シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OHH3 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社LTTバイオファーマ 事業の内容 (2022年3月期)


沿革メニュー関係会社の状況

当社グループ(当社及びその他の関係会社)は、医薬品の研究開発を主たる業務としております。

当社は、聖マリアンナ医科大学発ベンチャーである株式会社エルティーティー研究所(1988年設立)の創薬事業を継承した企業であります。当社の経営理念は、最先端の科学技術を医療に応用し、世界中の人々の健康と命を守ることへの貢献です。
創設者で初代会長の水島裕博士は、ドラッグデリバリーシステム(DDS)研究の草分け的存在であり、リポPGE1(パルクス、リプル)を始め、多くの新薬開発を成功に導きました。また、いち早く中国での医薬品ビジネスの将来性を見抜き、1995年に中国政府系病院と共同で北京泰德製薬股份有限公司(以下、北京泰徳製薬)を設立し、リポPGE1を始め多くの新薬を開発しました。2008年に会長を引き継いだ水島徹博士は、わが国にドラッグ・リポジショニング(DR)を広めた研究者です。現在北京泰德製薬の副董事長として同社研究所での指導や医薬品開発の支援も行っています。
以上のことから、当社は他のバイオベンチャーにはない多くの特徴(財産)を持っています。
・DDSとDRという効率的な創薬手法において、世界をリードするコア技術
・産学官に広がる人的ネットワーク(特に、アカデミアとの繋がり)
・中国有数の製薬企業に成長した北京泰德製薬との強い繋がり
・会社の継続実績に基づく信頼と、蓄積された創薬ノウハウ(経験豊かな社員・役員)
・安定的な収益に基づく医薬品開発推進力
2019年6月の株主総会後に発足した水島徹を代表取締役とする現経営陣は、以下の4つの柱を中心に研究開発活動を推進して参りました。
Ⅰ.既存パイプラインの上市へ向けた研究開発の加速
Ⅱ.湘南研究所における新規パイプラインの創成
Ⅲ.北京泰德製薬、及びSINO BIOPHARMACEUTICAL LIMITED(以下、シノバイオと称します)との連携
Ⅳ.当社の強みを活かした他社・アカデミアとの協業
これらの試みは全て、前述の当社の財産を活かしたもので、既に多くの成果も得られております。当事業年度は、PC-SOD(LT-1001)のCIPN(化学療法誘発性末梢神経障害)を対象とする臨床試験を開始しました。ノーベルファーマ株式会社との共同開発品であるLT-5001に関して、後期第Ⅱ相臨床試験の結果を解析したところ、統計的有意差を持ってその有効性を確認することができました。そこで、第Ⅲ相臨床試験の実施に向け検討を進めた結果、2022年度中には臨床試験を開始出来る見通しが立ちました。シノバイオとの連携に関しては、2021年3月25日に調印した資本業務提携基本契約に則り、具体的な協業を開始しました。また、他社との協業に関しましては、2021年4月7日に当社ウェブサイトにリリースした「あすか製薬とのコンサルティング業務委託契約締結に関するお知らせ」を始め、多くの製薬企業と連携しており、今後も新たな案件がスタートする予定です。またアカデミアとの連携も質・量ともに向上しており、当事業年度は北海道大学と共同研究契約を締結しました。

