有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QHTY (EDINETへの外部リンク)
日機装株式会社 事業等のリスク (2022年12月期)
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクを記載します。なお、以下の記載はすべてのリスクを網羅したものではありません。想定できないリスクや重要性の低いと判断した他のリスクの影響を受ける可能性も否定できません。また、当社グループは、以下記載の主要なリスクに対して、実効的と判断する対応策を継続的に実施しているものの、これらの対応策によっても当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼすことを完全に防止できるわけではありません。以下の記載中の将来に関する事項は、本有価証券報告書作成時における当社グループの判断によるものです。
1.政治・法律・制度的環境要因
(1)医療保険行政に関するリスク
メディカル事業は、血液透析関連をはじめとした医療市場を主要な販売先としており、医療保険行政の規制を受けています。したがって、メディカル事業の製品の市場と価格は、直接・間接にその影響を受けます。今後の規制の動向により、市場の縮小や価格の下落などが起きる場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
医療保険行政について、短期的、中長期的な規制動向をできるかぎり的確に把握、予測するために、さまざまな角度から情報収集に努め、生産、営業計画に活かしています。
(2)税務に関するリスク
当社グループは、グローバルに生産・販売拠点を有しており、グループ会社間の国際取引も多く発生しています。グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される各国の移転価格税制等の観点からも適切な取引価格となるよう細心の注意を払っています。しかしながら、税務当局又は税関当局との見解の相違等により、追加の税負担が生じる可能性があります。また、世界各国の租税法令の発効、施行、導入及び改廃等により、当社グループの税負担が増加する可能性があります。
移転価格税制に関しては、グループ会社間取引金額の大きい会社との取引には移転価格ポリシーを定めて運用を行なっている他、各国の法令に従って移転価格文書を作成して価格の妥当性の検証を行なっています。また、組織再編など重要な取引については専門家の助言を得ながら関係各国の法令への準拠性を高めています。
※2021年7月8日、2017年8月に買収したCryogenic Industries グループの外国子会社3社に対してタックス・ヘイブン対策税制の適用を受けるとして、同外国子会社の親会社となる日機装インターナショナル株式会社の2018年度事業所得金額について、その税額の更正通知書を受領しました。本件について、当社グループは意図的な租税回避行為を行なっておらず、税務当局も同様に認識していますが、当社グループと税務当局との間で見解の相違が生じています。当社は、当社グループの見解の正当性を主張するため、2021年10月に東京国税不服審判所に対して更正処分の取消を求める審査請求を進めてきましたが、2022年9月に同審判所より審査請求の棄却裁決を受け、東京地方裁判所に対し更正処分等の取消請求訴訟を提起することとしました。引き続き、当社グループとしての正当性を主張してまいります。
2.経済的環境要因
(1)為替変動に関するリスク
当社グループは、世界の様々なマーケットにおいて製品及びサービスを提供しています。主な通貨は米ドルとユーロであり、これらの通貨の為替変動が当社グループの業績と財務状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループ全体では、外貨建売上が外貨建仕入を上回り、また外貨建資産が外貨建負債を上回るため、これらの通貨に対する円高が当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
外貨建資産・負債残高について継続的にモニタリングを実施し、必要に応じ一部を円貨へ転換するなど為替リスクの抑制に努めています。
(2)資金調達に関するリスク
当社グループは、金融市場の状況を踏まえた最適な手段により外部から資金を調達しており、現時点においては主に銀行からの借入による資金調達を実施しています。このため金融市場の不安定化や当社グループの信用状況が悪化した場合などには、資金調達コストの上昇や資金調達自体が困難となり、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
長期金利の動向を踏まえ、適切な時期に借入の固定金利化を実施し金利変動リスクの低減を図っています。
3.社会的環境要因
