有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OAOM (EDINETへの外部リンク)
株式会社 神戸製鋼所 研究開発活動 (2022年3月期)
当社グループ(当社及び連結子会社)は、幅広い技術分野での高度な技術力を源泉として、当社グループならではの顧客価値を実現する製品の創出と、それに必要な「ものづくり力」の強化を中心に取り組み、また拡販のための技術支援、ソリューション提案など多くの成果をあげております。
本社部門では、2021年4月1日付で、全社横断で新製品・新事業の企画を担当する「事業開発部」を新設しました。事業開発部ではグループ内の多様な知的資産を掛け合せ、新規事業化を推進しております。特に、水素社会への移行については、これを成長機会と捉え、当社グループの機械・エンジニアリングの技術を組み合わせた新規事業化に取り組んでおります。
技術開発本部では、幅広い事業分野で培った技術蓄積を活かし、素材系・機械系・電力の各事業部門において、真に競争力のある製品・サービスの優位性強化に向けた研究開発を行っていきます。また、カーボンニュートラルやデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)などの急激な外部環境変化に対応すべく、グループ連携での新事業企画など、将来の成長分野・新規分野への取組みを強化していきます。
将来の成長分野・新規分野への取組みの一環として、2021年4月1日付で、「デジタルイノベーション技術センター」を新設しました。KOBELCOグループが推進するDX戦略において、ICT・AI分野の先端技術の開発と事業適用を強化・加速する目的で、デジタル分野の人材・技術・情報を集約しました。お客様との共創やサプライチェーン連携、開発及び設計業務の革新、生産現場の自動化や多品種変量生産の高度化など、グループのバリューチェーンをデータでつなぎ、お客様起点で新たな価値創出を推進します。また、活動を通してDXを推進できる人材を育成します。
また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発」において「製鋼スラグを活用したCO2固定化プロセスの開発」のテーマを提案し、採択されました。鉄鋼製品の製造過程で発生する鉄鋼スラグは中に含まれるアルカリ成分がCO2と反応しやすく、CO2固定化に有用な素材として注目されています。カーボンニュートラルの実現や環境負荷低減への更なる貢献を目指し、CO2固定化技術の開発を進めていきます。
また、従来品と比べて高い流動性の保持と強度を確保したジオポリマーを建設化学品メーカーのポゾリスソリューションズ(株)と共同開発しました。従来のジオポリマーは、通常のコンクリートやモルタルと比べて流動性と強度に課題があり、使用用途が限られていました。鉄鋼製品の製造過程で使用した後のアルカリ性溶液も活用した独自の添加物によって課題を解消し、多用途化と低価格化に繋がる技術を開発しました。今後も製品化に向けて開発を進めてまいります。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、332億円であります。なお、本費用には、当社技術開発本部で行っている事業部門横断的又は基礎的研究開発などで、各事業区分に配分できない費用として計上する費用57億円が含まれております。
主な事業の種類別セグメント毎の研究開発活動の状況は、次のとおりであります。
[鉄鋼アルミ]
鉄鋼アルミでは、特殊鋼線材、自動車用高強度鋼、ディスク用アルミ板などの戦略製品の差別化による拡販と生産性・歩留まり向上による収益改善のための技術開発に注力しています。また、CO₂排出量削減に直接貢献できる技術開発にも引き続き取り組んでおります。
鉄鋼では、厚板分野において2023年度下期に加古川製鉄所厚板工場の仕上圧延機のリフレッシュ工事を実施することを決定しました。仕上圧延機は、加熱炉で加熱したスラブを粗圧延機で幅出し圧延後、製品の板厚まで圧延する設備です。リフレッシュ工事によって圧延機の剛性が向上し、圧延成形する際の変形が低減することで、寸法ばらつきが少ない厚鋼板の製造が可能となります。今後、圧延機の高剛性化を活かした更なる高機能厚鋼板、製造技術の開発を進めていきます。
また、加古川製鉄所内において、UDトラックス(株)と、同社が開発したレベル4自動運転技術(特定条件下における完全自動運転技術)搭載の大型トラックを用いた自動運搬技術の実証実験を行うことに基本合意しました。デジタルテクノロジーを活用することで、深刻化する製造現場のドライバー不足への一つのソリューションを創出することを目的としています。本実証実験を通じ、「超スマート社会」に不可欠となるスマート物流サービスと製造・物流現場のDXの促進を目指します。
また、NEDOから公募された「グリーンイノベーション基金事業/製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト」に、日本製鉄(株)、JFEスチール(株)、一般財団法人金属系材料研究開発センターらとともに共同提案した開発項目が2021年12月24日に採択されました。「グリーンイノベーション基金」は、2020年12月25日に経済産業省が関係省庁と策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中で「経済と環境の好循環」を作り出すために組成された基金です。製鉄プロセスの脱炭素化の実現に向けて、4社で所内水素を活用した水素還元技術等の開発、外部水素や高炉排ガスに含まれるCO₂を活用した低炭素技術等の開発、直接還元鉄を活用した電炉の不純物除去技術開発等に取り組み、本プロジェクトを推進してまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、62億円であります。