(1)DDSについて
DDSは、医薬品を必要な場所に、必要な時間、必要な量だけ送達する技術です。この技術によって薬物投与量や投与回数の軽減が可能になります。つまり薬の効果を高める一方で副作用を軽減することで、患者様の負担を減らすことができます。DDSは、既に臨床で使用されている既承認薬(既に疾患治療薬として承認されている医薬品)を使用することが多いので、一部の安全性試験などを省略でき、効率的かつ高い成功確率で医薬品を開発できます。また、望ましい薬効がありながら、その副作用や製剤上の理由で開発を断念した薬物をDDSにより復活させることも可能です。さらに最近では、最初からDDS化して開発しなければならないもの(例えば、核酸医薬や抗体-薬物複合体[ADC:Antibody-Drug Conjugate]など)も増えています。このようにDDSは、新薬開発に要する開発期間の大幅な短縮とコストの削減、開発リスクの低減、及び上市の早期実現を可能にします。
大手製薬企業は研究開発の効率化を目指し、研究開発の一部分を自社実施から外部委託に転換しております。例えば、DDSを含む製剤開発も外部委託化が進んでおります。当社としては、この動きを大きなチャンスと捉え、当社の持つDDSを含む製剤開発技術を活かし、大手製薬企業からの製剤開発受託事業が新しいビジネスになると考えました。これにより、当社の経営課題である売上の増加と、大手製薬企業との信頼関係の深化に役立てたいと考えています。前事業年度では、国内大手製薬企業から開発中新薬のDDS製剤開発の依頼を受け、当社のDDS技術を活かした製剤を調製し提供しました。当事業年度は、この受託研究の品質と当社のDDS技術を評価した当該大手製薬企業から別のDDS製剤開発を委託したいとの申し入れがあり、2022年4月に契約を締結しました。
0101010_001.png

当社はDDS分野のリーディングカンパニーであると自負しています。当社の開発したDDS製剤・リポPGE1はピーク時の日本での売り上げが500億円を超える医薬品となりました。また北京泰德製薬は、中国でのリポPGE1の上市に成功し、その売上はピーク時300億円を超えました(全医薬品中、売上4位)。リポPGE1は脂肪微粒子に封入することによりPGE1の失活を防ぐと共に、疾患部位へターゲッティングするDDS製剤で、脂肪微粒子を使ったDDS製剤としては世界初でした。我々はこの技術を応用し、リポNSAIDなど複数の脂肪微粒子製剤の開発に成功しました。なお、リポNSAIDも北京泰徳製薬の主力医薬品に成長し、その売上はピーク時で200億円を超えました。

(脂肪微粒子の構造)
0101010_002.png


その後も、世界初の新しいDDS技術を開発し、医薬品としての上市を目指して来ました。例えば、当社が現在一番力を入れて開発しているPC-SOD(LT-1001、LT-1002)は、SODというタンパク質にリン脂質を結合させ(レシチン化)、その医薬品としての効果を格段に高めたDDS製剤です。タンパク質のレシチン化技術を持っているのは当社のみであり、この技術は他のタンパク質にも適応可能ですので、現在大学と共同で新たなレシチン化製剤の開発を進めています。

(SOD(2量体)にリン脂質(phosphatidylcholine)を4分子共有結合させたDDS製剤)
0101010_003.png


また、我々が開発したステルス型ナノ粒子も画期的なDDS技術です。これまでのDDS技術は、ターゲッティング(疾患部位に薬物を選択的に送達させる)、あるいは徐放化(薬物を徐々に放出させる)のどちらかだけを狙っていましたが、ステルス型ナノ粒子は、この両方の目的を同時に達成した世界初のDDS製剤です。例えば、この粒子にPGE1を封入したナノ粒子(ナノPGE1、LT-2003)は、血管病変部に集積しそこでPGE1を放出するため、我々が上市したリポPGE1よりも、少ない量と投与回数でもより高い薬効を発揮することが期待されています。
0101010_004.png

リポソーム医薬品は既に世界で20品目が上市されています。抗がん剤、核酸を含む多くの薬物をリポソーム(リピドナノパーティクルを含む)に封入することにより、標的とする組織・細胞へのパッシブターゲティング、アクティブターゲティングが可能となります。

0101010_005.png


(2)DRについて
当社は、DRも推進しています。DRとは、ヒトでの安全性・体内動態が充分に証明されている既承認薬の新しい薬理効果を発見し、その薬を別の疾患治療薬として開発(適応拡大)することです。
DRのメリットは、既に臨床で使われている医薬品なので、ヒトでの安全性や体内動態などがよく分かっており、臨床試験で予想外の副作用や体内動態の問題が発見され開発が失敗する可能性が少ない、即ち医薬品開発の成功確率が高いことです。さらに、既にあるデータ(試験管内での毒性試験、動物での毒性試験やADME試験、第Ⅰ相臨床試験など)を再利用し、開発にかかる時間とコストを削減できることもDRのメリットです。欧米では、2007年頃からメガファーマが急激にDRへ創薬戦略をシフトし、DRによる成果も次々に産まれています。一方、我が国ではDRへのシフトが遅れていました。しかし、当社の研究成果がマスコミ等で紹介された結果、我が国でもDRが注目されるようになってきました。このように我が国でDRへの関心が急速に高まっている中で、DRのリーディングカンパニーである当社は、その更なる推進を図っています。
0101010_006.png

