有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QG48 (EDINETへの外部リンク)
応用地質株式会社 研究開発活動 (2022年12月期)
当社グループは、将来の技術開発を支える基盤的技術として、三次元化技術やIOT技術そして地盤情報データベースの開発を行っております。またデジタル技術を活用することでビジネスモデルの変革や業務効率化が図れる分野に対しては積極的にDXを推進し、インフラ・メンテナンス事業、防災・減災事業、環境事業、資源・エネルギー事業の4つのセグメントにおいて、顧客ニーズに対するソリューションとして技術および製品の開発を進めております。
新型コロナウィルスの感染状況は収束に向かいつつありますが、これに起因して発生したサプライチェーンの混乱による影響は今も製品製造部門は受けております。米国に拠点を置くグループ会社はドル高による価格競争力の低下による成約機会の逸失、そしてロシアによるウクライナ侵攻を契機に起きたエネルギー・食料価格の高騰が各国にもたらしたインフレーションは、すべてのグループ会社に経営上の負のインパクトを与えています。もちろん各国の経済対策や、脱炭素事業として洋上風力発電所立地調査事業が拡大するなど、当社グループ社にとって追風となっている部分もあります。さらに、地球温暖化にともなう気候変動による洪水や地すべり等の土砂災害は激甚化し、地震災害なども含む自然災害の脅威はますます増大していることも当社グループが貢献できる可能性が多くあるという状況に変わりありません。
企業活動に対しては、SDGsやESGに配慮した経営が求められています。このような世界の情勢に対応した技術を創出していくことが課題です。地球科学に関わる事業を担っている当社グループは、最新の地球科学にもとづく研究開発をさらに加速していくことが求められます。
DXを推進するにあたりBIM(Building Information Modeling)を業務に取り込むことが重要です。BIMは、インフラストラクチャの計画、調査、設計、施工、維持管理までの全てのステージの情報を連携させ、事業者や施工者のみならず地域住民も含む全てのステークホルダー間で共有し、インフラストラクチャの管理、および、ライフサイクルマネジメントに活かしていくための取り組みです。今までのBIMは建築構造物を対象として発展してきたため、地盤そのものの構造や地中埋設物のモデル化、それをBIMに取り込むまでのプロセスの標準化が遅れています。国土交通省は2023年度から公共事業におけるBIM/CIM原則適用の準備を進めてきており、3次元モデルを活用した地質・土質調査、概略設計、予備設計も推奨項目となりました。これに対応するためには現在の既存プラットフォームでは不十分であり、土木調査で作成した3次元地盤モデルが設計・施工の段階でシームレスに活用できるように改良していかなくてはなりません。当社は、地盤モデルの作成、解析、情報連携に必要なソフトウェア群をGeoToolsとして開発してきましたが、さらなる利便性向上をめざし、機能強化を進めていきます。
なお、当社が2018年に加入したBIMの国際標準化機関であるbSI(building SMART International、本部:英国)では、地盤モデルの規格案を策定するコモンスキーマプロジェクトとトンネルプロジェクトに運営メンバーとして参画してきましたが、2022年は施設および地盤も含めたすべての情報のデジタル化を可能とするIFC4.4 (Industry Foundation Classes)の策定に大きく貢献いたしました。
研究開発は、当社の技術本部研究開発センターが中心となり、IOT技術やAI技術を利用してDXを推進する情報企画本部や8事業部(計測システム事業部、情報システム事業部、メンテナンス事業部、砂防・防災事業部、地震防災事業部、地球環境事業部、流域・水資源事業部、エネルギー事業部)そして当社グループが連携して実施しております。
研究開発を効率的に推進するため、外部機関の優れた技術の活用を図ることにも積極的に取り組み、公的研究機関、大学、民間企業との共同研究を進めるとともに、国内外の大学への寄付講座の設定、研究員の派遣、コンソーシアムへの参加を行っております。また、オープンイノベーションを実現するため、業種の異なる企業との技術開発や製品開発を積極的に行っております。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費の総額は2,135百万円でありました。
老朽化する道路構造物の維持管理分野では、トンネルやカルバートの三次元形状や表面の状況を自動計測し、AIを用いて診断するシステムや道路のり面の安全確保のために設置されたグランドアンカーの状況を効率的に検査する方法を開発し、市場投入を開始しました。
