有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OH9B (EDINETへの外部リンク)
三菱HCキャピタル株式会社 事業等のリスク (2022年3月期)
当社グループの事業等のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なものを「(1)統合リスク管理」に記載している枠組みで総合的に管理し、リスクの概要やリスクに対する主な取組み等の具体的な内容については「(2)統合リスク管理の枠組みで管理している重要なリスク」に記載しています。当社グループでは、このようなリスクに対する適切な管理態勢を構築し、リスク顕在化の未然防止と発生時の影響の極小化に努めています。
考えられるリスク要因を管理対象として、各リスクの所管部門が外部環境の変化等による課題を把握し、定期的にこれらのリスクに対する対策を検討のうえ、業務執行の統制を行うための協議決定機関である経営会議に遅滞なく報告する管理態勢としています。具体的には、個別リスクの課題と対策を議論するALM(資産・負債の総合管理)委員会・コンプライアンス委員会・J-SOXに関わる情報開示委員会等のほか、経営全般に係るリスクを総合的かつ体系的に管理するリスク管理委員会を四半期毎及び必要に応じて開催し、リスク状況の報告・対応方針の審議等を行っています。また、各委員会における重要事項は、取締役会に報告し、審議しています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)統合リスク管理
当社では、経営の健全性維持と収益性向上を両立させることで持続的な成長を図るため、「統合リスク管理」の枠組みを組み込んだ事業運営を行っています。統合リスク管理の枠組みで管理している重要なリスクには、信用リスク、アセットリスク、投資リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスク等があり、連結ベースでリスク管理を行っています。
具体的には、アセットやビジネスの特性に応じた評価手法により各リスクを定量化した上で、当社のリスク資本管理方針に基づきそれぞれのリスクカテゴリーにリスク資本を配賦し、リスク許容度の範囲内で合理的なリスクテイクを行う態勢としています。
こうしたリスク管理の枠組みの中で、定期的にリスク資本の使用状況や各種ポートフォリオの状況についてモニタリングを行い、リスク管理委員会、経営会議及び取締役会に報告され、審議することで、適切な対応を務めるとともに、社内におけるリスクに関するコミュニケーションの充実を図っています。リスク管理態勢や管理の状況は、取締役会が把握し、監督する態勢となっています。
(2)統合リスク管理の枠組みで管理している重要なリスク
当社グループは、グローバルに事業活動を行っており、取引先の事業に必要な設備投資やサービスをリース等により提供しています。リース取引等のために保有するアセットは、事務機器や生産設備といった一般的な動産のほか、航空機等特定の産業で使用されるアセットまで多様化しています。国内外の景気の減速・後退に伴い、取引先の事業環境等が悪化し設備投資需要が大幅に減少した場合、リース取引の減少等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、内部プロセス・人・システムが不適切であることもしくは機能しないこと、又は外生的事象が生起することから生じる損失によっても、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これら想定されるリスクを対象として、当社では「(1)統合リスク管理」で記載した枠組みで重要なリスクを管理しています。
① 信用リスク
当社グループは、リース取引や割賦販売取引や金銭の貸付等の形態による金融サービスの提供により、中長期にわたり信用を供与する事業を行っています。今後の景気動向や金融情勢によっては、企業の信用状況悪化による不良債権の増加に伴い貸倒引当金の追加繰入等が必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、グローバルなビジネス展開を行っていることから、取引先や投資先の国や地域における政治・経済等の状況によって損失を被るカントリーリスクを負っています。
〔リスクに対する主な取組み〕
個別案件の取組み可否の検討にあたっては、当社グループ独自の格付制度を用いて取引先の信用状況を精査するとともに、リース対象物件の価値やカントリーリスク等を踏まえた上で総合的に審査を行い、リスクに基づく適切なリターンの確保に努めています。また、取引開始後も継続的に取引先の信用状況をチェックし、取引先の信用状況悪化の際には必要な措置を講ずる態勢を整えています。さらに、ポートフォリオ全体として、特定取引先、業種、国・地域等に与信が集中しないよう、リスク分散を考慮した与信運営に取り組んでいることに加えて、定期的にポートフォリオの信用リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。
② アセットリスク
当社グループは、国内外において、一般的な動産に加え、航空機等のグローバルアセット、建物等の不動産を保有し、オペレーティング・リース等の形態で、これらを賃貸する事業を行っています。この事業では、前述の信用リスクに加えて、アセットリスクを負っているため、アセットの運用や処分によって得られる収入の変動が当該取引の採算に影響を及ぼす可能性があります。このため、オペレーティング・リースの取組みにあたっては、個別案件の取組み時に、取引先の信用状況に加え、アセットの種類に応じて、その価値を慎重に見極めて審査を行っています。また、取引開始後も継続的に当該アセットに係るリースや売買市場の状況、賃借人によるアセットの利用状況等のモニタリングを行い、リスクの顕在化防止、軽減に努めています。
a. グローバルアセット
当社グループは、航空機、航空機エンジン、船舶、コンテナ、鉄道貨車等のグローバルアセットを国内外において保有し、オペレーティング・リース等の形態で、これらを賃貸する事業を行っています。グローバルアセットに関する事業では、前述の信用リスクに加えて、当該アセットの価格変動リスクを負っています。オペレーティング・リースでは、取引先からのリース料収入のほか、リース期間満了後にアセットを売却して資金の回収を図ります。また、取引先の経営破綻等の際には、当該アセットを引き揚げた上で、別の取引先とリース取引等を行うほか、アセットを売却して資金の回収を図ります。アセットの売却に際しては、景気動向や金融情勢のほか、技術的問題に起因する大事故、技術革新による陳腐化、法律や規制等の改定、世界的な感染症の拡大やテロの懸念の高まり、あるいは自然災害や戦争・地政学的リスク等によってもアセットを取り戻せなくなるリスクやアセット売却価格が変動するリスクが生じるほか、減損損失の計上や物件管理に付随するコストの増加等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
グローバルアセットのオペレーティング・リースの取組みにあたっては、個別案件の取組み時に、動産を対象とする取引時の確認事項に加え、将来のアセットの流動性等を含め総合的に審査を行うとともに、信用リスクやアセットの価格変動リスクに見合った適切なリターンの確保に努めています。さらに、対象機種や地域・満了時期等リスク分散を考慮したポートフォリオを維持すべく、当社グループ内で投資クライテリアを定めて運用しています。また、取引開始後も継続的に取引先の信用状況や業界動向をチェックし、必要に応じてアセットの劣化を回復するための預かり金を取引先から徴求するなどして、取引先の信用状況悪化の際に必要な措置を講ずる態勢を整えています。加えて、主要なアセットカテゴリー毎に、事業部門とリスク管理部門にて、定期的に対象業界の動向やアセットの価値変動に影響を及ぼす兆候を点検する予兆管理会議を開催しています。また、定期的に取引先の信用リスクやポートフォリオにおけるアセットの価値変動リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。
