有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QHVI (EDINETへの外部リンク)
キヤノン株式会社 研究開発活動 (2022年12月期)
当社は創業当時より、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術(以下、コア技術)」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウであり、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行うと共に、事業の競争力を高めてきました。
研究開発における主要戦略としては、1.「基盤要素技術と価値創造基盤技術のさらなる強化」、2.「強いコア技術と基盤要素技術に基づく次なる事業の芽の創出」、及び3.「時代の要請に応じたイノベーション型の技術開発の強化」を掲げ、その取り組みを進めています。
1.では、価値創造基盤技術をさらに進化させることによって、現行事業の高効率化に貢献します。並行して現行事業がもつ幅広いコア技術のエッセンスを抽出し、基盤要素技術を深化させ、新規事業のコア技術に注入します。これにより、現行事業と新規事業の競争力の徹底強化を図ります。
2.では、例えば、インク・トナー材料の基礎となる材料技術を生かした新たな機能性材料、特徴ある材料を生かした装置を開発し、事業の芽につながる次世代技術の育成に取り組む等、技術多角化を通して、新事業領域の開拓につなげていきます。
3.では、DXやカーボンニュートラルなどのトレンドを捉え、企業価値の向上につながる技術開発を推進します。特に、多様なサービスの結合を可能とするサイバー(仮想)空間と人との接点であるフィジカル(現実)空間、これらを高度に融合するサイバー&フィジカルシステムに注目しています。フィジカル領域において世界トップレベルのコア技術に、アライアンスなども活用しながら高度なサイバー技術の拡張開発を進め、一歩先を行くサイバー&フィジカルのビジネスモデルと商品を開発し、さまざまなイノベーションを生み出していきます。
当期におけるグループ全体の研究開発費は、306,730百万円であり、セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。
Ⅰ.プリンティングビジネスユニット
オフィス向け複合機においては、「imageRUNNER ADVANCE DX シリーズ」のラインアップを強化しています。新開発の低融点トナーにより定着温度を下げたことで、業界トップレベル※1の標準消費電力量(TEC2018※2)を実現しており、加えて小サイズ紙の出力生産性向上や、さまざまな静音化の工夫により稼働音の低減を図るなど、複合機としての本質性能を向上させています。増加するセキュリティリスクに対しても、ネットワークに接続されるIoT機器として、データの保存や通信において強固な暗号化機能を提供する「TPM 2.0」や「TLS 1.3」、無線LANのセキュリティプロトコル「WPA3」といった最新規格に対応を行っています。加えて、「imageRUNNER ADVANCE DX シリーズ」はクラウド型MFP機能拡張プラットフォーム「uniFLOW Online」を介して、認証によるセキュアな印刷や集計レポート機能、さまざまなクラウドサービスとの連携や在宅勤務時でもオフィス同様のセキュリティを保って業務印刷が行える機能などを実現し、業務のさらなる効率化に寄与します。使いやすく高性能な複合機と多彩なデジタルサービスの組み合わせで、オフィス業務のデジタルトランスフォーメーションを強力にサポートします。