海外グループ会社のGEOPHYSICAL SURVEY SYSTEMS,INC.(米国)は、インフラ・メンテナンス用途向けの地中レーダの次世代機の開発、および、それに付随するサービス提供に関わる開発を行っています。
従来の地中レーダは地下の埋設物や空洞探査などの位置を探索することに用いられてきましたが、最近の研究・開発によりアスファルト舗装道路のアスファルト材料の材質管理、舗装工事の品質管理などに有効な手法であることが確認できて、現在は米国での適用拡大を図っています。さらに、日本におけるアスファルト舗装道路への適用について検討を行っています。併せて、構造物点検用としてお使いいただいている地中レーダについても後継機種の開発や取得したデータ管理をクラウドサービスで提供できるプラットフォームの構築を進めています。
当連結会計年度における研究開発費の金額は849百万円であります。
今期は、激甚化する降雨災害や降雨に伴う斜面災害に対応するため広域災害監視ソリューションの構築を目指したクラウドベース監視システムの機能強化を図るとともに、災害を早期に検知するネットワーク対応の監視センサとして、クリノポール(斜面傾斜計)の品揃えの強化や簡易雨量計、下水道水位計の開発を行い、センサーラインナップを強化しました。
政府が主導するSIPプロジェクトでは、災害危険個所を自動抽出する技術や大規模災害時に飲料水を確保する技術の開発に参画しております。また、自治体や地域住民へ避難情報を迅速に提供するため、センサーネットワークで観測された災害関連データに加え、公的に利用可能な情報を一元管理して提供するシステムの社会実装にも取り組んでおります。
海外グループ会社のKINEMETRICS,INC.(米国)は、地震観測機器の専門メーカーとして地震防災に必要な地震計の開発、販売、観測システムの構築、および、ソリューション提供を行っています。グローバルに起きているサプライチェーン問題に直面しているものの、継続的に新しい地震計、データ収録機を市場投入できるように開発に取り組んでいます。
インフラ・メンテナンス事業とも重複しますが、耐震工学的視点に立って、橋梁、ダム、プラントなどの構造物の健全度診断と維持管理を行うためのソリューション提供を行う事業の拡大を図っており、それに対応できる地震観測システムの構築も行っています。
当連結会計年度における研究開発費の金額は573百万円であります。
2020年から開始した建設工事で発生する有害重金属を含んだ廃土を安全かつ経済的に処理する技術の開発では、今期は実証実験を実施するとともに、実用化に向けて公的研究機関や総合建設会社とコンソーシアムを設立しました。
地方自治体のSDGsやESGに係わる目標設定やその達成を支援するため、地域の地盤特性や自然環境の特性を活かした開発可能性を評価するポジティブゾーニングの技術開発を行い、自治体向けの提案活動を開始しました。
また、発展途上国のグリーンインフラ整備を通じて国際的な事業展開を図るために実施しているウズベキスタンの荒廃地の緑化プロジェクトでは、緑化に用いる節水型保育ブロックやそれと覆土を組み合わせた育成方法の実証実験で効果が確認されました。2023年以降は、得られた知見や開発した技術を用いて緑化プロジェクトの事業化を開始する予定です。
当連結会計年度における研究開発費の金額は95百万円であります。
今期は、洋上風力発電所の立地に関わる地盤調査業務が大きく進展し、海底地盤の形状や強度を探査する海底微動アレイ探査の業務が急増しました。これまでに海底浅部地盤の状況を正確に知るために海底微動アレイ探査のシステムを開発し、サービスを開始しました。これまでの探査システムは水深40m以浅の着床式風力発電を対象としていましたが、今後主流になっていく浮体式風力発電にも対応できるようにする必要がありました。より深い深度にも対応できる大深度の海底微動アレイ探査の開発に着手し、水深80m程度で探査が可能なシステムを開発しました。さらに探査深度200m程度の三次元音波探査システムも開発を行い、洋上風力の地盤調査分野での地位を不動なものとしていきます。
海外グループ社のGEOMETRICS,INC.(米国)は、地震探査、磁気探査装置などの専門メーカーとして、鉱物資源探査や土木地質調査向けの製品の開発を行っております。
洋上風力発電所建設予定地で行われる磁気探査や海上3次元反射法探査システムの販売が好調ですが、超小型磁気センサ技術を活用して、既存の磁気探査装置の小型化、軽量化を図ることに取り組んでいます。
ROBERTSON GEOLOGGING LTD.(英国)は、ボーリング孔を利用した調査(検層)機器の開発・製造・販売を行っています。同社も鉱物資源探査分野以外の洋上風力発電所建設予定地やインフラ整備に関わる土木地質調査への適用が増えてきたことを受けて関連する検層機器の機能向上、専用の解析ソフト(GeoCAD)とのパッケージ化など製品ラインナップの拡充を目指しています。
当連結会計年度における研究開発費の金額は617百万円であります。
