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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LQMQ (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 京セラ株式会社 事業等のリスク (2021年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは次のとおりであり、すべてのリスクを網羅的に記載しているわけではありません。なお、当該事項は、当社が有価証券報告書提出日時点において判断したものです。

事業活動に関するリスク
(1)日本及び世界経済の変動に関するリスク
当社は、日本のみならず世界各国で事業を展開するとともに、情報通信、自動車関連、環境・エネルギー、医療・ヘルスケア関連等の様々な市場に製品・サービスを供給しています。そのため、日本及び世界経済の変動により、当社製品の需要が大きく減退するリスクがあります。翌連結会計年度は、世界経済は当連結会計年度に比べ回復に向かうものと見込んでいます。また、デジタル化の進展等により、5Gや半導体、ADAS市場における関連製品の需要の増加を見込むものの、新型コロナウイルス感染症再拡大等により、当社製品の需要が上記の期待を下回る可能性があります。

(主要な対応策)
当社は、上記市場での事業機会を着実に捉えるべく、既存事業の拡大及び新規事業の創出、並びに生産性倍増に取り組んでいます。
・既存事業の拡大に向けて、セラミックパッケージやコンデンサ、水晶部品等、今後も旺盛な需要が見込まれる部品の積極的な設備投資を継続します。
・新規事業の創出については、独自のAI技術等を活用したAI協働ロボット・システムや低炭素社会の実現に貢献する基幹材料である窒化ガリウムデバイスの応用システムの事業化を進める等、M&Aも含めた社内外との連携強化を図っています。
・生産性倍増については、一層の生産性向上に向けて、グループ全体でAIやロボットを活用した自動化ライン等の導入を進めます。
また、新型コロナウイルス感染症の再拡大等、厳しい事業環境下においても事業活動を継続できるよう、引き続きリモートワークをはじめとする柔軟な勤務体系の整備を進めます。

(2)国際的な事業活動に関するリスク
当社は、日本以外に米国や欧州をはじめ、中国やベトナム等のアジア地域で製造及び販売拠点拡充のために多額の投資を行っています。これらの海外市場で事業活動を行っていく上で、当社にとって望ましくない政治的・経済的要因により、輸出入管理・投資規制・収益の本国送金規制・移転価格税制・タックスヘイブン対策税制等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。
また、世界的な人権に対する配慮の高まりにより、自社だけでなくサプライチェーンでの人権問題にも配慮が求められています。そのため、これに関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。

(主要な対応策)
独占禁止法、反贈収賄、個人情報保護法等、グローバルに規制の強化の動きのある海外の主要な法律・規制の対応等については、主要な子会社の法務担当者が参加する会議を定期的に開催し、各社の法的な課題・対策に関して議論を行っています。輸出入管理については、安全保障貿易管理に関する社員教育の実施とビジネスに関連する重要な規制に関する情報を適時、社内に周知しています。また、刻々と変化する国際情勢を把握し、能動的なリスク回避策をとっています。投資規制・収益の本国送金規制については、当社及びグループ各社において規制変更の情報を早期に収集し、適切に対処するよう取り組むことで、そのリスクの予防・回避に努めます。海外の税制については、税務情報を適時適切に提出することにより、各国の税務当局と信頼関係を築き、必要に応じて事前照会を実施することで税務リスク低減に努めています。特に、グループ内の国際間取引については、OECD移転価格ガイドラインに従った独立企業間価格に基づき行うとともに、税務当局との事前確認制度を活用し適正な納税に努めています。また、過度な節税を目的とする低税率国・地域(いわゆるタックスヘイブン地域)への税源の移転を防止し、各国の税制に従い適正な申告納税に努めています。また、当社は「京セラグループ人権基本方針」を制定し、サプライチェーンでの人権デューディリジェンスを行うなど、人権問題に取り組んでいます。

(3)為替レートの変動に関するリスク
当社は、国内外で事業を行っているため、為替レートの変動の影響を受けます。為替レートの変動は、常に当社の事業活動の成果や海外資産の価値及び生産コストに影響を与えるため、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があるとともに、事業活動の結果について期間ごとに比較することを困難にする場合があります。また、為替レートの変動は、当社と海外の競合企業が同一市場で販売する製品の価格競争や、当社の事業活動に必要な輸入品の仕入価格にも悪影響を及ぼす場合があります。

