有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QZOD (EDINETへの外部リンク)
オークマ株式会社 研究開発活動 (2023年3月期)
当グループでは、基礎及び応用研究、そして、これらの研究により裏付けされた新製品の開発までの一連の研究開発活動を、当社の技術本部及びFAシステム本部を中心として行っております。当連結会計年度は、研究開発費として4,835百万円を支出いたしました。
研究開発活動の概要は、次のとおりであります。
(1) 新機種・新技術開発
新型コロナウイルス感染拡大による影響から、全世界的に社会生活や経済活動が大きく制限された最悪期の状況を脱し、昨年に引き続き受注額が拡大したことから 2022年暦年の日工会受注額は歴代2位となる1兆7,596億円となりました。そのような中、全世界でSDGs、脱炭素社会の実現に向けた取組みが活発化しており、再生可能エネルギー市場は継続的な成長が見込まれます。また、EVシフトが加速している自動車市場では、内燃エンジンから電動モーター化へと構成部品が大きく変化しており、まさにビジネスチェンジが起きています。そうした脱炭素に向けた動きの中で、製造業では、サプライチェーン全体で脱炭素を目指す企業の動きが国内外で拡大しており、中小規模企業にも脱炭素の取組みが必要となっています。また、製造業界では慢性的な人手不足に加えて熟練者知見の技術伝承に対する課題があり、自動化、省人化に対する需要、生産性向上に対する要求がますます高まっています。このような市場において、提案力を一層高めていくため業界唯一の、機・電・情・知(機械・電気・情報・知識創造)の融合技術を持つ強みを活かし、社会課題への解決提案として「脱炭素」「自動化」への対応と、技術革新を支援する「デジタルソリューション」の3つのテーマを柱に高い生産性と安定した稼働を実現する技術開発を進めています。開発した技術は、自社のスマートファクトリー(Dream Site(ドリームサイト))で実証確認し、ここで得られたノウハウの活用と市場動向、商品戦略を踏まえて製品・技術に反映し、企業理念として掲げるものづくりサービスの実現に向けた取組みを進めております。
脱炭素に向けた取組みでは、工作機械の稼働に関わる消費電力が部品工場の多くを占めることを踏まえ、寸法精度安定化のための暖機運転や空調などを削減しても「寸法精度の安定」が可能で、工作機械が自律的に「エネルギー消費量の削減」を行う技術を開発し、現状の生産機への反映を行っております。これらの環境対応に貢献する知的工作機械を「Green-Smart Machine」と定義し、2023年4月からエンブレムを取付けてお客様へ提供しております。また『Green-Smart Machine』の新機種として、5軸制御マシニングセンタ『MU-500VⅢ』、CNC 旋盤『LB3000 EXⅢ』、立形マシニングセンタ『MB-46VⅡ』を開発いたしました。
また、労働人口減少に伴う、自動化・省人化の需要はますます高まっています。当社は、「工作機械オペレータがすぐに使える自動化」をコンセプトとして、2018年に工作機械とロボットを完全融合した次世代ロボットシステム『ARMROID(アームロイド)』を開発しました。自動化の需要が高まる中、単体機と同等のスペースで容易に自動化が可能であること、機械操作と同じ操作感覚でロボット操作が可能であること、働き方に合わせて人とロボットとの業務シェアを実現可能な人調和型自動化セルであることなどから市場で導入が拡大しています。そして、多品種少量生産に向けた自動化対応強化として、段取り替え作業の簡素化で作業時間が削減でき、当社の特徴である工作機械と同様の操作感覚でロボットの操作ができる操作系と、ロボット特有のプログラム言語を習得しなくても動作順を表形式の工程表で指定するだけで動作可能なスマート加工セルコントローラー『smarTwinCELL(スマーツインセル)』を開発しました。また、加工セルの動作を忠実にバーチャル空間で実現するシミュレーターも開発することで事前に精緻な動作確認を可能としました。これらにより段取り替えによる稼動停止時間の最少化が実現でき、市場からの対応要望が多い多品種少量生産の生産性向上に貢献してまいります。
