有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100R87F (EDINETへの外部リンク)
王子ホールディングス株式会社 研究開発活動 (2023年3月期)
当社グループの研究開発活動は、全体の研究開発を統括するイノベーション推進本部と各事業会社の研究開発部門、各工場の研究技術部等が連携しながら取り組んでいます。イノベーション推進本部は、新事業の創出並びに既存事業の競争力強化を念頭に、創業当時から森づくりや紙づくりで培ってきた多様な技術と国内外に保有する豊富な森林資源を活用することにより、当社ならではの新たな価値を創造し、社会的課題を解決するためにイノベーションを推進しています。
グループ全体の既存事業の競争力強化として、植林、パルプ、抄紙、塗工の各分野で蓄積・体系化された技術と、海外拠点との連携、新製品開発及び既存製品の品質改善に取り組んでいます。国内外の工場では、品質向上・操業の安定化、コストダウンの推進を図っています。
当連結会計年度末における当社グループの保有特許権・実用新案権・意匠権の総数は国内2,498件、海外747件です。また、保有商標権の総数は国内937件、海外1,015件です。
当連結会計年度の研究開発費の総額は9,346百万円となっています。なお、当連結会計年度における各セグメントの研究開発活動を示すと、次のとおりです。
(1) 生活産業資材
産業資材事業では、古紙利用拡大、抄紙条件、薬品の最適化によるコストダウン、品質・操業性改善を推進してきました。これらの国内で培った基盤技術を活用して新製品開発を進めるとともに、カンパニーの枠を越え、当社グループ会社の各海外拠点へ水平展開を進めています。
パッケージング関係の紙容器関連事業では、国内でミルクカートン原紙の生産を開始し、抄紙から飲料パッケージングまでの国内一貫生産を実現しました。これら日本国内での一貫した生産体制を基盤に、大きな需要が期待される海外での事業も拡大していきます。
段ボール事業では、インターネット通販市場の急速な拡大に伴うさまざまな業界での梱包・物流に関する課題解決に向けて、次世代の包装ソリューション「OJI FLEX PACK'AGE」の提供を行っています。「OJI FLEX PACK'AGE」では、当社グループの連続段ボールシート「らくだん」を使用した、商品のサイズにあわせた梱包を可能とする「3辺可変システム」等のラインアップを取り揃えており、顧客やパートナーに企業との連携を含め販路拡充を進めています。
当事業に係る研究開発費は455百万円です。
(2) 機能材
機能材事業では、温室効果ガスの排出量削減や循環型社会の実現に貢献する環境配慮型素材及び製品を積極的に開発しています。また、当社グループのコア技術であるシートの製造・加工技術を活用した新製品開発も進めています。
特殊紙関連の環境配慮型素材及び製品としては、酸素や水蒸気の侵入を防ぎ、内容物の劣化を抑えることができるバリア性紙素材にヒートシール性、透明性、遮光性などの機能を有する製品を追加し、「SILBIOシリーズ」としてのラインアップを拡充しました。その他、医薬用包材や衛生材料関連素材など、成長市場に向けた製品開発も進めています。
粘着関連では、機能進化するタッチパネルに対応した各種粘着シートや高機能粘着フィルムの開発に注力しており、ノートPC、ゲーム機、車載ディスプレイなどへの採用が進んでいます。また、透明性と高い遮熱性能を両立した遮熱ウィンドウフィルムを開発しました。自動車フロントガラス用のフィルムとして販売中で、建材用途にも展開検討を進めています。
フィルム関連では、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの技術によるコンデンサ用フィルムの開発や、バイオプラスチックフィルムの開発を進めています。脱炭素社会への転換がグローバルに進行し、電動車が急速に普及しています。電動車の電気駆動系に用いられるフィルムコンデンサは、その主力材料である高性能ポリプロピレンフィルムの厚みが薄いほど小型化が可能になります。当社グループは高耐電圧ポリプロピレンフィルムの超薄型化技術の開発を推進し、電動車両向けの電子部品の小型軽量化に貢献しています。また、バイオプラスチックフィルムでは、植物由来原料のポリ乳酸樹脂を配合した二軸延伸ポリプロピレンフィルムを開発し、バイオマスマーク認定商品の「アルファンG(グリーン)」として、営業生産を開始しています。
