有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R3KR (EDINETへの外部リンク)
JFEホールディングス株式会社 研究開発活動 (2023年3月期)
当社グループ(当社および連結子会社)は、世界最高の技術をもって社会に貢献することを企業理念とし、顧客ニーズを先取りした独自新商品の開発、高品質な商品を効率的に生産する技術の開発、カーボンニュートラル達成に寄与する商品および製造技術の開発、ならびにグループ全体としてのシナジーを活かした開発により、常に業界をリードし、新たな分野を開拓していくというグループ共通の開発コンセプトの下、各事業会社が創造性にあふれる研究開発を展開しています。また、各事業会社において、AI・IoT・ビッグデータ等のデータサイエンス技術の活用を推進するための組織を設置し、ロボティクス技術を積極的に活用して、製造設備の生産性や商品・サービスの付加価値向上に向けた研究開発等を積極的に推進しています。
グループ全体の研究開発戦略の策定や横断的に取り組むべき重要課題の選定・推進については、当社社長を議長とする「グループ経営戦略会議」の場で、各事業会社が一体となって取り組んでいます
今後も、経営環境の変化に柔軟に対応しつつ高い収益力を確保するとともに、市場・社会からの高い信頼を獲得し、将来の経営基盤を育成・発展させるべく、積極的な研究開発に取り組んでいきます。
当連結会計年度における研究開発費は43,018百万円であり、主要事業内訳は鉄鋼事業39,577百万円、エンジニアリング事業3,440百万円であります。
なお、当連結会計年度における主な事業別の研究の目的、主要課題および研究成果は以下のとおりです。
(1)鉄鋼事業
鉄鋼事業では、社会の持続的な発展と人々の安全で快適な生活のために、「カーボンニュートラル」達成に向けたイノベーションの推進、および「デジタル」による製造基盤強化と新たな成長戦略の実行に向け、CO2削減に大きく貢献する超革新プロセス技術の検討、お客様や社会のニーズを先取りした新商品・利用技術の開発を強力に推進しております。以下、当連結会計年度の主な研究成果を挙げます。
JFEスチール㈱は、日本製鉄㈱、㈱神戸製鋼所、一般財団法人金属系材料研究開発センターの3社とコンソーシアムを結成し、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から公募された「グリーンイノベーション基金事業/製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト」(以下、本プロジェクト)を共同で受託し、2050年のカーボンニュートラルに向けた取り組みを推進しています。JFEスチール㈱は、カーボンリサイクル高炉をはじめとした本プロジェクトに関する実証試験を行うための各種設備をJFEスチール㈱ 東日本製鉄所(千葉地区)に建設することを決定しました。開発設備を同一地区へ集中して建設し、効率的な開発を推進することで、コンソーシアムメンバーと共同で超革新技術の開発を加速させてまいります。
また、JFEスチール㈱は公益財団法人地球環境産業技術研究機構と共同で研究開発を推進している「CO2を用いたメタノール合成における最適システム開発」、ならびに国立大学法人愛媛大学と共同で研究開発を推進している「製鋼スラグの高速多量炭酸化による革新的CO2固定技術の研究開発」を実施しております。今回、これらの研究開発にあたり、製鉄プロセスにおける高炉ガス等の可燃性ガスやスラグをはじめとする副産物の有効利用に関する各種試験設備の建設を決定しました。具体的には、JFEスチール㈱ 西日本製鉄所(福山地区)および東日本製鉄所(千葉地区)にて試験設備を建設し、研究開発を加速させていきます。本研究開発では、これらの副産物の有効利用等を通じて、CO2排出の大幅な削減を目指します。
JFEスチール㈱およびドイツ最大の鉄鋼メーカーであるティッセン・クルップ・スチール・ヨーロッパ,AG社は、冷間加工用に新たな980~1180MPa級高張力鋼板(以下、ハイテン)を共同で開発しました。当製品は、従来の汎用ハイテンと比較し、より高い降伏強度と高い延性、特に優れた局部延性を有しています。これらの特性により、自動車骨格(ホワイトボディー)の更なる軽量化と、衝突安全性能の向上に寄与するとともに、熱間プレス工法を用いず従来の冷間加工(プレス成形・ロールフォーミング)で難成形部品を製造することが可能となるため、生産性の向上と製造コスト低減にも貢献します。
また、疲労損傷への耐久性を高めた薄物耐疲労鋼(商品名:『AFD®』鋼 以下、AFD鋼)を開発しました。長期間にわたって使用される鋼構造物は、老朽化に伴うメンテナンスコストや更新コストの低減が求められています。特に橋梁は薄肉部材が多いことから、自動車等の交通荷重により疲労き裂が発生する場合があり、点検や補修までの期間において、き裂が進展するリスクがありました。AFD鋼を開発したことで、これまで疲労き裂が問題となり易かった部材への適用が可能となるため、鋼構造物の耐久性向上を実現することができます。橋梁・船舶・建設機械・産業機械等の鋼構造物のさらなる耐久性、安全性、経済性の向上に寄与する高機能・高品質な鋼材の開発・供給を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
