有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100OETT (EDINETへの外部リンク)
山陽特殊製鋼株式会社 研究開発活動 (2022年3月期)
当社グループでは、グローバルな特殊鋼マーケットでの企業価値の更なる向上に向け、研究開発・品質競争力の強化による技術先進性の更なる拡大を推進しております。このため、商品開発、プロセス開発および基盤研究の機能を明確化するとともに、中長期の研究開発企画機能を強化することで、グローバル展開を見据えた高信頼性商品と新技術の迅速かつ継続的な創出を図ってまいります。また、2050年カーボンニュートラルに向けた「エコプロセス」「エコプロダクト」の創出を念頭に、特にグローバルな成長が見込まれる「EV」「風力発電」「鉄道」「水素社会」等の分野での更なる高信頼性ニーズに応える技術の深化を追求しております。さらに、グループ会社間の連携による相乗効果の早期発現にも注力しております。
当社グループの研究開発は、当社「研究・開発センター」を中心に推進しており、当連結会計年度の研究開発費の総額は2,219百万円であります。
セグメントごとの主要な研究課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。
(鋼材事業)
当事業に係る研究開発費は1,679百万円であります。
当事業では、自動車、鉄道、環境・エネルギーなど、成長が期待される分野に投入する高機能商品の開発や、軸受用鋼、構造用鋼、ステンレス鋼および工具鋼など、主力製品の製造プロセスの改善による品質・コスト競争力の強化を推進しております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。
・当社は、独自の高強度肌焼鋼「ECOMAXⓇシリーズ」の新たなラインナップとして「ECOMAXⓇ5」を開発しました。ECOMAXⓇシリーズは、鋼の本来の性能を最大限に引き出す高清浄度鋼製造技術をベースに、クロムやシリコン等の合金バランスと鋼材製造時の操業条件を最適化することで、ニッケル・モリブデンフリーの省合金設計でありながら大幅に強度を向上した開発鋼であります。ECOMAXⓇ5はその優れた強度が部品の小型・軽量化に貢献することに加え、新たな合金組成によって、お客様における熱処理や加工等の部品製造工程の省略や簡略化を可能とし、昨今のライフサイクルアセスメントの観点から益々強く望まれているCO2排出削減への貢献が期待されます。
・当社は、熱間ハンマー鍛造の過酷な使用環境における型寿命と製品品質の安定に貢献するプリハードン(焼入れ・焼戻し熱処理済の納入状態)金型用鋼「QTP-HARMOTEXⓇ」を開発しました。この開発鋼は、JIS SKT4に比べて高温強度(軟化抵抗特性)と靭性(耐衝撃性)を大幅に向上しており、自動車や建設機械の足回り部品をはじめとする複雑形状部品の鍛造工程において、部品の小型化・軽量化を目指した被加工材(ワーク)の高強度化や、部品製造工程の簡略化に繋がるニアネットシェイプ成形といった、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた部品製造・加工業界のニーズに対応することができます。
(粉末事業)
当事業に係る研究開発費は501百万円であります。
当事業では、今後成長が期待できる分野として、情報記録・処理関連製品、3Dプリンティング用粉末等を中心に新規製品開発を推進しております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。
・当社は、磁性扁平粉末のラインナップ拡充を行いました。当粉末を用いた磁性シートは、パソコン、携帯電話等の電子機器から発生する不要なノイズの消去、ICカードでの情報読み取り性能の向上等を目的に使用されます。当社では成分及び粉末形状の最適化により、MHz~GHz帯域まで周波数に応じた製品を取り揃えており、顧客要求に沿った製品の提供が可能となりました。デジタル革命が加速する昨今、ビッグデータを効率的に処理する部品として需要が期待されます。なお、本製品は第34回EMC・ノイズ対策技術展で発表しており多くの反響をいただいております。
(素形材事業)
当事業に係る研究開発費は38百万円であります。
当事業では、素形材における技術およびコスト競争力の強化を目的とし、最適金型の迅速設計技術やリングローリングの解析技術の確立、省人化に向けた製造技術の開発等を行っております。当連結会計年度の主な成果は、CAE解析技術を駆使した型鍛造品製造技術の確立やリングローリング品の品質改善、ならびに旋削工程における数値制御設備の開発(作業負荷の軽減)等であります。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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