(1)国内血液透析患者数の減少に関するリスク
国内の血液透析患者数は中長期的には減少に転ずると予想されます。国内血液透析市場が減退する速度が当社グループの想定以上に早い場合には、新たな事業展開の準備が整わない結果、国内血液透析事業の経営成績等が悪化する可能性があります。
治療の安全性や利便性並びに経済性に寄与する血液透析装置や当社血液透析装置との組み合わせで付加価値を提供できる血液回路などお客様のニーズに応える製品を提供しつづけることで国内血液透析市場のシェア拡大に努めています。また、海外市場は、透析医療の普及と市場拡大が続く中国での拡販や、透析大国である米国での本格展開を計画しており、グローバル展開をさらに加速していきます。
(2)気候変動、脱炭素化社会への移行に関するリスク
中長期的なLNG需要の増加や脱炭素社会への移行に伴う次世代エネルギーとしての水素・アンモニアなどの利用が活発化する場合には、この分野で強みを発揮するCE&IGグループ(米国)の製品需要が増加する可能性があります。
インダストリアル事業は、CE&IGグループを中核に位置付け、中長期的に需要増加が見込まれるLNG関連市場、次世代エネルギーとしての水素を乗用車、商用車向けに供給する水素ステーション市場など、脱炭素社会の到来を見据えた事業領域に展開します。
4.技術革新・事業展開の遅れに関するリスク
技術的な進歩が速く、市場の変化を適切に予測できず、顧客のニーズに合致した新製品をタイムリーに開発できない場合には当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、開発期間の長期化に伴い費用の増加あるいは開発資産の減損損失が発生する可能性があります。当社グループは、生産能力、品質、生産性向上などのため生産設備などの設備投資や成長に向けたM&Aを継続的に行なってきました。その結果、当連結会計年度末において、のれん 23,174百万円(総資産の8.1%)、有形固定資産 50,971百万円(総資産の17.8%)、関係会社株式及び関係会社出資金 81,540百万円(総資産の32.7%)を計上しています。今後、事業展開の遅れ等により、これらの資産が十分な将来キャッシュ・フローを生み出さないと判断される場合には減損損失を認識する必要性が生じます。多額の減損損失を認識した場合、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
これまで当社グループは、エネルギー転換などその時々の環境変化に順応し、事業機会を創出してきました。今後、新たな事業機会の創出を見据え、液化水素・アンモニアなど次世代エネルギーに向けたポンプの要素技術と実用化技術の開発を加速します。また、事業環境の変化等を予測し、時機を失わずに事業ポートフォリオの組み換えも実施していきます。
5.災害
(1)自然災害や大規模災害等に関するリスク
国内においては、南海トラフ地震、首都圏直下型大地震の発生により、当社グループの国内生産・販売拠点、研究開発拠点、本社機能の弱体化、稼働停止など、当社グループの事業の継続に支障をきたす結果、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。海外においても、当社グループが展開する地域において、地震、津波、洪水、火災などの自然災害の発生により、様々な物的・人的被害が生じ、円滑な事業活動が阻害されるおそれがあります。
国内の主要な生産拠点を大地震の発生する可能性の比較的低いとみられる、石川県と宮崎県に移転しています。また、本社その他の国内拠点において、適正な備蓄品の確保を含む防災対策を継続的に実施し、事業の継続性確保に向けた計画の策定と適時の見直しを実施しています。
(2)新型コロナウイルス感染症に関するリスク
新型コロナウイルスなどの感染症が拡大した場合には、従業員の感染、隔離措置、職場感染防止のため出社抑制措置などにより、生産性が悪化する結果、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
2020年から現在までの新型コロナウイルス感染症拡大の際、当社グループでは、陽性者や濃厚接触者に対する迅速な隔離措置、職場感染拡大防止のための出社抑制と在宅勤務の拡大、社内外でのアルコール消毒液による手指消毒とマスクの常時着用の励行、職域接種の実施などにより、業務・生産効率の低下を最小限に抑えることに努めました。引き続き、従業員の健康と安全の確保と各拠点における感染拡大防止の対策を最優先に対応します。
≪事業別の新型コロナウイルス感染症に関するリスク≫
●航空宇宙事業
現在、航空宇宙事業の売上規模は回復基調にありますが、2020年と2021年は、新型コロナウイルス感染症拡大により、世界規模での移動制限が長期に及んだため、航空機需要が大きく減退した結果、製品出荷が大幅に減少しました。今後、新型コロナウイルス感染症が終息しない場合や、新たな変異株又は他の強力なウイルス感染症が拡大した場合には、再び世界規模での移動制限が長期化することで航空宇宙事業の経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
