有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100ODAQ (EDINETへの外部リンク)
千代田化工建設株式会社 事業等のリスク (2022年3月期)
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項、及びそれらへの対応は以下のとおりです。
当社グループは、これら事項の発生の可能性を認識したうえで、発生の低減に注力するとともに、発生した場合にはその影響を最小限に抑えるべく可及的速やかな対応に努めています。
なお、以下記載事項については、当連結会計年度末現在において認識したものです。
(a)新型コロナウイルス感染症拡大のリスク
新型コロナウイルス感染症の拡大については、いまだ収束の目途が立たず、2022年春に中国で発生したロックダウンに象徴されるような人の移動や物流の制約が世界各地で広がっている状況です。
当社グループ従業員及び関係先の健康と安全を最優先としつつ、顧客や業務委託先等との面談の制約、調達品の製作及び輸送の遅れ、工事監督者の派遣や現場作業者の動員への制限等、遂行中案件への影響を最小限に抑えるべく、顧客や業務委託先等と協議を行いながら対応を進めています。また、同リスクの先行き不透明感により、当社の顧客による投資計画の見直しの動きが幅広く見られるため、当社の受注計画にも少なからず影響が生じることは避けられないとの認識に基づき、状況分析に努めています。社内に向けては専門タスクチームを設け、感染症を想定したBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定し、事業の継続に備えています。
(b)景気動向、経済・社会・政治情勢の変動による影響
新型コロナウイルス感染症の拡大以外でも、世界的な景気動向や社会・政治情勢の変化、保護貿易・経済制裁・国交の状況、各国のエネルギー政策の転換、原油・LNG・金属資源価格の市場動向等により、顧客の投資計画に中止・延期や内容の変更が発生する、あるいは顧客の財務状況が悪化する等、当社グループの業績に影響を及ぼす場合があります。
当社グループでは、取引にあたり、経済・社会情勢の変動を注視しつつ受注活動を行うとともに、顧客・取引先とのリスクの最適な分担を図っています。さらに、取引先の状況等の調査を十分に行い、取引の可否、取引条件の確認や代替取引先の確保を行う等、これらのリスクの回避・影響の最小化に努めています。
(c)地震等の自然災害、テロ・紛争等の不可抗力
地震、地球的気候変動による大規模降雨・洪水等の自然災害やテロ・紛争等の不可抗力の発生により、工事従事者の生命への危険、機器資材の工事現場への搬入遅延、現場工事の中断等、遂行中案件の工事現場あるいは国内外の事業所において直接的又は間接的な損害発生の可能性があります。また、ロシアの侵攻に端を発したロシア及びウクライナ情勢の影響については、紛争が長期化し当社の想定を超えて情勢が悪化する場合には、世界経済を巡る不確実性が更に顕在化することから、顧客及びジョイントベンチャーパートナーの財務状況悪化、サプライ
チェーンの混乱、機器資材費等の高騰により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、人命第一と安全確保を最優先に考えた常なる備えとして、危機管理セクションを設置し情報の収集・分析を行うとともに、刻々と変化する危険地域の状況を把握し、適切な対策を講じるためにセキュリティコンサルタントを雇用するなど、危機管理組織を強化しています。有事の際には緊急対策本部を立ち上げ、顧客等関係先と迅速に情報共有するとともに、適時に適切な対応策を実施することで、これらの危機事象発生に伴う影響を最小限に留めるよう有事対応の手順を定めています。さらに、大規模地震等を想定したBCPを策定し、災害発生時には即時の安否確認・スムーズな初動対応・優先業務を立ち上げられるよう、平時から訓練を重ねることで事業継続力の向上に取り組んでいます。また、ロシア・ウクライナ情勢の影響については、現在ロシア、ウクライナにおいて遂行中のプロジェクトはありませんが、最新情報を分析しつつ、海外赴任、出張中の当社グループ社員の安全に十分配慮するとともに、他国にて遂行中の案件への影響を今後も注視、対処していきます。
(d)機器資材費の高騰
