有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OJIF (EDINETへの外部リンク)
ユニチカ株式会社 研究開発活動 (2022年3月期)
当社グループの研究開発活動は、長年にわたり蓄積してきた技術力を基盤とし、新技術の開発、応用を進めて、多様化する社会のニーズに応える商品開発を図り、もって事業基盤の強化と新規事業の拡大を行うことを目標としている。
当連結会計年度の研究開発費は3,601百万円であり、この中には中央研究所で行っている全社共通テーマの各事業部門に配賦できない費用1,147百万円が含まれている。
(1)高分子事業セグメント
フィルム事業では、高付加価値品の展開および拡大を推進している。高耐熱性ポリアミドフィルム「ユニアミド」は、耐熱性と溶融加工性が評価されポリイミドフィルムの代替としてモバイル機器向けの採用が増加し、販売量は着実に増加している。また、顧客からの様々な要望に応えるため、新たな生産設備の投資を意思決定した。2021年8月より工事を着手し、2023年1月に稼働を見込んでいる。これにより、生産能力の向上と多品種対応が可能となり、今後はFPC(フレキシブルプリント基板)および関連基材や、耐熱性と無色透明性、優れた衝撃吸収性能などの特長を活かした用途への展開を進めていく。シリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」は、年々、高まる高品位化への要望に対応することで、銘柄も増加し、着実に販売量が拡大している。また、高粗度PETフィルム「エンブレットPTH、PTHA」の性能が国内だけでなく、海外まで認められて、販売量が拡大している。柔軟性のある有機系バリア層をナイロンフィルムに積層した新規バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」もボイル・レトルト用途に対する高いガスバリア性能と食品の色目保持効果が格段に高いことから、漬物、惣菜、農産加工品を中心に国内だけでなく、海外でも採用が拡大し、ユニチカバリアフィルム商品群の主力銘柄に成長した。さらに、昨今の環境問題への意識の高まりの中、循環社会による持続可能な成長社会を目指す「Circular Economy:CE 循環経済」の考えに基づいて、当社の重合設備にてケミカルリサイクルし、再生した樹脂を使用したフィルム「エンブレムCE」と「エンブレットCE」は、ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルを併用することで、機械物性、印刷適性などを損ねることなく、二酸化炭素の排出量を削減できるため採用が進んでいる。さらに、エンブレムCEにバリア性を付与した、「エンブレムKCN」も新たに上市し、食品包装分野を中心に採用が拡大している。
樹脂事業では、当社固有のエンジニアリングプラスチックであるポリアリレート樹脂「Uポリマー」については、その広い温度域における性能、寸法の安定性から、スマートフォン、タブレット用途などのほか、自動車用ランプ用途で引き続き販売を継続しているほか、新たに開発した溶剤可溶タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー」Ⅴシリーズの引き合いも増えており、優れた耐熱性と電気特性から、多用途で評価が進んでおり、早期実績化を目指している。ポリアリレート樹脂の旺盛な需要に応えるため行っていた増産工事が2018年12月に完了し、生産能力20%アップを実現した。ポリアミド樹脂については、世界的に需給がひっ迫するPA66や同6Tの代替銘柄を開発、提案を実施した結果、多くの引き合いを集めている。中でも、PA6T代替の高耐熱性ポリアミド樹脂である「ゼコット」は、電気・電子用途のほか、摺動用途など多くの自動車用テーマを獲得して採用が進んでいる。
オレフィン系エマルションである「アローベース」は包装材料などの接着層、コーティング層として拡大しているほか、金属と樹脂といった異種材料の接着に効果が認められ引き合いが増加している。また、ナノ多孔膜を形成することができるポリイミドワニスについては、リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐ新たな技術として高い関心が寄せられ、ユーザーでの評価が続いている。ナノコンについては、メタリック着色、ピアノブラック着色等の高外観グレードで、家電関係や自動車関係に採用が増えており、特に注目度の高い欧州での自動車内装材への採用が始まった。中央研究所発の新素材である「セルロースナノファイバー配合ナイロン6」は、重合工程でセルロースナノファイバーを樹脂中にナノレベルで均一に分散させる独自の製造方法により得られる。この樹脂は、発泡成形すると気泡の大きさが均一になる特色があり、「樹脂化」、「軽量化」のキーワードで注目を浴びている。また、通常のフィラー配合樹脂では発現しない特性も確認されており、高機能化樹脂としての用途開発を推進している。