既承認薬の適応拡大はこれまでも行われていましたが、臨床の現場でたまたま見つかった効果を基にした適応拡大であったり、製薬企業が自社医薬品の適応を類似疾患へ拡大したりするパターンでした。これに対し当社では、網羅的・体系的・科学的なDRを行っています。具体的には、日本で承認された薬(既承認薬)だけを集めた化合物ライブラリ(既承認薬ライブラリ)を独自に構築し、これを用いて様々なスクリーニングを実施し、DR研究を進めてまいりました(COPD、ドライアイ、肺線維症など)。また、このライブラリを無償で提供し共同でDRを進める共同事業を展開しています。当事業年度においても、新たに北海道大学と共同研究契約を結び共同研究を開始したほか、既承認薬ライブラリのリニューアルにも着手しました。一方、スクリーニングで得られた既承認薬の薬効をさらに高めるため、あるいは物質特許を得るために、既承認薬をリード化合物として誘導体を合成し、新規物質を創成しております(LT-3001、LT-3002など)。
臨床での安全性は確認されたものの、薬効不足などにより臨床開発が中断した化合物(お蔵入り新薬)を抱える製薬企業は多く、DRにより新たな薬理効果を発見し別の疾患治療薬として開発することができれば、大きなメリットとなります。当社は大手企業からこのようなDRを受託するビジネスも展開しています。
DRに対する製薬企業の関心は年々高まっており、当社代表取締役である水島徹は多くの製薬企業からの様々な相談を持ち掛けられております。そこで、これをコンサルビジネスとして発展させ、売上に寄与させたいと考えました。当事業年度では、あすか製薬株式会社より、DRに関するコンサルティング業務の依頼を受け、コンサルティング業務委託契約を締結しました。具体的には、同社が有するDRに関するプロジェクトに関し、研究・知財・薬価・臨床・製造など、様々な観点から当社が助言を行いました。先方からは高い評価をいただき、契約を延長することで合意しております。当社は、本業務を真摯に実施すると共に、同様のコンサルティング業務を拡大して行き、売上の増加に繋げたいと考えています。

