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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QZ74 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社三越伊勢丹ホールディングス 事業等のリスク (2023年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動


有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しているリスクは以下のとおりであります。ただし、将来の業績や財政状態に影響を与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。また、文中における将来に関する事項は当社グループが当連結会計年度末において判断したものであります。

1.リスクマネジメント推進体制について
当社グループは、執行役社長を議長とするコンプライアンス・リスクマネジメント推進会議にて、リスクマネジメント体制・取り組み方針を周知徹底し、所管する4つの部会(リスク対策部会・コンプライアンス推進部会・サイバーリスク対策プロジェクト・コロナ対策本部会議)を通じて、実効性のある未然防止対策を講じております。
また、当社グループのリスクマネジメント体制は、3つのディフェンスラインと5つのレイヤーで構成されております。各グループ会社を第1線、三越伊勢丹ホールディングス(HDS)リスク管理部門を第2線、HDS内部監査室を第3線とする3つのディフェンスラインをベースとして、より具体的な役割を明確化した5つのレイヤー(①グループ事業会社現業部門、②グループ事業会社管理部門、③HDS統括部門、④HDSリスクマネジメント室、⑤HDS内部監査室)に区分することで、実効性の高いリスクマネジメント体制の構築を図っております。

※リスクマネジメント体制図



2.リスクの分析・評価について
当社グループは、リスクを捉えるにあたり、日々変化する外部環境とグループの事業特性・事業戦略を考慮し、多角的な視点からリスクの把握に努めております。グループ全体の事業を取り巻くリスクを5つのカテゴリー(①経営戦略上のリスク、②財務に関するリスク、③人事・労務に関するリスク、④災害等のリスク、⑤オペレーショナルリスク)に分類し、さらに、各々におけるリスクを細分化した上で定期的な評価を行い、対策の進捗を確認するフローを確立しております。その中でも特にリスクが大きいと評価している項目は以下の10項目になります。
また、リスクが顕在化した際には、物的損害、人的損害、財務・経営戦略遂行の阻害、レピュテーション毀損などの損害を被るものと捉え、早期に対策を講じてまいります。


リスク領域リスク項目影響度物的損害人的損害財務・経営戦略遂行の阻害レピュテーション毀損
経営戦略上の
リスク
サステナビリティ経営の
推進に関するリスク
特に大
デジタル社会への対応に
関するリスク
特に大
新たなビジネスモデル
構築に関するリスク
特に大
海外情勢への対応に
関するリスク
財務に関する
リスク
資金調達に関する
リスク
人事・労務に
関するリスク
人財確保に関する
リスク
特に大
災害等のリスク災害等の対応に
関するリスク
特に大
情報セキュリティに
関するリスク
特に大
オペレーショナルリスク商品取引上の
リスク
特に大
個人情報漏洩に関する
リスク
特に大


(1) 経営戦略上のリスク
① サステナビリティ経営の推進に関するリスク:影響度 特に大
・サステナビリティ経営のビジネスモデル推進の遅れ
・脱炭素に向けた取り組みの遅れ

