有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OJF1 (EDINETへの外部リンク)
森永製菓株式会社 事業等のリスク (2022年3月期)
(1) リスクマネジメント体制
当社グループは、事業活動に潜在する様々なリスクを把握し、トータルリスクマネジメントの理念のもとリスクに対し適切な対応を図るべく取り組んでおります。事業活動に潜在するリスクに対応するため、内部統制システムの一環として「トータルリスクマネジメント規程」を制定し、想定されるリスクを分類・評価して平常時における予防策を実施しております。またトータルリスクマネジメントを組織横断的に検討・主管・実施する組織として、取締役が参加する「トータルリスクマネジメント委員会」を設置し、協議内容を取締役会に報告しております。
(2) リスクの把握と管理
当社グループは、「トータルリスクマネジメント規程」に基づき、想定リスク分類及び対策主管部門を明確にし、優先的に対応するべきリスクを把握しております。それぞれのリスク及び対応を実施する部門が適合するよう細分化したものを「トータルリスクマップ」に記載し、各事業所で具体的なリスク管理を行っております。平常時と緊急時のリスク対応を毎年見直し、それらを「トータルリスクマップ」に記載・更新してモニタリングを行い、その内容に基づいた訓練を実施し、その結果を「トータルリスクマネジメント委員会」で報告する、一連のPDCAを回しております。また災害発生時においても、事業継続を確実に行うために、主要商品について事業継続マネジメント(BCM)の円滑な運用が図れるよう定期的に見直しを行い、その結果を「トータルリスクマネジメント委員会」に報告しております。
◆リスクマネジメント体制図
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの事業、業績及び財政状態等に影響を与え、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク事項には、次のようなものがあります。
なお、本事項の文中に将来に関する事項が含まれており、有価証券報告書提出日(2022年6月29日)現在において判断したものであります。
(3) 短期・中期の視点から事業、業績及び財政状態等に影響を与える可能性のある重要なリスク
前提 | 想定されるリスク | 森永製菓グループの対応 | |
食の安全性 | ・食の安全性確保は食品会社の最重要課題であると認識 | ・不測の品質事故に伴う大規模な回収や製造物責任賠償の発生によるコスト負担、社会的信用の毀損 | ・「品質方針」「品質保証規則」等を定め、体系的な品質保証体制を構築 ・商品開発段階での「品質アセスメントシステム」による原材料及び商品の安全性・適法性、適切な輸送・保管条件、容器包装への正確で分かりやすい表示等の重要項目の確認 ・国内外の工場で食品安全マネジメントシステム「FSSC22000」「JFS」等の認証取得 ・品質事故発生に備えた「クライシス対応要領」を設定 |
生産体制 | ・基本的には一商品一工場の生産体制 | ・災害等での工場の稼働不能状態発生による商品生産停止・遅延 | ・事業継続マネジメント(BCM)による主力品の生産維持、短期間での再開対応策の検討・推進 |
原材料調達 | ・主要原料が農畜産物 ・包装材料に紙類、石油製品、アルミ等を使用 | ・以下の要因による原材料価格の変動、調達不全 ▷ 為替変動 ▷ 地球温暖化、天候不順による不作 ▷ 全世界的な感染症拡大、原産国の政情不安、紛争等 ▷ 原油価格上昇 ▷ 労働力不足による労働力単価・物流コスト上昇 ・持続可能な社会形成への対応遅延による調達不全、企業価値毀損 | ・サプライヤー等からの市況、変動予測情報の収集 ・為替変動をヘッジするための為替予約等の実施 ・生産地、サプライヤー等調達拠点の分散・多様化 ・安定調達可能な原材料等への置換検討の推進 ・企画、調達、生産連携によるコスト圧縮の取組み ・適正在庫水準の維持 ・重要原材料のサステナブル化、サプライヤーのサステナビリティ取組みの推進 |
天候、自然災害等 | ・天候状況により変化する購買行動の影響を受けやすい商品の存在 ・大規模自然災害の発生 | ・天候状況による購買機会の減少 ・大規模自然災害によるサプライチェーンの停滞 ・大規模地震による工場建物の損壊 | ・情報収集や分析に基づく需要予測・生産管理 ・災害発生時の迅速な対策本部の設置、全社的な対応体制構築による従業員及び関係先の安全確保・資産保全 ・商品供給が停滞しないための生産・供給体制の整備 ・工場の耐震補強工事 |
