有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100L0PD (EDINETへの外部リンク)
株式会社資生堂 事業等のリスク (2020年12月期)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあり、投資家の判断に影響を及ぼす可能性のある事項と考えています。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年3月25日)現在において当社グループが判断したものですが、ここに掲げられている項目に限定されるものではありません。
当社では、「中長期経営戦略の実現を一層確実なものとすること」を主眼に置いてリスクマネジメントを推進しています。そのため、リスクを戦略実現に影響を与える「不確実性」と捉え、脅威だけでなく、機会も含めた概念として定義し、必要な体制を構築するとともに、適切に管理し対応策を講じています。
リスクマネジメント部門を設置し関連情報を集約させるとともに、当社CEOを委員長とし各地域CEO及び当社エグゼクティブオフィサー等をメンバーとする「Global Risk Management & Compliance Committee」や「Executive Committee」にて、定期的に当社グループのリスクを特定し対応策等を審議する体制を敷いています。
2020年度は、総合的・多面的な手法(ホリスティックアプローチ)を用いてリスクを抽出しました。具体的には、当社CEOをはじめとした執行役員、各地域CEO及び社外取締役のリスク認識を把握するインタビュー、並びに各地域で実施した地域ごとのリスク評価、当社関連機能部門との情報交換等を元に、リスクマネジメント部門による分析や外部有識者の知見を加えて、「WIN 2023 主要戦略※1」実現に影響を及ぼす可能性のあるリスクを特定しました。
そして、それらのリスクについて、「リスクが顕在化した場合の経営成績等に与える影響」、「リスクが顕在化する可能性の程度や時期」、「当該リスクへの対応の十分性」の3つの評価軸を設定し、上記Committeeや個別会議※2などを通じて、リスクの優先付け及び対策状況の検討・確認を行いました。
アセスメントの結果抽出されたリスクは、その性質に基づいて4つのリスクカテゴリーに分類し対応しています。2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大により当社グループを取り巻く環境が大きく変わったため、このような外部環境の変化によりもたらされるリスクを「生活者に関わるリスク」と「社会に関わるリスク」に分類しました。そして、外部環境の変化に適切に対応することのみならず、「WIN 2023 主要戦略」実現のためには強固な事業基盤が不可欠であるため、それに伴うリスクを「事業基盤に関わるリスク」と分類し、「その他のリスク」と合わせて4つのリスクカテゴリーに分けて対応しています。
また、リスクごとにリスクオーナーを設定し、対策の責任を明確化し、推進状況を定期的に上記Committee及び取締役会にてモニタリングする仕組みを構築・運用しています。
当連結会計年度のアセスメント結果から、「WIN 2023 主要戦略」実現にあたり、特に2021年度に重視すべきリスク(脅威と機会)は、「イノベーションリスク」、「生活者の価値観変化」、「ビジネス構造改革」、「デジタルシフトのスピード」、「自然災害・疫病・人的災害」、「当社ならではのESC(環境・社会・文化)」の6つです。
以下に領域ごとに、主要戦略との関係性と想定されるリスク(脅威・機会)、対応策の概要を記述します。なお、記述内容は、2021年3月25日時点におけるものです。
※1 WIN 2023 主要戦略
高収益構造への転換 | ①事業構造改革による収益性改善 ②コスト競争力強化・生産拠点の生産性向上 ③中国を中心としたアジア圏での成長強化 |
スキンビューティーへ注力 | ④スキンビューティーブランド育成・ポートフォリオ拡充 ⑤他社との協業によるイノベーション強化 ⑥インナービューティー事業の開発 |
成長基盤の再構築 | ⑦サステナビリティを中心とした経営への進化 ⑧ブランドを強くするマーケティングの革新と組織強化 ⑨デジタル事業モデルへの転換・組織構築 ⑩人材・組織のさらなる多様化と能力開発 |
