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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LV4N (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社フジクラ 研究開発活動 (2021年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループでは、環境問題やエネルギー問題などの社会課題解決を通じて事業を発展することを目指し、エネルギー・情報通信、及び電子電装・コネクタ各分野を中心に、新技術並びに新商品の開発を積極的に推進しています。当社グループの研究開発活動は、コーポレートR&D部門、新規事業推進センターおよび各カンパニーにおいて実施しております。

【コーポレートR&D部門・新規事業推進センター】
「5G」時代に向けて、移動体通信基地局や、そのフロントホール・バックホール、固定通信網ラストマイルなどの次世代大容量高速無線通信に利用されるミリ波帯通信デバイスの開発を進めています。当社は、米国IBM社よりライセンスを受けたミリ波RF(高周波)-IC技術と、当社のアンテナ設計・基板製造技術を組み合わせて製品を実現します。28GHz帯5G向けアンテナ一体型RFモジュールは、アンテナ、IC、フィルタを統合しており、2021年秋にサンプル出荷を予定しています。
60GHz帯においては、関西電力送配電株式会社、京セラ株式会社、神姫バス株式会社ら6社と共同で路車間通信の実証実験を行いました。当社開発の60GHzミリ波無線通信モジュールをはじめとする各種の通信機器を電柱及び路線バスに設置し、路車間の高速無線接続による車載カメラ映像のリアルタイムアップロードや、安全運転支援に必要となる車両位置の高精度測位等により、性能を実証しております。当社60GHz無線通信モジュールは、2 Gbps超の通信スピードと500m超の長距離伝送を同時に実現する世界トップクラスの性能を有しており、2020年よりサンプル提供を開始しています。
ICや受動部品などをポリイミド多層配線板に埋め込んだ薄型部品内蔵基板「WABE Package®」(Wafer And Board level device Embedded Package)の開発、量産化を進めています。2個のICチップを厚さ方向に重ねて埋め込んだ2チップスタック型部品内蔵基板の量産出荷に続き、2020年度は世界初の技術である3個のICチップを埋め込んだ3段Chip-stack WABE®についても開発を完了し、顧客への拡販を進めています。当社は複数部品を内蔵した超高精細・超多層の高密度部品内蔵基板により、製品の小型・軽量化に貢献していきます。
医療用機器用極小CMOSイメージセンサを用いた撮像モジュールの開発を進めています。極小サイズで安価なCMOS撮像素子モジュールは、電子内視鏡のディスポーザブル化を実現して感染防止に寄与するとともに、極細・可撓性の特徴を活かして可視アクセス領域を拡大し、病巣の検出能力を向上します。2020年度より、当社の光技術及び電子技術を活用した極細径撮像素子モジュールを大手医療機器メーカーに、納入開始しました。また、世界の医療機器開発の中心の一つである米国ミネアポリスに拠点を構えるFAIでは、治療法の確立していない疾患に対する医療ニーズ(アンメットニーズ)に応える活動を展開しています。
色素増感太陽電池を電源としたLoRaWAN※方式のエネルギーハーベスト型センサシステムに、独自に構築(IoTクラウドを組み合わせた、センサシステムからクラウドアプリケーションまでの総合ソリューションサービスを開始しました。2020年度は、西日本電信電話株式会社と共同で熱中症対策や季節性インフルエンザの見える化システムの販売を開始しました。
※LoRaWAN:LoRa Allianceが定めた省電力・長距離通信を特徴とする広域無線ネットワーク規格の名称で、IoT向け無線規格として世界的に広く利用されています。
人工ピンの導入により世界トップの臨界電流特性を有する高温超電導線材の量産技術開発を完了し、販売、提供を開始しました。また、米国BRUKER Corporationと共同で、1.2GHz(磁場強度28.2テスラ)の高分解能Nuclear Magnetic Resonance(NMR;核磁気共鳴)用超高磁場超電導磁石の実用化に成功しました。28.2テスラの磁場強度は、2020年5月時点で高分解能NMRにおける世界記録であります。NMRの分解能の向上は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関する研究や、アルツハイマー病、パーキンソン病、がん研究などを促進し、社会に大きな貢献をもたらすと期待されます。
当社超電導研究部フェローの飯島康裕博士(工学)は、2020年11月に、電気・情報工学分野における世界最大級の学術研究団体であり、また技術標準化機関であるIEEE(アイ・トリプル・イー)より、Dr. James Wong Awardを授与されました。この賞は、レアアース系高温超電導の線材実用化の大きな課題であった、超電導結晶の配向制御に欠かせないイオンビームアシスト蒸着法の発明と、同法および人工ピン技術を効果的に取り入れた高特性長尺線材実用化における顕著な貢献が認められたものです。本技術は、現在当社をはじめ、多くの超電導線材開発製造機関に採用されています。

セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は165億円であります。


【エネルギー・情報通信カンパニー】
5GやIoTなど多様な情報通信サービスの普及にともない、光ファイバケーブルの需要が世界的に拡大しています。フジクラでは、既存設備を有効利用し経済的に光ファイバ網を構築する技術として、世界トップレベルの細径・高密度な光ファイバケーブル「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable®」(以降,SWR®/WTC®)を製品化しています。2020年度は、細径光ファイバを用いた超多心光ケーブルや、欧州建設資材規制(CPR)に適合した高い難燃性を有する屋内配線用光ケーブルを開発し、世界的に拡大するデータセンター需要に応えました。さらに、国内の通信環境に適合し、従来の1.5倍の高密度化を実現した国内最大心数の3000心光ファイバケーブルを実用化しました。今後もSWR®/WTC®の技術をもとに革新的な光ファイバケーブルを開発し、世界各国の通信ネットワークの発展に貢献していきます。
これらの光ケーブルの接続点に使用される光コネクタの高性能化、および、高機能化開発を進めています。2020年度は、高速大容量通信に適した低損失多心光コネクタを開発しました。また、この低損失多心コネクタをSWR®/WTC®の両端末に取り付けた牽引端付きMPO成端ケーブルを製品化しました。コネクタの高密度収容と施工工数の削減が認められ、大手ハイパースケールデータセンター事業者に採用されました。また、屋外の光ケーブル布設に適した防水多心コネクタ、多心接続収容箱、さらには光コネクタ接続時の作効率化が図れる防水コネクタ用クリーナーを開発、製品化し、国内外のケーブルキャリアに採用されました。一方、伝送装置周辺や装置基盤で使用される光コネクタの小型化、高性能化、および、高機能化開発にも注力しています。フロント、バックパネル光コネクタ、取り扱い性に優れた多心レンズ型光コネクタには、これまで磨いてきた高精度技術、レンズ技術を適用すべく開発を進めています。2020年度は、通信データの大容量化に対応した伝送装置やデータセンターへの適用が見込める超低損失小型多心光コネクタを開発しました。
通信用の光ファイバでは、高密度ケーブル向けに被覆の細径化が大きな流れになっています。通常のファイバよりも断面積を35%低減させた200µm被覆径ファイバはFutureGuide® LWP plus-200, SR15E-200として好評をいただいております。さらなるケーブルの高密度化に向けて被覆径160µmファイバの開発を進めており、その成果については2021年6月に米国にて開催されるOFC2021※にて発表を予定しています。
※OFC : Optical Fiber Communication Conference。光通信に関する最大規模の主要国際学会の一つ。
光通信機器等で使用されるPANDA※(偏波面保持機能)ファイバにおいては、次世代の高速通信で使用される小型光通信機器での収納に適した曲げ半径5mmに対応したクラッド径80µm-PANDAファイバをリリースしました。今後も通信機器メーカーの要望に応じたPANDAファイバを開発していきます。
※PANDA:Polarization-maintaining AND Absorption-reducing
光ファイバ1本に複数のコアを持つマルチコアファイバ(Multi-Core Fiber;MCF)は、今後の高密度・大容量伝送用光ファイバの候補のひとつであり、当社では実用化に向けた開発を進めています。2020年度は、現在の汎用光ファイバと同じ外径を有し、コアが4個のMCFの製造技術開発・低コスト化に注力しました。国立研究開発法人情報通信研究機構殿の委託を受け、NTT、KDDI総合研究所、他のファイバメーカと共に「マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」を進めております。本開発の狙いはMCFの早期実用化です。一方、MCFの実用化のためにはコアがひとつの汎用光ファイバとの接続技術も重要となっており、その入出力デバイス、接続技術などの周辺技術の確立により実用化を加速させます。今後、マルチコアファイバの実用化をめざすとともに、将来の多大なデータ通信需要に対応可能な光伝送基盤の実現に貢献していきます。
光ファイバケーブルの敷設施工で使用される光ファイバ融着接続機を開発しています。コア調心融着接続機では、更なる低損失接続実現のため、新たな放電制御機能を搭載し、上市しました。この機能は、①融着接続前の切断端面状態に応じて最適な放電制御を行う、②光ファイバ種類の自動判別結果に基づき最適な放電条件を選定する、③放電時の光ファイバ熱発光強度を分析しリアルタイムで放電制御を行う、ことができます。従来から備えている無線通信による光ファイバカッタ切断刃の状態を管理する機能と一緒に使用することで、より安定した低損失接続が可能となり、融着接続のやり直し作業低減に貢献します。今後も引き続き融着接続技術を改善し、施工効率に貢献する製品を開発していきます。
金属のマーキング、溶接および切断で使用されるレーザ加工機の市場では、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高い光源を利用したファイバレーザへの乗り換えが進んでいます。当社は、光通信用ファイバや部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発に注力してきました。2020年度は、高出力マルチモード・ファイバレーザで出力12kWを実現し、製品ラインナップを拡充しました。また、半導体を中心とした電子デバイス向けには、各用途に最適な特殊ファイバを用いたパルスレーザの開発・製品化を進めており、巣ごもり需要を中心とした電子分野の旺盛な需要に応えていきます。
エネルギー問題がますます重要性を増す中で、省エネルギーの推進、環境負荷の低減、資源の有効活用につながるケーブル・機器の開発を積極的に進めています。環境保護政策により普及が進む電気自動車の充電インフラとして、航続距離延長のため急速充電器の設置が加速しています。バッテリ容量の拡大および充電時間の短縮のため、従来の3~7倍の出力の充電器が実用化されており、液冷ケーブル用コネクタの規格化が進んできました。当社では、国内初となる400kWクラスの充電器に適用可能な大容量充電のための、ケーブルおよびコネクタ接続端子冷却技術を開発しています。更に次世代の充電器に対応するため、900kWクラスに適用できる冷却技術の研究開発を進め、冷却効率に優れ、操作性・取扱い性に優れる充電コネクタ・ケーブルの開発に注力します。
なお、当セグメントに係る研究開発費は113億円であります。