当グループは今後とも、お客様の利益の最大化に向けて「高精度生産性」を追求し、お客様が求める「ソリューション(課題解決や付加価値向上のための提案)」を製品に組込むことにより、新しい差別化・成長製品の創出を目指してまいります。機械技術、加工技術、制御・ITの技術基盤をベースに、社会課題の解決と共にトータルレスポンシビリティの強みをさらに拡げて「最高のものづくりサービス」を提供してまいります。
この戦略は、当グループならではの強みであり、他社が容易に真似できない差別化戦略であります。オンリーワン技術・製品を間断なく開発し、その業界、対象ワークでグローバルに競争力をもつ生産手段を提供し、お客様の利益を創出し続けることにより、世界の工作機械のエクセレントカンパニーを目指してまいります。
(2) スマートマシンを支えるNC装置の開発とスマートファクトリー実現の取組み
当グループは、1963年(1963年)に自社製NC装置「OSP」の開発に成功して以来、機械とNC装置を一体でサポートする「トータルレスポンシビリティ」を基本理念とし、現在では、機・電・情・知(機械・電気・情報・知識創造)の融合をコンセプトとして、お客様のものづくりを支えるソリューションを提供する先進技術と機能の開発を続けております。近年、社会における人々の志向の多様化、脱炭素社会への移行、安全保障など地政学的リスクへの対応など、時代が大きく転換しようとしている中で、ものづくり産業における生産革新、スマート化が進展しております。こうしたスマートなものづくりを支えるのが、スマートマシンであり、スマートマニュファクチャリング(スマートなものづくりの仕組み)であります。
スマートマシンを支えるNC装置では、昨年開催された第31回日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2022)でお客様の「ものづくりDX(デジタル・トランスフォーメーション)」を実現する新世代CNCとして「OSP-P500」を開発、発表しました。本製品は、「2022年十大新製品賞 本賞」(日刊工業新聞社主催)を受賞しました。迅速かつ正確なフロントローディングを実現するデジタルツイン、初心者でも簡単に加工が可能な革新的操作性、加えて高精度・高生産性と環境対応を両立する脱炭素ソリューション、セキュアな環境を実現する強固なセキュリティを備え、先進のデジタル技術や知能化・AI技術、脱炭素技術により、幅広い産業の製造現場においてお客様の「ものづくりDX」の実現を支援し、社会課題解決と高精度・高生産性を両立したものづくりを推進します。
1) スマートマシンを支える新世代CNC「OSP-P500」での機能開発
1-1) 2つのデジタルツイン
実際の機械から収集した様々なデータを元に、限りなく実際の機械に近いシミュレーションを可能とするデジタルツイン技術を活用し、迅速かつ正確なフロントローディングを実現するPC上でのデジタルツインと、実際の機械動作を行なわず、機械動作を高速、高精度でシミュレーション可能な実際の機械上でのデジタルツインの2つのデジタルツインを開発しました。
PC上でのデジタルツイン(「デジタルツイン オンPC」)では、実際の機械の軸動作だけでなく、ATC等の周辺装置などの様々な動作情報をNC装置(OSP-P500)により収集、PCに送出することにより、PC上においても精度の高い機械動作のシミュレーションを高速で実行することにより、より精度の高い工具パスや干渉チェックの検証、高精度の加工時間見積を可能にしました。
実際の機械上でのデジタルツイン(「デジタルツイン オンマシン」)では、実際の機械を制御するための制御データをそのままシミュレーションに用いることにより、加工を開始する前の作業者が設定したデータ設定ミスなど、今まで実際に動かしてみないとわからなかったことが事前に確認できるようになりました。
この2つのデジタルツイン(「デジタルツイン オンPC」および「デジタルツイン オンマシン」)により、迅速かつ正確なフロントローディングや実際の機械上での作業確認時間の短縮を図り、生産性の向上を実現します。