バイオマスプラスチック事業では、バイオマスプラスチックの普及に向けた研究開発を引き続き進めている。前述した「ゼコット」は、スーパーエンジニアリングプラスチックでありながらバイオマスを原料とした樹脂であり、ポリ乳酸を用いた環境素材「テラマック」とともに、ユニチカの高い環境意識を象徴した製品としての役割も期待されている。用途開発においては、それぞれの特性をユーザーのニーズと一致させることに注力しており、「ゼコット」の電気、自動車用途への適用に加えて、「テラマック」については後述の3Dプリンター用フィラメントなど、その成果を示す例が出てきている。
当事業セグメントに係る研究開発費は1,473百万円である。
(2)機能資材事業セグメント
ガラス繊維事業では、産業資材用途で顧客ニーズに応えたガラスクロス及びそれら処理加工品の製品開発を進め、ユーザーから好評価を得ている。また、電子材料用途では、超薄クロスの生産技術革新に取り組むとともに、高性能な新規ICクロスも開発中である。
活性炭繊維事業では、液相分野においては、浄水器用及び工業フィルター用の高性能化とコストダウンにより国内外での競争力の強化を図っている。また、気相分野においては、自動車用に加え、空気清浄機やマスクなど、空気脱臭用の高性能化とコストダウンにより海外展開を進めていく。
ガラスビーズ事業では、粒度分布をシャープにコントロールした「高精度ユニビーズ」について、半導体や電気・電子材料分野向けを中心とした新規ユーザー獲得に向け、さらなる技術改良・開発に取り組んでいる。また、従来製品にはない新規ガラス材料を素材とする球状製品について、ユーザーからのニーズに応えるべく、当事業部のガラス熔解・粉砕・球状化・分級・異形選別などのノウハウを生かした技術開発を進めている。
不織布事業では、スパンボンド分野にて、極太の異形断面糸形状である「ディラ」は、類をみない繊維構造で硬さと高通気性からフィルター材、ワイパー材他、多様な用途への展開を図り、採用実績に繋がっている。また、「ディラ」の特長を活かして、他不織布、他素材との複合品の開発も行っており、さらなる拡販を行う。農業分野へは多様なニーズに応えるべく開発を進めており、従来からのべたがけシートについて、透光・保温を兼ね備え、かつさらなる耐久性の向上を目指した開発を進めた結果、開発が完了し、2018年度から本格販売を行い高評価を得ている。また、さらに透明性を向上した高透光性シートの開発も進めている。多機能(抗アレルゲン・消臭・抗菌等)の性能を有する新たな用途への開発も進めており、アレル物質低減機能などを付与した「ユニダイヤ」を2018年6月より上市している。さらに、「エルベス」等への同様の性能付与についても開発を開始している。土木分野では、コンクリート面に貼り付けることで、コンクリートの高品質化を可能にし、構造物の長寿命化に貢献するコンクリート湿潤養生シート「アクアパック」を開発し、2019年9月より上市している。また、タイ国における新機台の増設により、今までと違った素材を提供することが可能となり、新規用途を含めた開発を進めている。スパンレース分野では、コットン素材の持つ優位性から国内外の衛材用途を中心に積極的な開発を推し進めている。撥水や抗菌等の機能性付与や他シートとの複合、柄付け等の意匠性の開発により採用実績に繋がっている。また、コットンと長繊維不織布との積層品を「コットエース プラス」として、2021年上期より販売を開始している。コットンの風合いを活かしつつ、長繊維不織布の強度やシール性をうたった積層品であり、各種分野への拡販を進めている。今後もユーザーの要望に応える製品をタイムリーに提供できるよう開発を進めていく。
産業繊維事業では、ポリ乳酸紡糸技術による「Material Extrusion方式(熱で融解した造形材料を少しずつ積み重ねていく方式)」に使用される3Dプリンター用フィラメントにおいて、ポリ乳酸製オリジナル、『3Dプリンター用“感温性”フィラメント』、そしてポリ乳酸製の弱点をカバーして造形表現の幅を広げることを実現する易研磨性ポリ乳酸フィラメントも品揃えに加えた。
