有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100ODMQ (EDINETへの外部リンク)
味の素株式会社 事業等のリスク (2022年3月期)
当社グループは、マクロの環境変化や、影響の大きさ(大・中・小)、発現の蓋然性や時期(高・中・低)などを総合的に勘案して、組織横断的な管理が必要なグループ全体のリスクを特定しており、その内容は以下のとおりです。
当社グループではこのような経営及び事業リスクを最小化するとともに、これらを機会として活かすための様々な対応及び仕組み作りを行っておりますが、以下はすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財務に関わる機会とリスク
(2) マテリアリティ
当社グループではこのような経営及び事業リスクを最小化するとともに、これらを機会として活かすための様々な対応及び仕組み作りを行っておりますが、以下はすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財務に関わる機会とリスク
財務リスク | ①関連する機会とリスク(○機会 ●リスク) | ②味の素グループの主要な取り組み |
減損 | ●買収した子会社等の事業計画未達 ●金利の急激な上昇 | ・企業提携等審議会や経営会議等における買収価格の適切性に関する審議 ・買収後のシナジー実現に向けたフォローアップやマクロ経済環境の定期的なモニタリング |
資金調達 | ●金融危機による資金の枯渇 ●格付けの低下 ●各種リスク要因により計画を達成できないことで生じる追加の資金調達などのリスク発生、格付けの悪化 | ・資金調達方法先及び期間の適度な分散 ・財務体質の維持・強化 ・各種リスク要因の適時の分析と対応 ・最新の情報に基づく適時の計画の見直し ・グループ各社での流動化等活用促進 ・グローバル・プーリングの導入(ノーショナルプーリング) ・USD建コミットメントラインの新設 ・運転資金に限定している北米・欧州CMSの資金使途範囲変更 (「グループ資金調達基本方針」) |
得意先の 経営破綻 | ●海外を含めた予期せぬ得意先の経営破綻の発生 | ・情報収集、与信管理等(グループ全体に適用する与信管理ガイドライン作成及びモニタリング)、債権保全 |
為替・ 金利変動 | ●為替・金利の急激な変動による事業収益への影響(海外での事業活動の停滞、海外子会社業績の円貨への換算影響) | ・(予定取引における)為替予約の検討 ・借入資金の長期化及び社債の発行、サステナブルファイナンスの活用 ・長期資金については親会社での調達集中 ・外貨調達の多様化 |
インフレー ション | ●原燃料コストの上昇による収益の悪化 ○製品価格の適正化を通じた収益の改善 | ・主要原燃料のモニタリング ・製品価格への適時の反映 ・製品改定 ・コストダウン |
カントリー リスク | ●収用リスク ●戦争や紛争などの発生リスク | ・進出国の適度な分散 |
租税制度・ 繰延税金資産 /負債の変動 | ●○租税制度・繰延税金資産/負債の変動による税負担変動 | ・各国における税制や税務行政の変更への対応策を実施 ・税金及び税務関連費用を最小化する方策又はスキームを立案実行 |
財務リスク | ③貢献する SDGsのゴール | ④中計で掲げる 戦略への影響 | ⑤影響の 大きさ | ⑥発現の 蓋然性、時期 | ⑦評価 | ⑧前年 比較 |
減損 | - | 財務目標の未達、金利上昇により生活者への新たな価値提案に向けた成長投資が遅れ、オーガニック成長が減速。 | 小 | 高 | 注視 | → |
資金調達 | - | 資金の不足による成長投資の遅延に伴う顧客への新たな価値提案の遅れ、オーガニック成長の減速。 | 中 | 中 | 重要 | → |
得意先の 経営破綻 | - | - | 小 | 高 | 注視 | ↗ |
為替・ 金利変動 | - | - | 小 | 高 | 注視 | ↗ (一部の 新興国) |
インフレー ション | - | - | 大 | 中 | 極めて重要 | 新規 |
カントリー リスク | - | - | 中 | 中 | 重要 | ↗ |