(主要な対応策)
当社は、為替レートの変動について、外国為替リスク管理方針に基づき、主に短期の為替予約を行うことにより、この影響の軽減に努めています。また、海外生産拠点における現地での部材調達の促進により、仕入価格における為替リスクの低減を図っています。

(4)当社製品の競合環境に関するリスク
当社は、多種多様な製品を販売しているため、国際的な大企業から、高度に専門化し急成長している比較的小規模な企業まで、広範な競合会社が存在します。当社の競合環境は、これらに限らず、コスト構造等で競争優位性を持つ新興国企業を含め、新たな脅威となる競合他社の出現によって常に変化する可能性があります。特定の事業分野に特化している多くの競合会社と異なり、当社は多角的に事業を展開しているため、個々の事業分野に関しては、競合会社ほど出資や投資を行うことができない可能性があります。当社の競合会社は、財務・技術・マーケティング面での経営資源を、当社の個々の事業より多く有している可能性があります。また、競合の要因は事業分野によって異なりますが、価格と納期は当社の全事業分野において影響を及ぼす主な要因となります。需要や競合の状況によりますが、製品価格の値下げ要求は概して恒常化しているため、今後も製品価格の下落が予想され、その結果、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)
当社は、素材技術から部品、デバイス・機器、システム・サービスまでの多岐にわたる経営資源を有しています。これらの経営資源を有効活用するため、グループ内の連携強化を図り、高付加価値製品の提供等により、競争優位性の確保に努めています。また、当社が顧客の製品ごとに仕様を合わせた部品を開発・製造・販売している事業においては、顧客の要求に沿った新製品の開発に早く着手することにより、競争力の強化を図っています。さらに、製品価格の下落に対しては、当社独自の経営管理システム「アメーバ経営」の実践を通じた部門別採算管理の徹底により、原価低減を図り、高い競争力の実現に取り組んでいます。

(5)生産活動に使用される原材料の価格変動、サプライヤーの供給能力に関するリスク
当社の各事業の生産活動に使用される原材料は常に価格変動にさらされているため、原材料価格の上昇は当社の製造原価の上昇につながる可能性があります。このような製造原価の上昇が製品の販売価格に転嫁できず、当社の収益性を押し下げる可能性があります。なお、当社は、原材料の正味実現可能価額(通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する原価の見積額及び販売に要するコストの見積額を控除した額)が原価を下回った場合には、正味実現可能価額まで評価減しており、今後も評価減を行う可能性があります。
また、当社は、生産活動において消費される一部の原材料を特定のサプライヤーに依存しており、これらのサプライヤーに対する需要が過剰な状況となり、当社への供給が不足した場合、当社の生産活動に遅延や混乱を引き起こす可能性があります。このような原材料の供給に重大な遅延があった場合、当社はただちに特定のサプライヤーに代わりうる供給先を確保できない可能性や、合理的な価格で原材料を確保できない可能性があります。このような価格上昇や原材料の供給停止は、当社の製品の需要を押し下げる可能性があります。

(主要な対応策)
当社は、購買活動にあたり、「購買基本方針」を定め、会社概況やCSRに関する各種調査を通じて信頼のおける供給業者を選定するとともに、複数社からの購買を基本方針としており、安定的かつ適正価格での調達に努めています。
また、当社は多岐にわたる事業を有していることから、原材料や部材の調達に関してはグループ内の連携により、価格交渉力の向上を図るとともに、原価低減等の内部改善により、各事業で原材料の価格上昇を吸収するよう努めています。
さらに、当社は、素材・部品からデバイス、機器、システム、サービスに至るまで事業を展開していることから、各事業で使用する部材や部品の一部をグループ内で調達しています。これにより、外部から調達している部材、部品を確保できない場合、グループ内での調達に切り替えるなどの対応を検討することが可能です。

