace構想のもと、働き方改革の自社実践で得た知見とノウハウを集約した「いいじかん設計」支援サービスにより、企業のIT基盤構築、業務プロセスの改善による新しい働き方の実現に向けた「創造じかん」を生み出す支援を続けています。働き方改革実現のためには、企業のDXによるIT活用が不可欠ですが、特に中小企業ではITサポート専任者が不在な企業も多く、IT活用が進んでいるとは言えません。当社は、クラウドプラットフォーム「INFO-Palette Cloud(インフォパレット クラウド)」の複合機連携機能「bizhub essentials」や統合サービスプラットフォーム「Workplace Hub(ワークプレイスハブ)」と複合機の統合型サービスとの連携により、このような顧客の課題解決に取り組んでおります。
(2)プロフェッショナルプリント事業
プロフェッショナルプリント事業においては、プロダクションプリント/産業印刷の生産性と印刷品質、自動化・省人化・スキルレスを訴求し各種印刷機やサービスソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、顧客のDX支援によるプロセス改善・リモート化・分散印刷を実現してまいります。
当連結会計年度においては、クラス最高レベルの140ppmの印刷速度で生産性を向上させたデジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオプレス)C14000/12000」」を欧米より順次発売を開始いたしました。ヘビープロダクションプリント領域では、従来機種の印字画質で出力速度を140ppmまで向上させ、好評をいただいている自動品質最適化・検品ユニット「IQ-501」を搭載可能とし、作業者のスキルレベルに依らない検品作業の負荷を低減したワークフローで、「AccurioPro(アキュリオプロ)シリーズ」のワークフローソフトウェアとともに、さらに高い生産性を提供いたします。
産業印刷ユニットにおいては、プリントヘッドとインクジェット出力に最適なインク、さらにプリンターの三位一体の開発・展開を最大の特長として、拡大し続ける様々なアプリケーション(出力用途)への対応や、各市場からの高画質・高生産性ニーズに対応する研究開発を強化・推進しております。また、ラベル印刷では「AccurioLabel(アキュリオ ラベル)230」において使いやすさと導入コストで好評をいただき、更なる操作性とスキルレスを追求して参ります。さらに、デジタル箔押し機により、高い信頼性に加え、高い付加価値と生産性を実現するソリューションの提案を行っております。
(3)ヘルスケア事業
ヘルスケア事業においては、デジタル診断にフォーカスし、データサイエンスの力をフル活用して「早期診断」と「個別化医療」を実現することで、患者様個々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を追求するとともに医療費の削減に貢献するべく研究開発を推進しています。ヘルスケアユニットでは、高付加価値イメージングにより「見えないものをみえる化」し、ITプラットフォームにAI診断支援や患者ポータル等様々な高付加価値サービスを搭載・展開するための研究開発を推進しています。プレシジョンメディシンユニットでは、遺伝子、タンパク質、細胞、臓器に至る全身をデジタル化し、AIを駆使してバイオマーカーを抽出し適切な診断と創薬支援に貢献すること、プライマリケア・個別化医療の領域でデータ解析による疾病メカニズム解明のサービスビジネスを展開するための研究開発することを推進しています。
当連結会計年度においては、X線動画解析ワークステーション「KINOSIS(キノシス)」では、胸部における血流や動き等の新たな解析方法を研究開発し搭載しました。これらの新機能は、診断精度の向上、簡便化、医療費削減に加え、新型コロナウイルスにおける重症化予防への貢献が期待されます。また、整形診断領域においても、その汎用性からアジア地域など新興国への展開も期待されています。X線画像診断ワークステーション「CS-7」では、整形領域で再撮影の要否判断を支援する機能を搭載し、医療安全と業務効率化に貢献してまいります。医療ITソリューションでは、医療機関のDXを支援するサービス「infomity(インフォミティ)」の新メニューとして、オンライン診療では国内トップランナーの一社である株式会社インテグリティ・ヘルスケアのオンライン診療システム「YaDoc Quick(ヤードッククイック)」を搭載しました。本サービスにより、高齢者などの感染時重症化リスクが高い患者も安心して受診できるオンライン診療の普及を支援します。バイタルセンシングでは、新型コロナウイルス感染症の軽症・中等症入院患者において、パルスオキシメーター、体温計、血圧計で測定されたスポットバイタル値やパルスオキシメーターの連続測定データを、ベッドサイドモニターに表示し、Sub-GHz(サブギガ)無線通信で隔離域外のナースステーションで一括管理できる「生体情報モニタリングシステム VS1」を開発、発売により更なる院内感染防止・医療安全に寄与します。
