有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R6CY (EDINETへの外部リンク)
いすゞ自動車株式会社 事業等のリスク (2023年3月期)
当社グループでは、グループ全体のリスク管理の責任者として、「グループCRMO(Chief Risk Management Officer/リスクマネジメント責任役員)」を設置し、全社的なリスク管理のプロセスを主導しています。
グループCRMOは、
・定期的に当社グループの経営上・事業遂行上でのリスクを特定・評価します。
・これらリスクを適切に管理、特に低減するとともに、リスクが顕在化して危機に転化した場合はその影響を極小化する等、各種リスク対策を企画・実行します。
・定期的に「リスク管理確認会議」を主催し、リスク対策の進捗状況、顕在化したリスクを把握し、対策やリスク認識の不断の見直しを行います。
また、リスクマネジメント推進組織としての独立性を担保し、より専門性を高める目的で、「法務部」を管理部門から独立させるとともに、リスク管理・コンプライアンス推進機能を法務部から独立させ、「リスクマネジメント部」を新設しました。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものです。
1.世界経済・金融市場・自動車市場に起因するリスク
(1)主要市場の経済状況・総需要の変動
当社グループの全世界における売上高のうち、主要な部分を占める自動車の需要は、当社グループが製品を販売している国・地域、特に日本、タイ、米国などの主要国市場における経済状況の影響を受けます。
また商用車市場は日本においては今後漸減が予想される一方で、新興国においては物流需要の増加が見込まれることから、当社グループは一部の新興国市場を重点地域と定め、拡販活動を進めています。そのため、一部の新興国市場における経済状況もまた、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは経済状況・需要動向の見通しの正確な把握に努めるとともに、製品を販売する市場の分散によって影響を極小化していますが、当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
しかし、自動車の需要は市場の経済状況の影響を強く受けるため、物価やガソリン価格の高騰等の各国・地域の社会・経済状況の変化は当社グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、半導体をはじめとした外製品不足による生産制約が再び顕在化した場合、資材費・エネルギー費用・物流費等が高騰した場合、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)自動車市場における競争
当社グループの全世界における売上高のうち、主要な部分を占める自動車市場は、激しい競争が繰り広げられています。かかる競争環境の激化は当社製品の競争力に影響を及ぼし、価格変動やシェア変動を引き起こす可能性があります。競争に影響を与える要素は製品性能、安全性、燃費、環境負荷、価格、アフターサービス等多岐にわたり、各国の市場ごとで重視される要素は異なります。
当社グループは主要市場での競争力を維持・強化するため、これら要素の改善に取り組みながら、競争力の高い製品について継続的に開発・生産・販売並びにそのアフターサービスを実施していますが、主要市場や新興国市場等での他社との競争に劣後した場合や予期しない業界再編が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)為替及び金利の変動
当社グループの事業には、世界各地における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産、負債を含む現地通貨建の項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レート、特に米ドル、タイバーツの為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。さらに、為替変動は、当社グループが購入する原材料の価格や販売する製品の価格設定に影響します。
また、当社グループは日頃よりキャッシュ・フローの管理に努めていますが、資金調達に関わるコストは、市場金利が急激に上昇した場合、支払利息の負担が増大するなど、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは為替及び金利の変動による影響を極小化すべく、現地生産に加えて、先物為替予約取引を含むデリバティブ金融商品の活用を行っています。
しかし、為替及び金利の大きな変動が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
2.事業に関するリスク
2-1.主に「外部環境への当社グループの対応」に起因する事業リスク
(4)新しい技術革新やビジネスモデル変化などへの対応
当社グループの事業に関わる外部環境は大きく変化しています。商用車市場のお客様ニーズの多様化や商用車を用いたビジネスモデルの変化、「CASE」に代表される技術革新、生産・販売・アフターサービス・バックオフィス業務におけるデジタルイノベーションの推進、ESG投資やSDGs達成への期待の高まりなどの技術変化や社会変化は、当社グループの事業の拡大と深耕の好機です。
当社グループはこうした技術変化や社会変化に速やかに対応するため、常設部署を設置し、全社横断の複数プロジェクトを推進しています。しかし、万が一、これらの技術変化や社会変化に速やかかつ十分に対応できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)研究開発