(リスク)
昨今、世界各地において気候変動による自然災害の頻発・甚大化や格差の拡大等、様々な環境・社会課題が顕在化しております。そのような背景から、各企業はサーキュラーエコノミー社会の推進、人権の尊重、地域社会への貢献、ESG経営、SDGsへの取り組みといった社会的課題の解決に根差したビジネスモデルを推進しております。しかし、このような社会の潮流に対して当社グループのサステナビリティ推進が遅れをとった場合、お客さま、お取組先、株主・投資家、従業員、地域社会、全てのステークホルダーの信頼を失うことで資金調達が困難となる等、企業経営に悪影響を与える可能性があります。
あわせて脱炭素に向けた取り組みが遅れた場合、環境規制の強化等を背景に、将来的にエネルギーコストの増加等、当社グループの財務に悪影響を与える可能性があります。
(対 応)
・当社グループは、お客さま、お取組先、株主・投資家、従業員、地域社会、全てのステークホルダーと未来志向で友好的な対話やコミュニケーションを通じてWin-Winの関係性を構築することで、企業価値の向上を目指しております。そのために、グループ全従業員が同じ視点で常に意識して取り組んでいけるよう、ステークホルダーからの意見を経営の意思決定に活用する仕組みづくりを強化し、社会課題や経営課題の認識につながる手段と位置づけ、日頃より積極的なコミュニケーション活動を行っております。
・当社グループではサステナビリティを推進するにあたり基本方針を策定し、CEOを議長とするサステナビリティ推進会議を実施することで、グループ全体の重要取り組みの共有と実効性向上につなげております。また、従業員に向けた教育を実施し、当社グループを取り巻く環境への理解を深め、社内での様々な環境や社会に対する課題解決に向けた施策に取り組んでおります。
・当社グループは、TCFDへ賛同しており、気候変動拡大によるリスクの把握と当社の財務への影響を分析し、情報開示を行っております。そして「三越伊勢丹グループ2030年環境中期目標」および「三越伊勢丹グループ2050年環境長期目標」を設定し、低炭素社会の実現に向けた様々な取り組みを推進しております。
TCFDへの対応については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)サステナビリティに関する個別課題(ア)気候変動への対応」において記載しております。
・当社グループのサステナビリティの基本方針に適合した各店舗での商品・サービスの提供および建物への新技術の導入を進め、環境負荷削減を推進しております。
・責任ある調達を実現するために、2021年度に実施したお取組先への「サステナビリティ調達に関するアンケート」結果をもとに、お取組先と対話を開始しております。引き続き、サプライチェーン上の課題解決に向けたコミュニケーションに取り組んでまいります。

② デジタル社会への対応に関するリスク:影響度 特に大
・内部リスク:社内リソースの不足、システム障害の発生、従業員によるSNSトラブル、AIチャットサービスの不適切な利用
・外部リスク:オンライン上での詐欺犯罪の増加

(リスク)
当社グループでは、デジタル社会への変化に対応するために、実店舗とオンラインをシームレスにつなぐオンラインサイト・アプリの提供や、デジタルツールを利用した業務効率化を進めております。また、事業活動を通じて蓄積したデータを使ってお客さまやお取組先への新たな価値提供を目指すなど、デジタルテクノロジーを活用したビジネスの変革(DX)に取り組んでおりますが、デジタル社会への対応には内部リスクと外部リスクが存在しております。
内部リスクとしては、DXを実行する社内リソースの不足により、デジタル社会を前提としたお客さまのご要望に迅速に対応できないことや、業務効率化、経営効率化が進まずに事業全体の業績や財務状況、今後の経営計画の実行への悪影響を与える可能性があります。また、新システム導入や更改、日々のシステム運用のなかで不測の障害が発生することで、実店舗およびオンライン上の営業活動に支障をきたす可能性があります。あわせてSNS活用が浸透・拡大するにつれ、従業員個人が関与するSNSトラブルの増加の恐れがあります。また昨今のAIチャットサービスは、将来的には業務生産性を高める無限の可能性を持つツールとして積極的な活用が考えられる一方で、使い方によっては重要な機密情報の漏洩や、意図せず第三者の権利侵害につながるといったリスクが考えられます。
外部リスクとしては、デジタル社会の負の側面としてオンライン上での詐欺犯罪が増加しております。当社グループのECサイトにおいても不正利用の発生件数は増加傾向にあり、対応が不十分な場合は財務に損失を与える可能性があります。
(対 応)
・デジタルテクノロジーやデータの活用に長けた専門組織の設置、ならびに人財育成や、各部門へのデジタル人財の配置を行い、グループ全体としてDXを実行する社内リソースの強化を図っております。
・システム部門による障害発生の事前防止活動とともに、システム部門と営業部門が一体となり障害発生時の損失を極小化する対応力向上を図っております。
・SNS活用が浸透・拡大するにつれ、想定しなかった事由や事故が増加していることから、従業員が公私を問わず SNSを利用するにあたって遵守すべきルールとして、禁止・注意・推奨する事項を明示した「ソーシャルメディアガイドライン」を策定しております。
・AIチャットサービスについては、安全な利用方法や適切な利用目的が確立されるまでに一定の時間がかかることを想定し、現時点ではリスク回避のための暫定的な措置として利用を制限する社内ルールを設けておりますが、今後の環境変化に応じて適時見直しを行い、利活用できる環境の準備を進めております。
・オンライン上の不正な行為を抑止する技術的対策の導入を、より一層強化してまいります。
・仮想空間プラットフォーム、AIを組み合わせた顧客データ分析等、新しいデジタルテクノロジーを活用したビジネス価値創造に持続的に取り組み、デジタル社会の発展に適応してまいります。

