シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OIP4 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 NANO MRNA株式会社 事業の内容 (2022年3月期)


沿革メニュー関係会社の状況

当社の主たる事業は、「新たな価値を創造するとともに、人々の健康と幸福に貢献する」ため、革新的な治療薬を生み出し、有効な治療法がない患者さんに対し新たな治療を提供することです。
新しいモダリティ技術による遺伝子治療製品や、独自のDDS技術を活用した核酸医薬などの臨床開発を推進し、新しいメカニズムによる難治がんの治療薬や再生医薬の提供を目指しております。
現在、ENT103(中耳炎及び外耳炎)が製造販売承認申請段階にあり、VB-111(卵巣がん)が臨床第Ⅲ相試験、核酸医薬NC-6100(乳がん)が臨床第Ⅰ相試験の段階に進んでおります。


(1)当社設立の経緯
当社は、東京大学の片岡一則名誉教授(現 当社取締役)、東京女子医科大学の岡野光夫名誉教授(現 当社取締役)らが発明したミセル化ナノ粒子技術による医薬品の開発を目的に、1996年6月に設立されました。同教授らは、医薬品を封入したミセル化ナノ粒子が静脈内投与された場合、薬物が血中に長時間循環することにより、効果が持続する薬物キャリア*1となり得ること及び、がん組織等の病変部へ集積(標的化)することを示しました。
当社では、同技術の応用により、従来の薬物療法の有効性と安全性を高めるとともに、これまで狙えなかったターゲット因子などを狙えることで、新しいメカニズムによる治療薬を創造できると考えており、ミセル化ナノ粒子(高分子ミセル)*2技術のパイオニアとして同技術のポテンシャルを最大限に活かした製品開発を目指し、治療法がない、または十分には満たされていないなどのアンメットメディカルニーズを満たす疾患を中心に事業を展開しております。
現在、当技術については、あらたなモダリティ技術として注目される核酸医薬におけるデリバリー技術として開発を推進しております。また、アンメットメディカルニーズの強い疾患に対し、新しい治療法を提供すべく、より画期的な製品や技術の導入なども積極的に展開しています。

(2)当社技術の特長
当社コア技術は、水に溶けやすいポリマーであるポリエチレングリコール(PEG)と水に溶けにくいポリアミノ酸からなるポリマーを結合させたブロックコポリマー*3から構成され、アミノ酸部分に薬物や核酸、その他生理活性物質を結合または吸着させることができ、これら化合物の血中における安定性を高めます。
同技術を応用する医薬品開発上のメリットとして、①投与後の消失の速い薬物や核酸などの血中持続性が高まる、②徐放化により薬物の血中濃度を副作用が発現する濃度以下に制御されることで安全性が高まる、③腫瘍などへの薬物の移行量を増やすことで効果が高まる、などが期待できます。

(3)当社の事業展開
当社は、コア技術を特許等の知的財産として所有しており、ナノテクノロジーを応用した創薬技術を基盤に研究開発を進め、事業化を行っております。自社技術を活用した新たなモダリティ技術である核酸医薬の開発にも進出し、再生医療分野への活用にも着手しております。
一方、M&Aや提携によっても、パイプラインの拡充を図っております。後期ステージにある治療薬を獲得する、オープンイノベーションの活用により新しいモダリティや創薬シーズを獲得し新規パイプラインを創製するなどにより、切れ目のないパイプラインの構築・維持に努めております。

①ビジネスモデルとその収益について
自社製品及び導入製品(ライセンスイン)などにおいて、臨床開発を行い、自社販売することによる収入の確保、開発の途中ステージで他社へライセンスアウトすることによる契約一時金及びやマイルストーン、及びロイヤリティ収入の確保を見込んでおります。

(ⅰ)ライセンスイン
他社が保有する有望な医薬品候補を導入し、当社が開発・販売することで販売収入を計上します。ただし、ライセンス元に対して契約一時金、マイルストーン、販売高に対するロイヤリティや製剤供給費用を当社が支払うことになります。
ライセンスインについては、開発後期段階の有望な医薬品候補を導入するため一定の費用が発生しますが、初期段階から開発を行うよりも短期間で上市が期待でき、当社の収益に寄与するものと考えております。

(ⅱ)ライセンスアウト
自社で研究開発中の医薬品候補を導出し、契約時点までの知的財産権を含む研究開発成果及び開発・販売・製造権の実施許諾に対する契約一時金、所定の開発段階に到達したときに支払われるマイルストーン収入、医薬品上市後の販売高に対するロイヤリティ収入等が計上されます。
ライセンス契約による提携は、当社が保有する特許権及びノウハウについての実施許諾、さらに当社が独占的な実施権を有する特許権の再実施許諾がベースになります。ライセンス契約後の研究開発等の経費は提携先が負担することになり、当社の開発コスト及び開発リスクが軽減されます。

