有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LLZB (EDINETへの外部リンク)
株式会社 神戸製鋼所 研究開発活動 (2021年3月期)
当社グループ(当社及び連結子会社)は、幅広い技術分野での高度な技術力を源泉として、当社グループならではの顧客価値を実現する製品の創出と、それに必要な「ものづくり力」の強化を中心に取り組み、また拡販のための技術支援、ソリューション提案など多くの成果をあげております。
技術開発本部では、各事業の基盤と競争力強化に向けた研究開発に加え、将来に向けた新製品・プロセスを具現化する高度で先端的な技術の開発も先導して行っており、自動車分野、航空機分野、エネルギー分野、人工知能(AI)含むICT分野などでの新たなメニュー創出とそれらを支えるものづくり力を強化していきます。
さらに、ソリューション提案力の強化による当社材の需要拡大・拡販及び素材系事業のプロセス技術開発力と現場適用力を強化するため、2020年4月1日付で、「ソリューション技術センター」と「プロセス技術センター」を新設しました。
ソリューション技術センターは、ソリューション開発力及び提案力の強化による当社材の需要拡大・拡販を狙って、事業部門と技術開発本部のソリューション開発組織を技術開発本部に統合・集約して新設しました。自動車の車体軽量化に資するソリューション技術(構造、接合、加工)の研究開発と迅速なユーザ支援、自動車の将来技術調査とそれらを活かした幅広い新規メニュー・新規事業の開拓、非自動車用途の製品メニューやものづくり支援へのソリューション技術の展開を行います。
プロセス技術センターは、素材系事業の各工場のものづくり力強化を狙いに、事業部門と技術開発本部の熱、圧延プロセス、計測分野の専門家を集約して新設しました。素材系の各工場に専門家が駐在する形とし、現場の知見と専門技術を融合させて、技術課題の迅速な解決、潜在課題の早期発見、プロセス技術力の強化を進めます。
両組織とも、集約のメリットを活かし、技術の担保と高度化、人材育成を計画的に推進します。
また、1996年に流行した「O-157」食中毒事件をきっかけに、独自に開発した「高機能抗菌めっき技術KENIFINE™」が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因となる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対してもウイルスの感染力を低下させることを確認いたしました。第三者機関にて効果検証を実施し、ステンレス鋼と比較してウイルスの感染力が1/1000程度になる結果が得られております。今後もKENIFINE™技術を進化させるとともに、Withコロナ・Afterコロナの時代に人々がより安全・安心で豊かに暮らせる世界をつくることへの貢献を目指し、新たな用途開発などに取り組んでまいります。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、310億円であります。なお、本費用には、当社技術開発本部で行っている事業部門横断的又は基礎的研究開発などで、各事業区分に配分できない費用として計上する費用57億円が含まれております。
主な事業の種類別セグメント毎の研究開発活動の状況は、次のとおりであります。
[鉄鋼アルミ]
鉄鋼アルミでは、特殊鋼線材、自動車用高強度鋼、ディスク用アルミ板などの戦略製品の差別化による拡販と生産性・歩留まり向上による収益改善のための技術開発に注力しています。また、CO2排出量削減に直接貢献できる技術開発にも引き続き取り組んでおります。
鉄鋼では、AIによる高炉の炉熱予測システムを開発し、2020年8月より加古川製鉄所第2高炉にて運用を開始しました。これにより、5時間先の溶銑の温度が自動かつ高精度で予測可能となり、炉内温度低下などの操業トラブルを未然に防止し、更なる安定操業に繋がります。今後は、より高度な炉況制御を行える「AI操炉®」の実現を目指し、開発を進めてまいります。
また、天然ガスを使った還元鉄製鉄法(MIDREX®プロセス)で形成した熱間成形還元鉄(HBI:Hot Briquetted Iron)を高炉に多量に装入し、高炉からのCO2排出量を決める還元材比を安定的に低減でき、高炉工程でのCO2排出量を約20%削減できる技術の実証に成功しました。今後も引き続き、CO2排出量の更なる削減、並びに、CO2削減コストの低廉化など、低CO2排出高炉操業技術のブラッシュアップにチャレンジしてまいります。
加えて、冷延及び溶融亜鉛めっきの高加工性超ハイテン鋼板を安定して生産するプロセス技術を開発し、2021年3月より、加古川製鉄所薄板工場において、第3CGL(溶融亜鉛めっきライン:Continuous Galvanizing Line)の営業運転を開始しました。本設備は、自動車用超ハイテン鋼板(強度:TS≧780MPa)の需要拡大を見据えた生産能力の拡大と生産性向上、また将来的な更なる高強度化、高加工性ニーズへの対応を実現可能とする設備です。今後お客様である自動車メーカーと量産に向けた材料承認を進めてまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、64億円であります。