③ 新たなビジネスモデル構築に関するリスク:影響度 特に大
・社会構造の変化に対応したビジネスモデルへの転換の遅れ
・従来型の百貨店ビジネスモデルの衰退

(リスク)
当社グループの主要事業である百貨店事業は、マスマーケティング型のビジネスモデルに重きを置いておりました。しかしながら、近年の少子高齢化といった人口動態の変化や所得の二極化といった社会構造の変化、さらにはデジタル化の加速と情報化社会の進化により、お客さまの価値観、消費行動は大きく変化を遂げております。このような時代の変化に対応したビジネスモデルへの転換が遅れた場合、業績や財務に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、同業・異業態の小売業他社との競争激化を背景とした業界再編の動きが活発化してきており、新たなビジネスモデルの構築が急務となっております。
(対 応)
・当社グループは、中期経営計画にて上記のリスクを加味したうえで新しいビジネスモデルの確立が必須であるという認識のもと、多岐にわたる事業の強化を図ってまいります。
・具体的には、"高感度上質"戦略を策定し、生活にこだわりを持ち上質で豊かな生活を求めるお客さまに向け、一人ひとりのご要望にお応えする「個」のマーケティングへのシフトを徹底的に進め、店舗・デジタルともにあらゆる手段でお客さまとつながり続け、マスから個への転換を図ってまいります。
・あわせて「連邦戦略」においてグループ各社へと収益拡大を図り、さらにその先に、保有不動産の再開発や新興国での不動産プロジェクトへの参入といった事業の強化を図り、「まちづくり」の実現という大きなステップを目指しております。

④ 海外情勢への対応に関するリスク:影響度 大
・海外情勢リスク:政治・経済的不安や社会的混乱等の地政学リスク
・海外事業リスク:従業員の安全管理上の問題、海外現地法規制への対応不備、現地のガバナンス不全等

(リスク)
当社グループは、百貨店事業では東南アジア、中国、台湾、および米国での店舗の営業のほか、不動産事業においても海外に参画しております。これらの売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のため円換算されており為替変動の影響を受けております。また事業展開をする各国において、事業・投資の許可、税制等、様々な政府規制や法制度の適用を受けております。
海外情勢リスクとしては、テロ・戦争・政治・宗教その他の要因による政治・経済的不安や社会的混乱等の地政学リスクがあります。特に世界経済の減速の要因となっている直近のウクライナ情勢は、エネルギーコストの高騰、原材料・物価高による商品価格の高騰および商品供給のリードタイムの長期化や停滞等、当社グループのビジネスに影響を与えており、引き続き注視する必要があると捉えております。
海外事業リスクとしては、海外で事業展開するうえで、従業員の安全管理上の問題、海外現地法規制への対応不備、現地のガバナンス不全等のリスクが内在しております。
これらのリスクにより、当社財務への損害だけでなく、海外実店舗の物的・人的損害の発生や事業の停止・撤退を余儀なくされる可能性があります。また、商品供給網においても、現地法人やお取組先を介してのグローバルな取引が多くあり、商品供給の停滞、遅延が発生する可能性があります。
(対 応)
・当社グループでは、従業員の海外赴任前に海外事業リスクに関する教育を実施しております。
・海外拠点とのリモート会議やタイムリーな現地リスク情報の共有等、定期的なコミュニケーションを実施し連携を図っております。
・事件事故や有事の発生時におけるレポートラインの確立と、日本と海外拠点が一体となった組織的対応の実施計画を策定しております。昨今では、従業員の安全を確保できるよう、特に東アジアを中心とした海外情勢の変化を常に注視しております。
・資金管理等においては銀行のシステムを利用し、日本側からのモニタリング体制を構築しております。
・ガバナンス強化の一環として、海外拠点を対象に内部通報制度を導入し、通報窓口を設置・運用しております。

