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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OIFE (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社琉球銀行 事業等のリスク (2022年3月期)


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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している事業等のリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

当行の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとして、以下に記載したリスクのうち(1)信用リスク及び(2)市場関連リスクがあげられます。
当行グループは、当該リスクについて、統計的手法であるVaRを用いて、ある確率のもと一定期間(例えば1年間)に被る可能性のある最大損失額(リスク量)を見積もり・把握しております。
これらのリスクが顕在化した場合、当行の業績・業務運営に影響を及ぼす可能性があるため、当行では業務の継続性を確保する観点から、リスク量が自己資本の範囲内に収まるよう資本配賦制度(リスク量に対する資本の割り当て)を用いた業務運営を行い、経営戦略と一体となったリスク管理を実践しております。

2021年度は、昨年に引き続き新型コロナウイルスによる緊急事態宣言・まん延防止等重点措置など、感染拡大防止措置が繰り返された1年間でした。度重なる経済活動の制限によって、地域経済の景気が後退し拡大した信用リスク、過剰流動性が引き起こす市場関連リスク、感染症拡大による事業継続リスクなど様々なリスクが顕在化しております。当行グループでは各項目に記載した通りの対応策によりリスクの低減を図っております。

(1)信用リスク

当行グループは沖縄県を主たる営業地盤としていることから、沖縄県における人口・世帯数の動向や産業構造の特徴、経済環境等の変化により、信用供与先の財務状況が悪化し当行グループの不良債権額や与信関連費用が増加する等の信用リスクが顕在化した場合は、当行グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
コロナ禍における信用リスク増加をふまえ、当行グループでは適切に信用リスクを管理するため、取締役会の定めた「融資運用方針」や「信用リスク管理基本方針」に基づく債務者の支援スキームの策定や出口戦略のサポート等、積極的な支援に取組んでおります。

①貸出ポートフォリオの特徴とリスクの特性

沖縄県は全国でも数少ない人口・世帯数増加県であることから、個人住宅や分譲マンション、アパート等の住宅需要が高くなっております。さらに、これまで入域観光客数の増加を背景にホテル・宿泊施設の建設需要も旺盛であったことから、当行貸出ポートフォリオは、住宅ローンと貸家業・不動産業向け融資が貸出金全体の6割以上を占めております。そのため、不動産市況や入域観光客数の動向の影響を受けやすいリスク特性を抱えており、住宅需要の減少や新型コロナウイルス感染症をはじめとした疫病の流行、テロや地政学的リスクの発生に伴う入域観光客数の減少等が発生した場合は、需給の減退に伴って貸出先の財務状況が悪化し、不良債権額や与信関連費用が増加する可能性があります。
沖縄県を産業構造別でみると、第2次産業の割合が低く、第3次産業が全体の8割以上を占めています。国内有数の観光地であることから、観光関連産業(宿泊・飲食・物販)等のサービス業が主要な産業であり、不動産・建設業など幅広い業種が観光産業に関連していることが沖縄県の産業構造の特徴と言えます。
当行の貸出ポートフォリオは、このような人口・世帯数増加や産業構造を反映する形で構成されております。貸家業・不動産業向け融資と住宅ローンを除いた事業性融資は、貸出金全体の約25%程度の水準で、このうち観光関連産業をはじめとした第3次産業向け融資が約80%を占めています。
製造業など重厚長大産業向け貸出がポートフォリオに占める割合は低く、大口先への与信集中リスクは抑えられております。
沖縄県経済を牽引してきた観光関連産業は「人の動きが制限される」リスクに弱く、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置の適用で、入域観光客数やサービス消費を中心とした個人消費は下押し圧力が継続し、持ち直しの動きも未だ弱い状況にあります。
さらに、コロナ禍による人手不足やサプライチェーン停滞で供給力が低下しているなか、海外を中心とした経済活動の再開による需要の拡大により、資材価格の高騰や品薄、燃料価格が上昇しております。また、ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響で価格上昇が増幅され、幅広い業種において仕入れコスト上昇分を価格転嫁できないなど、信用供与先の財務状況が悪化することで当行グループの不良債権額や与信関連費用が増加する可能性があります。