プラント建設では契約見積時と遂行発注時にタイムラグが生じます。そのため、昨今のロシア・ウクライナ問題といった急激な社会情勢の変化を受けて、機器資材の価格が予想を超えて高騰するリスクに曝されています。特にプラント建設で主要部分を占める鉄鋼製品の価格は原材料である原料炭と鉄鉱石の価格の変動に大きく影響を受けます。さらに、銅・ニッケル・アルミニウム・亜鉛などの市場価格の変動は予想し難いものです。また、原油価格の高騰や保険料の上昇等によって海運市況も高値圏で推移する等の懸念も生じています。
当社グループでは、これらのリスクを回避し影響を最小化するために、市場動向の調査に加え、世界各地からの購入先の分散を図るなどの調達先の多様化、競争環境の維持、機器資材の早期発注、有力な業者との協力関係構築などの対策を講じています。さらに、先進国を中心とした金融引き締めの影響や、ウクライナ危機に端を発した世界的なインフレ進行による資機材・労務価格の高騰やサプライチェーンの混乱に対しても、顧客・ベンダー・サブコントラクター等の事業パートナーやステークホルダーとの協議・交渉を通じて適切な対応を心がけています。
(e)工事従事者・機器資材の確保困難
プラント建設では、建設工事に必要な工事従事者などの人的資源の確保、工事に要するインフラ確保や機器資材の調達が計画どおりに進まないことにより、工程遅れが生じ、その回復のために追加費用を投入する場合があります。
当社グループでは、国内、及び海外においては労働力の逼迫する国や気候の過酷な地域での工事において、想定を超える工事コストの高騰リスクに対し、モジュール工法の採用など建設手法の工夫や有力な工事業者・機器資材供給業者との協力関係を基礎にして、これらのリスクの回避及び顕在化した場合の影響の最小化を図っています。また、新型コロナウイルス感染症以外の世界的な感染症や疫病の影響やストライキ等により工事中断を余儀なくされた場合には、顧客や現地関係機関と連携して適切な対応を取り、影響の最小化を図っています。
(f)気候変動による事業環境変化に関するリスク
昨今、気候変動が起因とみられる異常気象が世界各地で多発しています。気候変動が社会に与える影響は地球規模であり、グローバル社会が共通して直面している最も重要な社会的課題の1つです。
このような中、当社グループは、当社の顧客に影響を及ぼすことを想定し、顧客の投資環境や事業ポートフォリオが変化することで、案件組成の中断・遅延、受注・競争環境の激化等、当社の経営及び事業戦略に大きな影響を及ぼす可能性があると認識しています。当社グループは、各国のエネルギー情勢や気候変動政策の見直し、法規制等を注視、及び政府、関係官庁、顧客等のネットワークから適時・適切に最新の情報を入手し、経営計画を策定することで対処しています。
一方、気候変動は事業の新たな事業機会としても捉えることができます。当社グループでは、脱炭素化社会・水素社会への移行の加速、LNGを含む低炭素エネルギー及び再生可能エネルギーの更なる普及といった当社グループを取り巻く事業環境の大きな変化や、そのような変化を捉えた重要顧客の戦略見直し、及び当社グループにとっての新たな市場機会の成長を踏まえて、2021年5月に中期経営計画をアップデートしました。複雑な制約・課題に対し最適なソリューションを提供する最適化力、設計を最適化し高い品質を保証するEPC遂行力、及び基礎研究力とEPC知見を融合する新技術の社会実装力という創業以来の実績に裏打ちされた当社が培ってきた強みを活かして、水素社会をはじめとする脱炭素社会への移行を加速し、2050年のカーボンニュートラル達成に貢献します。また、カーボンニュートラル貢献分野及びライフサイエンス分野の伸長や継続型事業の創出・強化の両面で事業ポート
フォリオを革新し、既存事業と新規事業の利益比率を50:50とすること、並びにそれらの推進により、連結純利益300億円以上を稼ぐ収益構造に変革を遂げることを目指しています。
(g)プラント事故
当社グループが建設中の又は建設したプラントに、何らかの原因によって爆発や火災などの重大事故が発生し、その原因が当社グループの責任と判断された場合は、損害賠償責任の負担等により業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、このような不測の事態が発生しないよう、計画時の安全設計、建設現場での無事故・無災害を最優先に品質管理・工事安全管理等について万全を期すことはもとより、適切な保険の付保、損害の負担にかかわる顧客との合理的な分担を定めた契約条件の獲得などによりこれらのリスクの回避・影響の最小化を図っています。なお、当社グループでは工事安全を確保するためのあらゆる取り組みを“C-Safe”と名付け、その旗印のもと安全文化の醸成に弛まぬ努力を注いでいます。