(2)財務に関するリスク

① 資金調達に関するリスク:影響度 大
・業績悪化や格付け変更による資金調達力の低下
・市場金利の上昇に伴う資金調達コストの増加

(リスク)
当社グループは多角化した事業を展開しており、今後の経営計画として、保有不動産の開発を百貨店の魅力でインフラ機能も併せ持つ「まちづくり」として結実させていくビジョンを描いております。その実現のため、保有不動産の建て替え、改修等で今後多くの資金需要が発生する可能性があります。しかしながら、当社グループの業績の悪化や格付けの変更による資金調達力の低下、さらには政策の転換による金融市場における資金調達コストの上昇等により資金調達が困難になった場合は、当社グループの財務への悪影響のみならず、事業計画の実行の遅延および戦略の変更を余儀なくされる可能性があります。
(対 応)
・当社グループは、構造改革を強力に推進し固定費削減を実施することで営業黒字確保に取り組んでおります。また、営業キャッシュフロー改善による有利子負債の削減や、経費および投資キャッシュアウトのコントロールにより、財務体質の改善を図っております。
・あわせて、中長期の投資に向けた余力を確保しながら、株主還元、有利子負債削減、収益に貢献する投資をバランス良く実施し、フローとストックの観点でも最適な財務基盤を構築することで、全てのステークホルダーと良好な関係性を築いてまいります。

(3) 人事・労務に関するリスク
① 人財確保に関するリスク:影響度 特に大
・経営戦略遂行のための専門スキルを有する人財の不足
・人財獲得競争の激化
・既存人財の離職率の増加

(リスク)
人財獲得競争の激化が国内のみならずグローバルに発生しており、当社グループにおいても、不動産、金融、デジタルをはじめとした新たな事業分野において、高度な専門知識を有する人財の育成、確保が急務と認識しております。しかし、採用競争が激化するなかで、百貨店業界そのものの魅力度の低下や処遇競争力の低下等により、計画通りに高度なスキルを有する人財の確保が図れなかった際は、当社グループの目指す経営目標の達成や事業の存続に影響を及ぼす可能性があります。
(対 応)
・当社グループは、「マルチステークホルダー方針」を公表し、経営資源の成長分野への重点的な投入、従業員の能力開発やスキル向上等を通じて、持続的な成長と生産性向上に取り組み、付加価値の最大化に注力しております。その上で、生み出した収益・成果に基づいて、従業員への持続的な還元を目指しております。
・経営戦略の実現に向けた専門人財の育成に関しては、戦略的な出向政策やグループ内での人財流動化により、計画的な人財の育成に取り組んでおります。
・人財獲得競争の激化に向けては、従業員エンゲージメントの向上に継続的に取り組むことで、グループ従業員の離職防止につなげるだけでなく、企業イメージの向上による外部人財の獲得につなげております。
・また、既存人財のリスキル、人財育成の観点としては、「個人の力」と「組織の力」を最大化させ続けるために、従業員一人ひとりに寄り添った「生涯CDP」に取り組んでおります。上司・部下間でのキャリア開発のための対話時間の創出や、会社によるグループ内の仕事情報の公開、自律的なキャリア開発を後押しする研修や学びの機会の提供、あわせて、自律的なキャリア開発のための制度の拡充を行うことで、全従業員が自身のキャリアについて主体的に考え、将来のキャリア目標の達成と継続的な成長につなげられるよう支援しております。
・具体的な人財育成の実績事例としては、自律的な学びの機会の拡充として、eラーニングプログラムの拡張に取り組み、利用人数とともに大きく伸長を続けております。あわせて、チャレンジキャリア制度の利用人数も大きく伸長しております。
・その他、人財基盤を支える取り組みとして、一人ひとりのライフワークバランスを尊重し、個人のライフスタイルに合わせた多種多様な働き方を認める各種制度を構築しております。あわせて、適正な労働時間管理の実現に向けて、経営層からの発信や教育、労使協働での労働時間モニタリング等を行い、総実労働時間の低減に取り組んでおります。
・高年齢者雇用安定法の改正を踏まえ、エルダー社員人財の活躍の場の提供をはじめとした高齢化社会への対応に取り組んでまいります。
・人的資本については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)サステナビリティに関する個別課題(イ)人的資本」において記載しております。


