有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R1KF (EDINETへの外部リンク)
日本郵政株式会社 沿革 (2023年3月期)
(1) 設立経緯
1871年、前島密により、郵便制度が創設されました。1875年に郵便為替事業、郵便貯金事業が創業され、1906年には郵便振替事業が創業されました。1885年に逓信省が設立され、郵便事業、郵便為替事業及び郵便貯金事業が同省に移管され、1916年に簡易生命保険事業、1926年に郵便年金事業が創業されました。1949年には、郵政事業は逓信省から郵政省に引き継がれました。
郵政事業はこのように国の直営事業として実施されてきましたが、1996年11月に発足した行政改革会議において、国の行政の役割を「官から民へ」、「国から地方へ」という基本的な視点から見直すこととされ、このような行政機能の減量、効率化の一環として、国の直営を改め「三事業一体として新たな公社」により実施することとされました。これを受け、2001年1月、郵政省は自治省及び総務庁との統合により発足した総務省及び郵政事業の実施に関する機能を担う同省の外局として置かれた郵政事業庁に再編された後に、2002年7月31日に郵政公社化関連4法が公布され、2003年4月1日に日本郵政公社(以下「公社」といいます。)が発足することとなりました。
2001年4月に小泉内閣が発足すると、財政改革、税制改革、規制改革、特殊法人改革、司法制度改革、地方分権推進等とともに、郵政事業の民営化が、「改革なくして成長なし」との基本理念のもとで進められた「聖域なき構造改革」における重要課題の一つとして位置づけられました。2004年9月、公社の4機能(窓口サービス、郵便、郵便貯金及び簡易生命保険)をそれぞれ株式会社として独立させること、これらの株式会社を子会社とする純粋持株会社を設立すること等を主な内容とする「郵政民営化の基本方針」が閣議決定され、立案された郵政民営化関連6法案(郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案)が、閣議決定、第162回通常国会への提出、両院郵政民営化に関する特別委員会における審議、衆議院における一部修正、参議院本会議における否決、衆議院解散・総選挙、再提出等を経て、2005年10月、第163回特別国会において可決・成立しました。日本郵政株式会社(以下「当社」といいます。)は、2006年1月、郵政民営化法及び日本郵政株式会社法に基づき、郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の発行済株式の総数を保有し、これらの経営管理及び業務の支援を行うことを目的とする株式会社として設立されました。2006年9月には、当社の全額出資により、株式会社ゆうちょ(現 株式会社ゆうちょ銀行)及び株式会社かんぽ(現 株式会社かんぽ生命保険)が設立されました。
2007年10月、郵政民営化(郵政民営化関連6法の施行)に伴い公社が解散すると、その業務その他の機能並びに権利及び義務は、5つの承継会社(当社、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険)並びに郵便貯金及び簡易生命保険の適正かつ確実な管理等を行う独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構(現 独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構。以下「郵政管理・支援機構」といいます。)に引き継がれました。これにより、当社を持株会社とし、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険を中心とした日本郵政グループが発足いたしました。
(2) 郵政民営化法等の一部を改正する等の法律の公布
郵政民営化(2007年10月1日)後、約4年半が経過した2012年4月27日、第180回通常国会で郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案が可決・成立し、2012年5月8日に公布されました。
これにより、郵便事業株式会社と郵便局株式会社は、郵便局株式会社を存続会社として合併し、社名を日本郵便株式会社に変更したことにより、日本郵政グループは5社体制から4社体制へと再編されました。