[素形材]
素形材では、輸送機分野(自動車、船舶、航空機)を中心に、将来においても事業の中核をなす製品に関する研究開発や新製品の探索を推進しています。また、品質改善や生産性改善に向けた生産基盤の強化に資する研究開発にも注力して取り組んでおります。
鋳鍛鋼では、今治造船(株)が建造する11,000TEU(注1)大型コンテナ船シリーズに、当社船舶用製品(エンジン回りの部品である「クランク軸」と「中間軸」(注2)))が採用されました(2021年3月末時点で、船社のEver Greenにて5隻就航済)。近年、船舶業界では環境問題へ対応するために、船舶から排出されるNOX、SOX、CO2等に高い排出規制が課されるなど環境規制が進み、燃費向上や、環境機器等のスペース確保のため、搭載する各機器・部品においては、軽量化・短尺化が求められています。今回採用された製品では、従来品と比較し、クランク軸の全長を約6%(1m)短尺化し、重量は2製品それぞれ約10%(合計約40トン)軽量化しています。クランク軸においては、本船向けのエンジンを製造する(株)三井E&Sマシナリーと共同で「結合型」クランク軸を1本で製造する「一本型」クランク軸を開発し、新たな生産技術を確立するとともに設備投資することにより、製造可能となりました。中間軸については従来の炭素鋼と比較し軸径の低減により軽量化させた高強度中間軸が採用されました。本製品は2014年に開発し世界統一規則(IACS)として採択されています。
チタンでは、当社が開発し世界で初めて量産化に成功した「NC(Nano-Carbon composite coat)チタン」(以下、NCチタン)が、2020年12月に発売されたトヨタ自動車(株)(以下、トヨタ自動車)の新型「MIRAI」の燃料電池セパレータ用材料として採用されました。また、優れた技術により新型「MIRAI」の商品力向上に貢献したことを評価され、トヨタ自動車よりプロジェクト表彰を受賞しました。セパレータは、燃料電池内で燃料ガスや空気の流路を形成するとともに、発生した電気を流す役割を担う板状の部品で、耐食性、表面導電性、成形性等の性能が求められます。NCチタンは、比重が鉄の60%程度と軽量で耐食性も兼ね備えたチタン圧延材の表面に導電性が付与されており、プレス成形性にも優れています。これまではプレス成形後に導電性を付与する表面処理が必要でしたが、開発したNCチタンによりこの表面処理工程の省略が可能となりました。NCチタンの量産開発はトヨタ自動車と共同で行いました。その開発過程において当社機械事業部門の真空表面処理技術をNCチタン製造工程に適用し、当社独自の連続表面処理設備を製作するなど、当社ならではのシナジー効果を発揮しています。NCチタンは小型・高性能な燃料電池を通してカーボンニュートラルなグリーン社会の実現、並びに、お客様における飛躍的な生産性向上に貢献しています。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、26億円であります。
(注1)TEU
20フィートコンテナ1個分を1TEUとしたコンテナ搭載量のことです。
(注2)クランク軸と中間軸
クランク軸はエンジンで発生させた往復運動を回転運動へ変換する部品です。中間軸はその動力をスクリュへ伝える部品の一部です。
[溶接]
溶接では、「世界で最も信頼される溶接ソリューション企業」の実現を目指し、溶接材料と溶接ロボット・装置・電源を組合せ、さらに溶接プロセスを加えた「溶接ソリューション」を提供する企業として、引続き開発に注力しています。
溶接材料では、自動車足回り部品向けに、電着塗装性を向上させた専用ソリッドワイヤ「FAMILIARC™ MIX-1TR」を開発しました。これまでの溶接部は、生成したスラグが電着塗装工程で塗膜の形成を阻害し、塗装不良となり、防錆性能が劣化することが課題となっていました。MIX-1TRは、溶接部にスラグが残存しても電着塗装性に優れるように成分設計された溶接ワイヤです。現有設備やシールドガス組成などの変更なく適用が可能で、GA鋼板にも溶接可能です。また、従来製品と同等以上の高速溶接性が得られることなど、自動車製造ラインの生産性を損なうことなく、部品の防錆性能を向上できます。MIX-1TRは2020年度より自動車メーカーで初採用となり、国内外で今後の需要拡大が期待されます。
加えて、洋上風力発電の造管工程向けに狭開先用サブマージ溶接フラックス「TRUSTARC™ PF-H55LT-N」を開発し、販売を開始しました。ソリッドワイヤ「FAMILIARC™ US-29HK」と組合せることで、狭開先で課題となるスラグ剥離性や耐欠陥性に優れ、良好な溶接金属の機械的性質が得られます。近年大型化が進む洋上風力発電設備において、更なるパイルの太径化や厚板化が要求されています。造管工程では、溶接施工効率向上を目的に狭開先の採用も検討されており、同分野への拡販が期待されます。
