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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100NMKA (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 協和キリン株式会社 事業等のリスク (2021年12月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動

1.リスクマネジメント体制と重要リスク特定のプロセス
当社グループは、2019年4月より日本、北米、EMEA、アジア/オセアニアという4つの地域(リージョン)軸と、地域を跨いだ機能(ファンクション)軸のマトリックスにより、事業活動を推進するグローバルマネジメント体制「One Kyowa Kirin」を開始しております。グローバルマネジメント体制の始動に伴い、2020年4月には4つの地域にそれぞれリージョナルCSR委員会を設置し、グローバルな重要リスクに加え、各地域特有の重要リスクも議論しております。各地域の重要リスクへの対応については、日本リージョナルCSR委員会事務局が取りまとめて同委員会に報告しております。また、4つの地域の関係者が参加するグローバルな位置づけのグループCSR委員会を年1回開催し、グループ全体のリスクマネジメントに関する戦略や活動方針の審議、1年間の活動状況の報告等がされております。これらの委員会で議論された重要リスクの低減策やモニタリングの結果は取締役会に報告されております。
重要リスク特定のプロセスについては、四半期に1回、業務執行部門が社内外の環境変化を踏まえてリスクを洗い出し、経営に与える影響度と発生頻度(発生する可能性)を分析します。CSR委員会事務局は社内外の環境変化やリスクトレンドについて業務執行部門と対話しながら分析結果を調整した後、リスクをカテゴリー毎に整理、評価し、重要リスクを特定します。CSR委員会では重要リスクの特定が適切かを議論するとともに、その低減策と進捗のモニタリングを行い、業務執行部門のリスクマネジメントを支援しております。
また、サステナブルな社会の実現に貢献すると同時に、企業の持続的な成長を実現するために、社会と事業の両方の視点から重要な経営課題(マテリアリティ)を中長期的に解決すべきリスク・機会として特定し、中期経営計画に反映させて取り組み、CSR委員会においてリスク・機会についての認識の変化や、取組みの進捗を議論しております。

当社グループのリスクマネジメント体制(2020年4月より)
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2.デジタル活用によるリスクマネジメントのグローバル一元管理
当社グループでは、グループ全体のリスクをデータベースで一元管理するためのシステムを導入し、デジタル化を進めております。業務執行部門がリスク台帳やインシデント情報をデータベースに登録した後、ワークフローを通してリスクを専門的かつ全社的な立場で支援・助言・モニタリングする部門に情報を共有したり、リスクマップにて重要リスクの見える化を実施したりするなど、リスクの状況を効果的かつ効率的にモニタリングする体制の整備を進めております。

3.クライシスマネジメント体制と演習の強化について
当社グループでは、グローバル、リージョン、ローカルの三層構造からなるエリア対策本部や、専門性を活かして対応するファンクション対策本部が、グループクライシスマネジメント規程のもと自律的にクライシスマネジメントを実行し、グローバルな対応が必要な場合は、各対策本部が連携して、迅速に影響低減を図るための仕組みを構築しております。また、日本をはじめ、各地域とグローバル本社をつないだクライシス演習(サイバー攻撃、パンデミック、自然災害、出荷停止など)を繰り返し実施し、最悪の事態を想定したクライシス対応や事業継続体制の強化を図っております。演習を通じて対応力向上を図るとともに、リスク評価や低減策を見直し、リスクの予兆発見のためのモニタリングに繋げるなど、リスクマネジメントとクライシスマネジメントを一体的に取り組むことで、困難な状況にもしなやかに適応するレジリエントな組織を目指しております。

当社グループのクライシスマネジメント体制(2021年4月より)
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4.事業等のリスク
当連結会計年度末(2021年12月31日現在)において当社グループが特定した重要リスクを以下に記載しておりますが、社内外の環境変化により想定していないリスクが発生する可能性や、ここで記載していないリスクが当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