b. 不動産
当社グループは、国内外において、オフィス、住宅、商業施設、物流施設、ホテル等の商業不動産に対する投融資や保有不動産を活用した賃貸及び事業運営等を行っていますが、当該アセットは収入変動リスクや価格変動リスクを負っています。不動産に関する事業では、テナント等からの賃貸料収入のほか、長期保有方針以外のアセットでは、適切な時期にアセットを売却して資金の回収を図ります。賃貸料収入やアセットの売却収入については、景気動向、金融情勢、アセットの所在する個別のロケーションの賃貸市況といった市況環境によって収入が変動し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
個別案件の取組み時に、将来のアセット価値や流動性等を慎重に見極めて総合的に判断を行うとともに、アセットの価格変動リスクに見合った適切なリターンの確保に努めています。また、取組み後も継続的にアセットの運用状況、価格動向や業界動向をチェックし、収益の極大化を図る態勢を整えています。加えて、事業部門とリスク管理部門にて、定期的に業界の動向やアセットの価値変動に影響を及ぼす兆候を点検する予兆管理会議を開催しています。また、定期的にポートフォリオにおけるアセットの価値変動リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。
③ 投資リスク
当社グループは、太陽光発電を中心とする再生可能エネルギー事業、海外インフラ事業に代表されるプロジェクト向け投融資、事業会社やファンドへの出資等の様々な事業に対する投資活動を行っています。このような投資活動においては、景気変動や需要の減退といった事業環境が変化するリスク、投資先やパートナーの業績停滞等に伴って期待通りの収益が上げられないリスクや投資額の回収可能性が低下するリスク、投資先の株価が一定水準を下回るリスクがあるほか、投資先の業績にかかわらず経済・金融情勢の急激な変化や金融市場の大きな混乱等により株価が一定水準を下回る状態が相当期間に及ぶリスク等があり、評価上の損失を含め投資の一部又は全部が損失となる、あるいは追加資金拠出が必要となる場合があります。さらには、パートナーとの経営方針の相違、投資資産の流動性の低さ等により当社グループが望む時期や方法での事業撤退や事業再編が行えないリスク、あるいは、投資先から適切な情報を入手できず当社グループに不利益が発生する等のリスクがあり、そのような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
投資案件の取組みにあたっては、個別案件の投資額やリスクの深度等に応じて投資協議会を開催して関係各部の意見を確認、幅広い視点で将来の投資価値や流動性等を慎重に見極めて総合的に判断を行うとともに、投資変動リスクに見合った適切なリターンの確保に努めています。加えて、取組み後も継続的に投資の運用状況や業界動向をチェックし、収益の極大化を図る態勢を整えています。また、定期的にポートフォリオにおける投資価値の変動リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。
④ 市場リスク
a. 金利変動リスク
当社グループの行うリース取引や割賦取引におけるリース料や賦払金は、取引対象物件の購入代金や契約時点の市場金利水準等を基に設定され、基本的に契約期間中は変動しない取引が主体となっています。一方、リース物件等の取得資金については、資金調達の多様化や資金コスト低減のために、固定金利調達と変動金利調達とのバランスを図りながら調達を行っていますが、資金原価は市場金利の変動にも影響を受けます。したがって、金融情勢の急変によって、市場金利が急激に上昇するような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
b. 為替変動リスク
当社グループは、海外での事業展開に積極的に取組み、外貨建資産が増加しており、連結営業資産に占める割合も高まっています。当社グループの海外連結子会社では、原則として資産と同一通貨での資金調達を行っていますが、各社の財務諸表は現地通貨で表示されている一方、当社の連結財務諸表は日本円で表示されているため、為替相場の大幅な変動が生じた場合、日本円換算での当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループでは、金融市場の動向を随時注視するとともに、ALM(資産・負債の総合管理)により、資産運用と資金調達の金利形態や為替等のミスマッチの状況を随時モニタリングし、金利動向を考慮しながら適宜ヘッジオペレーションを行い、金利変動リスクを管理しています。為替変動リスクへの対応としては、外貨建営業資産に合致した通貨での資金調達を原則とし、為替評価差損益を極小化するよう努めています。また、金利や為替相場が不利な方向に動いた場合に、保有ポートフォリオのポジションが、一定期間、一定の確率でどの程度損失を被る可能性があるかを過去の統計に基づいて計量的に示したリスク量を定期的に計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。なお、ALM委員会は四半期毎又は状況に応じて開催し、地政学リスク、パンデミック等、様々なリスクファクターによるシナリオ分析、データ分析を行い、金融市場環境の動向やリスク量の状況などを踏まえてALM方針を決定しています。
⑤ 流動性リスク
当社グループは、リース取引に係るリース物件の取得及び割賦取引や金銭の貸付等の事業を行うにあたって、内外の通貨により多額の資金調達を行っています。リース等の与信取引や投資等の期間と資金調達の期間とのバランスを図りながら調達を行っていますが、経済・金融情勢の急激な悪化や金融市場の大きな混乱、あるいは当社グループの信用力低下等により、金融機関や投資家のリスク回避姿勢が強まり、充分な資金の確保が困難になる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
資金調達については、金融機関からの借入に加え、社債、コマーシャルペーパー、リース債権流動化等市場からの直接調達により多様化に努め、かつ、長期・短期の調達バランスの調整や綿密な資金繰り管理を行うとともに、コミットメントラインの取得等により緊急時の流動性補完対策を講じ、資金の流動性確保を図っています。また、資金流動性のステージ管理を実施しており、調達環境が悪化した場合であっても返済資金を含めた当面の必要資金が確保できるように調達構造を構築し、その流動性の状況を確認し、ALM委員会に報告する運用としています。
ALM委員会では、金利感応度分析(金利変動による収益への影響分析)、クレジット分析を実施するほか、金融市場などにストレスがかかった場合における④の市場リスク及び⑤の流動性リスクの状況や損益インパクト等を総合的に検証した上で、市場環境を踏まえた全社戦略を実現するための資金調達戦略、リスク対応への方針を決定しています。特に、リスク管理に関しては、全社的な統合リスク管理の一環であるリスク管理委員会とも連携しています。予兆管理態勢を強化し、コンティンジェンシー・プランと合わせることで、危機に直面したときの財務構造の柔軟性と回復力の向上に努めています。
また、当社グループは近年の事業のグローバル化を支え、外貨調達力を引き上げる為にも、地域財務拠点の再構築を進めています。その一環として、まず当社グループの資産残高の多い北米にて地域財務拠点を開設し北米における「グループファイナンス体制」を整備しました。同拠点では、間接金融のみならずUSコマーシャルペーパーやMTNの発行等による多様な資金調達の実行と、北米に展開するグループ会社に対する資金の提供を行っています。また金融情勢のモニタリング機能を強化しており、知見や情報の当社グループ内での共有化を進め、北米での最適な事業サポートを進めています。