[素形材]
素形材では、輸送機分野(自動車、船舶、航空機)を中心に、将来においても事業の中核をなす製品開発や新製品の探索に注力しております。また、DX推進によるものづくり基盤の強化、CO₂削減に資する技術開発にも積極的に取り組んでおります。
チタンでは、燃料電池セパレータ用チタン圧延材である「NC(Nano-Carbon composite coat)チタン」(以下、NCチタン)を開発し、2020年12月より販売されているトヨタ自動車(株)(以下、トヨタ自動車)の新型MIRAI向けに出荷しています。NCチタンはセパレータに求められる高い耐食性と導電性に加えプレス成型性も兼ね備えており、燃料電池スタックの小型・高性能化のみならず、お客様の生産性向上にも貢献することが可能であり、トヨタ自動車とともに世界で初めて量産化に成功したものです。このたび、NCチタンが素形材産業の技術水準の進歩向上に著しく貢献したことを評価され、一般財団法人素形材センター主催の「第37回 素形材産業技術賞」において、トヨタ自動車とともに「経済産業大臣賞」を受賞しました。今後もCO₂削減に資する技術・製品・サービスを提供してまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、25億円であります。
[溶接]
溶接では、「世界で最も信頼される溶接ソリューション企業」の実現を目指し、溶接材料と溶接ロボット・装置・電源を組合せ、さらに溶接プロセスを加えた「溶接ソリューション」を提供する企業として、引き続き開発に注力しています。
溶接材料では、造船や橋梁等で使用される防錆塗装鋼板の水平すみ肉溶接における気孔欠陥の大幅な抑制と、深溶け込み特性を特長とする2電極の「ハイブリッドタンデムマグ溶接法」を開発しました。先行極では、専用のソリッドワイヤ「FAMILIARC™ MG-50HM」の埋もれアークにより、深溶け込みと大電流炭酸ガス溶接での低スパッタを両立します。後行極では、専用のスラグ系FCWである「FAMILIARC™ MX-50HM」により、形状良好なビードを形成します。従来はSAW法が適用されていた下向き突合せ溶接でも、本施工法の深溶け込み特性を活かした高速溶接により、溶接ひずみの低減が可能になります。
溶接システムでは、制御時間、フィードバック周期に優れたハイエンドアーク溶接電源「SENSARC™ RA500」を開発し、販売開始しました。本電源では、新たなパルス制御法を採用し、小電流から500A程度の大電流まで安定したアークを提供することにより、溶接の「高品質化」・「高能率化」・「環境負荷低減」に貢献します。また、今後、当社の高能率溶接法である「大電流MAGプロセス」や「タンデムアークプロセス」なども順次搭載してまいります。インターフェイス機能も充実させ、当社多関節型ロボットARCMAN™(CBコントローラ)との接続だけでなく、可搬型溶接ロボット「石松」や各種自動溶接装置との接続が可能です。
また、建築鉄骨や建設機械、橋梁、造船など中厚板向けロボットシステムの安定した溶接を支援するためのパッケージソフト「AP-SUPPORT™」に、生産データや溶接データをレポート化、グラフ表示する機能に加えて、溶接ロボットシステムに設置したカメラで、ロボットのトーチ先端位置を追従しながら常時撮影し、生産データと映像を連携する機能を開発しました。安定生産支援ソフト「AP-SUPPORT™」によって溶接施工記録など生産情報を見える化し、チョコ停や溶接不良の原因分析を支援することで溶接ロボットシステムの更なる生産性向上に貢献します。
また、新型ハイエンド溶接電源SENSARC™ RA500と、専用ワイヤFAMILIARC™ MG-56R(A)とを組み合わせることで、更なるスパッタ低減と施工能率向上を実現するNEW REGARC™を開発しました。REGARC™法とは、溶接電源の波形制御と専用ワイヤにより、炭酸ガスアーク溶接においても低スパッタ、低ヒュームを実現する当社独自の溶接プロセスです。今後、当社の多関節型ロボットARCMAN™や小型可搬型溶接ロボット「石松」に順次搭載し、お客様の製造現場での、更なる施工能率の向上に努めてまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、31億円であります。
[機械]
機械では、環境、省エネ(CO₂削減)をキーワードに、オンリーワン・ナンバーワン技術や商品を創出することで独自性を徹底追求するとともに、マーケット及び生産の両面から更なるグローバル化を推進し、世界トップレベルの「ものづくり」の実現を目指しています。