グローバル戦略品の価値最大化に関するリスク
リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響
当社グループは、X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)、抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)及びパーキンソン病治療剤Nourianz(日本製品名:ノウリアスト)をグローバル戦略品と位置づけ、これらの価値最大化を進めております。しかしながら、上市準備が遅延し事業エリア拡大が遅れる、潜在患者の掘り起しの難航等で市場への浸透が進まない、新規上市国での価格が想定と乖離して売上が予測から大きく下振れする又は品質や製造トラブルの発生等により安定供給に支障が生じた場合は、経営目標の達成が困難になる可能性があります。
主な対策
グローバル戦略品の価値最大化に向けては、市場浸透施策や欧米を中心とした事業地域の拡大を進めております。また、グローバルレベルで各機能(部門)や各地域(関係会社)間のシームレスな連携を可能にするグローバルマネジメント体制に加えて、各グローバル戦略品の責任者を任命し、同責任者を中心とした機能・地域横断のチームが一体となって各製品の価値最大化の戦略策定と遂行に取り組んでおります。なお、品質や製造トラブル等については、「製品品質に関するリスク」及び「生産・安定供給に関するリスク」において主な対策を記載しております。


研究開発に関するリスク
リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響
研究開発では、技術、疾患及びオープンイノベーションを軸とした以下の戦略を立てて、画期的な医薬品の継続創出を進めております。①抗体技術の進化へ挑戦を続けることに加え、多様なモダリティを駆使して、画期的新薬を生み出すプラットフォームを築く、②これまで培った疾患サイエンス(腎、がん、免疫、アレルギー、中枢神経)を活かしつつ、有効な治療法のない疾患に、“Only-one value drug”を提供し続ける、③アカデミア・スタートアップ等との共同研究活動(サンディエゴ地区を活用した情報収集など)の継続と、ベンチャーキャピタルファンド出資などを介した情報への早期アクセスを融合し、進化したオープンイノベーション活動により外部イノベーションを取り込んでおります。しかしながら、長期間にわたる新薬の研究開発の過程において、期待どおりの有効性が認められない場合や安全性等の理由により研究開発の継続を断念しなければならない場合には、パイプラインの充実ができず、将来の成長性と収益性が低下する可能性があります。
主な対策
当社グループは、グローバル候補品等次世代を担う新薬パイプラインを強化するために、研究開発への積極的な投資(研究開発費率18~20%を目処)を進めてまいります。また、自社での研究に加え、基盤技術やパイプラインの獲得に向けた戦略的パートナリング(導入、提携等)など、産官学すべてを視野に入れたオープンイノベーション活動にも力を入れております。具体的事例として、2020年より武田薬品工業(株)の創薬プラットフォーム事業をスピンアウトして設立された創薬ソリューションプロバイダーであるAxcelead Drug Discovery Partners(株)と協業を行っております。協業により、同社が長年培ってきた低分子創薬の幅広い技術や経験と当社の持つ革新的な創薬技術を融合させることで、新たな低分子創薬技術基盤の構築と、本技術を活用した画期的な研究開発パイプラインの拡張を目指しております。また、人工知能や機械学習のアプリケーションを提供する米国のInveniAI社との共同研究提携を拡大しており、当社グループが独自に開発した次世代抗体技術に適合する新規標的探索、評価、最適化を実施しています。

医療費抑制策に関するリスク
リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響
国内外において医療費抑制のトレンドが高まっており、先発医薬品の価格引下げや、後発医薬品の使用促進等の各国における医療制度改革の動向は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、このような状況下においては革新的医薬品であることが評価を得るうえで重要になりますが、有用性・革新性を有する新薬の開発が停滞する場合は、将来の成長性と収益性が低下する可能性があります。
主な対策
各国の政策動向を注視するとともに、開発品目の上市後の価格を予測し、売上収益への影響を評価しております。また、患者さんのニーズを満たすLife-changingな医薬品をお届けするために、その価値を科学的に訴求できる戦略的なデータパッケージ策定を検討しております。


