有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QYYL (EDINETへの外部リンク)
リンテック株式会社 研究開発活動 (2023年3月期)
当社グループは、粘着応用技術、表面改質技術、システム化技術、並びに特殊紙・剥離材製造技術を基盤に、印刷・情報材料、産業工業材料、半導体関連材料、光学機能材料などの多岐にわたる製品を開発・製造・販売し、その研究開発活動の大部分を提出会社である当社が行っております。当期は前期に引き続き、中長期研究開発計画に基づいた新技術や新製品、特に機能性材料とその加工技術の開発に積極的に取り組み、ユーザーニーズを重視したマーケット対話型の研究開発に努めてまいりました。また「カーボン・ニュートラル・チャレンジ」のスローガンの下、CO2排出量の削減に向けた開発活動を強化し、脱プラスチック・減プラスチックを目指してプラスチックフィルム使用量削減や、プラスチック代替素材を用いた製品開発に積極的に取り組んでいます。
さらに、当社グループの海外における研究機関であるNano-Science & Technology Center(米国テキサス州)では、近未来の新製品創出に向けて、カーボンナノチューブ関連や人工筋肉関連の研究とそれぞれの応用開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発費の総額は9,069百万円となりました。
なお、セグメント別の主な研究開発活動の状況は次のとおりです。
(印刷材・産業工材関連)
(1) 印刷・情報材料分野
環境負荷低減に寄与する製品の開発に注力しています。その一環として、各種表示ラベルなどの幅広い用途に向けた汎用強粘着タイプのホットメルト粘着剤を新規に開発しました。一部植物由来の原材料を用いており、バイオマス度25%を実現しています。また近年、容器のリユース・リサイクルを目的として、表面基材と粘着剤にポリエステル系樹脂を使用することで、日用品や食品・飲料などに使用されるPET製容器とのモノマテリアル化(単一素材化)を実現したラベル素材を開発しました。基材の特殊な表面処理によって、ペットボトルの洗浄工程(アルカリ温水洗浄)で印刷されているインクを容易に除去でき、リサイクル性の向上に寄与するラベル素材です。(2) 産業工業材料分野
さまざまな産業向けや建物用の機能性粘着素材の開発を継続しています。車両用途では高機能化の検討を継続し、各種印字方式に対応するデジタルプリント対応ビジュアルマーキングフィルムを開発しています。ウインドーフィルムにおいては、遮熱性や耐久性などの高機能化と環境負荷の低減を実現する製品の開発を進めています。その他の研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は3,330百万円となりました。
(電子・光学関連)
(1) 半導体・電子部品関連材料分野
スマートフォンなどに用いられるウェハレベルパッケージ半導体向けに、生産性向上などの機能を付与したチップ裏面保護テープを開発しています。また、ダイシングテープ、表面保護テープを中心に環境負荷の少ない樹脂に帯電防止性能を付与した製品を開発し、それぞれ製品群を拡充しました。加えて、薄型ウェハが使用されるインテリジェントセンサーや3D NANDフラッシュメモリーの製造に不可欠な高機能ダイシングテープ、表面保護テープ、ダイシング・ダイボンディングテープなどの開発・上市を継続し、急速に進むDX化やAI、次世代通信の普及・拡大の一翼を担っています。(2) 光学機能材料分野
各種ディスプレイに用いられる機能性粘着剤と機能性コート剤の開発を継続しています。大型テレビやタブレット、スマートフォン、車載ディスプレイなど向けの粘着剤では、プラスチックパネルに対する耐ブリスター性と耐湿熱白化性を向上させました。さらに着色、光拡散性などの機能を追加した製品も含めて拡販が進んでいます。また、タッチセンサーに使用される金属細線の腐食を抑制し、かつ紫外線の遮蔽性を兼ね備えた粘着剤や、フレキシブルディスプレイに必要な耐折り曲げ性を付与した粘着剤など、新規のディスプレイ製品に対応した素材開発を進めています。加えて、抗菌・抗ウイルス性を付与したガラス飛散防止フィルムなどの開発も行いました。そのほか光の拡散領域が制御可能な光拡散フィルムについては、顧客ニーズにマッチした特性にカスタマイズすることでさらに優位性を発現し、スマートウォッチなどの超低消費電力の反射型液晶ディスプレイ用に採用が加速しました。そのほか、プロジェクションスクリーンや反射型サイン用としてのデモ試験を活発に継続しています。
その他の研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は4,299百万円となりました。
(洋紙・加工材関連)
包装容器をはじめとした消費材の環境負荷低減に貢献できる特殊紙の開発に取り組んでいます。具体的にはポリエチレンのラミネートをせずにプラスチック代替用途で使用できる特殊紙や、食の安全性への期待に応える、フッ素を使用しない特殊紙の開発を進めています。靴やかばんなどに使われる合成皮革の表面に柄を付与するための型紙として工程紙が用いられており、当社ではトレンドに合わせたさまざまな柄の工程紙の開発を継続しています。
スマートフォンや自動車の積層セラミックコンデンサ(MLCC)搭載数は年々増加しており、MLCC製造用剥離フィルム市場の拡大が中長期的に期待されています。MLCCの小型化・高性能化に伴う剥離フィルムの品質改善と高機能化、新規アイテムに対応した剥離フィルムの開発に取り組むとともに、将来の電気自動車や各種電子機器における需要増を見込んだ増産体制の構築を進めています。
また、剥離紙や剥離フィルムに塗布されている剥離処理層は、剥離適性はもとより、時にはナノメートルオーダーという極薄膜であることなどから、これまでは有機溶剤を用いた希釈塗布が主流でした。しかし、環境保全の面からVOC排出量の削減を目指しており、高濃度化・無溶剤化処方の開発に注力しています。
その他の研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は1,439百万円となりました。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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