プレシジョンメディシンユニットでは、米国Amazon Web Services, Inc.(以下 AWS)と連携して、個別化医療の事業会社であるKonica Minolta Precision Medicine, Inc.(以下 KMPM)のマルチオミックスプラットフォーム「LATTICE(ラティス)」構想をグローバル展開することになりました。「LATTICE」は、遺伝子、病理、医療画像のデータと他の重要な医療情報を組み合わせて、新たな臨床的に重要なバイオマーカーを発見し、次世代の診断検査を創出する画期的な統合診断データプラットフォームです。その解析能力を活かし、グローバルな臨床試験の支援や診断ツールの提供方法を開発してまいります。「LATTICE」は、KMPMの最先端科学とAWSのサービスを組み合わせることで、「Amazon HealthLake」などを活用し、医療提供の支援、創薬加速に貢献します。また、米国で実績を積んだAmbry社の遺伝子診断サービス「CARE Program」の日本版「CAREプログラム」を開発し日本初の未病プラットフォームとしてQOLの向上や医療費の低減に貢献してまいります。
(4)インダストリー事業
インダストリー事業においては、センシング技術、材料コンポーネント技術、画像IoT技術を活かしたソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、産業界のバリューチェーン変革推進で顧客と社会に貢献する為、産業のモノづくり最適化と安全・安心を提供してまいります。
センシング分野における計測機器ユニットにおいては、強みである光・色・外観の計測技術を基盤として、ICT領域や自動車領域に向け、高品質な製品・ソリューションを提供しております。当連結会計年度にはハイパースペクトルイメージング技術の有力企業、フィンランドのSpecim社を買収、リサイクル・食品分別など、「安全・安心・衛生」領域にも進出しております。また、物体色測定用に色と光沢を同時に測定し 高精度な色管理を実現するベンチトップ分光測色計「CM-36dG」を発売、Radiant社からはICTデバイスなどの外観計測向けに同社の高精度カメラとともに使用される「Inspect R1(インスペクト・アールワン)ソフトウェアツールキット」を発売、製品ラインの拡充を図りました。
材料・コンポーネント分野における機能材料ユニットにおいては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用保護フィルム向けに、従来のTAC製品に加え、新樹脂フィルム「SANUQI」(COP系)、「SAZMA」(アクリル系)等を新プラットフォームとする2.5mの超広幅品等の高付加価値商品の販売及び開発を行っており、10μ以下の超薄膜品生産への対応も進めております。これら新樹脂を用いて偏光板保護フィルム以外の市場へも展開できる商品の準備も進めております。
光学コンポーネントにおいては、成長が期待される移動体センシング用レンズや監視観察用レンズ等の小型レンズ開発・製品化に取り組んでおります。今後は光学技術・コンポーネント技術に加え材料開発との連携強化で小型レンズの開発に注力し事業化推進を図ってまいります。
IJコンポーネントユニットにおいては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、パナソニックインクジェットヘッド事業買収での技術の獲得により、さらなる製品ラインナップの拡充に取り組んでおります。
画像IoTソリューションユニットにおいては、深刻化する新型コロナウイルス感染拡大防止のため、当社グループであるドイツMOBOTIX社製のネットワークサーマルカメラを用いた非接触・顔部分のリアルタイム検知により体表温度の測定可能なアプリケーションを開発し、2020年5月より提供いたしました。リリース後もグローバルでの顧客の声を取り入れ、温度測定精度の改善やマスク検知AI技術の搭載など更に継続的な価値の向上を進めております。