商業印刷向け大型複合機においては、定着ベルトの温度を均一に制御できる大径加熱ローラーと、用紙との接触面積が広いワイドニップを用いた新定着システム「POD-SURF」を開発し、「imagePRESS V1350」と「imagePRESS V1000」の2機種に搭載しました。「imagePRESS V1350」では、従来機種より35%向上した135枚/分のシリーズ最高の高速印刷を実現し、印刷物の短納期化に寄与します。「imagePRESS V1000」では、一冊の冊子で厚紙と普通紙が混在するような印刷でも用紙ごとに定着温度を切り替える頻度を抑制し、温度調整によるダウンタイムを削減しました。厚紙と普通紙で機器を分けずに、1台で高い生産性を維持した連続印刷が可能です。「imagePRESS V900」では、コンパクト設計でありながら、オプションユニットの拡張性と幅広い用紙対応力で多様な印刷が可能になりました。これまで上位機種でしか採用されていなかったオプションのインライン分光センサーで、高精度な色調整がボタン一つで実施可能になり、オペレーターの負荷軽減を実現します。ハードウェアだけでなく、リモート印刷管理アプリ「PRISMAremote Manager」を活用することで、印刷機から離れた場所でも用紙の補充タイミングや稼働状況をリアルタイムに把握可能です。用紙切れなどのエラーを事前に防止することで、ダウンタイムを削減し業務効率化を支援します。
プロダクションCAD市場向けの大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF TZ-30000 MFP」は、業界初となる「ストップレスロール紙交換システム」を搭載しています。本体にセットされた上下2段のロール紙のうち、一方が印刷中でも、もう一方のロール紙交換が可能となり、ダウンタイムを削減します。また、ポスター市場向けの「imagePROGRAF GP-4000/GP-2000/GP-300/GP-200」は、業界初となる蛍光インクを搭載し、ポスター印刷での明度と彩度を向上させ、明るく柔らかな色表現が可能になりました。
家庭用インクジェットプリンター 「PIXUS XK500/XK110/TS8630/TS3530」は、仕事や趣味・学習などのさまざまなユースシーンに応える機能と使い勝手を向上させました。「XK500」の4.3型液晶タッチパネルは、素早く簡単に写真印刷ができるUI を採用しています。「XK110」のタッチパネルには、「標準モード」に加えて、「仕事」「学習」「ライフ」といったシーンごとに使う機能をまとめた「Switch UI」を新たに採用しました。また、「TS8630」には「かんたんモード」を採用し、よく使う機能の設定を簡素化することで、手軽にプリントやコピーが行えます。加えて、特大容量タンクを搭載した「G3370/G1330」では、低ランニングコストと新デザインによる使いやすさを実現します。
特大容量タンク搭載のビジネス向けインクジェットプリンター「GX5030/GX4030」は、低ランニングコストながら全色顔料インク採用で高画質を実現しました。窓付き封筒やポスター、ラベル用紙などの多様な用紙にも対応し、1台でさまざまな制作物を印刷できます。さらに「GX4030」は、「背面水平トレイ」をサポートし、厚手の用紙を曲げることなく給紙でき、ビジネスシーンで使用するさまざまな掲示物の印刷に対応しています。
当ビジネスユニットに係る研究開発費は、100,422百万円であります。
※1 オフィス向けカラー複合機(A4片面、毎分70枚の出力速度)において。2021年7月5日現在。
オフィス向けモノクロ複合機(A4片面、毎分25-45枚の出力速度)において。2022年9月27日現在。(当社調べ)
※2 国際エネルギースタープログラムで定められた測定法による数値。
Ⅱ.イメージングビジネスユニット
レンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)の世界市場において、2003年から19年連続で台数シェアNo.1※3を達成しました。これからも基本コンセプトである「快速・快適・高画質」を追求し続けることで、幅広い製品ラインアップを揃え、写真・映像文化の発展に貢献していきます。
「EOS Rシステム」では、さらなるラインアップ拡充として、「EOS R7」「EOS R10」を発売しました。APS-Cサイズのセンサーでありながら、上位機種である「EOS R3」のオートフォーカス被写体検出技術を継承するなど、静止画・動画撮影のあらゆる面で高い性能を備えています。
また、「RFレンズ」では、ミラーレスカメラ用の大口径超望遠レンズとして大幅な小型・軽量を実現した「RF800mm F5.6 L IS USM」「RF1200mm F8 L IS USM」や、APS-C 専用の「RF-Sレンズ」2機種など、6機種をラインアップに加え累計32本まで拡充しています。