⑥ オペレーショナルリスク
a. 地震・風水害・感染症・戦争・テロ等に関するリスク
当社グループは、国内外に拠点・システム等の設備を有し事業活動を行っており、地震・風水害等の自然災害や感染症・戦争・テロ等その他の突発的な事態が発生した場合、拠点やシステム等への被害、従業員が直接の被害を受ける又は出社が制限される等により、拠点の活動が縮小又は運営困難などの被害が生じ、事業活動に支障が生じる可能性があります。また、その被害の程度、あるいは当該事象の発生の長期化等によっては、システム等の設備の復旧に多額の費用が必要になる可能性や事業活動の回復に長期間を要する可能性があり、このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループでは、このような事態に備え、想定されるリスク事象により所管部を定め、危機事態には対策本部を設置し対応する態勢を整備しています。また、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定、基幹システムの二重化対策、在宅勤務が可能なシステムインフラ整備による業務継続、継続すべき業務を限定した上での交代出社等により、業務継続態勢の整備を進めています。
なお、当社グループはウクライナ・ロシアに拠点を有していないこともあり、ウクライナ情勢による当社グループへの直接的な影響は限定的と想定していますが、今後の当該状況によっては取引先企業の信用状況悪化による不良債権の増加等の間接的影響に伴い貸倒引当金の追加繰入等が必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2022年3月以降、当社では危機管理対策本部を設置し、サイバーセキュリティ対応、貿易管理やマネーロンダリング対応、金融動向注視、案件審査管理の強化、当社営業資産価値への影響注視、その他間接的影響の把握及び管理等に努めています。
b. システムリスク
当社グループは、様々な情報システムを利用し、会計処理、各種契約管理、取引先管理、リース物件の資産管理等を行うほか、電子メール等を利用しています。これらの情報システムについては、保守の不備、開発の不調等を起因とするシステムの停止や障害の発生による契約・回収等の業務や取引先への提供サービスの中断による営業活動の停滞、経済的損失等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループは、システムの安定稼働のため、当社及び協力会社との連携による強固な保守管理態勢を整備し運用しています。障害等発生時には当該事象の社内外の速やかな情報連携・対応を行うとともに、その後の再発防止策の策定・実施も含めた一連の対応態勢を構築しています。また、システムの開発にあたっては、当社開発プロセスの標準的手法を国内外のグループ会社へも展開しグループベースでのIT統制を行っています。
c. サイバーセキュリティリスク・情報セキュリティリスク
当社グループは、様々な情報システムを利用し、会計処理、各種契約管理、取引先管理、リース物件の資産管理等を行うほか、電子メール等を利用しており、これらの情報システムについては、ビジネスメール詐欺、コンピュータウイルスの侵入、外部からの不正アクセス等、サイバー攻撃等を受けるリスクがあります。外部からの不正アクセスやコンピュータウイルスの侵入、人為的ミス、不正、詐欺行為等により、システムの停止や障害、金銭的被害の発生、あるいは当社機密情報や取引先情報の漏洩、不正使用等が発生した場合、契約・回収等の業務や取引先への提供サービスの中断による営業活動の停滞、経済的損失、重要情報の外部への漏洩による社会的信頼の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループでは、これらのリスクに対し、社内に組織横断型チームMHC-SIRT(Security Incident Response Team)を設置し、入口・内部・出口の多段階での防御とインシデント発生時の対応態勢を整備しています。具体的には、脆弱性を悪用したサイバー攻撃への備えとして、ソフトウェアを最新の状態に更新し、外部からの不正アクセスやコンピュータウイルスの侵入、サイバー攻撃等を検知し、トラブルを未然に防止する管理態勢を講じるとともに、インシデント発生時の社内外の連携態勢の整備・訓練を行い、全社員に対し標的型メール訓練や情報セキュリティに係る社内教育を継続的に実施しています。
d. コンプライアンスリスク
当社グループの業務活動は、国内外の各種関連法令等の適用を受けています。主なものとして、会社法、税法、金融商品取引法、独占禁止法、個人情報保護法、貸金業法、割賦販売法、犯罪収益移転防止法、環境に関する法令等を遵守する必要があり、海外においては、それぞれの国・地域における法令の適用を受け、規制当局の監督を受けています。法令や社会規範・社内ルール等が遵守されなかった場合、業務の制限や停止、取引先等からの損害賠償の請求、社会的信頼の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループは、法令や社内ルールの厳格な遵守に加え、高い倫理観をもって社会規範等に従って業務活動等を行うこととしており、コンプライアンスに関する継続的な教育や、マネー・ローンダリング・テロ資金供与行為並びに不正行為の未然防止を図る対策を講じ、コンプライアンス態勢の強化に努めています。
e. 制度変更リスク
当社グループの業務活動は、国内外の法令・会計・税制等、各種制度の適用を受けています。当社の業務に密接に関連する各種制度に大幅変更・改訂等が発生し、当社が当該制度変更・改訂に適切に対処できなかった場合、各種制度への不適合による罰則、商品の取扱い中止、業務活動の制限、会計上の売上減少等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループでは、国内外の法令・会計・税制等の各種制度について、コーポレートセンター・各事業部門・国内営業拠点、各国拠点のそれぞれが、担当業務・国に係る制度等の改訂・変更の状況を継続的にモニタリングしていることに加え、外部専門家の積極的な活用により当該モニタリングを補強しながら、各種変更・改訂の早期の情報収集・対策の実施を行っています。
f. 事務リスク
当社グループは、様々な形態の取引を行っており、取引毎に様々な事務管理が発生しています。これらの事務管理については、不適切な事務等の人為的ミス、不正等により、契約・回収等の業務や取引先への提供サービスの中断による営業活動の停滞、取引先からの信用の失墜等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループは、取引毎に事務管理ルールを定め、当該事務管理ルールに従って業務を行うとともに、同ルールの見直しを適宜実施しています。また、社内で事務事故が発生した場合の社内報告態勢を整備し、事故発生時には社内報告・発生事象への迅速な対応・事故原因の特定と再発防止策の策定・実施を行う態勢を構築し運用しています。
(3)その他の重要なリスク
当社グループでは、統合リスク管理の枠組みで管理しているリスク以外にも、以下のような重要なリスクについても認識しています。こうしたリスクが顕在化する可能性が認められる場合、当該リスクの状況・見通しを含め、統合リスク管理の枠組みで管理している各リスク項目への影響や複数のリスク項目に跨る複合的な影響を分析するとともに、当社グループとしての対応を検討、必要に応じて対応方針を策定するほか、状況に応じて新たなシナリオや複数のシナリオを想定したストレステストなどを実施して、リスク耐久力に対する多面的な検証を行っています。
① 事業基盤拡大・戦略的提携・M&A等に関するリスク
当社グループは、事業基盤拡大による持続的な成長を図るため、国内外で、当社グループ独自での展開に加え、各種サービスの充実に向けた外部との戦略的な提携にも取り組んでおり、また、M&Aによりグループの事業ポートフォリオの多様化・拡充を図っています。