(6)外部委託先や社内工程における製造の遅延または不良の発生に関するリスク
当社は、部品の製造や製品の組立の一部を単一もしくは限られた数社の取引先に外部委託しています。その中には非常に複雑な製造工程や長い製造時間を必要とする取引先も存在するため、部品や組立品の供給が遅滞する場合があります。また、このような部品や組立品が高い品質や信頼性を欠き、かつ適時に納入されない場合には、関連する製品の生産に重大な影響を及ぼし、当社の生産活動の遅延や中断が生じる場合があります。さらに、当社の製造工程においては、微小の不純物の製品への混入や製造工程の問題等の発生によって製品が納品できない状態になる場合や規格外となる場合があります。こうした要因によって生産高が計画を下回る、あるいは製品の出荷が遅れる、損害賠償金の支払請求を受ける等、業績に重大な影響を与える場合があります。これらのリスクに加え、製造原価に占める固定費の割合が高い事業においては、生産数量や設備稼働率の低下が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)
当社は、外部委託先の選定にあたり、「購買基本方針」を定め、十分な検討の上、委託先を選定しています。また、当社では、社内で確立した製造工程について、原材料・部品等を支給し、設備及び製造仕様書を委託先に貸与することにより、当社と同じ生産管理や品質マネジメントシステムのもと、顧客への納期及び品質要求に対応しています。また、社内においては、データサイエンスを用いた品質改善や、AIやロボットを活用した生産性改善活動を継続的に実施し、リスクの低減に努めています。

(7)生産能力及び開発体制の拡大、もしくは現在進行中の研究開発が期待される成果を生み出さないリスク
当社は、需要の増加や顧客の要求に対応するため、常に生産及び開発能力の拡大に努めています。こうした生産及び開発能力の拡大を図る際に、予期せぬ技術的な障害や顧客の方針転換等により、計画どおりに拡大できない場合、新たに生産された製品や開発された技術から期待された成果が得られない可能性があります。また、当社で現在進行中の研究開発活動から生まれる製品が、市場において期待された評価を得られない可能性もあります。

(主要な対応策)
当社は、顧客及び市場の動向を注視し、開発、製造、営業、マーケティング活動をグローバルに展開することにより、変化の速い市場環境への対応に向けて研究開発の強化を図っています。材料からデバイスに関する製品・技術開発を行う「けいはんなリサーチセンター」及びソフトウェア・システム開発を行う「みなとみらいリサーチセンター」を中心に、オープンイノベーションを加速させ、「人類、社会の進歩発展に貢献する」新製品及びサービスの創出に努めます。

(8)買収した会社や取得した資産から期待される成果や事業機会が得られないリスク
当社は、事業を発展させるため、買収による会社または資産の取得を検討しており、実際にそれらを取得することがあります。しかしながら、取得後、被買収会社の事業や製品並びに人材を当社が効果的に当社の既存事業に統合できない可能性や、買収による事業上の成果や財政上の利益または新しい事業機会を当社が期待する程は得られない可能性があります。また、被買収会社による製品の製造やサービスの提供が、当社が計画したとおり効率的に実施できない可能性や、被買収会社の製品やサービスの需要が当社の期待に達しない可能性があります。従って、買収によって取得した会社や資産を期待どおりに活用できない場合、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があり、これらの資産が減損していると判断される場合には、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、他社や学術機関、政府機関等との協業においても、上記と同様の影響を受ける可能性があります。
(主要な対応策)
当社は、企業買収・資産取得・協業等の投資意思決定においては、その効果を合理的かつ保守的に見積もった事業計画について社外専門家のレビューを踏まえ、機関決定の場で慎重に審議しています。取得後においては、PMI(Post Merger Integration)を進め、事業計画に対する実績達成度をモニタリングし、都度適切な施策を実行して損失リスク発生の回避に努めています。

(9)優れた人材の確保が困難となるリスク
当社が将来にわたり発展するためには、技術・販売・管理面において優れた人材を確保する必要があります。当社はあらゆる事業分野において、さらに多くの優れた能力を有する人材の雇用が必要になると考えています。近年、各分野において、有能な人材の獲得競争がますます激しさを増してきていることから、当社は今後、現有の人材を維持することや、能力のある人材を増員することができなくなる可能性があります。
また、業務と育児・介護等との両立を支援する勤務体系の導入等、ワークライフバランスの充実化やダイバーシティの推進を実施しない場合、現有の人材を維持できなくなる可能性があります。

