有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OAEX (EDINETへの外部リンク)
株式会社ケー・エフ・シー 研究開発活動 (2022年3月期)
当社グループの研究開発は技術部を中心に行っておりますが、各事業部門、管理部門、子会社からの情報を基に各部門の担当者も研究開発活動に参加し、協力してスピーディに技術開発・改良を行い、社会的ニーズに応えることをモットーとしております。
現在の研究開発は、ファスナー事業、土木資材事業、建設事業の3事業分野における新製品開発のみならず、新規分野も含め、材料と施工は常に一体であるとの基本理念の下で、効率的な施工方法の研究、関連する施工機器開発、点検診断機器開発にまで及んでおります。
建設投資の軸足が新設からメンテナンスへと移行しつつある現実を踏まえ、当社グループは保有技術をベースにした、将来の核となるべき新技術・新工法の開発や知的財産の有効活用等も視野に入れ、全社を挙げた総合的な取り組みを行っております。特に、技術革新の必要性がより高まっている現状に対しては、従来から推進してまいりましたオープンイノベーションの活用が極めて重要との認識の下、優れた技術を保有する異業種企業、大学、研究機関、発注機関との技術交流・関係強化を図りつつ、製品、施工技術、点検およびモニタリング技術と建設分野のDX推進に役立つデジタル技術を組み合わせた技術開発を推進しております。
なお、当連結会計年度末におけるグループ全体の研究開発費は、114,495千円であります。
当連結会計年度末における主要な研究開発課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。
(1)ファスナー事業
あと施工アンカーは、当社の基盤となる重要技術であり、アンカー単体はもとより、付属する部材や関連機材についても保有技術を応用した研究開発を行っております。その中でも構造物せん断補強工法「RMA工法」に注力し「適用範囲を拡大し、かつ施工性や有効率を高めた」建設技術審査証明の更新取得を目指し、研究開発を継続しております。これまで積み重ねた建設技術審査証明範囲の拡大によって着実に適用市場が広がり、競争力の高さも相まって、引き続き業績に貢献することができました。前々期に追加更新を受けた技術審査証明の適用範囲①水平施工における適用部材厚上限として13m以下の範囲内で400Dまで、②転造ねじ継手のサイズ追加(3種)の2点について、継続して施工実績を上げることができました。
道路トンネルの維持管理において市場から求められている、あと施工アンカーが関係する各種の安全対策(緩み止め機能、フェイルセーフ機能等)製品の開発・改良、施工性・確実性・長期耐久性に着目した研究とともに、アンカー点検診断機器開発や施工上のうっかりミスを未然に防ぐプリベンション機能付きの製品の研究開発を継続しております。
アンカー点検診断機器開発においては、開発した機器による点検診断業務を鉄道事業者様から受注することができました。建設業界以外のお客様からも様々なお問い合わせをいただいており、ご要望にお応えするべく改良改善を進めてまいります。
プリベンション機能付き製品第一弾のトルク管理機能付き緩み止めナット「トルシアナットK」、「トルシアナットZK」、第二弾のあと施工アンカーの施工に適した専用ドリルビット「ホーク・ストッパードリル」については、引き続きサイズバリエーション拡大を進め、随時上市をしております。
一方、今後需要の広がりが予想される、あと施工アンカー用注入式無機系定着材として開発を進めていた「SRインジェクションカプセル」は、前期の容量500mlタイプに続き、今期は1,000mlタイプを上市し、販売実績を上げることができました。コロナ禍の影響を受けて開発に若干遅れが生じたものの期中に2,000mlタイプの開発が概ね完了し、来期には上市の見込みとなりました。想定していたラインナップが揃い、本格的な営業活動を開始致しました。
今後もあと施工アンカーに対する市場の声をいち早く製品に反映することに傾注し、順次新製品を上市してまいります。
(ファスナー事業研究開発費 28,499千円)
(2)土木資材事業
主力製品である山岳トンネル向けのロックボルト、各種補助工法、防水シートの改良開発をプロジェクト毎の対応を中心に継続しております。これらは、売上に直結した研究開発活動であります。
今期は、山岳トンネル補強工事のロックボルト施工に特化したクローラドリルを開発しました。熟練オペレータの穿孔ノウハウをプログラミングした自動穿孔システムを搭載した初号機です。来期初頭から受注済みのトンネル補強工事で稼働します。
ロックボルト、補助工法の施工は、山岳トンネル新設工事において「重労働」に位置付けられ、坑内作業者の高齢化、人材不足を背景に自動化を目指す研究開発が求められております。当社は保有する製品・施工技術のノウハウをベースに、これまでも機械メーカーやゼネコン各社と共同開発や開発協力を進めておりますが、今期から最重要課題の一つと位置付け、取り組みを強化しております。
新規事業分野においては、建設工事に伴って発生する重金属を含むずり処理対策製品として上市した吸着層工法用シート「パデムシート」が、トンネル掘削工事で発生した重金属含有ずり処理工に採用され、施工実績を得られました。引き続き多くのお問い合わせをいただいており、製品改良の継続と積極的な営業活動に取り組みます。