租税制度・ 繰延税金資産 /負債の変動 | - | - | 小 | 高 | 注視 | → |
(2) マテリアリティ
マテリアリティ項目 | ①関連する機会とリスク(○機会 ●リスク) | ②味の素グループの主要な取り組み |
食と健康の課題解決 への貢献 | ●健康・栄養関連の法制化・ルール強化によるコスト上昇(砂糖税・栄養表示等) ●グローバルトップ10をはじめ競合他社も注力する健康・栄養分野における競争激化・劣後リスク ○健康課題の深刻化による食事・運動などの生活習慣の見直しに基づく新たなビジネス機会の創出 ○調理や栄養バランス、免疫強化への関心や生活習慣病に対する予防意識の高まりに基づく新たなビジネス機会の創出 ○グローバルでの高齢化に基づく新たなビジネス機会の創出 ○生活者の栄養課題の多様化に基づく新たなビジネス機会の創出 ○減塩に対する意識の高まりに伴うビジネス機会の増加 | ・おいしく摂取し、心身のすこやかさに繋がる食品・アミノ酸製品及びメニューの提供 |
・うま味によるおいしい減塩 | ||
・たんぱく質摂取の推進 | ||
・減糖、減脂 | ||
・「アミノインデックス技術」による予防医療への貢献 | ||
・当社グループ製品が満たす栄養基準の整備 | ||
・生活者一人一人への栄養改善の個別提案(パーソナル栄養) | ||
生活者の ライフスタイルの 変化に対する 迅速な提案 | ●生活者のライフスタイルの変化、価値観の多様化への対応遅れによる成長機会の損失と既存事業の競争力低下 ●新興企業参入による競争激化 ●○顧客のデジタルシフト加速や購買行動の変化に対する対応遅れによる機会損失、ECなどD2C市場の成長に伴う事業機会の増加 ○消費者の新たな健康ニーズ等に迅速に対応することによるブランド価値や企業イメージアップ ○●家庭で喫食機会増加に伴う機会と、外食産業の回復による手作り機会減少リスク ○食の多様化(ベジタリアン、ビーガン)に基づく新たなビジネス機会の創出 | ・ビッグデータ・生活者データの活用によるマーケティングの高度化 |
・スモールマス(都市化等)への対応強化 | ||
・スマートな調理等、簡便ニーズに対応した製品・サービスの拡充 | ||
・食を通じた人と人とのつながり・コミュニティの創出 | ||
・製品・サービス・情報のお客様への適切な届け方の実践 | ||
製品の安全・安心 の確保 | ○テクノロジーを活用した食のトレーサビリティの確保による新たな顧客層の獲得 ●アミノ酸含有食品、栄養ケア食品における競争激化リスク ●うま味・MSGに対するネガティブな風評の拡大による調味料事業への影響 ●製品の品質クレーム・トラブルによるお客様からの信頼低下 | ・「お客様の声」の製品・サービスの開発・改善への反映 |
・製品パッケージやWEBでの適切な情報共有 | ||
・味の素グループ品質保証システム「ASQUA(アスカ)」に基づく品質保証活動の徹底と人財育成 | ||
多様な人財の活躍 | ●人財獲得競争の激化によるコスト上昇 ○様々なバックグラウンドを持つ人材登用による人材の獲得ルートの増加と新たなビジネス機会の創出 ●多様な人材の獲得が進まない場合の企業イメージ低下 | ・健康経営の推進 |
・従業員の「ASV自分事ごと化」促進 | ||
・エンゲージメントサーベイを活用したPDCAサイクルの推進 | ||
・ダイバーシティ推進に向けた組織風土改革 | ||
・女性人財の育成・登用 | ||
・人権教育・啓発活動 | ||
・イノベーション創出のための企業文化醸成(統合型アクセラレータープログラム) |
マテリアリティ項目 | ①関連する機会とリスク(○機会 ●リスク) | ②味の素グループの主要な取り組み |
気候変動への適応と その緩和 | ●気候変動による原材料の調達リスクの増大・生産活動の停滞 ●脱炭素への取り組み遅延、排出権取引制度の導入や炭素税の負担増加による生産コスト上昇 ●メタンなどのCO₂以外のGHG削減への取り組み遅延による生産コスト上昇 ○再生可能エネルギーの導入により、炭素税の導入後あるいは課税強化後のコスト競争力確保 ●1.5℃目標基準に則しない企業活動に対する企業価値毀損・企業イメージ低下 ●気候変動への対応遅れと事業影響の開示不足による企業価値毀損・企業イメージ低下 | ・製品ライフサイクル全体でのカーボンニュートラルに向けた長期的な取り組み |
