有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OHYU (EDINETへの外部リンク)
株式会社ワコールホールディングス 事業等のリスク (2022年3月期)
当社のリスク管理基本規程において、「リスク」とは、「当社グループにおける事業目的の達成を阻害する要因すべて」と定義しております。これらのリスクを適切に認識し、発生の可能性や影響度の評価を行い、優先度を定めリスクへの対処を決定したうえで、リスク顕在化の可能性をできるだけ低減するための活動を行い、同時に、その活動をモニタリングすることにより、継続的に活動内容の改善に努めております。併せて、リスクが顕在化した場合には、発生する障害・事故へ迅速な対応を行い、人びとや社会をはじめとするステークホルダーへの影響を最小限に留めるべく、「リスク管理」を推進しております。
(1)「リスク管理」体制
当社グループの「リスク管理」体制は、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”、“企業倫理・リスク管理委員会の委員長(取締役常務執行役員)”を基軸として、下図の通り、“企業倫理・リスク管理委員会(委員長が指名する委員による構成)”、また、企業倫理・リスク管理委員会の下部組織として全社横断的な重要課題について活動方針策定やモニタリングを行う“リスク主管部署及びリスク対応委員会(企業倫理・リスク管理委員会が決定/設置)”、さらに、企業倫理・リスク管理委員会が定めるリスク管理(抽出、評価、対応、モニタリング)を行う“リスク管理組織”及び“リスク管理責任者”によって構成されております。
“企業倫理・リスク管理委員会”では、それぞれの“リスク管理組織”から抽出されたリスクについて、発生の可能性と影響度の観点から評価を実施し、当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価したリスク項目を、毎年、取締役会に上程し「グループ重要リスク」としての決定を踏まえております。その後、「グループ重要リスク」の項目ごとに、“リスク主管部署”、あるいは“リスク対応委員会”を通して、リスクを軽減化する対応策への取り組みを進め、併せて、“企業倫理・リスク管理委員会”を定期的(四半期ごと)及び必要に応じて臨時に開催し「リスク管理体制」が有効に機能しているかどうかのモニタリングを行っております。
(2)事業等のリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に、重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとその対策は後述のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
“企業倫理・リスク管理委員会”が当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価・選定したリスク項目を、取締役会で討議し「グループ重要リスク」を定めております。なお、★印は「経営環境・事業戦略」に関するリスク、■印は「事業運営上」のリスクであります。
(2)-1 経営環境・事業戦略に関するリスク
(2)-2 事業運営上のリスク
(1)「リスク管理」体制
当社グループの「リスク管理」体制は、“リスク管理統括責任者(代表取締役社長執行役員)”、“企業倫理・リスク管理委員会の委員長(取締役常務執行役員)”を基軸として、下図の通り、“企業倫理・リスク管理委員会(委員長が指名する委員による構成)”、また、企業倫理・リスク管理委員会の下部組織として全社横断的な重要課題について活動方針策定やモニタリングを行う“リスク主管部署及びリスク対応委員会(企業倫理・リスク管理委員会が決定/設置)”、さらに、企業倫理・リスク管理委員会が定めるリスク管理(抽出、評価、対応、モニタリング)を行う“リスク管理組織”及び“リスク管理責任者”によって構成されております。