コロナ禍の影響、脱炭素化の世界的な流れを見据え、民間航空機部品の製造で蓄積した経営資源を活用し、衛星事業、eVTOL*、水素燃料航空機など、従来の民間航空機部品の製造にとどまらない事業展開を確実に進めていきます。
*eVTOL(イーブイトール):垂直に離着陸し、ヘリコプターやドローン、小型飛行機の特徴を併せ持つ電動の機体。政府が2030年代の本格導入を目指す「空飛ぶクルマ」の主流になると言われています。滑走路が不要で騒音が少ないのが特徴。駆動時に温暖化ガスを出さず、整備コストがヘリコプターと比べ安いといったメリットもあります。
●メディカル事業
新型コロナウイルス感染症拡大により、国内外ともに医療機関への営業活動の制約や半導体等の部品不足に伴う納期調整の発生により、装置販売が減少する可能性があります。今後、新型コロナウイルス感染症が終息しない場合や、新たな変異株又は他の強力なウイルス感染症が拡大した場合には、一部の部品や製品の生産拠点であるベトナムにおいて都市封鎖などにより当該地域の社会経済活動が大幅に制限され、当該地域における当社グループの生産拠点における稼働の縮小などが発生しうるなど、再びメディカル製品の出荷が減速、後退する可能性があり、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
海外の生産拠点における都市封鎖などのリスクを見据え、当社グループ独自の調達ルートを活用し、代替品確保の体制を整備して対応します。
6.製品・サービスの品質に関するリスク
当社グループは、各種製品・サービスについて、欠陥が発生しないように万全の品質管理基準のもとに生産しています。しかしながら、万一リコールや製造物責任につながるような重大な欠陥が発生した場合には、多額のコスト発生に繋がり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
「技術の日機装」を掲げている当社グループにとって、品質問題は経営の根幹に関わる重大な課題と認識し、全社を挙げて品質保証体制の強化に取り組んでいます。
①当社グループの技術標準・固有技術・ノウハウについて、設計管理システムを用いて技術の継承や人材育成に活用しています。また技術者に対する体系的な教育プログラムを2019年から実施しています。これらにより技術者のスキル向上による設計品質の向上を図っています。
②部品購入を行なう取引先に対し、課題を可視化して改善を図る活動を全社で標準化し運用しています。これにより取引先の品質保証体制を強化し、製品・サービス品質のさらなる安定化を進めます。
7.サプライチェーンに関するリスク
当社グループの生産活動には、種々の原材料を使用しており、原材料ソースの多様化に
より安定的な調達に努めていますが、これらについて供給の逼迫や遅延、供給国の通商政策の変更、また、それ
らに伴う価格上昇等が生じる可能性があります。また、原材料等の調達リスクが顕在化することにより、製品・
サービスの供給が途絶する事態が生じ当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
急激な需給の変動に適切に対応できるように調達先の多様化を図っていきます。また、供給
面においては、グローバルレベルでの最適なサプライチェーンを追求することでカントリーリスクを排除し、競争優位の維持及び安定供給体制を構築していきます。
8.人事採用・確保と人材育成に関するリスク
当社グループは、生産・開発・販売、その他専門分野に携わる優秀な人材を幅広く採用・育成することで、グローバルな事業活動の推進と競争力の維持向上を図っています。しかしながら、人材の獲得競争の激化や社員の退職等によって十分な人材の確保・育成ができなかった場合、競争力の低下に繋がる可能性があります。また、当社グループの中長期的な成長は各従業員の能力に依存する部分が大きく、特に、高い技術力と技量を有する従業員の確保・技能の伝承は、当社グループの経営課題の一つです。このようなキーパーソンとなりうる人材を確保・育成できない場合には、当社グループの競争力が減退し、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
非連続な未来に向けた持続的な成長を遂げるために、当社グループの企業風土と役員・従業員の意識の変革を促す取組みを行なっていきます。具体的には次に取り組んでいきます。
①多様な人材の獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しております。国内においては、優秀で多様な学生や経験者にアプローチし、オンライン面接を導入し、積極的に採用活動を行なっています。
