有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OIPL (EDINETへの外部リンク)
阪神内燃機工業株式会社 事業等のリスク (2022年3月期)
当社の経営成績及び財務状況に影響を与える可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、当社の事業に関する全てのリスクを網羅したものではありません。また、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 国内内航船業界偏重による主機関受注減少リスク
現在の内航海運業界ではここ数年の稼働隻数は5,200隻前後で推移しておりますが、1隻当たりの平均総トン数が10年前に比べ約2割増加し船が大型化する結果、従来の小型船の隻数が減少するとともに、船員の高齢化や若手船員の減少等による内航船員の慢性的な不足により、トータルとしての緩やかな隻数の減少傾向が継続しております。一方、内航船を建造できる造船所は38社しかなく、そのすべての建造能力を合わせても建造可能隻数は年間100隻に満たないとされています。その市場に対して国内の舶用4サイクルエンジンメーカー5社が存在し受注競争が一層激化しております。このようななかで、当社は新しい技術に裏打ちされた付加価値によりお客様に満足を提供し、国内内航船業界のシェアの拡大を図るとともに、海外、特に東アジアを中心としたマーケットの開拓に注力してまいります。
(2) 低速4サイクルディーゼルエンジン偏重による主機関受注減少リスク
当社の主力商品は、低速4サイクルディーゼルエンジンであり、その特長はロングストローク化と機関回転数を低くすることにより燃焼を確実に行うことができる結果としての、中速エンジンに比べた高い熱効率であります。また低回転が必要なプロペラと複雑な減速機を介さず直接に結合できることと、機関回転数が低いことが相まって高いシステム信頼性を有しており、その結果メンテナンスコストを含めた生涯コストが低くなっています。この特長が内航海運用途で評価され高いシェアを誇っております。しかし、この特長による中速機関への優位性が認められにくくなる、又は、環境対応としてディーゼルエンジンそのものに対する風当たりが強くなれば、受注減少のリスクがあります。まずは、その優位性を確保するため現有ディーゼルエンジンの継続的な性能改善を進めております。また、付加価値の向上として、高度船舶安全管理システムや機関モニタリングシステム「HANASYS 5」等ソフト面でのサポート機能の充実も図っております。加えて、昨今の環境対応に対しましては新たにガスエンジンを開発しており、今後のGHG削減に対しては脱炭素エンジンを視野に入れて研究開発を進めてまいります。
(3) IMO規制(国際海事機関により採択された地球環境保全に対する規制)への未対応リスク
当社に関連のある規制としましては、NOx3次規制、SOx規制、EEDI規制(CO2規制)、船内騒音規制等があります。現時点で、将来直接的に対応が必要と考えられる規制はNOx3次規制であり、規制に適合できるエンジン又は技術が開発できない場合は当社の経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。対策のひとつとして規制に適合できるガスエンジンの開発を鋭意進めております。SOx規制は燃料油、EEDI規制と船内騒音規制は船舶全般に関わる規制となりますので、それらに対する関係各社の対策技術が開発されない場合、新船建造に歯止めがかかり、当社の主機関受注に大きな影響を及ぼす可能性があります。可能な限りの各種技術データ提供等によりお客様のご要望に応えさせていただくことにより最大限の協力をさせていただいております。しかしながら、地球環境保全に対する積極的な貢献が当社の使命でもあり、ビジネスチャンスを掴み取る機会でもありますので、主機関を含めた推進システムの総合メーカとして課題解決に向けて技術的可能性を追求してまいります。
(4) 新卒人材採用の困難継続リスク
日本の少子高齢化に伴い新卒の人材採用が困難になってきております。現時点では採用計画をほぼ充足させるに足る新卒者数程度の応募があるのみとなっており、状況がさらに厳しくなり計画数に満たない状況が継続すれば、技術やノウハウの社内伝承が進まず事業機会を失うことにより、当社の経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。対策としましては、大学との個別コンタクトや積極的な会社説明会への参加、通年採用や中途採用のオープン化、初任給のアップ、マイナビ等のツールの活用、そしてホームページでの当社の魅力発信等を行っていきたいと考えております。加えて、一定の経験を得た中途採用人材の活用も進めるため、転職サイト等の有効活用も図ってまいります。
(5) 感染症パンデミックの影響による損失拡大リスク