当社グループの置かれた事業環境は競争の激化や市場ごとに異なる商品ニーズの多様化などが見込まれます。このような経営環境に対応し、「運ぶ」を支える「ものづくり事業」を推進していくには高い技術と市場のニーズを的確にとらえた製品を提供する研究開発への取組みが不可欠です。
当社グループは、将来の市場ニーズの予測、研究開発分野の優先順位付けを通じて、新たな技術や製品の開発に取組んでいますが、もし求められる技術水準への到達や適正な市場ニーズの把握に失敗や遅延した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、アライアンス及び部品メーカーとの協業を通じて新たな技術や製品の入手をしていますが、もしアライアンス先や部品メーカーが求められる技術水準への到達に失敗や遅延した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)合弁事業をはじめとするアライアンス
当社グループは、いくつかの国において、各国の法律上の、あるいはその他の要件により合弁で事業を行っています。また、国内外の販売ではディーラーやディストリビュータと提携し、研究開発では合弁事業や業務提携を行っています。
当社グループは合弁相手やアライアンス先の経営状況、ガバナンス、その他重要な非財務情報も含め、様々な情報をもとに業務提携の要否を検討します。
しかし、合弁相手やアライアンス先の経営方針、経営環境の変化等当社グループが管理できない要因により、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)販売・供給における特定チャネルへの依存
当社グループは、当社製品である自動車やその構成部品等を、トリペッチいすゞセールス㈱(タイ国バンコク市)や、ゼネラルモーターズ・コーポレーション(アメリカ合衆国ミシガン州デトロイト市)など当社グループ内外の特定チャネルを通じて販売・供給しています。当社グループの販売・供給における特定チャネルの依存について、取引先の業績悪化等により市場への供給・流通量が減少した場合、又は取引先の信用不安等による貸倒れが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは大口顧客企業との関係を維持するとともに、新規顧客の開拓によるリスク分散を図っています。しかし、これらの顧客企業への売上は、顧客企業の生産・販売量の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受け、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)資材、部品等の調達の遅れや不足、調達価格の高騰
当社グループは、生産に必要な原材料、部品及び製品を外部のサプライヤーから調達していますが、サプライヤーの能力を大幅に超えるような需給状況になった場合、サプライヤーに生じた事故や不測の事態により供給能力が大幅に低下した場合、海運コンテナ等の調達に不可欠な物流サービスを十分に利用できない場合、サプライヤーがサイバー攻撃を受けた場合は、生産に必要な量の原材料、部品及び製品を確保することができなくなる可能性、確保が遅れる可能性があります。また、需給の逼迫などにより原材料等の価格が高騰し、生産性向上などの内部努力や価格への転嫁などにより吸収できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、サプライヤーの生産能力、信用リスク、製品等の品質、コスト等を定期的に把握し、調達に遅れや不足が生じる事態がないように努めていますが、半導体等をはじめとする資材や部品等の大幅な不足や価格の高騰が生じた場合、大規模地震等の自然災害、感染症流行等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また当社グループは、「いすゞグループ人権方針」に基づき、サプライチェーン上に労働環境や安全衛生面での人権侵害などがないかを確認する「人権デュー・ディリジェンス」に取り組んでいます。その他、サプライチェーン上の法令・コンプライアンス遵守、気候変動問題への対応状況を確認しています。しかし、サプライチェーン上で品質・コスト・納期以外の諸問題が顕在化した場合は、生産に必要な量の原材料、部品及び製品を確保することができなくなる可能性、確保が遅れる可能性があります。
2-2.主に「当社グループ内部」に起因する事業リスク
(9)コンプライアンス・レピュテーション
当社グループでは、関係法令等の遵守はもちろん、ステークホルダーからの期待に応えるという意味でもコンプライアンスを徹底しています。
当社グループでは、法令等の違反を未然に防止する体制並びにコンプライアンスに関わる案件を察知した場合には速やかに対応する体制を構築しています。
またコンプライアンスの推進や体制整備について、客観的な助言・監督・評価を仰ぐことを目的として、社長の諮問機関であるコンプライアンス委員会を設置しています。同委員会には、コンプライアンスの推進に必要な公明性、透明性を確保するため、社外から有識者(弁護士等)を委員として招聘しています。
しかし、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、法令違反の事実、あるいは対応の内容や迅速性等が不十分な場合には、当社グループの社会的信用に重大な影響を与える場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、各国の個人情報保護、贈収賄禁止、独占禁止・不正競争禁止に関する法令等への重大な違反が認められ、高額な制裁金が課せられた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)製品の欠陥