※2 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、Committeeの全メンバーが一堂に会する対面方式での会議開催が困難な場合があった
ため、リスクマネジメント部門と各メンバーとの個別オンライン会議などの手段で代替しました。
リスク | 戦略実現に向けた主要な取り組み/ その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策 | WIN 2023 主要戦略※1との関連性 |
イノベーションリスク (生活者に関わるリスク) | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・プレミアムスキンビューティー領域における研究開発の強化。 ・研究開発投資:売上高比率3%程度に設定し推進。 ・各地域本社における研究開発強化。 ・イノベーションの源泉となる、優れた研究開発の成果等を生活者・得意先に発信するコミュニケーションの強化。 〔不確実性〕 ・開発技術が類似技術や代替技術の出現により陳腐化する、あるいは各国の薬事規制により開発技術が使用できなくなり、生活者に新たな価値を提供できなくなる可能性。(脅威) ・M&Aや外部との共同事業の進捗が遅延するなどの理由により、意図したシナジー効果を実現できなかった結果、生活者のニーズと合致した価値を提供できず、競争劣後となる可能性。(脅威) ・サービス・プロセス・組織などの領域における画期的なイノベーションによる価値創造が生活者に新たな価値を提供し、当社の競争優位を決定づける可能性。(機会) 〔対応策〕 ・資生堂グローバルイノベーションセンター(GIC)(横浜)やBEAUTY INNOVATION HUB(中国・上海)を通じたイノベーションの促進。 ・最先端の設備を持つ那須工場、大阪茨木工場、福岡久留米工場の建設と順次稼働を予定。 ・生活者のトレンドの変化に焦点を当て、外部機関との共同研究や、米国ベンチャー企業の知見の活用を強化。 ・美容機器メーカーとのジョイントベンチャー(株式会社エフェクティム)の設立による新価値創造。 ・GIC主導のオープンイノベーションプログラム「fibona」におけるスタートアップ企業とのコラボレーションなど、外部との共創。 ・研究開発投資対効果を測る指標(売上高研究開発費比率、研究員数、研究拠点数、特許出願数、論文数等)を設定し、競合との比較をモニタリング。 | ④⑤⑥⑦⑧⑨ |
生活者の価値観変化(生活者に関わるリスク) | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・プレミアムスキンビューティー領域への注力。 ・自社開発・オープンイノベーション・戦略的M&Aを組み合わせた事業ポートフォリオの強化。 ・インナービューティー事業の開発。 ・クロスボーダーマーケティングの強化。 〔不確実性〕 ・生活者の「美」に関する価値観や化粧品・インナービューティーに対するニーズ、購買行動の多様化への対応が遅延する、あるいは不十分で競合に機会を奪われる可能性。(脅威) ・生活者の価値観変化に対応したマーケティング戦略により、計画以上の売上・利益につながる可能性。(機会) 〔対応策〕 ・ライブコマース、オンラインカウンセリングをブランド×地域横断で展開強化。 ・生活者の価値観の多様化に対応するブランドポートフォリオ強化。(Drunk Elephantの成長、新ブランド開発、M&A等) ・生活者情報を適宜適切に入手するための市場情報に関する専門部署の設置。 ・中国における価値開発機能強化。(研究開発、マーケティング等) ・「中国事業創新投資室(CBI)」を通じた中国市場動向をとらえた既存事業のイノベーションと新規事業開発の推進。 ・グローバル本社を中心とした人材の多様性加速。 ・他社とのオープンイノベーションによる価値・事業開発。 | ④⑤⑥⑦⑧⑨ |
リスク | 戦略実現に向けた主要な取り組み/ その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策 | WIN 2023 主要戦略※1との関連性 |