当事業に係る研究開発費は2,239百万円です。
(3) 資源環境ビジネス
資源環境ビジネス事業では、王子製紙株式会社米子工場で生産している溶解パルプに関する技術開発を行っています。溶解パルプは、レーヨン、医薬品や食品の添加剤、セルロース誘導体などの原料として使用され、今後は世界的な人口増加により需要拡大が期待されています。既に繊維原料メーカーや医薬品原料メーカーへの販売を行っており、現在は高価格品の生産性アップやコストダウンによる収益向上を進めています。
当事業に係る研究開発費は580百万円です。
(4) 印刷情報メディア
印刷情報メディア事業では、パルプ製造工程から紙製造工程までの製紙工程全般に関する技術開発に取り組んでいます。使用薬品や操業条件の最適化によるコストダウン、欠点・断紙削減等の操業性改善、代替薬品の利用促進によるBCP(事業継続計画)対応強化を推進し、収益向上に繋げています。
当事業に係る研究開発費は943百万円です。
まず「木質由来の新素材開発」では、石油由来の燃料やプラスチックからの脱却に向けて、非可食の「木質由来エタノール」や「木質由来糖液」の製造を検討しています。木質由来エタノールは航空業界向け燃料(SAF)や化学業界における基礎化学品製造の原料として、また、木質由来糖液はポリ乳酸などのバイオマスプラスチックをはじめとした様々なバイオものづくりの基幹原料として、ニーズ拡大が見込まれます。今後、王子製紙米子工場にパイロット製造設備を導入し、実用化を見据えたユーザー様に対してエタノール・糖液を提供していくとともに、継続した技術改良を行い、将来の事業化に向けた取り組みを加速させていきます。
木質由来素材のセルロース・ナノ・ファイバー(CNF)は、従来の石油や鉱物由来の機能材からの置き換えにより、環境負荷低減への貢献が期待されています。CNFを天然ゴムと複合させることにより補強効果(硬さ)と伸びの両立に成功し、石油由来の既存補強材であるカーボンブラックを木質由来に置換えた新規ゴム素材としての可能性を見出しました。将来的にはCNFの使用量が見込めるタイヤ用途への採用を見据え、開発・実用化を進めていきます。さらに、CNFで培ったノウハウを活かし、ガラス繊維強化に匹敵する衝撃強度を持つ、セルロースを補強材とした樹脂ペレットを開発し、顧客への提供を進めています。
また、生分解性プラスチックと木質由来のセルロース(パルプ)を複合化した樹脂材料の「リソイルグリーン」を開発しました。生分解性プラスチックの強度や剛性などの特性を向上させることができ、構成するすべての原料が土中の微生物によって分解されるため、通常のプラスチックに比べ、環境への負荷を減らすことが出来ます。現在は、幅広い用途での採用を目指しています。
次に「メディカル&ヘルスケアへの挑戦」として、未来の医療を見据えて、新たな領域へ事業を展開しています。木材の主要成分の一つであるヘミセルロースを用いた医薬品創薬の開発や、高品質な国産の漢方薬原料を安定供給するため、薬用植物の大規模栽培を進めています。また、再生医療への応用が期待される配向性細胞培養基材(CellArray-Heart)の開発も進めています。
そして、「環境配慮型紙製品の開発」では、既存のプラスチック製食品トレイなどに紙素材を活用した脱プラスチックソリューションを提供しています。また、植物由来のポリ乳酸を使用したラミネート紙や現行の紙リサイクルシステムで再生可能な紙コップ原紙などの開発を進め、二酸化炭素排出量削減やプラスチック使用量の低減に繋がる取組みを行っています。
水処理技術の分野では、当社グループが長年培ってきた技術や操業ノウハウを活かし、国内外の顧客に水処理システムを提供することで、水資源の有効活用に貢献しています。
その他の研究開発活動に係る研究開発費は5,127百万円です。
なお、(1)~(4)の各セグメントに関わる研究開発活動のうち、事業化段階に無い、探索段階及び開発段階の研究開発活動の研究開発費が含まれます。