当社グループは国内外の各工場で世界的に認められている厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しています。品質の維持及び改善のため、当社グループは「品証・CS委員会」を通じて、不具合情報の早期発見と共有、品質向上のための全社横断的検討、全社的な品質マネジメントの運用状況の監視を実施しています。また製品の欠陥等を原因とする損害賠償が必要な場合に備えて、製造物賠償責任保険に加入しています。
しかし、万が一大規模なリコールを実施する場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、実際に発生した費用が事前に計上した未払費用を大きく上回る場合や、製造物責任賠償を実施するが製造物賠償責任保険により填補できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)IT化社会における情報セキュリティに関するリスク
当社グループの事業にとって、顧客情報の収集・利用や営業秘密としての技術情報の活用、設備の自動制御などの情報技術の利活用、生産活動を含む業務全般でのITネットワークの安定的利用が不可欠なものとなっています。当社グループの事業は、こうした情報、情報技術、ITネットワークに依存しています。
当社グループでは、当該リスク管理責任者や専門組織を設置し、個人情報や機密情報の保護、データやシステムの可用性の維持、各種情報の改竄防止等の情報セキュリティの維持・改善を目的に、様々な安全対策を実施しています。
しかし、不測の事態により情報漏洩等が発生した場合、企業としての信用低下、顧客等に対する損害賠償責任が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。また、システム障害やコンピューターウイルスへの感染、サイバ一攻撃等が発生した場合には、業務の中断や、データの破損・喪失などを引き起こす可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
また当社グループは、アライアンス先との情報セキュリティに関する契約を締結し、個人情報や機密情報の保護、データやシステムの可用性の維持、各種情報の改竄防止等の情報セキュリティの維持・改善を目的に、様々な安全対策を実施しています。しかし、不測の事態により情報漏洩等が発生した場合、企業としての信用低下、顧客等に対する損害賠償責任、アライアンス先に対する損害賠償責任が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)知的財産保護に関するリスク
当社グループは他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の国・地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能、又は限定的にしか保護されない状況にあります。
当社グループは知的財産保護のための取組みを進めています。しかし、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない場合や当社グループに対する知的財産権侵害訴訟による製造・販売の差し止めや損害賠償の請求が認められた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)優秀な人材の確保・定着、成果創出等
当社グループの事業では、人材が最も重要な資産と考え、当社グループの事業推進に必要となる技能・能力をもった多様な人材の確保に努めるとともに、従業員一人一人のモチベーション、熱意、技能、能力、パフォーマンスを高め、当社グループに定着させるための取組みを進めています。しかし、今後の人材獲得競争の一層の激化により、優秀な人材確保・定着がより困難になっていく可能性があります。
また、当社グループの従業員構成は日本企業の多くと同様に、シニア層に集中しています。それに伴って、将来的には円滑な技能伝承や適切な人員配置が困難となる可能性があります。
当社グループではこうしたリスクへの対策として、職務に適した人材確保に向けた職務記述書や報酬制度の整備、自律的なキャリア形成を支援する魅力的な職場環境の整備、及び上司・部下の間での頻繁な対話機会の確保による部下の成長支援等の取り組みを新人事制度の中で強化していきます。
本リスクへの対策の前提となる人権尊重について、「いすゞグループ人権方針」に従い、役員・従業員に対する人権意識を高めるための教育・啓発活動、人権デュー・ディリジェンス等に取り組んでいます。また、ビジネスにおける人権尊重の重要性を踏まえ、ステークホルダーとの対話を行い、事業パートナー及び取引先の皆様に対しても理解促進に努めています。
しかし、これらの対応が十分ではない場合、従業員の離職、モチベーション低下、期待値に満たない成果、技能伝承の失敗、競争力の低下によって、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
2-3.主に「当社グループ外部」に起因する事業リスク
(14)法的規制等
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障、関税、その他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けています。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管理、環境保全・リサイクル・安全関連の法規制の適用も受けています。特に排出ガス規制並びに燃費/CO2規制は、環境意識の高まりに伴い、更に強化される傾向にあります。これを遵守するための投資等は多額となり、将来、これらの投資に見合う売上を実現できない可能性があります。
