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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100L2B3 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 住友ゴム工業株式会社 研究開発活動 (2020年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループにおいては、当社の研究開発組織・施設を核として世界各地に所在する子会社・関連会社群との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業、幅広い領域・分野で研究開発を推進しております。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、24,215百万円であります。
セグメント別の主要な研究開発活動は、次のとおりであります。

(1)タイヤ事業
当社グループのタイヤ技術研究開発は、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、欧州・米国のテクニカルセンターと連携して、「タイヤが地球環境の為に貢献できること」をテーマに、「原材料」「低燃費性」「省資源」の3つの方向性で環境配慮商品の開発に取り組んでおります。
自動車産業を取り巻く環境が大きく変化するなか、「さらに高い環境性能」を実現する技術である「エナセーブ・テクノロジー」に基づいて環境配慮商品の開発を推進しております。
また、当社はタイヤ開発及び周辺サービス展開のコンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」を掲げております。例えば、タイヤの摩耗、経年による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続させる「性能持続技術」や、商品ライフサイクル全体で環境性能を高めて循環型社会の実現に寄与する「ライフサイクルアセスメント(LCA)」の考え方を採り入れた商品開発を推進するとともに、デジタルツールを用いて得られるさまざまなデータを利用した新たなソリューションサービスの展開を目指しております。
原材料の分野では、茨城大学との共同研究により、タイヤ用ゴムに含まれるさまざまな材料を選択的に観測できる手法を確立しました。これは茨城大学が新たに開発した量子線顕微装置を用いており、既に製品化されているタイヤ用ゴムそのものの評価が可能になる画期的な手法です。これにより、タイヤそのものの構造を評価することが可能となり、この画像データを活用することで、燃費性能や耐摩耗性能などに優れたタイヤの内部構造を導き出せることから、材料開発の加速化が期待されます。
2020年3月には、天然ゴムの臭気発生原因を特定し、臭いを大幅に抑えた「臭気低減天然ゴム」を新たに開発したことを発表しました。「臭気低減天然ゴム」は、当社の天然ゴム加工工場(タイ)において原材料の加工工程に独自手法を取り入れ、臭気発生原因となる原材料中の非ゴム成分(タンパク質・脂質等)の分解を抑制することで、大幅な臭気低減を実現しました。本手法の確立により、天然ゴム加工工場のみならずタイヤ製造工場などの臭気問題解決への貢献が期待されます。当社では世界的な環境意識の高まりに対応すべく、天然ゴムの改質や高機能バイオマス材料を活用したタイヤ性能向上に取り組むなど研究開発を進めています。特に天然ゴムは、タイヤ原材料の重量構成比で約30%と大きな比率を占めており、天然ゴムを取り巻く課題解決に率先して取り組んでいます。
また、2020年9月には、スーパーコンピュータ「京」を活用して取り組んだ研究「タイヤ用ゴム材料の大規模分子動力学シミュレーション(課題番号:hp170063)」が、HPCI(革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ)利用研究課題優秀成果賞を受賞しました。今回受賞した研究は、ゴム材料に添加するシリカとカップリング剤の結合の仕方がゴム材料の強度に及ぼす影響を明らかにしたもので、ゴムの耐摩耗性向上に繋がる成果を得たものです。今後は、このシミュレーションの成果を新たなゴム材料及び商品の開発に活かしていきます。また、さらに高い安全性と環境負荷低減を両立したタイヤ開発を進めるため、シミュレーションにおいては、2021年3月から学術・産業分野へ共用が開始されたスーパーコンピュータ「富岳」も活用し、取り組みを進めていきます。
ソリューションサービスの分野においては、タイヤの空気圧や温度をリモート監視することができる空気圧管理ソリューションサービスの実証実験を開始しました。この実証実験は新出光グループとの共同で実施しております。タイヤの空気圧や温度をリモート監視できるサービスの効果を検証するものです。今回、500台の乗用車タイヤに装着したTPMS(Tire Pressure Monitoring System:タイヤ空気圧監視システム)で得た情報はクラウドを通じて確認出来、メンテナンス作業の負荷を軽減するだけでなく適正な空気圧維持によって走行時の燃費向上につながるなど、安全・安心な走行に貢献します。
また、2020年11月には、レベル4自動運転車を対象に、空気圧データ取得から異常時のタイヤメンテナンスまでのシステムを構築し実証実験を実施しました。これは昨年から行っている群馬大学の次世代モビリティ社会実装研究センター(CRANTS)との共同研究によるもので、車両が無人の場合でもタイヤ空気圧のリモート監視を可能とするものです。自動運転車におけるパンクなどを想定したタイヤトラブルの予知保全及びトラブル発生時の早期対応に貢献できます。
当社では、CASE/MaaSといった自動車業界の変革に対応していくため、タイヤ開発及び周辺サービス展開のコンセプト「SMART TYRE CONCEPT」を掲げ、当社技術センシングコアの進化と組み合わせたソリューションサービスの展開を進めています。タイヤの空気圧不足はパンクの原因の一つであるとともに、燃費や走行性能の低下にもつながることから、定期的なメンテナンスが重要です。また、自動運転の普及によるドライバーレス社会では、今まで以上にメンテナンスフリーが求められており、摩耗管理や路面状況の検知技術なども加えることで、自動運転車両の安全・安心にもつながるソリューションサービスの構築を目指していきます。
そして、2020年8月には、新技術の『ナノ凹凸(オウトツ)ゴム』を採用し、「SMART TYRE CONCEPT」の性能持続技術にも寄与する『液状ファルネセンゴム※1』を組み合わせたスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 03(ウインター マックス ゼロスリー)」を発売しました。摩耗しても凹凸構造を維持し続ける『ナノ凹凸ゴム』と、ゴムのしなやかさを長期にわたって保つ『液状ファルネセンゴム』により、その高い氷上性能が長期間維持します。これらの技術の組み合せにより、圧雪アイスバーンやミラーアイスバーン、ブラックアイスバーンなどが発生する危険な冬道でも安全かつ安心して走行できる「WINTER MAXX 03」が誕生しました。
当事業に係る研究開発費は20,589百万円であります。
※1 株式会社クラレがWINTER MAXX向けに開発した素材。