溶接システムでは、小型可搬型溶接ロボット「石松」とティーチングBOX(ロボット操作)に改良を施し、ケーブルレスとしました。REGARC™プロセス搭載のケーブルレス石松は2020年10月より受注を開始しました。ケーブルレスとすることで、約5kg軽量化され、ロボットの搬入出・設置作業が更に楽になり、ケーブルを気にすることなく便利に操作が行えます。これまでの石松と全く同じ機能を有し、取得済の建築鉄骨溶接ロボット型式認証がそのまま適用できます。今後、より利便性を高め、高品質な溶接施工が提供できるように、引続き努めてまいります。
また、新たなエレクトロスラグ溶接法(ESW)として立向溶接法「SESLA™」を開発しました。従来のエレクトロガスアーク溶接法(EGW)である「SEGARC™」と比べ、溶融スラグの抵抗発熱を熱源とする溶接法であるため、アーク光が発生せず、スパッタやヒュームが極めて少ない特長を有し、溶接作業環境の改善ができます。また、新装置開発により、フラックス自動投入など自動化レベルを向上させる装置機能を搭載しました。専用の溶接材料としてはフラックス「FAMILIARC™ EF-4」及びフラックス入りワイヤ「FAMILIARC™ ES-X55E」を開発し、従来施工法では不可能なレベルまで溶接部のじん性を大幅に向上しています。現在、主要造船所で実船への適用試験を進めており、今後、造船業に限らず高能率・高品質な立向溶接法として普及に努めてまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、29億円であります。
[機械]
機械では、環境、省エネ(CO2削減)をキーワードに、オンリーワン・ナンバーワン技術や商品を創出することで独自性を徹底追求するとともに、マーケット及び生産の両面から更なるグローバル化を推進し、世界トップレベルの「ものづくり」の実現を目指しています。
圧縮機関連分野では、開発中の「舶用バイナリー発電システム」について、(株)商船三井と共同で、春山海運(株)のケープサイズのばら積み貨物船(今治造船(株)建造)に搭載し、約3年間の実船運用に関する共同研究を行います。本システムは、従来、大部分が廃棄されていた船舶の主エンジンの掃気冷却に伴う廃熱を熱源に、最大約100kWの発電が可能です。発電した電力は船舶における動力の補助電源などに有効活用することで、発電機エンジンのCO2排出量及び燃料の削減に貢献します。本システムは、日本海事協会(日本)、Lloyd(イギリス)、DNV・GL(ノルウェー)及びABS(米国)の認証機関の基本承認を取得しています。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、38億円であります。
[エンジニアリング]
エンジニアリングでは、将来の成長が見込まれる低炭素(CO2削減)、環境、エネルギー等の有望分野における独自プロセス・技術の更なる差別化、競争力強化に向けた開発を継続しております。
還元鉄関連分野では、天然ガスを還元剤とした製鉄法(MIDREX®プロセス)の競争力維持・強化に向けた開発を継続しております。
水処理関連分野では、温室効果ガス削減・未利用エネルギーの有効活用に向けた下水汚泥エネルギー化技術の開発を推進し、電熱スクリュ式炭化炉を用いた汚泥燃料化技術が日本下水道事業団の新技術Ⅰ類に選定されました。本技術は、脱水汚泥を乾燥後、還元状態で電気を熱源として加熱し、汚泥燃料を製造するものです。電熱スクリュを活用したコンパクトな炭化炉と熱風発生炉等が不要となるシンプルなフローによる放熱量の低減で、従来技術である外熱キルン式炭化炉よりも投入エネルギーを少なくすることが可能な技術です。
また、神奈川県との「環境配慮型創エネ焼却システムに関する共同研究」を終了し、流動タービン及びバイナリー発電等の省エネ・創エネシステム導入により、従来と比較し、焼却設備全体で消費電力を6割、温室効果ガス排出量を1割弱削減可能であることを確認しました。本研究は、焼却炉の廃熱を利用した環境配慮型創エネ焼却システムの技術を実機へ適用することにより、期待される「省エネルギー」・「創エネルギー」の性能及び「温室効果ガスの排出量の低減効果」を検証するとともに、神奈川県流域下水道事業の地球温暖化対策の推進に寄与することを評価するために実施したものです。他、高濃度汚泥消化技術や環境配慮型創エネ汚泥焼却システムなどの技術開発を完了しました。
廃棄物処理関連分野では、機種性能向上への取り組みに加え、脱炭素化に向けたCO2有効利用技術の開発に着手しました。
藻類事業においては、ユーグレナグラシリスEOD-1株由来パラミロンの機能評価のためヒト試験を実施し、科学的根拠に基づく安全性・機能性として、従来の「身体的疲労感の軽減」に加え「精神的疲労感の軽減」を確認しました。本件を表示内容とする機能性表示食品の消費者庁への届け出が完了しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、21億円であります。
[建設機械]
建設機械では、主力製品である油圧ショベル、クローラクレーンなどの安全性向上、省エネ性向上、排ガス対応・騒音低減などの環境対応に加え、建設リサイクル機械・金属リサイクル機械の開発に取り組んでいます。クラウドやAI、IoT等の先進テクノロジーの活用により「建設現場のテレワーク化」を実現し、深刻化する建設技能者の不足に対する多様な人材活用、現場生産性の向上、現場無人化による本質的な安全確保などを目指しています。