“企業倫理・リスク管理委員会”では、それぞれの“リスク管理組織”から抽出されたリスクについて、発生の可能性と影響度の観点から評価を実施し、当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価したリスク項目を、毎年、取締役会に上程し「グループ重要リスク」としての決定を踏まえております。その後、「グループ重要リスク」の項目ごとに、“リスク主管部署”、あるいは“リスク対応委員会”を通して、リスクを軽減化する対応策への取り組みを進め、併せて、“企業倫理・リスク管理委員会”を定期的(四半期ごと)及び必要に応じて臨時に開催し「リスク管理体制」が有効に機能しているかどうかのモニタリングを行っております。
(2)事業等のリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に、重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとその対策は後述のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
“企業倫理・リスク管理委員会”が当社グループの経営に重大な影響が想定されると評価・選定したリスク項目を、取締役会で討議し「グループ重要リスク」を定めております。なお、★印は「経営環境・事業戦略」に関するリスク、■印は「事業運営上」のリスクであります。
(2)-1 経営環境・事業戦略に関するリスク
市場構造の変化 | |
□ 発生の可能性:高 | □ 影響度:大 |
● リスクの内容 百貨店・量販店をはじめとする大規模小売店や商業施設の減少および新業態の拡大は、百貨店・量販店の売上シェアが高い当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、この市場構造の変化は、既存業態の再編、営業政策の変更等をもたらし、グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。 | |
● 対応策 小売市場の構造変化(店舗数減少)が進んでおり、百貨店、量販店及び専門店といった卸売店舗の売上シェアは漸減していくと予測しています。国内ではブランドや業態を跨いだエリア販売・マーケティング体制へ移行を進め、顧客データの一元管理を含めた、お客さまの利便性を高めるCX戦略を推進しながら、直営店・WEB販売の強化を行い対応しています。 また、海外では、オフラインとオンラインを融合した独自のサービスの展開により顧客体験の向上を目指しています。2019年7月には、当社グループのグローバル展開におけるミレニアル世代の獲得、EC事業での成長機会創出・競争力強化をねらいに、米国のIntimates Online, Inc.を買収しました。各々の国・地域でDXを加速させ、お客さまのLTVの向上を実現し10年以内にEC売上比率を50%超に導くよう進めています。 他方、店舗閉鎖や倒産に伴い売掛債権が回収できなくなるリスクに対応するため、国内外ともに常に与信管理を徹底し店舗における在庫を適正水準に維持しています。 |
事業構造の改革 | |
□ 発生の可能性:高 | □ 影響度:大 |
● リスクの内容 卸売中心の事業構造の変革途上で人件費比率が高止まりする、また、SKUの増大や総在庫総販売総生産管理の失敗による在庫の増大が、物流コストの増加や値引き評価替えを誘発するなど、収益業績に悪影響を与える可能性があります。 | |
● 対応策 急速に進む市場構造の変化、中長期の経営戦略を重ねて、適正な人員体制を実現するための要員計画・組織改革を推進しています。また、要員計画マネジメントを通して生まれる人員や時間は、新しい事業、強化すべき事業領域に投下し、従業員一人ひとりの会社への貢献度の見える化を行い、自分たちが会社の未来を創っていることを実感できる組織風土づくりを進めています。 他方、従前のブランド戦略は流通チャネル構造の特性を受けて構築し、細やかな対応を進めてきた結果、約60ものブランド(サブブランド含む)を展開するまでに至りました。現在、お客さまの購買行動はオンライン・オフラインを問わないシームレスなものに変化し、加えてグローバルSPA型のブランドとの競争が激しさを増しています。ブランド編成を大胆に見直し、9つの基幹ブランドと27の構成ブランドに集約することを定め、投資効率を高める新しいブランド戦略を2021年秋冬シーズンから推進しています。 |
競争・競合環境の変化 | |