(2)スポーツ事業
スポーツ事業本部並びに米国のRoger Cleveland Golf Company, Inc.に研究開発部門を設置しており、コンピューターシミュレーション技術等を用いて新技術・新商品の開発並びに評価、試験に取り組んでおります。
兵庫県丹波市の「ゴルフ科学センター」では、スイングマシーンによるテストに加え、トッププロからアベレージゴルファーまでの様々な方のヒューマンテストを行い、クラブやボールの特性に加え、スイングとクラブの関係など、膨大なデータを集積し、総合的に測定・解析・評価を行っております。
これらの技術により、ゴルフクラブではNEW「スリクソン ZXシリーズ」を開発し、2020年10月に発売しました。ドライバーには、剛性の高いエリアと低いエリアを交互に配置した4層構造の「REBOUND FRAME」を搭載。大きなたわみを生み出し、反発性能が大幅に向上しました。
ゴルフボールでは、NEW「スリクソン Z-STARシリーズ」を開発し、商品化しました。「Z-STAR」は従来品より0.1mm厚くしたカバーと、新開発コーティングでスピン性能が向上。「Z-STAR XV」は新開発の2層コアによりボールスピードがアップしました。また、いずれのモデルにもディンプルの深さを最適化した新しい「強弾道338スピードディンプル」を搭載し、風に負けない力強い弾道を実現しました。
テニスラケットでは、ダンロップ「FX」シリーズを開発し、2020年8月に発売しました。新形状のシャープなラウンド形状フレームや、グロメットの下に設けた「溝」の新構造、スロート部に搭載した高伸縮性・高反発性を併せ持つ新素材などで、パワーとコントロールの両立を実現しました。
また、テニスボールでは練習球「セントジェームス・プレミアム」を開発し、2020年9月に発売しました。快適な打球感を持続させるため、ゴムの強度や耐久性を高める材料「扁平タルク」をボールのコアゴムに練りこみ、ボール内の気体を抜けにくくすることに成功。従来品と比べ1.5倍※2の長寿命化を実現しました。
当事業に係る研究開発費は1,767百万円であります。
※2 従来品の開缶後2か月後と本品の3か月後の物性変化と同等にすることで、快適な打球感が持続し約1.5
倍の長寿命化を実現。

(3)産業品他事業
産業品事業本部では、高減衰ゴムを用いた制振部材、医療用精密ゴム部品、車椅子用スロープ等、安心・安全・快適をテーマに消費者ニーズに合わせた商品開発に積極的に取り組んでおります。
制振事業では、戸建て住宅用制震ユニット「MIRAIE」と同じ高減衰ゴムを用いたビル用制振ダンパーについて、国内及び海外での展開を進めておりますが、昨年は台湾において台北市の有数なランドマークとなる大規模な再開発事業(2棟の高層オフィスビルと6棟の高層住宅)向けに開発した新仕様が採用され、納入を開始しています。
このように日本国内をはじめ海外でも実績がある制振ダンパーについて、当社従来品比より約42%エネルギー吸収性能を向上させることに成功しました。この技術を活用し地震や風揺れに対する振動低減・抑制効果を京都大学と共同で解析することとなりました。この開発中のゴムを用いて、住宅用、ビル用共に順次新製品に適用していく計画となっております。
今後も制振部材のほか、カーボンニュートラル、プラスチックの削減等、社会問題を解決することを念頭に、人々のより安全・快適な暮らしに貢献する研究開発を行っていきます。
当事業に係る研究開発費は1,859百万円であります。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01110] S100L2B3)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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