また、業界で初めて製品化したナイロン6樹脂製の中空糸膜フィルターは、これまでの平膜タイプの同樹脂製フィルターに比べて高流量、かつ、長寿命であり、有機溶剤系での使用にも耐えられることから、半導体や化学分野で使用される薬液に含まれる不純物の除去などの用途で採用が続いている。さらに、孔を微細化した限外濾過膜、ナノ濾過膜の開発に成功し、蒸留等の分離プロセスを膜分離で代替できる省エネルギー技術としてNEDO助成事業に採択され実用化開発を進めている。その他、高性能・高機能な膜分離を実現させるため、他素材も含めた研究開発を加速している。
当事業セグメントに係る研究開発費は956百万円である。
(3)繊維事業セグメント
衣料繊維事業では、環境対応型高機能繊維の開発に注力している。グループ企業の工場廃材をケミカルリサイクルした潜在捲縮型ポリエステル繊維「Z-10」及び、20葉断面シルキー調ポリエステル繊維「セシェ」の開発が完了し上市した。高機能リサイクルポリエステル繊維シリーズは、今後も、太陽光遮蔽性ポリエステル繊維「サラクール」、マイクロ繊度ポリエステル繊維「EQ」等、順次上市していく予定。紡績糸においてもリサイクルポリエステル繊維による紡績糸「パルパーエコ」の商品を拡充した。主要グループ企業であるユニチカトレーディング(株)、日本エステル(株)、ユニテックスにおいてGRS(Global Recycled Standard)認証を取得した。また、ユニチカトレーディング(株)、ユニチカテキスタイル(株)、P.T.UNITEXにおいて、オーガニックコットンの国際認証であるGOTS(Global Organic Textile Standard)も取得した。一方、バイオマス繊維としては、ナイロン11繊維「キャストロン」、ナイロン56繊維「BEAMEX ECO+」、DUPONTの植物由来繊維「SORONA」を紡績した「パルパー Made with Sorona Polymer」を開発し、市場では大きな注目を浴びている。2019年末から世界的に大流行している新型コロナウイルス感染症に対応した商品として、医療現場従事者向けに、より高機能なアイソレーションガウン用素材「ユニソフィア」シリーズを開発し、販売を開始した。当社初の試みとして、独自のECサイトを立ち上げ、一般消費者向けに高機能マスクの販売を開始、市場から高い評価を得られている。また、ユニチカトレーディング(株)とシキボウ(株)とで、繊維部門における企業間ビジネス連携に合意した。今後、両社の国内外の工場を活用した、ユニークで高機能な商品開発を目指していく中で、2021年12月に初の両社合同展示会を開催した。
当事業セグメントに係る研究開発費は24百万円である。
当連結会計年度の研究開発費は3,601百万円であり、この中には中央研究所で行っている全社共通テーマの各事業部門に配賦できない費用1,147百万円が含まれている。
(1)高分子事業セグメント
フィルム事業では、高付加価値品の展開および拡大を推進している。高耐熱性ポリアミドフィルム「ユニアミド」は、耐熱性と溶融加工性が評価されポリイミドフィルムの代替としてモバイル機器向けの採用が増加し、販売量は着実に増加している。また、顧客からの様々な要望に応えるため、新たな生産設備の投資を意思決定した。2021年8月より工事を着手し、2023年1月に稼働を見込んでいる。これにより、生産能力の向上と多品種対応が可能となり、今後はFPC(フレキシブルプリント基板)および関連基材や、耐熱性と無色透明性、優れた衝撃吸収性能などの特長を活かした用途への展開を進めていく。シリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」は、年々、高まる高品位化への要望に対応することで、銘柄も増加し、着実に販売量が拡大している。また、高粗度PETフィルム「エンブレットPTH、PTHA」の性能が国内だけでなく、海外まで認められて、販売量が拡大している。柔軟性のある有機系バリア層をナイロンフィルムに積層した新規バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」もボイル・レトルト用途に対する高いガスバリア性能と食品の色目保持効果が格段に高いことから、漬物、惣菜、農産加工品を中心に国内だけでなく、海外でも採用が拡大し、ユニチカバリアフィルム商品群の主力銘柄に成長した。さらに、昨今の環境問題への意識の高まりの中、循環社会による持続可能な成長社会を目指す「Circular Economy:CE 循環経済」の考えに基づいて、当社の重合設備にてケミカルリサイクルし、再生した樹脂を使用したフィルム「エンブレムCE」と「エンブレットCE」は、ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルを併用することで、機械物性、印刷適性などを損ねることなく、二酸化炭素の排出量を削減できるため採用が進んでいる。さらに、エンブレムCEにバリア性を付与した、「エンブレムKCN」も新たに上市し、食品包装分野を中心に採用が拡大している。