ショベルでは、日本マイクロソフト(株)と共同でIoTや画像・音声の認識技術、人工知能などを活用し、施工現場が映るモニターと建機操作のレバーを備えたコックピットから油圧ショベルなどを操作し、あたかも運転者が実際に操縦しているような作業を実現するための技術、建機遠隔操作システムの開発を進めています。今年度は本システムの開発を加速させ、現場事務所からの建機操縦など近距離環境の無線操縦システムを2021年度末までに完成させる計画です。また光ファイバーケーブルなどの長距離環境の操縦に取り組み、2025年度末に「建機テレワークサービス」の完成を目指しています。本開発は建機を操縦できるベテラン作業員の定年退職や人手不足に備えることを1つの目的としています。
また、コベルコ建機(株)(以下、コベルコ建機)が目指す“K-DIVE CONCEPT”「働く人を中心とした建設現場のテレワークシステム」を推進するため、北海道総合通信網(株)(以下、HOTnet)と建設機械の遠隔操作に関する開発協定を締結し、本協定に基づいた実証実験を実施しました。今回、HOTnetが所有する北海道札幌市から北海道帯広市に至る光ファイバーネットワークを経由して総距離300kmに及ぶ油圧ショベルの遠隔操作を行うと同時に耐災害性に優れ、強固なセキュリティ性を備えたHOTnet所有の札幌データセンターに稼働データを蓄積し、Microsoft Azureとの接続を行いました。油圧ショベルにて土砂をダンプトラック荷台へ積込む実証実験により、実機に搭乗して操作した場合とほぼ同等の作業効率で遠隔操作が可能であることを確認し、建機テレワークサービスの実用化に向け大きく進展しました。
加えて、実際の稼働現場における遠隔操作検証を2020年11月より開始しました。今回の検証である近距離での遠隔操作はK-DIVE CONCEPTに強く関心を持つ産業振興(株)(以下、産業振興)の協力により実現したもので、過去何度かのトライアルを経て、今回の継続的な実作業による検証開始となりました。具体的には産業振興の事業所内スクラップヤードにて、ローカル無線通信環境を利用し、ヤード内事務所から約100m離れた現場にあるリフティングマグネット仕様機(35t油圧ショベルをベースとしたハンドリング機械)を「近距離」遠隔操作するものです。K-DIVE CONCEPTの「近距離」遠隔操作は実際に機械に搭乗して操作した場合とほぼ同等の品質(通信速度、作業効率等)での操作が可能な段階にあり、今回の検証は1年程度の長期に渡った実作業での検証を行う、商用化に向けた最終確認と位置付けています。
またK-DIVE CONCEPTを推進するため、ライカジオシステムズ(株)(本社:スイス ヘルブルグ、以下、ライカ)とマシンガイダンス(以下、MG)の遠隔操作技術の開発に向けて協業することになりました。ライカのMGシステムは操縦席のスクリーンに表示される設計モデルと実際の切土盛土状況を確認しながら、経験の浅いオペレータでも、設計モデルどおりに迅速に掘削作業を行うことができるのが特徴です。今回の協業はMGをK-DIVE CONCEPTによる遠隔操作で使用した場合でも、実際に機械に搭乗して操作した場合と同等の品質(通信遅延、作業効率等)にすることで、安全で誰でも働ける遠隔施工現場を実現することを目的としています。またMGの遠隔操作が可能となればオペレータは時間や場所だけでなく、技量による制約も同時に解消することが可能となります。
さらに、2020年11月に(株)安藤・間(以下、安藤ハザマ)と油圧ショベルの自動運転技術の確立に向けた実証実験を実施いたしました。両社はお互いの強みを生かして油圧ショベルの自動運転推進に向けた研究開発を促進するため、2019年4月に共同研究に関する協定を締結しました。コベルコ建機は主に自動運転の油圧ショベルシステム開発を、安藤ハザマは現場へ適用するための施工と安全に対する管理システム開発や現場運用ルール化を担います。実験では自動運転に必要とされる「認知」「判断」「操作」などの要素技術のうち、「認知」にAIを適用させることで、物体認識、距離測定等を行い、その情報から目標位置を自動調整することで現場での状況変化に対応できることを確認しました。またプレイバック中の自動運転状況は、作業者がリアルアイムにタブレット端末で確認可能としました。加えて、バケット爪先の3次元軌跡をリアルタイムに計測しており、将来的に自動運転の監視や施工状況の管理に利用可能であると考えています。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、64億円であります。
[その他]
(株)コベルコ科研では、エネルギー、自動車、エレクトロニクス、土木・建築、環境など広範囲にわたる分析・試験技術を蓄積するとともに高度で先端的な評価・解析技術の開発を進めています。また高付加価値なフラットパネルディスプレイ向けの高移動度酸化物ターゲット材料や半導体検査装置の高精度、高機能化の開発に取り組んでいます。
さらに成長市場分野への事業拡大を目指し、自動車分野におけるFCV関連評価技術、モータ・インバータや電池などの駆動電子部品に関する評価技術の開発、また近年発達著しいAI、MIを活用した研究開発支援のメニュー開発などを進めております。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、7億円であります。