こうした状況に対応するため、当行では2020年6月より「コロナ対応支援」として①中小企業への支援態勢の強化、②大口先(約30社)の定期的なモニタリングの開始、③資本性借入金の積極活用、④沖縄県の主要企業によって構成されるファンドを通じた支援などを展開し、取引先支援を通じ信用リスク顕在化の低減に取り組んでまいりました。さらに、2021年9月からは①個社毎の出口戦略サポートの強化、②ビジネス・マッチングなど営業情報の活用、③長期借入金等の一本化による支援、④債務者区分判定の弾力運用など、信用供与先へのモニタリングと対話を通して、適切な支援が実施できるよう追加の施策を実施しております。
上記取組の結果、条件変更や資金繰り支援などにより信用リスクの顕在化は抑制したものの、結果として当行の貸出ポートフォリオに信用リスクの高い層が内在することとなりました。内在する信用リスクの増加に対しては、2021年3月期より一般貸倒引当金の算出方法を過去の貸倒実績に基づく予想損失額の見積もり方法から、将来の予測を貸倒引当金に反映させる手法(フォワードルッキングな引当)を導入し、予見される信用リスクをより適時・適切に引当金へ反映させ、将来の損失への備えを強化しております。

②担保に関するリスク
当行の貸出ポートフォリオは、住宅、アパート等を含む不動産向け融資が6割以上を占めていることから、不動産関連担保による保全率は高くなっています。その反面で当行が貸出金等の担保として取得している不動産や有価証券などは、市場価格の変動に伴い担保評価額が下落する可能性があります。
沖縄県の地価上昇率は、これまで県内景気の拡大を背景に全国との比較で高い伸び率で推移していましたが、コロナ禍の拡大に伴い足元の地価上昇の勢いは弱含んでおります。不況が長期化するなどの理由により市場価格が下落した場合には、担保評価額が下落し与信関連費用が増加する可能性があります。また担保資産の市場流動性が低下することで担保処分の執行が困難になる場合も与信関連費用が増加する可能性があります。
当行では沖縄県内の地価上昇のピーク近傍と思われる2018年より、不動産取得に関する融資の審査目線に、不動産物件の担保価値と借入金の比率であるLTV(Loan to Value)を採用し、貸出ポートフォリオの地価下落リスクへの耐性強化に努めております。

(2)市場関連リスク

市場関連リスクとは、金利、有価証券等の価格、為替等の様々な市場の変動により、保有する資産の価値が変動し損失を被るリスクであります。
当行は余剰資金運用を目的に有価証券投資を行っており、日本国債や地方債などの円貨債券、欧米国債などの外貨建債券、株式、投資信託等を保有しております。これらの市場性資産は市況により価値が変動するため、2008年のリーマンショックや2020年の新型コロナショック時に見られたような大幅な相場変動が起きる場合には、以下に示す各リスクの顕在化から保有資産の価値が変動し、当行グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

①金利変動リスク
当行は、日本国債、地方債、欧米各国の国債などの市場リスクのある債券を保有しており、内外金利が大幅に上昇した場合は評価損が発生し、当行グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、新型コロナウイルスの影響による供給制約や、ロシアのウクライナ侵攻による原油先物価格の高騰で物価の急騰が懸念されており、こうした要因を背景とした米政策金利の引き上げが世界の市場金利の上昇につながり、当行の有価証券の評価損益にも大きな影響を与える可能性があります。当行では、市場リスクのVaRに限度額を設定しリスクをコントロールしているほか、有価証券損益を日次で把握しており、市場が急変した場合には速やかに経営陣に報告し対応を協議するなど、過度な損失を抑制する体制を構築しています。
なお2022年3月末時点において保有する円建債券は約3,100億円あり、その内訳は日本国債が約2割、地方債が約6割となっております。元本の平均回収期間を示すデュレーションは約3.3年となっております。外貨建債券はドル建ておよびユーロ建ての海外国債を約250億円保有しており、デュレーションは約2.9年となっております。


②為替変動リスク
当行の為替リスクについては、主に為替スワップ取引および債券レポ取引等を利用し、持高限度額を定めるほか、バランスを調整するなど、為替相場の変動リスクを最小化することとしております。一部円投(外貨買)による外債運用も行っておりますが、運用方針にて取引限度額を定めるほか、リスクの定量的分析等によりモニタリングを行い、過度なリスクテイクを抑制しております。しかしながら、予期せぬ為替変動が生じた場合、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
国内と海外の金融政策の違いから足元では急速に円安が進行するなど為替相場が大きく変動していますが、調達コストとの兼ね合いによる円投以外は原則フルヘッジ対応するなど為替リスクの最小化に努めており、現時点における為替相場変動の影響はございません。

