有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100O8D8 (EDINETへの外部リンク)
株式会社栗本鐵工所 研究開発活動 (2022年3月期)
当社グループは有用な製品とサービスを社会に提供して、人類社会の幸福に貢献するという企業理念のもと、基盤となる事業ドメイン「社会インフラ」および「産業設備」において、鋭意研究開発活動に努めております。近年は新事業創造に向けた研究開発成果の早期創出を目指して、コーポレート研究開発部門(クリモト創造技術研究所)と各事業部門との連携をより一層強化しており、市場直結型の技術開発を推進すると共に、オンリーワンの高機能材料ならびにその生産プロセスの開発に取り組んでおります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、1,529百万円であり、セグメント別の研究開発費は、ライフライン事業320百万円、機械システム事業196百万円、産業建設資材事業165百万円であります。主な研究概要とその成果については次のとおりであります。なお、研究開発費については、コーポレート研究開発部門で行っている新規分野開発と基盤技術研究の費用846百万円が含まれております。
~主要研究開発活動~
(社会インフラ関連)
① 水道管路耐震化に向けた製品の開発およびICTを活用した水道管工事管理業務の効率化
地震が頻発するわが国において、管路の耐震性を高めることは重要課題でありますが、現状耐震性を有する管路比率は40.7%程度に留まっております。ところが管路更新が捗らず、管路の老朽化は年々進んでいるため耐用年数を超過した管路の比率(管路経年化率)は既に19.1%を超えています。そのような状況を踏まえ、管路更新・耐震化促進に資するため、長寿命を特長とする耐震管GX形のラインナップを拡充(全口径75mm~450mm)し、拡販に努めており、全国の政令指定都市をはじめ多くの事業体様にご採用いただいております。また、GX形に加え、さらに低コストで軽量化を実現したNS形E種管(全口径75mm~150mm)のラインナップ並びに中大口径管路の更新事業においても当社独自工法となる「ハイブリッドシステム工法」、さらには類似工法となる「DSW(ディ・エス・ダブリュ)工法」もラインナップし、事業体様からの多様な要望に応えるとともに、市場での拡販を精力的に進めてまいります。
さらに、昨今の人口減少に伴う水需要量の減少および官民ともに技術者不足、技術の継承といった問題が顕在化しており、これらの課題に対しても業務の効率化に資するICTを活用した水道管工事施工管理システムの開発にも努めてまいりました。具体的には工事現場での情報をスマートフォンやタブレット等の携帯端末に入力することで、工事書類作成の自動化や情報のクラウド上でのリアルタイム共有化により業務の効率化を図り、水道事業運営コストの削減による老朽管路の更新、耐震化の促進に貢献すべく、取り組んでまいります。
② FRP(M)材リサイクル設備の導入ならびに橋梁補修分野への新規参入
当社は連続FW成形*技術をコア技術として、電力ケーブル保護管、下水道管および農業用水管など主にインフラ市場向けにFRP(M)管の製造ならびに販売を行ってきました。しかし、近年、インフラ用配管材は耐用年数を迎える施設が増加し、更新の際に排出される使用済み配管材の再利用技術が求められています。
そこで、長年、当社で培った加熱装置及び粉砕装置のノウハウや素材に関する技術力を生かすことで、使用済み配管材や工場内の生産活動で排出される端材等のリサイクル技術を開発し、新たに設備導入を進めFRP(M)材の循環リサイクルを実施してまいります。
併せて、橋梁補修分野に関しては引抜成形技術を活用し、軽量性および耐食性に優れた新製品の市場投入を進めてまいります。さらには、腐食環境下でニーズが高いFRTPボルトの開発を加速させ、市場投入を展開致します。
* FW成形:フィラメントワインディングと呼ばれるFRP成形法の一種。
(産業設備関連)
① 二次電池向けプロセス設備の開発
自動車メーカーが掲げるEV化への展望を始めとする世界的な二次電池市場の拡大を見据え、二次電池関連の製造設備市場へ装置・システム・プラントで積極的に参入すべく2011年より試験研究、販売活動を推進しています。営業活動、PR効果促進はもとより日進月歩で開発される各種電池材料に対する技術ノウハウの獲得・構築およびコストダウンを加味した各装置の改良・改善に取り組んでおり、販売実績も得られてまいりました。2021年度には粉体機器の組立専用工場も開設しております。また当社住吉工場内テストセンターに、長年の粉体装置事業で培った技術を活かした電池スラリーの混練設備(ドライルーム)、電池原料の乾燥・焼成・粉砕設備を設置し、顧客対応実証実験と自主実験による研究開発を進め、さらに創意工夫を重ねて改良・改善を行い、国内外に営業展開を進めてまいります。