(h)為替レートの変動
海外向け工事では、機器資材調達や下請工事代金の決済が顧客から受領する対価と異なる通貨で行われる場合があるため、為替レートの変動は業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、支出を予定する複数の通貨での工事代金受領や、為替予約の手当によって為替レート変動のリスクを回避し、影響を最小化するよう努めています。
(i)コンプライアンス違反
国内外でプラント建設を行うにあたり、当社グループの本社・子会社・事務所及び建設施行地が所在する国々・地域の法令・規制に各々従う必要があります。それら法令・諸規制に違反する行為、若しくは疑義を持たれる行為が万が一発生した場合には、プロジェクトの遂行や事業の運営に多大な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、これら違反の防止、疑義を持たれる事の回避のため、集合研修やe-ラーニング等の継続的な社員教育を通じ、人権尊重や贈賄疑念防止を含めて、事業遂行にかかる最新の法令・諸規制やルール等を遵守することの周知徹底を図るとともに、常に国内外の関係当局や顧客をはじめとするステークホルダーの動向をタイム
リーに把握するよう努めています。加えて、CCO(Chief Compliance Officer:チーフ・コンプライアンス・オフィ
サー)を委員長とし各本部長を委員とするコンプライアンス委員会、及びCCOを委員長としグループ各社社長を委員とするグループ会社コンプライアンス連絡会を設置し、コンプライアンスへの対応を確実に業務プロセスへ取り
込んでいます。
(j)情報セキュリティへの脅威
当社グループは、事業の遂行に必要な顧客や取引先情報を多数管理しているほか、技術・営業・その他事業に関する秘密情報を保有しています。多くの基幹業務や商取引がITシステムを駆使して世界中の拠点で行われています。重要な情報システムやネットワーク設備へのサイバー攻撃に備え、防御施策を強化しながらそのリスク低減を図っておりますが、完全なリスク回避はできるものではなく、不測の事態により、システム障害、秘密情報の漏洩、サイバー詐欺被害、重要な事業情報の滅失等が発生して当社の事業へ影響を与える可能性があります。さらには、2021年の東京オリンピック・パラリンピック開催や、ロシアによるウクライナ侵攻を境に、一般企業がサイ
バー攻撃に巻き込まれるリスクはますます高まっています。
当社グループでは、本社はもとより主なグループ会社でISMS認証を取得して、定期的な教育や監査等の情報セ
キュリティマネジメントを徹底し、これらのリスクの回避・影響の最小化に努めています。
(k)事業投資にかかわる損失
当社グループは、新会社の設立や既存の会社の買収等の事業投資を行うことがあります。その事業投資において多額の資本拠出や投資先に対する貸付・保証等の信用供与を行う場合がありますが、事業環境の変化等により、投資先の収益が当初計画どおりに上がらない、業績の停滞等に伴い投資にかかわる損失が発生する、又は投融資の追加が必要となる事態に直面する、などのリスクがあります。
当社グループでは、社内基準やルールに基づき事前検討を十分に行うことに加えて、損失リスクに相応する当社グループの財務許容力を慎重に見極めたうえで投資の可否を決定しています。さらに実行後は投資先の事業計画の進捗をモニタリングしつつ、必要に応じて要員、資金等の各種支援を行うことにより、損失の回避や軽減に努めています。
(l)イクシスLNGプロジェクトに関する訴訟リスク
当社グループと日揮ホールディングス㈱(以下「日揮」という)及びKBR社(以下「KBR」という)で設立した
ジョイントベンチャー(以下「JKC」という)は、2012年にIchthys LNG Pty Ltd (以下この項目において「顧客」という)から液化天然ガス等の生産設備にかかわる設計・調達・建設役務(以下「本プロジェクト」という)を受注し、プラント設備の引き渡しをしています。
顧客及び一部のサブコントラクターとの間で協議中や仲裁中の事項がありましたが、以下①②のとおり、和解に同意し、当社グループは和解内容を踏まえた影響額を当連結会計年度の連結財務諸表に反映させています。
① 顧客と協議中又は係争中の事項の解決