・生産時・輸送時のエネルギー削減の取り組み | ||
・再生可能エネルギーへのシフト | ||
・TCFDに対応した情報開示(シナリオ分析等) | ||
資源循環型社会実現 への貢献 | ○循環型サプライチェーンを実現するためのトレーサビリティシステムの活用 ○化学メーカー等との連携によるリサイクル素材の開発 ●欧州等で進むプラスチック廃棄物規制やタクソノミーへの対応遅延による事業機会損失 ●廃棄物削減、リサイクルへの取り組み遅延による企業価値毀損・企業イメージ低下 ○サステナビリティに関する取り組み加速による企業価値の向上 ○人口増加に伴う需要の高まり(動物原料フリー、培養肉など) | ・容器包装の3R推進(プラスチック廃棄物の削減等) |
・環境対応型包装資材(単層材/生分解性プラスチック/植物由来原料/認証紙)の使用 | ||
・生分解性が高いアミノ酸系洗浄剤の供給 | ||
・環境ラベルの普及 | ||
・製品パッケージを活用したプラスチック廃棄削減訴求 | ||
フードロスの低減 | ●食資源の枯渇による原材料調達不全 ○製造工程での歩留まり向上、返品・製品廃棄の削減の取り組みによるコスト削減 ●フードロス半減に向けた取り組み遅延による企業価値毀損・企業イメージ低下、及び食資源の枯渇の助長 | ・原料をムダなく活かしきるモノづくりの実践 |
・デジタルを活用したSCMの高度化・効率化 | ||
・賞味期限延長等による返品・製品廃棄の削減 | ||
・お客様の使用時のロス削減 | ||
・美味しく残さず食べ切る「食エコ」提案 | ||
持続可能な 原材料調達 | ●サプライチェーンにおける社会・環境問題への対応遅れによる原料調達リスクの増大 ●特定地域の輸出規制への対応遅れによるサプライチェーンへの断絶 ○パンデミック等発生時のグローバルサプライチェーン断絶に備えたサプライチェーンの強化 ●サプライチェーンにおける環境問題への対応遅延による企業価値毀損・企業イメージ低下 | ・重要原材料の特定と責任ある調達(紙、パーム油、かつお等) |
・コプロ活用による持続可能な農業への貢献 | ||
・公正な事業慣行マネジメントの実践(トレーサビリティ等) | ||
・サプライヤーのサステナビリティ推進 | ||
・人権デュー・ディリジェンス | ||
・公正な競争の確保と従業員教育の徹底 | ||
水資源の保全 | ●渇水・洪水・水質悪化による生産停滞や原料調達リスクの増大 ○水リスク低減による原料安定調達、製品安定供給の実現 ●水資源保全への対応遅れによる企業価値毀損・企業イメージ低下 | ・水源の森林整備 |
・排水処理技術の開発 | ||
マテリアリティ項目 | ①関連する機会とリスク(○機会 ●リスク) | ②味の素グループの主要な取り組み |
ガバナンスの強化 | ①コーポレート・ガバナンスに関する取組 ●コーポレート・ガバナンスの組織・体制整備の遅れによる機能不全 ●コーポレート・ガバナンス、内部統制の機能不全に伴う事業継続リスク、予期せぬ損失の発生 ②投資家等への情報開示に関する取組 ●目的に応じた適切な情報開示の不足による投資家などステークホルダーからの評価の低下 ○投資家が求める価値の高い情報の開示による評価の高まり(事業活動が社会・環境へ与える影響の定量評価、COVID-19による事業への具体的な影響など主要な環境変化に対する影響の詳細明示、など) ○非財務情報の開示に対する取り組み強化による投資家等ステークホルダーからの信頼性向上 ③生活者への信頼性確保への取組 ○トレーサビリティ・マッピングの確立による信頼性向上 ④会社・従業員への事業継続のための環境改善対応への取組 ○サプライチェーン上流への労働安全衛生の強化 ○こころとからだの健康を維持・増進できる職場環境づくり(環境経営) ○ダイバーシティ&インクルージョンの推進 ●○知的財産リスクによる事業への影響(知財侵害・模倣リスク) | ・労働安全衛生マネジメント |
・グループ従業員全員への味の素グループポリシーの浸透 | ||
・ホットライン(内部通報制度)の整備 | ||