社内で感染者が多発した場合、操業停止等による経営成績や財政状態への大きな影響の可能性があります。現時点では流行中の新型コロナウイルス感染症による当社への影響は限定的です。感染リスクのコントロールにつきましては、新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げ、情報収集・発信等の一元化を図っております。感染そのものに対する対策としましては、通勤や職場での密閉・密集・密接を避ける各種工夫、テレワークや時差出勤などを行っております。また、生産上の影響としましては、部材調達に関わるサプライチェーンの機能不全がリスクとなるため、内製化の拡大、遅延品の臨時補完対策、リードタイムの確実な把握と生産調整管理の迅速化等の施策を進めてまいります。
(6) SDGs対応に貢献できなかった場合のリスク
SDGsへの貢献は、既に一般企業、一般社会人の果たすべき当然の義務という位置づけです。その義務を果たさなければ、ビジネス社会の責任ある一員と捉えてもらえない大きなリスクがあります。今回の新中期経営計画では、長期経営ビジョンについて、SDGsへの貢献を基軸に据え、中期目標においてもSDGsに貢献できる具体的な目標を設定いたしました。地球と人を大切にする企業活動に邁進してまいります。
(7) ロシアのウクライナ侵攻による地政学的リスク
リスクの一つ目は、ロシアとの直接取引の停止があります。金額的には少額ではありますが、受注後発送予定のエンジン部品の発送を停止しております。二つ目は、エネルギーや原材料等の資源高騰のリスクであります。重油・天然ガス等の高騰によりエンジン価格の引き下げ圧力や新船建造の延期等の影響が出る可能性があります。また、金属材料や部品の二次的な高騰により、エンジンの原価に悪影響が及び、利益の圧縮に至る可能性もあります。いずれにせよリスク状況をよく見極め、可能な限りの対策を実施していく所存であります。
(8) 重要な会計上の見積りによるリスク
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されておりますが、財務諸表の作成にあたり、当事業年度末時点の状況を基に行った見積りと当該見積りに用いた仮定のうち、製品保証引当金及び受注損失引当金の見積りには一定の不確実性が含まれております。製品保証引当金については、不具合の予測発生台数及び過去の費用実績を基に見積っておりますが、本質的に将来の不具合発生の予測は不確実なため、見積費用が変動することがあります。受注損失引当金については、契約ごとの仕様及び販売基準価格表から算出した総費用等を基に見積っておりますが、契約仕様は顧客の要求に基づくものであり個別性が強く、また作業工程の遅れ等、当初予定していない事象により見積費用が変動する場合があります。これらの状況変化に伴い結果として、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあります。
(1) 国内内航船業界偏重による主機関受注減少リスク
現在の内航海運業界ではここ数年の稼働隻数は5,200隻前後で推移しておりますが、1隻当たりの平均総トン数が10年前に比べ約2割増加し船が大型化する結果、従来の小型船の隻数が減少するとともに、船員の高齢化や若手船員の減少等による内航船員の慢性的な不足により、トータルとしての緩やかな隻数の減少傾向が継続しております。一方、内航船を建造できる造船所は38社しかなく、そのすべての建造能力を合わせても建造可能隻数は年間100隻に満たないとされています。その市場に対して国内の舶用4サイクルエンジンメーカー5社が存在し受注競争が一層激化しております。このようななかで、当社は新しい技術に裏打ちされた付加価値によりお客様に満足を提供し、国内内航船業界のシェアの拡大を図るとともに、海外、特に東アジアを中心としたマーケットの開拓に注力してまいります。
(2) 低速4サイクルディーゼルエンジン偏重による主機関受注減少リスク
当社の主力商品は、低速4サイクルディーゼルエンジンであり、その特長はロングストローク化と機関回転数を低くすることにより燃焼を確実に行うことができる結果としての、中速エンジンに比べた高い熱効率であります。また低回転が必要なプロペラと複雑な減速機を介さず直接に結合できることと、機関回転数が低いことが相まって高いシステム信頼性を有しており、その結果メンテナンスコストを含めた生涯コストが低くなっています。この特長が内航海運用途で評価され高いシェアを誇っております。しかし、この特長による中速機関への優位性が認められにくくなる、又は、環境対応としてディーゼルエンジンそのものに対する風当たりが強くなれば、受注減少のリスクがあります。まずは、その優位性を確保するため現有ディーゼルエンジンの継続的な性能改善を進めております。また、付加価値の向上として、高度船舶安全管理システムや機関モニタリングシステム「HANASYS 5」等ソフト面でのサポート機能の充実も図っております。加えて、昨今の環境対応に対しましては新たにガスエンジンを開発しており、今後のGHG削減に対しては脱炭素エンジンを視野に入れて研究開発を進めてまいります。
(3) IMO規制(国際海事機関により採択された地球環境保全に対する規制)への未対応リスク