自社及びグループ会社管理に関するリスク
リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響
グローバル・スペシャリティファーマとして事業成長をするために、自社及びグループ会社のリスクマネジメント強化を経営の最優先事項として、当社グループは2020年より強固な品質保証体制の構築、リスクマネジメントの改善、企業文化改革の3点を柱とする改革イニシアチブを発足し、グループのガバナンス強化に取組んでおります。これらの取組みが十分に機能しない場合、リスクの顕在化による生産活動や販売活動等の制限や停止、製薬会社としての信頼の失墜等につながる可能性があります。
主な対策
「リスクマネジメントの改善」では、未来を予測し先手を打った全社的リスクマネジメントを目指し、本社において役員や経営職を対象としたワークショップ、海外地域統括会社とのワークショップ、国内外各地域におけるクライシス・BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)演習の継続的な実施、中長期的に解決すべきリスク・機会であるマテリアリティの議論を通じて、新たなリスクや潜在化するリスクへの対応力向上を図っております。なお、強固な品質保証体制の構築は「製品品質に関するリスク」に、企業文化の改革は「人的資源に関するリスク」にそれぞれ記載しております。


製品品質に関するリスク
リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響
医薬品製造には、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)に適合した設備(ハード)と手順や人材(ソフト)が求められます。各国当局のGMP査察や社内監査において、GMP上の重大な問題が見つかった場合には規制当局より製造停止や出荷停止を指示される可能性があります。また、使用する原料や製造工程において、何らかの原因により製品の安全性や品質に懸念が生じた場合は、出荷停止や製品回収が発生する可能性があります。
主な対策
品質保証の機能は社長直属のグローバルQAヘッドが、グローバル品質保証委員会、定期及び臨時のグローバル製品協議会等にて、各地域統括会社から報告される重大な品質関連事項についての協議、新たな製造場所の選定における品質面からの評価、製品品質の定期的レビュー、課題別のグローバルタスクフォースの活動状況のレビュー、監査で確認された課題及びその対応状況のモニタリング等を通じて、各地域の品質保証活動を直接指導する体制を構築しております。また、グローバルでの独立した専門の監査チームによる自社及び委託先への品質監査の強化を図っております。さらに、膨大な品質保証業務に関する情報をグローバルレベルで適切に管理、活用し、プロセスと信頼性を継続的に改善するために、電子品質マネジメントシステム(eQMS)の導入を進めており、主要な品質マネジメントプロセス(教育訓練、文書管理、逸脱、苦情、是正及び予防措置、変更管理、監査等)の電子的管理を行ってまいります。

生産・安定供給に関するリスク
リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響
各地域における詳細で精度の高い需要予測ができない場合、自社工場や委託先を含むサプライヤーなどとの連携により供給能力が維持できない場合、他社の供給トラブル等により市場の需給状況が著しく変動し影響が生じた場合には、当社グループの製品の安定供給に支障が生じ、上市スケジュールの遅延、製品の出荷調整等により、製薬会社としての信頼の失墜や売上収益の減少等が生じる可能性があります。
主な対策
製品の売上情報やニーズの変化を速やかに把握して需要予測の精度を高めるとともに、需要と供給をバランスさせ事業計画に沿った調整を迅速に行うためのS&OP(Sales and Operations Planning)と呼ばれるプロセスを展開しております。グローバル戦略品については需給計画のシステムによる可視化を進めました。また、急激な需要増や需給逼迫にも対応できるように、委託先の拡充、自社工場への設備投資、製造作業効率化のためのデジタル化推進、製造ならびに品質管理部門の増員と教育システムの充実を進めております。