このようなアプローチで、事業の多角化やサービスの充実に取り組んでおりますが、国内外の経済・金融情勢の変化、競争の激化、提携先の事業環境の変化や戦略の変化、関連法令の変更等により、期待した効果が得られない可能性、M&Aの際に計上したのれんの減損処理を迫られる等、追加的な費用計上が必要となる可能性があり、このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
M&A等の案件の取組みにあたっては、個別案件の投資額やリスクの深度等に応じて関係各部で検討を行うほか、外部の専門家を起用し、幅広い視点で投資ストラクチャーの合理性や将来の投資効果等を慎重に見極めて総合的に判断を行うこととしています。なお、M&A案件実行後においても、当社グループの規程等を適用し、適正な業務運営を行う態勢を整備するともに、その事業計画や実績管理等のモニタリングを行い必要な対応を適時に行う態勢としています。
② 世界的な感染症リスク
世界的な感染症の拡大(パンデミック)が生じた場合、広域なサプライチェーンの分断、各国政府による経済活動の一定期間の抑制措置や停止措置の実施、産業システムや金融機能の棄損などにより、幅広い顧客層や当社保有アセットを利用したビジネスに影響が波及し、取引先の経営破綻や保有アセットの価値下落などが生じて、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2020年2月以降、グローバルな対応態勢を整備するため、危機管理対策本部を設置し業務継続態勢を整備しています。また現在は、Withコロナのフェーズにあるという認識の下、感染防止対策を継続しつつ、新たな取組みを止めることのないよう、ITツールの活用による社内外とのコミュニケーションの強化、ビジネススタイルの進化等を推進しています。
〔新型コロナウイルス感染症による影響〕
2020年より続いている新型コロナウイルス感染症は、ワクチン接種が進むも、新たな変異株の拡大と一時的な収束が各国で繰り返され、感染症の完全な終息時期は不透明であり、当面はその影響が一定程度残る状態が続くと想定されます。
新型コロナウイルス感染症の拡大が当社グループのビジネスに与える影響としては、世界的な経済活動の停滞に伴って顧客が設備投資の抑制・縮小・延期等を行うことで、当社グループの営業資産が計画通りに拡大できない乃至は減少し、収益の低下に繋がる可能性があります。次に、物価上昇や金利上昇あるいはサプライチェーンの混乱等を含めた様々な影響により、顧客の信用状況悪化による不良債権の増加に伴い、貸倒引当金の追加繰入等が増加する可能性があります。
さらに、当社グループが営業資産として所有するアセットの価格下落やリース等に供するアセットの稼働率低下、あるいは保有する株式等の価格下落に繋がる可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中で金融危機が生じた場合、資金調達が計画通りにできない可能性がありますが、当社グループは手元の資金流動性を厚くする措置を講じていることに加え、これまでの各国・地域の中央銀行のコントロール等により、そのような事態は生じておりません。
なお、今後も移動制限等の措置に伴って当社グループの業務活動にも制約が掛かる可能性がありますが、With/Postコロナに対応すべく社内でのプロジェクト活動を推進しており、引き続き感染防止措置を十分に講じつつ、業務フローの見直しやITツールの活用及び情報セキュリティ強化等を図って、円滑にリモートでの業務活動を可能とする態勢整備を拡充しています。
③ 気候変動リスク
社会的に多大な影響を与える気候変動が生じた場合、自然災害の規模や頻度が高まり、当社グループ及び取引先が、気候変動による悪影響を防ぐための規制の変更又は技術革新やビジネスモデルの転換に対応できないこと、あるいはビジネスモデルやビジネス上のインフラやツール等が劇的に変化するなどにより、業績悪化や資産の喪失などによる取引先の経営破綻、当社グループが保有するアセットの価値下落や物件喪失などが生じて、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動リスクへの対応や情報開示が不十分であった場合又はそのように見做された場合には、当社グループの企業価値の毀損に繋がるおそれがあります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループは、持続的に成長する上で優先的に取り組むべきテーマとして、「脱炭素社会の推進」や「サーキュラーエコノミーの実現」をマテリアリティ(重要課題)として認識しており、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明し、TCFD提言に準拠したリスクの把握・評価や情報開示の拡充に取り組んでいます。また、当社グループは、気候変動リスクを全社的なリスク管理における重要なリスクの一つとして認識しており、気候変動リスクを把握し、管理する取組みを進めていきます。
④ ビジネス領域の拡大に伴うリスク
当社グループは、法令や規制をはじめとする各種の条件で許容される範囲において、新規のビジネス領域を含めた業務範囲をグローバルベースで拡大しています。その過程において、拡大したビジネス領域に関する経験や知見又はリスクの検証を実施してもなお、リスクの顕在化が合理的想定の範囲を超えるなどした場合、あるいは、拡大した業務範囲のビジネスが想定通りに進展しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 競争の激化
当社グループが国内外で行っているリース取引等の各種事業では、同業のみならず金融機関等も含めた競争の更なる激化、あるいは異業種のビジネスモデル転換や技術革新等による競争環境の変化が生ずる可能性があります。当社グループでは、競争力の維持・強化に向けて、取引先への更なる付加価値サービスの提供、アセットホルダーとしての価値創造力、低コストによる資金調達等様々な取組みを進めていますが、競争状況がさらに激化した場合、マーケットシェアの低下や利益の減少により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 人材確保に関するリスク
当社グループは、国内外で展開している各種事業の競争力を維持・強化していくため、充分な人的資源を安定的に確保する必要があります。当社グループでは、継続的に有能な人材の確保・育成に努めていますが、必要な人材を十分に確保・育成できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 労務・雇用管理に関するリスク
当社グループの業務には多くの従業員が従事していますが、長時間労働により、従業員の心身の健康等に悪影響を及ぼし、想定していた業務を遂行できないリスク、又は雇用等に関する法令遵守事項を適切にモニタリングしていないことによって法令違反を犯してしまうリスク、加えてこれらにより社会的信用を毀損する可能性があります。
上述のリスクを低減するため、生産性向上に向けたプロジェクトや多様な働き方を可能とする制度(テレワーク、フレックスタイム等)を推進し、長時間労働縮減だけでなく育児・介護の必要な社員が活躍できる環境づくりに努めています。また、ハラスメント等の労務問題についても国内外の従業員に対して、社内通報・相談窓口を設置するなど対応しています。当社では、従業員が最大限能力を発揮できるよう「働きやすい職場づくり」を当社の重要な取組みテーマとして推進しています。
(4)ストレステスト
経営戦略の遂行にあたっては、景気悪化や市場変動、各種市況の悪化等、当社グループのビジネスに影響を及ぼすと考えられる様々なリスク事象について、ストレス時の影響度を把握するようにしています。具体的には、世界経済が悪化するシナリオに加え、事業分野毎に市況変動やクレジットの悪化、大口集中リスクの顕在化など、強いストレスを想定した複数のシナリオを設定し、ストレス状況下において、期間損益や自己資本にどの程度の影響が生じる可能性があるのか、分析・検証を行っています。
