有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LMSK (EDINETへの外部リンク)
古河電気工業株式会社 事業等のリスク (2021年3月期)
当社グループの経営成績は、当社グループが製品販売・サービス提供をしている様々な市場における経済状況の影響を受けます。
当社グループの業績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。また、当社グループの経営のリスク認識を示すものとして、当社グループのマテリアリティ・ESG経営との整合を念頭に、前連結会計年度から記載項目及び内容について見直しを行っております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(注)当社は、自動車用部品カルテルに関し、ブラジル競争法当局の調査を受けております。また、米国での一連の自動車用部品カルテルによる損害の賠償を求める集団訴訟や、自動車用部品カルテルに関して米国の一部の州の司法当局から提起された訴訟などにおいて、当社や当社連結子会社がその被告となっております。このほか、自動車用部品カルテルを含む過去の競争法違反行為に関して、自動車メーカーなどの顧客から現在請求されているものも含め、当社または当社関係会社が民事賠償金を支払う可能性があります。
当社グループの業績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。また、当社グループの経営のリスク認識を示すものとして、当社グループのマテリアリティ・ESG経営との整合を念頭に、前連結会計年度から記載項目及び内容について見直しを行っております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
リスク項目 | リスクの内容 | 主要な取り組み |
経営戦略 (事業ポートフォリオ・事業再編) | ・事業構成が経済動向や市場環境の変化に対応できず、当社グループの業績に影響を与えるリスク ・M&Aや外部との提携を実施した後、市場環境の悪化等により、期待された収益や効果が得られず、当社グループの業績に影響を与えるリスク | ・事業拡大のためのポートフォリオ構成の見直し実施、新事業の創出 ・事業の縮小・撤退に係る社内基準の設定 ・買収提携の目的明確化と資産内容・リスク事前把握 ・リスクと収益を踏まえた適切な投下資本額での買収 ・買収・提携後、早期に投下資本を回収 |
気候変動 | ・各国の温室効果ガス排出目標・政策による炭素税による製造コストや材料調達コストの上昇 ・異常気象の激甚化によって起きる自然災害による工場操業の停止 ・気候変動対策が不十分であることによるサプライチェーンや市場からの排除 | ・2021年3月に環境ビジョン2050を策定、温室効果ガス削減についてチャレンジ目標ゼロを設定 ・気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同し、シナリオ分析を実施 ・日光地区の水力発電利用に加え、国内外での太陽光発電の設置と購入電力の再生可能エネルギーへの転換 ・気候変動による自然災害リスクの把握と対応策の策定 |
人材・組織 | ・企業の持続的な成長の原動力である従業員のワークエンゲージメントが上がらず、企業価値向上が不十分 ・人材の流出や雇用が出来ず、また育成が十分にできないことによる人材不足 | ・「古河電工グループ ビジョン2030」達成に向けた当社グループの成長を牽引する多様な人材の確保と個々人の成長を支援する環境整備(採用形態の多様化、各種制度の導入・改定等) ・当社グループの「働き方改革活動」を通じ、場所や時間に捉われない新たなワークスタイルを推進 ・リーダーシップ変革「フルカワセブン」を始めとした人材・組織実行力強化施策の継続・強化 |
人権 | ・企業としての人権尊重に対する責任を果たせず、潜在的または実際に人権への負の影響が生じることによる市場からの排除 | ・「人権」に関わる原則が含まれている国連グローバル・コンパクト10原則への支持を表明 ・事業活動に関わるすべての人びとの人権を尊重することを定めた当社グループの人権方針を策定 ・サプライチェーン上の人権リスクへの対応も含め、CSR調達ガイドラインを改訂 |
ガバナンス | ・コーポレートガバナンスやグループガバナンスの機能低下により、持続的な成長と企業価値向上が不十分 ・当社と上場子会社の少数株主との利益相反リスク | ・持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、コーポレートガバナンスの強化に注力 ・取締役・監査役全体として知見・経験を異にする人材の充実 ・当社グループのリスクアセスメントの高度化に取り組み、グループガバナンスを強化 ・上場子会社において、取締役会における独立社外取締役の比率を3分の1以上に高め、親会社との取引についてその合理性・公正性等を審査する機関として独立社外取締役が過半数を占める「利益相反管理委員会」を設置 |
