有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OLV8 (EDINETへの外部リンク)
日本板硝子株式会社 研究開発活動 (2022年3月期)
当社グループの新しい中期経営計画「リバイバル計画24(RP24)」に基づき、製品とサービスの付加価値化を進め、新たな成長の柱を確立するためには、研究開発の強化が必要不可欠です。
事業戦略に基づき、研究開発活動は以下の分野に注力しています。
1) 快適空間の創造:快適で安全・健康な「人にやさしい生活空間」を創造する
2) 地球環境の保護:再生可能エネルギーの活用拡大や冷暖房負荷の軽減などを通して「地球にやさしい環境」を創造する
3) 情報通信分野: 人々の暮らしをより便利にし、社会の進化をささえる情報通信関連分野に貢献する
例えば、研究開発部門は、脱炭素化の目標を達成するために必要な技術を特定して開発するというグループの活動を主導しています。2022年3月期においては、2021年3月期の有価証券報告書に記載した水素とバイオ燃料を用いたガラス窯の燃焼実験を含む目標を達成しました。NSGグループは世界で初めてこれら2つの燃焼実験を成功させました。
また、当社グループは、フロートガラスやコーティング、ガラスファイバーやガラスフレーク、光学デバイス、自動車用ガラス加工など明らかに競争優位性のある技術を始めとして、コア技術の開発と活用に長年取り組み成果を上げてきました。
基礎研究や新技術の調査を行うため、外部のパートナーとの協業も強化しています。協業の形態は、優れた大学との長期的な連携や、スタートアップ企業への当社グループ施設の提供など多岐にわたります。
各事業部門は、地域レベルやグローバルレベルで、研究開発プロジェクトの優先順位決定や計画策定に積極的に関与しています。さらに経営レビューというプロセスにおいて、経営会議メンバーも、当社グループにおける研究開発活動の貢献度をモニターし、方向性を決めています。
当社グループにおける当連結会計年度の研究開発費は、77億円となりました。
セグメント別の研究開発費は下表の通りです。
(1)建築用ガラス事業
建築用ガラス事業では、住宅や商業用建物向けのガラス製品の拡充に引き続き努めています。顧客ニーズに応えるべく主要な分野で技術革新を行っており、例えば断熱ガラスやソーラーコントロール(遮熱)ガラス、内装用の装飾ガラスの品揃え強化や真空ガラス「スペーシア®」の改良があげられます。
2022年3月期においては、農業用温室向けガラス製品ブランド「NSG ボタニカル™」シリーズを新たに立ち上げました。「NSG ボタニカル™」は世界の人口増加をささえるための成果が必要不可欠となることから、拡大しつつあり非常に重要な分野となっている農業セクターを対象としています。
農業生産者は、農作物への直射日光・熱を抑えながら光透過率も向上させること、夏は暑すぎず、冬は暖かさを保つこと、農作物の生育期の延長、カーボンニュートラルへの貢献、日射光のうちのある一定の波長の強化などの幅広い要望を持っています。新製品の適用範囲はこれらニーズに対応可能であり、更なる開発が進められています。
当社グループは、成長分野である太陽光発電向け製品やBIPV(建物一体型太陽光発電)、エレクトロクロミ
ック技術を活用した製品の開発にも引き続き取り組んでいます。当社グループの導電膜付基板ガラスは顧客製
品の性能の向上に貢献しています。非常に興味深い新しい分野に、ペロブスカイト太陽電池やプラズモニック太陽電池があります。当社グループの透明導電膜付きガラスがニーズを満たすことができるように、これらの新技術の開発者とも緊密に連携をとっています。
また液体コーティングにおける長年の経験を活かし、防眩、指紋付着防止、抗菌、帯電防止など様々な特性を有するコーティングの新規開発を行っています。
以上により、建築用ガラス事業における当連結会計年度の研究開発費は24億円となりました。
(2)自動車用ガラス事業
当社グループは、競争優位の源泉であるコア技術に基づき、新製品の開発や核となる製造工程の継続的改善に重点を置いた研究開発を進めています。自動車産業界が求める、安全やセキュリティ、環境、快適さや利便性、スタイルといった領域で技術革新を進めています。「CASE」(Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化))と呼ばれる新しい潮流により、新たなビジネスの機会が増えています。
当社グループは、顧客と緊密に連携しながら、ヘッドアップディスプレイ(HUD)用のフロントガラスのような先進的な製品の開発を進めています。拡張現実ヘッドアップディスプレイ(AR-HUD)に対応したフロントガラスは既にそれを採用した車種が発売されるなど成果が出ています。当社グループの先進的なガラス成形技術やシミュレーション技術に加え、厳しい光学要件を満たすための原材料と生産プロセスについての知見は、顧客から高く評価されています。
また、建築ガラス用に用いられる耐久性の高いコーティングを応用したLOW-Eガラスを顧客へ提供しています。これらは、高温と低温の気候両方で、電気自動車の航続距離を伸ばし、快適性を向上させることができます。