こうした多面的な検証により、経営計画において、リスク選好に無理は生じていないか、リスクの耐久力の確認を行っています。
考えられるリスク要因を管理対象として、各リスクの所管部門が外部環境の変化等による課題を把握し、定期的にこれらのリスクに対する対策を検討のうえ、業務執行の統制を行うための協議決定機関である経営会議に遅滞なく報告する管理態勢としています。具体的には、個別リスクの課題と対策を議論するALM(資産・負債の総合管理)委員会・コンプライアンス委員会・J-SOXに関わる情報開示委員会等のほか、経営全般に係るリスクを総合的かつ体系的に管理するリスク管理委員会を四半期毎及び必要に応じて開催し、リスク状況の報告・対応方針の審議等を行っています。また、各委員会における重要事項は、取締役会に報告し、審議しています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)統合リスク管理
当社では、経営の健全性維持と収益性向上を両立させることで持続的な成長を図るため、「統合リスク管理」の枠組みを組み込んだ事業運営を行っています。統合リスク管理の枠組みで管理している重要なリスクには、信用リスク、アセットリスク、投資リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスク等があり、連結ベースでリスク管理を行っています。
具体的には、アセットやビジネスの特性に応じた評価手法により各リスクを定量化した上で、当社のリスク資本管理方針に基づきそれぞれのリスクカテゴリーにリスク資本を配賦し、リスク許容度の範囲内で合理的なリスクテイクを行う態勢としています。
こうしたリスク管理の枠組みの中で、定期的にリスク資本の使用状況や各種ポートフォリオの状況についてモニタリングを行い、リスク管理委員会、経営会議及び取締役会に報告され、審議することで、適切な対応を務めるとともに、社内におけるリスクに関するコミュニケーションの充実を図っています。リスク管理態勢や管理の状況は、取締役会が把握し、監督する態勢となっています。
(2)統合リスク管理の枠組みで管理している重要なリスク
当社グループは、グローバルに事業活動を行っており、取引先の事業に必要な設備投資やサービスをリース等により提供しています。リース取引等のために保有するアセットは、事務機器や生産設備といった一般的な動産のほか、航空機等特定の産業で使用されるアセットまで多様化しています。国内外の景気の減速・後退に伴い、取引先の事業環境等が悪化し設備投資需要が大幅に減少した場合、リース取引の減少等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、内部プロセス・人・システムが不適切であることもしくは機能しないこと、又は外生的事象が生起することから生じる損失によっても、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これら想定されるリスクを対象として、当社では「(1)統合リスク管理」で記載した枠組みで重要なリスクを管理しています。
① 信用リスク
当社グループは、リース取引や割賦販売取引や金銭の貸付等の形態による金融サービスの提供により、中長期にわたり信用を供与する事業を行っています。今後の景気動向や金融情勢によっては、企業の信用状況悪化による不良債権の増加に伴い貸倒引当金の追加繰入等が必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、グローバルなビジネス展開を行っていることから、取引先や投資先の国や地域における政治・経済等の状況によって損失を被るカントリーリスクを負っています。
〔リスクに対する主な取組み〕
個別案件の取組み可否の検討にあたっては、当社グループ独自の格付制度を用いて取引先の信用状況を精査するとともに、リース対象物件の価値やカントリーリスク等を踏まえた上で総合的に審査を行い、リスクに基づく適切なリターンの確保に努めています。また、取引開始後も継続的に取引先の信用状況をチェックし、取引先の信用状況悪化の際には必要な措置を講ずる態勢を整えています。さらに、ポートフォリオ全体として、特定取引先、業種、国・地域等に与信が集中しないよう、リスク分散を考慮した与信運営に取り組んでいることに加えて、定期的にポートフォリオの信用リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。
② アセットリスク
当社グループは、国内外において、一般的な動産に加え、航空機等のグローバルアセット、建物等の不動産を保有し、オペレーティング・リース等の形態で、これらを賃貸する事業を行っています。この事業では、前述の信用リスクに加えて、アセットリスクを負っているため、アセットの運用や処分によって得られる収入の変動が当該取引の採算に影響を及ぼす可能性があります。このため、オペレーティング・リースの取組みにあたっては、個別案件の取組み時に、取引先の信用状況に加え、アセットの種類に応じて、その価値を慎重に見極めて審査を行っています。また、取引開始後も継続的に当該アセットに係るリースや売買市場の状況、賃借人によるアセットの利用状況等のモニタリングを行い、リスクの顕在化防止、軽減に努めています。
a. グローバルアセット
当社グループは、航空機、航空機エンジン、船舶、コンテナ、鉄道貨車等のグローバルアセットを国内外において保有し、オペレーティング・リース等の形態で、これらを賃貸する事業を行っています。グローバルアセットに関する事業では、前述の信用リスクに加えて、当該アセットの価格変動リスクを負っています。オペレーティング・リースでは、取引先からのリース料収入のほか、リース期間満了後にアセットを売却して資金の回収を図ります。また、取引先の経営破綻等の際には、当該アセットを引き揚げた上で、別の取引先とリース取引等を行うほか、アセットを売却して資金の回収を図ります。アセットの売却に際しては、景気動向や金融情勢のほか、技術的問題に起因する大事故、技術革新による陳腐化、法律や規制等の改定、世界的な感染症の拡大やテロの懸念の高まり、あるいは自然災害や戦争・地政学的リスク等によってもアセットを取り戻せなくなるリスクやアセット売却価格が変動するリスクが生じるほか、減損損失の計上や物件管理に付随するコストの増加等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
グローバルアセットのオペレーティング・リースの取組みにあたっては、個別案件の取組み時に、動産を対象とする取引時の確認事項に加え、将来のアセットの流動性等を含め総合的に審査を行うとともに、信用リスクやアセットの価格変動リスクに見合った適切なリターンの確保に努めています。さらに、対象機種や地域・満了時期等リスク分散を考慮したポートフォリオを維持すべく、当社グループ内で投資クライテリアを定めて運用しています。また、取引開始後も継続的に取引先の信用状況や業界動向をチェックし、必要に応じてアセットの劣化を回復するための預かり金を取引先から徴求するなどして、取引先の信用状況悪化の際に必要な措置を講ずる態勢を整えています。加えて、主要なアセットカテゴリー毎に、事業部門とリスク管理部門にて、定期的に対象業界の動向やアセットの価値変動に影響を及ぼす兆候を点検する予兆管理会議を開催しています。また、定期的に取引先の信用リスクやポートフォリオにおけるアセットの価値変動リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。
b. 不動産