□ 発生の可能性:中 | □ 影響度:大 |
● リスクの内容 国内外の市場において、競合会社、低価格品、また、異業種からの新規参入者などにより、市場競争が激化し、販売シェアが奪われ業績が低下する可能性があります。 | |
● 対応策 競争激化は、価格の下落、広告宣伝費の増加、売上高及び市場シェアの減少等につながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼします。 当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画では、㈱ワコールの再成長と収益力向上を掲げ、差別化戦略としてパーソナライズされた情報を顧客に提供し、お客さま一人ひとりとのつながりをさらに深め、より「顧客起点」を反映した戦略を推進する「CX戦略」を推進してきました。これはワコールが長年培ってきた接客販売の強みを、デジタル技術でさらに革新させ、店舗とWEBを連携させながら、最適な商品とそのお届け方法を提案し、顧客が自由に買い回ることができる利便性を高めるものです。 また、新規顧客の獲得施策として電子カルテの活用、パーソナライズアプリの導入促進に加え、ブラサイズ無料診断の拡充、次世代ツール「Wacoal 3D smart & try」の導入店舗の拡大を実施し、「深く・広く・長く」つながる関係の構築に努めてきました。「Wacoal 3D smart & try」は、百貨店を中心に当連結会計年度末までに20店舗の設置を終え、今後さらに拡大する予定です。 さらに、米国・欧州・中国の主要3法人では、グループ独自の特徴あるブランド展開・商品戦略を高めることによって他社との差別化を実現すべく、事業への成長投資を継続しています。併せて、新興国においては先駆的な利点を獲得すべく、インド市場での出店加速と積極的な広告宣伝投資を進めています。 | |
消費者の価値観変化 | |
□ 発生の可能性:中 | □ 影響度:大 |
● リスクの内容 ブランド戦略、商品、サービスが消費者の価値観変化に合わずに、顧客を獲得できず、もしくは顧客を失って経営が悪化する可能性があります。また、ブランドマネジメント、マーケティングミックスの失敗により、若年層顧客の囲い込みが適わず、一方で既存顧客の離反が進み、ブランド価値を毀損する可能性があります。 | |
● 対応策 当社グループでは、商品政策の面では、消費者ターゲット別の商品化計画を進めるとともに、「マッチミーブラ」をはじめ快適系商品の機能優位性向上、デザイン性での差別化、また、「ルーピング(ブラ・ショーツ)」による環境配慮型の高品質・高付加価値商品の展開など、継続的な顧客ニーズへの対応と新しい価値の創出・提供に努めています。 ブランドマネジメント、マーケティング戦略の面では9つの基幹ブランドへの整理・集約、これと連動した、ブランドコミュニケーション、マーケティングコストの集中と選択を実施することで、消費者ターゲットに向けたメッセージの質と量、双方の拡充を進めています。併せて、サステナビリティ活動への取り組みを強化し、社会をはじめステークホルダーからのレピュテーション向上と確立にも力を入れています。 さらにCX戦略の面ではブラサイズ無料診断施策や、電子カルテ、パーソナライズアプリ、3Dボディスキャナーを組み合わせ、個々人のニーズに寄り添った顧客との関係づくりを強化しています。 |
新しい市場・顧客の開拓 | |
□ 発生の可能性:中 | □ 影響度:大 |
● リスクの内容 日本の人口減少や少子高齢化による国内市場の縮小に向けて、当社グループは、海外市場の開拓や新業態・新分野への進出等、新規市場の開拓に取り組んでいますが、一方、多様化する消費者の価値観に応えきれず、計画した成果が出せないとグループ業績に影響を与える可能性があります。 | |