当社グループは各国、特に日本、米国、タイ、中国、欧州地域における法規制等の動向の情報収集を行い、法規制の変化に備えた投資や新技術・製品の開発を行っています。
しかし、万が一、規制等の予期しない改廃や運用の変更があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(15)国際的活動及び海外進出に潜在するリスク
当社グループの製品の生産及び販売活動は、日本国内のみならず広く海外で行われています。これらの海外市場での事業展開には特に以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しています。
・政治及び経済状況の変動
・許認可等に関する一方的な政策変更、当社グループ財産の直接的又は間接的収用
・輸出入や技術移転の制限
・情報やデータの管理や移転の制限
・安全保障上のリスクがある設備、ソフトウェア、クラウドサービス、委託先等の利用・調達に関する制限
・潜在的に不利な税影響
・送金や兌換の規制
・人材の採用と確保の難しさ
・未整備の技術インフラや社会インフラ(電力、上下水、道路、港湾等)
・テロ、戦争、自然災害、経済制裁、その他の要因による社会的混乱
当社グループは、各国におけるリスクを把握するとともに対策を講じていますが、こうしたリスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
2022年2月より続くウクライナ情勢に起因して、ロシアでの事業活動に必要な諸環境が大きく変化しました。ウクライナやロシア、その周辺国の政治及び経済状況が更に悪化した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(16)災害等
当社グループは全世界で事業を展開しているため、様々な災害リスクにさらされています。大規模地震、風水害や噴火等の自然災害、停電又はその他の中断事象、疫病・感染症が顕在化した場合、当社グループの生産活動、販売活動、その他事業活動に影響が生じる可能性があります。特に主要な事業拠点が集中する日本・南関東に大規模な災害等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは生産工程等の事業中断による潜在的な悪影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行い、災害等が発生した場合の行動計画を予め策定、それに基づいた訓練を実施しています。また新型インフルエンザやその他の未知の感染症等についても予防・対応計画を予め策定し、それに基づいた訓練を実施しています。さらに新型インフルエンザやその他の未知の感染症等についても、日頃より外部コンサルタントの活用等によりグローバルな情報の早期入手に努め、必要に応じて適切な対応を行うとともに、マスク等の適正な備蓄を行っています。
しかし、災害等による影響を完全に防止又は軽減できない可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(17)気候変動
当社グループは、気候変動リスクを最も重要な社会課題の一つとして位置づけています。当社グループは気候変動を起因とする環境課題に関する規制強化への対応を行うと共に、頻発・激甚化している自然災害や気候変動に適応する必要があります。一方で、新しい技術開発や脱炭素社会に貢献するイノベーションの創出がさらなる成長の機会につながると認識し取組を進めています。
当社グループは、産業革命以前からの世界の平均気温上昇を2度未満に抑え、1.5度未満を目指す「パリ協定」を支持しています。また、当社グループは「地球環境維持と経済発展の両立」をマテリアリティの一つとして掲げ、2020年3月に長期的視野で地球環境問題に取り組むための方向性を示す、「いすゞ環境長期ビジョン2050」を策定しました。「いすゞ環境長期ビジョン2050」では気候変動対策を環境重点課題の一つと捉えており、当社グループは2050年までに、当社グループ製品のライフサイクル全体での温室効果ガス(GHG)ゼロ、および当社グループの事業活動から直接排出されるGHGゼロを目指しています。また、2022年6月には新たに「2030環境ロードマップ」を発行し、環境長期ビジョンを実現するための道筋とチャレンジを示しました。
気候変動リスクへの対応として、当社グループでは「サステナビリティ委員会」がリスクの特定・評価を行い、事業への影響を踏まえた対策の進捗を管理しています。例えば、気候変動と世界気温上昇に関する複数の「環境長期シナリオ」に基づき、製品、サービス、事業活動への具体的影響を検討・分析しています。当社グループは脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会及び気候変動に伴う自然災害の増大や水資源の枯渇等のリスク・機会について、事業への影響度を踏まえて対策を講じています。また当社グループでは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が推奨するフレームワークに沿った気候変動関連の情報開示に取り組んでいます。詳細は『サステナビリティレポート2022』の環境の項目をご参照ください。
なお、当社グループによる気候変動対策は国際的に影響力のある国際環境非営利団体CDP等の外部機関から高い評価を得ています。
また当社グループは、気候変動に伴う気象災害の頻発による事業中断、脱炭素社会に向けた各種規制が当社グループの業績及び財政状態に与える影響を極小化するため、事業継続態勢の高度化、GHGゼロの製品開発・市場投入・生産体制構築等、バリューチェーン全体の脱炭素化に取り組んでいます。
しかし、気候変動そのものを緩和するための取組みや気候変動による影響への対応・取組みが不十分である場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