当社グループは、国内外において、オフィス、住宅、商業施設、物流施設、ホテル等の商業不動産に対する投融資や保有不動産を活用した賃貸及び事業運営等を行っていますが、当該アセットは収入変動リスクや価格変動リスクを負っています。不動産に関する事業では、テナント等からの賃貸料収入のほか、長期保有方針以外のアセットでは、適切な時期にアセットを売却して資金の回収を図ります。賃貸料収入やアセットの売却収入については、景気動向、金融情勢、アセットの所在する個別のロケーションの賃貸市況といった市況環境によって収入が変動し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
個別案件の取組み時に、将来のアセット価値や流動性等を慎重に見極めて総合的に判断を行うとともに、アセットの価格変動リスクに見合った適切なリターンの確保に努めています。また、取組み後も継続的にアセットの運用状況、価格動向や業界動向をチェックし、収益の極大化を図る態勢を整えています。加えて、事業部門とリスク管理部門にて、定期的に業界の動向やアセットの価値変動に影響を及ぼす兆候を点検する予兆管理会議を開催しています。また、定期的にポートフォリオにおけるアセットの価値変動リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。
③ 投資リスク
当社グループは、太陽光発電を中心とする再生可能エネルギー事業、海外インフラ事業に代表されるプロジェクト向け投融資、事業会社やファンドへの出資等の様々な事業に対する投資活動を行っています。このような投資活動においては、景気変動や需要の減退といった事業環境が変化するリスク、投資先やパートナーの業績停滞等に伴って期待通りの収益が上げられないリスクや投資額の回収可能性が低下するリスク、投資先の株価が一定水準を下回るリスクがあるほか、投資先の業績にかかわらず経済・金融情勢の急激な変化や金融市場の大きな混乱等により株価が一定水準を下回る状態が相当期間に及ぶリスク等があり、評価上の損失を含め投資の一部又は全部が損失となる、あるいは追加資金拠出が必要となる場合があります。さらには、パートナーとの経営方針の相違、投資資産の流動性の低さ等により当社グループが望む時期や方法での事業撤退や事業再編が行えないリスク、あるいは、投資先から適切な情報を入手できず当社グループに不利益が発生する等のリスクがあり、そのような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
投資案件の取組みにあたっては、個別案件の投資額やリスクの深度等に応じて投資協議会を開催して関係各部の意見を確認、幅広い視点で将来の投資価値や流動性等を慎重に見極めて総合的に判断を行うとともに、投資変動リスクに見合った適切なリターンの確保に努めています。加えて、取組み後も継続的に投資の運用状況や業界動向をチェックし、収益の極大化を図る態勢を整えています。また、定期的にポートフォリオにおける投資価値の変動リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。
④ 市場リスク
a. 金利変動リスク
当社グループの行うリース取引や割賦取引におけるリース料や賦払金は、取引対象物件の購入代金や契約時点の市場金利水準等を基に設定され、基本的に契約期間中は変動しない取引が主体となっています。一方、リース物件等の取得資金については、資金調達の多様化や資金コスト低減のために、固定金利調達と変動金利調達とのバランスを図りながら調達を行っていますが、資金原価は市場金利の変動にも影響を受けます。したがって、金融情勢の急変によって、市場金利が急激に上昇するような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
b. 為替変動リスク
当社グループは、海外での事業展開に積極的に取組み、外貨建資産が増加しており、連結営業資産に占める割合も高まっています。当社グループの海外連結子会社では、原則として資産と同一通貨での資金調達を行っていますが、各社の財務諸表は現地通貨で表示されている一方、当社の連結財務諸表は日本円で表示されているため、為替相場の大幅な変動が生じた場合、日本円換算での当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループでは、金融市場の動向を随時注視するとともに、ALM(資産・負債の総合管理)により、資産運用と資金調達の金利形態や為替等のミスマッチの状況を随時モニタリングし、金利動向を考慮しながら適宜ヘッジオペレーションを行い、金利変動リスクを管理しています。為替変動リスクへの対応としては、外貨建営業資産に合致した通貨での資金調達を原則とし、為替評価差損益を極小化するよう努めています。また、金利や為替相場が不利な方向に動いた場合に、保有ポートフォリオのポジションが、一定期間、一定の確率でどの程度損失を被る可能性があるかを過去の統計に基づいて計量的に示したリスク量を定期的に計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。なお、ALM委員会は四半期毎又は状況に応じて開催し、地政学リスク、パンデミック等、様々なリスクファクターによるシナリオ分析、データ分析を行い、金融市場環境の動向やリスク量の状況などを踏まえてALM方針を決定しています。
⑤ 流動性リスク
当社グループは、リース取引に係るリース物件の取得及び割賦取引や金銭の貸付等の事業を行うにあたって、内外の通貨により多額の資金調達を行っています。リース等の与信取引や投資等の期間と資金調達の期間とのバランスを図りながら調達を行っていますが、経済・金融情勢の急激な悪化や金融市場の大きな混乱、あるいは当社グループの信用力低下等により、金融機関や投資家のリスク回避姿勢が強まり、充分な資金の確保が困難になる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
資金調達については、金融機関からの借入に加え、社債、コマーシャルペーパー、リース債権流動化等市場からの直接調達により多様化に努め、かつ、長期・短期の調達バランスの調整や綿密な資金繰り管理を行うとともに、コミットメントラインの取得等により緊急時の流動性補完対策を講じ、資金の流動性確保を図っています。また、資金流動性のステージ管理を実施しており、調達環境が悪化した場合であっても返済資金を含めた当面の必要資金が確保できるように調達構造を構築し、その流動性の状況を確認し、ALM委員会に報告する運用としています。
ALM委員会では、金利感応度分析(金利変動による収益への影響分析)、クレジット分析を実施するほか、金融市場などにストレスがかかった場合における④の市場リスク及び⑤の流動性リスクの状況や損益インパクト等を総合的に検証した上で、市場環境を踏まえた全社戦略を実現するための資金調達戦略、リスク対応への方針を決定しています。特に、リスク管理に関しては、全社的な統合リスク管理の一環であるリスク管理委員会とも連携しています。予兆管理態勢を強化し、コンティンジェンシー・プランと合わせることで、危機に直面したときの財務構造の柔軟性と回復力の向上に努めています。
また、当社グループは近年の事業のグローバル化を支え、外貨調達力を引き上げる為にも、地域財務拠点の再構築を進めています。その一環として、まず当社グループの資産残高の多い北米にて地域財務拠点を開設し北米における「グループファイナンス体制」を整備しました。同拠点では、間接金融のみならずUSコマーシャルペーパーやMTNの発行等による多様な資金調達の実行と、北米に展開するグループ会社に対する資金の提供を行っています。また金融情勢のモニタリング機能を強化しており、知見や情報の当社グループ内での共有化を進め、北米での最適な事業サポートを進めています。
⑥ オペレーショナルリスク
a. 地震・風水害・感染症・戦争・テロ等に関するリスク