また、当社独自の画像IoTプラットフォーム「FORXAI」を活用し、モニタリング、検査領域における顧客の課題をパートナー連携で効率的に解決するソリューションの拡充を図ってまいります。
例えば、プロダクションプリント機では、熟練作業者でも時間がかかる印刷の色調整と位置ずれ調整を徹底的に効率化、省人・省力化する「IQ-501」ユニットを画像と光学技術を結集して製品化し、作業時間を1/4以下に短縮しました。また新樹脂フィルム「SANUQI」では写真技術で培われた材料と微細加工技術を巧みに融合することでディスプレイのフレキシブル化、高コントラスト化といった顧客ニーズに応えてまいりました。
当連結会計年度においては、中期経営戦略「DX2022」に基づいた基本方針に対応して、「画像IoT技術の強化」、「技術人財のトランスフォーメーション」を技術戦略の基本方針と定め推進してまいりました。
「画像IoT技術の強化」として、当社の画像IoT技術を、当社センサーデバイスや他社センサーデバイスに、最新のImaging AI技術を組み合わせ、IoT Platformを介して顧客価値を提供する三位一体の技術を、当社独自の画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」として強化してまいります。「FORXAI」を活用することで加速するパートナー連携戦略により、様々な業種業態の顧客の課題に対し、高度な画像AI技術で解決するサービスを素早く提供することが出来るようになり、既に多くのパートナー様との協業検討も進んでいます。
センサーデバイスの強化としては、センシング領域を可視光領域から波長領域を拡大することにより、事業領域を拡大していきます。インダストリー領域においては、物体表面だけでなく、内部構造、成分まで検査可能となり、当社のコア技術である材料解析技術を活用することで、顧客の開発工程までアプローチしていきます。イメージング AIの強化としては、写真フィルムやカメラといった祖業をルーツとした画像、すなわちイメージングにこだわったAIに特化しており、中でも人行動、検査、先端医療の重点3領域のイメージングAIでは世界トップクラスにこだわり研究開発を続けていきます。検査におけるAIでは、クルマのボディや精密部品の欠陥検出、欠陥分類、画像連結などの研究を続けています。これまでの物体表面だけでなく、今後、内部構造、成分までAI認識・分析ができるよう技術レベルを高め、インダストリー事業の拡大に貢献していこうと考えています。
人行動におけるAI技術開発では、ディープラーニングを活用した人検知・姿勢推定・行動認識などのアルゴリズム開発を進めており、介護現場では入居者様の行動を認識する「HitomeQ(ヒトメク)ケアサポート」を展開しております。また昨今、老朽化した化学プラントの漏れた可燃性ガスが原因で起きる火災事故の増加に対し、赤外線カメラとイメージング AIにより、化学プラントのガス漏洩位置、漏洩量を可視化することでガス漏洩による火災事故を未然に防ぐサービスの展開を開始いたしました。
「技術人財のトランスフォーメーション」としては、コロナ影響によるオフィスのプリントボリューム減少を鑑み、現在複合機開発に携わっている開発人財を成長事業強化のためにシフトしていきます。AI/IoT技術力の強化については、前中期経営計画「SHINKA 2019」において500人に達した画像IoT人財を、2023年度末には事業拡大に必要となる1,000人を目指して増強していきます。AIやデータサイエンスの高度技術者に加えて、高度な画像IoT技術を活用したソリューションサービスの提供で力を発揮する、ソリューションアーキテクト/ディベロッパーの増強にも注力していきます。
これらの研究開発により創出される技術(発明、アイデア、ノウハウ等)については、特許権の取得に加え、著作権法・不正競争防止法等の各種法制度や契約を利用することにより、知的財産として適切な保護・活用を行い、当社グループの競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。
例えば、上述の「IQ-501」は、熟練作業者でも時間のかかっていた濃度、色調補正、表裏印字の位置などの機器の調整を効率化、省人・省力化することにより、品質の確保や作業時間の短縮を実現しています。これらの「IQ-501」が提供する付加価値を実現するための当社独自技術については、集中的に特許出願を行い、質・量ともに圧倒的な知財資産を形成しており、同製品の競争優位性を知的財産面から強力にサポートしています。