取引先・委託先管理に関するリスク
リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響
当社グループは、他社との共同開発、共同販売、技術提携及び合弁会社設立等の提携、又は医薬品の原料供給、製造、物流、販売等に関して国内外のサプライヤーへ業務を委託しております。しかしながら、サプライヤーにて人権、法令遵守、環境及び情報セキュリティ等の問題が発生し、提携や業務委託による成果物が得られなかった場合や提携解消等が発生した場合、成果物の品質に問題が発生した場合には、当社製品の安定供給、物流や販売等に支障が生じ、製薬会社としての信頼の失墜や売上収益の減少又は承認申請遅延等が生じる可能性があります。
主な対策
高品質な製品を安定して供給するために、サプライヤーとともにCSR調達を推進していくことを表明した「協和キリングループ調達基本方針」に沿って、オープンでフェアなCSR調達に取り組んでおります。また、社会との関係、従業員との関係、ルールの遵守、人権尊重、環境保全、情報管理、リスクマネジメントの7つの項目について、サプライヤーに理解・協力を求める事項を「サプライヤー行動指針」としてまとめ、サプライヤーとの取引に際しては「サプライヤー行動指針」の遵守を含むCSR条項を契約に加えるとともに、「サプライヤー行動指針」の遵守状況を確認するためにCSRアンケートを実施し、結果を公表しております。また、外部機関からリスク情報や信用調査情報を入手し、客観的な情報に基づく評価も行っております。取引中も同様の情報を随時取得するとともに、懸念情報があった場合にはサプライヤーに状況を確認します。また、リスク情報を入手した場合には、必要に応じてサプライヤーに是正を求めたり、サプライヤーの変更を検討したりするなど関係部署と速やかに共有し協働してリスク低減を図っております。


情報セキュリティに関するリスク
リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響
当社グループは、各種情報システムを使用しているため、システムへの不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合は、システムの停止や秘密情報が社外に漏洩する可能性があります。また、取引先がサイバー攻撃を受けた場合にも、当社グループの秘密情報や個人データの漏洩、事業活動の停止、ブランド棄損等の被害につながる可能性があります。「感染症に関するリスク」の主な対策でも記載しておりますが、在宅勤務の促進により生産性が向上する一方で、自宅の通信環境の利用や一人業務が増加するため、盗聴、サイバー攻撃、メール誤送信のリスクが高まり、情報漏洩が発生する可能性があります。
主な対策
当社グループでは、年々多様化かつ巧妙化するサイバーセキュリティ上の脅威に対する技術的な対策に加え、サイバーインシデント発生時の初動対応の処理フローや手順書をプレイブックとしてまとめる等、情報セキュリティレベルを向上するための取組みを進めております。さらに取引先に対しても、セキュリティ対策の対応状況を確認する等、リスク低減のための取組みを進めております。また、インシデントが発生した場合に迅速に対処して被害を最小化するための取組みとして、各地域における、ランサムウェア等のサイバー攻撃に対応するクライシス演習などを実施しております。従業員に対する情報セキュリティ教育として、標的型攻撃メール訓練の継続実施、最新の攻撃手法の特徴に合わせて、コンピュータウイルスに感染しないための情報や注意点を従業員向け文書やサイバーセキュリティに関する特設サイト等を通じて周知、啓発をしております。

コンプライアンスに関するリスク
リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響
医薬品の研究開発及びその製造販売や輸出入には遵守すべき各種の法令等の規制があります。また、医薬品のプロモーションには各国の法規制に加えて業界の自主規範があり、製薬会社にはその遵守が強く要請されております。これらの法令等の規制や自主規範を遵守できなかったことにより、これらに基づく制裁を受け、新製品開発の遅延や中止、生産活動や販売活動等の制限や停止、製薬会社としての信頼の失墜等につながる可能性があります。
主な対策
当社グループではコンプライアンスを法令遵守だけではなく、社会の要請をいち早く察知かつ正しく理解し、倫理的に行動することと捉え、役員及び従業員一人ひとりがとるべき全般的な行動を「協和キリングループ行動規範」として定めております。各種法令等の規制や自主規範を遵守するための体制を構築するとともに、教育研修を継続的に実施しております。コンプライアンスの遵守状況と重要課題への対策の進捗状況については、四半期ごとに開催される各リージョナルCSR委員会や年1回開催されるグループCSR委員会にて議論し、継続的な改善を進めております。加えて、行動規範に反する行為や当社グループのブランド価値を著しく損ねる行為を予防、早期発見、是正するために、内部通報窓口を設けております。さらに、毎年、従業員コンプライアンス意識調査を実施し、潜在的なリスクを洗い出すとともに、回答内容の事実関係の確認や対処など初期段階でのリスクの低減を図っております。調査結果は、CSR委員会や取締役会にも報告しております。また、2021年より、グループコンプライアンス強化プロジェクトをスタートさせました。このプロジェクトでは、協和キリングループ行動規範を補完する各グループ基本方針をベースに、関連する規程類の整備、教育研修、モニタリングなどの取組み状況を評価しております。評価結果に応じて改善に向けたロードマップの作成と対策の実行を行うことで、グループのコンプライアンスレベルをより高めてまいります。