JKCは、顧客と本プロジェクトの契約に関する処々の事項について、協議・仲裁を継続してきました。また、そのうちの一つである現場工事のサブコントラクト追加費用の一部について、2021年4月中旬に顧客が日揮に対して、親会社保証状の履行による代位弁済を求める旨の訴訟を提起し、当社は日揮の補助参加人として訴訟参加していました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響もあって仲裁や本訴訟の更なる長期化が懸念されること、今後予見される係争関連費用の益々の積み上がりや、大きな振れ幅のある仲裁・裁判結果を最終裁定・判決まで長期間に渡り追求するリスク等につき、当社としても再検討した結果、当社、日揮、及びKBRのJKCのジョイントベンチャーパートナー3社は、和解により顧客との本訴訟を含む諸々の事項につき早期に解決を図ることが最善の策であると判断し、2021年10月15日付けで顧客と裁判外での和解に同意しました。
② サブコントラクターと係争中の事項の解決
JKCは、本プロジェクトの一部であるコンバインドサイクル発電設備(Combined Cycle Power Plant、以下「CCPP」という)の設計・建設を、General Electric Company、General Electric International, Inc.、並びにUGL Engineering Pty Limited及びCH2M Hill Australia Pty. Limitedの4社で組成されるコンソーシアム(以下「コンソーシアム」という)に固定金額契約で発注しました。
しかし、コンソーシアムは、当該役務完了前に現場から撤退し、現場撤退前の事象に係る追加費用等の支払いを求めて仲裁手続きに入りました。この状況を踏まえ、JKCは顧客に対する履行義務を果たすべく、コンソーシアムに代わるサブコントラクターを起用し、建設費用を立て替えてCCPPの建設を遂行する一方、コンソーシアムに対してJKCが立て替えている当該建設費用の負担を求めて反訴していました。
コロナ禍を背景に、本仲裁は長期化しており、今後、予見される係争費用の益々の積み上がりや、大きな振れ幅のある仲裁結果を最終裁定にまで長期間追求するリスク等を当社としても再検討した結果、JKCを組成する3社は、早期に本仲裁の解決を図ることが最善の策であると判断し、2022年4月11日付けでコンソーシアムとの和解に同意しました。
当社グループは、これら事項の発生の可能性を認識したうえで、発生の低減に注力するとともに、発生した場合にはその影響を最小限に抑えるべく可及的速やかな対応に努めています。
なお、以下記載事項については、当連結会計年度末現在において認識したものです。
(a)新型コロナウイルス感染症拡大のリスク
新型コロナウイルス感染症の拡大については、いまだ収束の目途が立たず、2022年春に中国で発生したロックダウンに象徴されるような人の移動や物流の制約が世界各地で広がっている状況です。
当社グループ従業員及び関係先の健康と安全を最優先としつつ、顧客や業務委託先等との面談の制約、調達品の製作及び輸送の遅れ、工事監督者の派遣や現場作業者の動員への制限等、遂行中案件への影響を最小限に抑えるべく、顧客や業務委託先等と協議を行いながら対応を進めています。また、同リスクの先行き不透明感により、当社の顧客による投資計画の見直しの動きが幅広く見られるため、当社の受注計画にも少なからず影響が生じることは避けられないとの認識に基づき、状況分析に努めています。社内に向けては専門タスクチームを設け、感染症を想定したBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定し、事業の継続に備えています。
(b)景気動向、経済・社会・政治情勢の変動による影響
新型コロナウイルス感染症の拡大以外でも、世界的な景気動向や社会・政治情勢の変化、保護貿易・経済制裁・国交の状況、各国のエネルギー政策の転換、原油・LNG・金属資源価格の市場動向等により、顧客の投資計画に中止・延期や内容の変更が発生する、あるいは顧客の財務状況が悪化する等、当社グループの業績に影響を及ぼす場合があります。
当社グループでは、取引にあたり、経済・社会情勢の変動を注視しつつ受注活動を行うとともに、顧客・取引先とのリスクの最適な分担を図っています。さらに、取引先の状況等の調査を十分に行い、取引の可否、取引条件の確認や代替取引先の確保を行う等、これらのリスクの回避・影響の最小化に努めています。