当社に関連のある規制としましては、NOx3次規制、SOx規制、EEDI規制(CO2規制)、船内騒音規制等があります。現時点で、将来直接的に対応が必要と考えられる規制はNOx3次規制であり、規制に適合できるエンジン又は技術が開発できない場合は当社の経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。対策のひとつとして規制に適合できるガスエンジンの開発を鋭意進めております。SOx規制は燃料油、EEDI規制と船内騒音規制は船舶全般に関わる規制となりますので、それらに対する関係各社の対策技術が開発されない場合、新船建造に歯止めがかかり、当社の主機関受注に大きな影響を及ぼす可能性があります。可能な限りの各種技術データ提供等によりお客様のご要望に応えさせていただくことにより最大限の協力をさせていただいております。しかしながら、地球環境保全に対する積極的な貢献が当社の使命でもあり、ビジネスチャンスを掴み取る機会でもありますので、主機関を含めた推進システムの総合メーカとして課題解決に向けて技術的可能性を追求してまいります。
(4) 新卒人材採用の困難継続リスク
日本の少子高齢化に伴い新卒の人材採用が困難になってきております。現時点では採用計画をほぼ充足させるに足る新卒者数程度の応募があるのみとなっており、状況がさらに厳しくなり計画数に満たない状況が継続すれば、技術やノウハウの社内伝承が進まず事業機会を失うことにより、当社の経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。対策としましては、大学との個別コンタクトや積極的な会社説明会への参加、通年採用や中途採用のオープン化、初任給のアップ、マイナビ等のツールの活用、そしてホームページでの当社の魅力発信等を行っていきたいと考えております。加えて、一定の経験を得た中途採用人材の活用も進めるため、転職サイト等の有効活用も図ってまいります。
(5) 感染症パンデミックの影響による損失拡大リスク
社内で感染者が多発した場合、操業停止等による経営成績や財政状態への大きな影響の可能性があります。現時点では流行中の新型コロナウイルス感染症による当社への影響は限定的です。感染リスクのコントロールにつきましては、新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げ、情報収集・発信等の一元化を図っております。感染そのものに対する対策としましては、通勤や職場での密閉・密集・密接を避ける各種工夫、テレワークや時差出勤などを行っております。また、生産上の影響としましては、部材調達に関わるサプライチェーンの機能不全がリスクとなるため、内製化の拡大、遅延品の臨時補完対策、リードタイムの確実な把握と生産調整管理の迅速化等の施策を進めてまいります。
(6) SDGs対応に貢献できなかった場合のリスク
SDGsへの貢献は、既に一般企業、一般社会人の果たすべき当然の義務という位置づけです。その義務を果たさなければ、ビジネス社会の責任ある一員と捉えてもらえない大きなリスクがあります。今回の新中期経営計画では、長期経営ビジョンについて、SDGsへの貢献を基軸に据え、中期目標においてもSDGsに貢献できる具体的な目標を設定いたしました。地球と人を大切にする企業活動に邁進してまいります。
(7) ロシアのウクライナ侵攻による地政学的リスク
リスクの一つ目は、ロシアとの直接取引の停止があります。金額的には少額ではありますが、受注後発送予定のエンジン部品の発送を停止しております。二つ目は、エネルギーや原材料等の資源高騰のリスクであります。重油・天然ガス等の高騰によりエンジン価格の引き下げ圧力や新船建造の延期等の影響が出る可能性があります。また、金属材料や部品の二次的な高騰により、エンジンの原価に悪影響が及び、利益の圧縮に至る可能性もあります。いずれにせよリスク状況をよく見極め、可能な限りの対策を実施していく所存であります。
(8) 重要な会計上の見積りによるリスク
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されておりますが、財務諸表の作成にあたり、当事業年度末時点の状況を基に行った見積りと当該見積りに用いた仮定のうち、製品保証引当金及び受注損失引当金の見積りには一定の不確実性が含まれております。製品保証引当金については、不具合の予測発生台数及び過去の費用実績を基に見積っておりますが、本質的に将来の不具合発生の予測は不確実なため、見積費用が変動することがあります。受注損失引当金については、契約ごとの仕様及び販売基準価格表から算出した総費用等を基に見積っておりますが、契約仕様は顧客の要求に基づくものであり個別性が強く、また作業工程の遅れ等、当初予定していない事象により見積費用が変動する場合があります。これらの状況変化に伴い結果として、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあります。
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