人的資源に関するリスク
リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響
当社グループは、多様な背景を持つ人たちが、自らの持つ能力を発揮して国内外の事業活動を推進するグローバルマネジメント体制の定着を進めておりますが、グローバルマネジメント体制を担う人材を育成、採用できない場合は、当社事業活動の継続や持続的な成長の阻害要因になる可能性があります。
主な対策
当社グループは、人材をイノベーションの源泉と捉え、多様な背景を持つ社員一人ひとりの能力を最大限引き出し、変革に挑み新しい価値を創造し続ける人材育成を計画し、実行しております。また新たに以下の「DE&I宣言」をグローバル共通のものとして策定し「多様な個性が輝くチームの力」実現のため取組みを進めております。人材充足においては、グローバル全体ではマネジメント体制強化のため、グローバルキーポジションごとにサクセッションプランニングを作成、人種、国籍、性別、年齢に関係なく次世代候補をノミネートしています。今後はノミネートされる人材パイプラインの拡充のために、リーダーポジションに求められる人材要件を明確にし、サクセッサーごとに個別の育成計画を策定し、戦略的に人材育成を実施していきます。 日本国内においては将来のあるべき事業規模や組織体制を想定し、現在の人員との需給ギャップを把握するとともに、一人ひとりの能力を最大限引き出すための挑戦機会を提供、人材のローテーション、採用計画などを議論するために、タレントレビュー会議をすべての部門で設置し、適切な計画を策定し、実行しております。また、次世代を担う経営人材育成のために、候補人材を選抜して、アセスメント、選抜研修の受講、早期抜擢や海外派遣を含むタフアサインメント等を組み合わせた育成施策を推進しております。これら人事部門での各種取り組みについては、改革イニシアチブの活動として設置された人材育成委員会にて、人事管掌以外の役員も委員として参画して、より実効性ある取り組みとなるように徹底的に議論を行っております。
その他、ありたい企業文化として、Key Behavior「壁を乗り越える」を制定し、社員一人ひとりが自他を隔てるあらゆる困難や新しいチャレンジの壁を乗り越えられるよう、社長・役員との対話やグループワーク等の活動を展開しております。企業文化の変革に向けた取組みの浸透度や定着度は、従業員意識調査やCorporate Culture Surveyによりモニタリングしております。

感染症に関するリスク
リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をはじめ、新興・再興の感染症の地域的な流行や、世界的なパンデミックにより、当社グループの本社、工場、研究所、事業所内でクラスターの発生による閉鎖又は事業活動の停止、原材料調達先であるサプライヤーの操業の停止や物流への影響が発生する可能性が考えられます。医療機関に混乱が生じた場合等には製品の安定供給や安全性情報の収集に支障が発生、医療従事者への製品の情報提供や臨床試験の進行が遅延する可能性があります。また、各国にて行政機関に影響が生じた場合には、承認申請や薬価交渉の遅れにより新薬の上市が遅延する可能性もあります。このような事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
主な対策
COVID-19の世界的なパンデミックに対して、感染リスクの低減を第一に、在宅でも可能な業務は在宅勤務を基本とし、ウェブミーティングツールを積極的に活用して社内外とのコミュニケーションを取りながら業務を進めると同時に、製造・研究開発・営業部門等をはじめ出社対応が必要な場合は、検温やマスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、居室の分離、換気の徹底等、細心の注意を払って業務にあたっております。また、感染者発生時の対応等、感染拡大防止に向けての対策も慎重に行っております。海外事業所においても在宅勤務を基本として活動しておりますが、通常業務の再開に向けてオンライントレーニングを適宜実施しております。また、営業活動においてはリアルとデジタルを組み合わせた最適な顧客接点の創出を進めております。このような在宅勤務を有効活用する取組みを働き方改革と位置づけ、イノベーション創出や従業員のwell-beingを促進するためにハイブリッドワーキングモデルのグローバルポリシーを制定しました。各地域において感染状況に十分に留意しながら、新しい働き方を浸透させ、かつ業務のデジタル化やオペレーショナルエクセレンスを加速させることで、生産性向上につなげてまいります。