グループ全体の既存事業の競争力強化として、植林、パルプ、抄紙、塗工の各分野で蓄積・体系化された技術と、海外拠点との連携、新製品開発及び既存製品の品質改善に取り組んでいます。国内外の工場では、品質向上・操業の安定化、コストダウンの推進を図っています。
当連結会計年度末における当社グループの保有特許権・実用新案権・意匠権の総数は国内2,498件、海外747件です。また、保有商標権の総数は国内937件、海外1,015件です。
当連結会計年度の研究開発費の総額は9,346百万円となっています。なお、当連結会計年度における各セグメントの研究開発活動を示すと、次のとおりです。
(1) 生活産業資材
産業資材事業では、古紙利用拡大、抄紙条件、薬品の最適化によるコストダウン、品質・操業性改善を推進してきました。これらの国内で培った基盤技術を活用して新製品開発を進めるとともに、カンパニーの枠を越え、当社グループ会社の各海外拠点へ水平展開を進めています。
パッケージング関係の紙容器関連事業では、国内でミルクカートン原紙の生産を開始し、抄紙から飲料パッケージングまでの国内一貫生産を実現しました。これら日本国内での一貫した生産体制を基盤に、大きな需要が期待される海外での事業も拡大していきます。
段ボール事業では、インターネット通販市場の急速な拡大に伴うさまざまな業界での梱包・物流に関する課題解決に向けて、次世代の包装ソリューション「OJI FLEX PACK'AGE」の提供を行っています。「OJI FLEX PACK'AGE」では、当社グループの連続段ボールシート「らくだん」を使用した、商品のサイズにあわせた梱包を可能とする「3辺可変システム」等のラインアップを取り揃えており、顧客やパートナーに企業との連携を含め販路拡充を進めています。
当事業に係る研究開発費は455百万円です。
(2) 機能材
機能材事業では、温室効果ガスの排出量削減や循環型社会の実現に貢献する環境配慮型素材及び製品を積極的に開発しています。また、当社グループのコア技術であるシートの製造・加工技術を活用した新製品開発も進めています。
特殊紙関連の環境配慮型素材及び製品としては、酸素や水蒸気の侵入を防ぎ、内容物の劣化を抑えることができるバリア性紙素材にヒートシール性、透明性、遮光性などの機能を有する製品を追加し、「SILBIOシリーズ」としてのラインアップを拡充しました。その他、医薬用包材や衛生材料関連素材など、成長市場に向けた製品開発も進めています。
粘着関連では、機能進化するタッチパネルに対応した各種粘着シートや高機能粘着フィルムの開発に注力しており、ノートPC、ゲーム機、車載ディスプレイなどへの採用が進んでいます。また、透明性と高い遮熱性能を両立した遮熱ウィンドウフィルムを開発しました。自動車フロントガラス用のフィルムとして販売中で、建材用途にも展開検討を進めています。
フィルム関連では、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの技術によるコンデンサ用フィルムの開発や、バイオプラスチックフィルムの開発を進めています。脱炭素社会への転換がグローバルに進行し、電動車が急速に普及しています。電動車の電気駆動系に用いられるフィルムコンデンサは、その主力材料である高性能ポリプロピレンフィルムの厚みが薄いほど小型化が可能になります。当社グループは高耐電圧ポリプロピレンフィルムの超薄型化技術の開発を推進し、電動車両向けの電子部品の小型軽量化に貢献しています。また、バイオプラスチックフィルムでは、植物由来原料のポリ乳酸樹脂を配合した二軸延伸ポリプロピレンフィルムを開発し、バイオマスマーク認定商品の「アルファンG(グリーン)」として、営業生産を開始しています。
当事業に係る研究開発費は2,239百万円です。
(3) 資源環境ビジネス
資源環境ビジネス事業では、王子製紙株式会社米子工場で生産している溶解パルプに関する技術開発を行っています。溶解パルプは、レーヨン、医薬品や食品の添加剤、セルロース誘導体などの原料として使用され、今後は世界的な人口増加により需要拡大が期待されています。既に繊維原料メーカーや医薬品原料メーカーへの販売を行っており、現在は高価格品の生産性アップやコストダウンによる収益向上を進めています。
