有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OHKL (EDINETへの外部リンク)
富士通株式会社 事業等のリスク (2022年3月期)
当社グループは、当社グループの事業その他におけるリスクを適切に把握し、対応することを経営における重要な課題と位置づけ、取締役会が決定した「内部統制体制の整備に関する基本方針」に基づき、取締役会に直属するリスクマネジメント及びコンプライアンスにかかる最高決定機関として、「リスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。リスク・コンプライアンス委員会は、これらのリスクを認識・評価した上で、リスクの回避・軽減・移転・保有を判断、実行し、認識・評価された結果については取締役会で報告を行い、各リスクに対する回避・軽減・移転・保有などの対策状況を確認したうえで、さらなる対策の策定、見直しなどを実施するとともに、万一発生した場合には影響の極小化に努めております(重要リスクのリスクマネジメントプロセス)。
また、リスク・コンプライアンス委員会は国内外の各部門や各グループ会社へリスク・コンプライアンス責任者を配置するとともに、これらの組織が相互に連携を図りながら、潜在リスクの発生予防と顕在化したリスクへの対応の両面から、グループ全体でリスクマネジメント及びコンプライアンスを推進する体制を構築しております。
さらに、グループの全社的な危機管理の強化のため、事業部門から独立した社長直下の組織である全社リスクマネジメント室にリスク・コンプライアンス委員会事務局機能を移管し、CRMO(Chief Risk Management Officer)のもと、リスク情報全般の把握と迅速かつ適切な対応を行っております。また、情報管理や情報セキュリティに関する機能を強化するため、2021年10月に専任のCISO(Chief Information Security Officer)を任命し、CISOのスコープ拡大と権限をより明確化することで情報セキュリティ施策を全社で推進しております。
リスクマネジメント・コンプライアンス体制図
なお、以下の内容は、当社グループの全てのリスクを網羅するものではありません。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日(2022年6月27日)現在において当社グループが判断したものです。
Ⅰ.経営方針・経営戦略等との関連性
当社は経営目標の達成に向けて「経営方針及び対処すべき課題」に記載された様々な施策を進めてまいりますが、これらの施策に直接影響を与える可能性のある主なリスクとその対策は、以下の(1)~(5)、(8)、(11)、(13)において、経営方針・経営戦略との関連性も考慮して記述しております。
Ⅱ.当社グループの事業活動におけるリスク
(1)経済や金融市場の動向に関するリスク
①主要市場における景気動向
当社グループは、日本国内及び世界各国で、政府等の公共機関や企業等に、ICTを活用したサービス、サーバやストレージ等の製品、ネットワーク製品、コンサル人材等を提供しております。これらの事業の売上及び損益は、景気動向及び各市場における急激な需給バランスの変化に大きく左右されます。特に、当社グループの主要市場である、日本、欧州、北米、オセアニア、中国を含むアジアにおける景気動向及び急激な需給バランスの変化は、当社グループの事業に大きな影響を与えます。また、こうした市場の変化に対応するため、当社グループではグループ全体の全社戦略や事業ポートフォリオの方針に基づいて、継続的に構造改革を行っておりますが、急激な変化が発生した場合には、構造改革の規模が想定以上に大きくなることがあり、それに伴う一時的な費用の発生が増大することがあります。
②為替動向と金利変動及び資本市場の動向
当社グループは、海外での事業拡大を進めております。そのため、為替変動に関する情報収集及び当社グループ内での共有等を行っておりますが、為替の急激な変動は、海外ビジネスの売上及び損益に影響し、海外に提供する製品やサービスの価格競争力の低下等を招くおそれがあり、また、海外からの部材等の輸入や製品等の輸出に大きな影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループが海外に保有する資産・負債等についても、為替変動により資産等が目減り、又は負債等が増大する可能性があります。
当社グループの有利子負債の中には金利変動の影響を受けるものが含まれています。従って、金利上昇によって支払利息や調達コストが増加することがあります。
また、国内外の株式市場の動向は、当社グループの保有する他社株式の評価額及び年金資産の運用状況に大きく影響を及ぼします。従って、株式市場が低迷した場合、年金資産の目減りにより会社負担が増大したり、保有株式の評価減が発生したりするおそれがあります。
(2)お客様に関するリスク
当社グループのビジネスは、日本政府、自治体、各国政府等の公共機関、情報通信事業、金融業、製造業、流通業、ヘルスケア産業等のお客様との取引割合が高くなっております。当社グループは、社会的な課題解決を念頭に置いた事業活動を行うとともに、市場動向、技術動向、お客様の状況の変化を注視しておりますが、お客様の政策・方針や、業界の経営環境、市況変化、業界再編の動き等は、お客様のICT投資動向の変化につながり、お客様のICT投資計画やその見直し及びお客様の製品やサービスの売れ行き等は、当社グループの製品やサービスの需要や価格に大きな影響があります。また、海外ビジネスにおいては、各国における政府系のプロジェクトが重要な事業となっています。そのため、当該政府のICT投資計画の見直しや抑制があった場合、当社グループの売上及び損益に影響を与えます。
また、新型コロナウイルス感染症は、依然として、世界中の様々な業種のお客様に大きな影響を及ぼしており、これによりお客様のICT投資が抑制されることも予想され、当社グループの売上及び損益に影響を与える可能性があります。その一方で、ウィズコロナ/ポストコロナ時代においてニューノーマル(新しい常態・常識)への移行が更に加速化し、お客様にテレワークやオンライン教育等の新たなICT関連需要が生じてきています。当社グループは、多様な業種への実績、理解とデジタルテクノロジーを活用し、人とデータを中心とした新たな生活様式を築いていく役割を果たしたいと考えています。
なお、当社グループは、お客様のかけがえのないパートナーとなり、ICTのライフサイクルにわたるソリューションを提供し、長期的な信頼関係を築くことを目指しております。お客様との信頼関係が継続できない場合もしくは、取引又は契約関係が継続できない場合、当社グループの売上及び損益に影響を与えます。