樹脂事業では、当社固有のエンジニアリングプラスチックであるポリアリレート樹脂「Uポリマー」については、その広い温度域における性能、寸法の安定性から、スマートフォン、タブレット用途などのほか、自動車用ランプ用途で引き続き販売を継続しているほか、新たに開発した溶剤可溶タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー」Ⅴシリーズの引き合いも増えており、優れた耐熱性と電気特性から、多用途で評価が進んでおり、早期実績化を目指している。ポリアリレート樹脂の旺盛な需要に応えるため行っていた増産工事が2018年12月に完了し、生産能力20%アップを実現した。ポリアミド樹脂については、世界的に需給がひっ迫するPA66や同6Tの代替銘柄を開発、提案を実施した結果、多くの引き合いを集めている。中でも、PA6T代替の高耐熱性ポリアミド樹脂である「ゼコット」は、電気・電子用途のほか、摺動用途など多くの自動車用テーマを獲得して採用が進んでいる。
オレフィン系エマルションである「アローベース」は包装材料などの接着層、コーティング層として拡大しているほか、金属と樹脂といった異種材料の接着に効果が認められ引き合いが増加している。また、ナノ多孔膜を形成することができるポリイミドワニスについては、リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐ新たな技術として高い関心が寄せられ、ユーザーでの評価が続いている。ナノコンについては、メタリック着色、ピアノブラック着色等の高外観グレードで、家電関係や自動車関係に採用が増えており、特に注目度の高い欧州での自動車内装材への採用が始まった。中央研究所発の新素材である「セルロースナノファイバー配合ナイロン6」は、重合工程でセルロースナノファイバーを樹脂中にナノレベルで均一に分散させる独自の製造方法により得られる。この樹脂は、発泡成形すると気泡の大きさが均一になる特色があり、「樹脂化」、「軽量化」のキーワードで注目を浴びている。また、通常のフィラー配合樹脂では発現しない特性も確認されており、高機能化樹脂としての用途開発を推進している。
バイオマスプラスチック事業では、バイオマスプラスチックの普及に向けた研究開発を引き続き進めている。前述した「ゼコット」は、スーパーエンジニアリングプラスチックでありながらバイオマスを原料とした樹脂であり、ポリ乳酸を用いた環境素材「テラマック」とともに、ユニチカの高い環境意識を象徴した製品としての役割も期待されている。用途開発においては、それぞれの特性をユーザーのニーズと一致させることに注力しており、「ゼコット」の電気、自動車用途への適用に加えて、「テラマック」については後述の3Dプリンター用フィラメントなど、その成果を示す例が出てきている。
当事業セグメントに係る研究開発費は1,473百万円である。
(2)機能資材事業セグメント
ガラス繊維事業では、産業資材用途で顧客ニーズに応えたガラスクロス及びそれら処理加工品の製品開発を進め、ユーザーから好評価を得ている。また、電子材料用途では、超薄クロスの生産技術革新に取り組むとともに、高性能な新規ICクロスも開発中である。
活性炭繊維事業では、液相分野においては、浄水器用及び工業フィルター用の高性能化とコストダウンにより国内外での競争力の強化を図っている。また、気相分野においては、自動車用に加え、空気清浄機やマスクなど、空気脱臭用の高性能化とコストダウンにより海外展開を進めていく。
ガラスビーズ事業では、粒度分布をシャープにコントロールした「高精度ユニビーズ」について、半導体や電気・電子材料分野向けを中心とした新規ユーザー獲得に向け、さらなる技術改良・開発に取り組んでいる。また、従来製品にはない新規ガラス材料を素材とする球状製品について、ユーザーからのニーズに応えるべく、当事業部のガラス熔解・粉砕・球状化・分級・異形選別などのノウハウを生かした技術開発を進めている。