(4) 災害等のリスク

① 災害等の対応に関するリスク:影響度 特に大
・地震、水害等の自然災害の影響
・店舗等の火災発生の影響
・感染症拡大の影響

(リスク)
当社グループは、百貨店事業を中心として店舗による事業展開を行っております。このため、地震、水害、火山噴火といった自然災害により、店舗の営業継続に悪影響をきたす可能性があります。
特に、首都直下型の大地震が発生した場合、首都圏に店舗が集中している当社グループは、お客さま、従業員および建物等に甚大な損害を受けることにより、業績や財務状況に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。あわせて、東日本大震災後に現出した電力の使用制限や消費の自粛、放射能による食料品汚染など、大規模災害が営業活動に影響を及ぼすことが予想されます。なかでも富士山噴火は、東海地方および首都圏の店舗において、噴火発生時に火山灰が飛来することで、営業活動をはじめ、交通インフラを中心とした混乱が予想されるほか、システムや物流網等、全国への影響が考えられます。
さらに近年の地球環境の変化に伴い、台風や集中豪雨といった災害規模と被害が甚大化するケースが増加しております。洪水や浸水、強風により、お客さま、従業員および建物等に被害や営業停止による営業損失を与える可能性があります。また全国各地からの供給網により成り立っている百貨店事業において、商品供給や物流が影響を受けることで、当社グループの事業活動全体に影響を及ぼす可能性があります。
火災については、当社グループでは消防法に基づいた火災発生の防止を徹底して行っております。しかし、店舗にて火災が発生した場合、お客さま、従業員の罹災による人命の危機の発生および人的資源の喪失、建物等固定資産や棚卸資産への被害、被害者に対する損害賠償責任等が発生します。さらに、これらの被害以外にも法令違反が発覚した際の罰則や営業停止に伴う営業損失により、当社グループの業績や財務に悪影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の再拡大ならびに新たな感染症の拡大により、国内の消費マインドやインバウンド需要の低迷等、当社グループの業績や財務に影響を与える可能性があります。
また近年では、他国からのミサイルが日本の領土等に着弾・落下するケースも想定され、従業員や施設に直接的な損害が無くとも、攻撃が継続され、より深刻な事態となった場合、全国的な事業継続に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(対 応)
・当社グループでは、地震、水害、パンデミック、富士山噴火、ミサイル攻撃等、今後想定される大規模災害への対応計画および発生後におけるBCPを策定しており、これらの計画とBCPに基づいた災害時の組織体制の策定と対策、訓練を実施しております。
・防災・減災対策と災害発生時の初動・復旧・復興に向けた行動想定や、実効性向上のための各店舗および事業所での定期的な訓練、安否確認システムの導入、ITツールを活用した情報共有を実施しております。
・当社グループは、株式会社三越伊勢丹の事業継続計画の取り組みが評価され、百貨店としては初のレジリエンス認証を取得しております。さらに「事業継続」の分野に加え、店頭での募金活動や従業員のボランティア活動を支援する仕組み等が評価され、「社会貢献」の分野においても同認証を取得しております。
・各店舗にて消防署と協力のうえ、火災を想定した消防訓練の実施や設備点検、さらには自衛消防隊設置による平時からの安全管理を実施しております。
・新型コロナウイルス感染症の再拡大ならびに新たな感染症の拡大に際しては、当社グループはお客さまと従業員の安心・安全を第一に、グループ全店舗で感染状況に応じた対策を実施してまいります。また、当社グループのBCPにおいても、「新型インフルエンザ等によるパンデミック」について、被害想定ならびに行動目標を定め、対応しております。
・他国からのミサイル発射等による脅威については、Jアラートが発動された場合の対応マニュアルを作成し、あわせて、訓練強化に取り組んでおります。

