有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QHOJ (EDINETへの外部リンク)
株式会社電通グループ 事業等のリスク (2022年12月期)
当社グループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない、又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループではこのような経営目標の達成を阻害する将来の不確実な要因としてのリスクを最小化するとともに、これらを機会として活かすための様々な対応及び仕組み作りを行っております。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループのリスク管理体制
当社グループでは、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のコーポレートガバナンス体制図のコーポレートガバナンス体制の下、リスクの管理を所管するグループリスク委員会を設置し、ERM(Enterprise Risk Management: 全社的リスクマネジメント)のアプローチを基軸に、グループ経営上重要なリスクを識別・評価し、そのリスクの顕在化の予防及び顕在化した場合の影響の最小化のため、リスク・スポンサーを選定、リスク対応計画の策定と実施を委任し、その対応状況のモニタリングをグループ経営会議において定期的に行っております。また、2023年より、コーポレート領域で当社グループの戦略的変革を推進し、将来にわたる企業ガバナンス強化に対する説明責任を負うチーフ・ガバナンス・オフィサーを任命いたしました。
(1) 景気変動及びポスト・パンデミックに向けた社会的変革に伴うリスク
当社グループの業績は、景気によって主要な顧客である企業からの予算が増減されることが多いため、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。新型コロナウイルスの世界的蔓延に伴うマクロ経済の減速は、2021年以降回復傾向に転じたものの、地政学上のリスクの顕在化等により、まだ不安定な状況と言わざるを得ません。
また、コロナ禍の影響は、経済面に留まらず、生活者の意識と行動様式の変化を加速させ、より個人化された体験が重要になっております。企業も、D2Cコマースのチャネル構築やデジタルトランスフォーメーションの実装など企業活動の本質的な転換が迫られる中、当社グループへの顧客のニーズは、従来の広告・コミュニケーション領域を超え、高度化・複合化しており、データとテクノロジーを活用した顧客体験の設計や体験価値の向上に拡大しております。これらのニーズに当社グループが適切な対応ができない場合は、中長期的な事業成長に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 中長期の視点での新たなビジネス開発に伴うリスク
当社グループは、上記のような事業環境の変化に速やかに対応し、新たな事業機会を的確に捉えるための事業変革を企図した中期経営計画を策定し、2021年2月に発表し、また2022年2月には、その内容のアップデートを行いました。本計画では、広告マーケティングで培ったノウハウをデータとテクノロジーと融合し進化させるとともに、「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー」事業と位置付けた顧客企業の事業変革を支援する領域の強化による成長戦略の実践を骨子のひとつとしております。しかしながら、グループ内のイノベーションの不足、生活者動向の読み違い、過度に楽観的な事業計画、共同事業パートナーとの交渉難航、投資パフォーマンスの管理不十分、事業環境変化を認識するインテリジェンスの不足などの理由で、これらのビジネス開発が中長期的に収益化できず、当社グループの業績に悪影響が出る可能性があります。
(3) 人財に係るリスク
当社グループの成長力及び競争力は、優秀な人財の獲得と維持に依存します。そのため、労働市場の逼迫による人財不足や当社グループのレピュテーションやブランディングを効果的に確立できない等に起因して、当社グループが必要な人財を十分に確保できない場合、顧客への高付加価値のサービス提供ができずに当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの中期経営計画の実現のためには、社員のエンゲージメントが重要であり、グループ内で、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンなどを含めたビジョンや価値観を実行できなかった場合、あるいは社員のモチベーションを保つことができなかった場合、社員のロイヤルティが低くなり、優秀な人財を惹きつけ維持することが難しくなるリスクが存在します。
当社グループは、事業ドメインを「人起点の変革(People-centered Transformation)」と捉えており、その推進のため、社員が性別、国籍、年齢、性的志向、障がいの有無、勤続年数などにかかわらず、誰もが自分らしさを存分に発揮して働けるインクルーシブな企業文化を醸成し、多様性を競争力につなげていく企業風土の浸透に取り組んでおります。また、2021年度からは、グループ全体でのエンゲージメント調査を実施し、従業員の声に耳を傾け、組織課題の発見・改善を目指しております。
また、この「人起点の変革(People-centered Transformation)」の加速と経営のさらなる高度化を実現すべく、グループ経営幹部の要件定義を明確にしたうえで、2023年1月から「グループ・マネジメント・チーム」によるグローバル経営体制に移行いたしました。また、新しい経営幹部の後継者計画についても、その育成システムの確立とともに進めております。
(4) 事業の構造改革に係るリスク