一方、着手6年を経過した「微生物を用いたセレンの無害化工法開発」においては、環境省・経済産業省による「微生物利用指針」の審査が継続しております。
また、上市済みの「AIを用いたガードレール支柱劣化判定システム:サビチェッカー」につきましては、期中にお客様のご要望を反映するシステム改良を進めました。高速道路管理システム等への採用を目指して共同開発企業とともに全国において営業活動を進めております。
今後も、各種の新設・補修補強プロジェクトにおいて求められる技術開発、既製品の改良に加え、新規事業分野の有望技術の研究開発に取り組んでまいります。
(土木資材事業研究開発費 47,079千円)
(3)建設事業
トンネルの内装工、耐火工、背面空洞充填工、コンクリート補修・補強工法等に適用する材料、工法、機器の改良開発、トンネル維持管理補修工事の安全対策ソリューション開発のほか、点検診断の省力化につながるシステムの研究開発を継続しております。
今期は、コロナ禍の影響を受け、現場での実証試験が遅延していた道路交通規制時の工事安全管理支援システム「Siラセル」新バーション2タイプを上市し、本格的に営業活動を開始しました。
また、前々期に上市した小規模背面空洞充填システム「MAI440FC」に加え、小規模モルタル吹付けシステム「MAI440SC」を上市し、地方自治体が発注するトンネル補修工事を受注しました。当該工事では吹付け専用プレミックスドライモルタルが採用されています。地方自治体を中心に小規模工事の計画が多数あることから、工事受注とともに資機材販売にも積極的に取り組んで参ります。
IoT、AI等に関する取り組みでは、複数の試行テーマで、試験施工を実施しております。そのうちの一部は開発の最終段階に至っておりますが、コロナ禍の影響を受け、本格的な上市は来期へ持ち越しとなりました。
今後も長期的なインフラ維持管理に欠かせないIoT技術とその活用に必要なAIの適用研究にオープンイベーションを通じて取り組み、建設分野のDX推進に貢献してまいります。
新工法開発、工法改良、各種安全対策ソリューション等の成果が、トンネル補修補強工事の元請け受注や他社への技術提供につながることから、施工品質と長寿命化をキーワードに、引き続き研究開発に取り組み、順次上市を推進してまいります。トンネル分野以外の道路付帯施設、橋梁等の補修補強工事、点検診断維持管理技術、解析技術に総合的に取り組む事業体制をさらにバックアップするための研究開発のほか、橋梁下部工や斜面、盛土等の「基礎分野」の補修補強、維持管理技術等の新規分野においても、研究開発・保有技術の応用展開を継続してまいります。
(建設事業研究開発費 38,916千円)
現在の研究開発は、ファスナー事業、土木資材事業、建設事業の3事業分野における新製品開発のみならず、新規分野も含め、材料と施工は常に一体であるとの基本理念の下で、効率的な施工方法の研究、関連する施工機器開発、点検診断機器開発にまで及んでおります。
建設投資の軸足が新設からメンテナンスへと移行しつつある現実を踏まえ、当社グループは保有技術をベースにした、将来の核となるべき新技術・新工法の開発や知的財産の有効活用等も視野に入れ、全社を挙げた総合的な取り組みを行っております。特に、技術革新の必要性がより高まっている現状に対しては、従来から推進してまいりましたオープンイノベーションの活用が極めて重要との認識の下、優れた技術を保有する異業種企業、大学、研究機関、発注機関との技術交流・関係強化を図りつつ、製品、施工技術、点検およびモニタリング技術と建設分野のDX推進に役立つデジタル技術を組み合わせた技術開発を推進しております。
なお、当連結会計年度末におけるグループ全体の研究開発費は、114,495千円であります。
当連結会計年度末における主要な研究開発課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。
(1)ファスナー事業
あと施工アンカーは、当社の基盤となる重要技術であり、アンカー単体はもとより、付属する部材や関連機材についても保有技術を応用した研究開発を行っております。その中でも構造物せん断補強工法「RMA工法」に注力し「適用範囲を拡大し、かつ施工性や有効率を高めた」建設技術審査証明の更新取得を目指し、研究開発を継続しております。これまで積み重ねた建設技術審査証明範囲の拡大によって着実に適用市場が広がり、競争力の高さも相まって、引き続き業績に貢献することができました。前々期に追加更新を受けた技術審査証明の適用範囲①水平施工における適用部材厚上限として13m以下の範囲内で400Dまで、②転造ねじ継手のサイズ追加(3種)の2点について、継続して施工実績を上げることができました。
道路トンネルの維持管理において市場から求められている、あと施工アンカーが関係する各種の安全対策(緩み止め機能、フェイルセーフ機能等)製品の開発・改良、施工性・確実性・長期耐久性に着目した研究とともに、アンカー点検診断機器開発や施工上のうっかりミスを未然に防ぐプリベンション機能付きの製品の研究開発を継続しております。