リスク項目 | リスクの内容 | 主要な取り組み |
災害・感染症等の影響 | ・大規模な地震や津波、火災、台風、洪水等の災害や、感染症大流行、戦争、テロ行為等による納入先、調達先のサプライチェーンの寸断 ・海外拠点における自然災害、事故、感染症等による事業継続不能 ・従業員等の大規模クラスター発生による事業継続不能 | ・ISO22301による事業継続マネジメント(BCM)を促進 ・事業継続計画の策定、ブラッシュアップ、安否確認システムによる従業員の安全確保 ・耐震性と安定した通信環境が確保された施設におけるデータセンタの設置 ・サプライチェーンの多元化 ・海外拠点における事業継続計画の整備、ブラッシュアップ [新型コロナウイルスへの対応] ・リモート等も活用し顧客との信頼関係を維持強化 ・納入先、調達先の与信調査、製造拠点調査 ・従業員等の在宅勤務、会議、イベントのリモート活用 ・来訪者受入・会食等に関するガイドライン、発熱等体調不良時の管理報告基準等の策定 |
情報セキュリティ | ・サイバー攻撃や不正アクセス等の外的要因や人為的要因等に起因する情報流出による不正使用、システム障害 ・レガシーシステム利用によるセキュリティリスクの増加 | ・情報セキュリティ基本方針のもと、グループ全体へのセキュリティガバナンス強化、教育・支援活動 ・ゼロトラスト視点でのネットワークセキュリティ強化等の対策による情報資産の保護 ・レガシーシステム更新の中期的な取り組み実施 |
従業員の安全・衛生 | ・労働災害、交通事故、疾病等による、従業員の死亡、就業不可、障害の残存、長期休業、体調不良 | ・安全推進活動の3本柱(安全人間化教育による安全知識の付与と実践、本質安全化活動による設備の安全化推進、安全管理レベルの向上による安全組織の構築)の確実な実践 ・産業医を中心とした産業保健体制を維持し、健診結果のフォローや指導・教育による従業員のヘルスリテラシー向上施策の実施 ・産業保健中期計画に基づく年度ごとの衛生管理指針により、喫煙対策・メタボリック対策・メンタルヘルス対策・身体機能向上施策、熱中症対策の各拠点での展開 ・感染症の予防対策の徹底と、産業医判断による発熱等の体調不良者への対応の徹底 |
原料の調達 | ・自然災害や事故等による供給遅延、供給不足 ・特定の購入先からの供給依存による供給不足、供給停止 | ・購入先の複数化、製造拠点の分散 ・在庫数量の適正化 ・長期契約による安定調達 |
製品の欠陥 | ・欠陥の発生等により、将来に予期せぬ損失補償が発生するリスク(特に、電力ケーブル、通信ケーブル、自動車用部品等の関連製品で、欠陥の内容により多額の追加コストが発生するリスク) | ・お客様の期待する品質の実現を目指し、未然防止を図るとともに、問題解決力を向上する活動を継続 ・品質管理に関するガイドラインを作成し、それに沿って品質マネジメントシステムを強化 ・損害賠償請求に備える為、製造物賠償責任保険や生産物回収費用保険等に加入 |
工事の採算悪化 | ・工事途中での設計変更、建設資材及び労務費の高騰 ・海底ケーブル敷設工事における海洋条件や台風等天候の影響による追加費用の発生 ・重大な瑕疵や事故の発生、それに伴う工期遅れが生じた場合の、修復費用や損害賠償金の支払、長期間に渡る瑕疵補修保証の延長 ・海外工事案件における当該国での法規制の変更や施工業者の状況の変化、政情不安、災害、疫病の発生、為替レートの変動 ・外貨契約の円換算収支の悪化 | ・物品・工事それぞれの責任分解点・仕様と保証範囲を厳格に見極め、プロジェクト固有のリスク分析を行い、見積り方針を策定するとともに、合理的な条件での契約を締結する活動を強化 ・遂行段階においては、プロジェクトの進捗、採算状況等を適切にモニタリングすることによるリスクの低減 ・建設工事保険等の付保によるリスクヘッジ |
リスク項目 | リスクの内容 | 主要な取り組み |
環境汚染・環境規制 | ・製造工程における有害物質の漏洩による環境保全上の問題の発生や、環境関連法令の改正等による新たな設備投資や対策費用の発生 ・土地の使用・処分等に対する制限 ・過去の製造状況等に伴う土壌汚染やアスベスト・PCB等の有害物質の処理について、関連法規制の強化等による追加の対策費用の発生 ・世界各国におけるRoHS指令やREACH規制等の製品含有化学物質に関わる規制に違反した場合の製品リコール、生産・販売中止などの損失費用発生リスク | ・当社グループの生産拠点において、環境マネジメントシステム(ISO14001)にもとづき、事業活動に関連する各種環境関連法規制の順守と保全対策等の徹底 ・製品含有化学物質に関わる規制について、グリーン調達ガイドラインの発行とパートナーへの適用、及び規制の強化に対応した定期的な当社グループ内調査の実施 |