② サーボプレスの応用技術開発
当社は近年、湿式クラッチブレーキの開発、サーボプレスの開発を行い、納入実績を積み重ねております。サーボプレスにおいては油圧装置と組み合わせた複合成形にも取り組み、鍛造技術の開発を進めております。更に、数年前に開発済みのM2M(遠隔監視装置)に加えて、プレスの状態が把握でき、保全性が高まる「見える化」の開発も進めており、両輪により営業活動を強めていく予定であります。
(コンポジットプロジェクト関連)
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のハイサイクル成形システムおよび成形品の開発
炭素繊維強化プラスチックは軽くて強いという性質を持つ優れた部材であり、近年では金属製部品の代替として様々な分野・製品への適用が進んでおります。しかしながら、自動車部品など身近な製品へのさらなる普及のためには、製造コストの低減や生産サイクルの短縮、品質管理の強化など様々な課題を克服する必要があります。
当社は、混練装置やプレス機などの設備製造技術と国内有数のFRP成形実績を基盤とし、独自のCFRP量産テクノロジーの開発を進め、各種課題の解決に取り組んでおります。主な取り組みとしては、Carbon-LFTDシステム*1、ハイサイクルRTMシステム*2およびCFRP引抜成形について、デモ成形設備を設置し、具体的なCFRPパーツの設計、試作、量産から設備までのトータル・ソリューション開発を進めてきました。2019年には開発の拠点として新たにクリモトコンポジットセンターを開設し、大型試作から小量産まで対応できる体制を構築しております。また大型成形機を開発し、実際の製品レベル(1.5m×1.5m)で、Carbon-LFTDおよびハイサイクルRTMの大型試作、検証が可能となっております。新規導入設備を有効活用して成形設備および成形品分野での事業展開を目指します。
*1 Carbon-LFTDシステム:原材料である炭素繊維ロービングと熱可塑性樹脂を直接混練してプレス成形する CFRTP成形システム。
*2 ハイサイクルRTMシステム:積層された炭素繊維シートに、熱硬化性樹脂を注入・含浸させ、加熱硬化させて成形するシステム。
(クリモト創造技術研究所関連)
磁気粘性流体(MRF)の開発
磁気粘性流体とは、油の中に鉄微粒子を分散させた機能性流体であります。流体に磁力を与えると急激に粘性が増して半固体状態になり、磁力を取り除くと流動性のある液体状態に戻るという特徴があります。これを利用して、自動車用ダンパー等に実用化されております。当社では、鉄微粒子を今までより小さいナノサイズにしたMRF(商標名:SoftMRFⓇ)を新たに開発し、従来適用例が少なかった回転系デバイスへの採用に取り組んでおります。鉄微粒子のナノサイズ化によって、流体の再分散性および耐久性が向上しました。また、この流体を用いたデバイスは俊敏な磁気変化に対する応答性能が優れていることから、リアルな触感を発現できます。
これらの特長を活かしてSoftMRFⓇの製品として下肢装具関節部への適用やVR(バーチャル・リアリティ)アクティビティおよびゲーム機部品への採用が実現しました。今後、これらの採用実績をベースにエンターテイメント業界での採用拡大を促進すると共に、産業分野での実用化など適用範囲を広げ、市場拡大が予想されるハプティクス市場における優位性確立とブランド力アップを目指して、流体のバリエーション充実、コストダウンと品質向上を両立させる安定生産技術の開発を進めると同時に、SoftMRFⓇ使用のハプティクスデバイス*の標準化と販売を進めていく予定であります。
* ハプティクスデバイス:人間が手などを使って得る触覚や力覚を情報として扱う学問分野をハプティクスと称し、ここではナノMRFを使って主に力覚を人工的に与えられるデバイスを指します。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01268] S100O8D8)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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