産業機械関連分野では、当社社員が2000年からアメリカ機械学会(The American Society of Mechanical Engineers(以下、ASME))※ のボイラー及び圧力容器コード委員会のメンバーとして、特に高圧技術におけるASMEボイラー及び圧力容器コードの開発と規格の改良に取り組み、主に海外での石油・エンジニアリングメーカー向け高圧圧力容器の製造に活かされております。このたび、これまでの長年の圧力容器での開発・製造及びASMEでの活動において多大なる貢献が評価され、ASMEより圧力容器分野での規格化に貢献した人に贈られる「ASME J. Hall Taylor Medal」及び、圧力容器に関する優秀な技術論文での「PVPD Conference Award」を受賞いたしました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、36億円であります。
※ASME(The American Society of Mechanical Engineers、アメリカ機械学会)とは機械工学を中心とした分野の規格化や標準化、工場認定などの活動を推進するアメリカの民間団体です。1914年に動力用ボイラーの規格をつくり、現在ではボイラーをはじめ圧力容器や原子力発電所用機器などの規格を発行し、それが世界標準になっております。
[エンジニアリング]
エンジニアリングでは、循環型社会、脱炭素社会の実現に向け、将来の成長が見込まれる分野における独自プロセス・技術の更なる差別化、競争力強化に向けた開発を推進しております。
還元鉄関連分野では、天然ガスを還元剤とした製鉄法(MIDREX®プロセス)の競争力維持・強化に向けた開発を継続しております。
水処理関連分野では、下水汚泥燃料化をはじめとするバイオマス・下水汚泥のエネルギー化技術の多様化を推進しております。
廃棄物処理関連分野では、CO₂回収・有効利用技術として焼却飛灰炭酸化技術の実証試験を完遂するとともに、廃プラスチックリサイクル技術の開発を開始しております。
水素事業においては、グリーン水素需要の高まりを見据え、水電解式水素発生装置の大型化等の開発を加速しております。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、23億円であります。
[建設機械]
建設機械では、主力製品である油圧ショベル、クローラクレーンなどの安全性向上、省エネ性向上、排ガス対応・騒音低減などの環境対応に加え、建設リサイクル機械・金属リサイクル機械の開発に取り組んでおります。クラウドやAI、IoT等の先進テクノロジーの活用により「建設現場のテレワーク化」を実現し、深刻化する建設技能者の不足に対する多様な人材活用、現場生産性の向上、現場無人化による本質的な安全確保などを目指しています。
ショベルでは、コベルコ建機(株)(以下、コベルコ建機)が目指す“K-DIVE CONCEPT”「働く人を中心とした建設現場のテレワークシステム」(以下、K-DIVE)を推進するため(株)センシンロボティクス(以下、センシンロボティクス)と遠隔操作における現場見える化の開発に向けて協業することにしました。
コベルコ建機は「誰でも働ける現場へKOBELCO IoT」をテーマにICTロードマップを策定、その実現に向けて中長期的な研究・開発を進めています。現在開発を進めている遠隔操作システム、K-DIVEはそのひとつの柱であり、クラウドマッチングシステムと建設機械の遠隔操作を融合させることで特定の人・場所・時間などの制約を受けずに建設現場での施工が可能となる「建設現場のテレワーク化」を目指しています。この実現により深刻化する建設技能者の不足に対する多様な人材活用、現場生産性の向上、現場無人化による本質的な安全確保等が可能になると考えています。
今回の協業ではセンシンロボティクスの得意とするドローンやLiDAR※1を活用した各種データの収集、3D点群マップを基にした測量結果や水流シミュレーションの3D図面への反映による情報可視化、それらのコックピットへのリアルタイム伝送等のシステム構築と実装に向けた開発を共同で進めます。これらがK-DIVEに実装されることで稼働現場の様々な情報、例えば機械周辺の状況や埋設物の有無、土の形状や体積等を可視化し、オペレータが効率的かつ安全・安心して働ける遠隔施工現場が実現するとともに現場状況の確認や作業指示等に利用することで現場関係者のコミュニケーションが飛躍的に高まるものと考えています。
また、同じくK-DIVEの技術確立のため、コベルコ建機と北海道総合通信網(株)(以下、HOTnet)は建設機械の超長距離及び多接続切り替え遠隔操作に関する実証実験を実施しました。今回の実証実験は、2020年9月に実施した札幌・帯広間での総距離約300㎞の遠隔操作実証実験に続くもので、札幌市内に建機の操縦席、コックピットを設置し、コックピットとの総距離300㎞となる北海道帯広市とコックピットとの総距離1,800㎞となる広島市のコベルコ建機五日市工場内にある2台の建設機械をコックピットで切り替えながら遠隔操作しました。HOTnetは通信事業者としてのノウハウや強みを活かし、K-DIVEに必要不可欠なネットワーク構築と自社データセンター及びクラウドサービスの連携実現に協力しました。実証実験では約1,800㎞の遠隔地でも実際に機械に搭乗して操作した場合とほぼ同等の品質(通信遅延、作業効率等)で遠隔操作が可能であることに加え、オペレータが異なる場所にある複数の機械を切り替えながら効率的に作業できることを確認し、2022年以降の段階的な実用化に向けた大きな成果となりました。