(主要な対応策)
当社は、将来の京セラを支える高いポテンシャルとチャレンジ意欲溢れる人材を新卒採用しているほか、高度な専門スキルを有する人材や、マネジメント能力に優れた多様な人材を経験者採用として通年で積極的に獲得しています。また、従業員に対しては、当社は、「人間として何が正しいか」を物事の判断基準とする経営哲学「京セラフィロソフィ」の理解・実践と、業務を遂行するうえでの専門的な知識・技術の習得の両面で能力向上を図ることを目的とした人材教育を実施しています。目的別に構成される教育体系に基づき教育を展開していくことで経営理念の実現に貢献する有為な人材の育成に努めています。さらに、在宅勤務やフレックス制度の導入等の柔軟な勤務体系の導入により、ワークライフバランスの充実化やダイバーシティの推進を図り、多様な人材が働きがいを持って活躍できる職場環境の実現に取り組んでいます。

(10)情報セキュリティに関するリスク
当社は、事業活動における重要情報や顧客から入手した個人情報、機密情報を保有しています。これらの情報については、情報機器の故障や、ソフトウェアの不具合、マルウェアの侵入や高度なサイバー攻撃等により、情報漏洩や改ざん、滅失、システム停止等の被害を受けるリスクがあり、このような事態が発生した場合には、追加対応や損害賠償等の多額の費用負担により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社のシステムに対する不正アクセスを防止するために、当社は今後の技術革新にも対応できる情報セキュリティの維持に関連する追加的な費用を負担する可能性があり、それらが当社の財政状態及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)
当社では、経営戦略、商品開発、各種ノウハウ、技術等を会社の重要資産と認識した上で、京セラグループ統一の「情報セキュリティ管理方針」を制定し、情報セキュリティに関する管理体制を整備しています。また、情報セキュリティを維持・確保するために、従業員が遵守すべき事項を定めた各種規程を制定し、従業員への教育を実施しています。さらに、ネットワークやIT資産等に対するセキュリティ対策、事業継続計画(BCP)を策定し、情報セキュリティの強化を図っています。外部からのマルウェアの侵入やサイバー攻撃等に対しては、システムによる常時監視により侵入防止対策や、被害を受けた場合の早期復旧策を講じています。

法規制・訴訟に関するリスク
(11)当社の企業秘密や知的財産・ブランド価値に関するリスク
当社が将来にわたり発展し、市場競争において優位な地位を確立・維持するためには、当社の企業秘密やその他の知的財産が守られなければなりません。当社は企業秘密を守るために従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等と秘密保持契約を締結しています。また、当社が独自に開発した製品や工程については、国内外において特許等の知的財産の取得に努めています。秘密保持契約の当社以外の当事者によって当社の企業秘密を不適切に漏洩された場合、もしくは当社が特許を取得している独自開発製品・工程が他社によって侵害された場合、あるいは当社のブランド価値を毀損するような模倣品が販売された場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は戦略的に知的財産を出願していますが、こうした出願が登録されない可能性があり、また登録されても無効にされる可能性、あるいは当社の知的財産権を回避される可能性もあります。

(主要な対応策)
当社は、企業秘密を守るために従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等と秘密保持契約を締結しています。当社が独自に開発した製品や工程については、国内外において知的財産権を取得し、侵害者の排除に努めています。また、当社の知的財産については、先行調査を十分に実施した上で出願を行うことにより、登録可能性を高めるとともに、様々な観点から当該事業分野や製品を戦略的に網羅する複数の強い知的財産権を取得し、これらの特許を活用することで事業に貢献する活動を行っています。さらに当社のブランド価値の維持向上を図るため、知的財産権を活用した模倣品の摘発を行っています。

(12)当社製品の製造・販売を続ける上で必要なライセンスに関するリスク
当社はこれまでに、第三者より知的財産権を侵害しているとの通知を受けたことや、知的財産権の実施許諾についての対価請求の申し出を受けたことがあり、今後も同様の事例が発生する可能性があります。従って当社は、以下のことを保証することはできません。
・侵害の申し立て(または侵害の申し立てに起因する賠償請求)が当社に対して行われることはないということ。
・侵害の申し立てがあった場合、製品販売の差止命令を受ける事態が発生しないということ、及び、差止命令によって当社事業の業績が大きく損なわれる事態が発生しないということ。
・当社の事業活動に悪影響を及ぼす高額の実施許諾料の支払いを要求されないこと。