1-2) スマートOSP操作
製造業での人手不足、熟練技能者の高齢化が叫ばれる中、NCプログラムを全く知らない初心者の方でも、簡単に加工を行えるようガイダンスにより作業者を支援する「スマートOSP操作」を開発しました。
「スマートOSP操作」の加工においては、加工に必要なデータを表形式に順に入力することにより、加工するための動作を定義でき、加工工程、工具、切削条件を自動決定し、直ぐに加工が行えます。加工をするための原点設定や工具の取付けなどの段取り作業についても、表形式で手順をガイダンスし、作業者の作業を支援します。
これにより、作業者は短期間で機械の操作や加工を習得できます。
1-3)セキュリティ機能
製造現場でのIoTが加速しています。工場内の機械や様々な機器がネットワークで繋がるだけでなく、グローバルに拡がる複数の工場間、あるいは、取引先を含めたサプライチェーンがネットワークで繋がっていきます。このような中で、サイバー攻撃により生産が停止したというニュースも耳にします。このようなサイバー攻撃のリスクから工作機械を守るために、工作機械での強固なセキュリティ機能を開発しました。
不正なアクセスや接続を防ぐオペレータ認証機能による防衛、被害を抑制するホワイトリスト方式のウイルス対策による防御、万が一に備える制御ソフトウエアとデータのバックアップ機能による復旧の3つの観点で、サイバー攻撃のリスクから お客様の大切な資産を守ります。
1-4) ECO suite plus
環境対応として、脱炭素社会の実現に向け、工作機械の使用によるCO2排出量(消費電力)を見える化するとともに、加工中は、必要な時に必要な分だけ周辺機器を運転するよう制御、加工完了後は、機械が自律的に不要な周辺機器をアイドルストップしたり、作業者の作業状況を自動で判別して周辺機器のアイドルストップと復帰を自動化するなど、様々な機能により当グループが提案する「Green-Smart Machine」を支えています。
2) スマートファクトリー実現の取組み
次世代のものづくりが拡がる中、当グループ工場「Dream Site(DS1、DS2、DS3)」では、当グループが目指すスマートファクトリーとして、導入した自社製スマートマシンを活用し、全体最適の見える化工場、部品加工プロセスの制御周期の高速化によるスループット向上、ロボット・自動化システムによる自動化・省人化に取組んでいます。さらには、業務・製造プロセスのデジタル化を進め、デジタルマニュファクチャリングの実現に向けて、着実な成果を上げております。
加えて、この取組みを会社全体の業務プロセスに拡張し、当グループにおいて「ものづくりDX」として取組んでいます。
今後は、「ものづくりDX」ソリューションとして、上記の当グループ工場や社内の業務プロセスにおけるDXの取組みの成果やお客様のものづくりの現場でこれまで培ってきたノウハウや成功事例を、個人や個別組織の経験値として蓄積するだけでなく、デジタル化により全体で共有し、リードタイム短縮、生産性向上、品質向上に利活用し、変化する顧客や社会のニーズに迅速に適合できるように変革することをお客様とともに協創して取組み、お客様の価値創造を支援していきます。
当グループでは、半世紀に渡る自社製NC装置開発の基本理念を今後も継承するとともに、当グループの強みである機・電・情・知融合のコンセプトを基盤として、先進のサーボ技術、先進の情報技術、オンリーワンの知能化技術、先進のAI活用技術の開発と強化を進め、スマートマシンの実現を推進するともに、当グループ工場「Dream Site(DS1、DS2、DS3)」で実証されたデジタルマニュファクチャリングを、「ものづくりサービス」として提供し、世界中のお客様の価値創造の実現と社会に貢献できるように推進してまいります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01481] S100QZOD)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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