有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LN74 (EDINETへの外部リンク)
愛知製鋼株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)
当社グループは、「つくろう、未来を。つくろう、素材で。」のスローガンの下、「素材業のDNA」を活かした用途・商品開発と展開、スマート社会に向けた次世代事業の着実な育成と強化をめざして、自動車向け特殊鋼及びステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、電子機能材料・部品及び磁石応用製品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。
主力製品である特殊鋼・鍛造品では、自動車の電動化(HV/PHV、EV、FCV)時代の機構革新による、部品機能変化、新規搭載部品、ユニットの更なる小型軽量化、そしてグローバルコスト競争激化に対し、鍛鋼一貫の技術力を活かし、材料設計から部品製造までを見据え、プロセススルーで開発を推進、新素材と既存開発鋼を駆使した高機能・高付加価値部品の提供を目指してまいります。
当連結会計年度の研究開発費は、4,054百万円、研究開発人員は約250名であります。
なお、セグメント別の研究の目的、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。
(1) 鋼(ハガネ)カンパニー
自動車部品用の新しい特殊鋼の開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。
鋼材開発では、省資源・低コストを実現した省Mo(モリブデン)鋼「SCrH20」の拡販を推進、更に他の鋼種についても省Mo化を検討しております。また、電動化部品の小型・軽量化に対応した高強度用鋼の開発や、鍛鋼一貫開発として、鍛(キタエル)カンパニーに関わる革新的な工法開発の競争力をより引き出す材料開発にも注力しております。
鋼(ハガネ)カンパニーに係る研究開発費は1,681百万円であります。
(2) ステンレスカンパニー
インフラ関連や自動車部品用のステンレス鋼の開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。
ステンレス鋼ではエネルギー/社会インフラの高寿命化に貢献する商品であるステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡充、また、ステンレス構造部材ビジネスの拡大や、水素社会に対応する安心安全な省資源・低コストの鋼材開発に取り組んでおります。
特に燃料電池車向けの高圧水素用ステンレス鋼の開発に注力しており、2020年12月発売のトヨタ自動車の燃料電池自動車新型MIRAI向けに省資源高強度高圧水素用ステンレス鋼「AUS305-H2」を開発し、供給を開始いたしました。
当社は2013年に高圧水素用ステンレス鋼「AUS316L-H2」を開発し、同年より水素ステーション向けに、2014年からはその高強度仕様鋼が初代MIRAIに採用されておりますが、今回の開発鋼は、新たにレアメタルであるMoを使用せず、既存の「AUS316L-H2」と同等の強度と耐水素脆化特性を確保すると共に、省資源化によるコスト低減と、お客様の部品加工性の向上にも大きく寄与しております。
ステンレスカンパニーに係る研究開発費は603百万円であります。
(3) 鍛(キタエル)カンパニー
自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。
次世代車における部品の高機能化・低コスト化ニーズを受け、2017年に導入した研究開発用サーボ式鍛造プレスラインをフルに活用し、革新的な工法開発や、より高度な鍛造製品の開発を推進しており、CAEを用いた成形シミュレーションの精度向上や、開発期間短縮などにも取り組んでおります。更に、熱間鍛造品メーカーから部品完成品メーカーへ進化を目指し、部品の付加価値を向上する設計技術開発、機械加工領域も含めた開発にも取り組んでおります。
鍛(キタエル)カンパニー に係る研究開発費は384百万円であります。
(4) スマートカンパニー
車載電子機器用放熱部品の開発、MIセンサの開発、モータ用磁石の開発など、進化を続けるスマート社会に向けた新しい素材、製品の開発等を行っております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。
当社が開発した「磁気マーカシステム」は、2017年から国土交通省、内閣府などと共に様々な場所/環境で実証実験を行い、その性能、信頼性において高い評価を得ております。当連結会計年度は中部国際空港島で一般乗客を乗せた実証実験を行うなど、実用化に向けた動きが着実に進んでおります。
磁石事業では、希少資源の使用を抑えつつ世界最高の磁力と高い形状自由度を実現した、独自開発のネオジム系異方性ボンド磁石「マグファイン®」(※1)により、2020年6月、経済産業省による「新グローバルニッチトップ企業100選」(※2)に選出されました。
モータ開発の分野では、この「マグファイン®」と当社独自の鍛鋼一貫による高強度材料を融合させ、2030年以降の電動車の本格普及と、それに伴う資源不足への対応として、EV向け電動アクスルを従来比で40%の小型軽量化できる技術実証に世界で初めて成功いたしました。
また、国公立大学法人や公益財団法人などとイネ科植物が根から分泌する天然の鉄キレート剤(※3)「ムギネ酸」(※4)の化学構造を改良した環境調和型の鉄キレート剤「プロリンデオキシムギネ酸(以下、PDMA)」を開発しました。
全世界の陸地の約3分の1は農耕に適さないとされるアルカリ性不良土壌で占められています。PDMA は世界の食料問題を解決する手段の一つとして今後の実用展開が期待されています。この研究成果は、2021年3月10日付で英国の科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」電子版に掲載されました。
この他にも、世界で初めて工場実証に成功した、高い蓄熱能力を有し反復利用が可能な、カルシウム系蓄熱材の工場排熱利用蓄熱システムなど、エネルギーコストの削減と共に、地球温暖化抑制、カーボンニュートラルに寄与する近未来システムとして、実用化に向けた取り組みを継続してまいります。
スマートカンパニーに係る研究開発費は1,384百万円であります。
※1 レアアースであるDy(ジスプロシウム )不使用のNd(ネオジム)系異方性磁石粉末に種々のプラスチックを混ぜて成形した磁石。電動工具や自動車用シートモータ等に採用。
※2 近年の厳しい経済環境の中においても、世界市場のニッチ分野で勝ち抜いている企業や、サプライチェーン上の重要性を増している部素材等の事業を有する企業などを選定する制度。
※3 「キレート」はギリシャ語で「蟹のはさみ」の意。鉄イオンを取り囲んでアルカリ土壌中でも安定に存在させる物質。
※4 植物が分泌する天然の鉄キレート物質。1976年に岩手大学の高城成一博士が「ムギの根から分泌する酸」として発見し、1978年にその化学構造式が竹本常松博士らによって決定され、この名が付けられた。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01234] S100LN74)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。