「リアルタイムな自動品質最適化装置」に関する2021年3月時点の日本特許(公開+特許)のスコアマップ
(注)株式会社パテント・リザルトの特許分析ツール「Biz Cruncher]を用いて当社にて作成いたしました。円の大きさが各社の特許件数を、横軸が最も評価の高い特許の評価値を、縦軸が特許群全体の評価値を示しております。
また、中期経営戦略「DX2022」を支える新たな知財戦略として、当社画像IoT技術による新たな競争優位領域への知財リソースの集中、契約戦略の深化とオープン&クローズ戦略を推進し、DXによる高付加価値サービス(DX as a Service)や顧客・パートナーとの協業の拡大を知的財産面から支援します。
持続可能な社会の実現をめざして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発、使用済み製品の廃材を高機能材料として再活用する技術、バイオマス由来材料を活用する技術の研究開発を進めています。複合機の本体や消耗品(トナーなど)に使う石油由来材料を再生材料へ転換し、プラスチック由来CO2排出量の削減を進めていきます。バイオマス由来材料や廃材を複合機などの高機能材料として活用するためには、一般的に石油からのバージン材に比べて性能が低下するとともに製品品質が安定しにくいという課題があります。当社グループが長年使ってきたコア技術の1つである材料技術、成形加工技術を発展させ、材料開発、材料選択、加工技術の組み合わせにより、新しい樹脂開発を進めます。複合機への展開だけでなく、様々な企業と本技術を共有し実用化することで、連携の輪をグローバルに広げ、環境価値の効果を飛躍的に大きくしていきます。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は650億円となりました。そのうち、デジタルワークプレイス事業及びプロフェッショナルプリント事業に係る研究開発費が333億円、ヘルスケア事業に係る研究開発費が84億円、インダストリー事業に係る研究開発費が136億円、その他事業及び基礎研究費用が95億円であります。各事業部門別の研究の目的及び研究成果は以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記5 事業セグメント」に記載のとおりであります。
(1)デジタルワークプレイス事業
デジタルワークプレイス事業においては、複合機、ITサービス・ソリューション、Workplace Hubを組み合わせ、各種ハードウェア、ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施しております。
当連結会計年度においては、オフィスユニットでは、A3/A4複合機のラインアップを刷新し「bizhub(ビズハブ) iシリーズ」の9機種拡充でフルラインアップを完成し発売いたしました。当製品では、強固なセキュリティー機能により、ウイルスやマルウェアを複合機で検知しオフィス内部の感染拡大を防ぐなど、オフィスのセキュリティー強化を支援します。さらに、リモートメンテナンスによる常時監視・保守や自動アップデートにより複合機が最適な状態に維持されるほか、災害時の早期復旧が可能になるなど、将来にわたって顧客の事業継続をサポートするサステナブルな高品質サービスを提供いたします。
「bizhub iシリーズ」は、企業のDXを促進しオフィスのITサービスとのタッチポイントとなり、効率的なIT活用を支援しております。新型コロナウイルスの感染拡大防止対策でも、顧客の事業継続のための「テレワーク」の導入支援を行っており、例えば、複合機のあるオフィスに行かなくても、「bizhub iシリーズ」の受信FAXデータのメール転送機能を利用いただくことでテレワークや外出時でも滞りなく業務を行うことができます。
また、働き方改革関連法を受けて顧客の抜本的な働き方改革が求められている中で、当社は、Intelligent Connected Workplace構想のもと、働き方改革の自社実践で得た知見とノウハウを集約した「いいじかん設計」支援サービスにより、企業のIT基盤構築、業務プロセスの改善による新しい働き方の実現に向けた「創造じかん」を生み出す支援を続けています。働き方改革実現のためには、企業のDXによるIT活用が不可欠ですが、特に中小企業ではITサポート専任者が不在な企業も多く、IT活用が進んでいるとは言えません。当社は、クラウドプラットフォーム「INFO-Palette Cloud(インフォパレット クラウド)」の複合機連携機能「bizhub essentials」や統合サービスプラットフォーム「Workplace Hub(ワークプレイスハブ)」と複合機の統合型サービスとの連携により、このような顧客の課題解決に取り組んでおります。