・コーポレート・ガバナンス体制の強化 | ||
・「全社重要リスク」の選定とその対応策の検討 | ||
・知的財産リスクマネジメント | ||
・IT管理運用規程の制定による情報セキュリティの強化 | ||
グローバルな 競争激化への備え | ①デジタル技術等の発展に伴う新規参入者の増加 ●強固な参入障壁を構築しきれないことによる多数の競合企業(グローバル・ローカル)の出現 ②マクロ情勢(地政学リスク)の顕在化 ●グローバルでの金融危機、貿易摩擦等の不安定な政治・経済・社会情勢による組織運営への混乱や事業採算性低下 ●中東・アフリカの重点国における政治・経済不安定化によるリスク ●米中スーパーパワーの政治方針・通商政策の変化が、各国法人業績を左右するリスク ●特定国への依存度が高いサプライチェーン(調達・生産)構造による、有事の事業停滞リスク、原燃料費高騰リスク ③グローバル市場の変化 ●ASEAN・南米の重点国における中産階級の伸び悩みによる市場成長鈍化リスク ●コロナ禍における消費者行動の変化を受けた、グローバル競合の商品ポートフォリオ戦略見直しによる競争激化リスク(冷凍食品など当社注力領域をwith/afterコロナにおける成長分野とみて競合が強化、など) ●同様の背景から、当社注力領域において廉価品を出すローカル競合との競争激化 ○SDGsの認知率の高まり等を受けたエシカル消費に対応した新たなビジネス機会の創出 | ・食品とアミノサイエンスの部門間連携強化 |
・サプライチェーンマネジメントの進化 | ||
(デジタル活用、エコシステム確立等) | ||
・デジタルトランスフォーメーションの推進 | ||
・課題解決型R&D体制の確立 | ||
・本社主導によるコンシューマー食品3事業 | ||
(調味料/栄養・加工食品/冷凍食品)のグローバル戦略推進 | ||
・コンペティティブ・インテリジェンス(中長期の取り組み) | ||
・オープン&リンクイノベーションの推進 | ||
・グローバル生産体制、物流体制、雇用制度の見直し | ||
・顧客セグメントの見直し(自宅需要の拡大、ケータリング事業者需要の拡大など) | ||
マテリアリティ項目 | ③貢献する SDGsのゴール | ④中計で掲げる 戦略への影響 | ⑤影響の 大きさ | ⑥発現の 蓋然性、時期 | ⑦評価 | ⑧前年 比較 | |||
食と健康の課題解決 への貢献 | 健康を軸とした生活者への価値提案力の低下、及び提案の競争力低下による生活者需要の低下。 | 大 | 中 | 極めて重要 | → | ||||
生活者の ライフスタイルの 変化に対する 迅速な提案 | 中 | 高 | 極めて重要 | → | |||||
製品の安全・安心 の確保 | - | 小 | 高 | 注視 | → | ||||
多様な人財の活躍 | 多様な人材が活躍できないことによる計画の実行力、及び食と健康の課題解決力の低下。 | 中 | 中 | 重要 | → | ||||
気候変動への適応と その緩和 | コスト上昇による、食と健康の課題解決を通じて効率性高く成長できる収益構造実現(ROIC向上)の遅れ。 環境対応の不足によりブランド価値が毀損することによって、提供価値が低下、又は提供価値への信頼が低下する。 | 大 | 中 | 極めて重要 | → | ||||
資源循環型社会実現 への貢献 | 中 | 高 | 極めて重要 | → | |||||
フードロスの低減 | 小 | 中 | 注視 | → | |||||
持続可能な 原材料調達 | 中 | 高 | 極めて重要 | → | |||||
水資源の保全 | 中 | 中 | 重要 | → | |||||
ガバナンスの強化 | ガバナンス強化に向けたマネジメント変革の遅れによる組織の機能低下、機能不全による、計画実行力の低下。 | 中 | 中 | 重要 | → | ||||
グローバルな 競争激化への備え | 主要事業への重点化の遅れにより、重点事業における新たな付加価値の提供が遅れ、効率性、オーガニック成長が低下。 | 中 | 高 | 極めて重要 | → |
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