前提 | 想定されるリスク | 森永製菓グループの対応 | |
感染症等 | ・大規模な感染症等の流行 | ・感染症等流行によるサプライチェーンの停滞 ・消費者の生活様式、嗜好及び購買行動の変化 | ・迅速な対策本部設置等の全社的な対応体制の構築 ・テレワークの活用等による、労働生産性の維持・向上 ・商品供給が停滞しないための生産・供給体制の整備 ・消費者の行動や嗜好の変化の継続的な調査分析、新たな需要に応える商品の研究開発体制の整備 |
企業情報、個人情報の漏えい | ・事業全般にわたる情報システムの活用、多数の重要情報の保有 ・サイバー攻撃の多様化・巧妙化 | ・不正アクセスやコンピューターウイルス感染等による予期せぬ重要情報の漏えいや破損・消失、深刻なシステム障害等、及びその場合の事業活動の一時停止や多額のコスト負担の発生、信用毀損 | ・セキュリティオペレーションセンターによる24時間監視体制の実施、社内管理体制の整備 ・「企業秘密管理規程」及び「個人情報取扱い規程」等情報セキュリティに関する各種規程やマニュアル等の適宜見直し、情報管理に関する研修の実施等による社内体制の整備 ・不正アクセス等による情報漏えい発生時の対策本部の設置、外部専門機関と連携しての徹底した事実調査・原因究明、システム復旧や被害拡散防止措置、速やかな公表、関係機関等への報告、再発防止策の実施 |
海外での 事業展開 | ・米国、台湾、中国、東南アジア等の子会社等を通じ事業を展開 | ・以下の事象等に起因する予測不能な事態の発生 ▷ 戦争やテロリズムの発生 ▷ 政治・社会の変化 ▷ 各国各地域の法的規制や税務制度の変更 ▷ 商慣習 ▷ 急激な為替変動 | ・災害等発生時の現地駐在員、従業員及びその家族の迅速な安否確認・安全確保 ・各国各地域での情報収集を通じた戦略の見直し、商品供給拠点の柔軟な変更、海外子会社への適切な指導・監査 ・子会社等の経営管理体制・リスク管理体制の強化 |
企業の 社会的責任 | ・法令、社会規範の遵守と企業の社会的責任の遂行 | ・法令違反や社会規範に反する行動等に対する処罰や訴訟の提起、社会的制裁を受けることによるステークホルダーからの信頼の失墜、レピュテーションやブランド価値毀損等 | ・「森永製菓グループ行動憲章・行動規準」及び「人権方針」「税務方針」「贈収賄防止方針」等において、法令・社会規範等の遵守や企業の社会的責任の遂行を規定 ・コンプライアンスについて組織横断的に検討・推進する組織として、取締役が参加する「コンプライアンス委員会」を「コンプライアンス規程」に基づき設置、協議内容の取締役会への報告 ・コンプライアンス研修等での法令等の知識啓発及び意識向上 ・リスクが認識された場合、法令等に則り迅速かつ適切に対応する体制の整備 |
(4) 中期・長期の視点から事業、業績及び財政状態等に影響を与える可能性のある重要なリスク
前提 | 想定されるリスク | 森永製菓グループの対応 | |
①人材の 確保・育成 | ・人材の確保と育成は、持続的成長における重要課題 ・国内労働人口の減少や流動性の高まり | ・適切な人材の確保と育成、多様な人材が能力を発揮し活躍できる制度や環境整備の遅れによる市場競争力の低下 | ・「森永製菓グループダイバーシティポリシー」の制定、従業員への周知、教育による浸透 ・専門性やグローバルな視点も踏まえた人材の確保と育成 ・働き方改革を意識した制度面及び労働環境面からの健康経営推進 ・副業制度導入による成長機会及び能力多様化の拡大 |
② 気候変動
当社グループでは、気候変動は事業の継続や持続的な成長に影響を及ぼす重要な課題と認識しております。金融安定理事会(FSB)により設置されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に2022年4月に賛同し、気候変動シナリオ分析を行うなど、TCFD提言への対応を進めております。
項目 | 内容 | |
ガバナンス | 当社グループの気候変動課題を含めたサステナビリティに関する課題の報告、目標設定及び進捗モニタリングについては、代表取締役社長を委員長とする「ESG委員会」にて審議し、取締役会へ報告しております。「ESG委員会」は2021年度7回開催いたしました。 「ESG委員会」での審議事項は、経営に関する様々な意思決定において考慮されております。 | |