当社グループは、事業・競争環境の急速な変化に対応するため、構造改革の加速を決定し推進しております。海外事業においては、2年間で、現在160以上あるエージェンシーブランドの数を6つのグローバルリーダーシップブランドへ統合する計画が順調に進捗しております。また、国内事業においては、「ビジネスフォーメーションの変革」「人財フォーメーションの変革」「オフィス環境の進化」を推進しており、この構造改革により、新たな事業モデルの導入を加速してクライアントへより良いサービスを提供し、従業員満足度の向上、収益の拡大及びオペレーティング・マージンの改善を目指します。しかしながら、同構造改革が想定通りに進まなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、事業環境や構造改革の変化に社内体制が対応できなかった場合には、内部統制の弱体化、管理システムの不備が顕在化するリスクがあります。
(5) 競争環境と構造変化に起因するリスク
① 異業種との競争の拡大
当社グループは、同業の広告会社グループやデジタルエージェンシーグループとの競争に加え、この数年でコンサルタント、テックカンパニーなど異業種との新たな競争にさらされております。顧客からの広告・マーケティング活動の効率化・最適化の要求が強まり、生活者ひとりひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、データアナリティクス領域、カスタマーエクスペリエンス領域、コンサルティング領域の企業と競合するケースが増えております。
今後、当社グループの既存の基軸事業である広告マーケティング領域と他領域の間の境界線が今後ますます曖昧になり、異業種との競争が激化した場合、当社グループの収益の一部を異業種の競合社に奪われる可能性があります。また、マーケティング、テクノロジーとコンサルティングの融合領域における有力なプレイヤーとしての当社のレピュテーションやブランディングを効果的に確立できなかった場合に、この領域のビジネスを十分に獲得できない可能性があります。
当社グループは、この業界構造の変化を商機と捉え、広告マーケティングで培ったノウハウを、データとテクノロジーと融合して進化させ、コンシューマー・インテリジェンスを活用した統合ソリュ―ションを提供するモデルを確立していくと共に、人財の育成にも力を入れてまいります。
② グローバル企業の扱い喪失リスク
当社グループの顧客には、グローバルレベルで事業を展開する企業が多数含まれます。これらの顧客は、広告キャンペーンの統一性を担保する必要性や効率的な運用の観点から、グローバルレベル(あるいはAPAC等の地域レベル)で取り扱い広告会社を選定する入札(グローバルピッチ)を実施することがあります。グローバルピッチは対象となるメディア予算などの取扱高が多額になる傾向があります。
今後、当社グループの既存顧客が実施するグローバルピッチで当社グループが敗北した場合、当社グループの収益減少につながる可能性があります。また、これらのピッチで勝利するために従来よりも低マージンでの受注を余儀なくされた場合、当社グループのオペレーティング・マージンの悪化につながる可能性があります。
一方、そういったクライアントに対して、提供する統合ソリューションの価値に対する正当な対価を得るため、全社的な取り組みを推進しております。
③ メディア環境の構造変化に伴うリスク
生活者を取り巻くメディア環境は、イノベーションを背景に、グローバルレベルで大きくデジタルへとシフトしております。当社グループは、このメディア環境の構造変化を商機と捉え、次世代のメディアにグループのリソースを柔軟に配分・投下し、常に最適の顧客体験を提供するための統合ソリューションを顧客企業に提供しております。
しかしながら、当社グループが、メディア環境の構造変化に迅速に対応できない場合、又は変化に適切に対応した取引条件や形態を取ることができなかった場合に、メディアからの収益の喪失、顧客との関係性の悪化などに繋がり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、このメディア環境の構造変化は、国・地域ごとに異なる形態及び時間軸で進行しており、当社グループが、一部の国・地域において、この潮流に乗り遅れるリスクもあります。
④ コンテンツ事業に係るリスク
当社グループは、国内・海外を問わず、映画への制作出資やスポーツイベントの放送権の仕入販売などのコンテンツ事業を展開しております。これらのコンテンツ事業には、収入を得る前に支払が先行するもの、収支計画が多年度にわたるものが多く含まれております。また、大型のスポーツイベントの協賛権や放送権の獲得などには多額の財務的コミットメントを必要とするものもあります。
当社グループはこれらのコンテンツ事業領域に長く従事しているため一定の精度で収支計画を立てる知見を有しており、また多くのコンテンツ事業案件をポートフォリオとして管理することでコンテンツ事業のリスク分散を図っております。
しかしながら、コンテンツ事業の収入を左右する生活者の反応を確実に予測することは困難であり、案件が収支計画通りに進捗しない場合、また、当社グループによる仕入金額を下回る金額でしか協賛権や放送権を顧客に販売できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) のれん及び無形資産の減損リスク
当社は2013年3月に英国の大手広告会社Aegis Group plc(以下、「イージス社」)を買収、その後もグローバルレベルで多数の会社の買収を実施したことに伴い、多額ののれん及び無形資産を計上しております。
当社グループは、買収案件の投資リターンの定期レビューやのれん減損テストを通じて、投資パフォーマンスの予期せぬ大規模な悪化を防ぐための管理を行っておりますが、2020年度に行ったのれんの減損テストの結果、コロナ禍の長期化により高まった事業環境の不透明化を考慮し、海外事業に係るのれんについて1,403億円の減損損失を計上しました。今後の減損テストの結果、再び巨額の減損損失が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 情報セキュリティ・サイバーセキュリティに係るリスク