(3)競合・業界に関するリスク
市況の変化や競争激化、技術革新等は、製品やサービスの価格下落につながる可能性があります。当社グループは、技術の進歩や競争激化等による当社製品・サービスの低価格化を想定し、社会動向に基づいた課題を洞察するとともにお客様のニーズや他社状況を把握し、競争力のある製品・サービスのラインナップを拡充することで販売拡大に努めるとともに、コストダウンに取り組んでおります。しかしながら、価格下落が当社グループの想定を上回るリスクや、調達価格の変動等により、当社グループが十分なコストダウンや販売拡大を実現できないリスクがあります。そのような場合、当社グループの売上及び損益に影響があります。
また、ICT業界では、既存の競合他社に加え、異業種を含めた新規参入者との競争も激しくなっています。現在、当社グループが競争優位性を持っている分野でも、新規参入業者を含めた競合他社との競争に晒され、将来の事業において優位性を確保できないリスクがあります。ICT業界では技術の進歩が大変速く、新製品や新技術は急速に陳腐化します。競争力維持のためには、先端技術の開発を続けることが必要です。当社グループは当社事業の強み、差異化を明確にし、技術やサービスの優位性を確保する努力を最大限行いますが、これらの技術開発競争で他社に優位性を奪われた場合、シェアや利益率が低下し、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。
(4)投資判断、事業再編に関するリスク
ICT業界においては、競争力維持のため、多額の研究開発投資、設備投資及び事業買収・売却、事業再編等が必要な場合があります。当社グループは、今後も必要な施策を実行してまいりますが、これらの実施の成否は、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼします。当社グループでは、投資や事業再編にあたって、市場動向やお客様のニーズ、当社技術の優位性、買収先の業績、当社グループの事業ポートフォリオ等を勘案して決定しておりますが、当社グループが有望と考えた市場や技術、又は買収先が、実際には想定ほど成長しなかったり、需給悪化や価格下落が予想以上に早く起きたりする可能性があります。また、当社グループでは、投資効率を検討し、所要変動に応じて投資を複数段階に分けて行ったり、事前にお客様と提携したりと、リスクを軽減する努力をしておりますが、常に投資から十分なリターンを得られるとは限りません。
(5)調達先・提携等に関するリスク
①調達に関わるリスク
当社グループが提供する製品やサービスは、最先端の技術を使用しており、一部の部品、原材料等については、安定的な調達が困難であったり、供給が滞った場合の代替の調達先を確保できなかったりするリスクがあります。また、大量に調達が必要な部品、原材料等について、必要な量を調達できないリスクがあります。さらにお取引先において、自然災害、感染症の流行、事故、経営状況の悪化等により、当社グループに対する部品、原材料等の安定的な提供が困難になるリスクがあります。当社グループは、調達のマルチソース化、お取引先への事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)の働きかけや支援の強化並びに適正な在庫の確保といった取り組みによってサプライチェーンの維持の努力をしておりますが、それでも部品、原材料等の確保が十分に行えなかった場合、製品及びサービスの提供が遅れ、お客様への納期遅延や機会損失等が発生する可能性があります。調達部品等については、為替動向や需給逼迫等により調達価格が当初見込みを上回り、製品及びサービスの利益率の悪化や、値上げによる売上の減少が起きる可能性があります。また、できる限り品質確保に努めておりますが、購入部品の不良を完全に防げるとは限りません。購入部品に不良があった場合、納期遅延や、製品不良が発生し、機会損失、修理回収費用、不良品廃却費用、お客様への賠償責任等が発生する可能性があります。
②提携、アライアンス、技術供与に関するリスク
当社グループは、グローバルなICTビジネス環境における競争力強化のため、業務提携、技術提携、合弁等の形で、多くの会社と共同で活動を行っており、引き続きこのような活動を前向きに活用する予定です。しかしながら、提携、合併に伴うリスクの事前の評価に関わらず、経営、財務、あるいは、その他の要因により、協力関係を成立、又は、継続できない場合や、これらの協力関係から十分な成果を得られない場合も考えられ、そのような場合には、当社グループの事業に影響を及ぼすことがあります。また、当社グループの製品やサービスは、他社の許諾を受けて使用している多くの特許や技術、ソフトウェア、商標等を前提としておりますが、これらの技術等について、今後も当社グループが許容できる条件で、他社からの供与や使用許諾を受けられるとは限りません。
(6)公的規制、政策、税務に関するリスク
当社グループの事業活動は、グローバルに展開しているため、各国・各地域の数々の公的規制、政策動向、税務法制、運用等の影響を受けます。具体的には、事業展開する各国・各地域において、政府の政策、事業及び投資の許可、輸出入に関する制限等のさまざまな規制並びに、独占禁止、知的財産権、消費者、環境・リサイクル、労働条件、派遣・下請、租税等に関する法令の適用を受けております。また、昨今の国際情勢の急速な変化が、各国・各地域の政策にも影響を及ぼしております。当社グループは、各国・各地域における政策の動向を注視しておりますが、これらの政策や規制等の強化や変更により、当社グループが対象としている市場やサプライチェーンなどにネガティブな影響が生じる可能性があります。また、対応コストの増加や仮に強化された規制等の違反が認定された場合の制裁金等の負担が生じるリスクがあり、このようなリスクが顕在化した場合、当社グループの損益に影響を与えます。また、当社グループがソリューションを提供する分野には、通信、医療、工事、個人情報の取扱い等、公的規制を受ける領域があります。これらの市場における規制の動向が当社グループの事業へ影響を与える可能性があります。
(7)自然災害や突発的事象発生のリスク
①自然災害、感染症、火災等によるリスク