● 対応策 国内では、当社グループが強みとするキャリア世代に加えて、導入世代・マチュア/シニア世代対策としてのマーケティング強化を進め、生涯顧客やロイヤルカスタマーづくりに取り組んでいます。 ㈱ワコールにおいて、流通チャネル構造や顧客の購買行動の変化に向き合い、オンラインとオフラインの垣根のない販売体制を進化させる新しいブランド戦略を、2021年7月に打ち出しました。9つの基幹ブランドに絞り、経営資源を集中することで個々のブランドによる提供価値の最大化を目指しています。また、ブランドの存在意義を再定義するとともに、商品構成も含めてリニューアルし、実店舗・ECなどのチャネルを問わずシームレスに行動されるお客さまの変化に柔軟に対応できるブランド体制の確立に努めています。 併せて、ピーチ・ジョンは年齢層の異なる3ブランド(PJ、SL、GLRS)を成長させることで、ターゲット層の拡大を行いながら、定期的な話題性の提供、顧客サービスの向上を進めています。 他方、米国では、デジタルマーケティングへの投資を積極的に実施することで、EC事業主体の成長を目指しています。自社EC事業強化の一環として2021年5月にデジタルフィッテングアプリ「my fit bra」を導入しました。スマートフォンでの体型計測を通じてお客さまのニーズに適した商品を提案する、このアプリの浸透を促すことなどによって、現状は40%程度のEC売上比率を長期的には70%程度まで高めたいと取り組んでいます。加えて、マーケティング強化だけでなく、物流インフラなど今後のEC成長を支える体制についても強化を行っています。中国では、百貨店において20%程度のシェアを持つものの、下着市場全体では1%未満に留まっているため、中国国内での認知度はまだ低い状況です。中間層が購買の中心であるEC市場では、オフラインとオンラインの連携やCRM戦略の強化に取り組みながら、新規顧客の獲得と既存顧客のロイヤルカスタマー化を進めています。新しい商品戦略を展開しEC市場での再成長を目指すと同時に、中間層との接点を拡大するモール等への直営店出店も強化しています。これらのほか、消費者に中間所得者層が多いにも関わらず、当社グループの事業規模がまだ小さいドイツやインドなどは、今後の拡大余地が大きい市場と捉えて戦略的な投資を進めています。 |
調達価格の上昇 | |
□ 発生の可能性:中 | □ 影響度:大 |
● リスクの内容 サプライチェーンの構造変化が進行し、原材料の値上がりや生産地の人件費高騰、輸送コストの上昇等により仕入価格が上昇した結果、業績に影響を及ぼす可能性があります。 | |
● 対応策 材料の調達や製品の生産においては、適切に品質とコストの両面を照合しながら、国内に偏重することなくアジアの国々や地域での調達・生産の比重を増やしています。また、近年では、社会・労働環境の変化に対応し、海外生産の軸足を中国からベトナムをはじめとするASEANに移行しつつあります。併せて、製品の企画・設計段階では可能な限り材料品種を増やさないための集約化の取り組み、材料の調達先を国内から海外に求める取り組み、廃棄に至る製品・材料の最少化への取り組みなどを進めています。 他方、当社は、国内の縫製会社3社を2022年4月から1社に統合することとしました。国内の高い縫製技術を継承しつつ、外部環境の変化に応じた柔軟な生産管理体制を構築することにより、競争優位性の強化と事業効率の向上の両立を目指します。さらに、製品の研究・開発を担う部門と縫製現場の連携を、統合した縫製会社の下で一元化し、短納期・高難度・小ロット生産に対応できる生産体制を高め、事業効果の強化に取り組んでいます。 |
人材の確保 | |
□ 発生の可能性:高 | □ 影響度:中 |
● リスクの内容 特にものづくり、販売員、海外経営において人材の確保、育成ができないと、今後の成長や競合会社に対する優位性を作り出せず、グループの業績が低迷する可能性があります。また、販売員、退職後再雇用者の効率的配置ができないと、人件費効率の低下やモチベーションの低下が起こり業績の低迷を及ぼす可能性があります。 | |
● 対応策 当社グループではジョブ型採用をはじめ、新しい採用手段導入による人材確保と、集団型講義やオンラインなどによる専門知識研修やOJT・海外研修制度、他社と合同で実施する異業種クロスラーニングの開催などの実地研修の充実を図り、人材の育成を行っています。また、キャリア採用の比重を拡大するほか、リファラル採用にも注力し多様な人材の確保による活性化を図っています。 一方、市場構造の変化を受けて、販売員の評価は、接客人数や顧客視点での満足度(生涯顧客価値)といった成果への見直しを進めています。また、退職後再雇用者は、再契約に際して責任と役割を高める職群を増やし適材適所の異動を進めると同時に、目標管理評価を運用した成果配分給の採用によってモチベーション向上を図っています。 |