ネットワークカメラでは、低照度性能、ワイドダイナミックレンジ、配信・圧縮性能を大幅に強化したラインアップに刷新しました。高度監視カメラでは、赤外撮影時の赤みを低減した自然な色調での撮影機能を開発し、ノイズを抑えた鮮鋭な画質で低照度環境での視認性を向上しています。映像解析ソフトウエアでは、独自のAIを利用して、指定した場所を通過する大人数のカウントが可能な「群衆通過カウント」を開発し、大型イベントでの人数推移の把握など、様々なシーンに応用できるようになりました。また、ネットワークカメラをAIカメラ化できる「AIアクセラレーター」と専用映像解析アプリケーションを開発しました。映像解析に必要な学習をしたディープラーニングモデルをmicroSDカード型のハードウェアに内蔵することで、AIカメラではない従来のネットワークカメラでもAIを使った複雑な映像解析が可能となります。
社会インフラ点検向けサービスとしては、橋梁やトンネルなどの画像からひび割れや漏水といった変状を検知するAIを開発してきましたが、2022年11月より、そのAI技術でひび割れ等を検知するクラウドサービスの提供を開始しました。これにより、高速道路や鉄道といったより多くの構造物の点検作業の高度化・効率化に貢献して参ります。
「CINEMA EOS SYSTEM」においては、デジタルシネマカメラ「EOS R5 C」は、自社開発のフルサイズCMOSセンサーと、映像エンジン「DIGIC X」の搭載により、8K/30P・RAW動画に加え、外部電源供給による8K/60P・RAW動画の内蔵記録を実現しました。また、デジタルシネマカメラの機能拡張ユニット「EU-V3」は、オンエア中の映像がどのカメラで撮影した映像かを認識できるようにするタリー機能や、オンエア中の映像をカメラマンが確認するためのリターン機能など、ライブ制作用のシステムカメラに求められる機能を使用可能とし、「EOS C500 Mark Ⅱ」と「EOS C300 Mark Ⅲ」のライブ制作における運用性を高めます。
業務用4Kビデオカメラにおいては、「XA60」と「XA75/70」はUSB接続で映像伝送を可能にする通信規格「UVC(USB Video Class)」に対応することで、昨今、普及が加速しているストリーミング配信にも活用用途を広げました。
映像制作用のリモートカメラシステムにおいては、パン、チルト機構とズーム機能を備えた「CR-N700」は業務用4Kビデオカメラ同等の映像プラットフォームを採用し、4K/60Pの高品位映像の撮影が可能です。また、キヤノン独自のIP「XCプロトコル」や映像制作現場にて広く普及する「NDIIHX」※4に加え、高品質・低遅延・安全な映像伝送を特長に、近年広く採用されている「SRTプロトコル」※5に対応し、リモートカメラシステムとしての拡張性、安全性を高めつつ、さまざまな機器との連携が可能です。 また、新たな映像制作手法であるバーチャルプロダクションにおいても活用できるよう「free-d プロトコル」※6にも対応し、高品質なVR/AR映像制作に貢献します。映像ソリューションにおいては「ボリュメトリックビデオシステム」(旧称:自由視点映像生成システム)で、撮影・映像生成技術の改良により画質の改善を進め、プロ野球、バスケットボール、柔道、競輪などのスポーツ放送に、実際のカメラ位置にとらわれない自由な視点からの映像を展開しました。3Dコンテンツの撮影から編集までをワンストップで実現した「ボリュメトリックビデオスタジオ-川崎」では、CMやミュージックビデオ、TV番組で実績を積み重ね、さらに虎ノ門ヒルズエリアにおける11社XRコンテンツ開発プロジェクトに参画しました。東京から世界に発信するためのクリエイティブエコシステムの構築を目指します。
当ビジネスユニットに係る研究開発費は、86,343百万円であります。
※3 2022年3月現在。(当社調べ)
※4 NDIは、NewTek, Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標。
※5 Haivision社によって開発、オープンソース化され、SRTAllianceを通じてサポートされている映像伝送プロト
コル。「Secure Reliable Transport」の略。