当社グループでは、防災に関する強固な連携体制の構築と事業継続対応能力強化を図るため、全社防災組織を編成し、様々な訓練を実施しております。また、過去の地震における対応を教訓として、事業所における耐震・浸水対策や定期点検の取り組みについても強化しております。さらに、地震や大規模な水害、火山の噴火等の自然災害、新型インフルエンザ、新型コロナウイルス等の感染症の流行、火災・爆発等の発生時にも、重要な事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行するとともに、お客様が必要とする高性能・高品質の製品やサービスを安定的に供給するために、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)を策定し、その継続的な見直し及び改善を実施する事業継続マネジメント(BCM)を推進しております。
しかしながら、近年、世界的な気候変動により、台風、水害、大雪等の自然災害の発生頻度や影響度は高まっております。また、首都直下、南海トラフ等における巨大地震、感染症のパンデミック、火山噴火等の不測の事態は、十分に影響度を検討して策定したBCPにおいても、被害想定を超えた規模で発生する可能性があり得ると考えられます。当社グループは、防災対策やBCMを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、事業所の機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害等により、お客様へのサービス提供や製品出荷等の停止など、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。
世界的に感染が続いている新型コロナウイルス感染症について、当社グループでは、お客様、お取引先、従業員とその家族の安全確保と感染拡大の防止を最優先としつつ、お客様への製品・サービス提供の継続、及び感染拡大により生じる様々な社会課題の解決に資する取り組みを進めております。さらに、国内外の政府当局、お客様と連携した諸施策の実行などにより、重要な事業を継続維持し、社会的責任を遂行することを目指しております。しかしながら、当社グループ、委託先又はお客様先の感染者の発生、部材メーカーからの部品供給の不足・遅れ、さらに、国内外の政府当局の今後の施策によっては、製品・サービスの持続的な提供に影響を与える可能性があります。また、今後、経済活動の低迷を起点とした市況変化によっては、当社グループのビジネス領域における市場動向やお客様のICT投資動向にも変化をもたらし、当社グループの事業に影響が出てくる可能性があります。
②紛争・テロ・政情不安等に関するリスク
従業員の安全を確保したうえで、情勢を見極めながら、お客様への製品・サービス提供を継続することに努めています。しかしながら、当社グループが事業活動を展開する国や地域において、紛争やテロ、デモ、ストライキ、政情不安等が発生した場合、当社グループの事業に大きな影響を与えるリスクがあります。
(8)財務に関するリスク
外部の格付け機関が当社グループに対して発行する格付け(CSR・サステナビリティ関連の格付けを含む)は、資金調達や企業レピュテーションに大きな影響を及ぼすとともに、お客様やお取引先と取引する際の信用情報として使われることがあります。当社グループでは、流動性の確保、資金調達計画の策定、金融市場動向の分析等、資金調達に関するリスクへの対応を行っていますが、収益計画の未達や財務状況の悪化等の理由によりこれらの格付けが引き下げられた場合、当社グループの資金調達に影響を与えるほか、入札等、取引参加において不利になる可能性があります。
また、当社グループでは、与信管理に関する情報の共有及び外部機関の信用不安情報の共有と動向監視、債権保全に関するアドバイス・指示及び注意喚起の実施等、与信管理に関するリスクへの対応を行っていますが、お取引先の経営悪化や経済情勢の悪化等の信用不安により売掛債権の回収に影響を及ぼす可能性があります。
(9)製品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク
当社グループでは、品質を事業活動の根幹に関わる事項として捉え、快適で安心できるネットワーク社会を支えるために、その維持・向上に日々たゆまず取り組んでおります。
システムの受託開発については、品質管理の全社ルールを定め、ソフトウェアのモジュール化、開発の標準化、セキュリティ監査等による品質向上に努めておりますが、納入後に瑕疵等が発生する可能性があります。また、お客様要求の高度化、システムの複雑化が進み、開発難度がますます高まっており、同時に競争の激化による価格低下圧力が格段に強まっております。これらに対し、お客様との契約のあり方を見直すとともに、ビジネスプロデューサー・SEのビジネスプロセスの標準化を進め、商談発生時からプロジェクトの進行を通じてリスク管理を行い、納期遅延や不採算プロジェクトの発生を抑制しております。併せて損失の引当ても適時に実施しております。しかしながら、納期遅延や不採算プロジェクトが発生する可能性があります。
また、製品・サービスの運用・保守業務については、安定稼動のため、お客様と協働での点検や品質、契約、ルール等を改善する活動を継続的に行っておりますが、瑕疵等が発生する可能性があります。
さらに、製品の設計・開発・製造については、品質管理の全社ルールを定め、関連法規の遵守・最新基準への適合、品質の向上及び外部購入品の品質管理を進めておりますが、当社製品において、欠陥や瑕疵等が発生する可能性があります。
このような製品及びサービスの欠陥、瑕疵等が発生した場合、製品回収や補修、システムリカバリー作業や、お客様への補償、機会損失等が当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。また、万一欠陥、瑕疵等への対応における判断誤りや組織的な不正があった場合、企業レピュテーションは低下し、当社グループの損益への影響を拡大させる可能性があります。
また、重大障害の抑止に向けて、お客様システムの再点検を実施するとともに、全社的な品質保証体制強化のため、事業部門ごとの品質保証プロセスに加え、社長直轄組織による各プロセスの有効性の監視や、部門間での知見・ノウハウを共有する横断的な仕組みの導入・改善を進めております。
(10)コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、Fujitsu Wayにおいて、当社グループの従業員として厳守すべきことを行動規範として定め、また、これを詳細化して個々の従業員が行動する際のガイドライン(GBS: Global Business Standards)をグループで統一的に運用するなど、社内ルールの浸透と徹底、規範遵守の企業風土の醸成と、そのための社内体制や仕組みの構築を推進しています。しかしながら、このような施策を講じても、コンプライアンス上のリスクを完全に排除することはできない可能性があり、国内外の関連法令、規制などに抵触する事態が発生した場合には、当社グループの社会的な信用が低下し、あるいは、多額の課徴金や損害賠償が請求されるなど、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