(2)-2 事業運営上のリスク
新型コロナウイルス感染症の影響 | |
□ 発生の可能性:高 | □ 影響度:大 |
● リスクの内容 新疫病の蔓延、または、新型コロナウイルス感染症の更なる拡大や長期化による、政府・地方自治体からの外出自粛要請や店舗休業要請等を受けて、売上が低下しグループ業績に大きな影響を与える可能性があります。また、事業所内で感染者が拡大することで、従業員の出勤停止や事業所閉鎖により事業運営に支障をきたす可能性があります。 | |
● 対応策 グループ業績や財政状態への影響を抑えるべく、感染症と共生する個人消費行動の変化を見通し、WEB販売などのお客さまが求めるサービスの強化や新たな商品の開発に努めるとともに、引き続き経費の削減に努め、新規投資も慎重に見極めるなど、経営の健全性確保に取り組んでいます。 また、顧客・取引先及び当社従業員の安全を第一に考え、感染拡大を防ぐために“企業倫理・リスク管理委員会”の下に「新型コロナウイルス感染症対策本部」(本部長:取締役常務執行役員)を設置し、国内外の感染状況を注視しながら対策を講じています。具体的には、感染状況に応じて、店頭販売員の勤務やサービスの方法、店舗の営業体制を決定するほか、内勤者には国や地域状況にあわせた勤務体制(リモート会議や在宅勤務の推進、出張・会議等の制限など)を臨機応変に示しています。 生活必需品を扱う企業として衛生的で快適な生活を守り、お客さまに安心を提供し続ける責任を果たします。 |
債券相場・金利の変動 | |
□ 発生の可能性:高 | □ 影響度:大 |
● リスクの内容 保有する上場株式や債券等の市場価値が下落し、減損が発生する可能性があります。他方、年金資産の評価減・積立不足は追加拠出や引当が必要となりグループ業績に影響を与える可能性があります。 | |
● 対応策 当社は米国会計基準を採用しているため、保有有価証券の価格が変動した場合、その変動損益を連結損益計算書で認識する必要があります。当連結会計年度においては、有価証券の評価額下落により「有価証券・投資評価損益(純額)」として641百万円の損失を計上しました。(※翌連結会計年度(2023年3月期)より、当社は、財務情報の国際的な比較可能性の向上や開示の充実を目的にIFRSを任意適用します) 当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画では、当年度末までに保有する政策保有株式を2019年3月期の時価ベースで3割(200億円以上)縮減する方針を示しました。取締役会にて、個別の銘柄ごとに保有によって実現している収益が当社資本コストを上回っているか、当社の企業価値向上につながっているかを検証いたしました。検証の結果、保有意義が希薄化した銘柄について、この中期経営計画期間(2019年4月~2022年3月)合計で35銘柄、197億円の処分・縮減を進めました。 他方、退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の仮定に基づき算出していますが、有価証券の相場並びに金利環境の変化等により、実際の結果が仮定と異なる場合、または仮定に変化があった場合には、退職給付費用及び債務が増加するリスクがあります。当社は国内社債の利回りに基づいて割引率を設定しています。割引率については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」を参照ください。 企業年金のアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、財務・人事・経理等の部門長らで構成する年金委員会を設置し、四半期単位で資産運用方針や政策的資産構成割合等を検討するのに併せて、外部の運用コンサルティング会社を起用し専門能力・知見を補完しています。 |
企業倫理・コンプライアンスの姿勢 | |
□ 発生の可能性:高 | □ 影響度:大 |
