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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VXNT (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社髙松コンストラクショングループ 研究開発活動 (2025年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社では、「環境・防災技術、リニューアル、脱炭素、省力化・合理化、情報化施工」をテーマにし、「社会のニーズをふまえ、営業戦略に密着した技術の開発」に主眼をおき、髙松コンストラクショングループ技術研究所を中心に建築事業および土木事業に係る研究開発活動に取り組んでおります。髙松建設㈱および青木あすなろ建設㈱は当研究所内で、その他の子会社は自社施設で、各社が得意とする技術分野において研究開発活動をおこなっております。その主なものは次のとおりであり、当連結会計年度における研究開発費の総額は576百万円であります。なお、研究開発費につきましては各セグメントに配分しておりません。
(1) 髙松建設㈱
① CFT造施工技術に関する調査研究
コンクリート充填鋼管構造(CFT造)は、他の構造と比較して強度と剛性に優れ、工期の短縮や省資源などの利点もある一方、施工難易度が高く、鋼管内部に隙間なくコンクリートを充填するためには高度な技術が必要です。髙松建設㈱では、各種試験や実大施工実験を実施し、コンクリートの品質管理方法や圧入・充填状況の管理・確認方法を調査・習得しています。また、(一社)新都市ハウジング協会が定める施工技術ランクを取得しています。
② CLT-RC合成床スラブの開発
設計地震力は建物の重量に比例するため、建物の重量を減らすことで柱や梁をスリム化し、鉄筋量を削減することが可能です。髙松建設㈱では、床スラブの軽量化に着目し、CLT(直交集成材)とRC(鉄筋コンクリート)の合成構造によるスラブを開発しています。RCが本来担う曲げモーメントとせん断力をCLTにも負担させることで、比重の大きいRCの使用量を減らし、建物全体の重量を削減します。合成構造の詳細を決定し、第三者評価機関による認定取得に向けて、構造・耐火・遮音に関する各種性能試験を実施しています。
③ ローコストZEB,ZEH-Mの開発
地球温暖化や資源エネルギー問題が深刻化する中、環境配慮型の建物としてZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)やZEH-M(ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)が注目されています。しかし、初期費用の増大や設計上の制約から、ZEBやZEH-Mの普及は進んでいないのが現状です。髙松建設㈱では、ZEBやZEH-Mの普及促進に向けて、外壁・窓・床・屋根などの外皮の断熱性能の向上や、エアコン・給湯器・換気システムなどの設備の高効率化など、省エネルギー技術の体系的な整備と、当社独自の仕様策定に取り組んでいます。あわせて、さらなる低コストでの実現を目的として、要素技術の開発にも注力しています。
④ 木造を活用した中層建物の開発
地球環境問題への対応と持続可能な社会の実現に向けて、木材の活用が重要な選択肢となっています。木材は耐火性やメンテナンス面で課題を抱える一方で、コンクリートと比べて格段に軽量であり、建設コストの削減にも寄与する可能性があります。髙松建設㈱では、独自の木造活用モデルの構築を目指し、大断面集成材を用いた純木造の2方向ラーメン構造に関する研究開発を進めています。この構造の実現に向けては、柱・梁の接合構法にGIR接合(Glued-In Rod接合)を適用し、その構造性能の妥当性を検証するため、実物大試験体を用いた加力実験を実施しています。これにより、高耐力・高剛性を有する接合構法の確立をはかり、中層木造建物における構造的信頼性の向上を目指しています。
⑤ 新型免震構造の実用化研究
大地震に対する安心感をもたらすことができる免震構造のニーズが高まっています。髙松建設㈱では、東京都市大学と共同開発した高減衰積層ゴム支承の実用化に取り組んでいます。従来の免震構造用積層ゴム支承は、建物の規模や設計条件に応じて一品生産されることが一般的でしたが、新たに開発した積層ゴム支承は、支承の形状を大型化するのではなく、同一仕様の支承を複数配置することで対応する設計方式を採用します。このアプローチにより、「積層ゴムの製造と品質管理」と「構造設計と施工管理」の二つのプロセスを分離することが可能であり、免震部材の大量生産と品質管理の合理化が期待できます。この新しい積層ゴム支承を用いた免震構造を「新型免震構造」と呼び、トータルコストの低減をはかりつつ、実用性の高い免震構造の普及に向けて取り組んでいます。