(11)知的財産に関するリスク
当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してまいりましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の地域では法的な制約のために知的財産としての十分な保護が受けられない場合があります。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似製品等を製造、販売するのを効果的に防止できない可能性があります。また、他社が類似、もしくはより優れた技術を開発した場合、当社グループの知的財産の価値が低下する可能性があります。また、当社グループでは他社の知的財産を侵害することのないよう、社内規程の整備や製品出荷前の他社知的財産調査の徹底等を行っておりますが、当社グループの製品やサービス又は技術について、他社の知的財産を侵害しているとされ、使用料支払いや設計変更費用等が当社グループの損益に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは従来、従業員の発明に対して職務発明補償・報奨を積極的に行い、今後も法令等に基づいた職務発明補償・報奨を実施いたしますが、補償・報奨評価に対して発明者から訴訟を提起されるリスクがあります。
(12)セキュリティに関するリスク
①情報セキュリティに関するリスク
お客様、お取引先、又は当社グループの機密情報や個人情報の保護については、社内規程の制定、従業員への教育、情報インフラの整備、業務委託先も含めた指導等の対策を実施しておりますが、情報漏洩や不正利用等を完全に防げるとは限りません。万が一、情報漏洩が起きた場合、当社グループの信用は低下し、お客様の情報を漏洩した場合には、法的責任が発生するおそれがあります。
②サイバーセキュリティに関するリスク
当社グループの重要な事業活動基盤の一つである社内ネットワークにつきましては、ゼロトラストを実現するべく、IT基盤の特性に合わせて対策を講じています。標的型攻撃対策として不正アクセス対策やマルウェア対策に加え、デバイス管理、ID管理、データ漏洩対策を組み合わせた認証・認可基盤を構築し、巧妙化・多様化・複雑化するサイバー攻撃への対策を実施しております。しかしながら、コンピューターウイルスの侵入や不正アクセス等のサイバー攻撃による社内ネットワークやシステムの運用停止や情報漏洩等を完全に防げるとは限りません。このようなリスクが顕在化した場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
③物理セキュリティに関するリスク
当社グループは、敷地、建物、フロアの3層において「人的警備」と「機械警備」を組み合わせた物理セキュリティ環境を構築しています。さらにより高度な物理セキュリティ環境を構築するために、なりすましを防ぐことが可能な静脈認証装置を組み合わせたセキュリティゲートを社内展開しています。しかしながら、物理的な破壊による業務停止や情報漏洩等を完全に防げるとは限りません。このようなリスクが顕在化した場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
(13)人材に関するリスク
当社グループの成長と利益は、人材に大きく依存します。従って、経営者、優秀な技術者等、必要とする人材を採用及び育成し、並びに流出を防止することは当社グループにとって重要となります。当社グループではジョブ型人事制度や高度人材処遇制度などの新しい人材制度改革の導入により、優秀な人材が集まり活躍しやすい環境を整備しておりますが、優秀な人材を採用又は育成することができない場合や、人材の流出を防止できない場合、当社グループの成長や利益に影響を及ぼす可能性があります。
また、従業員との間で労働契約の終了に関する合意が円滑になされない場合や法令に基づく適切な労務管理ができないこと等により従業員に重大な労働災害が発生した場合には、人事部門、法務部門を中心に対処する体制を整備しておりますが、労務問題によって企業レピュテーションの毀損や紛争につながる可能性があります。
(14)当社グループの施設・システムに関するリスク
当社グループでは、国内外に事業所、工場、データセンターなど様々な施設を保有又は賃借するとともに、他社ベンダーのクラウドサービスを活用しております。いずれの施設、サービスについても、各国の建築基準その他の規制を遵守し、また独自に安全基準を設けるなどしておりますが、地震、大規模な水害、火災、放射能汚染等の災害や感染症、テロ、デモ、ストライキ、施工品質の不足、運用ミスなどが発生した場合、生産ラインの停止等、施設・システムの運用が停止することにより、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
(15)環境・気候変動に関するリスク
当社グループでは、パーパスとして、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくことを掲げており、環境を含むサステナビリティ課題への対応を経営の最重要事項の一つと位置付けています。法律・条令等に基づき社内規程を整備し環境負荷の低減や環境汚染の発生防止等に努めておりますが、事業活動を通じて環境汚染等が発生する可能性があります。また、当社グループ工場跡地において、土壌や地下水の調査及び浄化活動を行っていますが、今後新たな汚染が判明した場合、当社グループの社会的な信用低下や、浄化処理等の対策費用発生等により損益に影響を及ぼす可能性があります。
また、近年、気候変動により発生頻度・影響度が増大した自然災害は、調達・物流・エネルギー供給網を寸断し、気温の長期的な変化は空調エネルギー使用量の増加を招き、当社グループの事業へ影響を与える可能性があります。現在、世界各国が2050年までにカーボンニュートラルを目標に掲げていく中で、機関投資家も気候変動への取り組みを投資基準とするなど、社会・経済のカーボンニュートラルへの流れが加速しています。温室効果ガスの排出量の規制強化や炭素税の導入に加え、顧客や社会のカーボンニュートラルへの貢献が求められています。これらの規制等に適合ができない場合には、企業レピュテーションの低下によりビジネスの機会を逃したり、規制への適合を条件とする入札に参加できなくなる可能性や、適合するために必要なコストが増加する可能性があります。さらに、カーボンニュートラルに向けた技術開発競争が激化し、対応に遅れが生じた場合には、投資未回収や市場シェアや利益率が低下し、当社グループの売上及び損益に影響を与える可能性があります。