(3)北京泰德製薬、及びシノバイオと連携した医薬品開発・事業開発について
1995年に当社と中国の政府系病院が設立した北京泰德製薬は、中国有数の大手製薬企業に成長しました。自社MRが1,300人以上在籍し、販売網は中国全域をカバーしており、その販売力には定評があります。また、当社からの導出品を中心に多くの医薬品の中国での上市に成功しておりその開発力も抜群です。当社は北京泰徳製薬と資本業務提携、並びに包括支援契約を結び、密接に連携してきました。さらに最近は、北京泰徳製薬の成長を取り込むために、北京泰徳製薬が必要としている薬を当社が研究開発し、他社の中国での医療ビジネス展開を支援したりする新たなビジネスも行っております。
中国における薬価の引き下げ政策や新型コロナウイルスの影響等により、中国の製薬企業の業績は悪化しております。北京泰徳製薬も例外ではなく、2020年の決算は厳しいものがありました。しかし、当社を含めた北京泰徳製薬の主要株主の意向もあり、同社からの配当金として前年より減少したものの、当事業年度に395百万円を受け取ることができました。当社は、北京泰徳製薬の業績を少しでも早く回復させるよう活動したところ、2021年の北京泰徳製薬の決算は、売上、利益とも大幅な増加となり、当社が受け取る配当金も2020年0.4元/株から2021年0.8元/株となります。尚、この2021年12月期に属する配当につきましては、2022年3月に開催された同社の株主総会で事実上決定しておりますが、中国での新型コロナウイルス感染拡大の影響で同社の董事(役員)全員の署名が完了していないため、当該配当は翌期に計上することを予定しております。
さらに、北京泰徳製薬の親会社であるシノバイオとの連携を深めることが当社の企業価値の向上に繋がると考え、これまで当社と先方のCEOが定期的に交流して参りました。その中で、当社の技術・ノウハウ・人材・パイプラインを評価したシノバイオが、当社との資本業務提携を目的とした公開買付けを前事業年度に実施しました。そして、公開買付け終了後の2021年3月25日、シノバイオと当社は資本業務提携基本契約を締結しました。本業務提携により当社は以下のようなシナジー効果を得られると考えています。
① ライセンスアウト成功による当社の収益拡大
シノバイオグループ企業に当社パイプラインをライセンスアウトすることによる、当社の収益拡大
② 資金支援による当社の研究開発の加速や収益基盤の向上
研究開発の加速や他の製薬企業等への投資に充当する資金が必要となった場合に、シノバイオが資金支援を行い、当社単独の資金力では実行できなかった研究開発や投資案件の実行が可能となることによる、当社の研究開発の加速や収益基盤の向上
③ 新ビジネスによる当社のビジネス拡大
ⅰ)中国や東南アジアへの進出を目指す日本企業をシノバイオに紹介し、当社が紹介した日本企業又はシノバイオより、ロイヤリティや売上の一部を紹介報酬として受け取るビジネスの拡大
ⅱ)シノバイオが日本企業から医薬品を導入する際、及びシノバイオのパイプラインを日本企業へ導出する際の仲介を当社が行い、当社が紹介した日本企業又はシノバイオより、ロイヤリティや売上の一部を紹介報酬として受け取るビジネスの拡大
このように本業務提携は、当社の研究開発の加速や収益の多角化(北京泰徳製薬の配当以外の収入源の確保)に繋がると期待しています。当事業年度のシノバイオとの業務提携では具体的な協業の検討を進めました。
0101010_007.png


(4)パイプラインについて
① CIPN、心筋梗塞、ARDS、腎障害治療薬としてのPC-SOD
多くの病気の根本的な原因となっている活性酸素を効果的に消去するPC-SODは、様々な疾患の治療薬として有望です。実際、特発性肺線維症と潰瘍性大腸炎に関しては、当社が行った臨床試験で有効性が示唆されています。また動物モデルで有効性が示された疾患は、この二つの疾患に加えて、COPD、ドライマウス、脳梗塞、脊髄損傷、熱傷、外傷性脳損傷、移植時傷害、心筋梗塞、強皮症、ARDSなど多岐に渡っています。まず、注射剤(LT-1001)として第Ⅱ相臨床試験まで研究開発を進めましたが、静脈内投与では患者様が長期の入院を余儀なくされるため、通院のみで治療が可能な新しい投与方法(ネブライザーを用いた吸入投与、LT-1002)を考案しました。しかし特発性肺線維症を対象とした臨床試験では、安全性は確認できたものの、有効性を証明することが出来ませんでした。そこで現在では、急性、かつ臨床ニーズが高い疾患を対象に、注射剤での開発を進めています。特に、CIPN、心筋梗塞、ARDS、腎障害に注目しています。この内心筋梗塞に関しては、北京泰徳製薬が中国で第Ⅰ・Ⅱ相臨床試験実施の許可を得て、既に第Ⅱ相試験を開始しています。一方、当社においては、CIPN(化学療法誘発性末梢神経障害)を対象とする臨床試験に向けて準備を進めて参りました。CIPNはオキサリプラチンなどの抗がん剤による副作用の一種であり、抗がん剤投与後にしびれなどが生じ、重篤な場合には抗がん剤の投与を止めなくてはならなくなり、臨床現場で大きな問題になっています。現在、この副作用を予防する方法(薬)がないこと、及びこの副作用の原因が活性酸素であることに着目した当社はこれまで動物実験を進め、PC-SODが顕著な効果を示すことを発見しました。2021年9月には臨床試験実施計画書を完成させ、PMDAに治験届を提出しました。2022年1月には最初の被験者が登録となり、治験薬の投与を開始しました。2022年5月23日時点で30名の被験者が登録されています。既にご報告しておりますように、CIPNというアンメットメディカルニーズ(臨床で解決されていない課題)に興味を持った国内製薬企業と既に共同研究契約を締結しており、今回の臨床試験もこの契約に則って行います。そこで、この臨床試験で効果が確認できましたら、上市への道筋が見えて参ります。
開発コード:LT-1001(注射剤)、LT-1002(吸入剤)(PC-SOD)
対象疾患:CIPN、心筋梗塞、腎障害、脳梗塞、ARDS、潰瘍性大腸炎、特発性肺線維症など
開発ステージ:第Ⅰ相臨床試験終了、一部第Ⅱ相臨床試験終了
知財:物質特許、用途特許、製剤特許