②目標管理・評価・所属長と従業員とのフィードバック面談を通じた職場における人材育成、従業員の能力向上のための階層別研修、各事業分野における専門的知識・技能を習得するためのスキル研修のほか将来の経営層候補に対する研修などを実施しています。
③在宅勤務やフレックスタイムなど働く時間と場所を柔軟に選択できる制度を導入しており、従業員の仕事と家庭生活の調和にも配慮し従業員の定着を図っています。
④従業員のエンゲージメント向上のため、役割・責任に応じた処遇となるよう人事制度の改定と競争力のある報酬水準の実現に向けた検討を進めています。
9.情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業全般においてITシステムを活用していますが、システムに対するサイバー攻撃や、自然災害などの不測の事態によって、システムの長期間停止や、データ滅失が発生することで、安定した業務の継続が困難になる結果、当社グループが担う社会的使命を果たすことができず、グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
コンピューターウイルス対策などの外部攻撃から情報資産を防御するための技術的仕組みを導入し、サイバー攻撃によるシステム停止リスクを低減しています。ミッションクリティカルなITシステムは、立地、建造物、電源、空調等ファシリティに安全面の考慮と各種対策を施したデータセンターに設置された機器を用いて稼働しており、停電や自然災害によるシステム停止リスクを低減しています。業務上重要なシステムやデータは、遠隔地に設置されたバックアップ装置にコピーを保管し、機器の物理的破壊やプログラム・データの消失があっても、代替機を用意することで、システムやデータが復旧できるよう対策を講じています。
10.コンプライアンスに関するリスク
当社グループの事業活動は地理的にますます拡大し、法規範や社会規範はさらに高度化し、複雑多岐にわたるうえ、社会の価値観は常に変化し続けます。当社グループは、国籍、人種、文化、信仰する宗教の異なる従業員で構成されています。当社グループの継続的なコンプライアンス活動の効果が及ばない場合には、これらのグループ内外の事情が当社グループの経営成績等や評価に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが事業活動を展開する国、地域における法規範、社会規範を遵守し、社会の期待に応えること、多様な価値観を許容することは当社グループの企業価値向上にとってもっとも重要な課題であるとの認識のもと、日機装グループ・グローバル行動規範の制定、反贈収賄規程の制定、内部通報制度の拡充、コンプライアンス教育の継続などコンプライアンスに関する具体的な活動を継続します。
1.政治・法律・制度的環境要因
(1)医療保険行政に関するリスク
メディカル事業は、血液透析関連をはじめとした医療市場を主要な販売先としており、医療保険行政の規制を受けています。したがって、メディカル事業の製品の市場と価格は、直接・間接にその影響を受けます。今後の規制の動向により、市場の縮小や価格の下落などが起きる場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
医療保険行政について、短期的、中長期的な規制動向をできるかぎり的確に把握、予測するために、さまざまな角度から情報収集に努め、生産、営業計画に活かしています。
(2)税務に関するリスク
当社グループは、グローバルに生産・販売拠点を有しており、グループ会社間の国際取引も多く発生しています。グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される各国の移転価格税制等の観点からも適切な取引価格となるよう細心の注意を払っています。しかしながら、税務当局又は税関当局との見解の相違等により、追加の税負担が生じる可能性があります。また、世界各国の租税法令の発効、施行、導入及び改廃等により、当社グループの税負担が増加する可能性があります。
移転価格税制に関しては、グループ会社間取引金額の大きい会社との取引には移転価格ポリシーを定めて運用を行なっている他、各国の法令に従って移転価格文書を作成して価格の妥当性の検証を行なっています。また、組織再編など重要な取引については専門家の助言を得ながら関係各国の法令への準拠性を高めています。
※2021年7月8日、2017年8月に買収したCryogenic Industries グループの外国子会社3社に対してタックス・ヘイブン対策税制の適用を受けるとして、同外国子会社の親会社となる日機装インターナショナル株式会社の2018年度事業所得金額について、その税額の更正通知書を受領しました。本件について、当社グループは意図的な租税回避行為を行なっておらず、税務当局も同様に認識していますが、当社グループと税務当局との間で見解の相違が生じています。当社は、当社グループの見解の正当性を主張するため、2021年10月に東京国税不服審判所に対して更正処分の取消を求める審査請求を進めてきましたが、2022年9月に同審判所より審査請求の棄却裁決を受け、東京地方裁判所に対し更正処分等の取消請求訴訟を提起することとしました。引き続き、当社グループとしての正当性を主張してまいります。