デジタルシフトのスピード (生活者に関わるリスク) | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・チャネル構造の変化を踏まえた、継続愛用者育成のための顧客エンゲージメント及びEコマースの強化。 ・顧客エンゲージメントの獲得・維持のための顧客データの取得及び、デジタルCRMを活用したマーケティングの強化。 〔不確実性〕 ・デジタルを活用した事業モデル・価値提供の変革スピードが競合他社に対し劣後し、新規ユーザーの獲得の機会損失及び既存ユーザーのブランド離反が発生し、市場シェアが低下する可能性。(脅威) ・Eコマースと店頭販売を融合させることによる当社独自の価値提供の可能性。(機会) 〔対応策〕 ・Eコマースと店頭販売を融合させたオムニチャネル推進。 ・日本地域におけるチーフデジタルオフィサー登用。 ・デジタルマーケティング専門人材の採用強化と、デジタルマインドセットをコアコンピテンシーの1つと捉えて促進するために、全社的なデジタルアカデミーを開催。 ・中国ECプラットフォーム企業との業務提携やITベンチャー企業との提携によるデジタルマーケティングの強化。 | ⑧⑨⑩ |
当社ならではのESC(環境・社会・文化) (生活者と社会に関わるリスク) | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・より良い世界の実現に向けた取り組みとして、本業であるビューティービジネスそのもので、社会課題の解決や人々が幸せになる社会の実現に向けアクションを実行。 ・すべてのステークホルダーと、当社ビジネスへの重要性の観点から課題を分類し、優先順位をつけたマテリアリティ(重要課題)に基づき、ビューティーを基軸に、環境(Environment)・社会(Social)・文化(Culture)の3つの重要領域を定め推進。 〔不確実性〕 ・当領域への取り組みが十分でないと社会や生活者からの信頼を失う可能性。(脅威) ・サステナブルな商品の開発等の取り組みが、生活者をはじめとする社会からの信頼獲得に貢献し、ビューティーにおける新たな社会価値を創出することで、当社企業価値を飛躍的に向上させる可能性。(機会) 〔対応策〕 ・社内に専門組織「社会価値創造本部」を設置、Sustainability Committeeを定期的に開催し、中長期戦略の立案とKPIの設定、グローバル本社及び地域本社の関連部門を巻き込んでの推進状況のモニタリングを実施。 ・各ブランドにおけるサステナビリティやSDGsの実現のための活動。(SHISEIDO、クレ・ド・ポー ボーテなど) ・企業としての方針や取り組みとKPIをまとめたサステナビリティレポートの発行。 [環境](Environment) ・環境対応パッケージの採用。(カネカ生分解性ポリマー PHBH®の共同開発、「Loop」の日本展開に参画) ・認証パーム油及び認証紙への切り替えの推進。 ・主な環境負荷軽減項目(CO2・パーム油・紙・水・廃棄物)の中期的目標設定・開示と、達成に向けての推進。 ・「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への賛同と、その提言に基づき、気候変動リスクが事業に与える影響を分析したシナリオの策定と情報の開示。 [社会](Social) ・新型コロナウイルス感染症の拡大防止に取り組む医療従事者に向けた、スキンケア化粧品の無償提供及び、手指消毒液の新規生産・販売及び処方開示。 ・日本企業の役員に占める女性比率向上を目指す「30%Club Japan」に参画、当社CEOがチェアとしてTOPIX社長会の活動をリード。 ・がんサバイバーの方々の社会復帰を支援するプログラム「LAVENDER RING MAKEUP & PHOTOS WITH SMILES」を通じた「化粧の力」の活用機会の拡大。 [文化](Culture) ・体験型ミュージアム「S/PARK Museum」をGIC施設内に設置。 ・イベント開催やオンラインコンテンツの配信による発信。「ジャパニーズビューティーインスティチュート」を設立。 ・当社ギャラリーを通じた次世代アーティストの発掘と支援による社員の価値創造への貢献。 | ④⑦⑩ |
リスク | 戦略実現に向けた主要な取り組み/ その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策 | WIN 2023 主要戦略※1との関連性 |