また、同じくK-DIVEの推進のため、コベルコ建機と日本電気(株)(以下、NEC)は建設機械の遠隔操作の普及に向けた技術開発協定を締結しました。NECは建設機械の操縦者が長時間にわたって安定した遠隔操作を行うことができる重機遠隔操縦サービス※2を提供しています。本サービスは、適応遠隔制御技術※3によって建設機械の遠隔操作に最も重要となる無線環境下での安定的な映像配信とスムーズな遠隔操作を可能にします。両社は本協定に基づく取組みの第一弾として、コベルコ建機五日市工場(広島)に設置したK-DIVEのコックピットとNEC我孫子事業場(千葉)の実証フィールドにある油圧ショベルを、NECの重機遠隔操縦サービスを用いて接続し、安定した映像配信とスムーズな作業操作が可能か検証する実証実験を実施しました。結果として、両社のシステムを連携した場合でも、お互いのシステムの性能(通信状況、作業性等)を損なうことなく遠隔操作が可能であることを実証できたとともに、より多くのお客様が遠隔操作可能な環境の提供に向けて大きく前進しました。
また、同じくICTロードマップの実現に向けて建設機械の自動運転技術の確立を目指しています。その取組みとして、この度、コベルコ建機と(株)安藤・間(以下、安藤ハザマ)は、工事現場における実作業環境において油圧ショベルの自動運転に関する実証実験を実施しました。具体的には、2021年12月、安藤ハザマが施工中の工事現場の実作業環境において油圧ショベルの自動運転の実証実験を行いました。今回の実証実験は、2019年より両社が共同で実施している建設機械の自動運転技術の確立に向けた取組みをより高度化したもので、実作業現場で求められる様々な制約条件である、ダンプトラックへの横方向からの積み込み、土砂をこぼさないような滑らかな動作、周辺物との接触回避に適応させました。
また、ペイロード機能※4を搭載することにより、積み込んだ積算重量が目標値となるまで自動運転が継続され、掘削毎に変化する掘削重量を把握しながら最適な積み込み作業が可能となっています。安全面では、油圧ショベルの稼働範囲に近づく物体を監視支援する装置を現場に設置し、その有効性検証も同時に行いました。AIにより侵入物体や人を検知・認識、距離測定することで、その情報から危険度に応じた各種警報を自動的に発報し、安全性の向上と常に人間が目で見て判断する監視作業の負担軽減につながります。
今回の実証実験により、実作業環境においても自動運転に必要とされる基本的な機能や安全確保の仕組みが問題なく動作することを確認できたことで、建設現場での生産性向上や安全確保に向けた自動運転の実用化に大きく近づきました。
クレーンでは、クローラクレーンとして求められる基本性能の進化、安全性の向上、快適な作業環境等を追求したモデルチェンジ機「Mastertech7200G NEO」を2021年10月1日より販売開始しました。本機では、新規開発したつり荷水平移動アシスト機能(ブームの動きに合わせてフック高さを自動で調整、つり荷の水平移動をアシストする)、タワー自立アシスト機能(格納状態からタワー自立までの作業及びタワー自立から格納までの作業を1レバーで可能とする)、アクセルコントロール機能(アクセルを絞った状態では操作レバーを大きく動かしてもウインチドラムは動かず、アクセルの開放状態によって自動変速する)、傾斜ジブキャッチ機能(従来、タワー角度90度にて行っていたジブの張出・格納作業を80度の状態で安全に作業可能とする)を搭載しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、84億円であります。
※1 LiDARとは「Light Detection and Ranging」の略称でレーザ光により対象物までの距離や性質を計測・特定などを行う光センサー技術です。
※2 重機遠隔操縦サービスとは建設現場にWi-Fiやローカル5Gなどの無線ネットワークを構築し、現場のカメラ映像を遠隔地にいる操縦者がリアルタイムに確認しながら重機を操縦できるようにするものです。
※3 適応遠隔制御技術とは通信の実効伝送量を予測し、伝送量に見合う安定した映像配信と制御が可能な技術です。本技術の活用により、映像配信の遅延を予測して安定した映像を伝送するとともに、建機操作コマンドの到達遅延も予測し、操作の行き過ぎの発生を抑制することができます。
※4 ペイロード機能とはバケットで掘削した土砂の重量を自動的に計量・積算する機能で、自動運転時の目標値設定に活用することで、より最適な作業が可能となります。
[その他]
(株)コベルコ科研では、エネルギー、自動車、エレクトロニクス、土木・建築、環境など広範囲にわたる分析・試験技術を蓄積するとともに、高度で先端的な評価・解析技術の開発を進めています。
受託試験研究事業では、成長市場分野への事業拡大を目指し、特に脱炭素化やDXに関連した技術開発に注力しています。脱炭素関連では、電気自動車、燃料電池、二次電池、水素関連の評価・解析技術の開発、DX関連では計算科学と実際の試験データとを組み合わせた技術サービスの開発に取り組んでおります。
特殊溶解材料事業においては、ディスプレイ向け及び半導体デバイス向けの高移動度酸化物ターゲット材の開発に取り組んでおります。また、半導体検査・測定装置事業では、装置の更なる高精度化・高機能化に取り組んでおります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、9億円であります。