当社グループはこれらのリスクに対し、また、グローバルな環境リーディング企業として社会的責任を果たすために、気候変動対策としてパリ協定の1.5℃水準に沿った温室効果ガス排出量削減と顧客や社会のカーボンニュートラルを戦略的に推進します。
また、リスク・コンプライアンス委員会は国内外の各部門や各グループ会社へリスク・コンプライアンス責任者を配置するとともに、これらの組織が相互に連携を図りながら、潜在リスクの発生予防と顕在化したリスクへの対応の両面から、グループ全体でリスクマネジメント及びコンプライアンスを推進する体制を構築しております。
さらに、グループの全社的な危機管理の強化のため、事業部門から独立した社長直下の組織である全社リスクマネジメント室にリスク・コンプライアンス委員会事務局機能を移管し、CRMO(Chief Risk Management Officer)のもと、リスク情報全般の把握と迅速かつ適切な対応を行っております。また、情報管理や情報セキュリティに関する機能を強化するため、2021年10月に専任のCISO(Chief Information Security Officer)を任命し、CISOのスコープ拡大と権限をより明確化することで情報セキュリティ施策を全社で推進しております。
リスクマネジメント・コンプライアンス体制図
なお、以下の内容は、当社グループの全てのリスクを網羅するものではありません。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日(2022年6月27日)現在において当社グループが判断したものです。
Ⅰ.経営方針・経営戦略等との関連性
当社は経営目標の達成に向けて「経営方針及び対処すべき課題」に記載された様々な施策を進めてまいりますが、これらの施策に直接影響を与える可能性のある主なリスクとその対策は、以下の(1)~(5)、(8)、(11)、(13)において、経営方針・経営戦略との関連性も考慮して記述しております。
Ⅱ.当社グループの事業活動におけるリスク
(1)経済や金融市場の動向に関するリスク
①主要市場における景気動向
当社グループは、日本国内及び世界各国で、政府等の公共機関や企業等に、ICTを活用したサービス、サーバやストレージ等の製品、ネットワーク製品、コンサル人材等を提供しております。これらの事業の売上及び損益は、景気動向及び各市場における急激な需給バランスの変化に大きく左右されます。特に、当社グループの主要市場である、日本、欧州、北米、オセアニア、中国を含むアジアにおける景気動向及び急激な需給バランスの変化は、当社グループの事業に大きな影響を与えます。また、こうした市場の変化に対応するため、当社グループではグループ全体の全社戦略や事業ポートフォリオの方針に基づいて、継続的に構造改革を行っておりますが、急激な変化が発生した場合には、構造改革の規模が想定以上に大きくなることがあり、それに伴う一時的な費用の発生が増大することがあります。
②為替動向と金利変動及び資本市場の動向
当社グループは、海外での事業拡大を進めております。そのため、為替変動に関する情報収集及び当社グループ内での共有等を行っておりますが、為替の急激な変動は、海外ビジネスの売上及び損益に影響し、海外に提供する製品やサービスの価格競争力の低下等を招くおそれがあり、また、海外からの部材等の輸入や製品等の輸出に大きな影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループが海外に保有する資産・負債等についても、為替変動により資産等が目減り、又は負債等が増大する可能性があります。
当社グループの有利子負債の中には金利変動の影響を受けるものが含まれています。従って、金利上昇によって支払利息や調達コストが増加することがあります。
また、国内外の株式市場の動向は、当社グループの保有する他社株式の評価額及び年金資産の運用状況に大きく影響を及ぼします。従って、株式市場が低迷した場合、年金資産の目減りにより会社負担が増大したり、保有株式の評価減が発生したりするおそれがあります。
(2)お客様に関するリスク
当社グループのビジネスは、日本政府、自治体、各国政府等の公共機関、情報通信事業、金融業、製造業、流通業、ヘルスケア産業等のお客様との取引割合が高くなっております。当社グループは、社会的な課題解決を念頭に置いた事業活動を行うとともに、市場動向、技術動向、お客様の状況の変化を注視しておりますが、お客様の政策・方針や、業界の経営環境、市況変化、業界再編の動き等は、お客様のICT投資動向の変化につながり、お客様のICT投資計画やその見直し及びお客様の製品やサービスの売れ行き等は、当社グループの製品やサービスの需要や価格に大きな影響があります。また、海外ビジネスにおいては、各国における政府系のプロジェクトが重要な事業となっています。そのため、当該政府のICT投資計画の見直しや抑制があった場合、当社グループの売上及び損益に影響を与えます。
また、新型コロナウイルス感染症は、依然として、世界中の様々な業種のお客様に大きな影響を及ぼしており、これによりお客様のICT投資が抑制されることも予想され、当社グループの売上及び損益に影響を与える可能性があります。その一方で、ウィズコロナ/ポストコロナ時代においてニューノーマル(新しい常態・常識)への移行が更に加速化し、お客様にテレワークやオンライン教育等の新たなICT関連需要が生じてきています。当社グループは、多様な業種への実績、理解とデジタルテクノロジーを活用し、人とデータを中心とした新たな生活様式を築いていく役割を果たしたいと考えています。
なお、当社グループは、お客様のかけがえのないパートナーとなり、ICTのライフサイクルにわたるソリューションを提供し、長期的な信頼関係を築くことを目指しております。お客様との信頼関係が継続できない場合もしくは、取引又は契約関係が継続できない場合、当社グループの売上及び損益に影響を与えます。
(3)競合・業界に関するリスク
市況の変化や競争激化、技術革新等は、製品やサービスの価格下落につながる可能性があります。当社グループは、技術の進歩や競争激化等による当社製品・サービスの低価格化を想定し、社会動向に基づいた課題を洞察するとともにお客様のニーズや他社状況を把握し、競争力のある製品・サービスのラインナップを拡充することで販売拡大に努めるとともに、コストダウンに取り組んでおります。しかしながら、価格下落が当社グループの想定を上回るリスクや、調達価格の変動等により、当社グループが十分なコストダウンや販売拡大を実現できないリスクがあります。そのような場合、当社グループの売上及び損益に影響があります。