自然災害・疫病・人的災害 (社会に関わるリスク) | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・グローバルでの成長基盤の再構築のための人材や経営インフラの強化。 〔不確実性〕 ・昨今の世界各地における地震等の自然災害による人的・物的被害、サプライチェーンへの影響が事業や供給を停滞させる可能性。(脅威) ・新型コロナウイルス感染拡大の長期化や同様のパンデミックの発生により消費が停滞し、売上・利益等が低下する可能性。(脅威) 〔対応策〕 ・グローバル本社及び各地域の重要拠点においてBCP(事業継続計画)を策定し、かつ同計画の実効性を上げるため、国内外の拠点において定期的に訓練を実施。 ・新型コロナウイルスの感染拡大を受け、グローバル本社並びに各地域において対策本部を設置。感染症BCPを改定し対応体制を強化。 | ②⑩ |
ブランドイメージ (社会に関わるリスク) | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・ブランド価値向上のため、デジタルマーケティングを含めた積極的なマーケティング活動を実施。 ・コーポレートブランドや各ブランドのイメージ形成を狙いに、アンバサダーやインフルエンサーを起用し、積極的なマーケティング活動を展開。 〔不確実性〕 ・当社の発信内容や、当社が起用したアンバサダーやインフルエンサーによる言動に対する社会的批判がその真偽に関わらず拡散し、当社イメージを低下させる可能性。(脅威) ・模倣品などが流通し本来の当社の提供する価値が生活者に届かずブランドイメージを低下させる可能性。(脅威) 〔対応策〕 ・ソーシャルメディアポリシーを定め社内に周知徹底。 ・ブランドホルダーのマーケティングやコミュニケーション担当社員を対象としたブランドイメージ維持・向上のための教育。 ・倫理的、社会通念上の視点から批判される可能性がある表現や言動の予防のため、宣伝・広告等の発信情報や起用アンバサダーやインフルエンサーの事前チェックシステムを導入。 ・WEBサイト及びソーシャルメディアのモニタリングによりネガティブ情報の早期発見及び対応を実施。 ・模倣品対策については行政との連携による摘発などの対策を実施。 | ④⑧⑨ |
地政学リスク (社会に関わるリスク) | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・成長を牽引する中国及びトラベルリテール事業への重点投資。 ・日本事業の高収益事業基盤への再構築。 ・欧米事業の収益性向上。 〔不確実性〕 ・米中間の貿易摩擦に起因する追加関税・法規制施行に伴うコストの増加、事業環境悪化の可能性。(脅威) ・アジア諸国における対日感情が悪化した場合に、当社商品がボイコットされる可能性。(脅威) ・当社進出国の政治状況や各国間の外交関係が安定すれば事業環境が整いビジネス機会が拡大する可能性。(機会) 〔対応策〕 ・中国・アジアパシフィックにおけるプレミアムスキンビューティー事業の成長加速。 ・新規事業、新ブランドによる中国におけるさらなる成長加速。 ・各地域の売上バランスの適正化と、日本・欧米における利益の伸長及び、さらなる支持獲得。 ・危機発生時においても柔軟かつ継続的な供給を可能とするグローバルサプライネットワークの強化。 | ③ |
リスク | 戦略実現に向けた主要な取り組み/ その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策 | WIN 2023 主要戦略※1との関連性 |
ビジネス構造改革 | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・収益性の改善のため、原価・販売費及び一般管理費等の改革を推進。 〔不確実性〕 ・各地域・部門におけるビジネスの構造改革が狙いどおりに進まず、収益性及びキャッシュ・フローの改善が停滞することにより経営計画の達成に影響を及ぼす可能性。(脅威) ・欧米の収益性改善、日本のローカル事業を中心とした基盤再構築、中国における「第2の本社」組織能力拡充によるグローバル市場での競争優位の可能性。(機会) 〔対応策〕 ・全体戦略の構築と実行管理、迅速な意思決定及び各地域構造と部門の改革案の策定と実行サポートを目的とするCEO直轄のグローバルトランスフォーメーション委員会の設置・推進。 | ①②③ |