⑥ コンクリートの品質向上技術に関する研究開発
猛暑日や酷暑日が増加している昨今、気温が高く日射も厳しい施工現場では、コンクリートの打設時における品質確保が一層困難になっています。特に、スランプの低下は施工性の悪化を招き、じゃんか(豆板)やコールドジョイントの発生といった打ち込み不良のリスクを高める要因となっています。これらの課題に対処するため、髙松建設㈱では、JIS規格に適合した「あと添加型化学混和剤」を活用する施工技術の導入を進めています。具体的には、施工現場に到着したアジテータ車内のコンクリートに化学混和剤を追加投入することで、スランプの低下を抑制し、施工性の確保および品質の安定化をはかるものです。性能と品質に関する裏付けデータの整備を進めながら、本方策の実運用を着実に推進するとともに、より効率的で実効性の高い酷暑対策技術の開発に取り組んでいます。
⑦ 山留め工法の選定基準に関する研究開発
山留めは、掘削による地盤の崩壊や隣接構造物の沈下・傾斜を防ぐため、安全確保に不可欠な技術です。一方で、鋼材の使用量が多く、コスト面での課題も抱えています。そのため、地盤条件に応じたコストと工期の両面で効率的な工法の整備が求められています。山留工法には多様な種類があり、敷地や施工条件に応じた適切な選定が必要ですが、実際には必ずしも有効な工法が採用されていないのが現状です。代表的な工法には親杭横矢板やシートパイルがありますが、その他にも多くの選択肢が存在します。そこで、各工法の簡易な準備計算法を整備し、実用的な工法選定基準の策定を目指します。これにより、安全性と経済性を両立した山留計画の実現をはかります。
(2) 青木あすなろ建設㈱
(建築事業)
① 折返し機構を用いたブレース材および制震部材の開発
折返し機構は、断面の異なる3本の鋼材を一筆書きの要領で折り返して接合させた形状を有し、優れた変形性能を示すため、耐震性に優れた合理的な鉄骨造建物を建設できます。2025年3月期は、ブレース材の疲労特性を確認する追加実験をおこない、信頼性向上をはかりました(累計施工実績10件)。また、折返し機構を応用した制震部材(座屈拘束ブレース)の開発に取り組み、実大試験体を用いた性能確認実験をおこないました。2026年3月期は、制震部材の技術資料を作成し、技術評価を取得する予定です。
② 格子固定天井の吊りボルトスパン拡大に関する開発
音楽ホールなどに用いられる壁面との隙間を設けない天井として、格子固定天井を開発しました。格子固定天井は、一般的な隙間なし天井で用いる重量鉄骨を不要とし、軽量角型鋼管や吊りボルトで構成されるため、既存天井の耐震補強としても有効です。2025年3月期は、吊りボルトスパンおよび吊り長さを拡大することで、コスト削減および施工性の向上に取り組みました。また、技術評価取得に向けた強制変位実験、部材試験をおこない、技術資料を作成し、技術評価の審査申請を実施しました。
③ CELBIC(適用拡大・再生骨材)に関する開発
二酸化炭素排出量を削減するための環境配慮型コンクリートの開発に取り組み、2021年に建設材料技術性能証明を取得しております。2025年3月期は、適用範囲の拡大および再生骨材を用いたC種クラスの実用化に向けた各種実験を実施し、技術資料を作成しました。
④ 部分高強度鉄筋
基礎梁端部の過密配筋の緩和およびコスト削減(鉄筋量削減、部材断面縮減、根入れ深さ低減)をはかるため、部分高強度鉄筋を用いた外付け新定着工法の開発に取り組んでおります。2025年3月期は、次年度の新規・発展に向けた各種課題を精査・検討(調査、試設計等)と共同特許出願をおこないました。2026年3月期は性能証明取得に向けた要素実験の実施および接合部実験に向けた調査検討を実施する予定です。
(土木事業)
① 既設橋梁の耐震性向上技術に関する研究
2013年より、首都高速道路グループと、摩擦ダンパーを既設橋梁の耐震性向上に応用する共同研究を実施しております。その成果により、これまで首都高速道路11号台場線(2020年、摩擦ダンパー6基)と首都高速道路1号上野線(2022年、摩擦ダンパー26基)の2件の耐震補強に摩擦ダンパーが採用され、設置工事が完了しております。2025年3月期は、摩擦ダンパー(両端ジョイント型)の現業支援の強化をはかるため、氷点下における性能確認試験を実施し、温度依存性の小さい優れた性能を有することを確認し、現在は試験結果報告書を作成しております。2026年3月期は、販売拡大に向けた開発に焦点を当て、営業部門との連携をはかると共に、共同研究(名古屋工業大学、国立研究開発法人土木研究所等)を通じて適用拡大に資する実験・検討を実施する予定です。