2021年度に「ESG委員会」の分科会として、「TCFD分科会」を設置し、TCFD提言に沿って、当社グループのリスク・機会の分析及び対応策の検討を実施しております。「TCFD分科会」は、サステナブル経営推進部の担当役員である取締役常務執行役員が委員長を務めております。2021年度3回開催し、「ESG委員会」にて検討結果を審議し、取締役会へ報告しております。 | ||
戦略 | 気候変動によるリスクと機会の特定にあたり、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などが発表している情報をもとに、当社の国内食料品製造事業について、4℃シナリオ、2℃シナリオ及び1.5℃シナリオを設定し、国内の2030年及び2050年の影響を分析いたしました。その結果、4℃シナリオでは気象パターンの変化や異常気象の頻発化に伴う農作物の品質劣化や収量変化にリスクがあり、2℃シナリオ及び1.5℃シナリオでは省エネ政策の強化や炭素税によるコストの増加について、事業へのインパクトが大きくなることがわかりました。これらに対して、自社のCO2排出量削減に努めるとともに、重要と評価されたリスクと機会への対応を進めてまいります。 |
項目 | 内容 | ||
リスク管理 | 当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする「トータルリスクマネジメント委員会」を設置し、リスクの洗出しやレベル評価、リスクへの対策を行い、リスクの適切な管理・対応を実施しております。気候変動に関わるリスクの重要性評価については、「ESG委員会」の分科会として設置した「TCFD分科会」において実施し、その結果を「ESG委員会」にて審議し、取締役会へ報告しており、全社のリスクとして適切に管理・対応を推進しております。以上により、全社のリスクを経営で適切に管理し、事業運営を行っております。 | ||
指標・目標 | 当社グループでは、気候変動リスクを緩和するため、2030年に2018年度比で国内グループ連結CO2排出量(Scope1+2)を30%削減、2050年に温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す目標を設定いたしました。生産現場における省エネ活動(エアー漏れ防止、断熱補修等)や省エネ設備の導入・更新、石油燃料から電気エネルギーへの置換推進等に取り組むとともに、再生可能エネルギーの導入を検討し、目標の達成に向けた取組みを進めております。 |
シナリオ分析
当社の国内食料品製造事業について、4℃シナリオ、2℃シナリオ及び1.5℃シナリオを設定し、2030年及び2050年の影響を分析いたしました。気候変動によるリスクと機会の特定及び評価、またそれらのリスクや機会が当社グループのビジネス・戦略・財務に及ぼす影響の分析にあたって、政府機関及び研究機関が開示するシナリオを参照いたしました。
※参照したシナリオ等
4℃ | Stated Policy Scenario(STEPS)(IEA 2020年) Representative Concentration Pathways(RCP6.0,8.5)(IPCC 2014年) |
2℃ | Sustainable Development Scenario(SDS)(IEA 2020年) Representative Concentration Pathways(RCP2.6)(IPCC 2014年) |
1.5℃ | Net Zero Emission by 2050 case(NZE2050)(IEA 2021年) Representative Concentration Pathways(RCP1.9)(IPCC 2021年) |
大分類 | 小分類 | リスク要因 | 事業への影響 | 対応策 |
移行 リスク | 政策及び規制 | 温室効果ガス排出の価格付けの進行・温室効果ガス排出量の報告義務の強化 | 炭素税導入による当社のエネルギーコストや物流コスト増加 | ・2030年CO2排出量30%削減(注)1 ・2050年温室効果ガス排出量実質ゼロ目標に向けた検討の推進 ・工場におけるCO2排出量の見える化推進、省エネ施策の実施、生産体制再編による高効率な生産体制の確立 ・再生可能エネルギーの使用検討 ・効率的で環境負荷の少ない物流体制、輸配送の推進(モーダルシフト、同業他社との共同輸配送による積載効率の向上、積載効率の高い商品規格設計、最適在庫配置に向けたAIによる需要予測の導入及び補給運用の高度化等) |