情報セキュリティ | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・生活者ニーズや競争環境の激化に対応するため、情報データの活用やEコマースの強化など、デジタルマーケティングのグローバルでの強化。 〔不確実性〕 ・サイバー攻撃によるシステム停止やお客さま情報の漏洩により、損害賠償責任や当社への信頼低下が発生する可能性。(脅威) ・各国が個人情報データの取り扱い及びデータ主権の規制を強化し、該当データをグローバルで共有できなくなる可能性。(脅威) ・グローバルでのデジタライゼーションの一元化と情報の有効活用により、当社デジタルマーケティングが飛躍的に進展し、Eコマース領域の売上・利益が拡大する可能性。(機会) 〔対応策〕 ・日々高度化・多様化する外部からのサイバー攻撃に対する中長期視点での対応態勢強化。(フィルタリングやPC端末、クラウド利用に関するセキュリティ強化等) ・情報セキュリティに関する専門部署の設置とグローバルでの連携体制を整備するとともに、情報セキュリティをITガバナンスの一環として位置づけITセキュリティ含め全体的な強化を推進。各国事業所でIT監査を実施。 ・クラウド利用に関する国内外各拠点における規定類の整備と遵守の徹底、社員の情報セキュリティ啓発を推進。 ・現状を踏まえたグローバル共通の情報セキュリティフレームワークの改定。 | ⑨⑩ |
優秀な人材の獲得・維持と組織風土 | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・「PEOPLE FIRST」の考えのもと、イノベーションを起こし、変革をもたらす人材を育成・獲得 ・「OUR PRINCIPLES(TRUST 8)」として、「THINK BIG」「TAKE RISKS」「HANDS ON」 「COLLABORATE」 「BE OPEN」 「ACT WITH INTEGRITY」「BE ACCOUNTABLE」「APPLAUD SUCCESS」の8つを全社員の心構えとして設定。 〔不確実性〕 ・優秀な人材の獲得・維持が計画どおり進捗せず経営計画を実現する人材が不足する可能性。(脅威) ・優秀な人材の獲得・維持により、グローバル市場での競争優位を確保できる可能性。(機会) ・業務特性に合わせた働き方改革の推進により、組織の生産性が更に高まる可能性。(機会) 〔対応策〕 ・社員とのコミュニケーションや対話を通じた、透明性の高いリーダーシップとガバナンスが根付いた組織風土の継続的な醸成。 ・「リモートワーク」と「オフィスワーク」を組み合わせた、最大の成果を出すための新しい働き方(資生堂流ハイブリッドワークスタイル)や、副業許可など、柔軟性・多様性を認める職場の整備と社員の健康管理の推進。 ・人事関連の情報インフラの整備、グローバル人事データベース「MIRAI」導入、パフォーマンスマネジメントの統一化。 ・ジョブ型雇用など、貢献度に対応した役割等級制度・処遇報酬制度の導入。 ・グローバルビジネスリーダーシップやビジネスに対する洞察力を培うためのプログラムの提供。 ・グローバルマインドセットや最善施策の展開の促進を目的とした、社員に対する海外転勤を伴う異動の機会の付与。 ・社員個人及び組織としての能力を高めるためのダイバーシティの促進。 | ⑧⑨⑩ |
リスク | 戦略実現に向けた主要な取り組み/ その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策 | WIN 2023 主要戦略※1との関連性 |
グローバル情報ネットワーク | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・商品の調達・生産・販売に係る情報システムや、業務管理システム、主要業務プロセスのグローバルでの高度化・効率化。 〔不確実性〕 ・各国の当社事業所のITシステムの再構築が遅延すれば、グローバルでの経営基盤の向上を阻害する可能性。(脅威) ・グローバルでのITシステムの最新化により更に事業基盤が強固なものとなり競争力が向上する可能性。(機会) 〔対応策〕 ・社内に専門組織「ビジネストランスフォーメーション部」を設置、グローバルでのITシステム及び業務プロセスの標準化と最新化を図る「FOCUS」プロジェクトの実現に向けた取り組みを強化。 | ②⑨⑩ |