以上により、自動車用ガラス事業における当連結会計年度の研究開発費は23億円となりました。
(3)高機能ガラス事業
高機能ガラス事業では、光学設計、ガラスファイバー、ガラスフレーク等のガラス繊維製品など、当社のコア技術を活用した多くの成長分野で事業を行っています。
超情報化社会の到来により、データストレージや高速・大容量通信に関連する製品の需要が飛躍的に高まっています。イメージセンシング技術を用いた産業用検査機や物流ロボット、ドローンなどへの応用は小型で高精度の光学部品へのニーズを拡大し、加速します。
高機能ガラス事業部門では、ICTを中心に、市場ニーズの変化に合わせた独自性の高い製品の開発・商品化を加速することを研究開発の方針としています。当社グループは、顧客と緊密に連携しながら、新規の顧客基盤の構築のため積極的に活動しています。
2022年3月期においては、高弾性・高強度ガラスファイバー「MAGNAVI®」を新開発しました。「MAGNAVI®」は新たなFRP・FRTP(繊維強化プラスチック)用補強材として使用できます。電波透過性と耐熱性といったガラスファイバーの特長はそのままに、従来のガラスファイバーに対して優れた機械特性を備えています。
以上により、高機能ガラス事業における当連結会計年度の研究開発費は、9億円となりました。
(4)その他
当社グループでは、長期的研究開発活動に関する支出は本社部門が負担しています。これには、既存事業の将来の基盤となる新技術を探索する「インキュベーター」活動も含まれています。「インキュベーター」活動は、主に外部のパートナーや大学と連携して行います。開発が十分に進んだ段階で、商業ベースに乗せるべく事業部門管轄のプロジェクトに切り替えて進めます。
また、ビジネス・イノベーション・センターはこのセグメントに含まれます。ビジネス・イノベーション・センターでは様々な形態のガラスや半導体に、光学的・電気的な付加機能を作り込む技術および製品開発に取り組んでいます。当社グループの独自の材料や構造設計により、様々な形態のガラスや半導体に付加する革新的な機能を安定的に実現することに課題がありましたが克服し、要求仕様毎にチューニングして実証する段階に移行しました。外部パートナーの協力も得ながら複数の異なる市場にチャレンジしており、顧客企業の最終製品への採用事例も出始めています。
以上により、その他における当連結会計年度の研究開発費は22億円となりました。
事業戦略に基づき、研究開発活動は以下の分野に注力しています。
1) 快適空間の創造:快適で安全・健康な「人にやさしい生活空間」を創造する
2) 地球環境の保護:再生可能エネルギーの活用拡大や冷暖房負荷の軽減などを通して「地球にやさしい環境」を創造する
3) 情報通信分野: 人々の暮らしをより便利にし、社会の進化をささえる情報通信関連分野に貢献する
例えば、研究開発部門は、脱炭素化の目標を達成するために必要な技術を特定して開発するというグループの活動を主導しています。2022年3月期においては、2021年3月期の有価証券報告書に記載した水素とバイオ燃料を用いたガラス窯の燃焼実験を含む目標を達成しました。NSGグループは世界で初めてこれら2つの燃焼実験を成功させました。
また、当社グループは、フロートガラスやコーティング、ガラスファイバーやガラスフレーク、光学デバイス、自動車用ガラス加工など明らかに競争優位性のある技術を始めとして、コア技術の開発と活用に長年取り組み成果を上げてきました。
基礎研究や新技術の調査を行うため、外部のパートナーとの協業も強化しています。協業の形態は、優れた大学との長期的な連携や、スタートアップ企業への当社グループ施設の提供など多岐にわたります。
各事業部門は、地域レベルやグローバルレベルで、研究開発プロジェクトの優先順位決定や計画策定に積極的に関与しています。さらに経営レビューというプロセスにおいて、経営会議メンバーも、当社グループにおける研究開発活動の貢献度をモニターし、方向性を決めています。
当社グループにおける当連結会計年度の研究開発費は、77億円となりました。
セグメント別の研究開発費は下表の通りです。
(単位:百万円) | |
セグメントの名称 | 当連結会計年度 |
建築用ガラス事業 | 2,366 |
自動車用ガラス事業 | 2,252 |
高機能ガラス事業 | 853 |
報告セグメント計 | 5,471 |
その他 | 2,235 |
合計 | 7,706 |
(1)建築用ガラス事業
建築用ガラス事業では、住宅や商業用建物向けのガラス製品の拡充に引き続き努めています。顧客ニーズに応えるべく主要な分野で技術革新を行っており、例えば断熱ガラスやソーラーコントロール(遮熱)ガラス、内装用の装飾ガラスの品揃え強化や真空ガラス「スペーシア®」の改良があげられます。
2022年3月期においては、農業用温室向けガラス製品ブランド「NSG ボタニカル™」シリーズを新たに立ち上げました。「NSG ボタニカル™」は世界の人口増加をささえるための成果が必要不可欠となることから、拡大しつつあり非常に重要な分野となっている農業セクターを対象としています。