自然災害に関するリスク
リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響
各地で起こりうる地震や台風等の自然災害により、当社グループの本社、工場、研究所、事業所等が閉鎖又は事業活動が停滞し、創薬研究や臨床開発の進展、製品の安定供給、安全性情報の収集、製品の情報提供等に影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
主な対策
当社グループでは、災害発生時の従業員とその家族の安全を確保するため各拠点と連携して防災計画を立て、安否確認訓練や備品の補充と点検を定期的に進めております。また、通常の事業活動が継続困難な状況に陥った場合においても、医薬品の供給、安全性の監視及び情報提供を継続するために、BCPを策定しております。超大型台風の発生、首都直下型大地震、工場での火災などを想定したBCP演習を実施し、演習を通して課題を抽出し、BCPの継続的な改善を進めております。2021年には、オールハザード型のグローバルBCPガイドラインを制定し、各地域での事業継続体制の強化も進めております。


気候変動に関するリスク
リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響
気候変動に伴う異常気象による水害の発生が、当社の製品の安定供給や研究活動など全ての事業活動に影響を及ぼす可能性があります。さらに、将来、炭素税の導入や環境規制強化への対応等による新たなコストの発生や、温室効果ガス削減目標を達成できない場合には当社グループのブランド価値が低下する可能性があります。
主な対策
事業活動への影響に加え、持続可能な社会の実現に向け、気候変動(温暖化の防止)への対応は重要と捉えており、中長期的な温室効果ガス削減のためのロードマップを作成して全社で様々な取り組みを進めております。中期的には、省エネの取り組みと再生可能エネルギーの導入や拡大を中心に温室効果ガス削減を推進する予定であります。2020年には、温室効果ガスを排出しない100%水力発電由来の電力「アクアプレミアム」*を高崎工場に導入し、高崎工場の電力の75%を切り替えました。また、2021年には、本社の電力(100%)も再生可能エネルギーに切り替わりました。また、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会、及びその影響を見極め、TCFDの提言に沿って、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク・機会の管理」及び「指標と目標」の4項目について、以下のとおり情報開示しております。
*:東京電力エナジーパートナー(株)が提供する料金プラン


気候変動関連の情報開示(TCFD提言に基づく情報開示)


気候変動課題を含めた環境管理全般の最高責任者として、代表取締役副社長が任命されております。
気候変動におけるリスクや機会に関する課題や、環境活動方針・結果などについては、定期的に開催される代表取締役副社長を委員長としたCSR委員会の、グループの環境管理における重要事項として報告・審議・決定し、その内容は、取締役会に報告しております。
なお、2020年度より環境管理統括機能を担うCSR推進部内にTCFD検討担当を設置し、気候変動におけるリスクと機会の特定、評価、対応について検討しております。
特定したリスクと機会の担当部署は、これらを定期的に見直し、CSR委員会へ付議するとともに対応の進捗を報告し、経営戦略の一環として気候関連課題に取り組んでおります。


パリ協定における「平均気温上昇を1.5℃以下に抑えた世界」を目指すとともに、気候変動に関するリスクと機会に対するシナリオ分析結果及びキリングループ環境ビジョン2050を踏まえ、当社の気候変動への対応について見直し、事業戦略に落とし込み対応を進めております。
緩和策としては、2050年までのバリューチェーン全体のGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス) 排出量ネットゼロ実現に向けてSBT1.5℃目標*1に対応したCO2削減目標へと上方修正するとともに、目標達成に向けたロードマップを作成し、再生可能エネルギーの早期導入・拡大、省エネルギー、エネルギー転換などの施策を推進し、脱炭素社会への移行リスクに対応します。
適応策としては、工場・研究所の敷地内への浸水等による長期間の操業停止など、グローバルな生産活動への影響に対し、大規模自然災害に対するBCPを策定し、水害に対しては浸水防止措置や設備投資対応(生産に関する重要資産の地理的分散保管、建物の防水化、重要設備の高層・高所配置化、浸水防止壁設置など)を実施し、物理的リスクに対応します。今後、サプライチェーン全体における影響評価・対応も実施し、継続的にリスクの最小化を図っていきます。
一方、気温上昇により花粉症患者数が増加し、結果としてアレルギー薬市場に対する機会が見込まれましたが、実質的な売上収益への影響は限定的と考えております。当分野の新規開発については、経営理念に基づき医療ニーズに応えていくため、継続して検討していきます。
*1パリ協定の水準に整合する、科学的根拠に基づいた企業における温室効果ガス排出削減目標