サプライ ネットワーク | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・中長期的に安定した生産体制を確立するため、国内に新たに3工場を建設し、順次稼働を開始予定。 ・グローバルサプライチェーンマネジメントの強化。 〔不確実性〕 ・特定のサプライヤーに依存している一部商品の原材料について、原材料の需要逼迫、価格高騰、サプライヤーの事業撤退、自然災害などにより供給が遅延し安定的な生産ができなくなる可能性。(脅威) ・国内6工場体制により、日本の高品質のものづくりの強みを活かし、生活者への提供価値を高める可能性。(機会) 〔対応策〕 ・化粧品の製造に不可欠な原料などについて、サプライヤーのマルチソース化や緊急時に備えた在庫の確保、サプライヤーとの戦略的な連携による供給体制の強化。 ・「資生堂グループサプライヤー行動基準」の遵守状況のモニタリング強化。 | ②⑩ |
コンプライアンス | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・デジタル、ビジネス構造改革等の新たなビジネスモデルによる成長基盤の再構築のための法令遵守体制強化。 〔不確実性〕 ・当社の遵守する世界各国の法規制(製品安全、原材料やラベル、労働安全衛生、知的財産、競争、データプライバシー、環境、雇用と労働、税金、製品訴求、コーポレートガバナンス、適時開示などに関する法規制)について、予期せぬ変化があった場合における、事業コストに重大な影響を与える可能性。また、万が一遵守できなかった場合における、会社が民事上の賠償金や刑事上の罰金を科され、会社のレピュテーションに影響が及ぶ可能性。(脅威) 〔対応策〕 ・「資生堂グループ倫理行動基準」で世界中の社員の行動を規定。 ・最高法務責任者(CLO)を設置し、グループ全体の法令遵守体制を明確化。CLO管轄下のリスクマネジメント部門が倫理行動基準及び当社事業に関係する法規制のグローバルでの遵守を確保。 ・全社員に倫理行動基準の遵守を求め、働き方の枠組みと倫理的な企業風土を醸成。また、お客さまデータの取扱いに加え、腐敗防止、反独占、差別、プライバシーなどのコンプライアンス分野についても研修・啓発を実施。 ・社員の匿名通報窓口を電話やウェブ上で提供し、倫理行動基準違反の通報受付・対応を実施。 ・各部署に薬事、安全性、品質、雇用、訴求の有用性、製品ラベルなどの基準の遵守状況を監視する専任チームメンバーを有し、法令遵守を徹底。お客さまと社員の安全を守る迅速かつ効果的な行動を確実にすべく、発生地域や市場でインシデント対応チームを立ち上げ対応。 | ⑩ |
リスク | 戦略実現に向けた主要な取り組み/ その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策 | WIN 2023 主要戦略※1との関連性 |
品質保証・管理 | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・安全・安心な商品の提供は、全戦略の基盤となる当社の重要な価値であり、競争優位の源泉であるとの認識のもと、商品の設計から生産、販売まで高レベルで品質保証・管理を徹底。 〔不確実性〕 ・積極的なM&Aの推進によって、品質保証・管理に対する当社の高い基準の適用が不十分となり、商品のライフサイクル全般にわたり、安全かつ安心な商品を生活者へ提供し続けることができない可能性。(脅威) ・日本の高い品質水準と同等の商品を日本国外でも生産し、世界中で高品質な商品を生活者へ提供することで、特に日本国外でのブランドイメージが高まり、より多くの生活者の支持を得ることができる可能性。(機会) 〔対応策〕 ・「品質保証の基本指針」、「グローバル品質ポリシー・ガイダンス」を定めて独自の厳しい品質基準やさまざまな安全性保証の基準を設定し、新製品の設計、開発、原材料の管理、生産、出荷それぞれの段階で、これら基準に適合していることを確認。専門の品質保証部門を設置。 ・お客さま相談窓口に寄せられたお客さまからのお申し出に関する情報を集約し、全世界で共有・活用できるシステム(Global Quality System)の導入。 ・お客さま相談窓口や、万が一品質リスクが発生した場合の社内対応体制を整備し、定期的にシミュレーション訓練を実施。 | ④⑤⑥⑩ |