本社部門では、2021年4月1日付で、全社横断で新製品・新事業の企画を担当する「事業開発部」を新設しました。事業開発部ではグループ内の多様な知的資産を掛け合せ、新規事業化を推進しております。特に、水素社会への移行については、これを成長機会と捉え、当社グループの機械・エンジニアリングの技術を組み合わせた新規事業化に取り組んでおります。
技術開発本部では、幅広い事業分野で培った技術蓄積を活かし、素材系・機械系・電力の各事業部門において、真に競争力のある製品・サービスの優位性強化に向けた研究開発を行っていきます。また、カーボンニュートラルやデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)などの急激な外部環境変化に対応すべく、グループ連携での新事業企画など、将来の成長分野・新規分野への取組みを強化していきます。
将来の成長分野・新規分野への取組みの一環として、2021年4月1日付で、「デジタルイノベーション技術センター」を新設しました。KOBELCOグループが推進するDX戦略において、ICT・AI分野の先端技術の開発と事業適用を強化・加速する目的で、デジタル分野の人材・技術・情報を集約しました。お客様との共創やサプライチェーン連携、開発及び設計業務の革新、生産現場の自動化や多品種変量生産の高度化など、グループのバリューチェーンをデータでつなぎ、お客様起点で新たな価値創出を推進します。また、活動を通してDXを推進できる人材を育成します。
また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発」において「製鋼スラグを活用したCO2固定化プロセスの開発」のテーマを提案し、採択されました。鉄鋼製品の製造過程で発生する鉄鋼スラグは中に含まれるアルカリ成分がCO2と反応しやすく、CO2固定化に有用な素材として注目されています。カーボンニュートラルの実現や環境負荷低減への更なる貢献を目指し、CO2固定化技術の開発を進めていきます。
また、従来品と比べて高い流動性の保持と強度を確保したジオポリマーを建設化学品メーカーのポゾリスソリューションズ(株)と共同開発しました。従来のジオポリマーは、通常のコンクリートやモルタルと比べて流動性と強度に課題があり、使用用途が限られていました。鉄鋼製品の製造過程で使用した後のアルカリ性溶液も活用した独自の添加物によって課題を解消し、多用途化と低価格化に繋がる技術を開発しました。今後も製品化に向けて開発を進めてまいります。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、332億円であります。なお、本費用には、当社技術開発本部で行っている事業部門横断的又は基礎的研究開発などで、各事業区分に配分できない費用として計上する費用57億円が含まれております。
主な事業の種類別セグメント毎の研究開発活動の状況は、次のとおりであります。
[鉄鋼アルミ]
鉄鋼アルミでは、特殊鋼線材、自動車用高強度鋼、ディスク用アルミ板などの戦略製品の差別化による拡販と生産性・歩留まり向上による収益改善のための技術開発に注力しています。また、CO₂排出量削減に直接貢献できる技術開発にも引き続き取り組んでおります。
鉄鋼では、厚板分野において2023年度下期に加古川製鉄所厚板工場の仕上圧延機のリフレッシュ工事を実施することを決定しました。仕上圧延機は、加熱炉で加熱したスラブを粗圧延機で幅出し圧延後、製品の板厚まで圧延する設備です。リフレッシュ工事によって圧延機の剛性が向上し、圧延成形する際の変形が低減することで、寸法ばらつきが少ない厚鋼板の製造が可能となります。今後、圧延機の高剛性化を活かした更なる高機能厚鋼板、製造技術の開発を進めていきます。
また、加古川製鉄所内において、UDトラックス(株)と、同社が開発したレベル4自動運転技術(特定条件下における完全自動運転技術)搭載の大型トラックを用いた自動運搬技術の実証実験を行うことに基本合意しました。デジタルテクノロジーを活用することで、深刻化する製造現場のドライバー不足への一つのソリューションを創出することを目的としています。本実証実験を通じ、「超スマート社会」に不可欠となるスマート物流サービスと製造・物流現場のDXの促進を目指します。
また、NEDOから公募された「グリーンイノベーション基金事業/製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト」に、日本製鉄(株)、JFEスチール(株)、一般財団法人金属系材料研究開発センターらとともに共同提案した開発項目が2021年12月24日に採択されました。「グリーンイノベーション基金」は、2020年12月25日に経済産業省が関係省庁と策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中で「経済と環境の好循環」を作り出すために組成された基金です。製鉄プロセスの脱炭素化の実現に向けて、4社で所内水素を活用した水素還元技術等の開発、外部水素や高炉排ガスに含まれるCO₂を活用した低炭素技術等の開発、直接還元鉄を活用した電炉の不純物除去技術開発等に取り組み、本プロジェクトを推進してまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、62億円であります。