技術開発本部では、各事業の基盤と競争力強化に向けた研究開発に加え、将来に向けた新製品・プロセスを具現化する高度で先端的な技術の開発も先導して行っており、自動車分野、航空機分野、エネルギー分野、人工知能(AI)含むICT分野などでの新たなメニュー創出とそれらを支えるものづくり力を強化していきます。
さらに、ソリューション提案力の強化による当社材の需要拡大・拡販及び素材系事業のプロセス技術開発力と現場適用力を強化するため、2020年4月1日付で、「ソリューション技術センター」と「プロセス技術センター」を新設しました。
ソリューション技術センターは、ソリューション開発力及び提案力の強化による当社材の需要拡大・拡販を狙って、事業部門と技術開発本部のソリューション開発組織を技術開発本部に統合・集約して新設しました。自動車の車体軽量化に資するソリューション技術(構造、接合、加工)の研究開発と迅速なユーザ支援、自動車の将来技術調査とそれらを活かした幅広い新規メニュー・新規事業の開拓、非自動車用途の製品メニューやものづくり支援へのソリューション技術の展開を行います。
プロセス技術センターは、素材系事業の各工場のものづくり力強化を狙いに、事業部門と技術開発本部の熱、圧延プロセス、計測分野の専門家を集約して新設しました。素材系の各工場に専門家が駐在する形とし、現場の知見と専門技術を融合させて、技術課題の迅速な解決、潜在課題の早期発見、プロセス技術力の強化を進めます。
両組織とも、集約のメリットを活かし、技術の担保と高度化、人材育成を計画的に推進します。
また、1996年に流行した「O-157」食中毒事件をきっかけに、独自に開発した「高機能抗菌めっき技術KENIFINE™」が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因となる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対してもウイルスの感染力を低下させることを確認いたしました。第三者機関にて効果検証を実施し、ステンレス鋼と比較してウイルスの感染力が1/1000程度になる結果が得られております。今後もKENIFINE™技術を進化させるとともに、Withコロナ・Afterコロナの時代に人々がより安全・安心で豊かに暮らせる世界をつくることへの貢献を目指し、新たな用途開発などに取り組んでまいります。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、310億円であります。なお、本費用には、当社技術開発本部で行っている事業部門横断的又は基礎的研究開発などで、各事業区分に配分できない費用として計上する費用57億円が含まれております。
主な事業の種類別セグメント毎の研究開発活動の状況は、次のとおりであります。
[鉄鋼アルミ]
鉄鋼アルミでは、特殊鋼線材、自動車用高強度鋼、ディスク用アルミ板などの戦略製品の差別化による拡販と生産性・歩留まり向上による収益改善のための技術開発に注力しています。また、CO2排出量削減に直接貢献できる技術開発にも引き続き取り組んでおります。
鉄鋼では、AIによる高炉の炉熱予測システムを開発し、2020年8月より加古川製鉄所第2高炉にて運用を開始しました。これにより、5時間先の溶銑の温度が自動かつ高精度で予測可能となり、炉内温度低下などの操業トラブルを未然に防止し、更なる安定操業に繋がります。今後は、より高度な炉況制御を行える「AI操炉®」の実現を目指し、開発を進めてまいります。
また、天然ガスを使った還元鉄製鉄法(MIDREX®プロセス)で形成した熱間成形還元鉄(HBI:Hot Briquetted Iron)を高炉に多量に装入し、高炉からのCO2排出量を決める還元材比を安定的に低減でき、高炉工程でのCO2排出量を約20%削減できる技術の実証に成功しました。今後も引き続き、CO2排出量の更なる削減、並びに、CO2削減コストの低廉化など、低CO2排出高炉操業技術のブラッシュアップにチャレンジしてまいります。
加えて、冷延及び溶融亜鉛めっきの高加工性超ハイテン鋼板を安定して生産するプロセス技術を開発し、2021年3月より、加古川製鉄所薄板工場において、第3CGL(溶融亜鉛めっきライン:Continuous Galvanizing Line)の営業運転を開始しました。本設備は、自動車用超ハイテン鋼板(強度:TS≧780MPa)の需要拡大を見据えた生産能力の拡大と生産性向上、また将来的な更なる高強度化、高加工性ニーズへの対応を実現可能とする設備です。今後お客様である自動車メーカーと量産に向けた材料承認を進めてまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、64億円であります。
[素形材]
素形材では、輸送機分野(自動車、船舶、航空機)を中心に、将来においても事業の中核をなす製品に関する研究開発や新製品の探索を推進しています。また、品質改善や生産性改善に向けた生産基盤の強化に資する研究開発にも注力して取り組んでおります。