不織布事業では、スパンボンド分野にて、極太の異形断面糸形状である「ディラ」は、類をみない繊維構造で硬さと高通気性からフィルター材、ワイパー材他、多様な用途への展開を図り、採用実績に繋がっている。また、「ディラ」の特長を活かして、他不織布、他素材との複合品の開発も行っており、さらなる拡販を行う。農業分野へは多様なニーズに応えるべく開発を進めており、従来からのべたがけシートについて、透光・保温を兼ね備え、かつさらなる耐久性の向上を目指した開発を進めた結果、開発が完了し、2018年度から本格販売を行い高評価を得ている。また、さらに透明性を向上した高透光性シートの開発も進めている。多機能(抗アレルゲン・消臭・抗菌等)の性能を有する新たな用途への開発も進めており、アレル物質低減機能などを付与した「ユニダイヤ」を2018年6月より上市している。さらに、「エルベス」等への同様の性能付与についても開発を開始している。土木分野では、コンクリート面に貼り付けることで、コンクリートの高品質化を可能にし、構造物の長寿命化に貢献するコンクリート湿潤養生シート「アクアパック」を開発し、2019年9月より上市している。また、タイ国における新機台の増設により、今までと違った素材を提供することが可能となり、新規用途を含めた開発を進めている。スパンレース分野では、コットン素材の持つ優位性から国内外の衛材用途を中心に積極的な開発を推し進めている。撥水や抗菌等の機能性付与や他シートとの複合、柄付け等の意匠性の開発により採用実績に繋がっている。また、コットンと長繊維不織布との積層品を「コットエース プラス」として、2021年上期より販売を開始している。コットンの風合いを活かしつつ、長繊維不織布の強度やシール性をうたった積層品であり、各種分野への拡販を進めている。今後もユーザーの要望に応える製品をタイムリーに提供できるよう開発を進めていく。
産業繊維事業では、ポリ乳酸紡糸技術による「Material Extrusion方式(熱で融解した造形材料を少しずつ積み重ねていく方式)」に使用される3Dプリンター用フィラメントにおいて、ポリ乳酸製オリジナル、『3Dプリンター用“感温性”フィラメント』、そしてポリ乳酸製の弱点をカバーして造形表現の幅を広げることを実現する易研磨性ポリ乳酸フィラメントも品揃えに加えた。
また、業界で初めて製品化したナイロン6樹脂製の中空糸膜フィルターは、これまでの平膜タイプの同樹脂製フィルターに比べて高流量、かつ、長寿命であり、有機溶剤系での使用にも耐えられることから、半導体や化学分野で使用される薬液に含まれる不純物の除去などの用途で採用が続いている。さらに、孔を微細化した限外濾過膜、ナノ濾過膜の開発に成功し、蒸留等の分離プロセスを膜分離で代替できる省エネルギー技術としてNEDO助成事業に採択され実用化開発を進めている。その他、高性能・高機能な膜分離を実現させるため、他素材も含めた研究開発を加速している。
当事業セグメントに係る研究開発費は956百万円である。
(3)繊維事業セグメント
衣料繊維事業では、環境対応型高機能繊維の開発に注力している。グループ企業の工場廃材をケミカルリサイクルした潜在捲縮型ポリエステル繊維「Z-10」及び、20葉断面シルキー調ポリエステル繊維「セシェ」の開発が完了し上市した。高機能リサイクルポリエステル繊維シリーズは、今後も、太陽光遮蔽性ポリエステル繊維「サラクール」、マイクロ繊度ポリエステル繊維「EQ」等、順次上市していく予定。紡績糸においてもリサイクルポリエステル繊維による紡績糸「パルパーエコ」の商品を拡充した。主要グループ企業であるユニチカトレーディング(株)、日本エステル(株)、ユニテックスにおいてGRS(Global Recycled Standard)認証を取得した。また、ユニチカトレーディング(株)、ユニチカテキスタイル(株)、P.T.UNITEXにおいて、オーガニックコットンの国際認証であるGOTS(Global Organic Textile Standard)も取得した。一方、バイオマス繊維としては、ナイロン11繊維「キャストロン」、ナイロン56繊維「BEAMEX ECO+」、DUPONTの植物由来繊維「SORONA」を紡績した「パルパー Made with Sorona Polymer」を開発し、市場では大きな注目を浴びている。2019年末から世界的に大流行している新型コロナウイルス感染症に対応した商品として、医療現場従事者向けに、より高機能なアイソレーションガウン用素材「ユニソフィア」シリーズを開発し、販売を開始した。当社初の試みとして、独自のECサイトを立ち上げ、一般消費者向けに高機能マスクの販売を開始、市場から高い評価を得られている。また、ユニチカトレーディング(株)とシキボウ(株)とで、繊維部門における企業間ビジネス連携に合意した。今後、両社の国内外の工場を活用した、ユニークで高機能な商品開発を目指していく中で、2021年12月に初の両社合同展示会を開催した。
当事業セグメントに係る研究開発費は24百万円である。
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