[素形材]
素形材では、輸送機分野(自動車、船舶、航空機)を中心に、将来においても事業の中核をなす製品開発や新製品の探索に注力しております。また、DX推進によるものづくり基盤の強化、CO₂削減に資する技術開発にも積極的に取り組んでおります。
チタンでは、燃料電池セパレータ用チタン圧延材である「NC(Nano-Carbon composite coat)チタン」(以下、NCチタン)を開発し、2020年12月より販売されているトヨタ自動車(株)(以下、トヨタ自動車)の新型MIRAI向けに出荷しています。NCチタンはセパレータに求められる高い耐食性と導電性に加えプレス成型性も兼ね備えており、燃料電池スタックの小型・高性能化のみならず、お客様の生産性向上にも貢献することが可能であり、トヨタ自動車とともに世界で初めて量産化に成功したものです。このたび、NCチタンが素形材産業の技術水準の進歩向上に著しく貢献したことを評価され、一般財団法人素形材センター主催の「第37回 素形材産業技術賞」において、トヨタ自動車とともに「経済産業大臣賞」を受賞しました。今後もCO₂削減に資する技術・製品・サービスを提供してまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、25億円であります。
[溶接]
溶接では、「世界で最も信頼される溶接ソリューション企業」の実現を目指し、溶接材料と溶接ロボット・装置・電源を組合せ、さらに溶接プロセスを加えた「溶接ソリューション」を提供する企業として、引き続き開発に注力しています。
溶接材料では、造船や橋梁等で使用される防錆塗装鋼板の水平すみ肉溶接における気孔欠陥の大幅な抑制と、深溶け込み特性を特長とする2電極の「ハイブリッドタンデムマグ溶接法」を開発しました。先行極では、専用のソリッドワイヤ「FAMILIARC™ MG-50HM」の埋もれアークにより、深溶け込みと大電流炭酸ガス溶接での低スパッタを両立します。後行極では、専用のスラグ系FCWである「FAMILIARC™ MX-50HM」により、形状良好なビードを形成します。従来はSAW法が適用されていた下向き突合せ溶接でも、本施工法の深溶け込み特性を活かした高速溶接により、溶接ひずみの低減が可能になります。
溶接システムでは、制御時間、フィードバック周期に優れたハイエンドアーク溶接電源「SENSARC™ RA500」を開発し、販売開始しました。本電源では、新たなパルス制御法を採用し、小電流から500A程度の大電流まで安定したアークを提供することにより、溶接の「高品質化」・「高能率化」・「環境負荷低減」に貢献します。また、今後、当社の高能率溶接法である「大電流MAGプロセス」や「タンデムアークプロセス」なども順次搭載してまいります。インターフェイス機能も充実させ、当社多関節型ロボットARCMAN™(CBコントローラ)との接続だけでなく、可搬型溶接ロボット「石松」や各種自動溶接装置との接続が可能です。
また、建築鉄骨や建設機械、橋梁、造船など中厚板向けロボットシステムの安定した溶接を支援するためのパッケージソフト「AP-SUPPORT™」に、生産データや溶接データをレポート化、グラフ表示する機能に加えて、溶接ロボットシステムに設置したカメラで、ロボットのトーチ先端位置を追従しながら常時撮影し、生産データと映像を連携する機能を開発しました。安定生産支援ソフト「AP-SUPPORT™」によって溶接施工記録など生産情報を見える化し、チョコ停や溶接不良の原因分析を支援することで溶接ロボットシステムの更なる生産性向上に貢献します。
また、新型ハイエンド溶接電源SENSARC™ RA500と、専用ワイヤFAMILIARC™ MG-56R(A)とを組み合わせることで、更なるスパッタ低減と施工能率向上を実現するNEW REGARC™を開発しました。REGARC™法とは、溶接電源の波形制御と専用ワイヤにより、炭酸ガスアーク溶接においても低スパッタ、低ヒュームを実現する当社独自の溶接プロセスです。今後、当社の多関節型ロボットARCMAN™や小型可搬型溶接ロボット「石松」に順次搭載し、お客様の製造現場での、更なる施工能率の向上に努めてまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、31億円であります。
[機械]
機械では、環境、省エネ(CO₂削減)をキーワードに、オンリーワン・ナンバーワン技術や商品を創出することで独自性を徹底追求するとともに、マーケット及び生産の両面から更なるグローバル化を推進し、世界トップレベルの「ものづくり」の実現を目指しています。
産業機械関連分野では、当社社員が2000年からアメリカ機械学会(The American Society of Mechanical Engineers(以下、ASME))※ のボイラー及び圧力容器コード委員会のメンバーとして、特に高圧技術におけるASMEボイラー及び圧力容器コードの開発と規格の改良に取り組み、主に海外での石油・エンジニアリングメーカー向け高圧圧力容器の製造に活かされております。このたび、これまでの長年の圧力容器での開発・製造及びASMEでの活動において多大なる貢献が評価され、ASMEより圧力容器分野での規格化に貢献した人に贈られる「ASME J. Hall Taylor Medal」及び、圧力容器に関する優秀な技術論文での「PVPD Conference Award」を受賞いたしました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、36億円であります。