当事業に係る研究開発費は580百万円です。
(4) 印刷情報メディア
印刷情報メディア事業では、パルプ製造工程から紙製造工程までの製紙工程全般に関する技術開発に取り組んでいます。使用薬品や操業条件の最適化によるコストダウン、欠点・断紙削減等の操業性改善、代替薬品の利用促進によるBCP(事業継続計画)対応強化を推進し、収益向上に繋げています。
当事業に係る研究開発費は943百万円です。
(5) その他の研究開発活動
グループ内の関連部門と連携しながら、イノベーション推進本部では、「木質由来の新素材開発」や「メディカル&ヘルスケア領域への挑戦」、「環境配慮型紙製品の開発」の三つのテーマを中心に研究開発活動を進めています。まず「木質由来の新素材開発」では、石油由来の燃料やプラスチックからの脱却に向けて、非可食の「木質由来エタノール」や「木質由来糖液」の製造を検討しています。木質由来エタノールは航空業界向け燃料(SAF)や化学業界における基礎化学品製造の原料として、また、木質由来糖液はポリ乳酸などのバイオマスプラスチックをはじめとした様々なバイオものづくりの基幹原料として、ニーズ拡大が見込まれます。今後、王子製紙米子工場にパイロット製造設備を導入し、実用化を見据えたユーザー様に対してエタノール・糖液を提供していくとともに、継続した技術改良を行い、将来の事業化に向けた取り組みを加速させていきます。
木質由来素材のセルロース・ナノ・ファイバー(CNF)は、従来の石油や鉱物由来の機能材からの置き換えにより、環境負荷低減への貢献が期待されています。CNFを天然ゴムと複合させることにより補強効果(硬さ)と伸びの両立に成功し、石油由来の既存補強材であるカーボンブラックを木質由来に置換えた新規ゴム素材としての可能性を見出しました。将来的にはCNFの使用量が見込めるタイヤ用途への採用を見据え、開発・実用化を進めていきます。さらに、CNFで培ったノウハウを活かし、ガラス繊維強化に匹敵する衝撃強度を持つ、セルロースを補強材とした樹脂ペレットを開発し、顧客への提供を進めています。
また、生分解性プラスチックと木質由来のセルロース(パルプ)を複合化した樹脂材料の「リソイルグリーン」を開発しました。生分解性プラスチックの強度や剛性などの特性を向上させることができ、構成するすべての原料が土中の微生物によって分解されるため、通常のプラスチックに比べ、環境への負荷を減らすことが出来ます。現在は、幅広い用途での採用を目指しています。
次に「メディカル&ヘルスケアへの挑戦」として、未来の医療を見据えて、新たな領域へ事業を展開しています。木材の主要成分の一つであるヘミセルロースを用いた医薬品創薬の開発や、高品質な国産の漢方薬原料を安定供給するため、薬用植物の大規模栽培を進めています。また、再生医療への応用が期待される配向性細胞培養基材(CellArray-Heart)の開発も進めています。
そして、「環境配慮型紙製品の開発」では、既存のプラスチック製食品トレイなどに紙素材を活用した脱プラスチックソリューションを提供しています。また、植物由来のポリ乳酸を使用したラミネート紙や現行の紙リサイクルシステムで再生可能な紙コップ原紙などの開発を進め、二酸化炭素排出量削減やプラスチック使用量の低減に繋がる取組みを行っています。
水処理技術の分野では、当社グループが長年培ってきた技術や操業ノウハウを活かし、国内外の顧客に水処理システムを提供することで、水資源の有効活用に貢献しています。
その他の研究開発活動に係る研究開発費は5,127百万円です。
なお、(1)~(4)の各セグメントに関わる研究開発活動のうち、事業化段階に無い、探索段階及び開発段階の研究開発活動の研究開発費が含まれます。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00642] S100R87F)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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