※6 主にバーチャルスタジオシステムにおいてカメラのトラッキング情報伝達用に広く採用されているプロトコル。
Ⅲ.メディカルビジネスユニット
国産初のフォトンカウンティング検出器搭載型X線CT(以下PCCT)を開発し、国立がん研究センターに設置され、今後の実用化に向けた研究が開始されています。PCCTには、レドレン社の検出器材料を生産する結晶製造/加工技術を生かした、高品質な最新のモジュラー型フォトンカウンティング検出器が搭載されております。最新のモジュラー型にしたことで、検出器サイズの拡張や、製造、サービスコストの低減が可能となります。レドレン社の技術に、当社独自のAI画像再構成や解析技術などを融合した次世代のPCCTを実用化することで、CTグローバルシェアNo.1の早期実現を目指します。また、レドレン社のフォトンカウンティング検出器を全世界の医療機器メーカーに供給することで、画像診断技術の発展に寄与してまいります。
超音波診断装置では2022年度全国発明表彰において、「低速微細血流を映像化する超音波映像装置用信号処理法の発明:Superb Micro-vascular Imaging(SMI)(特許第6553140号)」が「経済産業大臣賞」および「発明実施功績賞」を受賞しました。
「Altivity」ブランドのもと、これまでAI技術の一つであるディープラーニングを画像再構成に適用した「AiCE」をはじめ、ヘルスケアITの分野においても「Automation Platform」のような読影業務の効率化を支援するシステムをAI技術の活用により実現してまいりました。また、AI技術を使ったがん診断領域における様々な診断支援ソリューションの開発も進めております。例えば、すい臓がんの発見に不可欠な膵管の抽出も、当社の高精細CT画像に独自のAI技術を適用することで、数ミリ程度と言われる細い膵管の抽出が可能となり、すい臓がんの早期発見、早期治療への貢献が期待されています。次のステップとして画像及び非画像を用いた診断支援システムへの展開を進めてまいります。
当ビジネスユニットに係る研究開発費は、45,262百万円であります。
Ⅳ.インダストリアルビジネスユニット
半導体露光装置においては、新たなアフターサービスとしてソリューションプラットフォーム「Lithography Plus」を加え、装置のリアルタイム分析、異常時の自動復旧、最適な製造条件提案等、当社の露光装置を導入しているユーザーの生産性向上に貢献しています。また、「NILによる超微細半導体の省エネルギー加工技術」が、半導体製造時の消費電力削減に貢献し、今後のIoT(Internet of Things)社会の急速な拡大を支える技術として評価され、国立研究開発法人 国立環境研究所/日刊工業新聞社主催、環境省後援の第49回環境賞で優良賞を受賞いたしました。ポストSi半導体として他分野で注目される化合物半導体などのデバイス製造に対応し、半導体製造に必要な総コストの指標であるCoO(Cost of Ownership)を低減したi線ステッパー「FPA-3030i5a」により、多様な半導体デバイス製造を可能としました。これにより今後需要が見込まれる車載向けパワーデバイスや5G対応の通信デバイスなどの半導体デバイス製造に対応していきます。また、後工程向けi線ステッパー「FPA-5520iV LF2オプション」では、現行機種の基本性能を継承しつつ、繋ぎ露光による100×100mmの超広画角を実現しており、半導体業界に新しいパラダイムを生むと言われる先端パッケージングのニーズに応えています。
FPD露光装置においては、第8世代ガラス基板にて、高生産性と高精細化を両立したIT機器用ディスプレイ向け露光装置「MPAsp-H1003H」をラインアップに追加しました。第8世代ガラス基板向け露光装置に第6世代ガラス基板向け露光装置の超解像技術を採用することで、第8世代ガラス基板でも1.5マイクロメートルの解像力を実現しています。また、従来から定評のある高速ステージ技術の進化改良により生産性向上にも貢献しています。
真空分野においては、2021年度日本真空工業会表彰にて「EC7430誘電体成膜用スパッタリング装置製品化」が真空装置部門賞を受賞いたしました。
当ビジネスユニットに係る研究開発費は、25,900百万円であります。