資産の減損 | ・市況や事業環境の悪化による収益性低下による資産の減損 | ・投資委員会や経営会議等における投資計画の適切性に関する審議 ・投資後の定期的なモニタリング及びフォローアップ |
知的財産 | ・知的財産における第三者の権利侵害に関する交渉や係争、第三者との不十分な技術契約に伴う紛争により、事業における直接的な損害や機会損失が発生するリスク ・技術ノウハウの流出や製品等の模倣により、企業競争力が低下するリスク | ・第三者の権利を侵害しないための十分な調査、技術契約チェック ・開発現場・生産現場の技術秘匿やタイムスタンプを導入した情報保全、プレスリリースを含む社外発表チェック ・法令順守に関する当社グループへの継続的な教育、知的財産リスク低減に関する定期的な情報展開 |
法令違反等 (注) | ・コンプライアンス体制の構築及び維持 ・国内外で事業展開する上で規制当局から受ける規制強化や法令解釈の厳格化による、事業制限や費用の増加等 ・法令違反等の事象が生じた場合の、各規制当局からの処分・制裁、取引先等関係者からの損害賠償請求、社会的評価の悪化等 ・禁輸国への輸出による行政処分、外国為替法違反、米中関係悪化による米国及び中国における輸出管理規則・法令の域外適用リスク ・当該国の法令や規則に関するコンプライアンス違反 ・海外拠点での不適切会計や粉飾決算 | ・毎年定期的にコンプライアンス自主点検を行うとともに、国内外でコンプライアンスセミナーを開催し、競争法規制や贈収賄防止の観点からも当社グループ内への教育を実施 ・安全保障貿易管理や関税等に関して、内部監査や教育を実施。海外輸出管理法令の専門弁護士との連携 ・東南アジアや中国における地域統括会社により、当該地域内の拠点における調達、経理、人事等の業務統括に着手 ・データアナリティクスを活用した財務分析による統制の実施 |
原料及び燃料価格の変動 | ・需給関係や投機的取引、世界情勢等の変動による、銅・アルミ等の非鉄金属やポリエチレン等合成樹脂及び燃料である重油やLPG、LNG価格の急激な変動 | ・市況を反映した地金価格の製品販売価格への転嫁 ・先物取引を利用したヘッジ ・生産活動におけるコスト低減や省エネ化 ・複数購買化による価格変動リスクの分散 |
為替・金利・株価変動 | ・輸出入等の国外取引、外貨建て債権・債務の円換算金額の変動 ・在外連結子会社等の現地通貨建の個別財務諸表の円換算金額の変動(米ドルに対し1円円高につき年間で約3~4億円の減益を予想) ・金利上昇による資金調達コストの増加 (当連結会計年度末の有利子負債残高は2,906億円) ・年金資産の時価減少による、会社からの追加的な資金拠出の発生と退職給付費用の増加 | ・先物為替予約等の活用 ・外貨建て取引額のバランス化 ・長期固定金利を中心とした資金調達により、金利上昇による資金調達コストの増加を抑制 ・キャッシュマネジメントシステム(CMS)を通じた資金効率改善や、財務体質の改善方針のもと、有利子負債を削減 ・運用リスク低減を考慮した運用資産のポートフォリオの構築 |
資金調達 | ・金融環境悪化により、資金調達困難に陥る可能性と資金調達条件の悪化 ・当社の財務状況悪化に伴う与信力低下により、資金調達に制約が発生する可能性と資金調達条件の悪化 | ・多様な資金調達手段の確保と、返済時期の分散化 ・コミットメントラインの設定と一定水準の手元資金の確保 ・資金調達コスト低減とのバランスをとりつつ長期借入割合を増加 ・財務体質の改善 |
与信管理 | ・取引先の経営破綻に伴い売掛債権が回収困難となることによる貸倒損失の発生 | ・取引先情報や回収遅延債権に関する定期的なモニタリングの実施 ・担保設定等による債権保全 |
リスク項目 | リスクの内容 | 主要な取り組み |
税務コンプライアンス | ・各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更や移転価格税制などによる税金コスト発生 ・各国の税務当局との見解の相違等による追加の税金コストの発生 | ・税務に関する基本方針を定めることによる税務コンプライアンスに対する意識向上 ・各国における税法の遵守や税制や税務行政の変更への対応策の実行 |
(注)当社は、自動車用部品カルテルに関し、ブラジル競争法当局の調査を受けております。また、米国での一連の自動車用部品カルテルによる損害の賠償を求める集団訴訟や、自動車用部品カルテルに関して米国の一部の州の司法当局から提起された訴訟などにおいて、当社や当社連結子会社がその被告となっております。このほか、自動車用部品カルテルを含む過去の競争法違反行為に関して、自動車メーカーなどの顧客から現在請求されているものも含め、当社または当社関係会社が民事賠償金を支払う可能性があります。
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