② 情報セキュリティに関するリスク:影響度 特に大
・サイバー攻撃等によるシステムの破壊や停止
・不正アクセス犯罪等による個人情報や機密情報の漏洩

(リスク)
当社グループは多岐にわたる事業活動やサービス提供のなかで、お客さま、お取組先の様々な情報をお預かりし、管理しております。昨今、日本企業が国内外からのサイバー攻撃を受ける事例が増加しており、当社グループでも情報セキュリティガバナンスのさらなる強化は急務となっております。サイバー攻撃等によるシステムの破壊や停止、不正アクセス犯罪等による個人情報や機密情報の漏洩が発生した場合、システムの停止と復旧に時間を要することにより広範な業務に支障をきたすことを余儀なくされます。加えて、社会的信用の失墜による売上の減少や賠償金等の支払い負担等、当社グループの業績や財務に影響を与える可能性があります。
(対 応)
・当社グループでは、情報セキュリティガバナンス強化としてサイバーリスク対策プロジェクトを設置し、日常の業務活動のなかで技術的および人的・組織的な対策の強化を図っております。
・技術的対策では、サイバー攻撃を防御、監視、検知、駆除するためのセキュリティツールの導入・運用を強化しております。
・人的・組織的対策では、情報セキュリティに関する従業員のリテラシー向上策として、システム部門における専門的なセキュリティ人財の育成や、従業員へのセキュリティ教育および訓練を適時実施しております。

(5) オペレーショナルリスク
① 商品取引上のリスク:影響度 特に大
・商品調達に関して、お取組先との公平・公正な取引における問題
・商品の品質・安全管理における体制上の問題