(c)地震等の自然災害、テロ・紛争等の不可抗力
地震、地球的気候変動による大規模降雨・洪水等の自然災害やテロ・紛争等の不可抗力の発生により、工事従事者の生命への危険、機器資材の工事現場への搬入遅延、現場工事の中断等、遂行中案件の工事現場あるいは国内外の事業所において直接的又は間接的な損害発生の可能性があります。また、ロシアの侵攻に端を発したロシア及びウクライナ情勢の影響については、紛争が長期化し当社の想定を超えて情勢が悪化する場合には、世界経済を巡る不確実性が更に顕在化することから、顧客及びジョイントベンチャーパートナーの財務状況悪化、サプライ
チェーンの混乱、機器資材費等の高騰により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、人命第一と安全確保を最優先に考えた常なる備えとして、危機管理セクションを設置し情報の収集・分析を行うとともに、刻々と変化する危険地域の状況を把握し、適切な対策を講じるためにセキュリティコンサルタントを雇用するなど、危機管理組織を強化しています。有事の際には緊急対策本部を立ち上げ、顧客等関係先と迅速に情報共有するとともに、適時に適切な対応策を実施することで、これらの危機事象発生に伴う影響を最小限に留めるよう有事対応の手順を定めています。さらに、大規模地震等を想定したBCPを策定し、災害発生時には即時の安否確認・スムーズな初動対応・優先業務を立ち上げられるよう、平時から訓練を重ねることで事業継続力の向上に取り組んでいます。また、ロシア・ウクライナ情勢の影響については、現在ロシア、ウクライナにおいて遂行中のプロジェクトはありませんが、最新情報を分析しつつ、海外赴任、出張中の当社グループ社員の安全に十分配慮するとともに、他国にて遂行中の案件への影響を今後も注視、対処していきます。
(d)機器資材費の高騰
プラント建設では契約見積時と遂行発注時にタイムラグが生じます。そのため、昨今のロシア・ウクライナ問題といった急激な社会情勢の変化を受けて、機器資材の価格が予想を超えて高騰するリスクに曝されています。特にプラント建設で主要部分を占める鉄鋼製品の価格は原材料である原料炭と鉄鉱石の価格の変動に大きく影響を受けます。さらに、銅・ニッケル・アルミニウム・亜鉛などの市場価格の変動は予想し難いものです。また、原油価格の高騰や保険料の上昇等によって海運市況も高値圏で推移する等の懸念も生じています。
当社グループでは、これらのリスクを回避し影響を最小化するために、市場動向の調査に加え、世界各地からの購入先の分散を図るなどの調達先の多様化、競争環境の維持、機器資材の早期発注、有力な業者との協力関係構築などの対策を講じています。さらに、先進国を中心とした金融引き締めの影響や、ウクライナ危機に端を発した世界的なインフレ進行による資機材・労務価格の高騰やサプライチェーンの混乱に対しても、顧客・ベンダー・サブコントラクター等の事業パートナーやステークホルダーとの協議・交渉を通じて適切な対応を心がけています。
(e)工事従事者・機器資材の確保困難
プラント建設では、建設工事に必要な工事従事者などの人的資源の確保、工事に要するインフラ確保や機器資材の調達が計画どおりに進まないことにより、工程遅れが生じ、その回復のために追加費用を投入する場合があります。
当社グループでは、国内、及び海外においては労働力の逼迫する国や気候の過酷な地域での工事において、想定を超える工事コストの高騰リスクに対し、モジュール工法の採用など建設手法の工夫や有力な工事業者・機器資材供給業者との協力関係を基礎にして、これらのリスクの回避及び顕在化した場合の影響の最小化を図っています。また、新型コロナウイルス感染症以外の世界的な感染症や疫病の影響やストライキ等により工事中断を余儀なくされた場合には、顧客や現地関係機関と連携して適切な対応を取り、影響の最小化を図っています。
(f)気候変動による事業環境変化に関するリスク
昨今、気候変動が起因とみられる異常気象が世界各地で多発しています。気候変動が社会に与える影響は地球規模であり、グローバル社会が共通して直面している最も重要な社会的課題の1つです。
このような中、当社グループは、当社の顧客に影響を及ぼすことを想定し、顧客の投資環境や事業ポートフォリオが変化することで、案件組成の中断・遅延、受注・競争環境の激化等、当社の経営及び事業戦略に大きな影響を及ぼす可能性があると認識しています。当社グループは、各国のエネルギー情勢や気候変動政策の見直し、法規制等を注視、及び政府、関係官庁、顧客等のネットワークから適時・適切に最新の情報を入手し、経営計画を策定することで対処しています。