② カーボンプール(CP)コンクリートの開発
セメント焼成工程などで発生する二酸化炭素(CO2)を、コンクリート由来の産業廃棄物に固定化させるという「地域内循環の構築」、さらに新たな技術を用いて引渡しまでにCO2固定量を最大化する「カーボンプール(CP)コンクリートの開発」に取り組んでおります。これは、当社を含む企業・大学・国立研究開発法人がコンソーシアムを構成し応募したNEDO(※)、グリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」に採択されたものです。事業期間は、2021年度~2030年度の10年間となっております。
(※)NEDOとは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の略称です。
③ 盛土の締固めの新しい管理方法の開発
建設発生土など複合的な土質特性を持つ材料を用いた盛土の締固め管理において、複合的な土質をいかに適切に管理するかという課題を解決し、その適正化をはかるため、電気的性質を利用した締固め管理手法を開発しました。これは、盛土の比抵抗値を計測し、計測した比抵抗値等から盛土の乾燥密度を算出するもので、測定手段としてハンマードリルなどで貫入可能な小型・軽量な計測器、スウェーデン式サウンディング試験用の貫入装置を転用する計測器などを開発しました。2026年3月期は、現場実装を早期にはかるべくこれらの測定精度の更なる向上をはかる予定です。
④ クリップ型ばねを応用した技術の開発
2017年より、注入方式の接着系あと施工アンカー工法におけるアンカー筋の設置補助具として「あと施工アンカー用クリップ型ばね(製品名:アンカー留太郎)」を開発・実用化しております。アンカー留太郎の適用により、当該工法の施工品質と施工効率が向上します。2025年3月期は、アンカー留太郎の応用技術開発および普及促進に向けた課題を整理しました。2026年3月期は、引き続きアンカー留太郎の普及促進をはかりながら、応用技術の市場化および技術の深度化をはかります。
⑤ AIをいた省力化技術の開発
2024年3月期に開発したAIを用いたトンネルの余掘り低減技術の高度化をはかります。施工条件と発破による掘削形状の相関にディープラーニングの一つの手法であるCNN(※)を用いることで、より精度の高いAIモデルの開発を目指しています。
(※)Convolutional Neural Network(畳み込みニューラルネットワーク)
(3) みらい建設工業㈱
① 破砕瓦の有効利用技術の開発
瓦は、古来より民家をはじめとして城、寺院の屋根材として使用されています。瓦の耐用年数は約60年であるため、近い将来大量の廃棄瓦が大量に発生します。また、巨大地震が発生すると住宅が被害を受け大量の被災瓦が発生します。
本技術は、破砕瓦の高い摩擦性、排水性、吸水性を利用して、道路舗装、埋設管の埋め戻し、擁壁裏の埋め戻しを始めとして破砕瓦を有効に利用する技術の開発をしております。また、本技術は特許出願中です。
② 破砕貝殻を用いた液状化対策技術の開発
水産副産物であるホタテ貝殻(以下、貝殻)は加工所周辺の沿岸域などに大量に野積みされ、景観や悪臭など地域の環境問題になっています。貝殻を野積みのまま放置するとCO2を大気中に放出することになり環境に負荷を与える要因になります。
本技術は、破砕した貝殻を構造物の下に敷設することでCO2を封じ込めるとともに破砕貝殻の高い透水性を利用して液状化時に液状化対策として利用する技術の開発をしております。また、本技術は特許出願中です。
(4) 東興ジオテック㈱
① トーコンプラス専用削孔機械の開発
老朽化した吹付モルタル面を斫り(はつり)取らずにリニューアルする「トーコンプラス工法」は、これまで補強鉄筋の打設に削岩機を用いた人力削孔がおこなわれてきました。この作業は機械の振動が激しいことに加え、作業員が削孔機を人力で上下にスライドさせる作業を繰り返す重労働でした。このたび、こうした削孔作業を省力化したトーコンプラス専用削孔機(トーコンドリル)を実用化しました。
② 粒状種子実播工法のペレット種子の再商品化
車両による現場へのアプローチや機械施工が困難な荒廃地を緑化する「粒状種子実播工法」で使用するペレット種子を再商品化しました。この工法は、OEM先の製造機械の老朽化でしばらく営業休止していましたが、このたび新たな製造方法による再商品化に成功しました。今後は、近年増加している豪雨災害、地震災害、山林火災等で生じた山岳荒廃地での採用を目指して営業推進してまいります。

事業等のリスク株式の総数等


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