● リスクの内容 第三者から、サプライチェーンにおける人権、労働、環境問題等が指摘・公表され、事業活動に影響を与える、企業価値を毀損する可能性があります。また、企業倫理・コンプライアンスに反する行為が増加する、あるいは、ソーシャルメディアやブログ等のWEBサイト上を含めた広告表現や発言に問題が発生することによって、社会的な信頼を失い、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 | |
● 対応策 当社グループを取り巻く国内外の法令や規制等への違反、社会的要請に反する行為等があった場合は、処罰や社会的な信用の低下などにより、経済的・社会的な影響を受けるリスクがあります。当連結会計年度を最終年度とした中期経営計画においては、「ESG課題の取り組み」の中でも企業倫理・コンプライアンスを重要課題として位置づけています。 “企業倫理・リスク管理委員会”の下に設置した「コンプライアンス委員会」の活動通じて、従業員への啓蒙活動、内部通報制度、外部専門機関による法令ヘルスチェックなどの施策を拡充すると同時に、「企業倫理・ワコールの行動指針」を定め、従業員に頒布し、法令遵守の強化に努めています。 また、当社グループの事業領域において特に注力すべき点として、サプライチェーンでの労務・人権問題が挙げられます。実際に過去には人権NPOから連結子会社の発注先である海外縫製工場における労務・人権問題について指摘を受けたことがあり、これを契機にこの課題への取り組みを開始しました。2018年4月から“企業倫理・リスク管理委員会”の下に「CSR調達委員会」を立ち上げ、自己評価と現地監査、是正・改善計画の策定とモニタリング、仕入先一覧の開示等の積極的な取り組みを進めています。 |
自然災害・事故等の発生 | |
□ 発生の可能性:中 | □ 影響度:大 |
● リスクの内容 地震などの自然災害や火災・爆発等が発生し事業所・生産拠点が被害を受ける、あるいは、従業員が被災する可能性があります。また、交通網の遮断や電力供給の停止、電話回線の不通等により事業活動に支障が出る可能性があります。 | |
● 対応策 「首都直下型地震」など、大規模事故の緊急事態に備え、事故・災害対策委員会では主要な事業拠点が被災した際のBCP策定を順次整備するなど、予防・減災、応急・初動、復旧・復興の観点で事業継続マネジメントに取り組んでいます。 具体的には建物の耐震化、データ関連サーバのクラウド化、安否確認システム、モバイルワークなどといった環境整備に加え、社会的責任を踏まえて、緊急時においてもサービスや製品の安定供給ができるよう、販売事業所の業務バックアップ体制の確立や生産拠点の分散化によってリスクの低減を図っています。 |
情報システム可用性障害の発生 | |
□ 発生の可能性:中 | □ 影響度:大 |
● リスクの内容 システム開発のミスや遅延、また、重要なシステムに障害が発生することで、事業継続が困難になってしまうと、得意先・顧客はじめ、すべてのステークホルダーからの信頼を失う可能性があります。外部からの悪意ある攻撃、あるいは天災被害等により、基幹システムやWEB販売サイト等の稼働が不可能となった場合、あるいは、ファイルサーバや従業員のPCから機密情報が流出した場合、事業への悪影響が出る可能性があります。 | |
● 対応策 当社では「情報セキュリティ基本方針」、「情報セキュリティ関連組織と責任に関する規程」を定め、すべての従業員に対して情報保護の必要性と責任についての理解促進を図っています。“企業倫理・リスク管理委員会”の下で「コンプライアンス委員会」が「ITセキュリティ分科会」を運営し、ITガバナンス部と連携を取って、現状の管理体制の把握と改善、ウェブサイトの脆弱性の特定をはじめとする情報セキュリティ全般の改善指導・助言等を行っています。 同時に、顧客情報や重要技術情報にかかる不正なITネットワーク侵入によるデータ破壊や、ウイルス感染による事業運営そのものの阻害を狙ったサイバー攻撃などの情報収集、現状調査、分析等を実施し、当社グループの活動方針や具体的対策の立案、関連規程の制定・改廃、戦略的な投資案件を討議し、情報セキュリティリスクの低減に努めています。具体的には、不慮のシステム障害・誤作動に備えて、重要なシステムはデータの二重化や縮退運転の準備や、WEB販売では負荷に見合った適切なハードウェアやネットワーク構成の選択ができているか、適宜モニタリングを行っています。さらに、不定期な標的型メール訓練などを行う一方、最新のセキュリティプラットフォーム導入を進めるなど、従業員の意識向上と仕組みの構築による両面からリスクの軽減化を行っています。 |