鋳鍛鋼では、今治造船(株)が建造する11,000TEU(注1)大型コンテナ船シリーズに、当社船舶用製品(エンジン回りの部品である「クランク軸」と「中間軸」(注2)))が採用されました(2021年3月末時点で、船社のEver Greenにて5隻就航済)。近年、船舶業界では環境問題へ対応するために、船舶から排出されるNOX、SOX、CO2等に高い排出規制が課されるなど環境規制が進み、燃費向上や、環境機器等のスペース確保のため、搭載する各機器・部品においては、軽量化・短尺化が求められています。今回採用された製品では、従来品と比較し、クランク軸の全長を約6%(1m)短尺化し、重量は2製品それぞれ約10%(合計約40トン)軽量化しています。クランク軸においては、本船向けのエンジンを製造する(株)三井E&Sマシナリーと共同で「結合型」クランク軸を1本で製造する「一本型」クランク軸を開発し、新たな生産技術を確立するとともに設備投資することにより、製造可能となりました。中間軸については従来の炭素鋼と比較し軸径の低減により軽量化させた高強度中間軸が採用されました。本製品は2014年に開発し世界統一規則(IACS)として採択されています。
チタンでは、当社が開発し世界で初めて量産化に成功した「NC(Nano-Carbon composite coat)チタン」(以下、NCチタン)が、2020年12月に発売されたトヨタ自動車(株)(以下、トヨタ自動車)の新型「MIRAI」の燃料電池セパレータ用材料として採用されました。また、優れた技術により新型「MIRAI」の商品力向上に貢献したことを評価され、トヨタ自動車よりプロジェクト表彰を受賞しました。セパレータは、燃料電池内で燃料ガスや空気の流路を形成するとともに、発生した電気を流す役割を担う板状の部品で、耐食性、表面導電性、成形性等の性能が求められます。NCチタンは、比重が鉄の60%程度と軽量で耐食性も兼ね備えたチタン圧延材の表面に導電性が付与されており、プレス成形性にも優れています。これまではプレス成形後に導電性を付与する表面処理が必要でしたが、開発したNCチタンによりこの表面処理工程の省略が可能となりました。NCチタンの量産開発はトヨタ自動車と共同で行いました。その開発過程において当社機械事業部門の真空表面処理技術をNCチタン製造工程に適用し、当社独自の連続表面処理設備を製作するなど、当社ならではのシナジー効果を発揮しています。NCチタンは小型・高性能な燃料電池を通してカーボンニュートラルなグリーン社会の実現、並びに、お客様における飛躍的な生産性向上に貢献しています。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、26億円であります。
(注1)TEU
20フィートコンテナ1個分を1TEUとしたコンテナ搭載量のことです。
(注2)クランク軸と中間軸
クランク軸はエンジンで発生させた往復運動を回転運動へ変換する部品です。中間軸はその動力をスクリュへ伝える部品の一部です。
[溶接]
溶接では、「世界で最も信頼される溶接ソリューション企業」の実現を目指し、溶接材料と溶接ロボット・装置・電源を組合せ、さらに溶接プロセスを加えた「溶接ソリューション」を提供する企業として、引続き開発に注力しています。
溶接材料では、自動車足回り部品向けに、電着塗装性を向上させた専用ソリッドワイヤ「FAMILIARC™ MIX-1TR」を開発しました。これまでの溶接部は、生成したスラグが電着塗装工程で塗膜の形成を阻害し、塗装不良となり、防錆性能が劣化することが課題となっていました。MIX-1TRは、溶接部にスラグが残存しても電着塗装性に優れるように成分設計された溶接ワイヤです。現有設備やシールドガス組成などの変更なく適用が可能で、GA鋼板にも溶接可能です。また、従来製品と同等以上の高速溶接性が得られることなど、自動車製造ラインの生産性を損なうことなく、部品の防錆性能を向上できます。MIX-1TRは2020年度より自動車メーカーで初採用となり、国内外で今後の需要拡大が期待されます。
加えて、洋上風力発電の造管工程向けに狭開先用サブマージ溶接フラックス「TRUSTARC™ PF-H55LT-N」を開発し、販売を開始しました。ソリッドワイヤ「FAMILIARC™ US-29HK」と組合せることで、狭開先で課題となるスラグ剥離性や耐欠陥性に優れ、良好な溶接金属の機械的性質が得られます。近年大型化が進む洋上風力発電設備において、更なるパイルの太径化や厚板化が要求されています。造管工程では、溶接施工効率向上を目的に狭開先の採用も検討されており、同分野への拡販が期待されます。
溶接システムでは、小型可搬型溶接ロボット「石松」とティーチングBOX(ロボット操作)に改良を施し、ケーブルレスとしました。REGARC™プロセス搭載のケーブルレス石松は2020年10月より受注を開始しました。ケーブルレスとすることで、約5kg軽量化され、ロボットの搬入出・設置作業が更に楽になり、ケーブルを気にすることなく便利に操作が行えます。これまでの石松と全く同じ機能を有し、取得済の建築鉄骨溶接ロボット型式認証がそのまま適用できます。今後、より利便性を高め、高品質な溶接施工が提供できるように、引続き努めてまいります。