グループCRMOは、
・定期的に当社グループの経営上・事業遂行上でのリスクを特定・評価します。
・これらリスクを適切に管理、特に低減するとともに、リスクが顕在化して危機に転化した場合はその影響を極小化する等、各種リスク対策を企画・実行します。
・定期的に「リスク管理確認会議」を主催し、リスク対策の進捗状況、顕在化したリスクを把握し、対策やリスク認識の不断の見直しを行います。
また、リスクマネジメント推進組織としての独立性を担保し、より専門性を高める目的で、「法務部」を管理部門から独立させるとともに、リスク管理・コンプライアンス推進機能を法務部から独立させ、「リスクマネジメント部」を新設しました。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものです。
1.世界経済・金融市場・自動車市場に起因するリスク
(1)主要市場の経済状況・総需要の変動
当社グループの全世界における売上高のうち、主要な部分を占める自動車の需要は、当社グループが製品を販売している国・地域、特に日本、タイ、米国などの主要国市場における経済状況の影響を受けます。
また商用車市場は日本においては今後漸減が予想される一方で、新興国においては物流需要の増加が見込まれることから、当社グループは一部の新興国市場を重点地域と定め、拡販活動を進めています。そのため、一部の新興国市場における経済状況もまた、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは経済状況・需要動向の見通しの正確な把握に努めるとともに、製品を販売する市場の分散によって影響を極小化していますが、当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
しかし、自動車の需要は市場の経済状況の影響を強く受けるため、物価やガソリン価格の高騰等の各国・地域の社会・経済状況の変化は当社グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、半導体をはじめとした外製品不足による生産制約が再び顕在化した場合、資材費・エネルギー費用・物流費等が高騰した場合、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)自動車市場における競争
当社グループの全世界における売上高のうち、主要な部分を占める自動車市場は、激しい競争が繰り広げられています。かかる競争環境の激化は当社製品の競争力に影響を及ぼし、価格変動やシェア変動を引き起こす可能性があります。競争に影響を与える要素は製品性能、安全性、燃費、環境負荷、価格、アフターサービス等多岐にわたり、各国の市場ごとで重視される要素は異なります。
当社グループは主要市場での競争力を維持・強化するため、これら要素の改善に取り組みながら、競争力の高い製品について継続的に開発・生産・販売並びにそのアフターサービスを実施していますが、主要市場や新興国市場等での他社との競争に劣後した場合や予期しない業界再編が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)為替及び金利の変動
当社グループの事業には、世界各地における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産、負債を含む現地通貨建の項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レート、特に米ドル、タイバーツの為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。さらに、為替変動は、当社グループが購入する原材料の価格や販売する製品の価格設定に影響します。
また、当社グループは日頃よりキャッシュ・フローの管理に努めていますが、資金調達に関わるコストは、市場金利が急激に上昇した場合、支払利息の負担が増大するなど、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは為替及び金利の変動による影響を極小化すべく、現地生産に加えて、先物為替予約取引を含むデリバティブ金融商品の活用を行っています。
しかし、為替及び金利の大きな変動が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
2.事業に関するリスク
2-1.主に「外部環境への当社グループの対応」に起因する事業リスク
(4)新しい技術革新やビジネスモデル変化などへの対応
当社グループの事業に関わる外部環境は大きく変化しています。商用車市場のお客様ニーズの多様化や商用車を用いたビジネスモデルの変化、「CASE」に代表される技術革新、生産・販売・アフターサービス・バックオフィス業務におけるデジタルイノベーションの推進、ESG投資やSDGs達成への期待の高まりなどの技術変化や社会変化は、当社グループの事業の拡大と深耕の好機です。
当社グループはこうした技術変化や社会変化に速やかに対応するため、常設部署を設置し、全社横断の複数プロジェクトを推進しています。しかし、万が一、これらの技術変化や社会変化に速やかかつ十分に対応できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)研究開発
当社グループの置かれた事業環境は競争の激化や市場ごとに異なる商品ニーズの多様化などが見込まれます。このような経営環境に対応し、「運ぶ」を支える「ものづくり事業」を推進していくには高い技術と市場のニーズを的確にとらえた製品を提供する研究開発への取組みが不可欠です。