②オープンイノベーションについて
当社は、ミセル化ナノ粒子技術をはじめとし、大学発の研究成果(シーズ)を医薬品として実用化するために、大学又は企業などの研究機関から知的財産権のライセンスイン(独占的実施許諾権の獲得)及びこれら研究機関との共同研究を行っております。一方、上記のライセンスインをした知的財産権や共同研究の成果を提携企業に対してライセンスアウトする場合があります。また、これらの知的財産権や成果に基づき提携企業と共同開発を実施する場合もあります。それらの提携関係は下図のとおりです。

0101010_001.png

(当社作成)

③当社のパイプラインについて
本書提出日現在、当社が臨床開発を進めているパイプラインは以下のとおりです。
(ⅰ)VB-111
Vascular Biogenics Ltd.(イスラエル)からライセンスを受けた遺伝子治療製品です。VB-111は腫瘍血管を破壊しがんを兵糧攻めにするとともに、腫瘍免疫を惹起する2つの作用を併せ持ちます。治療法がないプラチナ製剤に耐性となった卵巣がんに対する革新的な治療薬になると期待されます。開発後期ステージ製品であることから、早期の収益化が期待できると考えております。
(ⅱ)ENT103
セオリアファーマ株式会社との共同開発品で、外耳炎及び中耳炎を対象疾患とした抗菌点耳薬です。耳科領域において四半世紀ぶりに行われた本格的な臨床試験となり、新たな治療薬の投入が期待されます。VB-111同様に早期の収益化が期待できると考えております。

(ⅲ)NC-6300(エピルビシンミセル)
エピルビシンは、乳がん、卵巣がん、胃がんなどの適応症で世界的に普及しているアントラサイクリン系抗がん剤ですが、投与を重ねると心臓疾患を引き起こすため、その使用が制限されます。
当社は、がん細胞内にミセル化ナノ粒子が取り込まれた際に細胞内のpH変化に応答し、エピルビシンが一気に放出される機能を付加しました。これによりエピルビシンが持つ副作用の軽減と薬効の増強を期待できる新薬を目指しております。


④核酸医薬パイプラインについて
上述のパイプラインに続く核酸医薬パイプラインとして、以下の研究開発を推進しております。
(ⅰ)NC-6100
独自の核酸DDS技術を用いたsiRNA医薬であり、がん幹細胞の成長を抑制させることが期待されます。これまでの医薬品では狙えなかったターゲット分子PRDM14を標的にすることで、現在治療法がない乳がんのタイプに新たな治療の選択肢をもたらすと期待しています。治癒的切除不能又は遠隔転移を有する再発乳がんを対象に公益財団法人がん研究会有明病院において医師主導第Ⅰ相臨床試験が開始されています。独自の核酸デリバリー技術を用いたsiRNA医薬であり、がん幹細胞の成長を抑制させることが期待されます。
(ⅱ)TUG1(ASO)
独自の核酸DDS技術からなるアンチセンスオリゴ(ASO)医薬であり、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学との共同研究プロジェクトです。膠芽腫に高発現しているTUG1をASOにより抑制することで、がん細胞を細胞死に導きます。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業に採択され、臨床試験入りに向けた非臨床試験を推進中です。
(ⅲ)RUNX1(mRNA)
独自の核酸DDS技術からなるメッセンジャーRNA(mRNA)医薬であり、軟骨の再生を誘導するRUNX1のmRNAによる変形性膝関節症の再生医薬として開発します。AMEDの医療研究開発革新基盤創成事業に採択され、アクセリード株式会社と共同で設立した株式会社PrimRNAが主体となり研究開発を推進しております。本事業では、第Ⅰ相臨床試験まで実施する計画です。

[用語解説]
(*1) 薬物キャリア
薬物を封入するなどして、組織へ送達するためのシステムであり、薬物運搬体とも呼ばれます。当社のミセル化ナノ粒子や、リポソームなどが含まれます。
(*2) 高分子ミセル
高分子ミセルとは、水に溶けやすい部分と水に溶けにくい部分を持つブロックコポリマーから形成される球状構造体のことです。水にも油にも溶ける両親媒性ブロックコポリマーを水に溶かすと、ある濃度範囲で外側に水に溶けやすい部分、また内側に水に溶けにくい部分を向けて自己会合し、明確な内核と外殻の二重構造を持つ球状構造体を形成します。この球状構造体を高分子ミセルといいます。
(*3) ポリマー
ポリマーとは、1種類の単位化合物の分子が重合して、分子量が1万程度以上の化合物のことです。代表的なポリマーとしてはプラスチック類が挙げられます。医薬品として使われるポリマーは、生体内で分解される性質を有するものが多く存在します。
ブロックコポリマーとは、2種類以上の異なるポリマーが結合したものであり、当社のポリマーは、水に溶けやすい親水性部分がポリエチレングリコール、水に溶けにくい疎水性部分がポリアミノ酸からなるブロックコポリマーです。

沿革関係会社の状況


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E05728] S100OIP4)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。