2.経済的環境要因
(1)為替変動に関するリスク
当社グループは、世界の様々なマーケットにおいて製品及びサービスを提供しています。主な通貨は米ドルとユーロであり、これらの通貨の為替変動が当社グループの業績と財務状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループ全体では、外貨建売上が外貨建仕入を上回り、また外貨建資産が外貨建負債を上回るため、これらの通貨に対する円高が当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
外貨建資産・負債残高について継続的にモニタリングを実施し、必要に応じ一部を円貨へ転換するなど為替リスクの抑制に努めています。
(2)資金調達に関するリスク
当社グループは、金融市場の状況を踏まえた最適な手段により外部から資金を調達しており、現時点においては主に銀行からの借入による資金調達を実施しています。このため金融市場の不安定化や当社グループの信用状況が悪化した場合などには、資金調達コストの上昇や資金調達自体が困難となり、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
長期金利の動向を踏まえ、適切な時期に借入の固定金利化を実施し金利変動リスクの低減を図っています。
3.社会的環境要因
(1)国内血液透析患者数の減少に関するリスク
国内の血液透析患者数は中長期的には減少に転ずると予想されます。国内血液透析市場が減退する速度が当社グループの想定以上に早い場合には、新たな事業展開の準備が整わない結果、国内血液透析事業の経営成績等が悪化する可能性があります。
治療の安全性や利便性並びに経済性に寄与する血液透析装置や当社血液透析装置との組み合わせで付加価値を提供できる血液回路などお客様のニーズに応える製品を提供しつづけることで国内血液透析市場のシェア拡大に努めています。また、海外市場は、透析医療の普及と市場拡大が続く中国での拡販や、透析大国である米国での本格展開を計画しており、グローバル展開をさらに加速していきます。
(2)気候変動、脱炭素化社会への移行に関するリスク
中長期的なLNG需要の増加や脱炭素社会への移行に伴う次世代エネルギーとしての水素・アンモニアなどの利用が活発化する場合には、この分野で強みを発揮するCE&IGグループ(米国)の製品需要が増加する可能性があります。
インダストリアル事業は、CE&IGグループを中核に位置付け、中長期的に需要増加が見込まれるLNG関連市場、次世代エネルギーとしての水素を乗用車、商用車向けに供給する水素ステーション市場など、脱炭素社会の到来を見据えた事業領域に展開します。
4.技術革新・事業展開の遅れに関するリスク
技術的な進歩が速く、市場の変化を適切に予測できず、顧客のニーズに合致した新製品をタイムリーに開発できない場合には当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、開発期間の長期化に伴い費用の増加あるいは開発資産の減損損失が発生する可能性があります。当社グループは、生産能力、品質、生産性向上などのため生産設備などの設備投資や成長に向けたM&Aを継続的に行なってきました。その結果、当連結会計年度末において、のれん 23,174百万円(総資産の8.1%)、有形固定資産 50,971百万円(総資産の17.8%)、関係会社株式及び関係会社出資金 81,540百万円(総資産の32.7%)を計上しています。今後、事業展開の遅れ等により、これらの資産が十分な将来キャッシュ・フローを生み出さないと判断される場合には減損損失を認識する必要性が生じます。多額の減損損失を認識した場合、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
これまで当社グループは、エネルギー転換などその時々の環境変化に順応し、事業機会を創出してきました。今後、新たな事業機会の創出を見据え、液化水素・アンモニアなど次世代エネルギーに向けたポンプの要素技術と実用化技術の開発を加速します。また、事業環境の変化等を予測し、時機を失わずに事業ポートフォリオの組み換えも実施していきます。
5.災害
(1)自然災害や大規模災害等に関するリスク