また、ユニバーサルサービス(郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的かつ将来にわたりあまねく全国において公平に利用できるようにすること。)の範囲が拡充され、これまでの郵便サービスのみならず、貯金、保険の基本的なサービスを郵便局で一体的に利用できる仕組みが確保されるようになりました。
当社が保有する株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険(以下「金融2社」といいます。)の株式は、その全部を処分することを目指し、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービス確保の責務の履行への影響を勘案しつつ、できる限り早期に処分することとされております。
なお、政府が保有する当社の株式については、政府は、2011年11月30日、第179回臨時国会において可決・成立した東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法により、復興債の償還費用の財源を確保するため、当社の経営状況、収益の見通しその他の事情を勘案しつつ処分の在り方を検討し、その結果に基づいて、できる限り早期に処分することとされております。
(3) 当社及び金融2社の株式上場
上記の法律上の要請に加え、金融2社株式についても、金融2社の経営の自由度確保のため早期の処分が必要であること、また、金融2社の株式価値を当社の株式価格に透明性を持って反映させることといった観点を総合的に勘案し、当社及び金融2社の上場はいずれも遅らせることなく、同時に行うことが最も望ましいと判断し、政府による当社の株式の売出し・上場に合わせ、金融2社株式につきましても、同時に売出し・上場を行うこととし、2015年11月4日、当社及び金融2社は東京証券取引所市場第一部に同時上場いたしました(東京証券取引所の市場区分の見直しにより、2022年4月4日以降はプライム市場へ移行)。
(4) 沿革
年 月 | 沿革 |
2006年1月 | 公社の全額出資により、郵政民営化に向けた準備を行う特殊会社として当社を設立 |
2006年9月 | 当社の全額出資により、郵政民営化に向けた準備を行う会社として、株式会社ゆうちょ(現 株式会社ゆうちょ銀行)及び株式会社かんぽ(現 株式会社かんぽ生命保険)を設立 |
2007年10月 | 郵政民営化に伴い、当社は、郵便事業株式会社、郵便局株式会社(現 日本郵便株式会社)、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険の株式の総数を保有する持株会社に移行 公社の全額出資により郵便事業株式会社、郵便局株式会社を設立し、両社株式を承継 株式会社ゆうちょは商号を株式会社ゆうちょ銀行に、株式会社かんぽは商号を株式会社かんぽ生命保険に変更 |
2007年12月 | 株式会社ゆうちょ銀行が新規業務(シンジケートローン(参加型)、貸出債権の取得又は譲渡等、金利スワップ取引等)の認可取得 株式会社かんぽ生命保険が新規業務(運用対象の自由化)の認可取得 |
2008年4月 | 株式会社ゆうちょ銀行が新規業務(クレジットカード業務、変額個人年金保険の募集業務、住宅ローン等の媒介業務)の認可取得 |
2009年1月 | 株式会社ゆうちょ銀行が全国銀行データ通信システムによる他の金融機関との内国為替取扱開始 |
2012年10月 | 郵便局株式会社が商号を日本郵便株式会社に変更し、郵便事業株式会社と合併 |
2014年4月 | 株式会社かんぽ生命保険が学資保険「はじめのかんぽ」の販売開始 |
2014年7月 | 株式会社かんぽ生命保険がAmerican Family Life Assurance Company of Columbus(注1)のがん保険の受託販売等の取扱開始 |
2015年5月 | 日本郵便株式会社が豪州物流企業Toll Holdings Limitedを子会社化 |
2015年10月 | 株式会社かんぽ生命保険が養老保険「新フリープラン(短期払込型)」の販売開始 |
2015年11月 | 当社、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険が、それぞれ東京証券取引所市場第一部に株式を上場 株式会社かんぽ生命保険が法人向け商品(総合福祉団体定期保険等)の受託販売開始 |
2016年3月 | 株式会社かんぽ生命保険が新規業務(再保険の引受け、付帯サービス)の認可取得 株式会社かんぽ生命保険が第一生命保険株式会社(注2)と業務提携 |
2017年6月 | 株式会社ゆうちょ銀行が新規業務(口座貸越サービス、地域金融機関との連携に係る業務等、市場運用関係業務)の認可取得 |
