有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OD4N (EDINETへの外部リンク)
カヤバ株式会社 研究開発活動 (2022年3月期)
(1) 目的
当社では、モノづくりを通して豊かな社会づくりに貢献する信頼のブランドを確立していくため、一昨年度よりスタートした2020中期経営計画の「取り戻そう信頼と誇り」をスローガンとして、KYBグループ一丸となり研究開発活動を今後も精力的に推進してまいります。現行製品の性能向上はもとより、高機能化やシステム化への対応および軽量化や省エネルギー、CO2削減への貢献、環境負荷物質削減などを通して世界中の至る所で地域の人々の暮らしを支え、安心・安全・快適さを提供するための新製品開発と革新的なモノづくりに挑戦し続けています。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成やマネジメントシステムの構築も進め、グローバル生産・販売・技術の一体活動でイノベーションを起こすことによってKYBグループの新しい価値を創造し、企業価値の向上に繋げ、技術の持続的成長を目指します。
(2) 体制
当社では、基盤技術研究所と生産技術研究所を中核として、独創性に優れた先行技術の研究開発を行っています。研究所では基礎研究や要素技術開発を、各事業の技術部門は新製品および性能向上や低コスト化など商品力向上のための開発を担うとともに、全社を横断して研究所と各事業技術部門が一体となったプロジェクト活動も推進しています。また、研究開発からモノづくりまでを無駄なく連続的に、スムーズかつタイムリーに実施していくために、長期的な環境変化とそれに伴う社会ニーズや顧客ニーズの調査、分析、予測に基づいた将来技術のあるべき姿とそこに向けた持続的成長戦略を、ロードマップとして明確に定め、活動を進めています。また、欧州技術者駐在員事務所(欧州テクニカルセンターと同敷地内)を活用し、自動車、油圧機器を問わず、欧州地区をはじめとする世界の最先端情報を収集し、技術トレンドの把握と社内の研究開発テーマへのブレークダウンを行っています。
工機センターでは、先進性に溢れた信頼性の高い設備や金型の内製化に取り組んでおり、生産技術研究所で開発された新しい工法や各工場で培われたノウハウの具現化を推進しています。DX推進部をはじめとした各部門でAIやIoTなどのデジタル技術の全社的推進を行っています。
一方で、従来からの研究開発および製品化に向けた体制に加え、新しい時代に対応するための取組みも進めております。
まず、持続的成長のための商品開発として、EV化や自動化に対応すべく当社のコア技術である振動制御・パワー制御と電子制御、センサ、電動機・インバータ等の技術を高度に融合させ、EV、建機、産業用車両の安全・快適性能の追求、エネルギー消費低減、自動運転へ貢献する製品の開発を進めております。また収益力強化としてShip’30活動としてデジタル技術を軸にしたKYB生産方式の追究と進化による次世代革新工場を目指し、生産工程・設備管理革新のためのデジタル技術やAI技術の研究開発も進めております。
製品開発や新サービスの展開、生産工程・設備管理革新により、今まで以上にお客様に安心してお使いいただける製品のご提供を目指していきます。
当社グループの関係会社は、主に自動車機器・油圧機器・電子機器の製造販売および製品の改良開発を行っています。そして、課題の解決にあたっては、当社の研究所をはじめとする機能部門や、各事業の技術・生産・品質部門が支援、協業する体制をとっています。
製品の高機能化やシステム化におきましては、当社独自の取組みは勿論のこと、お客様あるいは関連機器サプライヤーとの共同研究開発を推進するとともに、効率的な研究開発推進のために産学交流による最先端技術開発にも積極的に取り組んでいます。また、昨今、製品機能の高度化・複雑化に対応すると共に、開発効率の向上を図るため、全社的にモデルベース開発(MBD)の推進に取り組んでいます。これにより、開発期間の短縮と共にお客様からのニーズに素早く対応し、ご高評をいただけるように努めていきます。
(3) 成果
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は5,767百万円であります。① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業
四輪車用の油圧緩衝器では、極微低速域における作動時の摩擦力をコントロールするProsmooth™が、トヨタ自動車株式会社様のカローラクロスやノア・ヴォクシー、その他多くの車両に採用が拡大しており、お客様が求める乗り心地及び操縦安定性の向上に大きく貢献しております。また、比例ソレノイドを搭載した減衰力調整式ショックアブソーバが、Lexus LSへの採用に続いてLexus ESに採用されました。減衰力調整バルブの改良(連結子会社である株式会社タカコと共同開発による内製)により圧倒的な静粛性と乗り心地及び操縦安定性の高次元での両立を実現し、また体格でも競合比最小で車両への搭載性に優れます。本製品は、日刊工業新聞社主催の2021年 超モノづくり大賞のモビリティー関連部品賞を受賞いたしました。自動運転の普及や、GPS・VICS(道路交通情報通信システム)などの自動車が活用できる情報が増える中、静粛性と高い制御応答性を兼ね備えた減衰力調整式ショックアブソーバなどの製品が重宝されると考えております。欧州テクニカルセンターでは、減衰力調整式ショックアブソーバを制御ソフトウェアを含めたシステムで開発し、お客様に供給しており、電動化・自動化に則した制御性の高いシステムの開発活動を推進しております。また、ショックアブソーバのストロークエンドでの衝撃を油圧で吸収することができるDHS(Double Hydraulic Stop)につきましては、Stellantis様の新たな車両に採用され高い評価を頂いており、採用車種が益々拡大しております。同技術は、EV化による車重増の影響(乗り心地やボデー強度)を緩和できるアイテムとして今後更なる拡販が期待されます。欧州顧客のニーズを把握しながら新構造アイテムの開発にも着手し、日本と共有しながらグローバル一体で開発活動を行っております。