また、基礎研究等のその他及び全社に係る研究開発費は48,803百万円であります。
注:製品名は日本国内での名称です。
研究開発における主要戦略としては、1.「基盤要素技術と価値創造基盤技術のさらなる強化」、2.「強いコア技術と基盤要素技術に基づく次なる事業の芽の創出」、及び3.「時代の要請に応じたイノベーション型の技術開発の強化」を掲げ、その取り組みを進めています。
1.では、価値創造基盤技術をさらに進化させることによって、現行事業の高効率化に貢献します。並行して現行事業がもつ幅広いコア技術のエッセンスを抽出し、基盤要素技術を深化させ、新規事業のコア技術に注入します。これにより、現行事業と新規事業の競争力の徹底強化を図ります。
2.では、例えば、インク・トナー材料の基礎となる材料技術を生かした新たな機能性材料、特徴ある材料を生かした装置を開発し、事業の芽につながる次世代技術の育成に取り組む等、技術多角化を通して、新事業領域の開拓につなげていきます。
3.では、DXやカーボンニュートラルなどのトレンドを捉え、企業価値の向上につながる技術開発を推進します。特に、多様なサービスの結合を可能とするサイバー(仮想)空間と人との接点であるフィジカル(現実)空間、これらを高度に融合するサイバー&フィジカルシステムに注目しています。フィジカル領域において世界トップレベルのコア技術に、アライアンスなども活用しながら高度なサイバー技術の拡張開発を進め、一歩先を行くサイバー&フィジカルのビジネスモデルと商品を開発し、さまざまなイノベーションを生み出していきます。
当期におけるグループ全体の研究開発費は、306,730百万円であり、セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。
Ⅰ.プリンティングビジネスユニット
オフィス向け複合機においては、「imageRUNNER ADVANCE DX シリーズ」のラインアップを強化しています。新開発の低融点トナーにより定着温度を下げたことで、業界トップレベル※1の標準消費電力量(TEC2018※2)を実現しており、加えて小サイズ紙の出力生産性向上や、さまざまな静音化の工夫により稼働音の低減を図るなど、複合機としての本質性能を向上させています。増加するセキュリティリスクに対しても、ネットワークに接続されるIoT機器として、データの保存や通信において強固な暗号化機能を提供する「TPM 2.0」や「TLS 1.3」、無線LANのセキュリティプロトコル「WPA3」といった最新規格に対応を行っています。加えて、「imageRUNNER ADVANCE DX シリーズ」はクラウド型MFP機能拡張プラットフォーム「uniFLOW Online」を介して、認証によるセキュアな印刷や集計レポート機能、さまざまなクラウドサービスとの連携や在宅勤務時でもオフィス同様のセキュリティを保って業務印刷が行える機能などを実現し、業務のさらなる効率化に寄与します。使いやすく高性能な複合機と多彩なデジタルサービスの組み合わせで、オフィス業務のデジタルトランスフォーメーションを強力にサポートします。
商業印刷向け大型複合機においては、定着ベルトの温度を均一に制御できる大径加熱ローラーと、用紙との接触面積が広いワイドニップを用いた新定着システム「POD-SURF」を開発し、「imagePRESS V1350」と「imagePRESS V1000」の2機種に搭載しました。「imagePRESS V1350」では、従来機種より35%向上した135枚/分のシリーズ最高の高速印刷を実現し、印刷物の短納期化に寄与します。「imagePRESS V1000」では、一冊の冊子で厚紙と普通紙が混在するような印刷でも用紙ごとに定着温度を切り替える頻度を抑制し、温度調整によるダウンタイムを削減しました。厚紙と普通紙で機器を分けずに、1台で高い生産性を維持した連続印刷が可能です。「imagePRESS V900」では、コンパクト設計でありながら、オプションユニットの拡張性と幅広い用紙対応力で多様な印刷が可能になりました。これまで上位機種でしか採用されていなかったオプションのインライン分光センサーで、高精度な色調整がボタン一つで実施可能になり、オペレーターの負荷軽減を実現します。ハードウェアだけでなく、リモート印刷管理アプリ「PRISMAremote Manager」を活用することで、印刷機から離れた場所でも用紙の補充タイミングや稼働状況をリアルタイムに把握可能です。用紙切れなどのエラーを事前に防止することで、ダウンタイムを削減し業務効率化を支援します。