(2)プロフェッショナルプリント事業
プロフェッショナルプリント事業においては、プロダクションプリント/産業印刷の生産性と印刷品質、自動化・省人化・スキルレスを訴求し各種印刷機やサービスソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、顧客のDX支援によるプロセス改善・リモート化・分散印刷を実現してまいります。
当連結会計年度においては、クラス最高レベルの140ppmの印刷速度で生産性を向上させたデジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオプレス)C14000/12000」」を欧米より順次発売を開始いたしました。ヘビープロダクションプリント領域では、従来機種の印字画質で出力速度を140ppmまで向上させ、好評をいただいている自動品質最適化・検品ユニット「IQ-501」を搭載可能とし、作業者のスキルレベルに依らない検品作業の負荷を低減したワークフローで、「AccurioPro(アキュリオプロ)シリーズ」のワークフローソフトウェアとともに、さらに高い生産性を提供いたします。
産業印刷ユニットにおいては、プリントヘッドとインクジェット出力に最適なインク、さらにプリンターの三位一体の開発・展開を最大の特長として、拡大し続ける様々なアプリケーション(出力用途)への対応や、各市場からの高画質・高生産性ニーズに対応する研究開発を強化・推進しております。また、ラベル印刷では「AccurioLabel(アキュリオ ラベル)230」において使いやすさと導入コストで好評をいただき、更なる操作性とスキルレスを追求して参ります。さらに、デジタル箔押し機により、高い信頼性に加え、高い付加価値と生産性を実現するソリューションの提案を行っております。
(3)ヘルスケア事業
ヘルスケア事業においては、デジタル診断にフォーカスし、データサイエンスの力をフル活用して「早期診断」と「個別化医療」を実現することで、患者様個々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を追求するとともに医療費の削減に貢献するべく研究開発を推進しています。ヘルスケアユニットでは、高付加価値イメージングにより「見えないものをみえる化」し、ITプラットフォームにAI診断支援や患者ポータル等様々な高付加価値サービスを搭載・展開するための研究開発を推進しています。プレシジョンメディシンユニットでは、遺伝子、タンパク質、細胞、臓器に至る全身をデジタル化し、AIを駆使してバイオマーカーを抽出し適切な診断と創薬支援に貢献すること、プライマリケア・個別化医療の領域でデータ解析による疾病メカニズム解明のサービスビジネスを展開するための研究開発することを推進しています。
当連結会計年度においては、X線動画解析ワークステーション「KINOSIS(キノシス)」では、胸部における血流や動き等の新たな解析方法を研究開発し搭載しました。これらの新機能は、診断精度の向上、簡便化、医療費削減に加え、新型コロナウイルスにおける重症化予防への貢献が期待されます。また、整形診断領域においても、その汎用性からアジア地域など新興国への展開も期待されています。X線画像診断ワークステーション「CS-7」では、整形領域で再撮影の要否判断を支援する機能を搭載し、医療安全と業務効率化に貢献してまいります。医療ITソリューションでは、医療機関のDXを支援するサービス「infomity(インフォミティ)」の新メニューとして、オンライン診療では国内トップランナーの一社である株式会社インテグリティ・ヘルスケアのオンライン診療システム「YaDoc Quick(ヤードッククイック)」を搭載しました。本サービスにより、高齢者などの感染時重症化リスクが高い患者も安心して受診できるオンライン診療の普及を支援します。バイタルセンシングでは、新型コロナウイルス感染症の軽症・中等症入院患者において、パルスオキシメーター、体温計、血圧計で測定されたスポットバイタル値やパルスオキシメーターの連続測定データを、ベッドサイドモニターに表示し、Sub-GHz(サブギガ)無線通信で隔離域外のナースステーションで一括管理できる「生体情報モニタリングシステム VS1」を開発、発売により更なる院内感染防止・医療安全に寄与します。