二輪車用の油圧緩衝器でも、2021年にヤマハ発動機株式会社様のモデルに採用された電子制御式サスペンションが、ボンバルディアグループ社様のスノーモービルの2022年度モデルに採用されました。当社独自開発の制御システムと新開発サスペンションを組み合わせた新システムをお客様と一体で商品化し、2022 Revolutionary Advanced Design Awardを獲得しました。今後、電動パワーステアリングの技術を融合した新用途への製品展開を目指しています。
四輪車用電動パワーステアリング機器では、連結子会社であるKYBトロンデュール株式会社で生産するコントローラ一体型モータ(MCU)を採用した製品が世界シェア№1のポラリス社様のオフロード車両(RZR Pro R, RZR Turbo R)向けに量産提供を開始しました。また、日立建機株式会社様の“EH5000AC-3”をベースとした自律走行ダンプトラックにも内製MCUを使用したステアリングアクチュエータが採用されており、高い性能、信頼性、制御性をご評価いただいております。今後、要求が高まる自動運転対応については、機能失陥後も作動が継続可能な冗長機能を有したEPS、アクチュエータへのお問合せや引き合いが増えており、更なる先進技術の要求に応えるべく開発に力を入れています。
四輪用トランスミッション用オイルポンプ製品では、当社初であるAT用ベーンポンプをマツダ株式会社様の次世代車用に開発し量産化いたしました。AT専用に新規設計を行い、小型・大容量を実現し、お客様の目指す次世代車に求められる高いレベルの静粛性、燃費性能、レスポンスの向上に貢献しています。搭載車種はCX-60をはじめ、ラージ商品群に搭載されていきます。今後、同技術を冷却・潤滑に活用し、e-AxleなどEV基幹部品へ展開して参ります。※AT(自動変速機:Automatic Transmissionの略)
自動車のEV化・自動化に際し、電子制御を始めとしたシステム対応を進めつつ、一方で自社製品の作動状況(情報)を活用する道路モニタリングシステムの開発も進めており、CASE/MaaSに向けて新用途・新商品開発を目指しています。
当セグメントにおける研究開発費の金額は3,755百万円であります。
② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業
建設機械向け油圧機器では、機体の自動化・情報化施工のトレンドを背景に電子制御化ニーズが高まっており、これに対応する電子制御化油圧機器の開発、ラインアップ拡大を継続して進めています。マイニングダンプトラック向けではサスペンションシリンダ、ホイストシリンダの開発を完了、量産を開始、日立建機株式会社様にご採用頂いています。またIoTを活用した状態監視製品として開発中のシリンダ油漏れ検知システムは、原理開発を完了し製品化へ向けた最終評価段階へ移行しました。油漏れによる機体停止を事前に予知することでメンテナンス時期を最適化し、ライフサイクルコストを低減、機体メーカ様のメンテナンス事業に貢献します。ミニショベル向けでは、ロードセンシングシステム用ポンプ・バルブのシリーズ拡大とモデルチェンジ開発を引続き進めており、電子制御化ニーズにも対応したラインナップ拡大を順次図って参ります。農業機械用としては2017年にクローラキャリア用で量産を開始したタンデムポンプPSVH2-28の拡販量産を開始、更に電子制御化開発を進めており、現在無人走行車両での搭載テストを実施中、製品化に向け活動を継続中です。
舞台装置の製品に関しては、過去に納めた舞台装置の性能維持または性能向上を目的とした制御機器の後継機開発を実施しております。
鉄道用製品としては、新幹線向けに量産中のセミアクティブサスペンションシステムの在来線特急他への普及拡大に向けたモデルとして新たに次世代普及型サスペンション(DTS:デジタルチューンドサスペンション)の開発に着手、車両の乗り心地・安全・安心の更なる向上に向け、鉄道用サスペンション機器のラインナップ拡大を図っていきます。
当セグメントにおける研究開発費の金額は1,768百万円であります。
③ 航空機器事業
航空機器事業は、防衛省および民間航空機向けの製品開発を実施しておりますが、事業ポートフォリオの全面的な再検討の結果、経営資源の選択と集中による企業競争力強化を図るべく、航空機器事業から撤退することを基本方針として決定し、2022年2月9日に公表いたしました。今後修理を含めたすべての事業を段階的に終了させる予定です。当セグメントにおける研究開発費の金額は97百万円であります。
④ 特装車両事業および電子機器等
特装車両事業は、環境対応型(省エネ・低騒音・排ガス削減)電子制御ミキサ車(eミキサⅢ)を開発中で、機器のメンテナンス時期や現在の車両の状況を通知できる表示機を搭載する予定です。更に、ユーザー様のニーズにお応えするために、軽量化ミキサ、安全設計ミキサの開発に注力していきます。
当セグメントにおける研究開発費の金額は147百万円であります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02147] S100OD4N)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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