当社グループは、将来の市場ニーズの予測、研究開発分野の優先順位付けを通じて、新たな技術や製品の開発に取組んでいますが、もし求められる技術水準への到達や適正な市場ニーズの把握に失敗や遅延した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、アライアンス及び部品メーカーとの協業を通じて新たな技術や製品の入手をしていますが、もしアライアンス先や部品メーカーが求められる技術水準への到達に失敗や遅延した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)合弁事業をはじめとするアライアンス
当社グループは、いくつかの国において、各国の法律上の、あるいはその他の要件により合弁で事業を行っています。また、国内外の販売ではディーラーやディストリビュータと提携し、研究開発では合弁事業や業務提携を行っています。
当社グループは合弁相手やアライアンス先の経営状況、ガバナンス、その他重要な非財務情報も含め、様々な情報をもとに業務提携の要否を検討します。
しかし、合弁相手やアライアンス先の経営方針、経営環境の変化等当社グループが管理できない要因により、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)販売・供給における特定チャネルへの依存
当社グループは、当社製品である自動車やその構成部品等を、トリペッチいすゞセールス㈱(タイ国バンコク市)や、ゼネラルモーターズ・コーポレーション(アメリカ合衆国ミシガン州デトロイト市)など当社グループ内外の特定チャネルを通じて販売・供給しています。当社グループの販売・供給における特定チャネルの依存について、取引先の業績悪化等により市場への供給・流通量が減少した場合、又は取引先の信用不安等による貸倒れが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは大口顧客企業との関係を維持するとともに、新規顧客の開拓によるリスク分散を図っています。しかし、これらの顧客企業への売上は、顧客企業の生産・販売量の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受け、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)資材、部品等の調達の遅れや不足、調達価格の高騰
当社グループは、生産に必要な原材料、部品及び製品を外部のサプライヤーから調達していますが、サプライヤーの能力を大幅に超えるような需給状況になった場合、サプライヤーに生じた事故や不測の事態により供給能力が大幅に低下した場合、海運コンテナ等の調達に不可欠な物流サービスを十分に利用できない場合、サプライヤーがサイバー攻撃を受けた場合は、生産に必要な量の原材料、部品及び製品を確保することができなくなる可能性、確保が遅れる可能性があります。また、需給の逼迫などにより原材料等の価格が高騰し、生産性向上などの内部努力や価格への転嫁などにより吸収できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、サプライヤーの生産能力、信用リスク、製品等の品質、コスト等を定期的に把握し、調達に遅れや不足が生じる事態がないように努めていますが、半導体等をはじめとする資材や部品等の大幅な不足や価格の高騰が生じた場合、大規模地震等の自然災害、感染症流行等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また当社グループは、「いすゞグループ人権方針」に基づき、サプライチェーン上に労働環境や安全衛生面での人権侵害などがないかを確認する「人権デュー・ディリジェンス」に取り組んでいます。その他、サプライチェーン上の法令・コンプライアンス遵守、気候変動問題への対応状況を確認しています。しかし、サプライチェーン上で品質・コスト・納期以外の諸問題が顕在化した場合は、生産に必要な量の原材料、部品及び製品を確保することができなくなる可能性、確保が遅れる可能性があります。
2-2.主に「当社グループ内部」に起因する事業リスク
(9)コンプライアンス・レピュテーション
当社グループでは、関係法令等の遵守はもちろん、ステークホルダーからの期待に応えるという意味でもコンプライアンスを徹底しています。
当社グループでは、法令等の違反を未然に防止する体制並びにコンプライアンスに関わる案件を察知した場合には速やかに対応する体制を構築しています。
またコンプライアンスの推進や体制整備について、客観的な助言・監督・評価を仰ぐことを目的として、社長の諮問機関であるコンプライアンス委員会を設置しています。同委員会には、コンプライアンスの推進に必要な公明性、透明性を確保するため、社外から有識者(弁護士等)を委員として招聘しています。
しかし、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、法令違反の事実、あるいは対応の内容や迅速性等が不十分な場合には、当社グループの社会的信用に重大な影響を与える場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、各国の個人情報保護、贈収賄禁止、独占禁止・不正競争禁止に関する法令等への重大な違反が認められ、高額な制裁金が課せられた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)製品の欠陥
当社グループは国内外の各工場で世界的に認められている厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しています。品質の維持及び改善のため、当社グループは「品証・CS委員会」を通じて、不具合情報の早期発見と共有、品質向上のための全社横断的検討、全社的な品質マネジメントの運用状況の監視を実施しています。また製品の欠陥等を原因とする損害賠償が必要な場合に備えて、製造物賠償責任保険に加入しています。