組織運営・ガバナンス | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・6つの地域本社とブランドカテゴリーからなるマトリクス型の組織体制を敷き、グローバル本社はグループ全体を統括し、日本、中国、アジアパシフィック、米州、欧州及びトラベルリテールのそれぞれを統括する地域本社に権限の多くを委譲し、責任と権限の現地化を促進。 〔不確実性〕 ・地域本社がグループ全体の方針に沿わない決定を強引に推進したり、反対に権限が適切に委譲されず責任が果たせないなどの事態となれば、適法かつ健全な組織運営が円滑に進捗しなくなり、組織のレピュテーションや、持続可能性を損なう可能性。(脅威) ・地域本社がそれぞれのビジネスの責任と権限を持ち、「Think Global, Act Local」の考え方のもと、地域の生活者のニーズに合ったマーケティングや迅速な意思決定を実行した結果、より多くの生活者の支持を得ることができる可能性。(機会) 〔対応策〕 ・本社機能及びブランドごとのグローバル本社と地域本社間の責任と権限に関する規定を策定し周知。 ・すべての重大なリスクについて、既存のコントロールとリスクオーナーを詳述した継続的なリスク管理の枠組みを確立。リスクマネジメント部門が短期・長期リスクや新興リスクを考慮し、取締役会を含む経営陣に定期的に報告するグローバルな内部統制体制を構築。 ・定期的な報告や継続的なグローバルリーダー会議を通じ、全ての重要事項において、各現地法人の体制がグローバル本社の指示・承認と合致しているコーポレートガバナンスを確保。 ・ガバナンス体制の一環として、事業運営、資産、事業価値、レピュテーション及びコンプライアンスなど、当社事業にかかわる極めて重大な意思決定を、経営陣が定期的にレビューし取締役会に報告。 | ⑦⑧⑨⑩ |
リスク | 戦略実現に向けた主要な取り組み/ その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策 | WIN 2023 主要戦略※1との関連性 |
為替変動 | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・グローバルビューティーカンパニーとして海外売上の比率の上昇。 〔不確実性〕 ・輸出入取引等を行うことに伴う外貨建て決済について為替レートが大きく変動する可能性。(脅威・機会) ・海外関係会社の現地通貨建ての報告数値は、連結財務諸表作成時に円換算することから、収益が費用を上回る状況では、円高が進むと経営成績にマイナス影響を与える可能性。(脅威) ・当社の海外関係会社への投資は、円高が進行すると為替換算調整勘定を通じて純資産を減少させる可能性。(脅威) 〔対応策〕 ・適切な為替予約等を付すことなどにより為替変動に対するリスクヘッジ策を推進。 ・主要通貨の変動を監視し、迅速な対応を行う体制を整備。 | ③ |
重要な訴訟等 | 〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕 ・デジタル、ビジネス構造改革等の新たなビジネスモデルによる成長基盤の再構築のための法令遵守体制強化。 ・重大な訴訟のリスク管理・軽減を強化。 〔不確実性〕 ・海外約120ヵ国へ進出し、各国において異なる法制度のもと一定レベルの訴訟・賠償請求・当局調査が提起される可能性。(脅威) ・当連結会計年度において、当社に重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されていないが、将来、重要な訴訟等が発生し、当社に不利な判断がなされた場合に財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性。(脅威) 〔対応策〕 ・効果的な戦略や防御を確実にするべくグローバル本社と各地域本社にCLO直轄の法務チームを設置。また、重大事案の法的戦略・防御について支援を受けるため、外部の専門家や法律事務所ともネットワークを確立。 ・当社の事業に影響を及ぼす法的環境や国別法規制の変化に関する研修(腐敗防止、独占禁止、差別禁止など)を社員向けに実施。 ・ビジネス上の契約に補償等の救済措置を含む取引条件を明記することで紛争リスクを軽減。 ・全ての知的財産をグローバル全体で保護し、侵害申立てから防御。 | ⑩ |
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