プレシジョンメディシンユニットでは、米国Amazon Web Services, Inc.(以下 AWS)と連携して、個別化医療の事業会社であるKonica Minolta Precision Medicine, Inc.(以下 KMPM)のマルチオミックスプラットフォーム「LATTICE(ラティス)」構想をグローバル展開することになりました。「LATTICE」は、遺伝子、病理、医療画像のデータと他の重要な医療情報を組み合わせて、新たな臨床的に重要なバイオマーカーを発見し、次世代の診断検査を創出する画期的な統合診断データプラットフォームです。その解析能力を活かし、グローバルな臨床試験の支援や診断ツールの提供方法を開発してまいります。「LATTICE」は、KMPMの最先端科学とAWSのサービスを組み合わせることで、「Amazon HealthLake」などを活用し、医療提供の支援、創薬加速に貢献します。また、米国で実績を積んだAmbry社の遺伝子診断サービス「CARE Program」の日本版「CAREプログラム」を開発し日本初の未病プラットフォームとしてQOLの向上や医療費の低減に貢献してまいります。
(4)インダストリー事業
インダストリー事業においては、センシング技術、材料コンポーネント技術、画像IoT技術を活かしたソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、産業界のバリューチェーン変革推進で顧客と社会に貢献する為、産業のモノづくり最適化と安全・安心を提供してまいります。
センシング分野における計測機器ユニットにおいては、強みである光・色・外観の計測技術を基盤として、ICT領域や自動車領域に向け、高品質な製品・ソリューションを提供しております。当連結会計年度にはハイパースペクトルイメージング技術の有力企業、フィンランドのSpecim社を買収、リサイクル・食品分別など、「安全・安心・衛生」領域にも進出しております。また、物体色測定用に色と光沢を同時に測定し 高精度な色管理を実現するベンチトップ分光測色計「CM-36dG」を発売、Radiant社からはICTデバイスなどの外観計測向けに同社の高精度カメラとともに使用される「Inspect R1(インスペクト・アールワン)ソフトウェアツールキット」を発売、製品ラインの拡充を図りました。
材料・コンポーネント分野における機能材料ユニットにおいては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用保護フィルム向けに、従来のTAC製品に加え、新樹脂フィルム「SANUQI」(COP系)、「SAZMA」(アクリル系)等を新プラットフォームとする2.5mの超広幅品等の高付加価値商品の販売及び開発を行っており、10μ以下の超薄膜品生産への対応も進めております。これら新樹脂を用いて偏光板保護フィルム以外の市場へも展開できる商品の準備も進めております。
光学コンポーネントにおいては、成長が期待される移動体センシング用レンズや監視観察用レンズ等の小型レンズ開発・製品化に取り組んでおります。今後は光学技術・コンポーネント技術に加え材料開発との連携強化で小型レンズの開発に注力し事業化推進を図ってまいります。
IJコンポーネントユニットにおいては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、パナソニックインクジェットヘッド事業買収での技術の獲得により、さらなる製品ラインナップの拡充に取り組んでおります。
画像IoTソリューションユニットにおいては、深刻化する新型コロナウイルス感染拡大防止のため、当社グループであるドイツMOBOTIX社製のネットワークサーマルカメラを用いた非接触・顔部分のリアルタイム検知により体表温度の測定可能なアプリケーションを開発し、2020年5月より提供いたしました。リリース後もグローバルでの顧客の声を取り入れ、温度測定精度の改善やマスク検知AI技術の搭載など更に継続的な価値の向上を進めております。
また、当社独自の画像IoTプラットフォーム「FORXAI」を活用し、モニタリング、検査領域における顧客の課題をパートナー連携で効率的に解決するソリューションの拡充を図ってまいります。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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