③価格変動リスク
当行グループは、市場リスクのある株式等を保有しております。大幅な株価下落が生じた場合は減損または評価損が発生し、当行グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、市場リスクのある株式等には、保有目的が純投資以外の目的である時価のある政策保有株式も含まれておりますが、これらの政策保有株式は、4「コーポレート・ガバナンスの状況等」(5)「株式の保有状況」に記載のとおり定期的に保有の合理性等の検証及び保有の適否を判断しており、リスクの軽減を図る体制をとっております。なお、2022年3月時点において価格変動リスク資産(株式・投資信託)は有価証券全体の約7%の約25億円となっており、このうち時価のある政策保有株式は10銘柄で約13億円となっております。

④デリバティブ取引のリスク
当行におけるデリバティブ取引は主に外貨建債券運用に係る外貨調達手段としての為替スワップ取引及び顧客向け為替予約に係るカバー取引があります。有価証券運用においてデリバティブを内包するような複雑な商品への投資は行っておりません。

⑤資金調達に係る流動性リスク
当行グループは、資金調達・運用構造に即した適切かつ安定的な資金繰りに加え、安全性・収益性のバランスを考慮した効率的な資金調達・運用を基本方針としております。また、不測の事態に備えて、資金繰りの状況の逼迫度に応じた危機管理対策を予め策定し、速やかに対処できる体制を整えております。
しかしながら、当行グループの業績および財務状況や格付が悪化した場合、あるいは市場環境が大きく変化した場合に、必要な資金の確保が困難になり、通常より著しく高い金利による資金調達を余儀なくされる、または調達が困難となることで、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の影響等もあり、一部の業種または企業について、預金等が大幅に減少する懸念も考えられますが、預金等動向のモニタリングやそのリスクが顕在化した場合の対応策も定めていることから、当行の資金繰りに及ぼす影響は限定的であると考えております。

(3)自己資本比率に係るリスク
当行グループは、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められた国内基準である自己資本比率4%以上を維持する必要があり、当行グループの現在の自己資本比率は、この最低水準を大幅に上回っております。
今後も安定した経営を継続するには、なお一層の自己資本比率の上昇は必要不可欠と考えており、当行グループでは、リスク・ウエイト判定の高度化等のリスク・アセットコントロールを中心に、自己資本比率の上昇に資する諸施策を継続的に実施しており、その結果として、各事業年度末の自己資本比率は上昇傾向にあります。
本項に示した事業等に係る各種リスクが顕在化することにより、自己資本比率は低下する可能性がありますが、上述したとおり現在の自己資本比率は自己資本比率規制上の最低水準を大幅に上回っていること、近年の自己資本比率が上昇傾向にあること等から、国内基準行に求められる最低水準を下回る可能性は低いと考えております。


(4)オペレーショナル・リスク

①事務リスク
当行グループは、業務の多様化や取引量の増加に適切に対処し、想定される事務リスクを回避するために、機械化投資の拡充と営業店後方事務の集中処理を積極的に進め、業務の効率化と事務リスクの圧縮に努めております。また、事務水準の向上や事務事故の未然防止の観点から、事務指導の強化や研修等を実施し、内部監査を厳格に実施しております。しかしながら、役職員による不正確な事務、あるいは不正や過失等により、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

②システムリスク
(ア)当行グループは、システムリスク管理方針やバックアップ体制等を整備し、コンピューターシステムの安全稼働に万全を期しております。しかしながら、万が一重大なシステム障害や不正使用等が発生した場合には、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(イ)当行グループは、外部からのサイバー攻撃等への対応としてサイバーセキュリティ作業部会(CSIRT)を設置し、「システムの脆弱性診断」や「サイバーセキュリティに関する訓練の実施」等、システムの安全稼働とセキュリティ強化に努めております。しかしながら、サイバー攻撃等によりシステムの停止等が発生した場合には、決済業務に支障をきたす等、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、情報の漏えい・改ざん等が発生した場合には、当行グループの社会的信用の失墜などにより、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(ウ)当行グループは、非対面取引を安心・安全にご利用いただくうえで、インターネットバンキングのセキュリティ強化に努めております。対策としてワンタイムパスワードやリスクベース認証の導入、ホームページや新聞紙面にSMSからフィッシングサイトへ誘導する手口等について注意喚起などを実施しております。また、他金融機関、警察と連携して犯罪の抑止となる情報収集にも努めております。しかし、犯罪者による不正送金が行われた場合、当行グループの信用失墜となり、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(エ)当行グループはカード発行業務(イシュイング業務)を通じて、沖縄県内のキャッシュレス化に取り組んでおります。安全性確保のため、セキュリティサービスの導入による不正取引の排除や、国際ブランド、同業他社との連携による取引のモニタリング精度の高度化等により、日々、不正対策の強化を図っております。しかしながら、クレジットマスター等の外部からの攻撃や、デジタル技術の発展で巧妙化する新たな手法による不正取引が大量に発生した場合は、当行グループの信用失墜となり、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

