有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QTP0 (EDINETへの外部リンク)
古野電気株式会社 研究開発活動 (2023年2月期)
当社グループは、創業以来、漁業及び海運業の安全安心の向上に寄与すべく、舶用電子機器の研究開発を継続して行ってまいりました。
舶用電子機器の「漁業用の魚群探知機」に使用する超音波技術、同じく「漁業用の無線機」に使用する電波通信技術、「舶用レーダー」に使用するマイクロ波技術、「舶用位置測定装置」に使用する電波航法技術等を中心に始まったフルノの研究開発の分野は、現在では機器のデジタル化に伴う情報処理技術、画像処理技術及びメカトロニクス技術へと広がっております。
事業分野の視点では、舶用電子機器市場に留まらず、この技術を応用し他市場での社会課題解決を目指して、陸上産業機器、医療機器、無線LAN機器及び防衛装備品機器へと展開を広げてきました。これらの研究開発業務は、各要素研究を技術研究所、各事業分野の製品開発を各事業部開発部門にて行っております。
組織横断的な視点から各研究開発部門を統括し、効率向上と活性化を図ることを目的としてR&D統括センターを設けております。また、グループの研究開発活動にかかわる知的財産権の拡充を図り、適切に管理・活用する専門の組織として知的財産部を設けております。
今までもそしてこれからも、安全安心の向上に寄与するとともに、新たな社会課題の解決に向けた研究開発を進めてまいります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は5,694百万円であり、売上高に対する比率は6.2%であります。
セグメント別の主な研究開発活動及び今後の展開は次のとおりであります。
(1) 舶用事業
商船・漁業・プレジャーボート市場向け分野
当社グループの中核事業部門として、技術研究所の成果物を、しっかりとした品質と信頼性を確保しつつ、統一的なデザインをもって商品化することで、フルノブランドを確立してまいりました。
近年、航海の安全性向上および船員の労務負担軽減を解決すべき重要な社会課題と位置づけ、自律航行の実現に向けた研究開発を進めています。AR(拡張現実)技術を用いて航行に必要な情報を重畳表示する「AR ナビゲージョンシステム」、VR(仮想現実)技術を用いて見張り業務を支援する「3D Bird View」は、日本海事協会の革新技術を対象とした新たな認証サービス「イノベーションエンドースメント」において、製品・ソリューション認証を取得し、安全運航を支援する新しいソリューションとして展開を進めています。加えて、LiDARとカメラ等のセンサーを用いて船体と岸壁との距離・角度を高精度に計測して安全な離着岸を支援する「離着岸支援システム」は、実用化を目指し運航中フェリーでの試行を行っております。
一方、資源管理型漁業や漁業経営の効率化に資するスマート漁業に向けた取り組みにも注力しております。具体的には、魚群探知機等のセンサー情報を遠隔からモニタリングする定置網漁業向けシステムの試験運用を開始したほか、漁船に装備されている各センサーからの情報を集め、過去の操業振り返りや操業計画立案に活用する研究開発を進めています。
また新規事業としてスタートした養殖支援事業は、養殖関連の機器製造・販売の他、独自トラッキング技術によるAIを用いたデータ解析サービス事業を展開し、養成魚の平均魚体重や生育状況を把握することで、効率的で安定した養殖事業の実現に貢献してまいります。
今後も、社会課題の解決に資する研究開発を推し進め、新たな顧客価値の創出に継続して取り組んでまいります。
インフラ維持管理・気象観測システム分野
舶用機器の技術を応用した沿岸モニタリングシステム、舶用レーダー技術を応用した気象観測システム、衛星測位技術を応用した地盤変位観測システム等、社会インフラへのソリューション開発を進めてまいりました。今後も、これら基本システムをもとに、顧客が必要とするシステムやアプリケーションのパッケージ化を進めることで、販売の促進に取り組んでまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は4,414百万円であります。
(2) 産業用事業
PNT事業
社会インフラのOEM供給に始まったPNT事業は、無線通信技術を応用したETC車載器、衛星測位システム技術を基にした車載用GNSS受信機等の位置情報機器及びこれを応用したタイミング機器※等を加えることで事業拡大を進めてきました。