② 集積性と徐放性を併せ持つDDSキャリア・ステルス型ナノ粒子
これまでのDDSキャリアは、集積性、あるいは徐放性のどちらかだけを目指したものでしたが、当社はその両者を同時に達成するステルス型ナノ粒子の開発に世界で初めて成功しました。次に記載の③と④はこの技術を利用したものですが、この粒子を使った他社との共同開発も行っています。

③ 末梢動脈閉塞症治療薬としてのナノPGE1
当社が開発したリポPGE1は、多くの患者様の治療に貢献してきました。しかし、毎日注射をする必要があり、QOL※の点では問題がありました。そこで当社は、集積性と徐放性を併せ持つDDSキャリア・ステルス型ナノ粒子にPGE1を封入したナノPGE1を開発しました。この製剤は、2週間に1回程度の投与で、リポPGE1の毎日投与を上回る効果が期待されています。
開発コード:LT-2003(ナノPGE1)
対象疾患:末梢動脈閉塞症
開発ステージ:基礎研究
知財:製剤特許

※QOL(Quality of Life)とは、生活を物質的な面から量的にのみとらえるのではなく、精神的な豊かさや満足度も含めて、質的にとらえる考え方であります。

④ 肺高血圧症治療薬としての、ナノPGI2誘導体
現在、肺高血圧症の治療には、PGI2のポンプによる持続投与、あるいはPGI2誘導体の経口投与が行われていますが、前者はQOLの面で、後者は効果の面で問題があります。そこで当社は、集積性と徐放性を併せ持つDDSキャリア・ステルス型ナノ粒子に、PGI2誘導体を封入したナノPGI2誘導体を開発しました。この製剤は血管病変部に集積し、そこでPGI2誘導体を徐放しますので、2週間に1回程度の投与でも、十分な効果を発揮することが期待されます。
開発コード:LT-2004(ナノPGI2誘導体)
対象疾患:肺高血圧症
開発ステージ:基礎研究
知財:製剤特許

⑤ 胃潰瘍を起こしにくく、かつ速効性に優れた新規NSAID
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は、解熱鎮痛抗炎症薬として臨床上必要不可欠ですが、胃潰瘍副作用が大きな問題になっています。当社は、既存のNSAIDに比べ,格段に胃潰瘍を起こしにくく、かつより速やかに鎮痛効果を発揮する新規NSAID(LT-3001)を創出しました。
開発コード:LT-3001(新規物質)
対象疾患:炎症性疾患
開発ステージ:非臨床試験実施中
知財:物質特許

⑥ 長時間作用性の気管支拡張効果と抗炎症効果を併せ持つCOPD治療薬
COPD治療には現在、症状を改善するための長時間作用型気管支拡張薬と、病気の進行を抑制するためのステロイドが使用されています。これに対して当社が創出したLT-3002は、動物実験において、既存の気管支拡張薬よりも長く気管支を拡張するだけでなく、ステロイドよりも強力な抗炎症作用を発揮します。このようにLT-3002はCOPD治療薬として大変有望な新規物質です。
開発コード:LT-3002(新規物質)
対象疾患:COPD
開発ステージ:非臨床試験実施中
知財:物質特許

