有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R8QI (EDINETへの外部リンク)
中国電力株式会社 研究開発活動 (2023年3月期)
経営ビジョンにおける「エネルギー事業を中心とした既存事業の強化・進化」、「新たな事業への挑戦」を進めていくために、研究開発として取り組む方向性を3つの「戦略的イノベーション領域」として設定し、重点的に取り組んでいる。
研究開発によるイノベーションを目指し、早期の実用化・ビジネス化に繋げていくために、他業種とのアライアンスやオープンイノベーションを積極的に活用している。
また、中国地方の大学をはじめとした産学官の連携、電力中央研究所などとの密接な協力関係を保ちながら、効率的に推進していくこととしている。この取り組みとして、国立大学法人広島大学との包括的研究協力に関する協定を締結し、産学の連携を通して最先端の技術開発を行っている。
研究開発活動とともに、グループ会社を含めて知的財産活動にも積極的に取り組んでおり、経営ビジョン実現に向けて、研究開発を含め、事業運営のあらゆる場面で生み出される技術・ノウハウ・アイデア等の知的資産を知財化し、電気事業を支える基盤技術として蓄積している。こうした取り組みの結果、当連結会計年度における当社グループの特許出願件数は226件、同新規登録件数は178件となった。商用の検索システムで集計したデータによる当連結会計年度末での当社の特許登録件数は3,222件であり、費用対効果を勘案し保有特許を厳選した結果、前年度よりやや減少したものの、エネルギー業界トップを維持している。
なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は86億円であり、うち総合エネルギー事業に係る研究開発費は76億円、総合エネルギー事業以外に係る研究開発費は9億円である。
(1) 戦略的イノベーション領域に関する取り組み
① デジタル技術を活用した電力システムのイノベーション
AI/IoT等のデジタル技術を活用して、電力設備の運用・保守技術の高度化に関する研究開発を実施しており、ドローン等を活用した設備保全の高度化に取り組んでいる。② 脱炭素化に向けたエネルギー・環境技術のイノベーション
大崎クールジェン株式会社を通じて、「CO2分離・回収型石炭ガス化燃料電池複合発電」の実証事業を実施し、2022年度に完了した。石炭ガス化燃料電池複合発電にCO2の分離・回収、貯留及び有効利用を組み合わせたシステムは石炭火力の脱炭素化を可能とし、バイオマス混焼が実現すればCO2排出量を実質ゼロ以下とすることに繋がるため、石炭と木質バイオマスの混合燃料ガス化技術開発を推進する。カーボンリサイクルの取り組みとして、回収したCO2を活用し土木材料(通称:CO2-TriCOM)やコンクリート(通称:CO2-SUICOM)、油脂(Gas-to-Lipids)を生成する技術の開発を実施している。
また、石炭灰リサイクル材を活用した水域底質環境の改善効果の実証を行い、これによる干潟・藻場への炭素固定効果について研究を実施している。
その他、太陽光発電が大量に導入された場合の電力系統へ与える影響調査・分析など、電力の品質確保や安定供給に向けた電力系統安定化技術等の研究開発に取り組んでいる。
③ 地域・他業種と融合した新サービスの創出
再生可能エネルギーの有効活用に向けて、蓄電池を活用し、インバランス回避や市場での収益向上を行う実証試験や、EVを活用し、その他のリソースと組み合わせエネルギーマネジメントを行う実証試験を実施し、新たなサービス開発に向けて取り組んでいる。(2) 電気事業を支える基盤技術に関する取り組み
設備信頼度の維持・向上及び修繕費の低減を図るため、設備の健全性を非破壊で診断する技術の開発など、設備経年化へ適切に対応する技術の研究開発に取り組んでいる。また、火力・原子力発電所の海水系統での付着生物による発電効率の低下を防止するため、付着抑制技術の研究開発にも取り組んでいる。
(3) その他
地域社会・経済の発展に貢献し、お客さまから選択し続けられるため、中国地域経済・産業動向の調査分析の実施及びエネルギア地域経済レポートなどを通じた情報提供、戦略的企業経営の支援、データの利活用に関する研究などに取り組んでいる。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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