※ASME(The American Society of Mechanical Engineers、アメリカ機械学会)とは機械工学を中心とした分野の規格化や標準化、工場認定などの活動を推進するアメリカの民間団体です。1914年に動力用ボイラーの規格をつくり、現在ではボイラーをはじめ圧力容器や原子力発電所用機器などの規格を発行し、それが世界標準になっております。
[エンジニアリング]
エンジニアリングでは、循環型社会、脱炭素社会の実現に向け、将来の成長が見込まれる分野における独自プロセス・技術の更なる差別化、競争力強化に向けた開発を推進しております。
還元鉄関連分野では、天然ガスを還元剤とした製鉄法(MIDREX®プロセス)の競争力維持・強化に向けた開発を継続しております。
水処理関連分野では、下水汚泥燃料化をはじめとするバイオマス・下水汚泥のエネルギー化技術の多様化を推進しております。
廃棄物処理関連分野では、CO₂回収・有効利用技術として焼却飛灰炭酸化技術の実証試験を完遂するとともに、廃プラスチックリサイクル技術の開発を開始しております。
水素事業においては、グリーン水素需要の高まりを見据え、水電解式水素発生装置の大型化等の開発を加速しております。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、23億円であります。
[建設機械]
建設機械では、主力製品である油圧ショベル、クローラクレーンなどの安全性向上、省エネ性向上、排ガス対応・騒音低減などの環境対応に加え、建設リサイクル機械・金属リサイクル機械の開発に取り組んでおります。クラウドやAI、IoT等の先進テクノロジーの活用により「建設現場のテレワーク化」を実現し、深刻化する建設技能者の不足に対する多様な人材活用、現場生産性の向上、現場無人化による本質的な安全確保などを目指しています。
ショベルでは、コベルコ建機(株)(以下、コベルコ建機)が目指す“K-DIVE CONCEPT”「働く人を中心とした建設現場のテレワークシステム」(以下、K-DIVE)を推進するため(株)センシンロボティクス(以下、センシンロボティクス)と遠隔操作における現場見える化の開発に向けて協業することにしました。
コベルコ建機は「誰でも働ける現場へKOBELCO IoT」をテーマにICTロードマップを策定、その実現に向けて中長期的な研究・開発を進めています。現在開発を進めている遠隔操作システム、K-DIVEはそのひとつの柱であり、クラウドマッチングシステムと建設機械の遠隔操作を融合させることで特定の人・場所・時間などの制約を受けずに建設現場での施工が可能となる「建設現場のテレワーク化」を目指しています。この実現により深刻化する建設技能者の不足に対する多様な人材活用、現場生産性の向上、現場無人化による本質的な安全確保等が可能になると考えています。
今回の協業ではセンシンロボティクスの得意とするドローンやLiDAR※1を活用した各種データの収集、3D点群マップを基にした測量結果や水流シミュレーションの3D図面への反映による情報可視化、それらのコックピットへのリアルタイム伝送等のシステム構築と実装に向けた開発を共同で進めます。これらがK-DIVEに実装されることで稼働現場の様々な情報、例えば機械周辺の状況や埋設物の有無、土の形状や体積等を可視化し、オペレータが効率的かつ安全・安心して働ける遠隔施工現場が実現するとともに現場状況の確認や作業指示等に利用することで現場関係者のコミュニケーションが飛躍的に高まるものと考えています。
また、同じくK-DIVEの技術確立のため、コベルコ建機と北海道総合通信網(株)(以下、HOTnet)は建設機械の超長距離及び多接続切り替え遠隔操作に関する実証実験を実施しました。今回の実証実験は、2020年9月に実施した札幌・帯広間での総距離約300㎞の遠隔操作実証実験に続くもので、札幌市内に建機の操縦席、コックピットを設置し、コックピットとの総距離300㎞となる北海道帯広市とコックピットとの総距離1,800㎞となる広島市のコベルコ建機五日市工場内にある2台の建設機械をコックピットで切り替えながら遠隔操作しました。HOTnetは通信事業者としてのノウハウや強みを活かし、K-DIVEに必要不可欠なネットワーク構築と自社データセンター及びクラウドサービスの連携実現に協力しました。実証実験では約1,800㎞の遠隔地でも実際に機械に搭乗して操作した場合とほぼ同等の品質(通信遅延、作業効率等)で遠隔操作が可能であることに加え、オペレータが異なる場所にある複数の機械を切り替えながら効率的に作業できることを確認し、2022年以降の段階的な実用化に向けた大きな成果となりました。