一方、気候変動は事業の新たな事業機会としても捉えることができます。当社グループでは、脱炭素化社会・水素社会への移行の加速、LNGを含む低炭素エネルギー及び再生可能エネルギーの更なる普及といった当社グループを取り巻く事業環境の大きな変化や、そのような変化を捉えた重要顧客の戦略見直し、及び当社グループにとっての新たな市場機会の成長を踏まえて、2021年5月に中期経営計画をアップデートしました。複雑な制約・課題に対し最適なソリューションを提供する最適化力、設計を最適化し高い品質を保証するEPC遂行力、及び基礎研究力とEPC知見を融合する新技術の社会実装力という創業以来の実績に裏打ちされた当社が培ってきた強みを活かして、水素社会をはじめとする脱炭素社会への移行を加速し、2050年のカーボンニュートラル達成に貢献します。また、カーボンニュートラル貢献分野及びライフサイエンス分野の伸長や継続型事業の創出・強化の両面で事業ポート
フォリオを革新し、既存事業と新規事業の利益比率を50:50とすること、並びにそれらの推進により、連結純利益300億円以上を稼ぐ収益構造に変革を遂げることを目指しています。
(g)プラント事故
当社グループが建設中の又は建設したプラントに、何らかの原因によって爆発や火災などの重大事故が発生し、その原因が当社グループの責任と判断された場合は、損害賠償責任の負担等により業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、このような不測の事態が発生しないよう、計画時の安全設計、建設現場での無事故・無災害を最優先に品質管理・工事安全管理等について万全を期すことはもとより、適切な保険の付保、損害の負担にかかわる顧客との合理的な分担を定めた契約条件の獲得などによりこれらのリスクの回避・影響の最小化を図っています。なお、当社グループでは工事安全を確保するためのあらゆる取り組みを“C-Safe”と名付け、その旗印のもと安全文化の醸成に弛まぬ努力を注いでいます。
(h)為替レートの変動
海外向け工事では、機器資材調達や下請工事代金の決済が顧客から受領する対価と異なる通貨で行われる場合があるため、為替レートの変動は業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、支出を予定する複数の通貨での工事代金受領や、為替予約の手当によって為替レート変動のリスクを回避し、影響を最小化するよう努めています。
(i)コンプライアンス違反
国内外でプラント建設を行うにあたり、当社グループの本社・子会社・事務所及び建設施行地が所在する国々・地域の法令・規制に各々従う必要があります。それら法令・諸規制に違反する行為、若しくは疑義を持たれる行為が万が一発生した場合には、プロジェクトの遂行や事業の運営に多大な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、これら違反の防止、疑義を持たれる事の回避のため、集合研修やe-ラーニング等の継続的な社員教育を通じ、人権尊重や贈賄疑念防止を含めて、事業遂行にかかる最新の法令・諸規制やルール等を遵守することの周知徹底を図るとともに、常に国内外の関係当局や顧客をはじめとするステークホルダーの動向をタイム
リーに把握するよう努めています。加えて、CCO(Chief Compliance Officer:チーフ・コンプライアンス・オフィ
サー)を委員長とし各本部長を委員とするコンプライアンス委員会、及びCCOを委員長としグループ各社社長を委員とするグループ会社コンプライアンス連絡会を設置し、コンプライアンスへの対応を確実に業務プロセスへ取り
込んでいます。
(j)情報セキュリティへの脅威
当社グループは、事業の遂行に必要な顧客や取引先情報を多数管理しているほか、技術・営業・その他事業に関する秘密情報を保有しています。多くの基幹業務や商取引がITシステムを駆使して世界中の拠点で行われています。重要な情報システムやネットワーク設備へのサイバー攻撃に備え、防御施策を強化しながらそのリスク低減を図っておりますが、完全なリスク回避はできるものではなく、不測の事態により、システム障害、秘密情報の漏洩、サイバー詐欺被害、重要な事業情報の滅失等が発生して当社の事業へ影響を与える可能性があります。さらには、2021年の東京オリンピック・パラリンピック開催や、ロシアによるウクライナ侵攻を境に、一般企業がサイ