当社グループは、国内外に拠点・システム等の設備を有し事業活動を行っており、地震・風水害等の自然災害や感染症・戦争・テロ等その他の突発的な事態が発生した場合、拠点やシステム等への被害、従業員が直接の被害を受ける又は出社が制限される等により、拠点の活動が縮小又は運営困難などの被害が生じ、事業活動に支障が生じる可能性があります。また、その被害の程度、あるいは当該事象の発生の長期化等によっては、システム等の設備の復旧に多額の費用が必要になる可能性や事業活動の回復に長期間を要する可能性があり、このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループでは、このような事態に備え、想定されるリスク事象により所管部を定め、危機事態には対策本部を設置し対応する態勢を整備しています。また、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定、基幹システムの二重化対策、在宅勤務が可能なシステムインフラ整備による業務継続、継続すべき業務を限定した上での交代出社等により、業務継続態勢の整備を進めています。
なお、当社グループはウクライナ・ロシアに拠点を有していないこともあり、ウクライナ情勢による当社グループへの直接的な影響は限定的と想定していますが、今後の当該状況によっては取引先企業の信用状況悪化による不良債権の増加等の間接的影響に伴い貸倒引当金の追加繰入等が必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2022年3月以降、当社では危機管理対策本部を設置し、サイバーセキュリティ対応、貿易管理やマネーロンダリング対応、金融動向注視、案件審査管理の強化、当社営業資産価値への影響注視、その他間接的影響の把握及び管理等に努めています。
b. システムリスク
当社グループは、様々な情報システムを利用し、会計処理、各種契約管理、取引先管理、リース物件の資産管理等を行うほか、電子メール等を利用しています。これらの情報システムについては、保守の不備、開発の不調等を起因とするシステムの停止や障害の発生による契約・回収等の業務や取引先への提供サービスの中断による営業活動の停滞、経済的損失等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループは、システムの安定稼働のため、当社及び協力会社との連携による強固な保守管理態勢を整備し運用しています。障害等発生時には当該事象の社内外の速やかな情報連携・対応を行うとともに、その後の再発防止策の策定・実施も含めた一連の対応態勢を構築しています。また、システムの開発にあたっては、当社開発プロセスの標準的手法を国内外のグループ会社へも展開しグループベースでのIT統制を行っています。
c. サイバーセキュリティリスク・情報セキュリティリスク
当社グループは、様々な情報システムを利用し、会計処理、各種契約管理、取引先管理、リース物件の資産管理等を行うほか、電子メール等を利用しており、これらの情報システムについては、ビジネスメール詐欺、コンピュータウイルスの侵入、外部からの不正アクセス等、サイバー攻撃等を受けるリスクがあります。外部からの不正アクセスやコンピュータウイルスの侵入、人為的ミス、不正、詐欺行為等により、システムの停止や障害、金銭的被害の発生、あるいは当社機密情報や取引先情報の漏洩、不正使用等が発生した場合、契約・回収等の業務や取引先への提供サービスの中断による営業活動の停滞、経済的損失、重要情報の外部への漏洩による社会的信頼の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループでは、これらのリスクに対し、社内に組織横断型チームMHC-SIRT(Security Incident Response Team)を設置し、入口・内部・出口の多段階での防御とインシデント発生時の対応態勢を整備しています。具体的には、脆弱性を悪用したサイバー攻撃への備えとして、ソフトウェアを最新の状態に更新し、外部からの不正アクセスやコンピュータウイルスの侵入、サイバー攻撃等を検知し、トラブルを未然に防止する管理態勢を講じるとともに、インシデント発生時の社内外の連携態勢の整備・訓練を行い、全社員に対し標的型メール訓練や情報セキュリティに係る社内教育を継続的に実施しています。
d. コンプライアンスリスク
当社グループの業務活動は、国内外の各種関連法令等の適用を受けています。主なものとして、会社法、税法、金融商品取引法、独占禁止法、個人情報保護法、貸金業法、割賦販売法、犯罪収益移転防止法、環境に関する法令等を遵守する必要があり、海外においては、それぞれの国・地域における法令の適用を受け、規制当局の監督を受けています。法令や社会規範・社内ルール等が遵守されなかった場合、業務の制限や停止、取引先等からの損害賠償の請求、社会的信頼の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループは、法令や社内ルールの厳格な遵守に加え、高い倫理観をもって社会規範等に従って業務活動等を行うこととしており、コンプライアンスに関する継続的な教育や、マネー・ローンダリング・テロ資金供与行為並びに不正行為の未然防止を図る対策を講じ、コンプライアンス態勢の強化に努めています。
e. 制度変更リスク
当社グループの業務活動は、国内外の法令・会計・税制等、各種制度の適用を受けています。当社の業務に密接に関連する各種制度に大幅変更・改訂等が発生し、当社が当該制度変更・改訂に適切に対処できなかった場合、各種制度への不適合による罰則、商品の取扱い中止、業務活動の制限、会計上の売上減少等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループでは、国内外の法令・会計・税制等の各種制度について、コーポレートセンター・各事業部門・国内営業拠点、各国拠点のそれぞれが、担当業務・国に係る制度等の改訂・変更の状況を継続的にモニタリングしていることに加え、外部専門家の積極的な活用により当該モニタリングを補強しながら、各種変更・改訂の早期の情報収集・対策の実施を行っています。
f. 事務リスク
当社グループは、様々な形態の取引を行っており、取引毎に様々な事務管理が発生しています。これらの事務管理については、不適切な事務等の人為的ミス、不正等により、契約・回収等の業務や取引先への提供サービスの中断による営業活動の停滞、取引先からの信用の失墜等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループは、取引毎に事務管理ルールを定め、当該事務管理ルールに従って業務を行うとともに、同ルールの見直しを適宜実施しています。また、社内で事務事故が発生した場合の社内報告態勢を整備し、事故発生時には社内報告・発生事象への迅速な対応・事故原因の特定と再発防止策の策定・実施を行う態勢を構築し運用しています。
(3)その他の重要なリスク
当社グループでは、統合リスク管理の枠組みで管理しているリスク以外にも、以下のような重要なリスクについても認識しています。こうしたリスクが顕在化する可能性が認められる場合、当該リスクの状況・見通しを含め、統合リスク管理の枠組みで管理している各リスク項目への影響や複数のリスク項目に跨る複合的な影響を分析するとともに、当社グループとしての対応を検討、必要に応じて対応方針を策定するほか、状況に応じて新たなシナリオや複数のシナリオを想定したストレステストなどを実施して、リスク耐久力に対する多面的な検証を行っています。
① 事業基盤拡大・戦略的提携・M&A等に関するリスク
当社グループは、事業基盤拡大による持続的な成長を図るため、国内外で、当社グループ独自での展開に加え、各種サービスの充実に向けた外部との戦略的な提携にも取り組んでおり、また、M&Aによりグループの事業ポートフォリオの多様化・拡充を図っています。
このようなアプローチで、事業の多角化やサービスの充実に取り組んでおりますが、国内外の経済・金融情勢の変化、競争の激化、提携先の事業環境の変化や戦略の変化、関連法令の変更等により、期待した効果が得られない可能性、M&Aの際に計上したのれんの減損処理を迫られる等、追加的な費用計上が必要となる可能性があり、このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