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(分析条件)
対象期間2020-2050年(短中期:2020-2030年、長期:2031-2050年)
対象範囲国内及び海外の生産・研究事業場、製造委託先及びサプライヤー等を含む
算定要件気候変動シナリオ(1.5℃、2℃、4℃)(IEA*2・IPCC*3等)に基づき分析
*2IEA:International Energy Agency(国際エネルギー機関)
*3IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change(国連気候変動に関する政府間パネル)
項目ごとに対象期間終了時点における損益額を算定


リスクと機会の特定については、リスクと機会ごとにシナリオ分析に基づき、発生時期や発生確率、影響範囲とその大きさ、対策内容などを総合的に評価し優先度合を決定しております。事業への影響が大きいものや社会的責任の高いもの、発生確率の高いもの等を特定し管理します。
なお、特定したリスクについては、その対応も含めてCSR委員会にて報告、審議・承認を得るとともに、四半期ごとに対応状況をモニタリングし、総合的にリスクを管理しております。


2021年にSBT1.5℃目標に基づく新たな2030年CO2排出量削減目標:2019年比55%削減を策定しました。また、新目標の達成に向け、ロードマップを作成するとともに、2021-2025年中期経営計画に組み込み、単年度ごとに目標の設定・管理を行い、施策の検討・展開を行っております。
2025年まで国内主要事業場へ使用電力の再生可能エネルギーへの転換を順次進めることにより、大幅なCO2排出量削減を達成する。
2030年まで海外サイトや国内の支店営業所等も含めた当社グループ全事業場への再生可能エネルギーの導入・拡大をする。
2040年まで使用電力の再生可能エネルギー100%化を目指す。
2050年まで工場設備等のエネルギー転換を進めるとともに、サプライチェーンにも温室効果ガス削減を働きかけ、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量ネットゼロを目指す。

また、国内生産・研究事業場へのオンサイトPPAモデル(Power Purchase Agreement:電力販売契約)による太陽光発電設備の導入も計画しており、これら施策を展開することにより相乗的にCO2排出量削減を加速させる予定であります。
なお、当社グループが所属するキリングループでは、キリングループ環境ビジョン2050に基づき、「2050年にバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロ」の目標を掲げております。中期目標としては、GHG削減目標を2030年までに2019年比でScope1*4+ Scope2で50%削減、Scope3で30%削減に上方修正(「SBT1.5℃」目標承認取得済み)し、使用電力の再生可能エネルギーを2040年に100%(RE100加盟)として設定(いずれも2020年に実施)しました。当社グループの2030年目標や施策の展開についてもこれらキリングループの中長期目標と連携しております。
なお、詳細は、当社ホームページ(https://www.kyowakirin.co.jp/csr/environment/tcfd/index.html)をご参照ください。

*4 Scope1、Scope2、Scope3:組織活動に伴って発生するサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量のこと。Scope1(直接排出量、)Scope2:(ネルギー起源の間接排出量)、Scope3(その他の間接排出量)から構成される。

その他、国内外製薬業界の事業活動に潜在するリスクとして、知的財産権に関するリスク、副作用に関するリスク、訴訟に関するリスク、製品競合・特許権満了に関するリスク、原燃料価格の変動リスク、為替・金融市場の変動リスク、カントリーリスク等、様々なリスクがあります。なお、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクは、ここに記載されたものに限定されるものではありません。

従業員の状況研究開発活動


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