更に、JFEスチール㈱、日本製鉄㈱、五洋建設㈱、東亜建設工業㈱、および日本海工㈱の5社は、軟弱な海底地盤の表層改良を可能とする「カルシア改質土のバッチ式原位置混合工法」の共同開発を進めてまいりました。カルシア改質土は、軟弱な浚渫土に製鋼スラグを原料としたカルシア改質材を混合することにより、物理的・化学的性状を改質した材料です。今回開発した「バッチ式原位置混合工法」は、既存の海上地盤改良工法であるサンドコンパクションパイル工法の専用船に取り付けた密閉式バケットを用いて、バケット内で粘土とカルシア改質材を混合し、その場(原位置)において海底地盤の表層3m程度をカルシア改質土に改良する工法です。本工法の開発により、カルシア改質土の用途拡大が考えられます。2022年7月より約2か月に亘り国土交通省中国地方整備局と広島県の協力のもと、広島港出島地区の実海域において実証試験を実施しました。今後は、本工法の公的評価の取得と実用化を進め、カルシア改質土の普及拡大を推進します。
更に、国立大学法人東北大学、学校法人日本大学、西松建設㈱、共和コンクリート工業㈱と共同で、通常のコンクリートと比べて製造時のCO2排出量を約75%削減可能なアルカリ活性材料コンクリートを素材とした、意匠性を有する複雑な形状のプレキャストコンクリート製品の試験製造に成功しました。JFEスチール㈱を中心とする研究チームは、高炉スラグ微粉末や高炉スラグ細骨材の活用、および特殊な混和剤の適用などによって、流動性を安定的に確保しつつ、耐凍害性を大幅に向上させた独自のアルカリ活性材料コンクリートを開発し、実用化に向けた研究を進めてまいりました。本試験製造の成功により、さまざまな形状のプレキャストコンクリート製品への展開が進むことで、コンクリート分野でのCO2排出量を大幅に削減することが可能となります。試作したプレキャストコンクリート製品は、今後、比較的過酷な寒冷環境において試験し、実用化に向け、耐久性の検証を進めてまいります。
JFEスチール㈱が開発してまいりました商品、技術は社外からも高く評価されております。例えば、「電気機器の省エネに貢献する省資源型Si傾斜磁性材料」の成果が認められ、2022年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)を受賞しました。同賞受賞は5年連続となります。また、横浜市との「公民連携による豊かな海づくり」の活動が評価され、2021年度土木学会環境賞、および第5回エコプロアワード 国土交通大臣賞を受賞しました。
また、「自走式精密検査ロボット」が、一般財団法人機械振興協会から第57回機械振興賞 機械振興協会会長賞を受賞しました。機械振興賞の受賞は5年連続12回目となります。
更に、「製鉄所における燃料・電力運用ガイダンスシステムの開発」の成果が認められ、一般社団法人日本エネルギー学会から2022年度日本エネルギー学会・学会賞(技術部門)を受賞しました。
(2)エンジニアリング事業
エンジニアリング事業では、「Waste to Resource」、「カーボンニュートラル」、「複合ユーティリティサービス」、「基幹インフラ」の4事業分野にそれらを支える技術基盤であるDXを加えた5つを重点分野と位置づけ研究開発を推進しています。当連結会計年度は、特に「カーボンニュートラル」を最注力分野として重点的な投資を実施しました。具体的には、洋上風力のモノパイル基礎の製造技術、清掃工場の排ガスからのCO2回収技術および回収したCO2からのメタノール製造技術等に取り組んでおります。更に、開発のスピードアップや合理的な開発投資を目的に、国内外の大学や研究機関および他企業との連携・共同開発を推進しております。その一例として、国立大学法人東京工業大学(以下「東京工業大学」)との連携により「JFEエンジニアリング カーボンニュートラル協働研究拠点」を開設し、JFEエンジニアリング㈱が有するエネルギー・環境分野などにおけるプラントおよび各種インフラ建設に関連するエンジニアリング技術と、東京工業大学が有する幅広い領域における高度な学術的知見を融合することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献する新規技術開発を推進しております。
JFEエンジニアリング㈱が開発した商品・技術は社外からも高く評価されており、DX分野においては、ボイラ発電プラント向けDXサービスパッケージ 「RODAS®」が、省エネ大賞 経済産業大臣賞を受賞しました。これは、高効率な運営に加え、複数拠点間のタイムリーな情報共有や同社が有するグローバルリモートセンターでの運転状況のモニタリング、同社エンジニアによる効率的・効果的な遠隔サポートによるプラントの予防保全と稼働率向上に向けた取り組み等が高く評価されたものです。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01264] S100R3KR)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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