(主要な対応策)
当社は、新技術・新製品を開発する際には、事前に他社の知的財産権を調査して、知財リスクを把握した問題解決に取り組んだ上で事業を行うように努めています。それでも他社から侵害の申し立てがあった場合は、誠実に対応を行い、必要がある場合は適正な実施許諾料を支払うことで解決を図ります。

(13)コンプライアンスに関するリスク
当社は、「人間として何が正しいか」を物事の判断基準とする経営哲学「京セラフィロソフィ」をベースにコンプライアンスの徹底に努めています。しかしながら、このような徹底が十分になされず、法令違反や社会規範に反した行動が発生した場合、信用失墜による顧客からの取引停止、罰則金の支払、損害賠償請求等により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)
当社は、コンプライアンス活動が社是や京セラフィロソフィの延長にある重要な活動であることを理解するとともに、各国の関連法令の遵守がステークホルダーの信頼にも繋がる極めて重要な活動であることを理解し、専門部署であるグローバルコンプライアンス推進部の設置や「京セラコンプライアンス憲章」の制定等、コンプライアンス活動に積極的に取り組んでいます。また、各法令の主管部門による管理、新規法令の施行時や法令改正時の社内連絡体制の構築、内部通報制度の導入、定期的な法令監査の実施、コンプライアンス月間の制定、コンプライアンス教育等により、法令を遵守し、社会規範に則った企業活動の徹底を図っています。さらに、グローバルにリスクを察知・共有することを目的に、主要なグループ会社の法務・コンプライアンス担当者が参加する「グローバル会議」を定期的に開催し、各社のコンプライアンス活動及び法的な課題・対策に関して議論を行っています。

当社が製造・販売を行っているケミカル製品について、米国の第三者安全科学機関であるUnderwriters Laboratories(以下、UL)の認証に関する不適切な対応が判明しました。一部のケミカル製品の難燃性及び絶縁性について、ULが実施する認証試験にて実際の製品とは異なるサンプルを提出していた事実等が確認されました。本件についてULに報告を行い、ULにて確認の結果、5製品のケミカル製品のUL認証が、2021年3月17日付で取り消されました。
このUL認証に関する不適切な対応について、本件の実態把握と原因究明に向けて、外部の専門家を中心とした特別調査委員会による調査を実施し、2021年5月13日に調査報告書を受領しました。本調査報告書とともに、本件に対する当社の是正措置及び再発防止策を当社ホームページ(https://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/210514J.pdf)にて公表しており、ULから認証を再取得する手続についても進めています。お客様への説明責任を果たし、これらの是正措置と再発防止策を着実に実行することにより、信頼回復に努めてまいります。また、本件については、特別調査委員会より、品質保証に関する倫理観とコンプライアンス意識の欠如が原因の一つと指摘されました。そのため、品質に関わる社内ルールの整備とその遵守体制の再検証を行い、品質に関するコンプライアンスの重要性の理解と実践の浸透を図るための社内教育を実施してまいります。
なお、本件について、顧客からの請求等、関連する費用が多額に発生した場合は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(14)環境に関連する費用負担や損害賠償責任が発生するリスク
当社は、温室効果ガス削減、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁の防止、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、従業員や地域住民の健康、安全及び財産保全、さらには当社の製品における使用物質の適切な表示等に関する国内外の様々な環境関連法令の適用を受けています。このような環境関連法令は、当社の現在の事業活動だけでなく、当社の過去の事業活動や、当社が買収等により他社から承継した事業の過去の活動に対しても適用される可能性があります。当社は、環境関連法令により当社に生じる義務に基づく債務について、その発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には引当金を計上します。仮に、当社の環境関連法令の義務違反等が判明した場合には、規制当局から浄化費用の支払いを命じられる可能性や損害賠償責任を負う可能性があります。また、当社が任意で環境問題に取り組む必要があると判断した場合にも、環境浄化費用の負担や補償金の支払いを行う可能性があります。これらの環境に関連する費用負担や損害賠償責任は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)
当社は、事業活動にあたり、経営理念を基本とした環境安全に関する総合的な取り組みを推進するため、製品のライフサイクルを通した環境負荷の低減、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量の抑制等、「京セラグループ環境安全方針」を制定し、環境関連法の遵守を徹底するとともに、規制の変更等への適切な把握、対応に努めています。