農業生産者は、農作物への直射日光・熱を抑えながら光透過率も向上させること、夏は暑すぎず、冬は暖かさを保つこと、農作物の生育期の延長、カーボンニュートラルへの貢献、日射光のうちのある一定の波長の強化などの幅広い要望を持っています。新製品の適用範囲はこれらニーズに対応可能であり、更なる開発が進められています。
当社グループは、成長分野である太陽光発電向け製品やBIPV(建物一体型太陽光発電)、エレクトロクロミ
ック技術を活用した製品の開発にも引き続き取り組んでいます。当社グループの導電膜付基板ガラスは顧客製
品の性能の向上に貢献しています。非常に興味深い新しい分野に、ペロブスカイト太陽電池やプラズモニック太陽電池があります。当社グループの透明導電膜付きガラスがニーズを満たすことができるように、これらの新技術の開発者とも緊密に連携をとっています。
また液体コーティングにおける長年の経験を活かし、防眩、指紋付着防止、抗菌、帯電防止など様々な特性を有するコーティングの新規開発を行っています。
以上により、建築用ガラス事業における当連結会計年度の研究開発費は24億円となりました。
(2)自動車用ガラス事業
当社グループは、競争優位の源泉であるコア技術に基づき、新製品の開発や核となる製造工程の継続的改善に重点を置いた研究開発を進めています。自動車産業界が求める、安全やセキュリティ、環境、快適さや利便性、スタイルといった領域で技術革新を進めています。「CASE」(Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化))と呼ばれる新しい潮流により、新たなビジネスの機会が増えています。
当社グループは、顧客と緊密に連携しながら、ヘッドアップディスプレイ(HUD)用のフロントガラスのような先進的な製品の開発を進めています。拡張現実ヘッドアップディスプレイ(AR-HUD)に対応したフロントガラスは既にそれを採用した車種が発売されるなど成果が出ています。当社グループの先進的なガラス成形技術やシミュレーション技術に加え、厳しい光学要件を満たすための原材料と生産プロセスについての知見は、顧客から高く評価されています。
また、建築ガラス用に用いられる耐久性の高いコーティングを応用したLOW-Eガラスを顧客へ提供しています。これらは、高温と低温の気候両方で、電気自動車の航続距離を伸ばし、快適性を向上させることができます。
以上により、自動車用ガラス事業における当連結会計年度の研究開発費は23億円となりました。
(3)高機能ガラス事業
高機能ガラス事業では、光学設計、ガラスファイバー、ガラスフレーク等のガラス繊維製品など、当社のコア技術を活用した多くの成長分野で事業を行っています。
超情報化社会の到来により、データストレージや高速・大容量通信に関連する製品の需要が飛躍的に高まっています。イメージセンシング技術を用いた産業用検査機や物流ロボット、ドローンなどへの応用は小型で高精度の光学部品へのニーズを拡大し、加速します。
高機能ガラス事業部門では、ICTを中心に、市場ニーズの変化に合わせた独自性の高い製品の開発・商品化を加速することを研究開発の方針としています。当社グループは、顧客と緊密に連携しながら、新規の顧客基盤の構築のため積極的に活動しています。
2022年3月期においては、高弾性・高強度ガラスファイバー「MAGNAVI®」を新開発しました。「MAGNAVI®」は新たなFRP・FRTP(繊維強化プラスチック)用補強材として使用できます。電波透過性と耐熱性といったガラスファイバーの特長はそのままに、従来のガラスファイバーに対して優れた機械特性を備えています。
以上により、高機能ガラス事業における当連結会計年度の研究開発費は、9億円となりました。
(4)その他
当社グループでは、長期的研究開発活動に関する支出は本社部門が負担しています。これには、既存事業の将来の基盤となる新技術を探索する「インキュベーター」活動も含まれています。「インキュベーター」活動は、主に外部のパートナーや大学と連携して行います。開発が十分に進んだ段階で、商業ベースに乗せるべく事業部門管轄のプロジェクトに切り替えて進めます。
また、ビジネス・イノベーション・センターはこのセグメントに含まれます。ビジネス・イノベーション・センターでは様々な形態のガラスや半導体に、光学的・電気的な付加機能を作り込む技術および製品開発に取り組んでいます。当社グループの独自の材料や構造設計により、様々な形態のガラスや半導体に付加する革新的な機能を安定的に実現することに課題がありましたが克服し、要求仕様毎にチューニングして実証する段階に移行しました。外部パートナーの協力も得ながら複数の異なる市場にチャレンジしており、顧客企業の最終製品への採用事例も出始めています。
以上により、その他における当連結会計年度の研究開発費は22億円となりました。
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