また、新たなエレクトロスラグ溶接法(ESW)として立向溶接法「SESLA™」を開発しました。従来のエレクトロガスアーク溶接法(EGW)である「SEGARC™」と比べ、溶融スラグの抵抗発熱を熱源とする溶接法であるため、アーク光が発生せず、スパッタやヒュームが極めて少ない特長を有し、溶接作業環境の改善ができます。また、新装置開発により、フラックス自動投入など自動化レベルを向上させる装置機能を搭載しました。専用の溶接材料としてはフラックス「FAMILIARC™ EF-4」及びフラックス入りワイヤ「FAMILIARC™ ES-X55E」を開発し、従来施工法では不可能なレベルまで溶接部のじん性を大幅に向上しています。現在、主要造船所で実船への適用試験を進めており、今後、造船業に限らず高能率・高品質な立向溶接法として普及に努めてまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、29億円であります。
[機械]
機械では、環境、省エネ(CO2削減)をキーワードに、オンリーワン・ナンバーワン技術や商品を創出することで独自性を徹底追求するとともに、マーケット及び生産の両面から更なるグローバル化を推進し、世界トップレベルの「ものづくり」の実現を目指しています。
圧縮機関連分野では、開発中の「舶用バイナリー発電システム」について、(株)商船三井と共同で、春山海運(株)のケープサイズのばら積み貨物船(今治造船(株)建造)に搭載し、約3年間の実船運用に関する共同研究を行います。本システムは、従来、大部分が廃棄されていた船舶の主エンジンの掃気冷却に伴う廃熱を熱源に、最大約100kWの発電が可能です。発電した電力は船舶における動力の補助電源などに有効活用することで、発電機エンジンのCO2排出量及び燃料の削減に貢献します。本システムは、日本海事協会(日本)、Lloyd(イギリス)、DNV・GL(ノルウェー)及びABS(米国)の認証機関の基本承認を取得しています。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、38億円であります。
[エンジニアリング]
エンジニアリングでは、将来の成長が見込まれる低炭素(CO2削減)、環境、エネルギー等の有望分野における独自プロセス・技術の更なる差別化、競争力強化に向けた開発を継続しております。
還元鉄関連分野では、天然ガスを還元剤とした製鉄法(MIDREX®プロセス)の競争力維持・強化に向けた開発を継続しております。
水処理関連分野では、温室効果ガス削減・未利用エネルギーの有効活用に向けた下水汚泥エネルギー化技術の開発を推進し、電熱スクリュ式炭化炉を用いた汚泥燃料化技術が日本下水道事業団の新技術Ⅰ類に選定されました。本技術は、脱水汚泥を乾燥後、還元状態で電気を熱源として加熱し、汚泥燃料を製造するものです。電熱スクリュを活用したコンパクトな炭化炉と熱風発生炉等が不要となるシンプルなフローによる放熱量の低減で、従来技術である外熱キルン式炭化炉よりも投入エネルギーを少なくすることが可能な技術です。
また、神奈川県との「環境配慮型創エネ焼却システムに関する共同研究」を終了し、流動タービン及びバイナリー発電等の省エネ・創エネシステム導入により、従来と比較し、焼却設備全体で消費電力を6割、温室効果ガス排出量を1割弱削減可能であることを確認しました。本研究は、焼却炉の廃熱を利用した環境配慮型創エネ焼却システムの技術を実機へ適用することにより、期待される「省エネルギー」・「創エネルギー」の性能及び「温室効果ガスの排出量の低減効果」を検証するとともに、神奈川県流域下水道事業の地球温暖化対策の推進に寄与することを評価するために実施したものです。他、高濃度汚泥消化技術や環境配慮型創エネ汚泥焼却システムなどの技術開発を完了しました。
廃棄物処理関連分野では、機種性能向上への取り組みに加え、脱炭素化に向けたCO2有効利用技術の開発に着手しました。
藻類事業においては、ユーグレナグラシリスEOD-1株由来パラミロンの機能評価のためヒト試験を実施し、科学的根拠に基づく安全性・機能性として、従来の「身体的疲労感の軽減」に加え「精神的疲労感の軽減」を確認しました。本件を表示内容とする機能性表示食品の消費者庁への届け出が完了しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、21億円であります。
[建設機械]
建設機械では、主力製品である油圧ショベル、クローラクレーンなどの安全性向上、省エネ性向上、排ガス対応・騒音低減などの環境対応に加え、建設リサイクル機械・金属リサイクル機械の開発に取り組んでいます。クラウドやAI、IoT等の先進テクノロジーの活用により「建設現場のテレワーク化」を実現し、深刻化する建設技能者の不足に対する多様な人材活用、現場生産性の向上、現場無人化による本質的な安全確保などを目指しています。
ショベルでは、日本マイクロソフト(株)と共同でIoTや画像・音声の認識技術、人工知能などを活用し、施工現場が映るモニターと建機操作のレバーを備えたコックピットから油圧ショベルなどを操作し、あたかも運転者が実際に操縦しているような作業を実現するための技術、建機遠隔操作システムの開発を進めています。今年度は本システムの開発を加速させ、現場事務所からの建機操縦など近距離環境の無線操縦システムを2021年度末までに完成させる計画です。また光ファイバーケーブルなどの長距離環境の操縦に取り組み、2025年度末に「建機テレワークサービス」の完成を目指しています。本開発は建機を操縦できるベテラン作業員の定年退職や人手不足に備えることを1つの目的としています。