⑦ 気管支拡張効果と抗炎症効果を併せ持つCOPD治療薬(既承認薬)
COPD治療には現在、症状を改善するための長時間作用型気管支拡張薬と、病気の進行を抑制するためのステロイドの両者が使用されています。これに対して当社では、既承認薬ライブラリから、気管支拡張効果と抗炎症効果を併せ持つ既承認薬LT-4001を発見しました。
開発コード:LT-4001(既承認薬)
対象疾患:COPD
開発ステージ:既承認薬のため、非臨床試験は完了
知財:用途特許、製剤特許

⑧ 新しいメカニズムのドライアイ治療薬
ドライアイに対しては、様々なメカニズムの医薬品が上市・開発されていますが、未だ治療法は確立されていません。現在、涙液の高浸透圧化による傷害から角膜を守る薬がないことに着目し、当社では医薬品を既承認薬ライブラリから検索し、既承認薬LT-4002を発見しました。前期第Ⅱ相臨床試験を実施し有効性と安全性を確認しました。一方、後期第Ⅱ相臨床試験では、プラセボと比較して主要な評価項目(自覚症状等)において改善傾向が認められておりますが、目標としたレベルの統計的有意差は得られておらず、有効性を明確に示すことはできませんでした。そこで現在は、今後の開発を共同で進めて頂けるパートナーを探しております。
開発コード:LT-4002(既承認薬)
対象疾患:ドライアイ
発ステージ:後期第Ⅱ相臨床試験終了
知財:用途特許、製剤特許
⑨ 新しいメカニズムの肺線維症治療薬
特発性肺線維症は肺が徐々に線維化し呼吸機能が低下する疾患で、5年生存率は40%以下で肺がんよりも予後が悪いと言われています。この疾患では筋線維芽細胞が活性化することが原因と考えられています。そこで我々は武蔵野大学と共同で、筋線維芽細胞の活性化を抑制する薬を既承認薬ライブラリからスクリーニングしLT-4010を発見しました。
開発コード:LT-4010(既承認薬)
対象疾患:肺線維症
開発ステージ:既承認薬のため、非臨床試験は完了
知財:用途特許

⑩ 新しいメカニズムの肥満症治療薬
肥満は今や世界全体の問題であり、重要な疾患と捉えられています。そこで我々は、東京大学医学部と共同でスクリーニングを行い、既承認薬LT-4011を発見しました。このスクリーニング系は、東京大学医学部で肥満に関与する新しい因子を発見したことに基づいており、新しいメカニズムで肥満を改善する既承認薬の開発を目指しております。
開発コード:LT-4011(既承認薬)
対象疾患:肥満症
開発ステージ:既承認薬のため、非臨床試験は完了
知財:用途特許

⑪ 新しいメカニズムの新型コロナウイルス感染症治療薬
当社は社会貢献の観点から新型コロナウイルス感染症にも取り組みました。具体的には、筑波大学医学部と共同でスクリーニングを行い、既承認薬LT-4012を発見しました。新しいメカニズムで新型コロナウイルスの増殖を抑える薬であり、試験管内ではウイルスの増殖をほぼ完全に抑える効果が得られております。当事業年度では、動物実験において新型コロナウイルス依存の個体死をこの既承認薬が抑制することを見出しました。そこで、この薬を販売している大手製薬企業とライセンスや共同開発に関する交渉を進めると共に、国からの研究費の獲得に向けた活動を筑波大学と協力して進めております。
開発コード:LT-4012(既承認薬)
対象疾患:新型コロナウイルス感染症
開発ステージ:既承認薬のため、非臨床試験は完了
知財:用途特許

⑫ ノーベルファーマ株式会社と共同開発している既承認薬(同社との契約により詳細は非開示)
開発コード:LT-5001(既承認薬)
対象疾患:非開示
開発ステージ:後期第Ⅱ相臨床試験終了
知財:非開示

〔事業系統図〕
研究開発に係る事業系統図は次のとおりであります。

0101010_008.png


(注)北京泰徳製薬及びSINO BIOPHARMACEUTICAL LIMITEDは、その他の関係会社であります。

沿革関係会社の状況


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00982] S100OHH3)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。