国内においては、南海トラフ地震、首都圏直下型大地震の発生により、当社グループの国内生産・販売拠点、研究開発拠点、本社機能の弱体化、稼働停止など、当社グループの事業の継続に支障をきたす結果、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。海外においても、当社グループが展開する地域において、地震、津波、洪水、火災などの自然災害の発生により、様々な物的・人的被害が生じ、円滑な事業活動が阻害されるおそれがあります。
国内の主要な生産拠点を大地震の発生する可能性の比較的低いとみられる、石川県と宮崎県に移転しています。また、本社その他の国内拠点において、適正な備蓄品の確保を含む防災対策を継続的に実施し、事業の継続性確保に向けた計画の策定と適時の見直しを実施しています。
(2)新型コロナウイルス感染症に関するリスク
新型コロナウイルスなどの感染症が拡大した場合には、従業員の感染、隔離措置、職場感染防止のため出社抑制措置などにより、生産性が悪化する結果、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
2020年から現在までの新型コロナウイルス感染症拡大の際、当社グループでは、陽性者や濃厚接触者に対する迅速な隔離措置、職場感染拡大防止のための出社抑制と在宅勤務の拡大、社内外でのアルコール消毒液による手指消毒とマスクの常時着用の励行、職域接種の実施などにより、業務・生産効率の低下を最小限に抑えることに努めました。引き続き、従業員の健康と安全の確保と各拠点における感染拡大防止の対策を最優先に対応します。
≪事業別の新型コロナウイルス感染症に関するリスク≫
●航空宇宙事業
現在、航空宇宙事業の売上規模は回復基調にありますが、2020年と2021年は、新型コロナウイルス感染症拡大により、世界規模での移動制限が長期に及んだため、航空機需要が大きく減退した結果、製品出荷が大幅に減少しました。今後、新型コロナウイルス感染症が終息しない場合や、新たな変異株又は他の強力なウイルス感染症が拡大した場合には、再び世界規模での移動制限が長期化することで航空宇宙事業の経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
コロナ禍の影響、脱炭素化の世界的な流れを見据え、民間航空機部品の製造で蓄積した経営資源を活用し、衛星事業、eVTOL*、水素燃料航空機など、従来の民間航空機部品の製造にとどまらない事業展開を確実に進めていきます。
*eVTOL(イーブイトール):垂直に離着陸し、ヘリコプターやドローン、小型飛行機の特徴を併せ持つ電動の機体。政府が2030年代の本格導入を目指す「空飛ぶクルマ」の主流になると言われています。滑走路が不要で騒音が少ないのが特徴。駆動時に温暖化ガスを出さず、整備コストがヘリコプターと比べ安いといったメリットもあります。
●メディカル事業
新型コロナウイルス感染症拡大により、国内外ともに医療機関への営業活動の制約や半導体等の部品不足に伴う納期調整の発生により、装置販売が減少する可能性があります。今後、新型コロナウイルス感染症が終息しない場合や、新たな変異株又は他の強力なウイルス感染症が拡大した場合には、一部の部品や製品の生産拠点であるベトナムにおいて都市封鎖などにより当該地域の社会経済活動が大幅に制限され、当該地域における当社グループの生産拠点における稼働の縮小などが発生しうるなど、再びメディカル製品の出荷が減速、後退する可能性があり、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
海外の生産拠点における都市封鎖などのリスクを見据え、当社グループ独自の調達ルートを活用し、代替品確保の体制を整備して対応します。
6.製品・サービスの品質に関するリスク
当社グループは、各種製品・サービスについて、欠陥が発生しないように万全の品質管理基準のもとに生産しています。しかしながら、万一リコールや製造物責任につながるような重大な欠陥が発生した場合には、多額のコスト発生に繋がり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
「技術の日機装」を掲げている当社グループにとって、品質問題は経営の根幹に関わる重大な課題と認識し、全社を挙げて品質保証体制の強化に取り組んでいます。
①当社グループの技術標準・固有技術・ノウハウについて、設計管理システムを用いて技術の継承や人材育成に活用しています。また技術者に対する体系的な教育プログラムを2019年から実施しています。これらにより技術者のスキル向上による設計品質の向上を図っています。
②部品購入を行なう取引先に対し、課題を可視化して改善を図る活動を全社で標準化し運用しています。これにより取引先の品質保証体制を強化し、製品・サービス品質のさらなる安定化を進めます。
7.サプライチェーンに関するリスク
当社グループの生産活動には、種々の原材料を使用しており、原材料ソースの多様化に
より安定的な調達に努めていますが、これらについて供給の逼迫や遅延、供給国の通商政策の変更、また、それ