情報管理の不備 | |
□ 発生の可能性:中 | □ 影響度:大 |
● リスクの内容 情報管理の不備により、機密情報や個人情報の漏洩や紛失が発生すると、活動上、不利益を被るばかりか、社会的信用の失墜、事業運営の停止といった重大な損失影響が出る可能性があります。 | |
● 対応策 当社では「情報分類規程」、「秘密情報取扱規程」、「個人情報保護規程」を定め、取り扱うすべての情報を、機密性、一貫性及び可用性の観点から適切に分類するとともに、保護・漏洩防止を図っています。また、重要情報の保護・管理の徹底をねらいに、当社グループの重要情報一覧表を整備し、経営、事業・販売戦略、製品開発、自社ノウハウ、個人情報、情報システム等の区分から、具体的なインサイダー情報事例を挙げて対策に取り組んでいます。 とりわけ、当社グループは事業活動上、多数の顧客に関わる個人情報を有しています。将来を見据え、㈱ワコールでは「CX戦略」を成長の柱と位置付け、収集した個人情報を含めたデジタルデータを基盤としたビジネスモデルの再構築を進めています。また、海外では顧客の個人情報を直接取得するEC事業を強化し、成長の柱とする計画を進めています。国内における改正個人情報保護法の施行対応に止まることなく、個人情報保護は当社グループ事業活動上の重要性が増しています。2020年4月に新設したITガバナンス部では個人情報の保護・管理の強化、関連法規制への対応、従業員への教育等を含め、個人情報を外部の脅威から守るために、管理状況の調査と対策指導・助言等を進めています。 |
設計・製造上の品質保証 | |
□ 発生の可能性:中 | □ 影響度:大 |
● リスクの内容 不良品を販売することや商品が人体へ危害を及ぼすこと等により、商品回収等のコストが発生する、当社が高品質の商品を提供するというレピュテーションが損なわれ社会的信用を失うといった、業績への悪影響を及ぼす可能性があります。 | |
● 対応策 高品質な商品をグローバルに提供することができることが、当社グループの強みの一つです。“企業倫理・リスク管理委員会”の下に「品質保証審議会」を設置し、安全性ガイドラインを整備すると同時に、製品企画・設計・開発時点での安全性確認ルールの遵守、製造時の検査の徹底、問題発生時の原因追及と再発防止策の策定に取り組んでいます。併せて、こうした活動・情報内容については、グループの国内外関係会社へ水平展開・共有化を図ることによって、品質意識の高揚、全体での管理体制の底上げを行っています。また、「品質保証審議会」の傘下では、商品化計画を担う部門ごとのメンバー選出による「品質管理委員会」を運営し、個別課題への対策フォローアップ、品質管理全般に対する社内教育を実施しています。 他方、生産拠点の現場では、定めた品質管理・検査の徹底のみならず、製品受入ロックシステム(材料基準達成製品のみの受け入れ)の運用による基準未達品の排除、検査人員の技量の標準化、品質優秀表彰制度による従業員のモチベーションアップに取り組んでいます。 |
品質表示・取扱表示等の記載 | |
□ 発生の可能性:高 | □ 影響度:中 |
● リスクの内容 品質表示等の法令違反や機能性表示における不適切な表現は社会的な信用を損なう可能性があります。また、商品の回収・表示変更のコスト発生、販売中止によって損失影響が出る可能性があります。 | |
● 対応策 消費者が適正に商品を選択し使用するための品質表示については、商品そのものに付帯させる法定表示に始まり、店頭やメディアでの広告・宣伝での訴求、販促表現、知的財産保護表示など多岐にわたっており、リスクが顕在化しやすい事案だと認識しています。前項(設計・製造上の品質保証)で触れた「品質保証審議会」、「品質管理委員会」の活動を通して、表示内容を決定する部門でのダブルチェックを前提にした表示確認体制の整備、表示決定のプロセスにおける可能な限りのシステム化、表示ミス発生時の迅速な対応、問題発生後の再発防止のための徹底的な原因究明と対策の実施といった、一連のサイクルをルール化し運用しています。また、品質表示に関わる社内啓蒙活動と担当者教育や、部門でのルール運用実態にかかる内部監査を、定期的に実施しています。 一方、当社では独禁法、景表法、薬機法などと絡めた「まちがわないための表示と表現の技術」の頒布と改訂、e-ラーニングによる従業員を対象にした教育の実施などによって、リスクの軽減を図っています。また、機能・効能表現においては、商品化計画部門と研究部門、品質保証部門間の連携フローと併せて表記ルールの再整備を行い、外部の機関を交えたエビデンスデータの監修体制を整えています。 |