【電子電装・コネクタカンパニー】
(エレクトロニクス事業部門)
民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブル・プリント配線板(FPC)、メンブレン※、コネクタ、電子ワイヤ、センサ、ハードディスク、サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表されるモバイル機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器とのつながりやすさが強く要求されています。また、自動車の電動化、情報化、知能化が加速する中で、需要が増えている自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。
※メンブレン:銀などの金属インクを,樹脂基板に印刷することにより形成した電子回路基板。
FPCについては、スマートフォンを中心とした電子機器の高密度化や高速伝送に対応するため、高精細回路、電気特性を向上させた多層基板の開発を進めています。特に、高精細FPCはセミアディティブ基板※をRoll to Rollで製造する技術を確立しており、用途拡大の段階に入りました。車載用途としては、車両の電動化及び先端運転支援システム(ADAS)に対応する製品群の技術開発を進めています。また、医療、ウェアラブル用途の特殊構造の製品開発にも取り組んでおります。
※セミアディティブ基板:選択的銅めっき技術を用いて作製される、高精細配線を有するFPC
メンブレンについては、印刷回路の細線化や新規機能性ペーストの商品化を進め、従来のパソコン、車載市場に加え、医療、ヘルスケアといった新しい市場を開拓しています。さらに、ストレッチャブルメンブレンを応用した商品の開発を進め、新たな用途への展開を進めています。
コネクタについては、「小型・低背」「堅牢」「防水」「高速伝送」「作業性」をキーワードに、高機能化(高操作性、高強度、大電流、複合化など)した製品開発を推進しています。モバイル機器用途としては、Board to Boardコネクタの小型・堅牢化、バッテリ用コネクタ等の製品バラエティ拡充を進めています。産業機器用途では、屋内照明用低背型コネクタや、4K/8K放送用、5G基地局用等のコネクタの開発を進めています。また、自動車用途についても、自動車の情報化・知能化に対応すべく、高速通信用コネクタなどの開発に注力しています。
電子ワイヤについては、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送の要求に答えるべく開発を進めています。モバイル機器やウェアラブル機器などの用途では、非常に限られたスペース内で、高速な信号を伝送する用途や、高屈曲耐久を有した接続のニーズがあり、これらを実現する機器内配線用極細同軸ケーブルアセンブリの開発を進めています。
センサについては、製品ラインナップを強化するため、高分解能デジタル出力圧力センサ、高精度差圧計測用センサ、小型圧力センサを開発しています。
サーマル製品については、スーパーコンピュータやハイエンドサーバの高性能化に伴い、CPUの発熱密度の増加に対応した更なる冷却性能の向上が求められており、これらのニーズに応えるべく、水冷式クーリングユニットの高性能化を進めています。また、IGBT等パワー半導体向けに、大容量に対応した高性能ベーパーチャンバや、ヒートパイプ製品の開発を進めています。
なお、当セグメントに係る研究開発費は34億円であります。

(自動車事業部門)
CASE(Connected、Autonomous, Shared & Services、Electric)と呼ばれる自動車業界トレンドに対応すべく、ワイヤハーネスを中心としたElectric Distribution System (EDS)※ 関連の新商品・新技術開発を推進しています。
※EDS:自動車用ワイヤハーネス及び配電部品を使用した、電力・情報の分配システムConnectedとAutonomousの分野では、その進化を支えるために必須となる大容量高速通信が可能なハーネスや、車載ネットワーク配線のシミュレーション技術のほか、将来を見据えた10Gbps超の高速通信ネットワーク制御技術の開発を推進しています。
Electricの分野では、軽量化による低燃費化、低消費電力化などのカーメーカーのニーズに対応すべく、高電圧ハーネスやコネクタのほか、電源供給の最適化を目指した車両全体の電気回路シミュレーション技術の開発や、大電流電源制御技術の開発を推進しています。
また、EDSのみならず、CASEで広がりが期待される新しい領域の技術に向けた開発も推進しています。
なお、当セグメントに係る研究開発費は11億円であります。

事業等のリスク株式の総数等


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