省エネ政策の強化 | 省エネ政策強化による当社の省エネ対応に伴う製造設備投資コスト増加 | |||
既存製品やサービスに対する脱炭素関連の義務化・規制化 | 石油由来プラスチックの使用規制による包材コスト増加 | ・調達方針、サプライヤーガイドラインに準じた地球環境に配慮した原材料調達の推進 ・2030年「inゼリー」のプラスチック使用量25%削減目標に向けた取組みの推進(注)2 ・バイオマスプラスチック利用の拡大 ・2030年カカオ豆、パーム油、紙の持続可能な原材料調達100%目標に向けた取組みの推進(注)3 | ||
市場 | 消費者行動の変化 | 消費者の環境意識の高まりによる環境対応が遅れた商品の消費者離反、小売企業による当該商品の採用減に伴う売上減少 | ||
物理的 リスク | 急性 | サイクロンや洪水などの異常気象の重大性及び頻度の上昇 | 異常気象による工場や倉庫、従業員の被災、物流寸断等による調達・生産・物流・販売活動の停止に伴う機会損失、売上減少 | ・自然災害BCPの継続的な見直し及びBCMの推進 ・製造拠点の移転・新設時において、ハザードマップに基づいた建築設計や電気設備設計の実施 ・主要製品の製造拠点の分散化 ・原材料の複数社(または複数拠点)購買の実施 |
慢性 | 降雨パターンの変化及び気象パターンの極端な変動 | 気象パターンの変化や異常気象の頻発化に伴う、農作物の品質劣化・収穫量減少による原材料コストや開発コスト増加 | ・調達方針、サプライヤーガイドラインに準じた地球環境に配慮した原材料調達の推進 ・2030年カカオ豆、パーム油、紙の持続可能な原材料調達100%目標に向けた取組みの推進(注)3 ・原材料の複数社(または複数拠点)購買の実施 ・サプライヤーとの連携強化、リスク対応に向けたコミュニケーションの強化 ・乳原料の植物性原料への代替検討 |
(注)1 Scope1+2(国内、2018年度比)
2 対象:包装材料におけるプラスチック使用量(原単位、2019年度比、バイオマスプラスチック
への置換を含む)
3 紙は製品の包材が対象
大分類 | 機会要因 | 事業への影響 | 対応策 |
資源の効率 | 効率的な生産・流通プロセスの開発や利用 | 効率的な製造・流通プロセスの開発による製造コストや輸送コストの減少 | ・生産体制再構築、スマートファクトリー化による効率的な生産活動の推進(注)4 ・2030年フードロス70%削減目標に向けた取組みの推進(注)5 ・効率的で環境負荷の少ない物流体制、輸配送の推進 |
製品及び サービス | 消費者の好みの変化 | 消費者の環境意識向上による環境配慮型商品への需要増加 | ・「1チョコ for 1スマイル」の取組みの推進(注)6 ・環境配慮型商品の開発 |
気候への適応 | 温暖化による「inゼリー」や冷菓商品の需要増加 | ・「inゼリー」及び冷菓商品の販売強化 | |
レジリエンス (回復力) | 資源の代替・多様化 | 原材料の代替化・多様化の検討による様々な条件下における操業能力の向上 | ・気候変動によるリスクを踏まえた原材料の代替化・多様化の検討 |
レジリエンス計画(BCP)策定によるサプライチェーンの信頼向上・機会損失の低減 | ・自然災害BCPの継続的な見直し及びBCMの推進 |
(注)4 スマートファクトリー化:IoT・AI技術等を利用して、技術と製造設備のデジタルデータ
を融合し、安定稼働・生産効率を向上させる取組み
5 対象:原料受け入れから納品(流通)までに発生するフードロス(国内、原単位、2019年度
比)。発生した食品廃棄物のうち、飼料化・肥料化など、食資源循環に戻すものを除き、焼
却・埋め立て等により処理・処分されたものを「フードロス」と定義
6 「1チョコ for 1スマイル」:対象期間に対象商品1個購入につき、1円をカカオ生産国の子ど
もたちへの支援活動に寄付するキャンペーン
今後、対応策の検討をさらに深めるとともに、シナリオ分析の対象範囲の拡大等についても検討してまいります。
なお、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある要素は、上記だけに限定されるものではありません。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00369] S100OJF1)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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