新興国の社会情勢変動 | |
□ 発生の可能性:中 | □ 影響度:中 |
● リスクの内容 新興国に生産拠点を構える当社グループは、政治的不安定状態、法改正や制度変更、ストライキの発生、人材の確保難などによって材料調達や生産が滞り、業績に影響を与える可能性があります。 | |
● 対応策 各国・地域の法律・規制の動向には常に十分な注意を払い、現地情報の収集・分析に努めています。現地の“リスク管理責任者”と連携し、地域の実情を把握し、必要に応じ外部の弁護士、コンサルタントなど、専門機関の協力を得て対応を行うよう整備と運用を図っています。軍事政権による掌握が続くミャンマーでは法律・規制の動向に加え、人権課題への対応についても注視しています。感染症への国策を含めた地政学的なリスクも見据え、適切な生産拠点の分散を行いリスクの軽減化に努めています。 |
知的財産権の侵害・被侵害 | |
□ 発生の可能性:中 | □ 影響度:中 |
● リスクの内容 知的財産権を侵害されたり侵害したりすることで、訴訟や経済的損失が起きる可能性があります。戦略的な知的財産権の保護や活用ができないと事業に影響を及ぼす可能性があります。 | |
● 対応策 当社グループの保有する知的財産権、とりわけ、ブランド及び関連する商標、独自技術の権利化は、需要の喚起・維持のみならず、事業の意義にとって非常に重要であり、他者に侵害されないよう、案件ごとに国や地域での知的財産権のリスト化と管理を慎重に行っています。 国内外における商標等の紛争、類似商品や他者による無断の商標使用といった知的財産権侵害は、業績に影響を及ぼすリスクがあります。一方、当社が他社の知的財産権を侵害していると主張されるケース、また、EC事業のボーダーレス化に伴うブランド価値棄損(当社を詐称した販売など)のケースが生まれています。こうしたリスクに対応するため「知的財産委員会」を設置するとともに、従業員への啓蒙活動としてe-ラーニングの実施、担当者の調査能力向上、社外調査会社の活用や外部契約事務所等の専門家との協業等を進めています。 さらに、DXやCX戦略における、当社グループのサービスにかかる知見を知的財産として権利化する整備を進めています。 |
税務の管理 | |
□ 発生の可能性:中 | □ 影響度:中 |
● リスクの内容 予期しない多額の課税がなされた場合には、風評被害の他、当社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 | |
● 対応策 繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もった上で計上しています。将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。これを踏まえて、当社では、適宜、経営環境の変化等に照らし、将来の課税所得の見積もりに関する見直しを行い、回収可能性を合理的に判断しています。 また、2021年1月には、事業を展開する国・地域の法令、国際税務関連法規を遵守し、透明性の高い税務管理を行い、ステークホルダーからの信頼を得ることをねらいに「税務行動指針」を策定し開示しました。この指針では、国内外の連結子会社を対象に、税務の最新情報入手や研修による啓蒙活動を含めたグループ税務体制の構築をはじめ、不確実な税務ポジションへの対応、優遇税制の適用、グループ会社間取引、租税回避行為の禁止、税務に関するディスクロージャー等のガイドラインを示しています。 |
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00590] S100OHYU)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。