有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OK9E (EDINETへの外部リンク)
王子ホールディングス株式会社 研究開発活動 (2022年3月期)
当社グループの研究開発活動は、全体の研究開発を統括するイノベーション推進本部と各事業会社の研究開発部門、各工場の研究技術部等が連携しながら取り組んでいます。イノベーション推進本部は、新事業の創出並びに既存事業の競争力強化を念頭に、技術革新のシーズ開発から、よりビジネスに密着した新市場の開拓と新製品開発を行っています。
グループ全体の既存事業の競争力強化として、植林、パルプ、抄紙、塗工の各分野で蓄積・体系化された技術と、海外拠点との連携、新製品開発及び既存製品の品質改善に取り組んでいます。国内外の工場では、品質向上・操業の安定化、コストダウンの推進を図っています。
当連結会計年度末における当社グループの保有特許権・実用新案権・意匠権の総数は国内2,332件、海外648件です。また、保有商標権の総数は国内895件、海外1,011件です。
当連結会計年度の研究開発費の総額は9,209百万円となっています。なお、当連結会計年度における各セグメントの研究開発活動を示すと、次のとおりです。
(1) 生活産業資材
産業資材事業では、古紙利用拡大、抄紙条件、薬品の最適化によるコストダウン、品質・操業性改善を推進してきました。これらの国内で培った基盤技術を活用して新製品開発を進めるとともに、カンパニーの枠を越え、当社グループ会社の各海外拠点へ水平展開を進めています。パッケージング関係では、紙容器関連事業のさらなる発展のため、国内原紙の抄紙から飲料パッケージングまでの国内一貫生産システムを構築しています。これら日本国内での一貫した生産体制を基盤に、大きな需要が期待される海外での事業も拡大していきます。
段ボール事業では、インターネット通販市場の急速な拡大に伴うさまざまな業界での梱包・物流に関する課題解決に向けて、次世代の包装ソリューション「OJI FLEX PACK’AGE」の提供を行っています。「OJI FLEX PACK’AGE」では、当社グループの連続段ボールシート「らくだん」を使用した、商品のサイズにあわせた梱包を可能とする「3辺可変システム」等のラインアップを取り揃えており、梱包作業の省人化や配送料削減など物流コストの削減をサポートします。この取り組みは、世界包装機構主催のワールドスターコンテスト2022において、ワールドスター賞を受賞しています。
当事業に係る研究開発費は444百万円です。
(2) 機能材
機能材事業では、温室効果ガスの排出量削減や循環型社会の実現に貢献する環境配慮型素材及び製品を積極的に開発しています。また、当社グループのコア技術であるシートの製造・加工技術を活用した新製品開発も進めています。特殊紙関連の環境配慮型素材及び製品としては、酸素や水蒸気の侵入を防ぎ、内容物の劣化を抑えることができるバリア性紙素材として、プラスチックに代わる紙素材「SILBIO BARRIER」を製品化し、続けて、蒸着フィルム並みの高いバリア性を有する「SILBIO ALBA」、中身が見える「SILBIO CLEAR」、フィルムなしで熱シール可能な「SILBIO EZ SEAL」をラインアップしました。さらなる機能向上にも取り組んでいます。また、バイオマスプラスチックを利用したラミネート紙やヒートシール紙などの開発をしています。その他、医薬用包材や衛生材料関連素材など、成長市場に向けた製品開発も進めています。
粘着関連では、機能進化するタッチパネルに対応した各種粘着シートや高機能粘着フィルムの開発に注力しており、ノートPC、ゲーム機、車載ディスプレイなどへの採用が進んでいます。また、高い遮熱性と光線透過性を両立した自動車用ウィンドウフィルムなど、新たな市場開拓を目指した製品開発にも取り組んでいます。
フィルム関連では、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの技術によるコンデンサ用フィルムの開発や、バイオプラスチックフィルムの開発を進めています。ハイブリッド車や電気自動車の電気駆動系に用いられるフィルムコンデンサは、その主力材料である高性能ポリプロピレンフィルムの厚みが薄いほど小型化が可能になります。当社グループは高耐電圧ポリプロピレンフィルムの超薄型化技術の開発を推進し、世界的な需要拡大が見込まれる電動車両向けの電子部品の小型軽量化に貢献しています。バイオプラスチックフィルムでは、植物由来原料のポリ乳酸樹脂を配合した二軸延伸ポリプロピレンフィルムを開発し、バイオマスマーク認定商品「アルファンG(グリーン)」を製品化しました。
当事業に係る研究開発費は2,259百万円です。
(3) 資源環境ビジネス
資源環境ビジネス事業では、王子製紙株式会社米子工場で生産している溶解パルプに関する技術開発を行っています。溶解パルプは、レーヨン、医薬品や食品の添加剤、セルロース誘導体などの原料として使用され、今後は世界的な人口増加により需要拡大が期待されています。既に繊維原料メーカーや医薬品原料メーカーへの販売を行っており、現在は高価格品の生産性アップやコストダウンによる収益向上を進めています。当事業に係る研究開発費は379百万円です。