〔リスクに対する主な取組み〕
M&A等の案件の取組みにあたっては、個別案件の投資額やリスクの深度等に応じて関係各部で検討を行うほか、外部の専門家を起用し、幅広い視点で投資ストラクチャーの合理性や将来の投資効果等を慎重に見極めて総合的に判断を行うこととしています。なお、M&A案件実行後においても、当社グループの規程等を適用し、適正な業務運営を行う態勢を整備するともに、その事業計画や実績管理等のモニタリングを行い必要な対応を適時に行う態勢としています。
② 世界的な感染症リスク
世界的な感染症の拡大(パンデミック)が生じた場合、広域なサプライチェーンの分断、各国政府による経済活動の一定期間の抑制措置や停止措置の実施、産業システムや金融機能の棄損などにより、幅広い顧客層や当社保有アセットを利用したビジネスに影響が波及し、取引先の経営破綻や保有アセットの価値下落などが生じて、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2020年2月以降、グローバルな対応態勢を整備するため、危機管理対策本部を設置し業務継続態勢を整備しています。また現在は、Withコロナのフェーズにあるという認識の下、感染防止対策を継続しつつ、新たな取組みを止めることのないよう、ITツールの活用による社内外とのコミュニケーションの強化、ビジネススタイルの進化等を推進しています。
〔新型コロナウイルス感染症による影響〕
2020年より続いている新型コロナウイルス感染症は、ワクチン接種が進むも、新たな変異株の拡大と一時的な収束が各国で繰り返され、感染症の完全な終息時期は不透明であり、当面はその影響が一定程度残る状態が続くと想定されます。
新型コロナウイルス感染症の拡大が当社グループのビジネスに与える影響としては、世界的な経済活動の停滞に伴って顧客が設備投資の抑制・縮小・延期等を行うことで、当社グループの営業資産が計画通りに拡大できない乃至は減少し、収益の低下に繋がる可能性があります。次に、物価上昇や金利上昇あるいはサプライチェーンの混乱等を含めた様々な影響により、顧客の信用状況悪化による不良債権の増加に伴い、貸倒引当金の追加繰入等が増加する可能性があります。
さらに、当社グループが営業資産として所有するアセットの価格下落やリース等に供するアセットの稼働率低下、あるいは保有する株式等の価格下落に繋がる可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中で金融危機が生じた場合、資金調達が計画通りにできない可能性がありますが、当社グループは手元の資金流動性を厚くする措置を講じていることに加え、これまでの各国・地域の中央銀行のコントロール等により、そのような事態は生じておりません。
なお、今後も移動制限等の措置に伴って当社グループの業務活動にも制約が掛かる可能性がありますが、With/Postコロナに対応すべく社内でのプロジェクト活動を推進しており、引き続き感染防止措置を十分に講じつつ、業務フローの見直しやITツールの活用及び情報セキュリティ強化等を図って、円滑にリモートでの業務活動を可能とする態勢整備を拡充しています。
③ 気候変動リスク
社会的に多大な影響を与える気候変動が生じた場合、自然災害の規模や頻度が高まり、当社グループ及び取引先が、気候変動による悪影響を防ぐための規制の変更又は技術革新やビジネスモデルの転換に対応できないこと、あるいはビジネスモデルやビジネス上のインフラやツール等が劇的に変化するなどにより、業績悪化や資産の喪失などによる取引先の経営破綻、当社グループが保有するアセットの価値下落や物件喪失などが生じて、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動リスクへの対応や情報開示が不十分であった場合又はそのように見做された場合には、当社グループの企業価値の毀損に繋がるおそれがあります。
〔リスクに対する主な取組み〕
当社グループは、持続的に成長する上で優先的に取り組むべきテーマとして、「脱炭素社会の推進」や「サーキュラーエコノミーの実現」をマテリアリティ(重要課題)として認識しており、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明し、TCFD提言に準拠したリスクの把握・評価や情報開示の拡充に取り組んでいます。また、当社グループは、気候変動リスクを全社的なリスク管理における重要なリスクの一つとして認識しており、気候変動リスクを把握し、管理する取組みを進めていきます。
④ ビジネス領域の拡大に伴うリスク
当社グループは、法令や規制をはじめとする各種の条件で許容される範囲において、新規のビジネス領域を含めた業務範囲をグローバルベースで拡大しています。その過程において、拡大したビジネス領域に関する経験や知見又はリスクの検証を実施してもなお、リスクの顕在化が合理的想定の範囲を超えるなどした場合、あるいは、拡大した業務範囲のビジネスが想定通りに進展しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 競争の激化
当社グループが国内外で行っているリース取引等の各種事業では、同業のみならず金融機関等も含めた競争の更なる激化、あるいは異業種のビジネスモデル転換や技術革新等による競争環境の変化が生ずる可能性があります。当社グループでは、競争力の維持・強化に向けて、取引先への更なる付加価値サービスの提供、アセットホルダーとしての価値創造力、低コストによる資金調達等様々な取組みを進めていますが、競争状況がさらに激化した場合、マーケットシェアの低下や利益の減少により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 人材確保に関するリスク
当社グループは、国内外で展開している各種事業の競争力を維持・強化していくため、充分な人的資源を安定的に確保する必要があります。当社グループでは、継続的に有能な人材の確保・育成に努めていますが、必要な人材を十分に確保・育成できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 労務・雇用管理に関するリスク
当社グループの業務には多くの従業員が従事していますが、長時間労働により、従業員の心身の健康等に悪影響を及ぼし、想定していた業務を遂行できないリスク、又は雇用等に関する法令遵守事項を適切にモニタリングしていないことによって法令違反を犯してしまうリスク、加えてこれらにより社会的信用を毀損する可能性があります。
上述のリスクを低減するため、生産性向上に向けたプロジェクトや多様な働き方を可能とする制度(テレワーク、フレックスタイム等)を推進し、長時間労働縮減だけでなく育児・介護の必要な社員が活躍できる環境づくりに努めています。また、ハラスメント等の労務問題についても国内外の従業員に対して、社内通報・相談窓口を設置するなど対応しています。当社では、従業員が最大限能力を発揮できるよう「働きやすい職場づくり」を当社の重要な取組みテーマとして推進しています。
(4)ストレステスト
経営戦略の遂行にあたっては、景気悪化や市場変動、各種市況の悪化等、当社グループのビジネスに影響を及ぼすと考えられる様々なリスク事象について、ストレス時の影響度を把握するようにしています。具体的には、世界経済が悪化するシナリオに加え、事業分野毎に市況変動やクレジットの悪化、大口集中リスクの顕在化など、強いストレスを想定した複数のシナリオを設定し、ストレス状況下において、期間損益や自己資本にどの程度の影響が生じる可能性があるのか、分析・検証を行っています。
こうした多面的な検証により、経営計画において、リスク選好に無理は生じていないか、リスクの耐久力の確認を行っています。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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