また、同じくK-DIVEの推進のため、コベルコ建機と日本電気(株)(以下、NEC)は建設機械の遠隔操作の普及に向けた技術開発協定を締結しました。NECは建設機械の操縦者が長時間にわたって安定した遠隔操作を行うことができる重機遠隔操縦サービス※2を提供しています。本サービスは、適応遠隔制御技術※3によって建設機械の遠隔操作に最も重要となる無線環境下での安定的な映像配信とスムーズな遠隔操作を可能にします。両社は本協定に基づく取組みの第一弾として、コベルコ建機五日市工場(広島)に設置したK-DIVEのコックピットとNEC我孫子事業場(千葉)の実証フィールドにある油圧ショベルを、NECの重機遠隔操縦サービスを用いて接続し、安定した映像配信とスムーズな作業操作が可能か検証する実証実験を実施しました。結果として、両社のシステムを連携した場合でも、お互いのシステムの性能(通信状況、作業性等)を損なうことなく遠隔操作が可能であることを実証できたとともに、より多くのお客様が遠隔操作可能な環境の提供に向けて大きく前進しました。
また、同じくICTロードマップの実現に向けて建設機械の自動運転技術の確立を目指しています。その取組みとして、この度、コベルコ建機と(株)安藤・間(以下、安藤ハザマ)は、工事現場における実作業環境において油圧ショベルの自動運転に関する実証実験を実施しました。具体的には、2021年12月、安藤ハザマが施工中の工事現場の実作業環境において油圧ショベルの自動運転の実証実験を行いました。今回の実証実験は、2019年より両社が共同で実施している建設機械の自動運転技術の確立に向けた取組みをより高度化したもので、実作業現場で求められる様々な制約条件である、ダンプトラックへの横方向からの積み込み、土砂をこぼさないような滑らかな動作、周辺物との接触回避に適応させました。
また、ペイロード機能※4を搭載することにより、積み込んだ積算重量が目標値となるまで自動運転が継続され、掘削毎に変化する掘削重量を把握しながら最適な積み込み作業が可能となっています。安全面では、油圧ショベルの稼働範囲に近づく物体を監視支援する装置を現場に設置し、その有効性検証も同時に行いました。AIにより侵入物体や人を検知・認識、距離測定することで、その情報から危険度に応じた各種警報を自動的に発報し、安全性の向上と常に人間が目で見て判断する監視作業の負担軽減につながります。
今回の実証実験により、実作業環境においても自動運転に必要とされる基本的な機能や安全確保の仕組みが問題なく動作することを確認できたことで、建設現場での生産性向上や安全確保に向けた自動運転の実用化に大きく近づきました。
クレーンでは、クローラクレーンとして求められる基本性能の進化、安全性の向上、快適な作業環境等を追求したモデルチェンジ機「Mastertech7200G NEO」を2021年10月1日より販売開始しました。本機では、新規開発したつり荷水平移動アシスト機能(ブームの動きに合わせてフック高さを自動で調整、つり荷の水平移動をアシストする)、タワー自立アシスト機能(格納状態からタワー自立までの作業及びタワー自立から格納までの作業を1レバーで可能とする)、アクセルコントロール機能(アクセルを絞った状態では操作レバーを大きく動かしてもウインチドラムは動かず、アクセルの開放状態によって自動変速する)、傾斜ジブキャッチ機能(従来、タワー角度90度にて行っていたジブの張出・格納作業を80度の状態で安全に作業可能とする)を搭載しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、84億円であります。
※1 LiDARとは「Light Detection and Ranging」の略称でレーザ光により対象物までの距離や性質を計測・特定などを行う光センサー技術です。
※2 重機遠隔操縦サービスとは建設現場にWi-Fiやローカル5Gなどの無線ネットワークを構築し、現場のカメラ映像を遠隔地にいる操縦者がリアルタイムに確認しながら重機を操縦できるようにするものです。
※3 適応遠隔制御技術とは通信の実効伝送量を予測し、伝送量に見合う安定した映像配信と制御が可能な技術です。本技術の活用により、映像配信の遅延を予測して安定した映像を伝送するとともに、建機操作コマンドの到達遅延も予測し、操作の行き過ぎの発生を抑制することができます。
※4 ペイロード機能とはバケットで掘削した土砂の重量を自動的に計量・積算する機能で、自動運転時の目標値設定に活用することで、より最適な作業が可能となります。
[その他]
(株)コベルコ科研では、エネルギー、自動車、エレクトロニクス、土木・建築、環境など広範囲にわたる分析・試験技術を蓄積するとともに、高度で先端的な評価・解析技術の開発を進めています。
受託試験研究事業では、成長市場分野への事業拡大を目指し、特に脱炭素化やDXに関連した技術開発に注力しています。脱炭素関連では、電気自動車、燃料電池、二次電池、水素関連の評価・解析技術の開発、DX関連では計算科学と実際の試験データとを組み合わせた技術サービスの開発に取り組んでおります。
特殊溶解材料事業においては、ディスプレイ向け及び半導体デバイス向けの高移動度酸化物ターゲット材の開発に取り組んでおります。また、半導体検査・測定装置事業では、装置の更なる高精度化・高機能化に取り組んでおります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、9億円であります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01231] S100OAOM)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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