らに伴う価格上昇等が生じる可能性があります。また、原材料等の調達リスクが顕在化することにより、製品・
サービスの供給が途絶する事態が生じ当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
急激な需給の変動に適切に対応できるように調達先の多様化を図っていきます。また、供給
面においては、グローバルレベルでの最適なサプライチェーンを追求することでカントリーリスクを排除し、競争優位の維持及び安定供給体制を構築していきます。
8.人事採用・確保と人材育成に関するリスク
当社グループは、生産・開発・販売、その他専門分野に携わる優秀な人材を幅広く採用・育成することで、グローバルな事業活動の推進と競争力の維持向上を図っています。しかしながら、人材の獲得競争の激化や社員の退職等によって十分な人材の確保・育成ができなかった場合、競争力の低下に繋がる可能性があります。また、当社グループの中長期的な成長は各従業員の能力に依存する部分が大きく、特に、高い技術力と技量を有する従業員の確保・技能の伝承は、当社グループの経営課題の一つです。このようなキーパーソンとなりうる人材を確保・育成できない場合には、当社グループの競争力が減退し、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
非連続な未来に向けた持続的な成長を遂げるために、当社グループの企業風土と役員・従業員の意識の変革を促す取組みを行なっていきます。具体的には次に取り組んでいきます。
①多様な人材の獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しております。国内においては、優秀で多様な学生や経験者にアプローチし、オンライン面接を導入し、積極的に採用活動を行なっています。
②目標管理・評価・所属長と従業員とのフィードバック面談を通じた職場における人材育成、従業員の能力向上のための階層別研修、各事業分野における専門的知識・技能を習得するためのスキル研修のほか将来の経営層候補に対する研修などを実施しています。
③在宅勤務やフレックスタイムなど働く時間と場所を柔軟に選択できる制度を導入しており、従業員の仕事と家庭生活の調和にも配慮し従業員の定着を図っています。
④従業員のエンゲージメント向上のため、役割・責任に応じた処遇となるよう人事制度の改定と競争力のある報酬水準の実現に向けた検討を進めています。
9.情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業全般においてITシステムを活用していますが、システムに対するサイバー攻撃や、自然災害などの不測の事態によって、システムの長期間停止や、データ滅失が発生することで、安定した業務の継続が困難になる結果、当社グループが担う社会的使命を果たすことができず、グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
コンピューターウイルス対策などの外部攻撃から情報資産を防御するための技術的仕組みを導入し、サイバー攻撃によるシステム停止リスクを低減しています。ミッションクリティカルなITシステムは、立地、建造物、電源、空調等ファシリティに安全面の考慮と各種対策を施したデータセンターに設置された機器を用いて稼働しており、停電や自然災害によるシステム停止リスクを低減しています。業務上重要なシステムやデータは、遠隔地に設置されたバックアップ装置にコピーを保管し、機器の物理的破壊やプログラム・データの消失があっても、代替機を用意することで、システムやデータが復旧できるよう対策を講じています。
10.コンプライアンスに関するリスク
当社グループの事業活動は地理的にますます拡大し、法規範や社会規範はさらに高度化し、複雑多岐にわたるうえ、社会の価値観は常に変化し続けます。当社グループは、国籍、人種、文化、信仰する宗教の異なる従業員で構成されています。当社グループの継続的なコンプライアンス活動の効果が及ばない場合には、これらのグループ内外の事情が当社グループの経営成績等や評価に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが事業活動を展開する国、地域における法規範、社会規範を遵守し、社会の期待に応えること、多様な価値観を許容することは当社グループの企業価値向上にとってもっとも重要な課題であるとの認識のもと、日機装グループ・グローバル行動規範の制定、反贈収賄規程の制定、内部通報制度の拡充、コンプライアンス教育の継続などコンプライアンスに関する具体的な活動を継続します。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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