しかし、万が一大規模なリコールを実施する場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、実際に発生した費用が事前に計上した未払費用を大きく上回る場合や、製造物責任賠償を実施するが製造物賠償責任保険により填補できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)IT化社会における情報セキュリティに関するリスク
当社グループの事業にとって、顧客情報の収集・利用や営業秘密としての技術情報の活用、設備の自動制御などの情報技術の利活用、生産活動を含む業務全般でのITネットワークの安定的利用が不可欠なものとなっています。当社グループの事業は、こうした情報、情報技術、ITネットワークに依存しています。
当社グループでは、当該リスク管理責任者や専門組織を設置し、個人情報や機密情報の保護、データやシステムの可用性の維持、各種情報の改竄防止等の情報セキュリティの維持・改善を目的に、様々な安全対策を実施しています。
しかし、不測の事態により情報漏洩等が発生した場合、企業としての信用低下、顧客等に対する損害賠償責任が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。また、システム障害やコンピューターウイルスへの感染、サイバ一攻撃等が発生した場合には、業務の中断や、データの破損・喪失などを引き起こす可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
また当社グループは、アライアンス先との情報セキュリティに関する契約を締結し、個人情報や機密情報の保護、データやシステムの可用性の維持、各種情報の改竄防止等の情報セキュリティの維持・改善を目的に、様々な安全対策を実施しています。しかし、不測の事態により情報漏洩等が発生した場合、企業としての信用低下、顧客等に対する損害賠償責任、アライアンス先に対する損害賠償責任が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)知的財産保護に関するリスク
当社グループは他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の国・地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能、又は限定的にしか保護されない状況にあります。
当社グループは知的財産保護のための取組みを進めています。しかし、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない場合や当社グループに対する知的財産権侵害訴訟による製造・販売の差し止めや損害賠償の請求が認められた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)優秀な人材の確保・定着、成果創出等
当社グループの事業では、人材が最も重要な資産と考え、当社グループの事業推進に必要となる技能・能力をもった多様な人材の確保に努めるとともに、従業員一人一人のモチベーション、熱意、技能、能力、パフォーマンスを高め、当社グループに定着させるための取組みを進めています。しかし、今後の人材獲得競争の一層の激化により、優秀な人材確保・定着がより困難になっていく可能性があります。
また、当社グループの従業員構成は日本企業の多くと同様に、シニア層に集中しています。それに伴って、将来的には円滑な技能伝承や適切な人員配置が困難となる可能性があります。
当社グループではこうしたリスクへの対策として、職務に適した人材確保に向けた職務記述書や報酬制度の整備、自律的なキャリア形成を支援する魅力的な職場環境の整備、及び上司・部下の間での頻繁な対話機会の確保による部下の成長支援等の取り組みを新人事制度の中で強化していきます。
本リスクへの対策の前提となる人権尊重について、「いすゞグループ人権方針」に従い、役員・従業員に対する人権意識を高めるための教育・啓発活動、人権デュー・ディリジェンス等に取り組んでいます。また、ビジネスにおける人権尊重の重要性を踏まえ、ステークホルダーとの対話を行い、事業パートナー及び取引先の皆様に対しても理解促進に努めています。
しかし、これらの対応が十分ではない場合、従業員の離職、モチベーション低下、期待値に満たない成果、技能伝承の失敗、競争力の低下によって、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
2-3.主に「当社グループ外部」に起因する事業リスク
(14)法的規制等
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障、関税、その他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けています。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管理、環境保全・リサイクル・安全関連の法規制の適用も受けています。特に排出ガス規制並びに燃費/CO2規制は、環境意識の高まりに伴い、更に強化される傾向にあります。これを遵守するための投資等は多額となり、将来、これらの投資に見合う売上を実現できない可能性があります。
当社グループは各国、特に日本、米国、タイ、中国、欧州地域における法規制等の動向の情報収集を行い、法規制の変化に備えた投資や新技術・製品の開発を行っています。
しかし、万が一、規制等の予期しない改廃や運用の変更があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(15)国際的活動及び海外進出に潜在するリスク