(15)世界的な気候変動に関するリスク
当社に適用される環境関連法令が、世界的な気候変動等により、将来さらに厳しくなる可能性や適用の範囲が拡大される可能性があります。対応の不足や遅れにより、想定外の急速な脱炭素社会への移行に対応できず、コストの増加や企業ブランドの低下を招くリスクがあります。

(主要な対応策)
当社は、気候変動に対し、代表取締役社長を委員長とする京セラグループCSR委員会にて、「2030年度温室効果ガス排出量2013年度比30%削減」とする目標を設定し、その目標は環境団体であるSBTイニシアチブよりSBT(Science Based Targets、科学的根拠に基づいた排出削減目標)の認定を受けました。また、再生可能エネルギー関連技術の実証試験を進め、エネルギーソリューション事業を推進し、再生可能エネルギーの普及を図るとともに、太陽光発電システムと蓄電池を統合運用することで、再生可能エネルギー比率を高め、エネルギーコストを抑制し、温室効果ガス排出量の削減に努めています。さらに、製造工程での省エネルギー化を進めることで、エネルギー使用量の削減に取り組んでいます。なお、当社はTCFDの提言への賛同を表明し、関連情報の積極的な開示に努めています。

災害等に関するリスク
(16)感染症の発生、テロ行為、または紛争等が当社の市場やサプライチェーンに混乱を与えるリスク
当社は、グローバルに事業を拡大していることに伴い、感染症の発生、テロ行為、または戦争・紛争等の事態に巻き込まれるリスクがあります。このような事態においては、開発・製造・販売・サービス等の事業活動の中断、混乱または延期等が生じる可能性があります。また、当社の市場やサプライチェーンに支障をきたす可能性もあります。このような状況が長期間続いた場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延(パンデミック)により、当社においても各国政府の方針や行動計画に基づき生産を縮小・停止したため、事業活動に大きな影響を受けました。今後も流行の長期化等、様々な要因による事業環境の変化が想定されます。当社は、新型コロナウイルス感染症への対策として、顧客、サプライヤー、従業員並びにご家族の健康維持を最優先に、感染予防・感染拡大の防止を基本に製品供給に努めています。具体的には、供給責任の高い製品の生産を優先し、不急の生産活動の縮小・停止や在宅勤務等を実施しています。また、子女が通う学校の臨時休校に伴い、通勤や在宅勤務が困難な社員へ特別休暇を付与する等の措置を講じています。当社は、従来取り組んできた製造部門でのAIやロボットの活用による自動化に加え、間接部門でのデジタル化の推進により、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、省人化や在宅勤務等に迅速に対応することができています。

(17)地震等の災害が発生するリスク
当社は、国内外において多くの開発・製造・事業関連施設を有しています。日本をはじめとするそれらの施設がある地域においては、地震や台風、津波、大雨、洪水、大雪等の不可避な自然災害、もしくは人為的ミスや設備故障等により、当社の施設に影響を与える大規模な災害等、事業への影響が考えられます。例えば、大規模な地震の発生により、当社の人員や開発・生産設備が壊滅的な損害を被り、操業の中断や製造・出荷の遅延を余儀なくされる可能性があります。また、損害を被った施設の復旧等に要する費用が多額に発生する可能性があります。さらに、社会資本や経済基盤に著しい被害が生じた場合には、交通網の混乱や電力の供給不足等が生じ、当社のサプライチェーンや生産活動に困難が生じる可能性があります。また、当社に原材料等を供給するサプライヤーが被害を被った場合には、原材料等の調達に困難が生じる可能性があり、当社の顧客が被害を受けた場合には、当社の製品の出荷が停滞する可能性があります。このような災害に伴う被害や、その結果生じる経済の停滞や消費の鈍化が、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)
当社では、地震等の自然災害、人為的ミス、あるいは設備故障等による災害に対してBCPの体制を整備し、活動を継続しています。具体的には、重要資源である人員、設備、部材、情報について、被害を最小化するための事前対策に加え、万が一被災した場合の早期復旧計画や代替供給策を策定し、教育・訓練を実施することにより、事業中断を回避し、早期に事業再開ができるよう努めています。