アンカー点検診断機器開発においては、開発した機器による点検診断業務を鉄道事業者様から受注することができました。建設業界以外のお客様からも様々なお問い合わせをいただいており、ご要望にお応えするべく改良改善を進めてまいります。
プリベンション機能付き製品第一弾のトルク管理機能付き緩み止めナット「トルシアナットK」、「トルシアナットZK」、第二弾のあと施工アンカーの施工に適した専用ドリルビット「ホーク・ストッパードリル」については、引き続きサイズバリエーション拡大を進め、随時上市をしております。
一方、今後需要の広がりが予想される、あと施工アンカー用注入式無機系定着材として開発を進めていた「SRインジェクションカプセル」は、前期の容量500mlタイプに続き、今期は1,000mlタイプを上市し、販売実績を上げることができました。コロナ禍の影響を受けて開発に若干遅れが生じたものの期中に2,000mlタイプの開発が概ね完了し、来期には上市の見込みとなりました。想定していたラインナップが揃い、本格的な営業活動を開始致しました。
今後もあと施工アンカーに対する市場の声をいち早く製品に反映することに傾注し、順次新製品を上市してまいります。
(ファスナー事業研究開発費 28,499千円)
(2)土木資材事業
主力製品である山岳トンネル向けのロックボルト、各種補助工法、防水シートの改良開発をプロジェクト毎の対応を中心に継続しております。これらは、売上に直結した研究開発活動であります。
今期は、山岳トンネル補強工事のロックボルト施工に特化したクローラドリルを開発しました。熟練オペレータの穿孔ノウハウをプログラミングした自動穿孔システムを搭載した初号機です。来期初頭から受注済みのトンネル補強工事で稼働します。
ロックボルト、補助工法の施工は、山岳トンネル新設工事において「重労働」に位置付けられ、坑内作業者の高齢化、人材不足を背景に自動化を目指す研究開発が求められております。当社は保有する製品・施工技術のノウハウをベースに、これまでも機械メーカーやゼネコン各社と共同開発や開発協力を進めておりますが、今期から最重要課題の一つと位置付け、取り組みを強化しております。
新規事業分野においては、建設工事に伴って発生する重金属を含むずり処理対策製品として上市した吸着層工法用シート「パデムシート」が、トンネル掘削工事で発生した重金属含有ずり処理工に採用され、施工実績を得られました。引き続き多くのお問い合わせをいただいており、製品改良の継続と積極的な営業活動に取り組みます。
一方、着手6年を経過した「微生物を用いたセレンの無害化工法開発」においては、環境省・経済産業省による「微生物利用指針」の審査が継続しております。
また、上市済みの「AIを用いたガードレール支柱劣化判定システム:サビチェッカー」につきましては、期中にお客様のご要望を反映するシステム改良を進めました。高速道路管理システム等への採用を目指して共同開発企業とともに全国において営業活動を進めております。
今後も、各種の新設・補修補強プロジェクトにおいて求められる技術開発、既製品の改良に加え、新規事業分野の有望技術の研究開発に取り組んでまいります。
(土木資材事業研究開発費 47,079千円)
(3)建設事業
トンネルの内装工、耐火工、背面空洞充填工、コンクリート補修・補強工法等に適用する材料、工法、機器の改良開発、トンネル維持管理補修工事の安全対策ソリューション開発のほか、点検診断の省力化につながるシステムの研究開発を継続しております。
今期は、コロナ禍の影響を受け、現場での実証試験が遅延していた道路交通規制時の工事安全管理支援システム「Siラセル」新バーション2タイプを上市し、本格的に営業活動を開始しました。
また、前々期に上市した小規模背面空洞充填システム「MAI440FC」に加え、小規模モルタル吹付けシステム「MAI440SC」を上市し、地方自治体が発注するトンネル補修工事を受注しました。当該工事では吹付け専用プレミックスドライモルタルが採用されています。地方自治体を中心に小規模工事の計画が多数あることから、工事受注とともに資機材販売にも積極的に取り組んで参ります。
IoT、AI等に関する取り組みでは、複数の試行テーマで、試験施工を実施しております。そのうちの一部は開発の最終段階に至っておりますが、コロナ禍の影響を受け、本格的な上市は来期へ持ち越しとなりました。
今後も長期的なインフラ維持管理に欠かせないIoT技術とその活用に必要なAIの適用研究にオープンイベーションを通じて取り組み、建設分野のDX推進に貢献してまいります。
新工法開発、工法改良、各種安全対策ソリューション等の成果が、トンネル補修補強工事の元請け受注や他社への技術提供につながることから、施工品質と長寿命化をキーワードに、引き続き研究開発に取り組み、順次上市を推進してまいります。トンネル分野以外の道路付帯施設、橋梁等の補修補強工事、点検診断維持管理技術、解析技術に総合的に取り組む事業体制をさらにバックアップするための研究開発のほか、橋梁下部工や斜面、盛土等の「基礎分野」の補修補強、維持管理技術等の新規分野においても、研究開発・保有技術の応用展開を継続してまいります。
(建設事業研究開発費 38,916千円)
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