プロダクションCAD市場向けの大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF TZ-30000 MFP」は、業界初となる「ストップレスロール紙交換システム」を搭載しています。本体にセットされた上下2段のロール紙のうち、一方が印刷中でも、もう一方のロール紙交換が可能となり、ダウンタイムを削減します。また、ポスター市場向けの「imagePROGRAF GP-4000/GP-2000/GP-300/GP-200」は、業界初となる蛍光インクを搭載し、ポスター印刷での明度と彩度を向上させ、明るく柔らかな色表現が可能になりました。
家庭用インクジェットプリンター 「PIXUS XK500/XK110/TS8630/TS3530」は、仕事や趣味・学習などのさまざまなユースシーンに応える機能と使い勝手を向上させました。「XK500」の4.3型液晶タッチパネルは、素早く簡単に写真印刷ができるUI を採用しています。「XK110」のタッチパネルには、「標準モード」に加えて、「仕事」「学習」「ライフ」といったシーンごとに使う機能をまとめた「Switch UI」を新たに採用しました。また、「TS8630」には「かんたんモード」を採用し、よく使う機能の設定を簡素化することで、手軽にプリントやコピーが行えます。加えて、特大容量タンクを搭載した「G3370/G1330」では、低ランニングコストと新デザインによる使いやすさを実現します。
特大容量タンク搭載のビジネス向けインクジェットプリンター「GX5030/GX4030」は、低ランニングコストながら全色顔料インク採用で高画質を実現しました。窓付き封筒やポスター、ラベル用紙などの多様な用紙にも対応し、1台でさまざまな制作物を印刷できます。さらに「GX4030」は、「背面水平トレイ」をサポートし、厚手の用紙を曲げることなく給紙でき、ビジネスシーンで使用するさまざまな掲示物の印刷に対応しています。
当ビジネスユニットに係る研究開発費は、100,422百万円であります。
※1 オフィス向けカラー複合機(A4片面、毎分70枚の出力速度)において。2021年7月5日現在。
オフィス向けモノクロ複合機(A4片面、毎分25-45枚の出力速度)において。2022年9月27日現在。(当社調べ)
※2 国際エネルギースタープログラムで定められた測定法による数値。
Ⅱ.イメージングビジネスユニット
レンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)の世界市場において、2003年から19年連続で台数シェアNo.1※3を達成しました。これからも基本コンセプトである「快速・快適・高画質」を追求し続けることで、幅広い製品ラインアップを揃え、写真・映像文化の発展に貢献していきます。
「EOS Rシステム」では、さらなるラインアップ拡充として、「EOS R7」「EOS R10」を発売しました。APS-Cサイズのセンサーでありながら、上位機種である「EOS R3」のオートフォーカス被写体検出技術を継承するなど、静止画・動画撮影のあらゆる面で高い性能を備えています。
また、「RFレンズ」では、ミラーレスカメラ用の大口径超望遠レンズとして大幅な小型・軽量を実現した「RF800mm F5.6 L IS USM」「RF1200mm F8 L IS USM」や、APS-C 専用の「RF-Sレンズ」2機種など、6機種をラインアップに加え累計32本まで拡充しています。
ネットワークカメラでは、低照度性能、ワイドダイナミックレンジ、配信・圧縮性能を大幅に強化したラインアップに刷新しました。高度監視カメラでは、赤外撮影時の赤みを低減した自然な色調での撮影機能を開発し、ノイズを抑えた鮮鋭な画質で低照度環境での視認性を向上しています。映像解析ソフトウエアでは、独自のAIを利用して、指定した場所を通過する大人数のカウントが可能な「群衆通過カウント」を開発し、大型イベントでの人数推移の把握など、様々なシーンに応用できるようになりました。また、ネットワークカメラをAIカメラ化できる「AIアクセラレーター」と専用映像解析アプリケーションを開発しました。映像解析に必要な学習をしたディープラーニングモデルをmicroSDカード型のハードウェアに内蔵することで、AIカメラではない従来のネットワークカメラでもAIを使った複雑な映像解析が可能となります。