また、コベルコ建機(株)(以下、コベルコ建機)が目指す“K-DIVE CONCEPT”「働く人を中心とした建設現場のテレワークシステム」を推進するため、北海道総合通信網(株)(以下、HOTnet)と建設機械の遠隔操作に関する開発協定を締結し、本協定に基づいた実証実験を実施しました。今回、HOTnetが所有する北海道札幌市から北海道帯広市に至る光ファイバーネットワークを経由して総距離300kmに及ぶ油圧ショベルの遠隔操作を行うと同時に耐災害性に優れ、強固なセキュリティ性を備えたHOTnet所有の札幌データセンターに稼働データを蓄積し、Microsoft Azureとの接続を行いました。油圧ショベルにて土砂をダンプトラック荷台へ積込む実証実験により、実機に搭乗して操作した場合とほぼ同等の作業効率で遠隔操作が可能であることを確認し、建機テレワークサービスの実用化に向け大きく進展しました。
加えて、実際の稼働現場における遠隔操作検証を2020年11月より開始しました。今回の検証である近距離での遠隔操作はK-DIVE CONCEPTに強く関心を持つ産業振興(株)(以下、産業振興)の協力により実現したもので、過去何度かのトライアルを経て、今回の継続的な実作業による検証開始となりました。具体的には産業振興の事業所内スクラップヤードにて、ローカル無線通信環境を利用し、ヤード内事務所から約100m離れた現場にあるリフティングマグネット仕様機(35t油圧ショベルをベースとしたハンドリング機械)を「近距離」遠隔操作するものです。K-DIVE CONCEPTの「近距離」遠隔操作は実際に機械に搭乗して操作した場合とほぼ同等の品質(通信速度、作業効率等)での操作が可能な段階にあり、今回の検証は1年程度の長期に渡った実作業での検証を行う、商用化に向けた最終確認と位置付けています。
またK-DIVE CONCEPTを推進するため、ライカジオシステムズ(株)(本社:スイス ヘルブルグ、以下、ライカ)とマシンガイダンス(以下、MG)の遠隔操作技術の開発に向けて協業することになりました。ライカのMGシステムは操縦席のスクリーンに表示される設計モデルと実際の切土盛土状況を確認しながら、経験の浅いオペレータでも、設計モデルどおりに迅速に掘削作業を行うことができるのが特徴です。今回の協業はMGをK-DIVE CONCEPTによる遠隔操作で使用した場合でも、実際に機械に搭乗して操作した場合と同等の品質(通信遅延、作業効率等)にすることで、安全で誰でも働ける遠隔施工現場を実現することを目的としています。またMGの遠隔操作が可能となればオペレータは時間や場所だけでなく、技量による制約も同時に解消することが可能となります。
さらに、2020年11月に(株)安藤・間(以下、安藤ハザマ)と油圧ショベルの自動運転技術の確立に向けた実証実験を実施いたしました。両社はお互いの強みを生かして油圧ショベルの自動運転推進に向けた研究開発を促進するため、2019年4月に共同研究に関する協定を締結しました。コベルコ建機は主に自動運転の油圧ショベルシステム開発を、安藤ハザマは現場へ適用するための施工と安全に対する管理システム開発や現場運用ルール化を担います。実験では自動運転に必要とされる「認知」「判断」「操作」などの要素技術のうち、「認知」にAIを適用させることで、物体認識、距離測定等を行い、その情報から目標位置を自動調整することで現場での状況変化に対応できることを確認しました。またプレイバック中の自動運転状況は、作業者がリアルアイムにタブレット端末で確認可能としました。加えて、バケット爪先の3次元軌跡をリアルタイムに計測しており、将来的に自動運転の監視や施工状況の管理に利用可能であると考えています。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、64億円であります。
[その他]
(株)コベルコ科研では、エネルギー、自動車、エレクトロニクス、土木・建築、環境など広範囲にわたる分析・試験技術を蓄積するとともに高度で先端的な評価・解析技術の開発を進めています。また高付加価値なフラットパネルディスプレイ向けの高移動度酸化物ターゲット材料や半導体検査装置の高精度、高機能化の開発に取り組んでいます。
さらに成長市場分野への事業拡大を目指し、自動車分野におけるFCV関連評価技術、モータ・インバータや電池などの駆動電子部品に関する評価技術の開発、また近年発達著しいAI、MIを活用した研究開発支援のメニュー開発などを進めております。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、7億円であります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01231] S100LLZB)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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