また、ICT業界では、既存の競合他社に加え、異業種を含めた新規参入者との競争も激しくなっています。現在、当社グループが競争優位性を持っている分野でも、新規参入業者を含めた競合他社との競争に晒され、将来の事業において優位性を確保できないリスクがあります。ICT業界では技術の進歩が大変速く、新製品や新技術は急速に陳腐化します。競争力維持のためには、先端技術の開発を続けることが必要です。当社グループは当社事業の強み、差異化を明確にし、技術やサービスの優位性を確保する努力を最大限行いますが、これらの技術開発競争で他社に優位性を奪われた場合、シェアや利益率が低下し、当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。
(4)投資判断、事業再編に関するリスク
ICT業界においては、競争力維持のため、多額の研究開発投資、設備投資及び事業買収・売却、事業再編等が必要な場合があります。当社グループは、今後も必要な施策を実行してまいりますが、これらの実施の成否は、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼします。当社グループでは、投資や事業再編にあたって、市場動向やお客様のニーズ、当社技術の優位性、買収先の業績、当社グループの事業ポートフォリオ等を勘案して決定しておりますが、当社グループが有望と考えた市場や技術、又は買収先が、実際には想定ほど成長しなかったり、需給悪化や価格下落が予想以上に早く起きたりする可能性があります。また、当社グループでは、投資効率を検討し、所要変動に応じて投資を複数段階に分けて行ったり、事前にお客様と提携したりと、リスクを軽減する努力をしておりますが、常に投資から十分なリターンを得られるとは限りません。
(5)調達先・提携等に関するリスク
①調達に関わるリスク
当社グループが提供する製品やサービスは、最先端の技術を使用しており、一部の部品、原材料等については、安定的な調達が困難であったり、供給が滞った場合の代替の調達先を確保できなかったりするリスクがあります。また、大量に調達が必要な部品、原材料等について、必要な量を調達できないリスクがあります。さらにお取引先において、自然災害、感染症の流行、事故、経営状況の悪化等により、当社グループに対する部品、原材料等の安定的な提供が困難になるリスクがあります。当社グループは、調達のマルチソース化、お取引先への事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)の働きかけや支援の強化並びに適正な在庫の確保といった取り組みによってサプライチェーンの維持の努力をしておりますが、それでも部品、原材料等の確保が十分に行えなかった場合、製品及びサービスの提供が遅れ、お客様への納期遅延や機会損失等が発生する可能性があります。調達部品等については、為替動向や需給逼迫等により調達価格が当初見込みを上回り、製品及びサービスの利益率の悪化や、値上げによる売上の減少が起きる可能性があります。また、できる限り品質確保に努めておりますが、購入部品の不良を完全に防げるとは限りません。購入部品に不良があった場合、納期遅延や、製品不良が発生し、機会損失、修理回収費用、不良品廃却費用、お客様への賠償責任等が発生する可能性があります。
②提携、アライアンス、技術供与に関するリスク
当社グループは、グローバルなICTビジネス環境における競争力強化のため、業務提携、技術提携、合弁等の形で、多くの会社と共同で活動を行っており、引き続きこのような活動を前向きに活用する予定です。しかしながら、提携、合併に伴うリスクの事前の評価に関わらず、経営、財務、あるいは、その他の要因により、協力関係を成立、又は、継続できない場合や、これらの協力関係から十分な成果を得られない場合も考えられ、そのような場合には、当社グループの事業に影響を及ぼすことがあります。また、当社グループの製品やサービスは、他社の許諾を受けて使用している多くの特許や技術、ソフトウェア、商標等を前提としておりますが、これらの技術等について、今後も当社グループが許容できる条件で、他社からの供与や使用許諾を受けられるとは限りません。
(6)公的規制、政策、税務に関するリスク
当社グループの事業活動は、グローバルに展開しているため、各国・各地域の数々の公的規制、政策動向、税務法制、運用等の影響を受けます。具体的には、事業展開する各国・各地域において、政府の政策、事業及び投資の許可、輸出入に関する制限等のさまざまな規制並びに、独占禁止、知的財産権、消費者、環境・リサイクル、労働条件、派遣・下請、租税等に関する法令の適用を受けております。また、昨今の国際情勢の急速な変化が、各国・各地域の政策にも影響を及ぼしております。当社グループは、各国・各地域における政策の動向を注視しておりますが、これらの政策や規制等の強化や変更により、当社グループが対象としている市場やサプライチェーンなどにネガティブな影響が生じる可能性があります。また、対応コストの増加や仮に強化された規制等の違反が認定された場合の制裁金等の負担が生じるリスクがあり、このようなリスクが顕在化した場合、当社グループの損益に影響を与えます。また、当社グループがソリューションを提供する分野には、通信、医療、工事、個人情報の取扱い等、公的規制を受ける領域があります。これらの市場における規制の動向が当社グループの事業へ影響を与える可能性があります。
(7)自然災害や突発的事象発生のリスク
①自然災害、感染症、火災等によるリスク
当社グループでは、防災に関する強固な連携体制の構築と事業継続対応能力強化を図るため、全社防災組織を編成し、様々な訓練を実施しております。また、過去の地震における対応を教訓として、事業所における耐震・浸水対策や定期点検の取り組みについても強化しております。さらに、地震や大規模な水害、火山の噴火等の自然災害、新型インフルエンザ、新型コロナウイルス等の感染症の流行、火災・爆発等の発生時にも、重要な事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行するとともに、お客様が必要とする高性能・高品質の製品やサービスを安定的に供給するために、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)を策定し、その継続的な見直し及び改善を実施する事業継続マネジメント(BCM)を推進しております。