社会インフラ点検向けサービスとしては、橋梁やトンネルなどの画像からひび割れや漏水といった変状を検知するAIを開発してきましたが、2022年11月より、そのAI技術でひび割れ等を検知するクラウドサービスの提供を開始しました。これにより、高速道路や鉄道といったより多くの構造物の点検作業の高度化・効率化に貢献して参ります。
「CINEMA EOS SYSTEM」においては、デジタルシネマカメラ「EOS R5 C」は、自社開発のフルサイズCMOSセンサーと、映像エンジン「DIGIC X」の搭載により、8K/30P・RAW動画に加え、外部電源供給による8K/60P・RAW動画の内蔵記録を実現しました。また、デジタルシネマカメラの機能拡張ユニット「EU-V3」は、オンエア中の映像がどのカメラで撮影した映像かを認識できるようにするタリー機能や、オンエア中の映像をカメラマンが確認するためのリターン機能など、ライブ制作用のシステムカメラに求められる機能を使用可能とし、「EOS C500 Mark Ⅱ」と「EOS C300 Mark Ⅲ」のライブ制作における運用性を高めます。
業務用4Kビデオカメラにおいては、「XA60」と「XA75/70」はUSB接続で映像伝送を可能にする通信規格「UVC(USB Video Class)」に対応することで、昨今、普及が加速しているストリーミング配信にも活用用途を広げました。
映像制作用のリモートカメラシステムにおいては、パン、チルト機構とズーム機能を備えた「CR-N700」は業務用4Kビデオカメラ同等の映像プラットフォームを採用し、4K/60Pの高品位映像の撮影が可能です。また、キヤノン独自のIP「XCプロトコル」や映像制作現場にて広く普及する「NDIIHX」※4に加え、高品質・低遅延・安全な映像伝送を特長に、近年広く採用されている「SRTプロトコル」※5に対応し、リモートカメラシステムとしての拡張性、安全性を高めつつ、さまざまな機器との連携が可能です。 また、新たな映像制作手法であるバーチャルプロダクションにおいても活用できるよう「free-d プロトコル」※6にも対応し、高品質なVR/AR映像制作に貢献します。映像ソリューションにおいては「ボリュメトリックビデオシステム」(旧称:自由視点映像生成システム)で、撮影・映像生成技術の改良により画質の改善を進め、プロ野球、バスケットボール、柔道、競輪などのスポーツ放送に、実際のカメラ位置にとらわれない自由な視点からの映像を展開しました。3Dコンテンツの撮影から編集までをワンストップで実現した「ボリュメトリックビデオスタジオ-川崎」では、CMやミュージックビデオ、TV番組で実績を積み重ね、さらに虎ノ門ヒルズエリアにおける11社XRコンテンツ開発プロジェクトに参画しました。東京から世界に発信するためのクリエイティブエコシステムの構築を目指します。
当ビジネスユニットに係る研究開発費は、86,343百万円であります。
※3 2022年3月現在。(当社調べ)
※4 NDIは、NewTek, Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標。
※5 Haivision社によって開発、オープンソース化され、SRTAllianceを通じてサポートされている映像伝送プロト
コル。「Secure Reliable Transport」の略。
※6 主にバーチャルスタジオシステムにおいてカメラのトラッキング情報伝達用に広く採用されているプロトコル。
Ⅲ.メディカルビジネスユニット