当社グループの製品の生産及び販売活動は、日本国内のみならず広く海外で行われています。これらの海外市場での事業展開には特に以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しています。
・政治及び経済状況の変動
・許認可等に関する一方的な政策変更、当社グループ財産の直接的又は間接的収用
・輸出入や技術移転の制限
・情報やデータの管理や移転の制限
・安全保障上のリスクがある設備、ソフトウェア、クラウドサービス、委託先等の利用・調達に関する制限
・潜在的に不利な税影響
・送金や兌換の規制
・人材の採用と確保の難しさ
・未整備の技術インフラや社会インフラ(電力、上下水、道路、港湾等)
・テロ、戦争、自然災害、経済制裁、その他の要因による社会的混乱
当社グループは、各国におけるリスクを把握するとともに対策を講じていますが、こうしたリスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
2022年2月より続くウクライナ情勢に起因して、ロシアでの事業活動に必要な諸環境が大きく変化しました。ウクライナやロシア、その周辺国の政治及び経済状況が更に悪化した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(16)災害等
当社グループは全世界で事業を展開しているため、様々な災害リスクにさらされています。大規模地震、風水害や噴火等の自然災害、停電又はその他の中断事象、疫病・感染症が顕在化した場合、当社グループの生産活動、販売活動、その他事業活動に影響が生じる可能性があります。特に主要な事業拠点が集中する日本・南関東に大規模な災害等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは生産工程等の事業中断による潜在的な悪影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行い、災害等が発生した場合の行動計画を予め策定、それに基づいた訓練を実施しています。また新型インフルエンザやその他の未知の感染症等についても予防・対応計画を予め策定し、それに基づいた訓練を実施しています。さらに新型インフルエンザやその他の未知の感染症等についても、日頃より外部コンサルタントの活用等によりグローバルな情報の早期入手に努め、必要に応じて適切な対応を行うとともに、マスク等の適正な備蓄を行っています。
しかし、災害等による影響を完全に防止又は軽減できない可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
(17)気候変動
当社グループは、気候変動リスクを最も重要な社会課題の一つとして位置づけています。当社グループは気候変動を起因とする環境課題に関する規制強化への対応を行うと共に、頻発・激甚化している自然災害や気候変動に適応する必要があります。一方で、新しい技術開発や脱炭素社会に貢献するイノベーションの創出がさらなる成長の機会につながると認識し取組を進めています。
当社グループは、産業革命以前からの世界の平均気温上昇を2度未満に抑え、1.5度未満を目指す「パリ協定」を支持しています。また、当社グループは「地球環境維持と経済発展の両立」をマテリアリティの一つとして掲げ、2020年3月に長期的視野で地球環境問題に取り組むための方向性を示す、「いすゞ環境長期ビジョン2050」を策定しました。「いすゞ環境長期ビジョン2050」では気候変動対策を環境重点課題の一つと捉えており、当社グループは2050年までに、当社グループ製品のライフサイクル全体での温室効果ガス(GHG)ゼロ、および当社グループの事業活動から直接排出されるGHGゼロを目指しています。また、2022年6月には新たに「2030環境ロードマップ」を発行し、環境長期ビジョンを実現するための道筋とチャレンジを示しました。
気候変動リスクへの対応として、当社グループでは「サステナビリティ委員会」がリスクの特定・評価を行い、事業への影響を踏まえた対策の進捗を管理しています。例えば、気候変動と世界気温上昇に関する複数の「環境長期シナリオ」に基づき、製品、サービス、事業活動への具体的影響を検討・分析しています。当社グループは脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会及び気候変動に伴う自然災害の増大や水資源の枯渇等のリスク・機会について、事業への影響度を踏まえて対策を講じています。また当社グループでは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が推奨するフレームワークに沿った気候変動関連の情報開示に取り組んでいます。詳細は『サステナビリティレポート2022』の環境の項目をご参照ください。
なお、当社グループによる気候変動対策は国際的に影響力のある国際環境非営利団体CDP等の外部機関から高い評価を得ています。
また当社グループは、気候変動に伴う気象災害の頻発による事業中断、脱炭素社会に向けた各種規制が当社グループの業績及び財政状態に与える影響を極小化するため、事業継続態勢の高度化、GHGゼロの製品開発・市場投入・生産体制構築等、バリューチェーン全体の脱炭素化に取り組んでいます。
しかし、気候変動そのものを緩和するための取組みや気候変動による影響への対応・取組みが不十分である場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02143] S100R6CY)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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