しかしながら、近年、世界的な気候変動により、台風、水害、大雪等の自然災害の発生頻度や影響度は高まっております。また、首都直下、南海トラフ等における巨大地震、感染症のパンデミック、火山噴火等の不測の事態は、十分に影響度を検討して策定したBCPにおいても、被害想定を超えた規模で発生する可能性があり得ると考えられます。当社グループは、防災対策やBCMを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、事業所の機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害等により、お客様へのサービス提供や製品出荷等の停止など、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。
世界的に感染が続いている新型コロナウイルス感染症について、当社グループでは、お客様、お取引先、従業員とその家族の安全確保と感染拡大の防止を最優先としつつ、お客様への製品・サービス提供の継続、及び感染拡大により生じる様々な社会課題の解決に資する取り組みを進めております。さらに、国内外の政府当局、お客様と連携した諸施策の実行などにより、重要な事業を継続維持し、社会的責任を遂行することを目指しております。しかしながら、当社グループ、委託先又はお客様先の感染者の発生、部材メーカーからの部品供給の不足・遅れ、さらに、国内外の政府当局の今後の施策によっては、製品・サービスの持続的な提供に影響を与える可能性があります。また、今後、経済活動の低迷を起点とした市況変化によっては、当社グループのビジネス領域における市場動向やお客様のICT投資動向にも変化をもたらし、当社グループの事業に影響が出てくる可能性があります。
②紛争・テロ・政情不安等に関するリスク
従業員の安全を確保したうえで、情勢を見極めながら、お客様への製品・サービス提供を継続することに努めています。しかしながら、当社グループが事業活動を展開する国や地域において、紛争やテロ、デモ、ストライキ、政情不安等が発生した場合、当社グループの事業に大きな影響を与えるリスクがあります。
(8)財務に関するリスク
外部の格付け機関が当社グループに対して発行する格付け(CSR・サステナビリティ関連の格付けを含む)は、資金調達や企業レピュテーションに大きな影響を及ぼすとともに、お客様やお取引先と取引する際の信用情報として使われることがあります。当社グループでは、流動性の確保、資金調達計画の策定、金融市場動向の分析等、資金調達に関するリスクへの対応を行っていますが、収益計画の未達や財務状況の悪化等の理由によりこれらの格付けが引き下げられた場合、当社グループの資金調達に影響を与えるほか、入札等、取引参加において不利になる可能性があります。
また、当社グループでは、与信管理に関する情報の共有及び外部機関の信用不安情報の共有と動向監視、債権保全に関するアドバイス・指示及び注意喚起の実施等、与信管理に関するリスクへの対応を行っていますが、お取引先の経営悪化や経済情勢の悪化等の信用不安により売掛債権の回収に影響を及ぼす可能性があります。
(9)製品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク
当社グループでは、品質を事業活動の根幹に関わる事項として捉え、快適で安心できるネットワーク社会を支えるために、その維持・向上に日々たゆまず取り組んでおります。
システムの受託開発については、品質管理の全社ルールを定め、ソフトウェアのモジュール化、開発の標準化、セキュリティ監査等による品質向上に努めておりますが、納入後に瑕疵等が発生する可能性があります。また、お客様要求の高度化、システムの複雑化が進み、開発難度がますます高まっており、同時に競争の激化による価格低下圧力が格段に強まっております。これらに対し、お客様との契約のあり方を見直すとともに、ビジネスプロデューサー・SEのビジネスプロセスの標準化を進め、商談発生時からプロジェクトの進行を通じてリスク管理を行い、納期遅延や不採算プロジェクトの発生を抑制しております。併せて損失の引当ても適時に実施しております。しかしながら、納期遅延や不採算プロジェクトが発生する可能性があります。
また、製品・サービスの運用・保守業務については、安定稼動のため、お客様と協働での点検や品質、契約、ルール等を改善する活動を継続的に行っておりますが、瑕疵等が発生する可能性があります。
さらに、製品の設計・開発・製造については、品質管理の全社ルールを定め、関連法規の遵守・最新基準への適合、品質の向上及び外部購入品の品質管理を進めておりますが、当社製品において、欠陥や瑕疵等が発生する可能性があります。
このような製品及びサービスの欠陥、瑕疵等が発生した場合、製品回収や補修、システムリカバリー作業や、お客様への補償、機会損失等が当社グループの売上及び損益に影響を及ぼします。また、万一欠陥、瑕疵等への対応における判断誤りや組織的な不正があった場合、企業レピュテーションは低下し、当社グループの損益への影響を拡大させる可能性があります。
また、重大障害の抑止に向けて、お客様システムの再点検を実施するとともに、全社的な品質保証体制強化のため、事業部門ごとの品質保証プロセスに加え、社長直轄組織による各プロセスの有効性の監視や、部門間での知見・ノウハウを共有する横断的な仕組みの導入・改善を進めております。
(10)コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、Fujitsu Wayにおいて、当社グループの従業員として厳守すべきことを行動規範として定め、また、これを詳細化して個々の従業員が行動する際のガイドライン(GBS: Global Business Standards)をグループで統一的に運用するなど、社内ルールの浸透と徹底、規範遵守の企業風土の醸成と、そのための社内体制や仕組みの構築を推進しています。しかしながら、このような施策を講じても、コンプライアンス上のリスクを完全に排除することはできない可能性があり、国内外の関連法令、規制などに抵触する事態が発生した場合には、当社グループの社会的な信用が低下し、あるいは、多額の課徴金や損害賠償が請求されるなど、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
(11)知的財産に関するリスク