(リスク)
当社グループは、百貨店事業を中心として事業展開を行っており、お客さまのニーズとともに 多様化する商品やサービスについて、常に安全・安心を最優先に、お客さまのご満足と信頼に応えられる品質を追求しております。
当該事業は、私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律を始めとする経済法や各種消費者保護法、また営業許認可に関わる各種業法の適用を受け、お取組先との取引においても、消費者との取引においても、競争力や情報量の格差に乗じた不当な拘束等を排除し公正な取引を行うことが求められております。これらの法規制を遵守できなかった場合、社会的信用の失墜、行政処分による当社グループの活動の制限、売上の減少や損害賠償金の支払い、罰金・課徴金の支払い等による財務上の損失が発生するなど、当社グループの事業継続に大きな影響が生じることが考えられます。
当社グループが実施しているサステナビリティ活動に関するお客さまアンケートでも、例年「商品の品質・安全の確保・正確な表示」が、当社グループに期待されている項目の上位に挙げられております。なかでも食料品販売から飲食サービスまで多岐にわたる食品衛生に関わる事業においては、アレルギー表記の不備等が原因となる食物アレルギー有症事故や、調理者の健康管理不良や食材管理不良等に伴う食中毒が発生した場合、お客さまへの重篤な健康被害、営業停止や罰則などの行政処分、社会的信用の失墜による売上の減少や損害賠償金等の支払いが発生し財務に悪影響を与える可能性があります。
(対 応)
・当社グループは、持続可能なサプライチェーンやビジネスと人権等の社会課題に対応するため、「三越伊勢丹グループ調達方針」、「三越伊勢丹グループ人権方針」を策定しております。また、主要お取組先を対象としたサステナビリティ調達に関するアンケートの実施や方針説明会の開催等、お取組先各社との対話を深めることで、サプライチェーン・マネジメント体制を整えております。
・当社グループは、お取組先や価値創造を図る事業者の皆さまとの連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築することを宣言する「パートナーシップ構築宣言」を策定しております。宣言の内容は、eラーニングを通じて従業員全員が理解・実践に努めており、公平・公正な取引を通じてお取組先との信頼関係を築き、社会的価値と経済的価値の両立を目指しております。
・グループ全体の商品取引における法令遵守体制を構築するために、下請代金支払遅延等防止法や不当景品類及び不当表示防止法、特定商取引に関する法律に則したガイドラインやマニュアルを整備し、法改正やオペレーションの見直し等時宜に適った改定を行い、社内に周知しております。
・コンプライアンス推進部会を組織し、定例会議において、法改正等への対応の指針の策定と社内懸念事項の報告および解決に向けた取り組みを強化しております。
・コンプライアンスを担当する実務者向けに、法令、社内規程等を含めた定期的な教育を実施し、実務とコンプライアンス遵守の両立に取り組んでおります。
・当社グループ内に派遣いただいている従業員を含め、店頭において法令違反や社内規程に反する行為がないか、定期的に点検を行うとともに、法令、社内規程等のOJT教育を実施しております。
・万が一、事件・事故が発生した際には、各ガイドラインとレポートラインに則った関連部署間での連携による解決を図り、その後事例を社内にて共有し再発防止に努めております。
・食品衛生の基本となるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画書を策定し、お取組先まで共有することで食品衛生確保の網羅性を図っております。また計画書に基づき、日々の記録と保管を徹底して定期的な点検を実施、法令遵守と食中毒予防の両面からお客さまの安全確保に取り組んでおります。
・アレルギー有症事故を予防するため、正しいアレルギー情報を提供するためのマニュアルと社内体制を整備しております。アレルギー情報が正しく提供されていることを定期的に点検すると共に、お客さまとも積極的なリスクコミュニケーションを日々推進しております。

② 個人情報漏洩に関するリスク:影響度 特に大
・管理体制の不備による個人情報等の漏洩・紛失

(リスク)
昨今、旧来の個人情報保護の観点のみならず、個人情報を用いたビジネスの拡大や新規ビジネスの創出に伴う個人情報の漏洩・不適切利用事案の増加から、消費者の個人情報保護への意識と利用状況への関心が高まっております。また個人情報に関する各国法も相次いで整備されるなか、企業には、越境移転も踏まえた厳重な管理体制や、厳格な目的内利用の仕組みの構築が求められております。あわせてSNS活用が浸透・拡大するにつれ、従業員による不適切投稿等、個人が関与するSNSトラブルが発生する可能性があります。
当社グループは、百貨店業、クレジット・金融・友の会業、情報処理サービス業を中心に、多くのお客さまの個人情報をお預かりし管理しておりますが、犯罪等により外部に漏洩した場合や管理体制の不備により紛失した場合、また個人情報の保護に関する法律等の法令違反が発覚した場合には、損害賠償費用や罰金などの費用の発生、さらには当社グループの社会的信用の失墜による売上の減少が考えられ、当社グループの業績や財務に悪影響を及ぼす可能性があります。
(対 応)
・適切な個人情報の取得および利用のための自主基準やマニュアルを策定し、これらに基づいて管理システム・社内管理体制を整備し、実店舗からオンライン環境に至る全ての事業環境において、日々厳重に個人情報の管理を実施しております。
・個人情報を含む情報セキュリティ体制の策定と周知の徹底を行い、さらに継続的な見直しとモニタリングを実施しております。
・対応スキルの維持向上を目的として従業員に向けた教育を実施し、リテラシーと意識の向上を図っております。
・行政によるデジタル社会の形成に向けた法整備状況、個人情報の保護に関する法律をはじめとした法規制やガイドライン等への対応を図っております。

従業員の状況研究開発活動


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