当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客企業の未公開の商品・サービスや事業に係る情報を受領することが頻繁にあります。当社グループでは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を取得するなど、情報管理には万全を期しておりますが、万一情報漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、想定外の外部サイバー攻撃、従業員又はサプライヤーのアクションによって、重大なビジネスシステム及びデータの機密性、完全性又は可用性が脅かされ、その結果、重大な運用・規制・財務・レピュテーション上の、又はクライアントへの影響が生じる可能性があります。
当社グループでは、セキュリティリスクへの対応を確かなものとするため、国内・海外のネットワークのセキュリティ部門を束ねるグループ・セキュリティ機能を設け、進化する脅威の需要協を継続的に評価し、ERMアプローチに沿ったリスク管理とコントロールの有効性評価を行っております。
(8) サステナビリティ課題に係るリスク
当社グループは、「ソーシャルインパクトとESG」を中期経営計画の4つの柱の一つに掲げ、2021年1月には、未来のすべての人々のために真に持続可能な価値を創造することを目指した「2030サステナビリティ戦略」を策定し、「持続可能な世界」「公平で開かれた社会」「デジタルにおける社会貢献」の3つの優先事項を中心に、同戦略に掲げた環境及び社会性指標の目標を達成する施策を推進しております。
しかしながら、社会・経済の外部環境要因などにより、これらの目標達成が計画通りに進捗しなかった場合には、当社グループのレピュテーションなどに悪影響がある可能性があります。
2023年より、気候変動リスクへの対応をはじめとする「2030サステナビリティ戦略」の実行を統括するチーフ・サステナビリティ・オフィサーを、dentsu Japan並びにインターナショナル・マーケットにおいて任命いたしました。
(9) 法規制・訴訟等に係るリスク
① 労働法規に違反するリスク
当社グループは、社員ひとりひとりが恒常的に良好なコンディションを維持できる労働環境を整えることを経営の最優先課題の1つとして取り組んでおりますが、同労働環境の整備が維持できない場合、当社グループの社員のモチベーション及びパフォーマンスの低下、優秀な社員の外部流出、多様性ある人材の獲得の困難化などの事態が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社の完全子会社である株式会社電通を中心に2017年度から継続的に取り組んできた労働環境改革により、国内における社員の労働環境は着実に改善されているものの、労務管理上の不祥事が再発した場合、当社グループのレピュテーションが大きく悪化する可能性があります。
② 個人情報等に係るリスク(データ・ガバナンス)
当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客企業にとっての既存顧客・潜在顧客の個人情報を受領することがあります。また、顧客企業からの消費者ひとりひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、パーソナルデータを利活用した商品・サービスを開発して顧客企業に提供しております。
当社グループは、国内・海外を問わず、個人情報保護法及びEU一般データ保護規則等の法令又は諸規制を遵守し、また、これら法令又は諸規制の改定に迅速に対応しており、またグループ共通の「グローバルデータ保護原則」を制定しており、現時点においてこれらの法令又は諸規制が当社グループの事業に悪影響を及ぼすことは想定しておりません。しかしながら、万一個人情報の漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、今後、これら法令又は諸規制が改定され、一方、倫理的な観点から、当社グループのパーソナルデータの利活用に何らかの制限が課され、商品・サービスの一部を顧客企業に提供できなくなった場合、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 訴訟等に係るリスク
当社グループ会社が広範な領域にわたり遂行している事業は、国内・海外問わず、政府機関・顧客・媒体社・協力会社等から調査・訴訟・メディア監査等に基づく請求等を受けるリスクを内包しております。
なお、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるテストイベントの入札等事業に関して、国内子会社の従業員1名(事案が発生した2018年当時は株式会社電通に所属)が、独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会から刑事告発され、東京地方検察庁により起訴されました。また、同法の両罰規定により、2018年当時に株式会社電通であった現在の株式会社電通グループが法人として起訴されました。詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4) コンプライアンスの徹底」及び「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表連結財務諸表 注記37.偶発負債」をご参照ください。
(10) 災害、事故並びに地政学に関わるリスク
当社グループが事業を遂行又は展開する地域において、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病、パンデミックの再発、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が起こった場合には、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に悪影響を及ぼし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、地域・マーケット毎に想定される上記の問題に対し、クライシス・マネジメントや事業継続計画(BCP)を定期的に検討しております。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E04760] S100QHOJ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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