③コンプライアンスリスク
当行グループは、業務を遂行する上でさまざまな法令等を遵守することが求められるだけでなく、関係するさまざまなステークホルダー(利用者・役職員・社会・市場・株主等)からの信頼・信用を保持し、その期待に応えることも求められており、これらを実現できるよう、役職員に対するコンプライアンスの徹底に努めております。
しかしながら、これらの取り組みが不十分であるために、コンプライアンス違反や不祥事件等が発生した場合には、当行グループの信用が失墜し、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
2021年度より、当行において複数の不祥事が発覚しており、当行はこれを非常に厳粛に受け止めております。そこで、外部の有識者を加えた「不祥事再発防止に係る特別委員会」を設置し、企業風土の変革を含めた実効的な対策を講じることを経営の最重要課題の一つとして取り組んでおります。

④マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策上の不備に係るリスク
当行グループは、事業活動を行う上で、国内外の法令諸規制の適用及びそれに基づく国内外の金融当局の監督を受けております。近年、金融犯罪が多様化かつ高度化し、本邦金融当局や海外の規制当局から要請されるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の基準は急速に高まっております。当行グループでは、国内外のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止態勢の高度化のため、法人口座開設時の審査厳格化や、海外送金取扱店舗の集約化など各種施策の実施に取り組む一方、AML/CFTに関する先進的かつ実用的な取り組みのあるTSUBASAアライアンスに参加し、情報及びスキルの収集に努めています。
しかしながら、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止態勢の高度化が有効に機能せず、仮に法令諸規制の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、当行グループの信用失墜等により、当行グループの業務運営や、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。


⑤風評リスク
当行グループの業務は、預金者等のお客様や市場関係者からの信用に大きく依存しております。そのため、当行グループや金融業界等に対する風説・風評が、マスコミ報道・市場関係者への情報伝播・インターネット上の掲示板への書き込み等により発生・拡散した場合には、お客様や市場関係者が当行グループについて事実と異なる理解・認識をされ、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5)その他のリスク

①自然災害に関するリスク
当行グループでは「危機管理計画(コンティンジェンシープラン)」をはじめ各種の対応マニュアルを整備し、災害対応訓練等を通じてその実効性向上を図っております。しかしながら、近年大型化している台風の直撃や大規模な地震等の自然災害の発生により、業務の全部または一部の継続が困難となり、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当行グループ自身の被災による損害のほか、取引先が自然災害により業績が悪化した場合、信用リスクの上昇などを通じて、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、通常想定されるレベルの台風では当行グループの建物は構造上重要な被害を受けるものではなく、被害は限定的なものと想定しております。

②気候変動に係るリスク
当行グループは、気候変動が環境・社会、人々の生活・企業活動にとっての脅威であり、金融市場の安定にも影響を及ぼしうる最も重要な課題の一つであると認識しています。気候変動リスクとしては、低炭素経済移行に伴う政策・法務・技術・市場の変化等に起因する移行リスク、気候変動による資産に対する直接的な損傷やサプライチェーンの寸断による財務損失等の物理的リスクが挙げられます。当行グループおよび投融資先への気候変動リスクのうち、GHG(温室効果ガス)排出対策として、移行リスクおよび物理的リスクの定量分析、GHG排出量削減に係るScope1~3の算出等の取組みを推進するサステナビリティ推進室及び、頭取が委員長を務めるサステナビリティ委員会を2021年10月に設室しました。サステナビリティ委員会において、気候変動リスクを含むサステナビリティに関する方針やそれらを実践するための体制の構築・整備を行っております。Scope1~3の中で、特に金融機関に削減が求められている投融資先のGHG排出量(Scope3)削減につきまして、当グループはZEB/ZEHの推進による削減を実施しております。しかし、当行グループの取組みがステークホルダーの期待から大きく乖離した場合等には、レピュテーションの毀損等により、業務運営や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