※衛星測位システムは測位原理により、位置だけでなく正確な時刻(タイミング)も知ることができ、この機能は日々進化する高速情報通信インフラに欠かせないものとなっています。
ETC車載器での無線通信による車両認識と、ナンバープレート読取装置での画像による車両認識の両方を組み合わせた車両入退管理サービスであるFLOWVIS(フロービス)では、ソリューション開発に注力し、顧客要望に合わせたカスタム対応を展開しました。また衛星測位システム技術では、中国の測位衛星(北斗)にも対応し、補正データなしで位置情報精度50㎝を実現する新たな車載用多周波GNSS受信チップを搭載した製品の2023年度上市を目指しています。今後も、無線技術と衛星測位システム技術を活用した製品開発を進めると同時に、これら技術を融合させた新たな価値創造に資する技術開発にも取り組んでまいります。
ヘルスケア事業
当社グループの持つ超音波技術の医療機器分野への展開から始まったヘルスケア事業の研究開発は、生化学自動分析装置のラインナップ拡大、超音波骨密度測定装置の機能向上を進めてまいりました。生化学自動分析装置ではIVDR(欧州体外診断用医療規則)の適合手続きが完了し、欧州での販売の円滑化に寄与しました。また中国子会社との連携を強化し、中国市場での製品展開拡大を目指しています。引き続き、品質の向上と効率的な開発を目指し、プロセス改善にも取り組んでまいります。
防衛装備品事業
航空機用電子機器の供給から始まった当社の防衛装備品事業は、舶用事業と同様に、顧客からの強い信頼を得ており、継続して防衛省のニーズに対応しております。信頼ある商品・サービスを通じて防衛装備品を持続的に提供することが、国民の安全・安心・平和の維持に貢献するという認識のもと、事業成長のためのニーズの先取りと衛星測位や水中音響分野における将来技術の先行開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は552百万円であります。
(3) 無線LAN・ハンディターミナル事業
舶用電子機器開発で培った無線通信技術、情報処理技術を陸上物流に応用することから始まった当該事業は、顧客ニーズにマッチした信頼性の高い商品と手厚いサポートをもとに、文教市場で高いシェアを持つに至っております。
最新Wi-Fi規格へ対応した商品開発やクラウド関連の技術開発のほか、新たな市場創出のためのサブギガ帯Wi-Fi(新規格IEEE802.11ahに準拠)の製品化に向けた技術開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は333百万円であります。
(4) その他
「NAVI NEXT 2030」のもと、技術研究所ではSPC&Iにより「技術のフルノ」を牽引すべく、「既存事業への貢献」と「新規事業創出」に取り組んでおります。当連結会計年度には、新規市場の創出に向けて、建設現場向けWi-Fiシステム/屋内測位システム、車両検知用ミリ波レーダー等の研究開発を進めてまいりました。
今後も「NAVI NEXT 2030」を目指した施策、具体的には、
・水産業、航海・マリンレジャー等の既存事業への貢献に向けた研究
・医療・ヘルスケア、インフラ管理・監視等の新規事業創出に向けた研究
・共通基盤技術の探求やAI・シミュレーション技術の活用
等に取り組んでまいります。
新規育成事業
「NAVI NEXT 2030」では売上高1,200億円のうち、新規事業比率30%を目標に掲げております。新規事業を生み出していくためには、将来成長のための継続した投資が必要であることから、「戦略的投資枠」を導入し、新規事業の育成に係る費用を事業部門と別枠にして挑戦を推進しております。「新規育成事業」の内、建設テック事業については建設市場向けDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している他、防災分野への挑戦等、新たな取り組みにも着手しております。前連結会計年度に引き続き、社内研究開発を起点とした技術やアイデア、他社との協業をベースとした新規事業創出活動を継続していきます。また、中期経営計画(フェーズ2)では、既存事業における周辺領域への事業拡張にも積極的に取り組んでまいります。
当連結会計年度における事業セグメントに帰属しない研究所における研究開発費の金額は393百万円であります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01839] S100QTP0)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。