財務会計に関するリスク
(18)当社の顧客の財政状態が悪化し、売掛債権が回収困難となるリスク
当社は、売掛債権について、顧客が期日までに返済する能力があるか否かを考慮し、回収不能額を見積った上で貸倒引当金を計上しています。しかしながら、通常の営業取引において、当社の売掛債権は担保物件や信用保証により保全されていません。従って、経済環境の悪化等に伴い、顧客に対する多額の売掛債権の回収が困難となった場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)
当社は、与信管理規程に基づき、取引先ごとに回収条件・与信限度額を設定し、定期的に与信の見直しを行っています。また、回収期限を日次で管理しており、回収遅延や信用不安が発生した場合は、個別に債権回収、条件変更、担保・保証の入手等の債権保全策を講じ、貸倒リスクの回避に努めています。

(19)当社が保有する投資有価証券及びその他の投資に関するリスク
当社は、取引関係の維持・向上等を目的として、当社の関係会社以外の資本性証券に投資しています。その主たる投資は日本の通信サービス・プロバイダ-であるKDDI㈱の株式への投資です。2021年3月31日現在、当社はKDDI㈱の発行済株式の14.54%を保有しています。KDDI㈱の株式への投資は当社の総資産の約30%を占めており、KDDI㈱の株式の市場価格の変動は、当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)
当社は、KDDI㈱の株式について、経済合理性及び将来の事業機会における重要な事業パートナーとして保有を継続しています。当該株式を含むすべての資本性金融商品の一部である政策保有株式については、その保有意義について定期的に経済合理性の確認を行い、保有意義がないと判断したものについては、原則、売却を実施しています。また、保有株式の株価変動が当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性を察知するため、定期的に株価のモニタリングを行っています。

(20)有形固定資産、のれん並びに無形資産の減損処理に関するリスク
当社は、多くの有形固定資産、のれん並びに無形資産を保有しています。有形固定資産及び償却性無形資産については、帳簿価額を回収できない可能性を示す事象が発生した時点、もしくは状況が変化した時点で減損の判定を行っています。また、のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は償却をせず、年1回及び減損の可能性を示す事象が発生または状況が変化した時点で減損の判定を行っています。これらの資産が減損していると判断された場合には、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(主要な対応策)
当社は、「(8)買収した会社や取得した資産から期待される成果や事業機会が得られないリスク」に記載のとおり、企業買収・資産取得・協業等の投資意思決定においては、その効果を合理的かつ保守的に見積もった事業計画について社外専門家のレビューを踏まえ、機関決定の場で慎重に審議しています。また、取得後においては、PMIを進め、事業計画に対する実績達成度をモニタリングし、都度適切な施策を実行して損失リスク発生の回避に努めています。

(21)繰延税金資産及び法人所得税の不確実性に関するリスク
当社は、繰延税金資産について、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく変動する可能性があります。また当社は、税務調査を受けることを前提に税務上認識された不確実な税務ポジションについて、発生の可能性が高いと判断した場合、当該部分を不確実な税務ポジションとして負債に計上しています。
なお、法人所得税における不確実性に関する会計処理の金額と将来の税務当局との解決による金額は異なる可能性があります。

(主要な対応策)
当社は、子会社が立案する年間事業計画について、達成度を適時確認することにより、都度適切な施策を実行することで、繰延税金資産の回収可能性に変更が生じないように努めています。また、当社は、各国における税制変更及び税務調査に対し、社外専門家を利用し、リスクの最小化に努めています。

(22)会計基準の変更が財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすリスク
新会計基準もしくは会計基準の変更は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、会計基準の変更に対応するために、会計ソフトウェアもしくは情報システムを変更した場合には、一定の投資もしくは費用が必要となります。

(主要な対応策)
当社は、IFRSを連結財務諸表等に適用しているため、IFRSに適切に対応するための部門を設置するとともに、国際会計基準審議会が公表する基準書や解釈指針等を随時入手し、新会計基準に対応できる体制を整えています。会計基準の変更時には、財政状態及び経営成績に及ぼす影響を把握した上で、適切に開示します。さらに、会計基準の変更に際して、有効な財務報告に係る内部統制を構築するために一定の投資額は必要となりますが、変更内容を適切に把握した上で投資の要否を決定します。

従業員の状況研究開発活動


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01182] S100LQMQ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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