(4) 印刷情報メディア
印刷情報メディア事業では、パルプ製造工程から紙製造工程までの製紙工程全般に関する技術開発に取り組んでいます。使用薬品や操業条件の最適化によるコストダウン、欠点・断紙削減等の操業性改善、代替薬品の利用促進によるBCP(事業継続計画)対応強化を推進し、収益向上に繋げています。当事業に係る研究開発費は1,009百万円です。
(5) その他の研究開発活動
グループ内の関連部門と強く連携しながら、イノベーション推進本部を中心に機動的かつ効率的な研究開発活動を実施しています。セルロースナノファイバー(CNF)や、環境配慮型素材及び製品をはじめ、木材成分のヘミセルロースを利用した医薬品原薬、セルロースからのバイオマスプラスチック開発等の多角的な革新的価値創造に取り組んでいます。セルロースナノファイバー(CNF)は、引き続き用途開発に精力的に取り組んでいます。CNFスラリー「アウロ・ヴィスコ」は、個々のお客様のニーズに応じてスラリーの特性である透明性や粘度などをカスタマイズした開発を推進し、生コンクリートの圧送先行剤への採用に加え、化粧品原料として国内外の化粧品メーカーでの採用が進んでいます。さらに、グローバルに大きな市場を持つ工業用製品にも採用されています。
また、自動車の窓ガラス用途で、当社グループ独自のCNFシート「アウロ・ヴェール」をポリカーボネートと複合化する素材開発を進めています。CNFシートを複合化することで、透明樹脂の透明性を保持したまま、弾性率向上と熱膨張率低減を実現できました。無機ガラスに比べて大幅な重量低減効果が期待され、今後も製品化に向けた開発を継続していきます。さらに、個々のお客様のニーズに応じ、シートの特性である強度やフレキシブル性などをカスタマイズした開発を進め、様々な産業分野における適用性検討を継続しています。更に、CNFで培ったノウハウと当社グループのコア技術を活かし、マイクロサイズのセルロース繊維と樹脂繊維を複合化させた変形に強く割れにくいセルロースマットの開発も進めています。
今後も上記の用途に加え、樹脂、ゴムの補強等、より幅広い分野での用途開発を進め、CNFの実用化を牽引し、市場普及を積極的にリードしていきます。
環境配慮型素材及び製品として、生分解性プラスチックとセルロースの複合材「リソイルグリーン」の量産体制が整い、試験販売を開始しました。また、滑らかな表面と自由な立体成形性が特徴のパルプモールド製品「PaPiPress」(iFデザインアワード2021・2022、グッドデザイン賞2021受賞)は、プラスチックの代替パッケージとして様々な分野のお客様からの引き合いに対応しています。
パルプを原料としたプラスチックの製造についても目下開発中です。従来の石油を原料としたプラスチックを持続可能なバイオマスを原料としたバイオマスプラスチックに置き換えることにより、温室効果ガスの排出量削減し、地球温暖化防止に貢献することを目指します。一般的なバイオマスプラスチックはトウモロコシなどの可食原料から製造されますが、当社グループのバイオマスプラスチックは非可食である樹木由来のパルプを原料とすることにより食品資源との競合を無くすことができます。これにより、持続可能な社会にさらに深く貢献できる非可食バイオマスプラスチックの普及を目指すことができます。
新規開発分野として、独自の微細構造形成技術「ナノドットアレイ」を用いて、ライフサイエンス分野への展開を進めており、iPS創薬や再生医療開発などに役立つ微細構造つき細胞培養基材を開発し、培養シャーレを試験販売中です。その他、反射防止構造体や光取出し構造体等、各種光学材料分野の開発も行っています。また、木質主要成分の一つであるヘミセルロースの産業利用においては、化学修飾した「硫酸化ヘミセルロース」の医薬品化を王子ファーマ株式会社が進めています。医薬事業への参入に向けた取り組みを加速するため、大学や製薬企業との連携を推進しています。
水処理技術の分野では、当社グループが長年培ってきた製紙技術を通じて蓄積された用水製造・排水処理のノウハウを多様なニーズと組み合わせることにより、あらゆる水環境に適した水処理システムを提供しています。またIoTを導入した遠隔監視システムにも対応しています。今後も、水処理システムの技術革新を進めながら、国内のみならずアジア各国をはじめとする諸国の水環境発展に貢献していきます。
その他の研究開発活動に係る研究開発費は5,116百万円です。
なお、(1)~(4)の各セグメントに関わる研究開発活動のうち、事業化段階に無い、探索段階及び開発段階の研究開発活動の研究開発費が含まれます。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00642] S100OK9E)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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