当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してまいりましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の地域では法的な制約のために知的財産としての十分な保護が受けられない場合があります。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似製品等を製造、販売するのを効果的に防止できない可能性があります。また、他社が類似、もしくはより優れた技術を開発した場合、当社グループの知的財産の価値が低下する可能性があります。また、当社グループでは他社の知的財産を侵害することのないよう、社内規程の整備や製品出荷前の他社知的財産調査の徹底等を行っておりますが、当社グループの製品やサービス又は技術について、他社の知的財産を侵害しているとされ、使用料支払いや設計変更費用等が当社グループの損益に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは従来、従業員の発明に対して職務発明補償・報奨を積極的に行い、今後も法令等に基づいた職務発明補償・報奨を実施いたしますが、補償・報奨評価に対して発明者から訴訟を提起されるリスクがあります。
(12)セキュリティに関するリスク
①情報セキュリティに関するリスク
お客様、お取引先、又は当社グループの機密情報や個人情報の保護については、社内規程の制定、従業員への教育、情報インフラの整備、業務委託先も含めた指導等の対策を実施しておりますが、情報漏洩や不正利用等を完全に防げるとは限りません。万が一、情報漏洩が起きた場合、当社グループの信用は低下し、お客様の情報を漏洩した場合には、法的責任が発生するおそれがあります。
②サイバーセキュリティに関するリスク
当社グループの重要な事業活動基盤の一つである社内ネットワークにつきましては、ゼロトラストを実現するべく、IT基盤の特性に合わせて対策を講じています。標的型攻撃対策として不正アクセス対策やマルウェア対策に加え、デバイス管理、ID管理、データ漏洩対策を組み合わせた認証・認可基盤を構築し、巧妙化・多様化・複雑化するサイバー攻撃への対策を実施しております。しかしながら、コンピューターウイルスの侵入や不正アクセス等のサイバー攻撃による社内ネットワークやシステムの運用停止や情報漏洩等を完全に防げるとは限りません。このようなリスクが顕在化した場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
③物理セキュリティに関するリスク
当社グループは、敷地、建物、フロアの3層において「人的警備」と「機械警備」を組み合わせた物理セキュリティ環境を構築しています。さらにより高度な物理セキュリティ環境を構築するために、なりすましを防ぐことが可能な静脈認証装置を組み合わせたセキュリティゲートを社内展開しています。しかしながら、物理的な破壊による業務停止や情報漏洩等を完全に防げるとは限りません。このようなリスクが顕在化した場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
(13)人材に関するリスク
当社グループの成長と利益は、人材に大きく依存します。従って、経営者、優秀な技術者等、必要とする人材を採用及び育成し、並びに流出を防止することは当社グループにとって重要となります。当社グループではジョブ型人事制度や高度人材処遇制度などの新しい人材制度改革の導入により、優秀な人材が集まり活躍しやすい環境を整備しておりますが、優秀な人材を採用又は育成することができない場合や、人材の流出を防止できない場合、当社グループの成長や利益に影響を及ぼす可能性があります。
また、従業員との間で労働契約の終了に関する合意が円滑になされない場合や法令に基づく適切な労務管理ができないこと等により従業員に重大な労働災害が発生した場合には、人事部門、法務部門を中心に対処する体制を整備しておりますが、労務問題によって企業レピュテーションの毀損や紛争につながる可能性があります。
(14)当社グループの施設・システムに関するリスク
当社グループでは、国内外に事業所、工場、データセンターなど様々な施設を保有又は賃借するとともに、他社ベンダーのクラウドサービスを活用しております。いずれの施設、サービスについても、各国の建築基準その他の規制を遵守し、また独自に安全基準を設けるなどしておりますが、地震、大規模な水害、火災、放射能汚染等の災害や感染症、テロ、デモ、ストライキ、施工品質の不足、運用ミスなどが発生した場合、生産ラインの停止等、施設・システムの運用が停止することにより、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
(15)環境・気候変動に関するリスク
当社グループでは、パーパスとして、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくことを掲げており、環境を含むサステナビリティ課題への対応を経営の最重要事項の一つと位置付けています。法律・条令等に基づき社内規程を整備し環境負荷の低減や環境汚染の発生防止等に努めておりますが、事業活動を通じて環境汚染等が発生する可能性があります。また、当社グループ工場跡地において、土壌や地下水の調査及び浄化活動を行っていますが、今後新たな汚染が判明した場合、当社グループの社会的な信用低下や、浄化処理等の対策費用発生等により損益に影響を及ぼす可能性があります。
また、近年、気候変動により発生頻度・影響度が増大した自然災害は、調達・物流・エネルギー供給網を寸断し、気温の長期的な変化は空調エネルギー使用量の増加を招き、当社グループの事業へ影響を与える可能性があります。現在、世界各国が2050年までにカーボンニュートラルを目標に掲げていく中で、機関投資家も気候変動への取り組みを投資基準とするなど、社会・経済のカーボンニュートラルへの流れが加速しています。温室効果ガスの排出量の規制強化や炭素税の導入に加え、顧客や社会のカーボンニュートラルへの貢献が求められています。これらの規制等に適合ができない場合には、企業レピュテーションの低下によりビジネスの機会を逃したり、規制への適合を条件とする入札に参加できなくなる可能性や、適合するために必要なコストが増加する可能性があります。さらに、カーボンニュートラルに向けた技術開発競争が激化し、対応に遅れが生じた場合には、投資未回収や市場シェアや利益率が低下し、当社グループの売上及び損益に影響を与える可能性があります。
当社グループはこれらのリスクに対し、また、グローバルな環境リーディング企業として社会的責任を果たすために、気候変動対策としてパリ協定の1.5℃水準に沿った温室効果ガス排出量削減と顧客や社会のカーボンニュートラルを戦略的に推進します。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01766] S100OHKL)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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