バー攻撃に巻き込まれるリスクはますます高まっています。
当社グループでは、本社はもとより主なグループ会社でISMS認証を取得して、定期的な教育や監査等の情報セ
キュリティマネジメントを徹底し、これらのリスクの回避・影響の最小化に努めています。
(k)事業投資にかかわる損失
当社グループは、新会社の設立や既存の会社の買収等の事業投資を行うことがあります。その事業投資において多額の資本拠出や投資先に対する貸付・保証等の信用供与を行う場合がありますが、事業環境の変化等により、投資先の収益が当初計画どおりに上がらない、業績の停滞等に伴い投資にかかわる損失が発生する、又は投融資の追加が必要となる事態に直面する、などのリスクがあります。
当社グループでは、社内基準やルールに基づき事前検討を十分に行うことに加えて、損失リスクに相応する当社グループの財務許容力を慎重に見極めたうえで投資の可否を決定しています。さらに実行後は投資先の事業計画の進捗をモニタリングしつつ、必要に応じて要員、資金等の各種支援を行うことにより、損失の回避や軽減に努めています。
(l)イクシスLNGプロジェクトに関する訴訟リスク
当社グループと日揮ホールディングス㈱(以下「日揮」という)及びKBR社(以下「KBR」という)で設立した
ジョイントベンチャー(以下「JKC」という)は、2012年にIchthys LNG Pty Ltd (以下この項目において「顧客」という)から液化天然ガス等の生産設備にかかわる設計・調達・建設役務(以下「本プロジェクト」という)を受注し、プラント設備の引き渡しをしています。
顧客及び一部のサブコントラクターとの間で協議中や仲裁中の事項がありましたが、以下①②のとおり、和解に同意し、当社グループは和解内容を踏まえた影響額を当連結会計年度の連結財務諸表に反映させています。
① 顧客と協議中又は係争中の事項の解決
JKCは、顧客と本プロジェクトの契約に関する処々の事項について、協議・仲裁を継続してきました。また、そのうちの一つである現場工事のサブコントラクト追加費用の一部について、2021年4月中旬に顧客が日揮に対して、親会社保証状の履行による代位弁済を求める旨の訴訟を提起し、当社は日揮の補助参加人として訴訟参加していました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響もあって仲裁や本訴訟の更なる長期化が懸念されること、今後予見される係争関連費用の益々の積み上がりや、大きな振れ幅のある仲裁・裁判結果を最終裁定・判決まで長期間に渡り追求するリスク等につき、当社としても再検討した結果、当社、日揮、及びKBRのJKCのジョイントベンチャーパートナー3社は、和解により顧客との本訴訟を含む諸々の事項につき早期に解決を図ることが最善の策であると判断し、2021年10月15日付けで顧客と裁判外での和解に同意しました。
② サブコントラクターと係争中の事項の解決
JKCは、本プロジェクトの一部であるコンバインドサイクル発電設備(Combined Cycle Power Plant、以下「CCPP」という)の設計・建設を、General Electric Company、General Electric International, Inc.、並びにUGL Engineering Pty Limited及びCH2M Hill Australia Pty. Limitedの4社で組成されるコンソーシアム(以下「コンソーシアム」という)に固定金額契約で発注しました。
しかし、コンソーシアムは、当該役務完了前に現場から撤退し、現場撤退前の事象に係る追加費用等の支払いを求めて仲裁手続きに入りました。この状況を踏まえ、JKCは顧客に対する履行義務を果たすべく、コンソーシアムに代わるサブコントラクターを起用し、建設費用を立て替えてCCPPの建設を遂行する一方、コンソーシアムに対してJKCが立て替えている当該建設費用の負担を求めて反訴していました。
コロナ禍を背景に、本仲裁は長期化しており、今後、予見される係争費用の益々の積み上がりや、大きな振れ幅のある仲裁結果を最終裁定にまで長期間追求するリスク等を当社としても再検討した結果、JKCを組成する3社は、早期に本仲裁の解決を図ることが最善の策であると判断し、2022年4月11日付けでコンソーシアムとの和解に同意しました。
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