新型コロナウィルスの感染状況は収束に向かいつつありますが、これに起因して発生したサプライチェーンの混乱による影響は今も製品製造部門は受けております。米国に拠点を置くグループ会社はドル高による価格競争力の低下による成約機会の逸失、そしてロシアによるウクライナ侵攻を契機に起きたエネルギー・食料価格の高騰が各国にもたらしたインフレーションは、すべてのグループ会社に経営上の負のインパクトを与えています。もちろん各国の経済対策や、脱炭素事業として洋上風力発電所立地調査事業が拡大するなど、当社グループ社にとって追風となっている部分もあります。さらに、地球温暖化にともなう気候変動による洪水や地すべり等の土砂災害は激甚化し、地震災害なども含む自然災害の脅威はますます増大していることも当社グループが貢献できる可能性が多くあるという状況に変わりありません。
企業活動に対しては、SDGsやESGに配慮した経営が求められています。このような世界の情勢に対応した技術を創出していくことが課題です。地球科学に関わる事業を担っている当社グループは、最新の地球科学にもとづく研究開発をさらに加速していくことが求められます。
DXを推進するにあたりBIM(Building Information Modeling)を業務に取り込むことが重要です。BIMは、インフラストラクチャの計画、調査、設計、施工、維持管理までの全てのステージの情報を連携させ、事業者や施工者のみならず地域住民も含む全てのステークホルダー間で共有し、インフラストラクチャの管理、および、ライフサイクルマネジメントに活かしていくための取り組みです。今までのBIMは建築構造物を対象として発展してきたため、地盤そのものの構造や地中埋設物のモデル化、それをBIMに取り込むまでのプロセスの標準化が遅れています。国土交通省は2023年度から公共事業におけるBIM/CIM原則適用の準備を進めてきており、3次元モデルを活用した地質・土質調査、概略設計、予備設計も推奨項目となりました。これに対応するためには現在の既存プラットフォームでは不十分であり、土木調査で作成した3次元地盤モデルが設計・施工の段階でシームレスに活用できるように改良していかなくてはなりません。当社は、地盤モデルの作成、解析、情報連携に必要なソフトウェア群をGeoToolsとして開発してきましたが、さらなる利便性向上をめざし、機能強化を進めていきます。
なお、当社が2018年に加入したBIMの国際標準化機関であるbSI(building SMART International、本部:英国)では、地盤モデルの規格案を策定するコモンスキーマプロジェクトとトンネルプロジェクトに運営メンバーとして参画してきましたが、2022年は施設および地盤も含めたすべての情報のデジタル化を可能とするIFC4.4 (Industry Foundation Classes)の策定に大きく貢献いたしました。
研究開発は、当社の技術本部研究開発センターが中心となり、IOT技術やAI技術を利用してDXを推進する情報企画本部や8事業部(計測システム事業部、情報システム事業部、メンテナンス事業部、砂防・防災事業部、地震防災事業部、地球環境事業部、流域・水資源事業部、エネルギー事業部)そして当社グループが連携して実施しております。
研究開発を効率的に推進するため、外部機関の優れた技術の活用を図ることにも積極的に取り組み、公的研究機関、大学、民間企業との共同研究を進めるとともに、国内外の大学への寄付講座の設定、研究員の派遣、コンソーシアムへの参加を行っております。また、オープンイノベーションを実現するため、業種の異なる企業との技術開発や製品開発を積極的に行っております。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費の総額は2,135百万円でありました。
(1) インフラ・メンテナンス事業
インフラ・メンテナンス事業セグメントにおいては、道路、トンネル、堤防、建築基礎などのインフラストラクチャの建設と維持管理に関するソリューション開発を行っております。老朽化する道路構造物の維持管理分野では、トンネルやカルバートの三次元形状や表面の状況を自動計測し、AIを用いて診断するシステムや道路のり面の安全確保のために設置されたグランドアンカーの状況を効率的に検査する方法を開発し、市場投入を開始しました。
海外グループ会社のGEOPHYSICAL SURVEY SYSTEMS,INC.(米国)は、インフラ・メンテナンス用途向けの地中レーダの次世代機の開発、および、それに付随するサービス提供に関わる開発を行っています。
従来の地中レーダは地下の埋設物や空洞探査などの位置を探索することに用いられてきましたが、最近の研究・開発によりアスファルト舗装道路のアスファルト材料の材質管理、舗装工事の品質管理などに有効な手法であることが確認できて、現在は米国での適用拡大を図っています。さらに、日本におけるアスファルト舗装道路への適用について検討を行っています。併せて、構造物点検用としてお使いいただいている地中レーダについても後継機種の開発や取得したデータ管理をクラウドサービスで提供できるプラットフォームの構築を進めています。