③感染症による業務継続リスク
新型コロナウイルス感染症のような感染症が世界的に流行し、当行グループ役職員に多数の感染者が発生した場合、業務の全部または一部の継続が困難となり、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当行グループは新型コロナウイルス感染症の流行下において、飛沫防止パーティションの設置、マスク着用の徹底ならびに本部各部における拠点分散や在宅勤務等、業務の継続性を確保するための各種施策を実施しました。
また、役職員の感染を防止するため、当行グループの役職員及び家族を対象とする新型コロナウイルスワクチンの職域接種を実施しました。

④当行グループのビジネス戦略が奏功しないリスク
当行は、収益力増強のために様々なビジネス戦略を実施しておりますが、規制緩和による多業種との競合やその他の外部要因が発生した場合には、これらの戦略が功を奏しない、当初想定していた結果をもたらさない、又は変更を余儀なくされ、当行グループの財政状態及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
しかしながら、当行は新規ビジネスについて、事業の将来性や銀行全体の資産に対する新規投資額の割合等を十分に検討したうえで投資を決定しており、仮にビジネス戦略が奏功しないリスクが顕在化した場合でもその影響は限定的なものであると考えております。

⑤固定資産減損リスク
当行グループは、保有する有形固定資産及び無形固定資産について、現行の会計基準に従い減損会計を適用しておりますが、当該資産に係る収益性の低下や時価の下落等により、投資額の回収が見込めなくなった場合は減損損失を認識する可能性があります。減損損失を認識した場合、当行グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

⑥繰延税金資産に係るリスク
現時点におけるわが国の会計基準に基づき、一定の条件の下で、将来実現すると見込まれる税金負担額の軽減効果を、繰延税金資産として貸借対照表に計上することが認められております。当行グループは、現時点において想定される金融経済環境等のさまざまな予測・仮定を前提に将来の課税所得を合理的に見積り計上しておりますが、実際の課税所得が想定と異なること等により、繰延税金資産が減額された場合には、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

⑦退職給付債務等の変動に係るリスク
当行グループの退職給付費用や債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、実際の結果が予測値と異なる場合や前提条件に変更があった場合には追加損失が発生する可能性があります。
なお、当行は2021年10月より在職中の職員の「確定給付企業年金(DB)」のすべてを「確定拠出年金(DC)」へ移行しております。これらにより、退職給付債務及び年金資産等の残高が前期比約72億円減少(2022年3月末時点の残高約154億円)しており、利回りの変動等から発生するリスク量は軽減されております。

⑧規制変更のリスク
当行グループは、現時点の規制(法律、規則、政策、会計制度、実務慣行等)に従って業務を遂行しております。将来、これらの規制の新設、変更、廃止ならびにそれらによって発生する事態が、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

⑨格付低下のリスク
格付機関が当行の格付を引き下げた場合、当行の市場部門は、取引において不利な条件を承諾せざるを得ない、あるいは一定の取引の実施が困難となる可能性があります。このような事態が生じた場合、資金調達費用の増加や資金調達そのものが困難となる等、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお株式会社格付投資情報センター(R&I)による発行体格付は「A+」(信用力は高く、部分的に優れた要素がある)、格付の方向性は「安定的」との評価を得ているほか、株式会社日本格付研究所(JCR)による長期発行体格付は2022年4月28日に前回格付「A」から「A+」(債務履行の確実性は高い)へと格上げされており、格付の見通しについても「安定的」との評価を受けております。

⑩顧客情報に係るリスク
当行グループは、個人情報・機密情報等のデータを有しており、その管理につきましては、マニュアルで管理方法を明確に定めるとともに、本人確認システムを導入する等、不正利用・流出を防止する体制を強化しております。しかしながら、これらの対策にも関わらず、重要な情報が外部に漏洩した場合には当行グループの信用が失墜し、当行グループの業務運営や、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

⑪重要な訴訟によるリスク
当行グループは、法令諸規則の遵守の徹底に努め、法令違反の未然防止体制を強化しております。しかしながら、今後、様々な業務遂行にあたり、法令違反およびこれに対する訴訟が提起された場合には、当行グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。


従業員の状況研究開発活動


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