国産初のフォトンカウンティング検出器搭載型X線CT(以下PCCT)を開発し、国立がん研究センターに設置され、今後の実用化に向けた研究が開始されています。PCCTには、レドレン社の検出器材料を生産する結晶製造/加工技術を生かした、高品質な最新のモジュラー型フォトンカウンティング検出器が搭載されております。最新のモジュラー型にしたことで、検出器サイズの拡張や、製造、サービスコストの低減が可能となります。レドレン社の技術に、当社独自のAI画像再構成や解析技術などを融合した次世代のPCCTを実用化することで、CTグローバルシェアNo.1の早期実現を目指します。また、レドレン社のフォトンカウンティング検出器を全世界の医療機器メーカーに供給することで、画像診断技術の発展に寄与してまいります。
超音波診断装置では2022年度全国発明表彰において、「低速微細血流を映像化する超音波映像装置用信号処理法の発明:Superb Micro-vascular Imaging(SMI)(特許第6553140号)」が「経済産業大臣賞」および「発明実施功績賞」を受賞しました。
「Altivity」ブランドのもと、これまでAI技術の一つであるディープラーニングを画像再構成に適用した「AiCE」をはじめ、ヘルスケアITの分野においても「Automation Platform」のような読影業務の効率化を支援するシステムをAI技術の活用により実現してまいりました。また、AI技術を使ったがん診断領域における様々な診断支援ソリューションの開発も進めております。例えば、すい臓がんの発見に不可欠な膵管の抽出も、当社の高精細CT画像に独自のAI技術を適用することで、数ミリ程度と言われる細い膵管の抽出が可能となり、すい臓がんの早期発見、早期治療への貢献が期待されています。次のステップとして画像及び非画像を用いた診断支援システムへの展開を進めてまいります。
当ビジネスユニットに係る研究開発費は、45,262百万円であります。
Ⅳ.インダストリアルビジネスユニット
半導体露光装置においては、新たなアフターサービスとしてソリューションプラットフォーム「Lithography Plus」を加え、装置のリアルタイム分析、異常時の自動復旧、最適な製造条件提案等、当社の露光装置を導入しているユーザーの生産性向上に貢献しています。また、「NILによる超微細半導体の省エネルギー加工技術」が、半導体製造時の消費電力削減に貢献し、今後のIoT(Internet of Things)社会の急速な拡大を支える技術として評価され、国立研究開発法人 国立環境研究所/日刊工業新聞社主催、環境省後援の第49回環境賞で優良賞を受賞いたしました。ポストSi半導体として他分野で注目される化合物半導体などのデバイス製造に対応し、半導体製造に必要な総コストの指標であるCoO(Cost of Ownership)を低減したi線ステッパー「FPA-3030i5a」により、多様な半導体デバイス製造を可能としました。これにより今後需要が見込まれる車載向けパワーデバイスや5G対応の通信デバイスなどの半導体デバイス製造に対応していきます。また、後工程向けi線ステッパー「FPA-5520iV LF2オプション」では、現行機種の基本性能を継承しつつ、繋ぎ露光による100×100mmの超広画角を実現しており、半導体業界に新しいパラダイムを生むと言われる先端パッケージングのニーズに応えています。
FPD露光装置においては、第8世代ガラス基板にて、高生産性と高精細化を両立したIT機器用ディスプレイ向け露光装置「MPAsp-H1003H」をラインアップに追加しました。第8世代ガラス基板向け露光装置に第6世代ガラス基板向け露光装置の超解像技術を採用することで、第8世代ガラス基板でも1.5マイクロメートルの解像力を実現しています。また、従来から定評のある高速ステージ技術の進化改良により生産性向上にも貢献しています。
真空分野においては、2021年度日本真空工業会表彰にて「EC7430誘電体成膜用スパッタリング装置製品化」が真空装置部門賞を受賞いたしました。
当ビジネスユニットに係る研究開発費は、25,900百万円であります。
また、基礎研究等のその他及び全社に係る研究開発費は48,803百万円であります。
注:製品名は日本国内での名称です。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02274] S100QHVI)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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