当連結会計年度における研究開発費の金額は849百万円であります。
(2) 防災・減災事業
防災・減災事業セグメントにおいては、自然災害に対する防災・減災に関わるソリューション開発を行っております。今期は、激甚化する降雨災害や降雨に伴う斜面災害に対応するため広域災害監視ソリューションの構築を目指したクラウドベース監視システムの機能強化を図るとともに、災害を早期に検知するネットワーク対応の監視センサとして、クリノポール(斜面傾斜計)の品揃えの強化や簡易雨量計、下水道水位計の開発を行い、センサーラインナップを強化しました。
政府が主導するSIPプロジェクトでは、災害危険個所を自動抽出する技術や大規模災害時に飲料水を確保する技術の開発に参画しております。また、自治体や地域住民へ避難情報を迅速に提供するため、センサーネットワークで観測された災害関連データに加え、公的に利用可能な情報を一元管理して提供するシステムの社会実装にも取り組んでおります。
海外グループ会社のKINEMETRICS,INC.(米国)は、地震観測機器の専門メーカーとして地震防災に必要な地震計の開発、販売、観測システムの構築、および、ソリューション提供を行っています。グローバルに起きているサプライチェーン問題に直面しているものの、継続的に新しい地震計、データ収録機を市場投入できるように開発に取り組んでいます。
インフラ・メンテナンス事業とも重複しますが、耐震工学的視点に立って、橋梁、ダム、プラントなどの構造物の健全度診断と維持管理を行うためのソリューション提供を行う事業の拡大を図っており、それに対応できる地震観測システムの構築も行っています。
当連結会計年度における研究開発費の金額は573百万円であります。
(3) 環境事業
環境事業セグメントにおいては、環境保全を支援するソリューション開発に取り組んでおります。2020年から開始した建設工事で発生する有害重金属を含んだ廃土を安全かつ経済的に処理する技術の開発では、今期は実証実験を実施するとともに、実用化に向けて公的研究機関や総合建設会社とコンソーシアムを設立しました。
地方自治体のSDGsやESGに係わる目標設定やその達成を支援するため、地域の地盤特性や自然環境の特性を活かした開発可能性を評価するポジティブゾーニングの技術開発を行い、自治体向けの提案活動を開始しました。
また、発展途上国のグリーンインフラ整備を通じて国際的な事業展開を図るために実施しているウズベキスタンの荒廃地の緑化プロジェクトでは、緑化に用いる節水型保育ブロックやそれと覆土を組み合わせた育成方法の実証実験で効果が確認されました。2023年以降は、得られた知見や開発した技術を用いて緑化プロジェクトの事業化を開始する予定です。
当連結会計年度における研究開発費の金額は95百万円であります。
(4) 資源・エネルギー事業
資源・エネルギー事業セグメントにおいては、資源・エネルギーの探査、再生エネルギー事業開発、ならびにエネルギー関連施設の維持管理に必要な技術開発を行っております。今期は、洋上風力発電所の立地に関わる地盤調査業務が大きく進展し、海底地盤の形状や強度を探査する海底微動アレイ探査の業務が急増しました。これまでに海底浅部地盤の状況を正確に知るために海底微動アレイ探査のシステムを開発し、サービスを開始しました。これまでの探査システムは水深40m以浅の着床式風力発電を対象としていましたが、今後主流になっていく浮体式風力発電にも対応できるようにする必要がありました。より深い深度にも対応できる大深度の海底微動アレイ探査の開発に着手し、水深80m程度で探査が可能なシステムを開発しました。さらに探査深度200m程度の三次元音波探査システムも開発を行い、洋上風力の地盤調査分野での地位を不動なものとしていきます。
海外グループ社のGEOMETRICS,INC.(米国)は、地震探査、磁気探査装置などの専門メーカーとして、鉱物資源探査や土木地質調査向けの製品の開発を行っております。
洋上風力発電所建設予定地で行われる磁気探査や海上3次元反射法探査システムの販売が好調ですが、超小型磁気センサ技術を活用して、既存の磁気探査装置の小型化、軽量化を図ることに取り組んでいます。
ROBERTSON GEOLOGGING LTD.(英国)は、ボーリング孔を利用した調査(検層)機器の開発・製造・販売を行っています。同社も鉱物資源探査分野以外の洋上風力発電所建設予定地やインフラ整備に関わる土木地質調査への適用が増えてきたことを受けて関連する検層機器の機能向上、専用の解析ソフト(GeoCAD)とのパッケージ化など製品ラインナップの拡充を目指しています。
当連結会計年度における研究開発費の金額は617百万円であります。
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