2017年10月 | 株式会社かんぽ生命保険が特約「医療特約 その日からプラス」、終身保険(低解約返戻金型)「新ながいきくん 低解約返戻金プラン」、長寿支援保険(低解約返戻金型)「長寿のしあわせ」の販売開始 |
2018年12月 | 当社がアフラック・インコーポレーテッド及びアフラック生命保険株式会社と資本関係に基づく戦略提携に合意 株式会社かんぽ生命保険が新規業務(引受基準緩和型普通終身保険・特別終身保険・普通養老保険・総合医療特約の引受け、先進医療特約の引受け)の認可取得 |
2019年4月 | 株式会社かんぽ生命保険が引受基準緩和型商品「かんぽにおまかせ」、先進医療特約の販売開始 株式会社かんぽ生命保険株式の第2次売出し |
2021年3月 | 当社及び日本郵便株式会社が楽天株式会社(注3)と業務提携に合意、当社が楽天株式会社に出資 |
年 月 | 沿革 |
2021年4月 | 株式会社ゆうちょ銀行が新規業務(口座貸越サービスに係る信用保証業務を行う子会社の保有、フラット35の直接取扱等、損害保険募集業務)の認可取得 |
2021年6月 | 株式会社かんぽ生命保険の保険主要株主認可を取得、株式会社かんぽ生命保険株式について株式処分信託を設定 当社の株式会社かんぽ生命保険に対する議決権保有割合は49.9%となり、当社は保険業法上の保険持株会社に該当しないこととなる |
2022年3月 | 株式会社ゆうちょ銀行が新規業務(投資一任契約の締結の媒介業務)の認可取得 |
2022年4月 | 株式会社かんぽ生命保険が特約「医療特約 もっとその日からプラス」販売開始 当社、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険が、それぞれ東京証券取引所プライム市場へ移行 |
2023年3月 | 株式会社ゆうちょ銀行株式の第2次売出し |
2023年4月 | 株式会社かんぽ生命保険が学資保険「はじめのかんぽ」を改定 |
(注) 1.米国法人の日本支店が日本法人化され、日本支店の事業については日本法人へ承継されたことにより、有価証券報告書提出日現在における契約先はアフラック生命保険株式会社となっております。
2.業務提携先グループ内部における業務移管により、有価証券報告書提出日現在における業務提携先は第一生命ホールディングス株式会社となっております。
3. 業務提携先の商号変更により、有価証券報告書提出日現在における業務提携先は楽天グループ株式会社となっております。
(参考)郵政事業創業から2005年12月までの主な沿革
年 月 | 主な沿革 |
1871年4月 | 郵便事業創業 |
1872年7月 | 郵便制度を全国的に実施 |
1873年4月 | 郵便料金の全国均一制を実施 |
1875年1月 | 郵便為替事業創業、外国郵便の取扱いを開始 |
1875年5月 | 郵便貯金事業創業 |
1885年12月 | 逓信省発足 |
1892年10月 | 小包郵便の取扱いを開始 |
1906年3月 | 郵便振替事業創業 |
1911年2月 | 速達郵便の取扱いを開始 |
1916年10月 | 簡易生命保険事業創業 |
1926年10月 | 郵便年金事業創業 |
1938年2月 | 東京逓信病院が診療を開始 |
1941年10月 | 定額郵便貯金制度を創設 |
1949年6月 | 二省分離に伴い郵政省発足 |
1949年12月 | お年玉付郵便葉書の発行を開始 |
1962年4月 | 簡易生命保険加入者福祉施設(現 かんぽの宿等)の設置及び運営等を行う特殊法人として簡易保険福祉事業団が設立 |
1968年7月 | 郵便番号制の実施 |
1981年3月 | 郵便貯金自動預払機(ATM)による取扱いを開始 |
1986年3月 | 逓信病院の一般開放を実施 |
1991年4月 | 新簡易保険制度の発足(郵便年金事業を簡易保険事業に統合) |
1999年1月 | ATM・CD提携サービス、デビットカードサービスを開始 |
2001年1月 | 省庁再編に伴い、郵政省と自治省、総務庁が統合した総務省と郵政事業庁に再編 |
2001年4月 | 郵便貯金資金の全額自主運用を開始(資金運用部への全額預託義務が廃止) |
2001年10月 | バイク自賠責保険の取扱いを開始 |
2001年12月 | 地方公共団体からの受託事務の取扱いを開始 |
2003年4月 | 公社発足(簡易保険福祉事業団を統合) |
2005年10月 | 投資信託の販売の取扱いを開始 |
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